JP3565642B2 - 多孔質成形物の製造法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂の多孔質成形物の製造法に関し、更に詳しくは透湿性、ガス透過性等に優れたポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等の熱可塑性樹脂の多孔質成形物の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、高分子多孔質シートは、医療用被覆材、衣料材料、包装材料、衛生材料等に幅広く利用されており、その製造方法としては▲1▼熱可塑性樹脂に無機塩粉末等を練り込んで膜状として該無機塩を溶剤で溶解抽出する方法、▲2▼高分子溶液を溶媒とは相溶して該高分子を溶解させない溶剤中に押出す方法(特開平3−185028号公報)、▲3▼高分子溶液から得た膜に凝固溶剤を微粒子状態で接触させて相転移を起こさせる方法(特開平6−80817号公報)等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の如何なる技術も、高分子溶液や孔部分の充填物を溶出させるために溶剤を使うことが必要で、昨今の環境問題を考慮すれば溶剤の不使用が望まれるところであり、更には溶剤回収のための設備や装置も必要となり製造コストの上昇を招く。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、かかる事情に鑑みて鋭意研究した結果、下式を満足する溶融成形可能な水溶性高分子(A)及び熱可塑性樹脂(B)を混合重量比(A)/(B)=75/25〜20/80で混合して溶融成形物を得た後、該成形物を水と接触させて水溶性高分子(A)を除去することにより、従来の如く溶剤を使うことなく、透湿性、ガス透過性等に優れた多孔質成形物が得られるという事実を見いだし、本発明の完成に至った。
│logηA−logηB│≦0.7
(但し、ηA及びηBは(A)及び(B)の230℃、剪断速度102sec−1での見かけの溶融粘度(Pa・s)を表す。)
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の溶融成形可能な水溶性高分子(A)とは、水溶性で溶融成形が可能な樹脂であれば特に限定されず、ポリビニルアルコール系樹脂、変性澱粉、ポリエチレンオキサイド等が挙げられ、特にポリビニルアルコール系樹脂が好ましく特にオキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂が好適に用いられる。
かかるポリビニルアルコール系樹脂は、下記化1で示されるオキシアルキレン基を含有するポリビニルアルコール系樹脂で、より具体的には化1で示されるオキシアルキレン基を含有するエチレン性不飽和モノマーと酢酸ビニルとの共重合体をケンすることによって得られる。
【0006】
【化1】
(但し、R1、R2は水素又はアルキル基(特にメチル基又はエチル基)、Xは水素、アルキル基、アルキルエステル基、アルキルアミド基、スルホン酸塩基等の有機残基、nは正の整数)
【0007】
オキシアルキレン基を含有するエチレン性不飽和モノマーの具体例としては、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル等が挙げられる。オキシアルキレン単位の付加モル数を示すnは、いずれの場合も1〜300程度であり、特にnが5〜50程度が好ましい。上記の中では、ポリオキシエチレンアリルエーテルが実用的である。
【0008】
オキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂は上述のようなオキシアルキレン基を含有するエチレン性不飽和モノマーと酢酸ビニルとを共重合した後、ケン化することにより得られる。ケン化に当たっては共重合体をアルコールに溶解しアルカリ触媒の存在下に行なわれる。アルコールとしてはメタノール、エタノール、ブタノール等が挙げられる。アルコール中の共重合体の濃度は20〜50重量%の範囲から選ばれる。ケン化触媒としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒を用いる。かかる触媒の使用量はビニルエステルに対して1〜100ミリモル当量にすることが必要である。又、酸触媒を用いてケン化を行っても特に差し支えない。
【0009】
酢酸ビニル成分のケン化度は50〜100モル%が好ましく、更には60〜100モル%が好ましく、特に好ましくは70〜100モル%で、重量平均重合度は200〜2500が好ましく、更には250〜2300が好ましく、特に好ましくは300〜2000の範囲で、ケン化度が50モル%未満では水溶性や熱安定性が低下し、また重量平均重合度が200未満では造膜性が低下して溶融成形不能となり、逆に2500を越えると粘度が高くなり過ぎて溶融成形性が低下して好ましくない。
ケン化により得られたオキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂中のオキシアルキレン基の含有量は1〜50重量%、特に2〜45重量%、なかんずく5〜40重量%とすることが好ましい。その含有量が1重量%未満では溶融成形性が低下し、逆に50重量%を越えると熱安定性が悪くなって好ましくない。
【0010】
尚、上記重合に際しては、他のモノマーとして、酢酸ビニル以外のビニルエステル、アルキルビニルエーテル、アルキルアリルエーテル、エチレン性不飽和カルボン酸又はそのエステル・塩・無水物・α−オレフィン、塩化ビニル等を30モル%以下程度であれば存在させてもよい。
オキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂は場合により、ポリビニルアルコールに対するアルキレンオキシドの反応、あるいはポリオキシアルキレングリコールに対する酢酸ビニルの重合及びそれに引き続くケン化によっても取得できる。
【0011】
更に、上記オキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂の見かけの溶融粘度ηAは後述するが如き熱可塑性樹脂(B)の溶融粘度ηBとの関係│logηA−logηB│≦0.7を満足することが必須であるが、通常は230℃、剪断速度102sec−1における(以下、特に断りのない限り同様)見かけの溶融粘度は10〜10000Pa・sであることが好ましく、更には20〜9000Pa・sであることが好ましく、かかるηAが10Pa・s未満では造膜性に乏しく、逆に10000Pa・sを越えると溶融成形性が低下して好ましくない。
【0012】
次に本発明の熱可塑性樹脂(B)は、上記の溶融成形可能な水溶性高分子(A)と完全に相溶せずに溶融混合することが可能な熱可塑性樹脂であれば特に限定されず、例えばポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられ、中でもポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物が好適に用いられる。
【0013】
ポリオレフィン系樹脂の具体例としては高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、酢酸ビニル,アクリル酸エステル或いはブテン,ヘキセン,4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィン類を共重合したポリエチレン、ポリプロピレンホモポリマー、エチレンをグラフト共重合したポリプロピレン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィン類を共重合したポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、及び上記ポリオレフィンに不飽和カルボン酸やその酸無水物,ビニルシラン系化合物,エポキシ基含有化合物等を共重合或いはグラフト重合してなる変性ポリオレフィン系樹脂などが挙げられ、好ましくは高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンが用いられる。
【0014】
ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレート)、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンアジペート共重合体、ポリブチレンテレフタレート/ポリブチレンアジペート共重合体、ポリブチレンテレフタレート/ポリテトラメチレングリコール共重合体、ポリエチレンテレフタレート/ポリテトラメチレングリコール共重合体、ポリブチレンテレフタレート/ポリカプロラクトン共重合体、ポリエチレンテレフタレート/ポリカプロラクトン共重合体等が用いられる。
【0015】
ポリアミド系樹脂としては、ホモポリアミド及びコポリアミドが挙げられ、ホモポリアミドとしてはポリカプラミド(ナイロン6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロン9)、ポリウンデカナミド(ナイロン11)、ポリラウリンラクタム(ナイロン12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン2,6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン4,6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6,6)、ポリヘキサメチレンセパカミド(ナイロン6,10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン6,12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン8,6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン10,6)、ポリドデカメチレンセパカミド(ナイロン10,8)等が挙げられ、コポリアミドとしてはカプロラクタム/ラウリンラクタム共重合体、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体、カプロラクタム/ラウリンラクタム共重合体、ラウリンラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体、ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセパケート共重合体、エチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセパケート共重合体、テレフタル酸/イソフタル酸/ヘキサメチレンジアミン共重合体(非晶質ナイロン)、m−キシリレンアジパミド等が挙げられ、好ましくはテレフタル酸/イソフタル酸/ヘキサメチレンジアミン共重合体(非晶質ナイロン)、m−キシリレンアジパミド、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン6,12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体、カプロラクタム/ラウリンラクタム共重合体が用いられる。
【0016】
エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物としては、エチレン含有量20〜60モル%、ケン化度70〜100モル%のものが好ましく、更にはエチレン含有量25〜55モル%、ケン化度80〜100モル%のものが好適に用いられる。
かかる熱可塑性樹脂(B)の見かけの溶融粘度ηBも溶融成形可能な水溶性高分子(A)の見かけの溶融粘度ηAとの関係│logηA−logηB│≦0.7を満足することが必須であるが、通常は10〜10000Pa・sであることが好ましく、更には20〜9000Pa・sであることが好ましく、かかるηAが10Pa・s未満では造膜性に乏しく、逆に10000Pa・sを越えると溶融成形性が低下して好ましくない。
【0017】
上記の(A)と(B)の混合重量比は(A)/(B)=75/25〜20/80(好ましくは(A)/(B)=70/30〜30/70)で、(A)/(B)が75/25より大きくなると、(B)がドメインを形成して多孔質膜を得ることが困難となり、逆に20/80より小さくなると、(B)がマトリクスとなって水で(A)を除去できなくなり不適である。
【0018】
更に本発明では、上記の(A)及び(B)の見かけの溶融粘度の関係が重要で、(A)及び(B)の見かけの溶融粘度をηA及びηBとする時、│logηA−logηB│≦0.7(好ましくは│logηA−logηB│≦0.5)の関係を満足する必要がある。
すなわち、│logηA−logηB│>0.7の時は、粘度が低い成分がマトリクスとなり本発明の目的である多孔質成形物を得ることが不可能となる。
【0019】
上記の(A)及び(B)を混合して溶融成形物を得る方法としては特に限定されず公知の方法が採用され得る。
例えば、(A)と(B)を混合する方法としては、ドライブレンド、溶融ブレンド等の公知の混合方法を採用することができ、また溶融成形物を得るには、公知の溶融成形方法、例えば押出成形法、射出成形法、ブロー成形法等が採用できる。
以下、押出成形機による押出成形法について具体的に説明するが、本発明はこの方法に限定されるものではない。
【0020】
ドライブレンドや溶融ブレンド等で得られた(A)と(B)の混合物を押出成形機(例えば、田辺プラスチックス機械(株)製、VS40等)を用いて、ダイ温度190〜210℃で幅100〜2000mm程度のコートハンガーダイを用いて製膜を行い、厚さ10〜50μm程度(好ましくは25〜35μm)のフィルムを得るのである。
次いで得られたフィルムを20〜90℃程度(好ましくは30〜80℃)の(温)水浴中で水と接触させてフィルム中の(A)成分を溶出させるのである。
かかる(温)水浴中でのフィルムと(温)水との接触時間は、(A)及び(B)の混合組成やフィルム厚さにより一概に断言できないが、0.5〜120分程度が好ましく、更には1〜100分程度である。
【0021】
以上フィルムの成形物について述べてきたが、(A)成分を溶出させる前の成形物の形状をコントロールすることにより、粒子・粉末状の多孔質成形物、ソリッド状の多孔質成形物等を製造することも可能である。
かくして平均直径0.5〜5μm程度の孔を有する本発明の溶融成形物が得られ、本発明では、溶融成形物の目的・用途に応じて(B)成分を選択することにより、医療用被覆材、衣料材料、包装材料、衛生材料等に幅広く利用することができる。
【0022】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。
尚、実施例中、「部」、「%」とあるのは、特にことわりのない限り重量基準を示す。
実施例1
オキシアルキレン基含有量14重量%、ケン化度93モル%、重量平均重合度530、見かけの溶融粘度ηAが1000Pa・sの変性ポリビニルアルコール系樹脂(A)と見かけの溶融粘度ηBが1100Pa・sの低密度ポリエチレン(三菱化学(株)製、「LF225M」)(B)を(A)/(B)=50/50(重量比)の割合で二軸押出機(プラスチック工学研究所製、BT−30−S2−42−L、径30mm)に一括供給して220℃にて溶融混合して混合樹脂ペレットを得た。(│logηA−logηB│=│3−3.04│=0.04)
なお、見かけの溶融粘度は、(株)東洋精機製作所のキャピログラフPMD−Cを用い、キャピラリー径=1mm,キャピラリー長=10mmの条件で測定した。
【0023】
次に、得られた該ペレットを成型用押出機(田辺プラスチック機械(株)製、VS40)に供給して、ダイ温度;220℃、スクリュー回転数;30rpm、ダイ幅;400mmのコートハンガーダイを用いて厚さ30μmの押出し成形フィルムを得た。
次いで該フィルムを80℃の温水浴中に30分間浸漬させて(A)を溶出させて、平均直径3μmの孔を有する多孔質フィルムを得た。
該孔の直径は得られた多孔質フィルムの断面を走査型電子顕微鏡(日本電子社製、JST−5200)を用いて調べた。
また、得られた多孔質フィルムの透湿度をJIS Z 0208に準じて40℃、90%RHの条件で測定した。
更に、(A)を溶出させた溶液(廃液)の状況も調べた。
【0024】
実施例2
実施例1において、(A)と(B)の混合重量比を(A)/(B)=30/70(重量比)とした以外は同様に行い、同様に評価を行った。(│logηA−logηB│=│3−3.04│=0.04)
【0025】
実施例3
実施例1において、(A)と(B)の混合重量比を(A)/(B)=70/30(重量比)とした以外は同様に行い、同様に評価を行った。(│logηA−logηB│=│3−3.04│=0.04)
【0026】
実施例4
実施例1において、(A)成分をオキシアルキレン基含有量14重量%、ケン化度93モル%、重量平均重合度390、見かけの溶融粘度ηAが350Pa・sの変性ポリビニルアルコール系樹脂とした以外は同様に行い、同様に評価を行った。(│logηA−logηB│=│2.54−3.04│=0.50)
【0027】
実施例5
実施例1において、(B)成分を見かけの溶融粘度ηBが350Pa・sの低密度ポリエチレン(三菱化学(株)製、「LF625M」)とした以外は同様に行い、同様に評価を行った。(│logηA−logηB│=│3−2.54│=0.46)
【0028】
実施例6
実施例1において、(B)成分を見かけの溶融粘度ηBが2000Pa・sの非結質ナイロン(三菱化学(株)製、「Novamid X21」)とした以外は同様に行い、同様に評価を行った。(│logηA−logηB│=│3−3.30│=0.30)
【0029】
実施例7
実施例1において、(B)成分を見かけの溶融粘度ηBが500Pa・sのポリエステル樹脂(日本合成化学工業(株)製、「フレクマー G−142」)とした以外は同様に行い、同様に評価を行った。(│logηA−logηB│=│3−2.70│=0.30)
【0030】
実施例8
実施例1において、(B)成分を見かけの溶融粘度ηBが1100Pa・sでエチレン含有量44モル%、ケン化度99.9モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物とした以外は同様に行い、同様に評価を行った。(│logηA−logηB│=│3−3.04│=0.04)
【0031】
比較例1
実施例1において、(A)と(B)の混合重量比を(A)/(B)=10/90(重量比)とした以外は同様に行い、同様に評価を行った。(│logηA−logηB│=│3−3.04│=0.04)
【0032】
比較例2
実施例1において、(A)と(B)の混合重量比を(A)/(B)=90/10(重量比)とした以外は同様に行い、同様に評価を行った。(│logηA−logηB│=│3−3.04│=0.04)
【0033】
比較例3
実施例5において、(A)成分をオキシアルキレン基含有量14モル%、ケン化度93モル%、重量平均重合度670、見かけの溶融粘度ηAが2800Pa・sの変性ポリビニルアルコール系樹脂とした以外は同様に行い、同様に評価を行った。(│logηA−logηB│=│3.45−2.54│=0.91)
実施例及び比較例で得られた多孔質フィルムの孔の平均直径及び評価結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】
本発明においては、特定の溶融粘度指数を有する溶融成形可能な水溶性高分子及び熱可塑性樹脂を混合して溶融成形物とした後、該成形物を水と接触させて該水溶性高分子を除去しているため、従来の如く溶剤を使用することなく、平均孔径が0.5〜5μm程度の良好な孔を有した多孔質成形物を得ることができ、更には製造後の廃液も良好な水溶性を有しているため廃液処理も簡便であり、医療用被覆材、衣料材料、包装材料、衛生材料用途等の溶融成形物の製造に有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂の多孔質成形物の製造法に関し、更に詳しくは透湿性、ガス透過性等に優れたポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等の熱可塑性樹脂の多孔質成形物の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、高分子多孔質シートは、医療用被覆材、衣料材料、包装材料、衛生材料等に幅広く利用されており、その製造方法としては▲1▼熱可塑性樹脂に無機塩粉末等を練り込んで膜状として該無機塩を溶剤で溶解抽出する方法、▲2▼高分子溶液を溶媒とは相溶して該高分子を溶解させない溶剤中に押出す方法(特開平3−185028号公報)、▲3▼高分子溶液から得た膜に凝固溶剤を微粒子状態で接触させて相転移を起こさせる方法(特開平6−80817号公報)等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の如何なる技術も、高分子溶液や孔部分の充填物を溶出させるために溶剤を使うことが必要で、昨今の環境問題を考慮すれば溶剤の不使用が望まれるところであり、更には溶剤回収のための設備や装置も必要となり製造コストの上昇を招く。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、かかる事情に鑑みて鋭意研究した結果、下式を満足する溶融成形可能な水溶性高分子(A)及び熱可塑性樹脂(B)を混合重量比(A)/(B)=75/25〜20/80で混合して溶融成形物を得た後、該成形物を水と接触させて水溶性高分子(A)を除去することにより、従来の如く溶剤を使うことなく、透湿性、ガス透過性等に優れた多孔質成形物が得られるという事実を見いだし、本発明の完成に至った。
│logηA−logηB│≦0.7
(但し、ηA及びηBは(A)及び(B)の230℃、剪断速度102sec−1での見かけの溶融粘度(Pa・s)を表す。)
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の溶融成形可能な水溶性高分子(A)とは、水溶性で溶融成形が可能な樹脂であれば特に限定されず、ポリビニルアルコール系樹脂、変性澱粉、ポリエチレンオキサイド等が挙げられ、特にポリビニルアルコール系樹脂が好ましく特にオキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂が好適に用いられる。
かかるポリビニルアルコール系樹脂は、下記化1で示されるオキシアルキレン基を含有するポリビニルアルコール系樹脂で、より具体的には化1で示されるオキシアルキレン基を含有するエチレン性不飽和モノマーと酢酸ビニルとの共重合体をケンすることによって得られる。
【0006】
【化1】
(但し、R1、R2は水素又はアルキル基(特にメチル基又はエチル基)、Xは水素、アルキル基、アルキルエステル基、アルキルアミド基、スルホン酸塩基等の有機残基、nは正の整数)
【0007】
オキシアルキレン基を含有するエチレン性不飽和モノマーの具体例としては、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル等が挙げられる。オキシアルキレン単位の付加モル数を示すnは、いずれの場合も1〜300程度であり、特にnが5〜50程度が好ましい。上記の中では、ポリオキシエチレンアリルエーテルが実用的である。
【0008】
オキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂は上述のようなオキシアルキレン基を含有するエチレン性不飽和モノマーと酢酸ビニルとを共重合した後、ケン化することにより得られる。ケン化に当たっては共重合体をアルコールに溶解しアルカリ触媒の存在下に行なわれる。アルコールとしてはメタノール、エタノール、ブタノール等が挙げられる。アルコール中の共重合体の濃度は20〜50重量%の範囲から選ばれる。ケン化触媒としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒を用いる。かかる触媒の使用量はビニルエステルに対して1〜100ミリモル当量にすることが必要である。又、酸触媒を用いてケン化を行っても特に差し支えない。
【0009】
酢酸ビニル成分のケン化度は50〜100モル%が好ましく、更には60〜100モル%が好ましく、特に好ましくは70〜100モル%で、重量平均重合度は200〜2500が好ましく、更には250〜2300が好ましく、特に好ましくは300〜2000の範囲で、ケン化度が50モル%未満では水溶性や熱安定性が低下し、また重量平均重合度が200未満では造膜性が低下して溶融成形不能となり、逆に2500を越えると粘度が高くなり過ぎて溶融成形性が低下して好ましくない。
ケン化により得られたオキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂中のオキシアルキレン基の含有量は1〜50重量%、特に2〜45重量%、なかんずく5〜40重量%とすることが好ましい。その含有量が1重量%未満では溶融成形性が低下し、逆に50重量%を越えると熱安定性が悪くなって好ましくない。
【0010】
尚、上記重合に際しては、他のモノマーとして、酢酸ビニル以外のビニルエステル、アルキルビニルエーテル、アルキルアリルエーテル、エチレン性不飽和カルボン酸又はそのエステル・塩・無水物・α−オレフィン、塩化ビニル等を30モル%以下程度であれば存在させてもよい。
オキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂は場合により、ポリビニルアルコールに対するアルキレンオキシドの反応、あるいはポリオキシアルキレングリコールに対する酢酸ビニルの重合及びそれに引き続くケン化によっても取得できる。
【0011】
更に、上記オキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂の見かけの溶融粘度ηAは後述するが如き熱可塑性樹脂(B)の溶融粘度ηBとの関係│logηA−logηB│≦0.7を満足することが必須であるが、通常は230℃、剪断速度102sec−1における(以下、特に断りのない限り同様)見かけの溶融粘度は10〜10000Pa・sであることが好ましく、更には20〜9000Pa・sであることが好ましく、かかるηAが10Pa・s未満では造膜性に乏しく、逆に10000Pa・sを越えると溶融成形性が低下して好ましくない。
【0012】
次に本発明の熱可塑性樹脂(B)は、上記の溶融成形可能な水溶性高分子(A)と完全に相溶せずに溶融混合することが可能な熱可塑性樹脂であれば特に限定されず、例えばポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられ、中でもポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物が好適に用いられる。
【0013】
ポリオレフィン系樹脂の具体例としては高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、酢酸ビニル,アクリル酸エステル或いはブテン,ヘキセン,4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィン類を共重合したポリエチレン、ポリプロピレンホモポリマー、エチレンをグラフト共重合したポリプロピレン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィン類を共重合したポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、及び上記ポリオレフィンに不飽和カルボン酸やその酸無水物,ビニルシラン系化合物,エポキシ基含有化合物等を共重合或いはグラフト重合してなる変性ポリオレフィン系樹脂などが挙げられ、好ましくは高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンが用いられる。
【0014】
ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレート)、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンアジペート共重合体、ポリブチレンテレフタレート/ポリブチレンアジペート共重合体、ポリブチレンテレフタレート/ポリテトラメチレングリコール共重合体、ポリエチレンテレフタレート/ポリテトラメチレングリコール共重合体、ポリブチレンテレフタレート/ポリカプロラクトン共重合体、ポリエチレンテレフタレート/ポリカプロラクトン共重合体等が用いられる。
【0015】
ポリアミド系樹脂としては、ホモポリアミド及びコポリアミドが挙げられ、ホモポリアミドとしてはポリカプラミド(ナイロン6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロン9)、ポリウンデカナミド(ナイロン11)、ポリラウリンラクタム(ナイロン12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン2,6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン4,6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6,6)、ポリヘキサメチレンセパカミド(ナイロン6,10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン6,12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン8,6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン10,6)、ポリドデカメチレンセパカミド(ナイロン10,8)等が挙げられ、コポリアミドとしてはカプロラクタム/ラウリンラクタム共重合体、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体、カプロラクタム/ラウリンラクタム共重合体、ラウリンラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体、ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセパケート共重合体、エチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセパケート共重合体、テレフタル酸/イソフタル酸/ヘキサメチレンジアミン共重合体(非晶質ナイロン)、m−キシリレンアジパミド等が挙げられ、好ましくはテレフタル酸/イソフタル酸/ヘキサメチレンジアミン共重合体(非晶質ナイロン)、m−キシリレンアジパミド、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン6,12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体、カプロラクタム/ラウリンラクタム共重合体が用いられる。
【0016】
エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物としては、エチレン含有量20〜60モル%、ケン化度70〜100モル%のものが好ましく、更にはエチレン含有量25〜55モル%、ケン化度80〜100モル%のものが好適に用いられる。
かかる熱可塑性樹脂(B)の見かけの溶融粘度ηBも溶融成形可能な水溶性高分子(A)の見かけの溶融粘度ηAとの関係│logηA−logηB│≦0.7を満足することが必須であるが、通常は10〜10000Pa・sであることが好ましく、更には20〜9000Pa・sであることが好ましく、かかるηAが10Pa・s未満では造膜性に乏しく、逆に10000Pa・sを越えると溶融成形性が低下して好ましくない。
【0017】
上記の(A)と(B)の混合重量比は(A)/(B)=75/25〜20/80(好ましくは(A)/(B)=70/30〜30/70)で、(A)/(B)が75/25より大きくなると、(B)がドメインを形成して多孔質膜を得ることが困難となり、逆に20/80より小さくなると、(B)がマトリクスとなって水で(A)を除去できなくなり不適である。
【0018】
更に本発明では、上記の(A)及び(B)の見かけの溶融粘度の関係が重要で、(A)及び(B)の見かけの溶融粘度をηA及びηBとする時、│logηA−logηB│≦0.7(好ましくは│logηA−logηB│≦0.5)の関係を満足する必要がある。
すなわち、│logηA−logηB│>0.7の時は、粘度が低い成分がマトリクスとなり本発明の目的である多孔質成形物を得ることが不可能となる。
【0019】
上記の(A)及び(B)を混合して溶融成形物を得る方法としては特に限定されず公知の方法が採用され得る。
例えば、(A)と(B)を混合する方法としては、ドライブレンド、溶融ブレンド等の公知の混合方法を採用することができ、また溶融成形物を得るには、公知の溶融成形方法、例えば押出成形法、射出成形法、ブロー成形法等が採用できる。
以下、押出成形機による押出成形法について具体的に説明するが、本発明はこの方法に限定されるものではない。
【0020】
ドライブレンドや溶融ブレンド等で得られた(A)と(B)の混合物を押出成形機(例えば、田辺プラスチックス機械(株)製、VS40等)を用いて、ダイ温度190〜210℃で幅100〜2000mm程度のコートハンガーダイを用いて製膜を行い、厚さ10〜50μm程度(好ましくは25〜35μm)のフィルムを得るのである。
次いで得られたフィルムを20〜90℃程度(好ましくは30〜80℃)の(温)水浴中で水と接触させてフィルム中の(A)成分を溶出させるのである。
かかる(温)水浴中でのフィルムと(温)水との接触時間は、(A)及び(B)の混合組成やフィルム厚さにより一概に断言できないが、0.5〜120分程度が好ましく、更には1〜100分程度である。
【0021】
以上フィルムの成形物について述べてきたが、(A)成分を溶出させる前の成形物の形状をコントロールすることにより、粒子・粉末状の多孔質成形物、ソリッド状の多孔質成形物等を製造することも可能である。
かくして平均直径0.5〜5μm程度の孔を有する本発明の溶融成形物が得られ、本発明では、溶融成形物の目的・用途に応じて(B)成分を選択することにより、医療用被覆材、衣料材料、包装材料、衛生材料等に幅広く利用することができる。
【0022】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。
尚、実施例中、「部」、「%」とあるのは、特にことわりのない限り重量基準を示す。
実施例1
オキシアルキレン基含有量14重量%、ケン化度93モル%、重量平均重合度530、見かけの溶融粘度ηAが1000Pa・sの変性ポリビニルアルコール系樹脂(A)と見かけの溶融粘度ηBが1100Pa・sの低密度ポリエチレン(三菱化学(株)製、「LF225M」)(B)を(A)/(B)=50/50(重量比)の割合で二軸押出機(プラスチック工学研究所製、BT−30−S2−42−L、径30mm)に一括供給して220℃にて溶融混合して混合樹脂ペレットを得た。(│logηA−logηB│=│3−3.04│=0.04)
なお、見かけの溶融粘度は、(株)東洋精機製作所のキャピログラフPMD−Cを用い、キャピラリー径=1mm,キャピラリー長=10mmの条件で測定した。
【0023】
次に、得られた該ペレットを成型用押出機(田辺プラスチック機械(株)製、VS40)に供給して、ダイ温度;220℃、スクリュー回転数;30rpm、ダイ幅;400mmのコートハンガーダイを用いて厚さ30μmの押出し成形フィルムを得た。
次いで該フィルムを80℃の温水浴中に30分間浸漬させて(A)を溶出させて、平均直径3μmの孔を有する多孔質フィルムを得た。
該孔の直径は得られた多孔質フィルムの断面を走査型電子顕微鏡(日本電子社製、JST−5200)を用いて調べた。
また、得られた多孔質フィルムの透湿度をJIS Z 0208に準じて40℃、90%RHの条件で測定した。
更に、(A)を溶出させた溶液(廃液)の状況も調べた。
【0024】
実施例2
実施例1において、(A)と(B)の混合重量比を(A)/(B)=30/70(重量比)とした以外は同様に行い、同様に評価を行った。(│logηA−logηB│=│3−3.04│=0.04)
【0025】
実施例3
実施例1において、(A)と(B)の混合重量比を(A)/(B)=70/30(重量比)とした以外は同様に行い、同様に評価を行った。(│logηA−logηB│=│3−3.04│=0.04)
【0026】
実施例4
実施例1において、(A)成分をオキシアルキレン基含有量14重量%、ケン化度93モル%、重量平均重合度390、見かけの溶融粘度ηAが350Pa・sの変性ポリビニルアルコール系樹脂とした以外は同様に行い、同様に評価を行った。(│logηA−logηB│=│2.54−3.04│=0.50)
【0027】
実施例5
実施例1において、(B)成分を見かけの溶融粘度ηBが350Pa・sの低密度ポリエチレン(三菱化学(株)製、「LF625M」)とした以外は同様に行い、同様に評価を行った。(│logηA−logηB│=│3−2.54│=0.46)
【0028】
実施例6
実施例1において、(B)成分を見かけの溶融粘度ηBが2000Pa・sの非結質ナイロン(三菱化学(株)製、「Novamid X21」)とした以外は同様に行い、同様に評価を行った。(│logηA−logηB│=│3−3.30│=0.30)
【0029】
実施例7
実施例1において、(B)成分を見かけの溶融粘度ηBが500Pa・sのポリエステル樹脂(日本合成化学工業(株)製、「フレクマー G−142」)とした以外は同様に行い、同様に評価を行った。(│logηA−logηB│=│3−2.70│=0.30)
【0030】
実施例8
実施例1において、(B)成分を見かけの溶融粘度ηBが1100Pa・sでエチレン含有量44モル%、ケン化度99.9モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物とした以外は同様に行い、同様に評価を行った。(│logηA−logηB│=│3−3.04│=0.04)
【0031】
比較例1
実施例1において、(A)と(B)の混合重量比を(A)/(B)=10/90(重量比)とした以外は同様に行い、同様に評価を行った。(│logηA−logηB│=│3−3.04│=0.04)
【0032】
比較例2
実施例1において、(A)と(B)の混合重量比を(A)/(B)=90/10(重量比)とした以外は同様に行い、同様に評価を行った。(│logηA−logηB│=│3−3.04│=0.04)
【0033】
比較例3
実施例5において、(A)成分をオキシアルキレン基含有量14モル%、ケン化度93モル%、重量平均重合度670、見かけの溶融粘度ηAが2800Pa・sの変性ポリビニルアルコール系樹脂とした以外は同様に行い、同様に評価を行った。(│logηA−logηB│=│3.45−2.54│=0.91)
実施例及び比較例で得られた多孔質フィルムの孔の平均直径及び評価結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】
本発明においては、特定の溶融粘度指数を有する溶融成形可能な水溶性高分子及び熱可塑性樹脂を混合して溶融成形物とした後、該成形物を水と接触させて該水溶性高分子を除去しているため、従来の如く溶剤を使用することなく、平均孔径が0.5〜5μm程度の良好な孔を有した多孔質成形物を得ることができ、更には製造後の廃液も良好な水溶性を有しているため廃液処理も簡便であり、医療用被覆材、衣料材料、包装材料、衛生材料用途等の溶融成形物の製造に有用である。
Claims (3)
- 下式を満足する溶融成形可能な水溶性高分子(A)及び熱可塑性樹脂(B)を混合重量比(A)/(B)=75/25〜20/80で混合して溶融成形物を得た後、該成形物を水と接触させて水溶性高分子(A)を除去することを特徴とする多孔質成形物の製造法。
│logηA−logηB│≦0.7
(但し、ηA及びηBは(A)及び(B)の230℃、剪断速度102sec−1での見かけの溶融粘度(Pa・s)を表す。) - 溶融成形可能な水溶性高分子(A)がオキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする請求項1記載の多孔質成形物の製造法。
- 熱可塑性樹脂(B)がポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2記載の多孔質成形物の製造法。
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