JP3567524B2 - 自動変速機の油圧制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は自動変速機の油圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動変速機の変速中に発生する出力軸トルクの変化により、特に低摩擦路(以下、低μ路という)走行中においては、車輪のスリップが発生する場合がある。そこで、このスリップの発生を防止する技術が特開昭60−184753号公報,特開平3−153959号公報に開示されている。
【0003】
特開昭60−184753号公報では、変速時に駆動輪のスリップを検知したときに、摩擦係合要素にかける油圧(ライン圧)を下げることにより係合速度を低下させ、変速ショックを緩和している。また、特開平3−153959号公報においても、駆動スリップが大きいときに自動変速機における摩擦係合要素の作動油圧(ライン圧)を低下させることにより、車輪駆動力が過大になることを防止している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のようにライン圧を下げると摩擦係合要素が滑る時間(半クラッチ状態)が長くなり、摩擦係合要素の耐久性が低下するという問題が生じる。
そこで、本発明においては、摩擦係合要素の耐久性に影響を与えることなく変速中に発生する出力軸トルクの変動を抑えることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1においては、入力軸側に設けられている第1の摩擦係合要素群と、出力軸側に設けられている第2の摩擦係合要素群とを備える自動変速機と、第1の摩擦係合要素群に作動油を供給する第1の作動油供給手段と、第2の摩擦係合要素群に作動油を供給する第2の作動油供給手段と、車両の運転状態に応じて前記自動変速機の変速判断を行う変速判断手段と、変速判断手段により変速が必要と判断されたとき、第1の作動油供給手段と第2の作動油供給手段とを制御し、変速を達成する変速制御手段とを備えることを特徴とする自動変速機の油圧制御装置を提供する。
【0006】
また、請求項2においては、車両の速度を検出する車速検出手段と、スロットル弁の開度を検出するスロットル開度検出手段とを備え、変速判断手段は、スロットル開度検出手段により検出されたスロットル開度と車速検出手段により検出された車速とに基づいて変速判断を行う手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の油圧制御装置を提供する。
【0007】
また、請求項3においては、走行路面の状態を検出する路面状態検出手段を備え、変速制御手段は、路面状態検出手段により摩擦の低い路面を走行していると判断されたときには第1の作動油供給手段と第2の作動油供給手段とを制御して変速を達成し、路面状態検出手段により摩擦の低い路面を走行していないと判断されたときには第1の作動油供給手段または第2の作動油供給手段のうち、変速にかかわる摩擦係合要素に作動油を供給する手段を制御して変速を達成する手段を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動変速機の油圧制御装置を提供する。
【0008】
また、請求項4においては、変速制御手段は、路面状態検出手段により摩擦の低い路面を走行していると判断されたとき、第1の作動油供給手段と第2の作動油供給手段とのうち、変速にかかわる摩擦係合要素に作動油を供給する作動油供給手段を制御し、その後、他方の作動油供給手段を制御する手段を含むことを特徴とする請求項3に記載の自動変速機の油圧制御装置を提供する。
【0009】
さらに、請求項5においては、第1の作動油供給手段および第2の作動油供給手段は、それぞれ各摩擦係合要素毎に作動油を供給する手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の自動変速機の油圧制御装置を提供する。
【0010】
【作用および発明の効果】
以上の構成を採ることにより、本発明の請求項1においては、変速制御手段は変速判断手段により変速が必要と判断されたとき、第1の作動油供給手段と第2の作動油供給手段とを制御し、変速を達成する。
例えば、第1の作動油供給手段により作動油を供給される変速にかかわる入力軸側の摩擦係合要素の油圧を変速制御手段により制御し、変速制御を行う。一方、変速制御手段は、第2の作動油供給手段により作動油を供給される変速にかかわらない摩擦係合要素の油圧を制御し、出力軸側の摩擦係合要素を係合状態から一旦解放し、再び係合する。
【0011】
これにより、変速時のトルク変動を抑えたい時に変速時間を長くしても、変速にかかわる摩擦係合要素だけでなく、変速にかかわらない摩擦係合要素も制御するため、1つの摩擦係合要素だけが磨耗することがなく耐久性に与える影響を低減することができる。また、請求項1では、変速制御手段は、路面状態検出手段により摩擦の低い路面を走行していると判断されたときには第1の作動油供給手段と第2の作動油供給手段とを制御して変速を達成し、路面状態検出手段により摩擦の低い路面を走行していないと判断されたときには第1の作動油供給手段または第2の作動油供給手段のうち、変速にかかわる摩擦係合要素に作動油を供給する手段を制御して変速を達成する。
このように、路面の摩擦が低く変速時のトルク変動により車輪のスリップが起こりやすいときはトルク変動を抑えるため変速時間を長くするとともに第1,第2の作動油供給手段を制御して、特定の摩擦係合要素の磨耗を抑制する。また、低摩擦路走行時以外はトルク変動が生じても車輪のスリップが起こりにくいものと判断し、変速にかかわる摩擦係合要素のみを制御する。これにより、変速制御を簡略化するとともに、変速時間の短縮を図ることができる。また、請求項2では、変速判断手段はスロットル開度検出手段により検出されたスロットル開度と車速検出手段により検出された車速とに基づいて変速判断を行うようにしている。これにより、運転状態に適した変速を行うことができる。
【0014】
また、請求項においては、変速制御手段は、路面状態検出手段により摩擦の低い路面を走行していると判断されたとき、第1の作動油供給手段と第2の作動油供給手段とのうち、変速にかかわる摩擦係合要素に作動油を供給する作動油供給手段を制御し、その後、他方の作動油供給手段を制御する。さらに、請求項においては、第1の作動油供給手段および第2の作動油供給手段は、それぞれ各摩擦係合要素毎に作動油を供給する。
【0015】
【実施例】
以下、図面を用いて本発明を適用した実施例を説明する。
図1は本発明を適用する一般的な自動変速機の変速部の概略構成図である。
図1において、入力軸1は図示しないトルクコンバータによって変換されたエンジン出力トルクを変速部2に入力する。この変速部2は、3組のプラネタリギヤ201,202,203と5個の摩擦係合要素(3個のクラッチC,C,Cと2個のブレーキB,B)、および、2個のワンウェイクラッチF,Fからなり、これら複数の摩擦係合要素の作動を制御することにより複数(1速〜4速)の変速段を達成する。本実施例においては、クラッチC,ブレーキBが入力軸側に設けられている第1の摩擦係合要素群に、クラッチC,CおよびブレーキBが出力軸側に設けられている第2の摩擦係合要素群に相当する。
【0016】
図2はドライブレンジ(以下、Dレンジとする)にて1速から4速までを達成するときの各摩擦係合要素およびワンウェイクラッチの状態を示すものである。すなわち各摩擦係合要素が係合,解放,固定,フリーのいずれの状態であるかを示すものである。例えば、1速の状態であればクラッチC,Cは係合状態、クラッチC,ブレーキB,Bは解放状態、ワンウェイクラッチFはフリー状態、そしてワンウェイクラッチFは固定状態にある。なお、本実施例ではDレンジにて走行中の各摩擦係合要素およびワンウェイクラッチの状態のみを示しているが、実際には各摩擦係合要素の状態の組み合わせにより、ローレンジ,セカンドレンジおよびリバースレンジ等の複数の変速レンジにおいても要求に応じた変速段を達成することができる。
【0017】
次に図3を用いて、変速時の基本動作について説明する。
図示しないトルクコンバータより出力されたトルクTおよび回転数Nは入力軸1を介して変速部2に入力される。この変速部2にて変換されたトルクTおよび回転数Nは変速部出力トルクTおよび回転数Nとして出力軸3を介して車輪に伝えられる。
【0018】
電子制御装置(ECU)4は変速要求に応じた電気信号S1を変速するために駆動すべき摩擦係合要素用アクチュエータ5に送信する。なお本実施例では、各摩擦係合要素毎にこのアクチュエータ5が備えられており、クラッチC,ブレーキB用のアクチュエータが第1の作動油供給手段に、クラッチC,CおよびブレーキB用のアクチュエータが第2の作動油供給手段に相当する。
【0019】
電気信号を受信したアクチュエータ5は電気信号S1に相当する油圧を摩擦係合要素に供給する。そして、供給された油圧により摩擦係合要素が作動し、要求された変速段を達成することができる。
ここで、各摩擦係合要素用アクチュエータ5に供給される元の油圧(ライン圧)は、ライン圧制御用アクチュエータ6により調圧される。そして、ライン圧制御用アクチュエータ6は油圧ポンプ7から供給される油圧をECU4から送信される電気信号S2に相当する油圧(ライン圧)となるように調圧する。
【0020】
図4は、図2に示す変速段を達成し、かつ、変速段切替時の過渡制御を達成するための制御構成を示すブロック図である。
電子制御装置(ECU)4には変速部2の入力軸に設けられている入力軸回転数センサ6,中間軸11に設けられている中間回転数センサ7,出力軸に設けられている出力軸回転数センサ8から出力される変速部入力軸回転数N,変速部中間回転数N変速部出力軸回転数Nが入力される。さらに、図示しないスロットル弁に設けられているスロットル開度センサ(スロットル開度検出手段)9からスロットル開度θが、車速センサ(車速検出手段)10から車速VがそれぞれECU4に入力される。
【0021】
なお、本実施例では、車速Vを求めるために車速センサ10を設けているが、出力軸回転数センサ8により検出される出力軸回転数Nから車速Vを求めるようにしてもよい。
変速判断部401はECU4に入力される各種センサ信号のうちスロットル開度θ,車速Vに基づいて、図示しない変速マップにしたがって変速する必要があるか否かを判断する。
【0022】
運転状態検出部402では、現在走行している路面状態(低摩擦路面か否か)を検出する。そして、初期油圧指令値マップ検索部403では、変速開始時に各摩擦係合要素用アクチュエータに出力する指令値を図12に示すマップから求める。
変速過渡フィードバック制御値演算部404では、後述するイナーシャ相にて入力軸回転数Nが滑らかに変速後回転数となるように各摩擦係合要素用アクチュエータに出力する指令値を目標回転数と実際の回転数との偏差に基づいてフィードバック制御する。なお、ここでは現在走行している路面の状態に応じて、指令値を設定している。
【0023】
そして、制御信号司令部405ではイナーシャ相が始まるまでは初期油圧指令値マップ検索部403にて検索された指令値を、そして、イナーシャ相が始まってからは変速過渡フィードバック制御値演算部404にて演算された指令値を各摩擦係合要素用アクチュエータ5に出力する。また、低摩擦路面走行時には、後述する第2変速処理に基づく制御を実行する。
【0024】
次に図5,図6に示すタイムチャートを用いて2速から3速への変速時の各要素(変速判断信号,アクチュエータ制御信号,摩擦係合要素供給油圧,変速部入出力回転数,変速部入出力トルク)の動作を一例として説明する。
図5は通常路面走行における変速時の各要素の動作を示すものである。図5において時刻tでECU4が運転状態(車速Vとスロットル開度θ)に基づいて変速タイミングであると判断すると、変速判断信号をHIGHからLOWとし、変速を開始する。
【0025】
変速が開始されると、まず、変速に関る摩擦係合要素用アクチュエータに図12に示すマップに基づいて運転状態(車速Vとスロットル開度θ)に応じた初期値αの制御信号が出力される。このとき初期値αは車速Vが速いほど大きく、またスロットル開度が大きいほど大きくなるように設定されている。なお、本実施例では、制御信号としてデューティ信号を用いている。
【0026】
この制御信号により摩擦係合要素用アクチュエータが駆動されると、変速に関る摩擦係合要素に供給される油圧Pは摩擦係合要素の圧力室に油が充填されるまで(図5のt〜t間)Pt1となる。圧力室に油が充填されると、制御信号に応じた圧力Pt2に調圧されていく。
図5中t〜t間はトルク相と呼ばれる区間であり、変速部からの出力トルクTには変化があるが、入力回転数Nには変化が現れない区間である。続くt〜t間はイナーシャ相と呼ばれる区間であり、入力回転数Nと出力トルクTとに変化が現れる区間である。このイナーシャ相が終わると入力回転数Nと出力回転数Nとが一致し、変速が終了する。
【0027】
イナーシャ相の入力回転数Nの傾き(減少度合)は図4の変速過渡フィードバック制御値演算部により摩擦係合要素への供給油圧を制御することで、ほぼ一定となるように制御されている。このとき、入力回転数Nの傾きを変えることにより変速時間を調節することができる。例えば、傾きを大きくするとイナーシャ相が短くなるため変速時間も短くなる。ただし、短時間でトルクが変動するため、トルク変動量が大きくなり、変速時のショックが大きくなる。
【0028】
以上が通常の路面での変速制御である。次に、図6のタイムチャートおよび図7の説明図を用いて低μ路での変速制御を説明する。低μ路においては通常の路面に比べて変速時のトルク変動により車輪のスリップが発生しやすくなる。このため、イナーシャ相の時間を長くし、変速時のトルク変動が小さくなるように制御している。つまり、入力回転数のNの傾きが緩やかになるように制御している。
【0029】
しかしながら、イナーシャ相の時間を長くすると変速に関る摩擦係合要素(以下、摩擦係合要素Cとする)の半結合状態が長くなるため、摩擦係合要素の耐久性に影響が生じるため、対策が必要となる。そこで、本発明では、変速に関る摩擦係合要素だけでなく、今回の変速には関らない摩擦係合要素(摩擦係合要素Cとする)も制御することによりこの問題を解決する。なお、このCとCとは、例えば、1速から2速への変速の場合にはCは図2に示すようにBが、Cは図18に示すようにCが相当する。
【0030】
イナーシャ相が始まると(図6のt´点)、まず入力回転数Nが目標の傾きとなるように図7に示す摩擦係合要素Cに供給する油圧をフィードバック制御し、調整する。このときNの傾きは変速時のトルク変動を小さくするため、通常路面走行時よりも緩やかになるように設定されている。
そして、例えばこの油圧フィードバックを開始してから所定時間が経過すると、通常の変速制御では変速に関係しない図7の摩擦係合要素Cへの油圧制御を開始する(図6のt´点)。なお、この摩擦係合要素Cは、例えば図18に示すように決定される。
【0031】
摩擦係合要素Cへの油圧制御が開始されると、まず、変速過渡フィードバック制御値演算部404でのフィードバック制御を一旦停止する。そして、摩擦係合要素Cへの油圧Pcbを低下させる。油圧Pcbが低下し、摩擦係合要素Cが滑り出すと入力回転数Nに変化が生じる(Nの傾きが一定でなくなる)。入力回転数Nの変化が検出されると(図6のt32´点)、摩擦係合要素Cへの供給油圧Pcaを徐々に上げていく。供給油圧Pcaの上げかたはあらかじめ設定しておいてもよいし、入力軸回転数Nの傾きが一定になるようにフィードバック制御してもよい。
【0032】
摩擦係合要素Cへの供給油圧を下げることにより、図7に示すように摩擦係合要素CとCとにより入出力軸と係合されている変速部の中間の回転数Nは出力軸回転数Nと同じ回転数となっていく(図6のt32´〜t33´間点)。
中間回転数Nが出力軸回転数Nとほぼ同じとなったことが検出されると、摩擦係合要素Cへの供給油圧を上げていく。このとき、供給油圧の上げ方は一定でもよいし、入力軸回転数Nの傾きが目標の傾きとなるようにフィードバック制御してもよい。
【0033】
供給油圧Pcbが目標値になると入力軸回転数と出力軸回転数とが一致するまでその油圧を維持する。入力軸回転数と出力軸回転数とが一致すると変速が完了したと判断し、Cへの供給油圧を最大にして変速が終了する(図6のt´点)。
図8は本実施例の自動変速機の変速時(シフトアップ時)の油圧制御処理を示すフローチャートである。以下、図8にしたがって説明する。
【0034】
本処理が実行されると、まずステップ101にて運転状態を読み込む。本実施例では、スロットル開度θおよび車速Vを読み込む。次にステップ102にてスロットル開度と車速Vとから図示しない変速マップに基づいて変速段を決定する。
ステップ103ではステップ102にて決定された変速段と現在の変速段とから変速(アップシフト)が必要か否かを判断する(変速判断手段に相当)。判断の結果、アップシフトが必要でなければそのまま本処理を終了する。必要であればステップ104に進む。ステップ104では低摩擦路(以下、低μ路という)を走行中であるか否かを判断する。具体的には、車輪のスリップ判断中か又はトラクションコントロール中かを判断する(路面状態検出手段に相当)。ここで否定判断されると、ステップ115に進み、図9,図10に示す通常の変速制御を実行する。ステップ104にて肯定判断されると、ステップ105に進む。
【0035】
ステップ105では図12に示す2次元マップから摩擦係合要素用アクチュエータ制御初期デューティ値αを求める。次にステップ106にて入力軸回転数Nを読み込み、NT0とする。ステップ107ではステップ105にて求めた初期デューティ値αを出力する。そして、ステップ108において初期デューティ値αを出力した後の入力軸回転数Nを読み込み、これをNT1とする。続くステップ109ではステップ106で読み込んだNT0とステップ108で読み込んだNT1との差を求め、この値が所定値Aより大きいかを判断する。つまり、トルク相からイナーシャ相に変わったかを判断する。
【0036】
ステップ109にてイナーシャ相でないと判断されたときにはステップ108に戻る。そして、肯定判断されるまでステップ108とステップ109との処理を繰り返す。
ステップ109にてイナーシャ相であると判断されたときにはステップ110に進む。ステップ110ではステップ106にて読み込んだNT0とステップ102にて読み込んだ変速段にて、変速終了判定値Gを図示しないマップから読み込む。この終了判定値Gとは変速終了後の予測入力軸回転数である。次にステップ111にて図13に示す目標ΔNマップに基づいて、現在の運転状態(車速Vとスロットル開度θ)に応じた目標ΔNを求める。更に、図6に示す通常の変速制御では変速に関係しない摩擦係合要素Cへの油圧制御を開始する時間(図6のt´点から t31´点迄の時間)Tを図14に示す車速Vとスロットル開度θとのマップから求める。又、図18に本実施例の各変速時において制御する変速に関係しない摩擦係合要素を示す。
【0037】
次のステップ112ではステップ111にて設定された目標ΔNとなるように供給油圧のフィードバック制御が実行される。次にステップ113に進み、ステップ111にて設定された所定時間Tが経過したか否かを判断する。所定時間経過していなければ、経過するまで摩擦係合要素Cに対する油圧フィードバック制御を続ける。所定時間経過するとステップ114に進み摩擦係合要素Cに対する制御(第2変速処理)を開始する。この第2変速処理について、図11に示すフローチャートにしたがって説明する。
【0038】
本処理が実行されると、ステップ401にて運転状態(本実施例では、スロットル開度θと車速V)に応じて摩擦係合要素Cに対するアクチュエータへ出力する油圧制御値ΔDを図15に示すマップから求める。このΔDは車速Vが速いほど、また、スロットル開度θが大きいほど大きい値をとるように設定される。 続くステップ402では現在摩擦係合要素Cに対するアクチュエータに出力されている油圧出力値Dmin からステップ401で求めた油圧制御値ΔDを加算した値を新たに油圧出力値Dとする。なお、本実施例において、油圧出力値(デューティ値)Dと供給油圧Pとの関係は図16に示すように、デューティ値が最少のとき供給油圧が最大となるように設定されている。
【0039】
ステップ403では、現在の入力軸回転数Nを読み込み、NT0とする。そして、次のステップ404において、摩擦係合要素Cb に供給する油圧を下げるために、ステップ402で求めた油圧出力値Dを出力する。ステップ405では、ステップ404にて油圧出力値Dを出力した後の入力軸回転数Nを読み込み、NT1とする。
【0040】
ステップ406ではステップ403で求めたNT0とステップ405で求めたNT1との差を算出し、この値が所定値Eより大きいか否かを判断する。ここで否定判断されると、ステップ421に進み、現在の油圧出力値Dから油圧制御値ΔDを加算した値を新たに油圧出力値Dとし、ステップ420に進む。ステップ420でこの油圧出力値Dをアクチュエータに出力してステップ405に進む。
【0041】
一方、ステップ406で肯定判断されたときには、ステップ407に進む。ステップ407では ステップ421と同様に摩擦係合要素Cを駆動するアクチュエータに出力する油圧出力値Dに油圧補正値ΔDを加算したものを油圧出力値Dとするとともに、変速に関係する摩擦係合要素Cを駆動するアクチュエータに出力する油圧出力値Dから所定値補正値ΔDを減算したものを新たに油圧出力値Dとする。つまり、摩擦係合要素Cを開放する処理とともに摩擦係合要素Cを係合する処理を実行する(図6のt32´〜t33´間)。
【0042】
次にステップ408において、ステップ407で求めた油圧出力値D,Dをアクチュエータに出力する。そして、ステップ409で変速部中間回転数Nが所定値Fより小さくなったかを判断する(図6のt33´点に達したかを判断する)。ここで否定判断されればステップ407,408の処理を繰り返す。肯定判断されればステップ410に進む。
【0043】
ステップ410では入力軸回転数Nを読み込みNT0とする。次にステップ411にて摩擦係合要素Cを係合するために、油圧出力値Dから油圧補正値ΔDを減じた値を新たに油圧出力値Dとし、ステップ412にてこの油圧出力値Dをアクチュエータに出力する。
ステップ413では入力軸回転数NTOが図8のステップ110で読み込んだ変速終了判定値(予測入力軸回転数)Gに±βの幅をもたせた範囲内にあるか否かを判断する。否定判断されたときはステップ414に進む。ステップ414ではステップ412で油圧出力値Dを出力した後の入力軸回転数NをNT1とする。ステップ415では次式を満たしているか否かを判断する。
【0044】
T0−NT1>H
この式を満たしているときは目標とする入力軸回転数Nの傾きより実際の傾きが大きいと判断して、油圧を低めるために現在の油圧出力値Dに油圧補正値ΔDを加算した値を新たに油圧出力値Dとする。一方、この式を満たしていないときは目標とする入力軸回転数Nの傾きより実際の傾きが小さいと判断して、油圧を高めるために現在の油圧出力値Dから油圧補正値ΔDを減算した値を新たに油圧出力値Dとする。
【0045】
そして、ステップ418にて、ステップ414で求めた入力軸回転数NT1をNT0として記憶し、更に、ステップ419では、ステップ416もしくはステップ417で求めた油圧出力値Dを出力する。その後、ステップ413に進む。そして、ステップ413にて肯定判断されるまでステップ414からステップ419までの処理を繰り返す。
【0046】
ステップ413にて肯定判断されると変速が終了したと判断し、ステップ423にて終了処理を実行してから本処理を終了する。なお、終了処理とは摩擦係合要素Cへの供給油圧が最大となるように、油圧出力値DをDmin とする処理である。
以上が、低摩擦路面走行中のシフトアップの変速処理である。
【0047】
次に、図8のステップ104にて否定判断されたときに、ステップ115にて実行される変速処理、つまり通常路面走行中の変速処理を図9,図10にしたがって説明する。
変速処理が実行されると、図9のステップ201にて図12に示す初期値αマップから現在の車速Vとスロットル開度θとに応じた初期値αを検索する。そして、この初期値αを油圧出力値Dとする。なお、ここで、初期値αはデューティ比で与えられている。次にステップ202において現在の入力軸回転数Nを読み込み、NT0とする。
【0048】
ステップ203ではステップ201にて求めた油圧出力値Dを出力する。次のステップ204では油圧出力値D出力後の入力軸回転数NをNT1とする。ステップ205では次式が満たされているか否かを判断する。
T0−NT1>A
ここで、否定判断されると、ステップ205で肯定判断されるまでステップ203,ステップ204の処理を繰り返す。つまり、トルク相が終了したか否かを判断し、トルク相が終了したと判断すると、ステップ206以降のイナーシャ相の制御を実行する。
【0049】
ステップ205にて肯定判断されると、ステップ206にて図13に示すような目標ΔNマップに基づいて目標ΔNを決定する。但し、通常路面走行時のマップは同一の運転状態であれば、図13に示す低μ路走行時のマップのΔNの値より大きい値が設定されている。そして、ステップ207にて入力軸回転数Nの傾きが目標ΔNとなるようにアクチュエータへの出力信号をフィードバック制御する。この油圧フィードバック制御処理を示したものが図10である。以下、図10にしたがって説明する。
【0050】
油圧フィードバック制御処理が実行されると、ステップ301にて入力軸回転数Nを読み込み、NT0とする。ステップ302では所定時間経過したか否かを判断する。ここで否定判断されると肯定判断されるまで本処理を繰り返す。肯定判断されると、ステップ303にすすむ。ステップ303では所定時間経過後の入力軸回転数Nを読み込みNT1とする。
【0051】
次のステップ304ではステップ301で読み込んだNT0とステップ303で読み込んだNT1との差を求め、dNとする。そして、ステップ305にて目標ΔNと実際の傾きdNとの差を求め、傾き偏差dnとする。ステップ306では図17に示すdn−ΔDマップから、実際の傾きdNを目標ΔNとするための補正デューティΔDを求める。そして、ステップ307では現在出力している出力値に補正デューティΔDを加算した値を出力し、本処理を終了する。
【0052】
図10の処理が終了すると次に図9の208に進む。ステップ208では、油圧フィードバック制御が終了したか否かを判断する。ここで、油圧フィードバック制御が終了したか否かは、例えば図11のステップ413に示すように、入力軸回転数が出力軸回転数とほぼ同じであるか否かで判断すればよい。ステップ208で否定判断されたときには、肯定判断されるまでステップ207の処理を繰り返す。肯定判断されたときには、図11のステップ423と同様の変速終了処理を実行し、本処理を終了する。
【0053】
以上説明したように、本発明によれば、特に低μ路走行時に車輪のスリップが検出された時にはイナーシャ相の時間を長くするため、変速時に生じるトルク変動が小さくなり、車輪のスリップを防止することができる。
なお、上記図8〜図11に示す処理が変速制御手段に相当し、機能する。
更にこのとき、変速に関る摩擦係合要素Cを係合制御するだけでなく、この摩擦係合要素が配設されている側と反対側の摩擦係合要素Cも解放,係合制御することにより、スリップ検出時に制御される特定の摩擦係合要素のみが擦り減ることを防止することができる。
【0054】
なお、本実施例では、各摩擦係合要素毎に油圧アクチュエータを設けているが、種々のメカ弁を組み合わせることにより、アクチュエータの数を減らすことができる。ただしこのとき、少なくとも変速部の入力軸側の摩擦係合要素群(C,B)を制御するアクチュエータと出力軸側の摩擦係合要素群(C,C,B)を制御するアクチュエータの2つのアクチュエータを備える必要がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は第1実施例の自動変速機の概略構成図である。
【図2】図2はドライブレンジにて各変速段を達成するための摩擦係合要素の作動状態を示す説明図である。
【図3】第1実施例の構成を説明するためのブロック図である。
【図4】電子制御装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図5】通常変速時の作動を説明するためのタイムチャートである。
【図6】低摩擦路走行中の変速の作動を説明するためのタイムチャートである。
【図7】低摩擦路走行中の変速の作動を説明するための説明図である。
【図8】電子制御装置にて実行される処理を示すフローチャートである。
【図9】電子制御装置にて実行される処理を示すフローチャートである。
【図10】電子制御装置にて実行される処理を示すフローチャートである。
【図11】電子制御装置にて実行される処理を示すフローチャートである。
【図12】車速とスロットル開度とから摩擦係合要素に供給する油圧の初期値を検索するためのマップである。
【図13】車速とスロットル開度とからイナーシャ相制御時のΔNを検索するためのマップである。
【図14】車速とスロットル開度とから第2の変速処理を開始する時間を検索するためのマップである。
【図15】車速とスロットル開度とから油圧制御量ΔDを検索するためのマップである。
【図16】供給油圧と油圧制御値との関係を示す特性図である。
【図17】ΔNフィードバック制御時に供給油圧を補正する補正値ΔDを検索するためのマップである。
【図18】各変速段における第2の変速処理を実行する摩擦係合要素を示す説明図である。
【符号の説明】
1 入力軸
2 変速部
3 出力軸
4 電子制御装置(ECU)
5 各摩擦係合要素用アクチュエータ
6 入力軸回転数センサ
7 中間回転数センサ
8 出力軸回転数センサ
9 スロットル開度センサ
10 スロットル開度センサ
〜C クラッチ
,B ブレーキ

Claims (5)

  1. 入力軸側に設けられている第1の摩擦係合要素群と、出力軸側に設けられている第2の摩擦係合要素群とを備える自動変速機と、
    前記第1の摩擦係合要素群に作動油を供給する第1の作動油供給手段と、
    前記第2の摩擦係合要素群に作動油を供給する第2の作動油供給手段と、
    車両の運転状態に応じて前記自動変速機の変速判断を行う変速判断手段と、
    前記変速判断手段により変速が必要と判断されたとき、前記第1の作動油供給手段と前記第2の作動油供給手段とを制御し、変速を達成する変速制御手段と、
    走行路面の状態を検出する路面状態検出手段を備え、
    前記変速制御手段は、前記路面状態検出手段により摩擦の低い路面を走行していると判断されたときには前記第1の作動油供給手段と前記第2の作動油供給手段とを制御して変速を達成し、前記路面状態検出手段により摩擦の低い路面を走行していないと判断されたときには前記第1の作動油供給手段または前記第2の作動油供給手段のうち、変速にかかわる摩擦係合要素に作動油を供給する手段を制御して変速を達成する手段を含むことを特徴とする自動変速機の油圧制御装置。
  2. 車両の速度を検出する車速検出手段と、
    スロットル弁の開度を検出するスロットル開度検出手段とを備え、
    前記変速判断手段は、前記スロットル開度検出手段により検出されたスロットル開度と前記車速検出手段により検出された車速とに基づいて変速判断を行う手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の油圧制御装置。
  3. 前記変速制御手段は、前記路面状態検出手段により摩擦の低い路面を走行していると判断されたとき、前記第1の作動油供給手段と前記第2の作動油供給手段とのうち、変速にかかわる摩擦係合要素に作動油を供給する作動油供給手段を制御し、その後、他方の作動油供給手段を制御する手段を含むことを特徴とする請求項に記載の自動変速機の油圧制御装置。
  4. 前記第1の作動油供給手段および前記第2の作動油供給手段は、それぞれ各摩擦係合要素毎に作動油を供給する手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1つに記載の自動変速機の油圧制御装置。
  5. 前記変速制御手段は、前記第1の作動油供給手段と前記第2の作動油供給手段とのうち変速に関る一方の作動油供給手段に対応する摩擦係合要素に作動油を供給して変速を達成する途中に、他方の変速に関らない作動油供給手段に対応する摩擦係合要素の作動油圧を下げて、前記変速に関らない作動油供給手段に対応する摩擦係合要素を滑らせた状態において前記変速に関る摩擦係合要素の変速を終了させ、その後、前記変速に関らない摩擦係合要素の作動油圧を上げて、前記変速に関らない摩擦係合要素を再度結合し、滑らない状態にする手段を含むことを特徴とする請求項1からのいずれか1つに記載の自動変速機の油圧制御装置。
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