JP3565528B2 - 多彩模様形成用塗料の塗料配合決定装置および多彩模様形成用塗料の塗料配合決定方法 - Google Patents

多彩模様形成用塗料の塗料配合決定装置および多彩模様形成用塗料の塗料配合決定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、多彩模様形成用塗料の塗料配合決定装置および多彩模様形成用塗料の塗料配合決定方法、特に、多数の色彩からなる多彩模様塗膜を実現するために用いられる、限定された数色種類の着色塗料粒子を含む多彩模様形成用塗料を調製するに際し、上述の数色種類の着色塗料粒子の配合割合を決定するための塗料配合決定装置および塗料配合決定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
建築物の内壁および外壁には、多彩模様塗膜による意匠が施される場合が多い。ここで、多彩模様塗膜とは、例えば、御影石などの砂岩調模様のように、多彩・多色の不均一な色模様の塗膜を云う。この種の多彩模様塗膜を形成するための多彩模様形成用塗料は、通常、媒体中に数種類の色の着色塗料粒子が浮かぶ構造を有するものであり、着色塗料粒子の配合割合を調整してスプレー塗装等することにより種々の意匠調の多彩模様塗膜を形成することができる。
【0003】
従来、上述のような多彩模様塗膜を形成する場合には、先ず、例えばコンピューターグラフィックなどの手法を用いて多彩模様塗膜を任意にデザインすることにより、或いは現物の砂岩模様を写真撮影することなどにより、所望の多彩模様塗膜のイメージを決定し、多彩模様形成用塗料の塗料設計者が当該イメージを目視しながら経験と勘とに基づいて着色塗料粒子の配合割合を決定し、目的とする多彩模様塗膜を実現するための多彩模様形成用塗料を調製している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような従来の多彩模様形成用塗料を調製する際には、着色塗料粒子の配合割合を幾種類かに設定した数種類の多彩模様形成用塗料を実際に調製してそれによる多彩模様塗膜を形成し、その評価を繰り返しながらイメージ通りの多彩模様塗膜が形成できるようにしている。しかし、このような方法は、塗料設計者の試行錯誤の繰り返しに負うところが大きく、イメージ通りの多彩模様塗膜を形成することができる多彩模様形成用塗料を実現するまでには膨大な手間と長時間を要する。
【0005】
本発明の目的は、イメージ通りの多彩模様塗膜を形成するための多彩模様形成用塗料の塗料配合を容易にかつ短時間で決定することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る多彩模様形成用塗料の塗料配合決定装置は、多数の色彩からなる多彩模様塗膜を実現するために用いられる、限定された数色種類の着色塗料粒子を含む多彩模様形成用塗料を調製するに際し、上述の数色種類の着色塗料粒子の配合割合を決定するためのものである。この装置は、形成しようとする多彩模様塗膜の画像を表示するための画像表示手段と、画像表示手段に表示された多彩模様塗膜の画像を構成する色の種類を解析するための色解析手段と、数色種類の着色塗料粒子の各色を基準として、色解析手段により解析された多彩模様塗膜の画像を構成する色の種類を近似する色同士でグループ分けし、色の種類を着色塗料粒子の色数と同数以下の色グループに圧縮するための色圧縮手段と、色圧縮手段によりグループ分けされた夫々の色グループについて、それが多彩模様塗膜の画像に占める面積比率を決定するための面積比率決定手段とを備えている。
【0007】
この装置において、画像表示手段は、例えば、多彩模様塗膜の画像を任意に作成するための画像作成手段を含んでいる。
【0008】
また、この装置において、画像表示手段は、例えば、多彩模様塗膜の画像を外部から取り込むための画像入力手段を含んでいる。
【0009】
さらに、この装置は、例えば、画像表示手段に表示された多彩模様塗膜の画像を構成する各色を対応する色グループの色に置き換えて多彩模様塗膜の画像を表示するための色圧縮後画像表示手段をさらに備えている。
【0010】
本発明に係る多彩模様形成用塗料の塗料配合決定方法は、多数の色彩からなる多彩模様塗膜を実現するために用いられる、限定された数色種類の着色塗料粒子を含む多彩模様形成用塗料を調製するに際し、当該数色種類の着色塗料粒子の配合割合を決定するための方法である。この方法は、形成しようとする多彩模様塗膜のイメージ画像を準備する画像準備工程と、イメージ画像を構成する色の種類を解析する色解析工程と、数色種類の着色塗料粒子の各色を基準として、色解析工程により解析された多彩模様塗膜のイメージ画像を構成する色の種類を近似する色同士でグループ分けし、色の種類を着色塗料粒子の色数と同数以下の色グループに圧縮するための色圧縮工程と、色圧縮工程によりグループ分けされた夫々の色グループについて、それが多彩模様塗膜の画像に占める面積比率を決定するための面積比率決定工程と、面積比率に基づいて、数色種類の着色塗料粒子の配合割合を決定するための配合割合決定工程とを含んでいる。
【0011】
この方法では、画像準備工程において、例えば、イメージ画像を任意に作成している。
【0012】
また、この方法では、画像準備工程において、例えば、イメージ画像として既存の多彩模様塗膜の画像を利用している。
【0013】
【作用】
本発明に係る多彩模様形成用塗料の塗料配合決定装置では、画像表示手段に表示された多彩模様塗膜の画像を構成する色の種類が色解析手段により解析される。これにより、当該画像が何種類の色により構成されているかかが判明する。次に、色解析手段により解析された色の種類は、色圧縮手段により近似する色同士でグループ分けされる。この際、解析された色は、多彩模様形成用塗料を構成するために用いられる限定された数種類の色の着色塗料粒子の各色を基準として、当該着色塗料粒子の色数と同数以下の色グループに分けられる。この結果、上述の画像の色数は、限定された数種類の色の着色塗料粒子の色数以下にまで圧縮、換言すると整理される。次に、このようにして得られた各色グループが上述の画像中に占める面積比率を面積比率決定手段が決定する。こうして得られた各色グループの面積比率に基づいて、各色グループに対応する色の着色塗料粒子を配合すると、目的とする多彩模様塗膜を実現するための多彩模様形成用塗料が調製される。
【0014】
なお、画像表示手段が上述の画像作成手段を含んでいる場合は、多彩模様塗膜を任意にデザインすることができ、このような任意にデザインした多彩模様塗膜を実現するための多彩模様形成用塗料の配合割合を決定することができる。
【0015】
また、画像表示手段が上述の画像入力手段を含んでいる場合は、既存の多彩模様塗膜と同様の多彩模様塗膜を実現するための多彩模様形成用塗料の配合割合を決定することができる。
【0016】
さらに、本発明の装置が上述の色圧縮後画像表示手段を備えている場合は、画像表示手段に表示された多彩模様塗膜の画像を構成する各色がそれに対応する色グループの色に置き換えられて表示される。したがって、この場合は、本発明の装置により配合割合が決定された多彩模様形成用塗料により形成され得る多彩模様塗膜のイメージを、実際の塗膜を形成することなく予め確認することができる。
【0017】
本発明に係る多彩模様形成用塗料の塗料配合決定方法では、画像準備工程で準備した多彩模様塗膜のイメージ画像を構成する色の種類を色解析工程で解析する。これにより、当該イメージ画像が何種類の色により構成されているか判明する。次に、色圧縮工程において、色解析工程で解析した色の種類を近似する色同士でグループ分けする。ここでは、多彩模様形成用塗料を構成するために用いられる限定された数種類の色の着色塗料粒子の各色を基準として、解析された色を着色塗料粒子の色数と同数以下の色グループにグループ分けする。この結果、上述のイメージ画像の色数は、限定された数種類の色の着色塗料粒子の色数以下にまで圧縮、換言すると整理されることになる。次に、このようにして得られた各色グループが上述のイメージ画像中に占める面積比率を決定する。こうして得られた各色グループの面積比率に基づいて、各色グループに対応する色の着色塗料粒子の配合割合を求めることができる。
【0018】
なお、画像準備工程においてイメージ画像を任意に作成する場合は、任意にデザインした多彩模様塗膜を実現するための多彩模様形成用塗料の配合割合を決定することができる。
【0019】
また、画像準備工程において既存の多彩模様塗膜の画像を利用する場合は、既存の多彩模様塗膜と同様の多彩模様塗膜を実現するための多彩模様形成用塗料の配合割合を決定することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明の実施の一形態に係る多彩模様形成用塗料の塗料配合決定装置の概略構成を示す。図において、塗料配合決定装置1は、中央処理装置(CPU)2、読み取り専用メモリー(ROM)3、ランダムアクセスメモリー(RAM)4および入出力ポート(I/Oポート)5を主に備えている。
【0021】
ROM3は、塗料配合決定装置1による塗料配合決定手順(プログラム)を記憶しており、CPU2に対して当該プログラムを指令するための装置である。また、RAM4は、所定の情報を記憶するための装置であり、必要に応じて記憶した情報をCPU2に対して提供する。I/Oポート5の入力側には、塗料配合決定装置1に対してオペレーターが所定の指令を入力するためのキーボード6およびマウス7、並びに既存の多彩模様塗膜の画像などを入力するためのカラースキャナーやカラーデジタルカメラなどの画像入力装置8が接続されている。また、I/Oポート5の出力側には、CRTやLCRなどの画像表示装置9と、カラープリンターなどの画像出力装置10とが接続されている。
【0022】
次に、図2から図6に示す動作フローチャートに従って、上述の塗料配合決定装置1による塗料配合決定動作を説明する。
【0023】
オペレーターがキーボード6またはマウス7を操作して塗料配合決定装置1の動作をスタートさせると、図2のステップS1において、塗料配合決定装置1が初期設定される。ここでは、例えばRAM4内に記憶された情報などが消去され、また、画像表示装置9に各種の動作指令メニューが表示される。なお、ここで画像表示装置9に表示される動作指令メニューは、例えば、「原料塗料の色彩情報入力」、「画像作成」、「画像読込み」、「配合割合決定」および「終了」などである。ステップS1が終了すると、塗料配合決定装置1は待機状態となる。
【0024】
この状態で、オペレーターが「原料塗料の色彩情報入力」を選択して指令を入力すると、プログラムはステップS2からステップS7に移行する。また、「画像作成」を選択して指令を入力すると、プログラムはステップS3からステップS8に移行する。さらに、「画像読込み」を選択して指令を入力すると、プログラムはステップS4からステップS9に移行する。さらに、「配合割合決定」を選択して指令を入力すると、プログラムはステップS5からステップS10に移行する。さらに、「終了」を選択して指令を入力すると、塗料配合決定装置1の動作が終了する。オペレーターがいずれの指令も入力しない場合、塗料配合決定装置1はそのまま待機状態を維持する。
【0025】
オペレーターが「原料塗料の色彩情報入力」を選択して指令を入力すると、プログラムは、上述のようにステップS2からステップS7に移行し、そこで図3に示す「原料塗料色彩情報記憶サブルーチン」を実行する。なお、ここで、「原料塗料」とは、多彩模様形成用塗料を構成する、数種類の色の着色塗料粒子を云う。
【0026】
「原料塗料色彩情報記憶サブルーチン」において、オペレーターが単一の原料塗料による着色塗膜を形成した塗板の色を画像入力装置8から入力すると、ステップS11において当該原料塗料の色情報を読み込む。ステップS12では、読み込んだ色情報を画像表示装置9に表示し、続いてステップS13では、当該色情報をRAM4に記憶する。なお、ここで記憶される色情報は、例えばRGB系やHSV系の数値データである。原料塗料が数種類ある場合、ステップS14においてオペレーターが「継続」を指令すると、プログラムは再びステップS11に戻り、他の原料塗料による塗板の色が画像入力装置8から入力されるのを待つ。オペレーターが他の原料塗料による塗板の色を画像入力装置8から入力すると、プログラムは再びステップS11〜S13を処理し、ステップS14に移行する。原料塗料が多数ある場合は、原料塗料の種類数だけ上述の操作を繰り返し、各原料塗料の色情報をRAM4に記憶する。例えば、原料塗料が4色ある場合は、上述の操作を4回繰り返し、4色それぞれの色情報をRAM4に記憶する。なお、ここでは、説明の便のため、青系の色A、赤系の色B、黄系の色Cおよび緑系の色Dの4色の原料塗料に関する色情報が記憶されたものとする。
【0027】
全種類の原料塗料について上述の操作が終了し、オペレーターがステップS14において「継続しない」旨の指令を入力すると、プログラムは図2のメインルーチンに戻る。
【0028】
次に、オペレーターが「画像作成」を選択して指令を入力すると、プログラムは、上述のようにステップS3からステップS8に移行し、そこで図4に示す「画像作成サブルーチン」を実行する。ここで、「画像作成」とは、形成しようとする所望の多彩模様塗膜のイメージ画像を任意にデザインして作成することを云う。
【0029】
「画像作成サブルーチン」において、ステップS15では、画像表示装置9を画像作成画面に設定する。ここで、オペレーターがキーボード6やマウス7を操作して所望の多彩模様塗膜の画像パターンを入力すると、ステップS16において当該画像パターンを画像表示装置9に表示する。なお、ここで表示されるのは、所望の画像パターンの輪郭のみである。次に、オペレーターが同様にキーボード6などを操作して当該画像パターンの着色情報を指令すると、ステップS17において当該画像パターンを複数の色に着色する。これにより、画像表示装置9には、所望の多彩模様塗膜のカラー画像が表示される。ステップS18では、このカラー画像をRAM4に記憶する。ステップS18が終了すると、プログラムは再び図2のメインルーチンに戻り、待機状態となる。
【0030】
次に、オペレーターが「画像読み込み」を選択して指令を入力すると、プログラムは、上述のようにステップS4からステップS9に移行し、そこで図5に示す「画像読み込みサブルーチン」を実行する。ここで、「画像読み込み」とは、所望の多彩模様塗膜の現物、又は、砂岩の写真画像などを塗料配合決定装置1に読み込むことを云う。
【0031】
「画像読み込みサブルーチン」において、オペレーターが上述の写真画像などを画像入力装置8から入力すると、ステップS19においてそのカラー画像を塗料配合決定装置1に読み込み、続いてステップS20において当該カラー画像を画像表示装置9に表示する。次に、ステップS21において、プログラムは、オペレーターに対して当該画像を加工するか否かを問いかける。ここで、「加工」とは、表示された画像をオペレーターの感性などに基づいて変更し、読み込んだ画像を基礎とした新規な創作画像を作成することを云う。オペレーターが画像の加工を行わないと判断し、その旨を指令すると、プログラムはステップS22に移行し、読み込んだカラー画像をRAM4に記憶する。
【0032】
一方、ステップS21において、オペレーターが画像の加工を実施すると判断し、その旨を指令した場合、プログラムはステップS21からステップS23に移行する。ステップS23では、キーボード6などの操作に基づいて読み込まれた画像を変更する。これにより、オペレーターの好みの画像が作成される。ステップS23が終了すると、プログラムはステップS22に移行し、当該変更されたカラー画像をRAM4に記憶する。
【0033】
ステップS22が終了すると、プログラムは再び図2のメインルーチンに戻り、待機状態となる。
【0034】
次に、オペレーターが「配合割合決定」を選択して指令を入力すると、プログラムは、上述のようにステップS5からステップS10に移行し、そこで図6に示す「配合割合決定サブルーチン」を実行する。ここで、「配合割合決定」とは、目的とする多彩模様塗膜を実現するために用いる多彩模様形成用塗料を構成する、上述の原料塗料の配合割合を決定することを云う。
【0035】
「配合割合決定サブルーチン」において、ステップS24では、ステップS18でRAM4に記憶された作成画像またはステップS22でRAM4に記憶された読み込み画像(またはそれに加工を施したもの)を読み出し、続いてステップS25において当該画像のカラー画像を画像表示装置9に表示する。なお、ステップS24で読み出すカラー画像は、オペレーターがキーボード6などを操作することに選択することができる。
【0036】
次に、ステップS26において、画像表示装置9に表示されたカラー画像の色解析を行う。ここでは、当該カラー画像に含まれる全色のRGB系またはHSV系の数値データを求める。このステップS26において求められた各色の色情報は、次のステップS27においてRAM4に記憶する。
【0037】
次に、ステップS28において、オペレーターに対して色圧縮処理を行うか否かを問いかける。オペレーターが指令を入力しない場合、プログラムはそのまま待機状態を維持する。オペレーターが色圧縮処理の指令を入力した場合、プログラムはステップS29に移行し、色圧縮処理を実行する。
【0038】
図7および図8を参照して、ステップS29での色圧縮処理について説明する。このステップでの色圧縮処理とは、ステップS25で表示されたカラー画像に含まれる色数を、原料塗料の色数と同数まで整理することを云う。図7は、ステップS26で表示されたカラー画像の一例の一部である。このカラー画像は、例えば、3色の青系の色a1,a2およびa3、2色の赤系の色b1およびb2、3色の黄系の色c1,c2およびc3、並びに2色の緑系の色d1およびd2の計10色からなるランダム模様であったとする。ステップS29での色圧縮処理では、この10色の色を、ステップS13において記憶したA,B,CおよびDの4色の原料塗料の色数に整理する。具体的には、ステップS13において記憶したA、B、CおよびDの数値データを基準として、上述の10色の色をRGB系またはHSV系の数値データが近似する同系色の色でグループ分けし、表1に示すように、原料塗料の色数に対応した4つの色グループA〜Dに整理する。なお、グループ分けの手法としては、例えば、RGB一致色法、HSV一致色法、RGB類似色法、HSV類似色法、最多数色法、ヒストグラム法、誤差拡散法、メディアン法および最初のN色法などの周知の方法を適用することができる。
【0039】
【表1】
Figure 0003565528
【0040】
次に、図7に示されたカラー画像を構成する各色を表1に従って対応する原料塗料の色に置換すると、当該カラー画像は、図8に示すように、原料塗料の4色(すなわち、A、B、CおよびD)によるカラー画像に単純化される。ステップS30では、このような単純化処理をし、この単純化されたカラー画像を画像表示装置9に表示する。これにより、オペレーターは、色圧縮処理後のカラー画像のイメージとステップS25で表示されたカラー画像のイメージとを比較し、両者のイメージのずれを確認することができる。
【0041】
ステップS30が終了すると、次にステップS31において、ステップS30で表示した画像をプリントアウトするか否かをオペレーターに問いかける。オペレーターがプリントアウトを指令すると、ステップS32に移行し、画像出力装置10からステップS30で表示したカラー画像を出力する。なお、出力されたカラー画像は、例えば、実際に塗料配合決定装置1で得られたデータを基にして調製した多彩模様形成用塗料を用いて多彩模様塗膜を形成した場合に、当該塗膜のリファレンスなどとして用いることができる。
【0042】
次に、ステップS33では、ステップS30で表示したカラー画像を修正するか否かをオペレーターに問いかける。例えば、ステップS30で表示されたカラー画像がステップS25で表示された元のカラー画像のイメージと大きく異なる(例えば、色圧縮処理後の色彩イメージが元の色彩イメージと大幅に異なる)とオペレーターが判断した場合、オペレーターが修正を指令するとプログラムはステップS34に移行する。ステップS34では、ステップS25で表示された原カラー画像をRAM4から読みだして画像表示装置9に表示する。そして、ステップS35において、表示されたカラー画像に対するオペレーターからの修正を受け付ける。ここでの修正は、例えば、ステップS30で表示されたカラー画像をステップS25で表示された原カラー画像に近づけるために、原カラー画像の色彩を調整する修正などである。ステップS35が終了すると、プログラムは再びステップS25に戻り、ステップS33までの動作を繰り返す。
【0043】
ステップS30で表示されたカラー画像のイメージがステップS25で表示された原カラー画像のイメージに近似した場合、ステップS33においてオペレーターが修正しない旨の指令を入力すると、プログラムはステップS36に移行する。ステップS36では、オペレーターに対し、ステップS30で表示された色圧縮後のカラー画像について、色面積比率を求めるか否かを問いかける。オペレーターがその旨の指令を入力すると、プログラムはステップS37に移行し、色面積比率を求める。なお、ここで云う色面積比率は、ステップS30で表示されたカラー画像(図8参照)において、原料塗料の各色A、B、CおよびDが占める面積割合である。
【0044】
ステップS37が終了すると、プログラムはステップS38に移行し、原料塗料の配合割合を決定する。ここでは、ステップS37で得られた各色の色面積比率を原料塗料の体積比率または重量比率に置き換え、これにより原料塗料の配合割合を体積比または重量比として表示する。
【0045】
ステップS38が終了すると、プログラムは、再び図2に示すメインルーチンに戻り、待機状態となる。
【0046】
上述の塗料配合決定装置1で得られたデータに基づいて多彩模様形成用塗料を調製する場合は、ステップS38で得られた配合比率で原料塗料を配合する。こうして調製された多彩模様形成用塗料を例えばスプレー塗装法などにより建築物の外壁や内壁に塗布すると、当該外壁や内壁には、ステップS25で表示された画像のイメージの多彩模様塗膜が形成される。
【0047】
上述の塗料配合決定装置1によれば、作成しようとする多彩模様塗膜のイメージ画像を設定し、その画像を色圧縮処理して色面積比率を求め、それにより原料塗料の配合割合を決定しているので、従来のように塗料設計者が経験と勘により原料塗料の配合割合を決定する場合に比べて、イメージ通りの多彩模様塗膜を形成することができる塗料についての原料塗料の配合割合を容易に、しかも短時間で決定することができる。
【0048】
〔他の実施の形態〕
(1)上述の実施の形態では、原料塗料の色情報を読み込んでRAM4に記憶するように構成したが、本発明はこれに限られない。例えば、各原料塗料の色情報は、予めRAM4に記憶されていてもよい。
【0049】
(2)上述の実施の形態では、作成しようとする多彩模様塗膜の画像を作成または読み込みの両者により設定できるように構成したが、いずれか一方により画像を設定するようにした場合でも本発明を同様に実施することができる。
【0050】
(3)上述の実施の形態では、形成しようとする多彩模様塗膜の画像に含まれる色数が10色でありかつ原料塗料の色数が4色の場合について説明したが、色数がこれら以外の場合も本発明を同様に実施することができる。
【0051】
(4)上述の実施の形態では、ステップS30で色圧縮処理後のカラー画像を表示するように構成したが、色圧縮処理後に直ちに色面積比率を決定するように構成した場合(すなわち、ステップS29からステップS37に直接移行するように構成した場合)も本発明を同様に実施することができる。
【0052】
(5)上述の実施の形態では、多彩模様塗膜の画像に含まれる10色の色を原料塗料の全ての色に対応させて4つにグループ分けしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、原料塗料のうちの一色が上述の10色と近似しない場合は、その一色を除いた他の原料塗料の色に対応させて元の10色を3つにグループ分けしてもよい。すなわち、上述の10色は、原料塗料の色数以下にグループ分けすればよい。これは、他の実施の形態(3)で説明したように、色数が異なる場合も同様である。
【0053】
【発明の効果】
本発明に係る多彩模様形成用塗料の塗料配合決定装置は、形成しようとする多彩模様塗膜のイメージ画像を設定し、その画像を色圧縮処理して色面積比率を求め、それにより原料塗料の配合割合を決定しているので、イメージ通りの多彩模様塗膜を実現するための塗料配合を従来に比べて容易に、しかも短時間に決定することができる。
【0054】
本発明に係る多彩模様形成用塗料の塗料配合決定方法は、形成しようとする多彩模様塗膜のイメージ画像を設定し、その画像を色圧縮処理して色面積比率を求め、それにより原料塗料の配合割合を決定しているので、イメージ通りの多彩模様塗膜を実現するための塗料配合を従来に比べて容易に、しかも短時間で決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例に係る塗料配合決定装置の概略構成を示す図。
【図2】前記塗料配合決定装置の制御フローチャート。
【図3】前記塗料配合決定装置の制御フローチャート。
【図4】前記塗料配合決定装置の制御フローチャート。
【図5】前記塗料配合決定装置の制御フローチャート。
【図6】前記塗料配合決定装置の制御フローチャート。
【図7】色圧縮処理前のカラー画像の一例の一部。
【図8】色圧縮処理後のカラー画像の一例の一部。
【符号の説明】
8 画像入力装置
9 画像表示装置

Claims (7)

  1. 多数の色彩からなる多彩模様塗膜を実現するために用いられる、限定された数色種類の着色塗料粒子を含む多彩模様形成用塗料を調製するに際し、前記数色種類の着色塗料粒子の配合割合を決定するための装置であって、
    形成しようとする前記多彩模様塗膜の画像を表示するための画像表示手段と、
    前記画像表示手段に表示された前記多彩模様塗膜の画像を構成する色の種類を解析するための色解析手段と、
    前記数色種類の着色塗料粒子の各色を基準として、前記色解析手段により解析された前記多彩模様塗膜の画像を構成する前記色の種類を近似する色同士でグループ分けし、前記色の種類を前記着色塗料粒子の色数と同数以下の色グループに圧縮するための色圧縮手段と、
    前記色圧縮手段によりグループ分けされた夫々の前記色グループについて、それが前記多彩模様塗膜の画像に占める面積比率を決定するための面積比率決定手段と、
    を備えた多彩模様形成用塗料の塗料配合決定装置。
  2. 前記画像表示手段が、前記多彩模様塗膜の画像を任意に作成するための画像作成手段を含んでいる、請求項1に記載の多彩模様形成用塗料の塗料配合決定装置。
  3. 前記画像表示手段が、前記多彩模様塗膜の画像を外部から取り込むための画像入力手段を含んでいる、請求項1または2に記載の多彩模様形成用塗料の塗料配合決定装置。
  4. 前記画像表示手段に表示された前記多彩模様塗膜の画像を構成する前記各色を対応する前記色グループの色に置き換えて前記多彩模様塗膜の画像を表示するための色圧縮後画像表示手段をさらに備えている、請求項1、2または3に記載の多彩模様形成用塗料の塗料配合決定装置。
  5. 多数の色彩からなる多彩模様塗膜を実現するために用いられる、限定された数色種類の着色塗料粒子を含む多彩模様形成用塗料を調製するに際し、前記数色種類の着色塗料粒子の配合割合を決定するための方法であって、
    形成しようとする前記多彩模様塗膜のイメージ画像を準備する画像準備工程と、
    前記イメージ画像を構成する色の種類を解析する色解析工程と、
    前記数色種類の着色塗料粒子の各色を基準として、前記色解析工程により解析された前記多彩模様塗膜のイメージ画像を構成する前記色の種類を近似する色同士でグループ分けし、前記色の種類を前記着色塗料粒子の色数と同数以下の色グループに圧縮するための色圧縮工程と、
    前記色圧縮工程によりグループ分けされた夫々の前記色グループについて、それが前記多彩模様塗膜の画像に占める面積比率を決定するための面積比率決定工程と、
    前記面積比率に基づいて、前記数色種類の着色塗料粒子の配合割合を決定するための配合割合決定工程と、
    を含む多彩模様形成用塗料の塗料配合決定方法。
  6. 前記画像準備工程において、前記イメージ画像を任意に作成する、請求項5に記載の多彩模様形成用塗料の塗料配合決定方法。
  7. 前記画像準備工程において、前記イメージ画像として既存の前記多彩模様塗膜の画像を利用する、請求項5に記載の多彩模様形成用塗料の塗料配合決定方法。
JP05231896A 1996-02-15 1996-02-15 多彩模様形成用塗料の塗料配合決定装置および多彩模様形成用塗料の塗料配合決定方法 Expired - Lifetime JP3565528B2 (ja)

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