JP4658668B2 - ガス吸収剤、その製造方法及びそれを用いたガスの吸収方法 - Google Patents

ガス吸収剤、その製造方法及びそれを用いたガスの吸収方法 Download PDF

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Description

本発明は、多価金属と多価カルボン酸とからなる金属錯体を、ポリマーで被覆してなるガス吸収剤に関する。また、多価金属の塩と多価カルボン酸とを反応させて金属錯体の粒子を生成させた後、該粒子の表面をポリマーで被覆するガス吸収剤の製造方法に関する。さらに、液体中に溶存するガスを上記ガス吸収剤に吸収させるガスの吸収方法に関する。
遷移金属又はその化合物を触媒として用いた化学反応によって、様々な化合物が合成される。そのような触媒反応としては、例えば、ヒドロホルミル化反応、水素化反応、重合反応、付加反応等が挙げられる。
例えば、特許文献1には、3−メチル−3−ブテン−1−オールを一酸化炭素及び水素と特定のロジウム化合物の存在下に反応させヒドロホルミル化反応を行い、得られた生成物に対して水、水素化触媒および固体酸の存在下に水素化反応を行う3−メチルペンタン−1,5−ジオールの製造方法が開示されている。前記ロジウム化合物は、ヒドロホルミル化反応が行われた後、反応系から回収され、別途水素化触媒が添加される。
上述のように、ある触媒反応を行って得られた化合物を用いて、さらに異なる触媒反応を行うことで、目的の化合物を得る方法が多く採用されている。このとき、第一の触媒反応で得られた化合物を反応系から蒸留分離したり、触媒をろ別したりした後、前記化合物及び新たな触媒を使用して第二の触媒反応を行うことが一般的である。
ここで、触媒の種類によっては、複数の化学反応に使用することができるものがある。例えば、上記ロジウム化合物は、ヒドロホルミル化反応及び水素化反応の触媒として使用することが可能である。しかしながら、ヒドロホルミル化反応後、脱気する以外に特別な処理を行うことなく、反応溶液をそのまま用いて水素化反応を行った場合には、反応溶液中に依然溶存している一酸化炭素ガスによって、副反応生成物が得られたり、触媒が不活性化されたりするという問題があった。例えば、末端二重結合及び内部二重結合を有する化合物について、末端二重結合のヒドロホルミル化反応を行い、その後未反応の内部二重結合の水素化反応を行いたい場合などに問題が生じる。すなわち、水素化反応を進行させるために水素ガスを加圧した際に、反応溶液中に溶存する一酸化炭素ガスが内部二重結合と反応して、内部にカルボニル基が導入された副反応生成物が得られてしまうことがあった。このことから、反応溶液に溶存するガスを分離除去することが求められていた。
従来、液体中の特定のガス成分を分離除去する方法としては、ゼオライト、活性炭に代表されるガス吸収剤に液体を接触させて、ガスを吸収除去する方法が採用されている。しかしながら、これらのガス吸収剤は、ガスの吸収量が少なく、特に、溶液中に溶存するガスが低濃度である場合にはそれが顕著であった。また、ガスの吸収及び放出を繰り返すと、吸収及び放出の性能が低下し、繰り返し使用することができなかった。
一方、特許文献2には、銅イオンとトリメシン酸類とから合成される、特定の構造式及び粉末X線回折パターンを持つ多孔質錯体が開示されている。前記多孔質錯体は、比表面積が大きく、窒素ガスや酸素ガスを吸収するので、吸着剤として用いることができると記載されている。しかしながら、液体中に溶存するガスを除去するという記載はされておらず、液体中で使用する際に生じる問題については全く考慮されていない。
特開昭61−249940号公報 特開2000−327628号公報
そこで、本発明者らは、反応溶液中に溶存するガスを分離除去すべく、上記多孔質錯体の適用の可能性を検討したところ、ガスの吸収性能は良好であるものの、前記多孔質錯体から銅成分が液中に溶出するという問題が起こることを見出した。銅成分の溶出によって、ガスの吸収性能が低下することが予想される。また、溶出した銅成分は、その後の化学反応に影響を与えたり、触媒活性を低下させたりするおそれがあるため、これを防止する必要がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ガスの吸収性能が良好で、しかも、液体中で使用した場合に、ガス吸収剤に含まれる多価金属(A)成分が液体中に溶出することのないガス吸収剤を提供することを目的とするものである。また、そのようなガス吸収剤の製造方法、及びそれを用いたガスの吸収方法を提供することも目的とする。
上記課題は、多価金属(A)と多価カルボン酸(B)とからなる金属錯体(C)を、ポリマー(D)で被覆してなる、液体中に溶存するガス吸収剤を提供することによって解決される。このとき、多価金属(A)が2価の銅であることが好ましく、多価カルボン酸(B)がベンゼン環の1位、3位及び5位にカルボキシル基を有するカルボン酸であることが好ましい。
また、上記課題は、多価金属(A)の塩と多価カルボン酸(B)とを反応させて金属錯体(C)の粒子を生成させた後、該粒子の表面をポリマー(D)で被覆することを特徴とする、液体中に溶存するガス吸収剤の製造方法を提供することによっても解決される。このとき、多価金属(A)の塩と多価カルボン酸(B)とを、アルコール及び水の混合溶媒中で反応させることが好ましい。また、前記金属錯体(C)の粒子の表面でモノマーを重合させることによって、該粒子の表面をポリマー(D)で被覆することも好ましい。
上記吸収剤を用いて、液体中に溶存するガスを吸収させることを特徴とするガスの吸収方法が好ましい実施態様である。前記液体が配位性有機化合物であることが好ましく、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン及びエタンの中から選ばれる少なくとも一種のガスを吸収させることが好ましい。また、大気圧以上1MPa以下の圧力及び−40〜100℃の温度においてガスを吸収させることが好適である。
上記吸収剤を用いて、前記液体中に溶存して化学反応を阻害するガスを吸収させることが、本発明の好適な実施態様である。このとき、前記化学反応が触媒反応であることが好ましい。また、前記化学反応を行わせる前に、予め、前記液体中に溶存して化学反応を阻害するガスを吸収させることも好適である。
本発明のガス吸収剤によれば、ガスの吸収性能が良好で、しかも、液体中で使用した際に、ガス吸収剤に含まれる多価金属(A)成分が液体中に溶出することのないガス吸収剤を提供することができる。また、本発明のガス吸収剤の製造方法によれば、そのようなガス吸収剤の好適な製造方法を提供することができる。さらに、前記ガス吸収剤を用いたガスの吸収方法を提供することができる。
本発明のガス吸収剤は、多価金属(A)と多価カルボン酸(B)とからなる金属錯体(C)を、ポリマー(D)で被覆してなるガス吸収剤である。以下、詳細に説明する。
このような本発明のガス吸収剤の製造方法は、特に限定されないが、多価金属(A)の塩と多価カルボン酸(B)とを反応させて金属錯体(C)の粒子を生成させた後、該粒子の表面をポリマー(D)で被覆する方法が好適である。
上記多価金属(A)は、原子価が2価以上の金属であれば、特に制限されないが、多価カルボン酸(B)と共に、本発明のガス吸収剤の基本骨格となる規則的なネットワーク構造を形成し、ガス吸収性能を発現させるものである。2価の多価金属(A)としては、クロム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム及びタングステン等、3価の多価金属(A)としては、ランタン、スカンジウム、イットリウム等が例示される。複数種の価数の同じ金属からなることも可能である。多価金属(A)は、吸収しようとするガス分子と親和性があり、0価になりにくいことが、金属錯体のネットワーク構造を安定的に維持するためには好ましい。中でも、2価の銅であることが特に好ましい。ネットワーク構造の安定性が高く、ガスの吸収性能の良好な金属錯体が得られ、なおかつ、工業的に入手が容易で、優れた保存安定性を有するからである。また、2価の銅は一酸化炭素ガス及び二酸化炭素ガスとの親和性が良いことから、これらのガスを吸収させたい場合には特に好ましく用いられる。
金属錯体(C)を製造する際に使用される多価金属(A)の塩としては、特に限定されず、硫酸塩、硝酸塩等の鉱酸塩、ギ酸塩、酢酸塩等のカルボン酸塩、炭酸塩等、及びこれらの水和物、アミン等の錯塩が例示される。中でも、工業的に入手が容易で、保存安定性の高い酢酸塩が好ましく用いられる。一方、得られたガス吸収剤を液体中で使用する場合に、ハロゲンが液体へ溶出し、液体の刺激性が上昇したり、液体と反応したりすることがあるため、ハロゲンを含まない塩であることが好ましい。また、ハロゲンが液体へ溶出すると、容器等に使用される金属材質の腐食を生じたり、液体中で化学反応を行う際に悪影響を及ぼしたりすることもある。
多価カルボン酸(B)は、分子内に2個以上のカルボキシル基を有するカルボン酸であり、多価金属(A)と共に、本発明のガス吸収剤の基本骨格となる規則的なネットワーク構造を形成することによって、ガス吸収性能を発現させるものである。ネットワーク構造を形成することが容易となるため、多価カルボン酸(B)の分子量は500以下であることが好ましい。
ここで、多価カルボン酸(B)は、分子内のカルボキシル基数が2個以上であれば、特に制限されず、分子内のカルボキシル基数が2個であるジカルボン酸、3個であるトリカルボン酸等が例示される。中でも、トリカルボン酸であることが好ましい。得られる金属錯体のネットワーク構造が強固となるため、熱に強く、液体中においても良好なガスの吸収性能を維持し、繰り返し再利用することができる場合が多いからである。
ジカルボン酸としては、スクシン酸、アジピン酸等の飽和二価脂肪酸;フマル酸、アセチレンジカルボン酸等の不飽和二価脂肪酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;イソフタル酸、テレフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、トリフェニルジカルボン酸、ビフェニルアミドジカルボン酸、ビフェニルエステルジカルボン酸、ビフェニルアセチルジカルボン酸、スチルベンジカルボン酸、トランジカルボン酸、ビフェニルエチレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
トリカルボン酸としては、トリメシン酸等のベンゼン環の1位、3位及び5位にカルボキシル基を有するカルボン酸;ヘミメリト酸等のベンゼン環の1位、2位及び3位にカルボキシル基を有するカルボン酸;トリメリト酸等のベンゼン環の1位、2位及び4位にカルボキシル基を有するカルボン酸;シクロヘキサン環の1位、3位及び5位にカルボキシル基を有するカルボン酸;シクロヘキサン環の1位、2位及び3位にカルボキシル基を有するカルボン酸;シクロヘキサン環の1位、2位及び4位にカルボキシル基を有するカルボン酸;ピペリジン環の2位、4位及び6位にカルボキシル基を有するカルボン酸;ピペリジン環の2位、3位及び4位にカルボキシル基を有するカルボン酸;ピペリジン環の2位、3位及び5位にカルボキシル基を有するカルボン酸等が挙げられる。
中でも、多価カルボン酸(B)が、ベンゼン環の1位、3位及び5位にカルボキシル基を有するカルボン酸であることが好ましい。3つのカルボキシル基が互いに120°の角度で配置されているため、容易に3次元のネットワーク構成を形成できると共に、良好なガス吸収性能を持つ金属錯体(C)を得ることができるからである。
このとき、上記カルボン酸は、ベンゼン環の少なくとも1つの水素原子がアルキル基、ハロゲン基等で置換されていてもよい。しかしながら、液体中でガス吸収剤を使用する際に、ハロゲンが液体へ溶出し、容器等に使用される金属材質の腐食を生じたり、液体中で化学反応を行う際に悪影響を及ぼしたりすることがあるため、ハロゲン基で置換されていないことが好ましい。また、置換基がネットワーク構造中へのガス分子の進入を阻害する可能性があるので、良好なガス吸収性能を持つ金属錯体を得るためには、いずれの水素原子も置換されていないことが好ましい。すなわち、トリメシン酸が最適である。
多価金属(A)の塩と多価カルボン酸(B)とを反応させる方法は特に限定されないが、溶液中でこれらを反応させることが好ましい。多価金属(A)の塩と多価カルボン酸(B)との反応に用いられる溶媒は、多価金属(A)の塩及び多価カルボン酸(B)のいずれとも反応しないものであれば、特に限定されない。これらすべての化合物が溶解しやすく、得られる金属錯体(C)が溶解しにくく、さらにネットワークの形成を阻害しない溶媒であることが好ましい。溶媒としては、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、ネオペンチルアルコール等の一価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール;ジエチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、メチルブチルエーテル、フラン等のエーテル;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;セロソルブ類などが用いられる。上記溶媒は2種以上の混合溶媒であってもよく、そのときには貧溶媒であるベンゼン、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素などを含んでいてもよい。
中でも、多価金属(A)の塩及び多価カルボン酸(B)の溶解度を考慮すると、アルコール及び水の混合溶媒中で反応を行うことが好ましい。上記アルコールとしては、炭素数が1〜5程度のアルコールを単独で又は2種以上を混合して用いることが好ましいが、水との混和性やコストを考えると、メタノール、エタノール、n−プロパノール又はイソプロパノールからなる群から選択される少なくとも一種のアルコールがより好ましく、特にメタノールが好適である。また、アルコール及び水の混合割合は、容積比で1:10〜10:1であることが好ましい。よりガス吸収性能の高い金属錯体(C)を得ることができるからである。より好ましくは1:7〜7:1、さらに好ましくは1:5〜5:1である。アルコール及び水の混合溶媒は、他の溶媒、例えば、ケトン、エーテル、エステル、セロソルブ、多価アルコール、炭化水素等を併用しても差し支えないが、原料の2価の銅の塩の溶解性が悪くなるおそれがある。
溶媒の使用量については、特に限定されないが、多価金属(A)の塩及び多価カルボン酸(B)の合計重量の10〜2000倍の重量を用いることが好ましく、30〜1000倍の重量を用いることが、反応の制御の容易さの点でより好ましい。
通常、多価金属(A)の価数をmとしたとき、多価金属(A)1モルは、mモルのカルボキシル基と反応する。この比率を目安として、多価金属(A)の塩と多価カルボン酸(B)とを反応させるが、その比率よりもどちらかを過剰に用いてもよい。多価金属(A)の価数をmとしたとき、多価金属(A)の量(a)に対する、多価カルボン酸(B)の全カルボキシル基量(b)のモル比(b/a)が、下記式(1)を満足することが好ましい。
0.2m≦b/a≦50m (1)
上記モル比(b/a)が0.2m未満であると、得られた金属錯体中に多価金属(A)が取り込まれ、それが洗浄によっても取り除かれないおそれがある。より好ましくはm以上である。また、優れたガス吸収性能を有する金属錯体(D)が得られる観点からも、m以上であることがより好適である。前記モル比(b/a)がm以上であることは、全カルボキシル基量(b)が、多価金属(A)と過不足なく反応するカルボキシル基の量と同じ又はそれ以上であることを意味する。一方、上記モル比(b/a)が50mを越えると、反応上は有利となるが、経済的に不利となるおそれがある。より好ましくは40m以下、さらに好ましくは20m以下、特に好ましくは10m以下である。
多価金属(A)の塩と多価カルボン酸(B)とを反応させる温度は、30〜300℃であることが好ましい。30℃未満である場合には、反応速度が非常に遅くなるおそれがある。より好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上である。一方、300℃を越えると、生成する金属錯体が分解するおそれがある。より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは180℃以下である。特に好ましくは、使用する溶媒の還流温度である。反応圧力は常圧で充分であるが、加圧条件を採用しても差し支えない。反応時間は、反応温度によって適宜選択されるが、通常、1〜20時間である。
反応終了後、必要に応じて冷却し、金属錯体(C)が沈殿物として得られる。沈殿物をろ過又はデカンテーション等することによって、金属錯体(C)を容易に単離することができる。その後、必要に応じて、水や有機溶媒による洗浄を行う。単離した金属錯体(C)は、これを速やかに減圧下で加熱することによって、脱溶媒することが好ましい。脱溶媒せずに数日間放置すると、金属錯体(C)のネットワーク構造が変化し、ガス吸収性能が低下するおそれがあるのに対し、脱溶媒を行うと、金属錯体(C)の構造が安定化するからである。加熱温度は、50〜250℃が好適である。
このようにして得られた金属錯体(C)は、X線回折パターンにおいて、結晶構造に由来するピークをもつ。このことは、金属錯体(C)において、多価金属(A)及び多価カルボン酸(B)による規則的なネットワーク構造が形成されていることを示すものである。例えば、2価の銅及びトリメシン酸のみからなる金属錯体(C)は、X線回折パターンにおいて、面間隔dが実質的に7.6Åと求められるような位置にメインピークを有する。
本発明のガス吸収剤は、金属錯体(C)の粒子をポリマー(D)で被覆してなるものである。金属錯体の粒子をポリマーで被覆することで、金属錯体に含まれる多価金属(A)成分の溶出を抑制することが可能となる。ガス分子はポリマー(D)による被覆層を比較的容易に通過することができるが、配位子や溶媒分子を伴った多価金属(A)は容易に通過することができないと考えられる。
ここで、実質的に金属錯体(C)の粒子の表面の全体がポリマー(D)で被覆されていることが好ましい。液体中で使用する際に、多価金属(A)成分の溶出を抑制する効果が高まるからである。実質的に粒子の表面の全体がポリマー(D)で被覆されていることは、走査型電子顕微鏡(SEM)観察等により、露出している金属錯体の存在がほぼ認められないことで確認することが可能である。
ポリマー(D)としては、金属錯体(C)の粒子を被覆でき、かつ、液体中でガス吸収剤を使用する際、その液体に溶解しないものであればよく、特に限定されない。
ポリマー(D)で金属錯体(C)の粒子を被覆する方法としては、特に限定されないが、医薬品をはじめとする様々な分野で研究、報告されている各種の手法を用いることができる。例えば、溶液中でポリマー(D)及び金属錯体の粒子を混合する方法、ポリマー(D)が溶解又は分散した溶液を金属錯体の粒子表面にスプレーする方法、金属錯体の粒子の表面でモノマーを重合させる方法、予め形成されたポリマー(D)からなるカプセル中に金属錯体を収容する方法等が採用される。中でも、金属錯体の粒子表面との接着性に優れた被覆層が形成されやすく、実質的に粒子の表面の全体が被覆された金属錯体が得られやすいことから、前記金属錯体の粒子の表面でモノマーを重合させる方法が好ましく用いられる。
溶液中でポリマー(D)及び金属錯体(C)の粒子を混合する方法の具体例としては、ポリマー(D)を含む溶液中に金属錯体を攪拌して分散させ、冷却した後、ポリマー(D)の貧溶媒を添加し、膨潤したポリマー(D)を硬化させる方法(Microcapsules and Nanoparticles in Medicine and Pharmacy;CRC Press: Boca Raton,1992)や、ポリマー(D)を含む溶液中に金属錯体を攪拌して分散させた後、ポリマー(D)の貧溶媒中に滴下、冷却してポリマー(D)を硬化させる方法が例示される。
前記金属錯体(C)の粒子の表面でモノマーを重合させる際に用いるモノマーとしては、特に限定されず、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−メトキシスチレン、p−スチレンスルホン酸及びそのナトリウム塩又はカリウム塩等のスチレン系モノマー;メチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩、N−メチロール(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体等の(メタ)アクリルアミド系モノマー;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸およびその塩またはそのエステル;イタコン酸およびその塩またはそのエステル;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニル等が使用される。また、2種以上のモノマーを使用することもできる。上記モノマーは、ポリマー鎖の末端に不飽和二重結合を有するマクロモノマーであってもよい。これらの中でも、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを使用することが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを重合させて得られるポリマー(D)は、金属錯体の粒子の表面に対する接着性が良好であるからである。また、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等、分子内に2個以上の二重結合を有するモノマーを使用することが、架橋されたポリマー(D)からなる被覆層が得られ、多価金属(A)成分の溶出を良好に抑制することができて望ましい。
前記金属錯体(C)の粒子の表面でモノマーを重合させる方法としては、特に制限されず、公知の方法を採用することができる。例えば、モノマーが溶解又は分散した溶液中に、金属錯体(C)の粒子及び重合開始剤を添加し、撹拌しながら加熱して、粒子表面で重合を進行させる方法が挙げられる。
金属錯体(C)の粒子をポリマー(D)で被覆してなるガス吸収剤は、一つ一つの粒子がポリマー(D)で被覆されたものであってもよいし、被覆された粒子がポリマー(D)で複数つながった集合体であってもよいし、複数の粒子からなる集合体の全体が被覆されたものであってもよい。前記ガス吸収剤は、例えば、粒径がナノメートルオーダーから数十μmの粒子又はその集合体として提供される。
本発明のガス吸収剤を用いてガスを吸収させる方法は、特に限定されないが、液体中に溶存するガスを吸収させることが好ましい実施態様である。液体中で使用する場合であっても、多価金属(A)の溶出を抑制することができるという本発明のガス吸収剤を使用する実益が大きいからである。
上記液体は特に限定されないが、配位性化合物であることが好ましい。ここでいう配位性化合物とは、多価金属(A)に配位することの可能な化合物をいい、有機化合物や水が含まれる。配位性化合物は、金属錯体(C)中の多価カルボン酸(B)と容易に配位子交換するため、ネットワーク構造が崩れて、多価金属(A)成分が溶出しやすい。また、溶出した多価金属(A)に対して配位性化合物が配位することで、溶媒和による安定化が起こり、溶出を促進させる。よって、本発明のガス吸収剤を使用する実益が高まる。中でも、配位性有機化合物であることが好ましい。一方、水は金属錯体中に強力に吸収されるため、容易にガス吸収性能を失ったり、その後再利用することが困難となるおそれがある。よって、水でないことが好ましい。
上記配位性有機化合物としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、ジイソプロピルケトン等のケトン;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のカルボン酸エステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の炭酸エステル;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、アニソール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキソラン等のエーテル;ギ酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸が例示される。また、ホルムアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド化合物;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物;ニトロベンゼン、ニトロメタン、ニトロエタン等のニトロ化合物;スルホラン、3−メチルスルホラン、ジメチルスルホキシド等の硫黄酸化物;リン酸エステル等;クロロホルム、塩化メチレン等の有機ハロゲン化物等;1−ペンテン、シクロペンテン等のアルケン;1−ヘキシン等のアルキン;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素が例示される。上記液体は、二種以上の混合液体であってもよい。
上記ガス吸収剤を用いて吸収させるガスは、特に限定されず、窒素、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、エタン等のガスが例示される。中でも、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン及びエタンの中から選ばれる少なくとも一種のガスを吸収させることが好ましい。これらは、ゼオライト、活性炭等の従来のガス吸収剤において、十分な吸収性能を得ることが困難なガスだからである。より好ましくは、一酸化炭素又は二酸化炭素のガスである。吸収させるガスは、複数であってもよい。
ガスを吸収させる際の圧力は、特に限定されないが、大気圧以上1MPa以下であることが好ましい。大気圧未満であると、ガス吸収の効率の観点から好ましくないおそれがある。より好ましくは0.11MPa以上、さらに好ましくは0.15MPa以上である。一方、1MPaを超えると、ガス吸収効率は上昇するものの、装置が大掛かりなものとなるなど、必ずしも経済的観点から好ましくないおそれがある。より好ましくは0.95MPa以下、さらに好ましくは0.90MPa以下である。また、液体中に溶存するガスを吸収させる場合、一旦減圧して液体中に溶存するガスをある程度取り除いた後に、上記の圧力条件下でガスを吸収させることが、吸収効率の観点から望ましい。
ガスを吸収させる温度は、特に限定されないが、−40〜100℃であることが好ましい。−40℃未満である場合には、吸収効率の観点から好ましくない場合がある。より好ましくは−20℃以上、さらに好ましくは−10℃以上である。一方、100℃を超えると、吸収効率が低下すると共に、金属錯体中のネットワーク構造を維持することができない場合がある。より好ましくは90℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。
液体中のガスを吸収する方法としては、ガスを含む液体にガス吸収剤を接触させることができれば、特に制限されない。例えば、ガス吸収剤を液体中に分散させる方法、カラム、配管、ろ過器等にガス吸収剤を充填して液体を流通させる方法、適当なバインダーを使用して基材に固着したものに液体を接触させる方法等が挙げられる。ガス吸収剤を液体中に分散させる場合には、ガスを吸収させた後、必要に応じて、フィルターろ過等でガス吸収剤を分離する。
上記ガス吸収剤に吸収されるガスが化学反応を阻害するものであることが好適な実施態様である。化学反応を阻害するガスが含まれず、しかも、多価金属(A)成分の溶出が抑制された液体を用いて前記化学反応を行うことが可能となるからである。ここで、化学反応を阻害するガスとは、副反応生成物を生じさせたり、反応速度を著しく低下させたりするガスをいう。
前記化学反応は、液体中に溶存するガスによって化学反応が阻害されるものであれば、特に制限はない。例えば、アミノ化反応、芳香族化反応、自熱式改質、カルボニル化反応、脱カルボニル化反応、還元的カルボニル化反応、カルボキシル化反応、還元的カルボキシル化反応、還元的カップリング反応、水素化分解反応、環化反応、シクロオリゴマー化反応、エポキシ化反応、フィッシャー・トロプシュ反応、脱水反応、水素化反応、脱水素反応、ヒドロカルボキシル化反応、ヒドロホルミル化反応、水素化分解反応、ヒドロメタル化反応、ヒドロシリル化反応、加水分解反応、水素処理法反応、水素化脱硫/水素化脱窒素反応(HDS/HDN)、異性化反応、メタセシス、テロメリゼーション、水性ガス転化反応(WGS)、及び逆水性ガス転化反応(RWGS)等が挙げられる。
このとき、前記化学反応が触媒反応であることが好ましい。触媒反応において、溶存するガスの種類によっては、触媒活性が低下したり、副反応生成物が生じたりする問題が起こりやすいため、上記ガスの吸収方法を採用する利益を十分に得ることができるからである。触媒反応としては、液体中に溶存するガスによって、触媒反応が阻害されるものであれば、特に制限はない。触媒としては遷移金属又はその化合物が使用されることが多い。前記触媒反応の例としては、ロジウム化合物を触媒として用いたヒドロホルミル化反応等が挙げられるが、特に限定されない。
また、化学反応を行わせる前に、予め、上記ガス吸収剤を用いて、前記液体中に溶存して化学反応を阻害するガスを吸収させることが好ましい実施態様である。予めかかるガスを吸収させることで、液体からガスを十分かつ効率的に除去することが可能となり、副反応を防止して、化学反応を円滑に進行させることができる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。X線回折パターンの測定方法、SEM観察方法、ろ液中のハロゲン含有量の測定方法及びろ液中への銅イオンの溶出率の測定方法は以下の通りである。
[X線回折パターンの測定方法]
理学電機製回転対陰極X線回折装置「RINT−2400」を用いて、広角X線回折を行い、X線回折パターンを得た。詳細な測定条件を以下に記す。
X線源:CuKα線
X線波長:λ=1.5405Å
出力:40kV、100mA
検出器:シンチレーションカウンター
走査速度:1°/分
積算時間:FT=0sec
ステップサイズ:0.02°/ステップ
測定範囲(2θ):5〜80°
測定アタッチメント:粉末試料台
[ガス吸収剤のSEM観察方法]
イオンスパッター装置を用いて、備え付けの金属板上に試料を載せて白金コートを施し、SEM観察用試料を作成した。日立製作所製走査型電子顕微鏡「S−4000」を使用し、加速電圧を4kV、倍率を25000倍としてSEM観察を行い、写真を撮影した。
[ろ液中のハロゲン含有量の測定方法]
測定試料を三菱化学製微量塩素硫黄分析計「TOX−10Σ」で燃焼させ、発生ガスをイオン交換水に吸収させて分析試料を作成した。ダイオネクス社製イオンクロマトグラフ装置「DX−120」を使用し、炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム水溶液を溶離液として、ろ液中のハロゲン含有量(ppm)を測定した。
[ろ液中への銅イオンの溶出率の測定方法]
白金るつぼにろ液を2g採取し、蒸発乾固後600℃で強熱して得られた灰分を塩酸に溶解しイオン交換水で希釈して分析試料を作成した。ジャーレルアッシュ社製ICP発光分析装置「IRIS AP」を使用し、高周波出力1150Wにて銅元素の重量を測定した。これから、ろ液(60g)に含まれる銅元素の全重量Wa(g)を算出した。一方、想定されるガス吸収剤の組成から、試験前にガス吸収剤に含まれていた銅元素の全重量Wb(g)を算出した。これらの値を用いて、下記式(2)から、ろ液中への銅イオンの溶出率S(%)を求めた。
S=(Wa/Wb)×100(%) (2)
実施例1
[ガス吸収剤の製造方法]
(P−1)
攪拌器、滴下ロートおよび温度計を装着した内容積500mLの三ツ口フラスコに、トリメシン酸2.18g[カルボキシル基量(b):31.1mmol]、およびメタノール/水混合溶媒(容量比1/2)混合溶媒300mLを仕込み、攪拌した。得られた混合液を85℃に加熱し、撹拌しながら、該溶液に酢酸銅(II)・一水和物3.08g[多価金属(A)の塩の量(a):15.4mmol]のメタノール/水混合溶媒(容量比1/2)150mLを15分間で滴下した。滴下終了後、フラスコ内温を85℃に保ち、18時間撹拌を続けた。反応液内温を5℃に冷却し、反応系内に析出した固体をろ過し、メタノール/水混合溶媒(容量比1/2)20mLにて洗浄した後、得られた固体を200℃で4時間真空乾燥し、2.50gの金属錯体(C−1)を得た。次に、金属錯体(C−1)1.0gを、メタノール/水混合溶媒(容量比1/2)20mLに分散させ、系内を窒素置換し、撹拌しながら85℃に加熱した。これに分子量550のポリエチレングリコールジメタクリレート1.5gおよび過酸化ベンゾイル25mg(0.1mmol)を加え、85℃で30分撹拌した。反応液内温を5℃に冷却し、系中の固体をろ別して、メタノール/水混合溶媒(容量比1/2)20mLで洗浄し、150℃で2時間真空乾燥して1.8gの固体を得た。前記固体をガス吸収剤(P−1)とした。また、ガス吸収剤(P−1)について、SEM観察及びX線回折パターンの測定を行った。
[ガス吸収量、ろ液中のハロゲン含有量、ろ液中への銅イオンの溶出率]
容積110mLの密閉容器内で、ガス吸収剤(P−1)1.8gをプロピレンカーボネート60g中に分散させ、前記容器中へ一酸化炭素ガスを供給した。内圧が0.2MPaとなった時点で供給を停止した後、容器内の圧力が低下して一定となるまでの圧力変化から、前記分散液中に吸収された一酸化炭素ガスの吸収量(mL)を算出した。なお、前記容器内は25℃に保たれていた。上記と同様の方法で、二酸化炭素、メタン及びエタンのガスについて、それぞれのガス吸収量を測定した。その後、前記分散液をろ過し、ろ液中のハロゲン含有量を測定した。ガス吸収剤(P−1)は、Cu{C(COO)}の組成式で表される金属錯体(C−1)1.0gが、0.8gのポリマーによって被覆されたものであると仮定して、ろ液中への銅イオンの溶出率を求めた。結果を表1に示す。また、二酸化炭素ガスを吸収させた分散液を減圧したところ、全量の二酸化炭素ガスが放出されることを確認した。これにより、前記ガス吸収剤は再利用可能であることが示唆される。
比較例1
(P−2)
実施例1で得られた金属錯体(C−1)をガス吸収剤(P−2)として、SEM観察及びX線回折パターンの測定を行った。また、ガス吸収剤(P−2)1.0gを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、ガス吸収量、ハロゲン含有量及び2価の銅イオンの溶出率を測定した。結果を表1に示す。また、二酸化炭素ガスを吸収させた分散液を減圧したところ、全量の二酸化炭素ガスが放出されることを確認した。
金属錯体(C−1)の粒子の表面をポリマーで被覆したガス吸収剤(P−1)(実施例1)は、金属錯体(C−1)であるガス吸収剤(P−2)(比較例1)と比較して、いずれのガスにおいても吸収性能はほぼ同等でありながら、銅イオンの溶出が抑制されることがわかった。
<X線回折パターン>
ガス吸収剤(P−1)及び(P−2)のX線回折パターンの測定結果を、図1及び図2に示す。ガス吸収剤(P−1)及び(P−2)は、それぞれ11.61°(2θ)及び11.62°(2θ)とほぼ同じ位置にメインピークを有することが示された。それに対応する結晶構造の面間隔dは、それぞれ7.62Å及び7.61Åと求められた。一方、ガス吸収剤(P−2)のピークに対して、ガス吸収剤(P−1)のピークがブロードニングしているが、これは金属錯体(C−1)を被覆しているポリマーの影響によるものと推定される。
<SEM観察>
ガス吸収剤(P−1)及び(P−2)のSEM観察写真を、それぞれ図3及び図4に示す。これから、ガス吸収剤(P−1)は、実質的に金属錯体(C−1)の粒子の表面全体がポリマーによって被覆されなるものであることが示唆される。
ガス吸収剤(P−1)のX線回折パターンである。 ガス吸収剤(P−2)のX線回折パターンである。 ガス吸収剤(P−1)のSEM観察写真である。 ガス吸収剤(P−2)のSEM観察写真である。

Claims (13)

  1. 多価金属(A)と多価カルボン酸(B)とからなる金属錯体(C)を、ポリマー(D)で被覆してなる、液体中に溶存するガス吸収剤。
  2. 多価金属(A)が2価の銅である請求項1記載の吸収剤
  3. 多価カルボン酸(B)が、ベンゼン環の1位、3位及び5位にカルボキシル基を有するカルボン酸である請求項1又は2記載の吸収剤
  4. 多価金属(A)の塩と多価カルボン酸(B)とを反応させて金属錯体(C)の粒子を生成させた後、該粒子の表面をポリマー(D)で被覆することを特徴とする、液体中に溶存するガス吸収剤の製造方法。
  5. 多価金属(A)の塩と多価カルボン酸(B)とを、アルコール及び水の混合溶媒中で反応させる請求項4記載の吸収剤の製造方法。
  6. 前記金属錯体(C)の粒子の表面でモノマーを重合させることによって、該粒子の表面をポリマー(D)で被覆する請求項4又は5記載の吸収剤の製造方法。
  7. 請求項1〜3のいずれか記載の吸収剤を用いて、液体中に溶存するガスを吸収させることを特徴とするガスの吸収方法。
  8. 前記液体が配位性有機化合物である請求項7記載のガスの吸収方法。
  9. 一酸化炭素、二酸化炭素、メタン及びエタンの中から選ばれる少なくとも一種のガスを吸収させる請求項7又は8記載のガスの吸収方法。
  10. 大気圧以上1MPa以下の圧力及び−40〜100℃の温度においてガスを吸収させる請求項7〜9のいずれか記載のガスの吸収方法。
  11. 前記液体中に溶存して化学反応を阻害するガスを吸収させる請求項7〜10記載のガスの吸収方法。
  12. 前記化学反応が触媒反応である請求項11記載のガスの吸収方法。
  13. 前記化学反応を行わせる前に、予め、前記液体中に溶存して化学反応を阻害するようなガスを吸収させる請求項11又は12記載のガスの吸収方法。
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