JP3564738B2 - 地盤改良用の掘削撹拌装置及び地盤改良柱の構築方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、軟弱地盤における地盤改良用の掘削撹拌装置及び地盤改良柱の構築方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来地盤改良は、撹拌バー付きの掘削ロッドで掘進しながらセメントミルクなどの地盤改良剤を混合しながら改良柱を築造していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の掘削ロッドでは地盤改良剤を充填した部分とその周辺地盤との境目では薄められ、改良柱の品質悪化を招く問題点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
然るにこの発明は、鋼管内に掘削刃及び撹拌バーを突設した中空ロッドを固定したので、前記問題点を解決した。
【0005】
即ちこの発明は、下縁部を厚肉として下縁に掘削縁を有する鋼管内に、該中心軸に沿って、下端にセメントミルクの吐出口を有する中空ロッドを配置し、前記鋼管の内壁に、支持材を介して前記中空ロッドを固定し、前記中空ロッドの上端部に回転駆動装置との連結部設け、下端部に掘削刃を突設し、中間部に撹拌バーを突設してなり、前記中空ロッド の掘削刃は、前記鋼管の下端付近に位置させ、かつ前記鋼管の下端より下方に突出しない位置としたことを特徴とする地盤改良用の掘削撹拌装置である。
【0006】
また、中空ロッドの下端部で掘削刃の上方に、回転自在でかつ上下方向の移動が規制された撹拌翼を設置した地盤改良用の掘削撹拌装置である。また、中空ロッドに設けた掘削刃及び撹拌バーは、上下に隣接するものを互いに位相をずらして設置した地盤改良用の掘削撹拌装置である。
【0007】
更に、この発明は、下記の手順で地盤改良柱を構築することを特徴とした地盤改良柱の構築方法である。
(1) 上端部に連結部、下端部に掘削刃、中間部に撹拌バーを有する中空ロッドを形成する。下縁部を厚肉にして下縁に掘削縁を有する鋼管内壁に、該中心軸に沿って、前記中空ロッドを固定して掘削撹拌装置を構成する。
(2) オーガマシンに、前記掘削撹拌装置の中空ロッドの連結部を連結し、前記オーガマシンを作動させ、前記中空ロッドの回転により前記鋼管を回転させながら下降する。
(3) 前記中空ロッドからセメントミルクを突出しながら、前記鋼管の掘削縁で掘削し、同時に、前記鋼管の下縁付近であって、かつ、下縁より突出しない位置で前記掘削刃により前記鋼管内を掘削する。前記撹拌バーにより、前記鋼管内の掘削土を撹拌する。
(4) 所定の深さまで、掘削撹拌が完了したならば、前記オーガマシンを操作して前記掘削撹拌装置を逆回転して、掘削土を撹拌しながら、引き上げ、地盤改良柱を構築する。
【0008】
【作用】
下縁に掘削縁を有する鋼管内に、掘削刃を突設した中空ロッドを固定したので、中空ロッドを回転させることにより掘進できる。中空ロッドに撹拌バーを突設したので、鋼管内の掘削土が撹拌され、更に、吐出口から吐出されるセメントミルクは掘削土と均一に混合される。また、掘削土は鋼管内で撹拌混合されるので、周辺地盤のから掘削土内に水分の混入を大幅に削減できる。
【0009】
また、掘削刃は、鋼管の下端付近に位置させ、かつ鋼管の下端より突出しない位置とした場合には、掘削時に掘削刃への負荷が少ない。
【0010】
【実施例1】
図面に基づきこの発明の実施例を説明する。
【0011】
構築予定の地盤改良柱に応じた長さ及び口径を有する鋼管1の下縁部を厚肉とすると共に、下縁を波型に形成した掘削縁2とする。前記鋼管1内に該中心軸に沿って、先端にセメントミルクを吐出するノズル(吐出口)3を有する中空ロッド4を配置し、前記鋼管の内壁1a上端部に該中空ロッド4の上端部5を支持材15、15を介して固定する。前記中空ロッド4の下端部に放射状に掘削腕6、6を突設し、該掘削腕6の下面に掘削刃7、7を、回転方向前方に傾斜して突設する。また、前記掘削刃7の先端8は、鋼管1の下端付近(掘削縁2)に位置し、かつ前記鋼管1の下縁(掘削縁2)より上方に位置している。また、前記中空ロッド4の上端部で前記支持材15を固定した位置の上方には、オーガマシン(回転駆動装置)との連結部(図示していない)が設けられている。
【0012】
また、前記中空ロッド4で、掘削腕6、6の直ぐ上方に回転自在に支持筒11を嵌装し、該支持筒11に回転撹拌翼10、10を固定する。前記回転撹拌翼10、10の支持筒11は、中空ロッド4に固定したストッパー9、9により、上下方向の移動を制限されている。前記回転撹拌翼10、10は長方形の板状で、直径対称に突設されており、中空ロッド4の正回転時(図1(b)で矢示16方向)に、前方に位置する側10aが下側に、後方に位置する側10bが上側となるように傾斜して設置されている。また、前記中空ロッド4で、上端から前記回転撹拌翼10を設置した位置までの間に、撹拌バー12、12を直径対称に突設する。前記撹拌バー12、12は上下方向に所定間隔を空けて並列設置する。前記撹拌バー12は、細長い長方形の板状で、中空ロッド4の正回転時(図1(b)で矢示16方向)に、前方に位置する側13が下側に、後方に位置する側13aが上側となるように傾斜して設置されてる。また、前記撹拌バー12、12は、上下に隣接する撹拌バー12とを中空ロッド4に対して位相を違えて固定されている。
【0013】
以上のようにして、地盤改良用の掘削撹拌装置14を構成する(図1(a)(b))。
【0014】
次に、前記掘削撹拌装置14の使用について説明する。
【0015】
掘削撹拌装置14の中空ロッドの連結部をオーガマシン(回転駆動装置。図示していない)に連結し、改良予定の地盤の地面17に掘削撹拌装置14の鋼管1の下縁位置を合わせる。オーガマシンを作動させ掘削撹拌装置14を矢示16方向に回転させる。鋼管1の下縁に掘削縁2が形成されているので、中空ロッド4の回転により鋼管1が回転しながら降下し、同時に中空ロッド4の掘削刃7で鋼管1内が掘削される(図2)。前記において、掘削刃7、7は、鋼管1の下端付近に位置させ、かつ鋼管1の下端より突出しない位置としたので、掘削時に掘削刃7への負荷が少なく、鋼管1の掘削縁2と協働して効率良く掘削できる。
【0016】
また、掘削刃7が所定深さ(1m程度)に達したならば、中空ロッド4のノズル3から水分量を調節した(例えば50〜70%)セメントミルクを吐出しながら同様にゆっくりと掘進する。掘削土は、鋼管4内で、掘削腕6、6、回転撹拌翼10、10、撹拌バー12、12によりセメントミルクと撹拌される。前記において、回転撹拌翼10は正回転時に、前方に位置する側10aが下側に、後方に位置する側10bが上側となるように傾斜して設置されているので、掘削土の上方への流れにより回転して掘削土を撹拌する。また、前記において撹拌バー12は上下に隣接する撹拌バー12とは位相を違えて設置されているので、上下に重ならないので、撹拌効率が良い。
【0017】
所定の深さまで掘削撹拌が完了したならば(図3)、オーガマシンを操作し、掘削撹拌装置14を逆回転しながら掘削撹拌装置14を引き上げる。引き上げながらも掘削土は撹拌される。引き上げ後に、鋼管1内にあった掘削土は固化し、地盤改良柱18が構築される。この際、鋼管1内は周辺地盤から水分等の影響を受け難いので形状が確定できる。従って、地盤改良柱18の周縁部でもほぼ均質の改良柱を構築できる。
【0018】
前記において、掘削撹拌装置14の回転軸は1つであるので、どの様なオーガマシンにも取り付けることができるので、汎用性が高い。また、前記において、ノズル3からのセメントミルクの吐出は所定深さに達してからとしたが、掘削開始と同時にセメントミルクを吐出することもでき、吐出開始時期は地盤の特性等による。
【0019】
前記実施例において、回転撹拌翼10、撹拌バー12は直径対称的に2枚を同一高さに突設したが、等間隔に3枚あるいは4枚以上とすることもできる。また、異なる枚数の回転撹拌翼10、撹拌バー12を混在させることもできる。
【0020】
また、前記実施例において、回転撹拌翼10は回転可能としたが、撹拌バー12のように中空ロッド4に固定することもできる。
【0021】
【発明の効果】
下縁に掘削縁を有する鋼管内に、掘削刃を突設した中空ロッドを固定したので、中空ロッドを回転させることにより効率良く掘進できる。また、中空ロッドに撹拌バーを突設したので、鋼管内で掘削土はセメントミルクと撹拌混合され、均一な地盤改良柱を構築できる効果がある。また、周辺地盤からの水分の混入を大幅に削減できるので、地盤改良柱の水分量を管理し易く良質の地盤改良柱を構築できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の掘削撹拌装置の実施例で、(a)は鋼管を破切した正面図、(b)は図1(a)のA−A線における断面図である。
【図2】この発明の使用状態で、掘削撹拌途中を表す、鋼管を破切した正面図である。
【図3】同じく使用状態で、所定深さまで掘削撹拌が完了した状態を表す、鋼管を破切した正面図である。
【図4】同じく使用状態で、掘削撹拌装置を引き抜き地盤改良柱の構築が完了した状態を表す、鋼管を破切した正面図である。
【符号の説明】
1 鋼管
2 掘削縁
1a (鋼管の)内面
3 ノズル(吐出口)
4 中空ロッド
6 掘削腕
7 掘削刃
8 (掘削刃の)先端
10 回転撹拌翼
12 撹拌バー
14 掘削撹拌装置
17 地面
18 地盤改良柱

Claims (4)

  1. 下縁部を厚肉として下縁に掘削縁を有する鋼管内に、該中心軸に沿って、下端にセメントミルクの吐出口を有する中空ロッドを配置し、前記鋼管の内壁に、支持材を介して前記中空ロッドを固定し、前記中空ロッドの上端部に回転駆動装置との連結部設け、下端部に掘削刃を突設し、中間部に撹拌バーを突設してなり、前記中空ロッドの掘削刃は、前記鋼管の下端付近に位置させ、かつ前記鋼管の下端より下方に突出しない位置としたことを特徴とする地盤改良用の掘削撹拌装置。
  2. 中空ロッドの下端部で掘削刃の上方に、回転自在でかつ上下方向の移動が規制された撹拌翼を設置した請求項1記載の地盤改良用の掘削撹拌装置。
  3. 中空ロッドに設けた掘削刃及び撹拌バーは、上下に隣接するものを互いに位相をずらして設置した請求項1記載の地盤改良用の掘削撹拌装置。
  4. 下記の手順で地盤改良柱を構築することを特徴とした地盤改良柱の構築方法。
    (1) 上端部に連結部、下端部に掘削刃、中間部に撹拌バーを有する中空ロッドを形成する。下縁部を厚肉にして下縁に掘削縁を有する鋼管内壁に、該中心軸に沿って、前記中空ロッドを固定して掘削撹拌装置を構成する。
    (2) オーガマシンに、前記掘削撹拌装置の中空ロッドの連結部を連結し、前記オーガマシンを作動させ、前記中空ロッドの回転により前記鋼管を回転させながら下降する。
    (3) 前記中空ロッドからセメントミルクを突出しながら、前記鋼管の掘削縁で掘削し、同時に、前記鋼管の下縁付近であって、かつ、下縁より突出しない位置で前記掘削刃により前記鋼管内を掘削する。前記撹拌バーにより、前記鋼管内の掘削土を撹拌する。
    (4) 所定の深さまで、掘削撹拌が完了したならば、前記オーガマシンを操作して前記掘削撹拌装置を逆回転して、掘削土を撹拌しながら、引き上げ、地盤改良柱を構築する。
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