JP3566655B2 - ガス吸着剤の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、銅イオンとトリメシン酸類とから合成されるガス吸着剤の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
〈ゼオライト、分子ふるい活性炭〉
PSA用の吸着剤として、従来、ゼオライトや分子ふるい活性炭が汎用されている。
【0003】
〈ベンゼントリカルボン酸の錯体〉
トリメシン酸を含むベンゼントリカルボン酸の金属錯体について、いくつかの研究がなされている。以下、本発明で用いる錯体に近い錯体につき記載のある2,3の文献を関連文献としてあげる。
【0004】
(文献1)
ポーランド化学雑誌である「POLISH JOURNAL OF CHEMISTRY (FORMERLY ROCZNIKI CHEMII), 60, 697 (1986)」(文献1)には、「銅(II)のベンゼントリカルボン酸との錯体の製造と特性」と題する論文が掲載されている。この論文によれば、銅(II)のヘミメリト酸塩、トリメシン酸塩およびトリメリト酸塩を、金属対配位子の比率で3:2である水和塩として得ている。ガス吸着に関する記載や多孔質錯体であることの記載は見当たらない。
【0005】
実験では、銅(II)とヘミメリト酸、トリメシン酸またはトリメリト酸との錯体を、トリカルボン酸のアンモニウム塩の熱溶液(pH5〜 5.5)に当量の硝酸第二銅の 0.1Mの溶液を加えることにより得、形成された沈殿を母液中で333〜343K(60〜70℃)に 0.5時間加熱し、ろ過し、蒸留水で洗ってNH4 +イオンを除き、303K(30℃)で恒量になるまで乾燥することにより得ている。
【0006】
得られた錯体についての赤外線吸収スペクトル、粉末X線回折パターンも示されている。この錯体は、加熱により脱水し、加熱速度に応じて、直接CuOにまたはCu2Oの中間体形成と共に分解される。
【0007】
(文献2,2’)
「J. Am. Chem. Soc., 1996, 118, 9096-9101 」(文献2)には、「1,3,5−ベンゼントリカルボン酸の水素結合金属錯体からの多孔質固体の構築」と題する論文が掲載されている。ここでは、M(II)(M=Co、Ni、Zn)アセテートハイドレートと1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(BTC)との水性混合物を炉に入れ、140℃に昇温してこの温度で24時間反応させることにより、M3(BTC)2・12H2O としてフォーミュレートされる物質を得ており、その詳しい解析がなされている。得られた金属錯体は、水やアンモニアを吸脱着する。ただし、この文献にはCuの錯体については記載がない。
【0008】
この文献2(およびその関連文献)については、「科学と工業, 71(10), 434-448 (1997)」(文献2’)の「分子性ゼオライト−有機・無機複合ゼオライトの合成−」と題する解説記事においても言及があり、この錯体は、酸素、窒素、一酸化炭素などとは交換を行わないが、水やアンモニアなどを可逆的に吸脱着することができるとある。
【0009】
(先の出願)
本出願人は、特願平11−138328号(特開2000−327628号公報)として、銅イオンとトリメシン酸類とから合成される錯体であって、[Cu3(C9H3O6)2]nを基本単位とする構造式を有し、かつ粉末X線回折におけるメインの面間隔dが実質的に7.60Åである多孔質錯体につき出願を行っている。この錯体は、N2ガスやO2ガスを吸着することができる。この錯体の比表面積は、その実施例によれば、398、586、399m2/gである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従来よりPSA用の吸着剤として汎用されているゼオライトや分子ふるい活性炭は、その合成に際して高温高圧で行うための特殊な装置(オートクレーブ等)が用いられているが、合成のための装置としては不利であることを否めない。
【0011】
ベンゼントリカルボン酸には、ヘミメリト酸、トリメシン酸、トリメリト酸の3種がある。今、ベンゼントリカルボン酸をBTC、2価の金属をMで表わすと、上記文献1および文献2,2’の錯体は「M3(BTC)2・mH2O」で示されるものと考えられる。mは1,2,3,4,5,6,12などである。
【0012】
文献1には、そこで得られる錯体の基礎特性があげられているだけであり、その用途については言及がない。文献2,2’には、そこで得られる錯体の基礎特性と共に、水およびNH3ガスの吸脱着につき言及があるので、吸着剤としての用途が示唆されている。
【0013】
ところで、文献1の錯体のX線回折結果については、X-RAY POWDER DATA FILEに収録のデータにより知ることができる。それによれば、文献1の錯体のうちCu3(C9H3O6)3・3H2O、Cu3(C9H3O6)2で示される錯体の粉末X線回折における面間隔dのうちメインのものは、それぞれ9.37Å、8.93Åである。もし[Cu3(C9H3O6)2]nを基本単位とする構造式を有していても、面間隔dがこれらと相違しているものが得られれば、その錯体は文献1の錯体とは立体構造が違っており、従ってその錯体の性質も異なり、利用分野の拡大が期待できる。なお、文献2,2’の錯体は、金属成分がCo、NiまたはZnであり、本発明の意図しているCu系錯体とは物質が相違している。
【0014】
ところで、メタンは低公害の自動車用燃料として用いることができ、CNGと呼ばれる圧縮ガスの容器を搭載した車が現段階で国内で1万台程度走行している。しかしながら、高圧充填(通常は200kg/cm2充填)となるため、燃料容量と安全性に課題が残っており、容器内に活性炭系などのメタンの吸着剤を収容して、同一貯蔵量で容器内圧力を低下させようとする努力が進行中である。
【0015】
二酸化炭素ガスに関しては、地球温暖化防止対策に関係して、第1段階としての分別・選択吸収手段のための液層、固層吸収剤の開発が進行している。
【0016】
本発明は、このような背景下において、銅イオンとトリメシン酸類とから合成される多孔質錯体を工業的に有利に製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明のガス吸着剤の製造法は、
銅イオンとトリメシン酸類とを、反応溶媒としてのアルコールと水との容積比で1:10〜10:1の混合溶媒中で反応させること、
反応後、単離した生成物を、真空下での加熱により脱溶媒すること、
これにより、[Cu3(C9H3O6)2]・m(H2O))nを基本単位とする構造式を有しかつBET法による比表面積が900m2/g以上である多孔質錯体からなる吸着剤を製造すること
を特徴とするものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
【0019】
〈吸着剤の製造法〉
本発明の多孔質錯体は、銅イオン(銅塩)とトリメシン酸類との反応物である。
【0020】
銅イオン源としては、酢酸第二銅、硝酸第二銅、塩化第二銅、硫酸第二銅などの第二銅塩が好適に用いられる。ただし場合によっては、第一銅塩も用いることができる。
【0021】
トリメシン酸類としては、トリメシン酸(つまり1,3,5−ベンゼントリカルボン酸)が好適に用いられ、場合によってはトリメシン酸のベンゼン環の2,4,6位のHの少なくとも一つがアルキル基、アルコキシ基、ハロゲンなどに置換された誘導体も用いることができる。
【0022】
反応は銅塩とトリメシン酸類との両者を溶解する溶媒中で行われるが、本発明においては、このときの反応溶媒としてアルコールと水との混合溶媒を用いる。トリメシン酸類は水に難溶であるが、その水をアルコールと併用するわけである。
【0023】
ここでアルコールとしては、炭素数が1〜5程度のアルコールが単独でまたは2種以上を混合して用いられるが、水との混和性やコストを考えると、メタノール、エタノール、イソプロパノールまたはn−プロパノールが適当であり、特にメタノールが重要である。
【0024】
アルコールと水との混合割合は、高い比表面積を持つ錯体を得るために、容積比で1:10〜10:1に設定される。好ましい範囲は1:7〜7:1、特に好ましい範囲は1:5〜5:1である。両者の容積比が上記の範囲から外れるときは、得られる錯体の比表面積が低くなる傾向がある。
【0025】
他の溶媒、たとえば、ケトン類、エーテル類、エステル類、セロソルブ類、多価アルコール類、炭化水素類などは、原料の銅塩の溶解性が悪くなるおそれがあるので使用しない方が有利であるが、本発明の趣旨を損なわない程度の少量であれば、上記のアルコールと併用しても差し支えない。
【0026】
溶媒(アルコールと水との混合溶媒)の使用量については、特に限定はないものの、重量基準で、銅塩とトリメシン酸類との合計量の10〜2000倍程度、殊に30〜1000倍程度用いることが、反応の制御の容易さの点で好ましい。
【0027】
銅塩とトリメシン酸類とのモル比は、Cuイオン3モルに対しトリメシン酸類2モルを目安とするが、その比率よりもどちらかを過剰ないし大過剰に用いてもよい。好ましくは、トリメシン酸類が過剰の方が、より大きな比表面積を持つ錯体が得られる。Cuイオンから見た場合、配位子がトリメシン酸類に交換されることになるので、通常は後者のトリメシン酸類の方を当量(Cuイオン3モルに対しトリメシン酸類2モル)かそれよりも過剰に、たとえばCuイオン3モルに対しトリメシン酸類を2〜10モル程度用いる方が有利である。トリメシン酸類をさらに大過剰用いても反応上は有利となるが、経済的には良いとは言えない。
【0028】
反応温度は、30〜300℃、殊に40〜200℃、なかんずく50〜180℃とすることが多いが、通常は還流温度で反応させることが好ましい。反応温度が余りに低すぎるときは反応速度が遅くなり、反応温度が余りに高いときには生成物が分解するおそれがある。
【0029】
反応圧力は常圧で充分であるが、加圧条件を採用しても差し支えない。
【0030】
反応時間は、反応温度によって大きく異なるので一概には決められないが、還流温度で反応させたときは、1,2時間程度から1昼夜までとすることが多い。好ましくは3時間以下である。
【0031】
反応終了後、沈殿物をろ過することによって、生成物(錯体)を簡単に単離することができる。生成物単離後は、必要に応じ水や有機溶媒による洗浄を行う。
【0032】
単離された錯体は、これを速やかに減圧下(真空下)で加熱することによって、脱溶媒する。加熱温度は、50〜350℃程度が好適である。なお脱溶媒せずに数日間放置すると、錯体の結晶構造が変わり、比表面積が大巾に減少する。これに対し真空下での加熱により脱溶媒を行うと、錯体が安定化して多孔質構造が維持される。これにより目的物である錯体(多孔質錯体)が得られる。
【0033】
このようにして得られた錯体は、 ([Cu3(C9H3O6)2]・m(H2O))nを基本単位とする構造式を有し、粉末X線回折におけるメインの面間隔dが実質的に7.60Åである。
【0034】
この錯体は多孔質であり、BET法による比表面積が900m2/g以上と大きく、ガス吸着剤として用いることができる。また、触媒、乾燥剤、分別材料、分析材料、電池材料などの用途も期待できる。
【0035】
〈ガスの分離回収〉
上記で得られた吸着剤を用いて、PSAまたはTSAにより混合ガスからの特定ガスの分離回収を行うができる。すなわち、この吸着剤は、メタンガスまたは二酸化炭素ガスを吸着、脱着する性質を有するので、メタンガスまたは二酸化炭素ガスを含む混合ガスからのメタンガスまたは二酸化炭素ガスの吸着、脱着用に特に重要である。
【0036】
〈ガスの貯蔵〉
そして上記で得られた吸着剤は、メタンガスまたは二酸化炭素ガスを大量に吸着する性質を有するので、メタンガスまたは二酸化炭素ガスの貯蔵を行う目的にも有用である。これらのガスを貯蔵した吸着剤は、たとえば自動車用の燃料ガス、燃料電池の原料ガスの供給源として使うことができる。
【0037】
【実施例】
次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。
【0038】
〈測定方法〉
比表面積は、Micromeritics 社製のAccuSorb 2100Eを使用し、液体窒素温度でBET法により測定、計算して求めた。
【0039】
ガス吸着量は、サンプルの入ったサンプル容器、予め体積を測定したマニホールド、圧力計(横河電機株式会社製、高精度圧力測定モジュールを使用)と、バルブや配管からなるガス吸収量測定装置(図4)を使用して測定した。測定方法は、まずヘリウムガスをマニホールド部に充填しサンプル容器に導入して圧力低下からのデッド・ボリュウムを測定する。ついで対象ガスを同じくマニホールド部に充填後、サンプル容器に導入して、圧力低下からガスの吸収量を計算した。装置全体は恒温槽に入れ、25.0℃の一定温度で測定した。
【0040】
実施例1
300mlの三つ口フラスコに酢酸第二銅一水和物 203.2mg(1.018mmol) を入れ、これにメタノール80mlと水20mlとの混合溶媒を加えて溶かした。これにトリメシン酸 144.5mg(0.688mmol) をメタノール40mlと水10mlとの混合溶媒に溶かした溶液を加え、フラスコを加熱して還流を始めた。混合溶媒におけるメタノールと水との比は、容量比で4:1となる。翌日冷却後、沈殿をろ過して、窒素ガスを数時間吹き付けて乾燥させたところ、紺色の錯体 322.0mgが得られた。この錯体を真空下に200℃で2時間加熱処理し、BET法(窒素ガス使用)により比表面積を測定したところ、比表面積は964m2/gであった。
【0041】
なお、上記のろ過および窒素ガス乾燥を行った後の錯体を、加熱処理を行わずに室温で1週間保管し、その後真空下に200℃で加熱処理を2時間行って比表面積を測定したところ、比表面積は9m2/gに減少していた。
【0042】
実施例2
300mlの三つ口フラスコに酢酸第二銅一水和物 205.2mg(1.028mmol) を入れ、これにメタノール80mlと水40mlとの混合溶媒を加えて溶かした。これにトリメシン酸 150.4mg(0.716mmol) をメタノール20mlと水10mlとの混合溶媒に溶かした溶液を加え、フラスコを加熱して還流を始めた。混合溶媒におけるメタノールと水との比は、容量比で2:1となる。翌日冷却後、沈殿をろ過して、窒素ガスを数時間吹き付けて乾燥させたところ、紺色の錯体 335.5mgが得られた。この錯体を真空下に200℃で2時間加熱処理し、BET法(窒素ガス使用)により比表面積を測定したところ、比表面積は1002m2/gであった。
【0043】
実施例3
300mlの三つ口フラスコに酢酸第二銅一水和物 201.0mg(1.007mmol) を入れ、これにメタノール40mlと水80mlとの混合溶媒を加えて溶かした。これにトリメシン酸 141.5mg(0.673mmol) をメタノール10mlと水20mlとの混合溶媒に溶かした溶液を加え、フラスコを加熱して還流を始めた。混合溶媒におけるメタノールと水との比は、容量比で1:2となる。翌日冷却後、沈殿をろ過して、窒素ガスを数時間吹き付けて乾燥させたところ、濃い青色の錯体 229.0mgが得られた。この錯体を真空下に200℃で2時間加熱処理し、BET法(窒素ガス使用)により比表面積を測定したところ、比表面積は1269m2/gであった。
【0044】
実施例4
300mlの三つ口フラスコに酢酸第二銅一水和物 409.6mg(2.052mmol) を入れ、これにメタノール33mlと水67mlとの混合溶媒を加えて溶かした。これにトリメシン酸 285.0mg(1.356mmol) をメタノール33mlと水67mlとの混合溶媒に溶かした溶液を加え、フラスコを加熱して還流を始めた。混合溶媒におけるメタノールと水との比は、容量比で1:2となる。3時間後、冷却し、沈殿をろ過して、窒素ガスを数時間吹き付けて乾燥させたところ、水色の錯体 672.7mgが得られた。この錯体をすみやかに真空下に200℃で2時間加熱処理し、BET法(窒素ガス使用)により比表面積を測定したところ、比表面積は1385m2/gであった。
【0045】
この錯体のガス吸収量を測定した結果を図1に示す。図1に吸着等温線を示したように、この錯体は、メタンガスについては1.0 MpaG, 25℃で145ml/g、二酸化炭素ガスについては0.7 MpaG, 25℃で312ml/gを吸収し、いずれの場合も減圧すると全量を脱離した。
【0046】
実施例5
300mlの三つ口フラスコに酢酸第二銅一水和物 200.8mg(1.006mmol) を入れ、これにメタノール25mlと水75mlとの混合溶媒を加えて溶かした。これにトリメシン酸 140.7mg(0.670mmol) をメタノール10mlと水30mlとの混合溶媒に溶かした溶液を加え、フラスコを加熱して還流を始めた。混合溶媒におけるメタノールと水との比は、容量比で1:3となる。翌日冷却後、沈殿をろ過して、窒素ガスを数時間吹き付けて乾燥させたところ、濃い青色の錯体 297.8mgが得られた。この錯体を真空下に200℃で2時間加熱処理し、BET法(窒素ガス使用)により比表面積を測定したところ、比表面積は1144m2/gであった。
【0047】
比較例1
300mlの三つ口フラスコに酢酸第二銅一水和物 200.2mg(1.003mmol) を入れ、エタノール100mlを加えて溶かした。これにトリメシン酸
420.8mg(2.002mmol) をエタノール
50mlに溶かした溶液を加え、その後1週間かけて加熱還流を行った。ついで加熱を止め、冷却し、沈殿をろ過して、窒素ガスを吹き付けて乾燥させたところ、青色の沈殿 156.3mgが得られた。この錯体を真空下に120℃で1時間加熱処理し、BET法(窒素ガス使用)により比表面積を測定したところ、比表面積は398m2/gであった。
【0048】
比較例2
300mlの三つ口フラスコに酢酸第二銅一水和物1.0443g(5.231mmol)を入れ、メタノール200mlを加えて溶かした。これにトリメシン酸2.1160g(10.069mmol) をエタノール70mlに溶かした溶液を加え、その後1週間かけて加熱還流を行った。ついで加熱を止め、冷却し、沈殿をろ過して、窒素ガスを吹き付けて乾燥させたところ、青色の沈殿 0.7507gが得られた。この錯体を真空下に120℃で1時間加熱処理し、BET法(窒素ガス使用)により比表面積を測定したところ、比表面積は338m2/gであった。
【0049】
参考例1
モレキュラーシーブス5A(バイリット社製)の比表面積をBET法(窒素ガス使用)により測定したところ、360m2/gであった。さらに、このモレキュラーシーブス5Aのガス吸収量を測定したところ、図2に吸着等温線を示したように、メタンガスについては0.4 MpaG, 25℃で45ml/g、二酸化炭素ガスについては0.4 MpaG, 25℃で112ml/gを吸収した。
【0050】
参考例2
活性炭(武田薬品工業株式会社製の「白鷺」)のガス吸着量を測定したところ、図3に吸着等温線を示したように、メタンガスについては0.4 MpaG, 25℃で62ml/g、二酸化炭素ガスについては0.4 MpaG, 25℃で120ml/gを吸収した。
【0051】
〈まとめ〉
実施例1〜5および比較例1〜2の結果を表1に示す。表1から、溶媒としてアルコールと水との混合溶媒を用いた実施例1〜5においては、溶媒としてアルコールのみを用いた比較例1〜2に比し、比表面積が顕著に大きい多孔質錯体からなる吸着剤が得られることがわかる。
【0052】
【表1】
【0053】
また実施例1の個所で述べたように、反応終了後の生成物を単離した後、すみやかに減圧下に加熱して脱溶媒を行ったときの比表面積は964m2/gであるのに対し、そのような脱溶媒を行わなかったときの比表面積はわずかに9m2/gであり、生成物を単離した後、脱溶媒をすることが重要であることがわかる。
【0054】
さらにまた、実施例4で得られた吸着剤を、参考例1のゼオライト、参考例2の活性炭と対比すると、図1および図2,3のように、メタンガスおよび二酸化炭素ガスの吸着性の点で大きな差があることがわかる。
【0055】
【発明の効果】
本発明においては、銅イオンとトリメシン酸類とをアルコールと水との容積比で1:10〜10:1の混合溶媒中で反応させ、反応後、単離した生成物を真空下での加熱により脱溶媒することにより、[Cu3(C9H3O6)2]・m(H2O))nを基本単位とする構造式を有しかつBET法による比表面積が900m2/g以上と極めて大きい多孔質錯体からなる吸着剤を得ている。
【0056】
そのため、この吸着剤は、混合ガスから特定ガスの分離回収方法(殊に、メタンガスまたは二酸化炭素ガスを含有する混合ガスから、PSAまたはTSAによりメタンガスまたは二酸化炭素ガスの分離回収する方法)に適しており、また、ガスの貯蔵方法(殊に、メタンガスまたは二酸化炭素ガスを貯蔵する方法)に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4の錯体のメタンガスおよび二酸化炭素ガスの吸着等温線である。
【図2】参考例1のモレキュラーシーブス5Aのメタンガスおよび二酸化炭素ガスの吸着等温線
である。
【図3】参考例2の活性炭のメタンガスおよび二酸化炭素ガスの吸着等温線である。
【図4】実験で使用したガス吸収量測定装置の説明図である。
Claims (2)
- 銅イオンとトリメシン酸類とを、反応溶媒としてのアルコールと水との容積比で1:10〜10:1の混合溶媒中で反応させること、
反応後、単離した生成物を、真空下での加熱により脱溶媒すること、
これにより、[Cu3(C9H3O6)2]・m(H2O))nを基本単位とする構造式を有しかつBET法による比表面積が900m2/g以上である多孔質錯体からなる吸着剤を製造すること
を特徴とするガス吸着剤の製造法。 - メタンまたは二酸化炭素吸着用の吸着剤の製造法である請求項1記載の製造法。
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