JP3566390B2 - ポンプ運転用制御盤およびこれを用いたポンプ装置 - Google Patents

ポンプ運転用制御盤およびこれを用いたポンプ装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、インバータ回路によりポンプ駆動用モータを運転制御する場合に用いられ、上記インバータ回路を収容した制御盤の構造、およびこれを用いたポンプ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポンプを自動運転する場合、インバータ回路によりポンプ駆動用の誘導モータを回転数制御する方法が採用されている。インバータ回路は、コンデンサやトランスのほかに、バイポーラトランジスタやFET、IGBT等のような回路部品で構成されており、このインバータ回路により制御された電流または高周波電力が上記ポンプ駆動用誘導モータに送られてこの誘導モータを運転制御するようになっている。
【0003】
上記インバータ回路は電気回路であるから剥き出しで使用すると、耐湿性、耐塵性の面で信頼性が損なわれ、特にポンプの場合は周囲の環境がよくないことから、早期故障の原因になる。したがって、インバータ回路は密閉されたハウジングに収容され、いわゆる制御盤を構成している。
【0004】
ところで、市販のインバータ回路も含めて、通常インバータ回路には、上記ポンプ駆動用誘導モータに供給する電流値または周波数を表示するための表示部を付設してあり、最近の表示部はデジタル表示構造を採用したものが多い。このようなデジタル表示部は、上記インバータ回路とともに上記密閉された制御盤ハウジングに収容してある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような制御盤によりポンプの運転が制御されるポンプ装置にあっては、外部からポンプが正常に運転しているか否かを確認できることが望まれる。
【0006】
従来の場合、上記インバータ回路からポンプへの電力供給の異常を表示するには、ハウジングの開閉扉に警報ランプを取り付け、この警報ランプの点灯または消灯もしくは点滅によりインバータ回路からポンプへの電力供給の異常を知らせるように構成してある。このような構成の場合、上記警報ランプがインバータ回路の異常を知らせると、管理者は開閉扉を開けて内部のデジタル表示部に表示されている電流値または周波数を読み取り、これにより上記異常を定量的に点検するようにしていた。
【0007】
しかしながら、このような構成は表示部がハウジングの内部と外部にそれぞれ別個に構成されることになるから部品点数が多くなり、かつ相互に連係して配線する必要があるから、配線作業が面倒であり、配線構造も複雑になるなどの不具合がある。
【0008】
また、警報ランプからの警報を確認して開閉扉を開け、その後インバータ回路のデジタル表示部を判読するから、点検作業も面倒である。
本発明はこのような事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、開閉扉を開くことなくインバータ回路の表示部を確認することができ、点検作業が容易になるとともに、構造も簡素化するポンプ運転用制御盤およびこれを用いたポンプ装置を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、開閉扉を備え、かつ金属または放射ノイズを遮蔽可能な材質により形成されたハウジングと;上記ハウジングに収容され、外部に設けられたポンプ駆動用モータを制御するインバータ回路の回路部品と;上記ハウジングに収容され、上記インバータ回路を通じて上記ポンプ駆動用モータに流れる電流値または周波数を表示する表示部と、上記開閉扉に設けられ、上記表示部を外部から視認可能な透明板を有する覗き窓と;上記透明板に形成され、上記表示部とほぼ同じ大きさで対向し、かつ内面が上記表示部と接近して配置された凸レンズ部と;を具備したことを特徴とするポンプ運転用制御盤である。
【0010】
請求項2の発明は、上記凸レンズ部の内面と上記表示部は10 mm 以下の間隔を存して対向されていることを特徴とする請求項1に記載のポンプ運転用制御盤である。
請求項3の発明は、基台と;この基台に取り付けられたポンプと;上記基台またはポンプに取り付けられ、このポンプを駆動するモータと;上記基台に取り付けられ、上記モータを運転制御するインバータユニットが収容された前記請求項1または請求項2に記載のポンプ運転用制御盤と;を備えたことを特徴とするポンプ装置である。
【0012】
【作用】
請求項1の発明によれば、開閉扉に設けられた覗き窓からハウジング内に収容されたインバータ回路の表示部を視認できるようになり、開閉扉を開けることなく点検が可能であり、点検やメンテナンスが容易になる。また、開閉扉に格別な警報ランプを設ける必要がないから、部品点数が少なくなり、配線も簡単になる。
【0013】
しかも、透明板に凸レンズ部が形成されているから、ハウジング内の上記表示部を拡大して見ることができ、視認性が良くなる。しかも覗き窓を小さくすることができるから、ハウジング内からノイズを放出するのが抑制される。
【0014】
請求項2の発明によれば、凸レンズ部の内面が表示部に接近しているから、ハウジング内の表示の視認性が良くなり、このことから覗き窓を小さくすることができ、ハウジング内からノイズを放出するのが抑制される。
請求項3の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の制御盤がもつ利点を備えたポンプ装置を提供することができる。
【0015】
【実施例】
以下本発明について、図面に示す一実施例にもとづき説明する。
図8および図9はインバータを用いて複数台のポンプを交互または並列運転するポンプ装置を示し、図中1は基台、2,2はポンプ、3,3はそれぞれポンプ2,2を運転する誘導モータ、4,4は各ポンプの吸込みフランジ、5,5は各ポンプの吐出配管、6は吐出フランジ、7は圧力センサ、8は流量センサ、9は逆止弁、10は制御盤、11は制御盤支持脚、12はアキュムレータを示す。
【0016】
このようなポンプ装置は、圧力センサ7および流量センサ8により吐出圧力および吐出流量を検出し、この検出信号に応じて制御盤10に収容した制御装置が2台のポンプ2,2の単独運転または並列運転もしくは単独運転の場合の交互運転を制御するようになっている。
【0017】
上記制御盤10の構成は図1ないし図7に示されており、以下これについて説明する。
図において20は制御盤ハウジングであり、このハウジング20は金属または放射ノイズを遮蔽可能な材質により形成されており、底板21と、この底板21から立ち上がる4辺の側板22…と、このハウジング20の前面に形成された開口部を開閉する観音開き式の開閉扉23、24とで閉塞空間を構成している。開閉扉23,24には計器25および表示パネル26が取り付けられている。表示パネル26については後で説明する。
【0018】
底板21には、インバータユニットを取り付ける予定部に大きな開口部27が形成されており、この開口部27を除いた箇所に、図2に示す通り、ノイズフィルタ28,28がねじ29…を介して取付けられている。
【0019】
上記開口部27は、放熱板30により閉塞されている。放熱板30は銅、アルミニウムなどのような熱伝導性に優れた金属からなり、内面は平坦面に形成されているとともに、外面には多数の放熱フィン31…が一体に突出して形成されている。
【0020】
この放熱板30の内面には、インバータユニット32,32と、電子制御配線基板33および漏電ブレーカ34,34が取り付けられている。
インバータユニット32,32は、図5および図6に示すように、銅板などのような熱伝導性に優れたユニット基板321に、インバータ回路を構成するパワー素子322や平滑コンデンサ323…、その他の回路部品を配置したインバータ制御配線基板324、および表示部325を一体的に取付けて構成されている。パワー素子322はバイポーラトランジスタやFET、IGBTなどのようなスイッチング素子からなる。表示部325は、例えばデジタル表示部であり、前記ポンプ駆動用誘導モータ3,3の運転状態を定量的に表示するものであり、上記インバータ回路から前記ポンプ駆動用誘導モータ3,3へ供給する電流値または高周波電力の周波数をデジタル表示するようになっている。この場合、図示しない切換えスイッチの操作で、電流値と周波数とを選択的に切換えて表示できるようになっている。なお、2桁表示の場合が電流値であり、3桁表示が周波数表示である。
【0021】
このようなインバータユニット32,32は、そのユニット基板321,321の4隅がねじ35…により上記放熱板30に取付けられている。
上記電子制御配線基板33および漏電ブレーカ34,34も、それぞれ放熱板30の内面に、ねじ36…,37…を介して取付けられている。
【0022】
このため、放熱板30の内面には、2個のインバータユニット32,32と、1個の電子制御配線基板33および2個の漏電ブレーカ34,34が取付けられているものである。
【0023】
このような放熱板30は、前記ハウジング20の底板21に、その開口部27を隠すようして外側から重ねられ、ハウジング20の内側から底板21を貫通したねじ38…により固定されている。このため、放熱板30の内面に取着された上記インバータユニット32,32、電子制御配線基板33および漏電ブレーカ34,34はハウジング20の内部に収容され、放熱フィン31…が外面に露出されている。
【0024】
前記開閉扉24に設けられた表示パネル26には、図1に示すように、覗き窓260,260と、電源表示灯271、リセットスイッチ272、個別運転表示灯273、個別故障表示灯274、満水表示灯275、減水表示灯276および渇水表示灯277等が取り付けられているとともに、運転モード切換えスイッチ278、ポンプ切換えスイッチ279が装着されている。
【0025】
覗き窓260,260は、ハウジング20内に設置された前記インバータユニット32,32のデジタル表示部325,325に対向して設けられており、開閉扉24に設けられた開口部に、図7に示すような透明板261,261を取り付けて構成されている。図7の透明板261は、例えば透明アクリル樹脂または透明ポリカーボネイト樹脂などからなり、内側に向けて凹んだ面に凸レンズ部262を有し、この凸レンズ部262は前記インバータユニット32,32のデジタル表示部325,325と対向している。透明板261には、凸レンズ部262を囲む周囲壁の内面に、遮断塗装、遮断シールまたは光拡散面263等からなる遮断部分が形成されており、この遮断部分、本実施例では光拡散面263が形成されており、この領域を図7の(A)図においては斜線で示す。
【0026】
そして、凸レンズ部262の内面は、ハウジング20内のインバータユニット32,32のデジタル表示部325,325に接近して配置されるようになっており、凸レンズ部262の内面とデジタル表示部325,325の離間寸法Lは、図3に示すように、10mm以下、好ましくは5mm以下に設定されている。そして、この凸レンズ部262の大きさはデジタル表示部325の大きさとほぼ同じに形成されており、この凸レンズ部262からはハウジング20内の他の部品があまり見えないようになっている。
【0027】
このような構成による実施例の作用を説明する。
ポンプ2,2の運転中は、インバータ回路からポンプ駆動用誘導モータ3,3に高周波電力が供給されるから、その時に供給される電流値または高周波電力の周波数をデジタル表示部325,325に表示される。
【0028】
このようなデジタル表示部325,325は、ハウジング20の開閉扉24を閉じた場合、覗き窓260,260に対向するから、外部より覗き窓260,260を通じて視認することができる。したがって、開閉扉24を開けることなくポンプ2,2の運転状態、つまりインバータ回路からポンプ駆動用誘導モータ3,3へ供給される電流値または周波数を点検することができる。このため、メンテナンス作業が容易になる。
【0029】
このことから、正常運転時の点検ではいちいち開閉扉24を開ける必要がないから、制御盤10内が密閉構造を保ち、内部に収容した各種電気部品の耐環境性が良くなり、寿命特性が向上する。
また、開閉扉24を開けなくても日常的な管理が可能であるから、開閉扉24に施錠しておくなどの安全管理が可能である。
しかも、開閉扉24には格別な警報ランプを設ける必要がないから、部品点数が少なくなり、この警報ランプのための配線も不要であるから、構造が簡素化する。
【0030】
そして、上記覗き窓260,260は、デジタル表示部325,325に対向する透視部分が凸レンズ262となっているから、デジタル表示部325,325が拡大されて見ることができる。このため、判読し易い。また、凸レンズ部262はデジタル表示部325,325に対し、離間寸法Lが10mm以下、好ましくは5mm以下に設定されているから、この点からもデジタル表示部325,325が見易くなる。さらに、この凸レンズ部262の大きさはデジタル表示部325の大きさとほぼ同じに形成されており、この凸レンズ部262からはハウジング20内の他の部品があまり見えないようになっている。
【0031】
このようなことから、覗き窓260を小さくしてもデジタル表示部325の視認性が低下しない。よって、覗き窓260を小さくすることができ、この結果、覗き窓260を形成するために開閉扉24に形成する開口部の大きさを小さくすることができる。このような開口部が大きく形成されると、インバータ回路などから高周波ノイズが制御盤10から放出される心配が生じるが、上記実施例の構成であれば、覗き窓260を小さくすることができるため、高周波ノイズの漏れを最小限度に抑制することができる。
【0032】
また、上記実施例の制御盤10によれば、使用中にインバータ回路を構成する部品、例えばパワー素子322が発熱することがあるが、この熱は熱伝導性に優れたユニット基板321から放熱板30に伝えられ、この放熱板30の外面、特に多数の放熱フィン31…から盤外に放出される。このため、制御盤ハウジング20内に放射される熱が少なくなり、制御盤ハウジング20内の温度上昇が抑制される。
【0033】
この場合、放熱板30は、2個のインバータユニット32、32と、1個の電子制御配線基板33および2個の漏電ブレーカ34、34を平面的に配置できるだけの大きな面積を有しているから、放熱板30自身の熱容量が大きく、かつ放熱面積が大きい。このような放熱面積は、2個のインバータユニット32、32が同時に作動して2台のポンプ2、2を同時に並列運転した場合に、これら2個のインバータユニット32、32から発せられる熱を盤外に放出させることができるのに充分な大きさとなっている。
【0034】
このような放熱面積を有するにも拘らず、ポンプ2、2は同時並列運転されることは少なく、ほとんどの場合交互単独運転されるから、いずれか一方のインバータユニット32が作動する時がほとんどであり、上記2個のインバータユニット32,32の発熱分を放熱する能力をもつ放熱板30であれば、制御盤ハウジング20内の温度はほとんど上昇しない。
【0035】
このため、ハウジング20に格別な換気孔を設けたり、換気ファンを設置する必要がなくなり、部品点数が削減され、構造が簡素化する。また、インバータユニット32自身にも放熱ファンや放熱フィンが不要になる。よって、これら放熱ファンや換気ファンを運転する必要がないから、これらの運転騒音が発生せず、消費電力も削減でき、省エネルギー化が可能になる。
さらに、このような制御盤10を備えたポンプ装置によれば、上記制御盤10のもつ利点を有効に活用できる。
【0036】
なお、上記実施例では2台のポンプ2,2を設置したポンプユニットの場合について説明したが、本発明は複数のポンプを使用することには限らず、1台のポンプを運転制御する場合であっても実施可能である。よって、インバータユニット32も1つであってよく、そのデジタル表示部325に対向する覗き窓260も1つであってもよい。
【0037】
また、本発明は放熱板30を備えることには限らず、インバータユニット32、32をハウジング20の底板21に直接取付けてもよく、ハウジング20内の排熱のために換気孔や換気ファンを設置してもよい。
さらに、インバータユニット32の表示部325はデジタル表示に限らず、アナログ表示であってもよい。
【0038】
【発明の効果】
以上説明した通り請求項1の発明によれば、開閉扉に設けられた覗き窓からハウジング内に収容されたインバータ回路の表示部を視認できるようになり、開閉扉を開くことなく点検が可能であり、点検やメンテナンス作業が容易になる。また、開閉扉に格別な警報ランプを設ける必要がないから、部品点数が少なくなり、配線も簡単になる。
【0039】
しかも、透明板に凸レンズ部が形成されているから、ハウジング内の上記表示部を拡大して見ることができ、視認性が良くなる。しかも、覗き窓を小さくすることができるから、ハウジング内からノイズを放出するのが抑制される。
【0040】
さらに、請求項2の発明によれば、凸レンズ部の内面が表示部に接近しているから、ハウジング内の表示の視認性が良くなり、このことから覗き窓を小さくすることができ、ハウジング内からノイズを放出するのが抑制される。
請求項3の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の制御盤がもつ利点を備えたポンプ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示し、制御盤ハウジングの正面図。
【図2】同実施例の開閉扉を外した状態の制御盤ハウジングの内部の正面図。
【図3】図1の III−III 線の断面図。
【図4】図1の IV− IV線の矢視図。
【図5】インバータユニットの正面図。
【図6】同インバータユニットの側面図。
【図7】同実施例の覗き窓に設けられる透明板の構造を示し、(A)図は正面図、(B)図は(A)図中B−B線の断面図。
【図8】2台のポンプを用いたポンプユニットの平面図。
【図9】同ポンプユニットの正面図。
【符号の説明】
1…基台 2…ポンプ
3…誘導モータ 4…吸込みフランジ
5…吐出配管
10…制御盤 12…アキュムレータ
20…制御盤ハウジング 21…底板
22…側板 23、24…開閉扉
26…表示パネル
260…覗き窓
261…透明板 262…凸レンズ部
28…ノイズフィルタ
30…放熱板 31…放熱フィン
32…インバータユニット
33…電子制御配線基板
34…漏電ブレーカ
321…ユニット基板 322…パワー素子
323…平滑コンデンサ 324…インバータ制御配線基板
325…デジタル表示部
36…ねじ

Claims (3)

  1. 開閉扉を備え、かつ金属または放射ノイズを遮蔽可能な材質により形成されたハウジングと;
    上記ハウジングに収容され、外部に設けられたポンプ駆動用モータを制御するインバータ回路の回路部品と;
    上記ハウジングに収容され、上記インバータ回路を通じて上記ポンプ駆動用モータに流れる電流値または周波数を表示する表示部と、
    上記開閉扉に設けられ、上記表示部を外部から視認可能な透明板を有する覗き窓と;
    上記透明板に形成され、上記表示部とほぼ同じ大きさで対向し、かつ内面が上記表示部と接近して配置された凸レンズ部と;
    を具備したことを特徴とするポンプ運転用制御盤。
  2. 上記凸レンズ部の内面と上記表示部は10 mm 以下の間隔を存して対向されていることを特徴とする請求項1に記載のポンプ運転用制御盤。
  3. 基台と;
    この基台に取り付けられたポンプと;
    上記基台またはポンプに取り付けられ、このポンプを駆動するモータと;
    上記基台に取り付けられ、上記モータを運転制御するインバータユニットが収容された前記請求項1または請求項2に記載のポンプ運転用制御盤と;
    を備えたことを特徴とするポンプ装置。
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