JP3565576B2 - 液体輸送用ホースラインの異常検出方法及び装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、液体輸送用ホースラインの異常検出方法及び装置に係わり、更に詳しくは海上に係船されているタンカーと、陸上に設置されたタンクとを接続し、石油等の荷積み、或いは荷卸し時に使用される液体輸送用ホースラインの異常検出方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、海上に係船されているタンカーと、陸上に設置されたタンクとを接続し、石油等の荷積み、或いは荷卸し時に使用される液体輸送用ホースラインは、所定の長さのホース本体を多数本連結させて構成されている。
上記のようなホースラインに使用されるホース本体は、例えば、図5に示すように、ホース本体21の両端にホース相互を連結するためのフランジ状の口金22が設けられている。
【0003】
ホース本体21の構成は、最内層に配置されるゴムチューブ層23上に、流体を保持する本体耐圧コード層24と、この本体耐圧コード層24の外側に、外圧によるホースの崩れを防止すると共に、本体耐圧コード層24を補強する補助耐圧コード層25と、その外側に配設されたカバーゴム層26とで一体的に形成されている。
【0004】
前記本体耐圧コード層24は、撚り合わせた繊維コードやスチールコード等の補強コード24aをゴム被覆し、これをホース本体21の長手方向に対して互いに交差するように傾斜させて配列させてある。
また、前記フランジ状の口金22は、その円筒部22aの外周面に、周方向に沿ってホース本体21を取付けるためのリング部22bが一体的に設けられている。ホース本体21と口金22との連結接合は、本体耐圧コード層24の端部に設けられた締結ワイヤ24a及び補助耐圧コード層25の端部ワイヤ25aにより、ホース本体21の端部が前記リング部22b間に固定されると共に、接着接合されている。
【0005】
ところで、上記のような油等を輸送するホースライン用のホースは、ホース本体21の相互を連結する連結作業や、油の圧送時及び荒天時等に撓曲されると共に、手荒な取扱を受けるために、激しい水激や繰返し衝撃荷重,引張り荷重等を受けてホース本体21に亀裂等の損傷が発生し、その結果として、ホース本体21から油の流出して周辺の海域を汚染すると言う問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする問題点】
そこで、従来ではホース本体21に亀裂等の損傷が発生し、油漏れが生じた場合に、油の漏洩したホースの一部を膨張,膨出させて目視により検出し、油が海域に流出しないように未然に防止するホースやホースラインの発明が提案されている(特開昭50−144124号公報,特開昭54−163423号公報)。
【0007】
然しながら、上記のような検出方法は、目視によってホースの損傷を検出するため、検出遅れや、検出が不確実であると言う問題があった。
また、ホースラインのホース本体に、電気的に油の漏洩を検出する装着等も提案されているが、この検出装置は、検出状態を電波で送信するような構成となっているため、装置全体が複雑で、高価となる問題あった。
【0008】
この発明は、かかる従来の課題に着目して案出されたもので、ホース本体に亀裂等が生じてホース本体内で油漏れが生じた場合に、確実に検出出来ると共に、迅速に検出が出来、更に構成が簡単で安価に実施出来る液体輸送用ホースラインの異常検出方法及び装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためのこの発明の異常検出方法は、流体を保持する本体耐圧コード層と、本体耐圧コード層の外側に設けた補助耐圧コード層と、本体耐圧コード層と補助耐圧コード層との間に本体耐圧コード層から漏洩した流体が流入する流出流体吸収層とを備えたホース本体を、該ホース本体の両端に設けた口金を介して互いに連結して成る液体輸送用のホースラインの異常検出方法であって、前記ホースラインに沿って流体漏洩監視装置と接続する光ファイバーケーブル本体を配設し、この光ファイバーケーブル本体に、各ホース本体に埋設した流体漏洩検知手段を備えた光ファイバーケーブルを接続し、前記流体漏洩検知手段が、流出流体吸収層に流入した流体の腐食作用により光ファイバーケーブルの破損を検出することを要旨とするものである。
また、この発明の異常検出装置は、流体を保持する本体耐圧コード層と、本体耐圧コード層の外側に設けた補助耐圧コード層と、本体耐圧コード層と補助耐圧コード層との間に本体耐圧コード層から漏洩した流体が流入する流出流体吸収層とを備えたホース本体を、該ホース本体の両端に設けた口金を介して互いに連結して成る液体輸送用のホースラインの異常検出装置であって、前記ホースラインに沿って流体漏洩監視装置と接続する光ファイバーケーブル本体を配設し、この光ファイバーケーブル本体に、各ホース本体に埋設した流体漏洩検知手段を備えた光ファイバーケーブルを接続し、前記流体漏洩検知手段が、(1)本体耐圧コード層から漏洩した流体が光ファイバーケーブルに設けた隙または孔より浸入して光ファイバーケーブルの光路を遮断するようにした、又は(2)流出流体吸収層に流体が流入することによって生じるホース本体の変形に基づき光ファイバーケーブルに設置したギャップが広がり、受光量が減少して異常を検出する、ことを要旨とするものである。
【0010】
前記流体漏洩検知手段としては、流出流体吸収層に流体が流入することによって生じるホース本体の変形に基づく光ファイバーケーブルの破損を検出する手段、流出流体吸収層に流入した流体の腐食作用により光ファイバーケーブルの破損を検出する手段、本体耐圧コード層から漏洩した流体が光ファイバーケーブルに設けた隙または孔より浸入して光ファイバーケーブルの光路を遮断する手段、本体耐圧コード層から漏洩した流体が流出流体吸収層に流入することによって生じるホース本体の変形に基づく光ファイバーケーブルを設置したギャップが広がり、受光量が減少して異常を検出する手段等が考えられる。
【0011】
【発明の作用】
この発明は上記のように構成され、流体の輸送時にホースラインのホース本体の一部が損傷して流体が流出流体吸収層に浸入すると、1軸の光ファイバーケーブルの光路の一部分を流体により切断または遮断され、これを流体漏洩検知手段が検出し、そして流体漏洩検知手段と接続する流体漏洩監視位置において光の遮断若しくは光量の減少による異常を確認することにより、ホースラインのホース本体の異常を検出するものである。
これにより、ホース本体内で油漏れが生じた場合に、それを確実に検出出来ると共に、迅速よ検出が出来るものである。
【0012】
【発明の実施例】
以下、添付図面に基づき、この発明の実施例を説明する。
なお、従来例と同一構成要素は、同一符号を付して説明は省略する。
図1は、この発明を実施した液体輸送用ホースラインの概略構成図を示し、このホースライン1は、所定の長さに形成された複数本のホース本体2を、その両端に設けたフランジ状の口金3を介して連結されている。
【0013】
前記ホース本体2は海底Gに敷設され、その一端は地上に設置された流体漏洩監視装置の制御装置12を備えた接続部材13に連結され、また他端側は図示しない海上に停船されたタンカー等の輸送船と接続されている。なお、Wは海面を示している。
前記複数本のホース本体2を接続したホースライン1に沿って1軸の光ファイバーケーブル本体14が取付けられ、また各ホース本体2内には、図2に示すようにループ状の光ファイバーケーブル15が埋設され、光ファイバーケーブル15は光ファイバーケーブル本体14に接続されている。
【0014】
前記ホース本体2は、図2に示すように最内層にアクリロニトル・ブタジエンゴム(NBR)等から構成されるゴムチューブ層4が配設され、その上に、ホース本体2内を通過する油等の流体を保持する本体耐圧コード層5が配設されている。
そして、この本体耐圧コード層5の外側に、NBR等から成る中間ゴム層6を介して、前記ゴムチューブ層4と本体耐圧コード層5とから漏洩する流体を保持することが可能な補助耐圧コード層7が配設され、この補助耐圧コード層7上に、ホース本体2をカバーするためのスチレン・ブタジエンゴム(SBR)等から成るカバーゴム層9が施されて一体的に構成されている。
【0015】
また、前記本体耐圧コード層5と補助耐圧コード層7に接着成形された中間ゴム層6との間には、ゴムチューブ層4と本体耐圧コード層5とから漏洩した流体が流れ込み滞留する液密性を有する流出流体吸収層10が設けられている。
この流出流体吸収層10は、本体耐圧コード層5と中間ゴム層6とにより形成される空間部か、またはゴムチューブ層4と本体耐圧コード層5とから漏洩した流体の圧力により剥離する程度に密着しており、漏洩した流体の流入時に本体耐圧コード層5と中間ゴム層6との密着面が剥離して空間部を形成するようになっている。
【0016】
そして、この発明の実施例では、本体耐圧コード層5と中間ゴム層6とにより形成される流出流体吸収層10の空間部に、前記ループ状の光ファイバーケーブル15が埋設され、この光ファイバーケーブル15の途中には、図3に示すような流体漏洩検知手段16が設けられている。
この流体漏洩検知手段16は、図3に示すように、ループ状の光ファイバーケーブル15の一部を切断して、その各端末部15a,15bを断面凹状のギャップホルダー17にそれぞれ相対向させて取付け、ケーブルの端末部15a,15b間の光路には所定の間隔でギャップHを設けてある。
【0017】
また、ループ状の光ファイバーケーブル15は、図4に示すように制御装置12の発光素子18と受光素子19とに接続され、ホース本体2の全体が何らかの外力により変形した場合、その変形力により前記流体漏洩検知手段16の光ファイバーケーブル15の各端末部15a,15bを取付けたギャップホルダー17のギャップHが広がり、光路の距離が大きくなって受光量が減少した異常を制御装置12により検出するものである。
【0018】
また、ホース本体2の内部に亀裂等が生じて流体が流出流体吸収層10の空間部に流入し、その流入した流体が光ファイバーケーブル15の各端末部15a,15bの光路の微少なギャップH間に浸入した場合にも、光路が遮断されて、光量の減少によりホース本体2の異常を検出することも可能である。
更に、ホース本体2の内部に亀裂等が生じて流体が流出流体吸収層10の空間部に流入し、その流入した流体により予め流出流体吸収層10内に内装した液体膨潤物質により光ファイバーケーブル15の各端末部15a,15bの光路の微少なギャップHを遮断することにより、ホース本体2の異常を検出することも可能である。
【0019】
また、流体漏洩検知手段16の他の実施例としては、一本のループ状の光ファイバーケーブル15を流出流体吸収層10の空間部に配設し、ホース本体2の全体が何らかの外力により変形した場合、その変形力により光ファイバーケーブル15の一部が切断して光路が遮断されることにより、ホース本体2の異常を検出することも可能である。
【0020】
更に、ホース本体2の内部に亀裂等が生じて流体が流出流体吸収層10の空間部に流入し、その流入した流体により、光ファイバーケーブル15の一部が腐食して切断し、これにより光路が遮断されることにより、ホース本体2の異常を検出することも可能である。
なお、前記制御装置12の発光素子18は、ホース本体2の長さが長い場合には、安価な発光ダイオードで良く、また距離が長い時には、半導体レーザを使用して光量の減衰を防止するものである。
【0021】
以上のように、この発明の実施例では、流体の輸送時にホースライン1のホース本体2の一部が損傷して流体が流出流体吸収層10に浸入すると、1軸の光ファイバーケーブル15の光路の一部分を流体により切断または遮断され、これを流体漏洩検知手段16が検出し、そして流体漏洩検知手段16と接続する流体漏洩監視装置に設けた制御装置12において光の遮断若しくは光量の減少による異常を確認することにより、ホースライン1のホース本体2の異常を検出するものである。これにより、ホース本体内で油漏れが生じた場合に、それを確実に検出出来ると共に、迅速よ検出が出来るものである。
【0022】
【発明の効果】
この発明は、上記のように流体を保持する本体耐圧コード層と、本体耐圧コード層の外側に設けた補助耐圧コード層と、本体耐圧コード層と補助耐圧コード層との間に本体耐圧コード層から漏洩した流体が流入する流出流体吸収層とを備えたホース本体を、該ホース本体の両端に設けた口金を介して互いに連結して成る液体輸送用のホースラインの異常検出方法及び装置であって、前記ホースラインに沿って流体漏洩監視装置と接続する光ファイバーケーブル本体を配設し、この光ファイバーケーブル本体に、各ホース本体に埋設した流体漏洩検知手段を備えた光ファイバーケーブルを接続したので、以下のような優れた効果を奏するものである。
(a).ホース本体に亀裂等が生じてホース本体内で油漏れが生じた場合に、確実に検 出出来ると共に、迅速に検出が出来る。
(b).異常検出手段としてループ状の光ファイバーケーブルを使用するため、線は一 本でよく、検出部分が単純で安価に実施出来る。
(c).ホース本体の数が増加しても光ファイバーケーブルを切り替えれば良く、制御 装置は1台ですみ、構成が簡単で安価となる。
(d).検出部分の構造が簡単で、しかも単純であるので、小型化でき製品に取付ける 方法が多様となる。
(e).光を使用した検出手段を用いるので、発火性の高いオイル等の流体輸送用のホ ースラインに使用する場合には、安全で最適なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を実施した液体輸送用ホースラインの概略構成図である。
【図2】この発明を実施したホース本体の一部半断面図である。
【図3】流体漏洩検知手段の1実施例を示す説明図である。
【図4】光ファイバーケーブルの制御装置の説明図である。
【図5】従来の液体輸送用ホースラインのホース本体の一部半断面図である。
【符号の説明】
1 ホースライン 2 ホース本体
3 フランジ状の口金 10 流出流体吸収層
12 制御装置 14 光ファイバーケーブル本体
15 光ファイバーケーブル 16 流体漏洩検知手段
H ケーブルの端末部のギャップ
Claims (3)
- 流体を保持する本体耐圧コード層と、本体耐圧コード層の外側に設けた補助耐圧コード層と、本体耐圧コード層と補助耐圧コード層との間に本体耐圧コード層から漏洩した流体が流入する流出流体吸収層とを備えたホース本体を、該ホース本体の両端に設けた口金を介して互いに連結して成る液体輸送用のホースラインの異常検出方法であって、前記ホースラインに沿って流体漏洩監視装置と接続する光ファイバーケーブル本体を配設し、この光ファイバーケーブル本体に、各ホース本体に埋設した流体漏洩検知手段を備えた光ファイバーケーブルを接続し、前記流体漏洩検知手段が、流出流体吸収層に流入した流体の腐食作用により光ファイバーケーブルの破損を検出する液体輸送用ホースラインの異常検出方法。
- 流体を保持する本体耐圧コード層と、本体耐圧コード層の外側に設けた補助耐圧コード層と、本体耐圧コード層と補助耐圧コード層との間に本体耐圧コード層から漏洩した流体が流入する流出流体吸収層とを備えたホース本体を、該ホース本体の両端に設けた口金を介して互いに連結して成る液体輸送用のホースラインの異常検出装置であって、前記ホースラインに沿って流体漏洩監視装置と接続する光ファイバーケーブル本体を配設し、この光ファイバーケーブル本体に、各ホース本体に埋設した流体漏洩検知手段を備えた光ファイバーケーブルを接続し、前記流体漏洩検知手段が、本体耐圧コード層から漏洩した流体が光ファイバーケーブルに設けた隙または孔より浸入して光ファイバーケーブルの光路を遮断するようにした液体輸送用ホースラインの異常検出装置。
- 流体を保持する本体耐圧コード層と、本体耐圧コード層の外側に設けた補助耐圧コード層と、本体耐圧コード層と補助耐圧コード層との間に本体耐圧コード層から漏洩した流体が流入する流出流体吸収層とを備えたホース本体を、該ホース本体の両端に設けた口金を介して互いに連結して成る液体輸送用のホースラインの異常検出装置であって、前記ホースラインに沿って流体漏洩監視装置と接続する光ファイバーケーブル本体を配設し、この光ファイバーケーブル本体に、各ホース本体に埋設した流体漏洩検知手段を備えた光ファイバーケーブルを接続し、前記流体漏洩検知手段が、流出流体吸収層に流体が流入することによって生じるホース本体の変形に基づき光ファイバーケーブルに設置したギャップが広がり、受光量が減少して異常を検出する液体輸送用ホースラインの異常検出装置。
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