JP3564721B2 - Cad/cam装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、表示装置上で放電加工機の加工を定義し、放電加工機用の加工プログラムを出力するCAD/CAM装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図23は従来のCAD/CAM装置の例を示す全体のブロック構成図である。 図において、1はキーボード、2はマウス、3はタブレットで、それぞれ位置情報及び文字情報を入力するための入力装置である。4は加工を行う型金図面、5は型金図面4に対して入力された位置情報及びその位置で使用する電極等の文字情報を内部の記憶形式に変換するための加工定義部、6は加工定義部5で入力された情報を記憶するためのメモリからなる加工情報記憶部、7は定義された加工情報をもとにデータを生成するNCデータ生成部、8はNCデータ生成部7で作成されたNCデータである。
【0003】
また、9は作画コマンドであり、10はこの作画コマンド9を利用して作成された電極図面、11は電極図面10を電極として登録する電極登録部、12は登録された電極の電極データベースである。更に、13は使用電極の工程順序決定のATC割付け(手作業)を行なうATC/工程順序割付部、14は電極が干渉しないかどうかをチェックする電極干渉チェック(手作業)で、これら工程順序決定のATC割付けを行なうATC/工程順序割付部13及び電極干渉チェック14は、それぞれ手作業である。15はNC制御装置、16は形彫放電加工機、17はCRT、18はプロッタコマンド、19はプロッタ、20は入出力コマンド、21が外部記憶装置である。
【0004】
次に、図23を用いて前述のCAD/CAM装置の動作について説明する。
まず、オペレータは加工の対象となる型金図面4を作成する。そして、CRT17を見ながらキーボード1、マウス2、タブレット3の入力装置を操作し、作画コマンド9を起動する。完成した型金図面4は、プロッタコマンド18を使ってプロッタ19でハード出力する。また、必要に応じて、図面入出力コマンド20で外部記憶装置21に保存しておく。
【0005】
オペレータは先にプロッタ19を使って出力した図面或いはCRT17を見ながら放電加工個所を検討する。
そして、加工個所の形状を抜き出し、その形状に対して揺動を見込んで使用電極を縮小・変形して、作画コマンド9を使い電極図面10を作図する。手順は型金図面4の作図と同様である。この時、CRT17上では、型金図面4と作成中の電極図面10とを同時に表示することができないため、先にプロッタ19で出力した型金図面4をみながら、また、加工工程や電極の流用、回転等を考慮し、電極製作本数を決めながら電極図面10を作図することになる。当然ながら、ここで作成した電極図面10は、別途、マシニングセンタ、ワイヤ放電加工機等による加工を必要とする。
【0006】
次に、オペレータは先にプロッタ19を使って出力した型金図面4、或いはCRT17をみながら加工したい座標値を決定する。電極は加工形状を変形させて作成したものであるから、場合によっては、型金図面4上には電極形状との共通要素が全くないこともあり得る。この場合の座標値は、電極図面10の作成時に考慮した電極の大きさ、縮小代等を逆算して求めることになる。
通常、型金図面4上の1つの型金には複数箇所の加工を施すことになる。各加工位置における電極名、加工深さ、加工条件等を加工定義部5で定義し、この内容は加工情報記憶部6に記憶される。
【0007】
この後、オペレータは加工工程、電極回転等を考慮しながら、効率よく、またはなるべく少ない電極本数で加工が行えるように、工程順序決定及びATC割り付けを行なうATC/工程順序割付部13において手作業により電極をATC番号に割り付け、電極の使用順序が逆転しないように加工順序を決定する。また、電極干渉チェック14において電極形状の干渉チェックを含めて加工位置を確認する。
更に、オペレータはNCデータ生成部7によりNCデータ8を生成し、これをNC制御装置15に入力する。そして、加工対象のワークをセットし、指定番号に指定の電極を取り付け、形彫放電加工機16で加工を行うことによって所望の型金を得ることができる。
【0008】
この種のCAD/CAM装置は、加工定義情報は全て加工情報記憶部6に格納されているので、情報の伝達ミスが少ない。また、加工定義時に入力した加工位置、角度、深さ等の諸元から、加工定義一覧表を自動生成したり、表示したりすることができるので、図面を参照しながらNC制御装置15上における人手によるものと比べ、情報の伝達ミスが非常に少なく、作業効率が短縮できる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のCAD/CAM装置では、オペレータは型金図面4から加工形状を抜き出し、この形状を変形して電極図面10を作成したにもかかわらず、加工位置を再定義しなければならないので、2度手間であり、この間にミスを招く可能性がある。また、加工座標の計算は、電極の大きさ、縮小代等を考慮して、電極作成時の逆算をしなければならず、非常に煩雑であり、ミスを招く可能性がある。
そして、電極のATC割付けや工程順序決定は、数多くのルールがありこれらのルールは互いに関連しているので、これを手動で割り付ける作業は非常に難しく時間がかかる。
【0010】
更に、複数個所に同様の加工を施す場合には、同じ定義を何度も繰り返す必要があり、更に、加工工程が多くなればなるほどこれらのATC割付けは複雑になり、操作性が悪く、信頼性に欠けることになる。また、複数個のワークに同様の加工を行う場合、座標系が違う以外に全く同一形状であるにもかかわらず、加工箇所単位でしか操作できないことは、面倒であり、信頼性に欠けることになる。
そして、電極と型金形状を正確にチェックする機能がなく、実際に加工を行った後で、加工残しや加工過ぎの可能性がある。
【0011】
そこで、本発明は、加工位置再定義の手間を省き、計算ミスを防ぐことのできるCAD/CAM装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明にかかるCAD/CAM装置は、型金図面から加工形状を抜き出し、その抜き出した形状に変形を加えて電極図面を作成するとき、前記電極図面に対して加工位置を定義する加工位置定義手段と、前記電極図面に加工位置情報を対応させて電極データベースとして登録する電極データベース登録手段とを備えたものである。
【0013】
請求項2の発明にかかるCAD/CAM装置は、前記請求項1のNCデータを型彫放電加工機のNCデータとしたものである。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、請求項1のCAD/CAM装置によれば、電極図面を作成する段階で、この電極図面に加工位置を定義する手段と、電極図面に加工位置情報等を含めて電極データベースに登録する手段を備えることにより、加工位置再定義の手間を省き、演算ミスを防ぐことが可能になるという効果がある。
【0015】
請求項2のCAD/CAM装置によれば、型彫放電加工機のNCデータを作成するCAD/CAM装置として使用するものであるから、金型を放電加工する前に加工状態をCAD/CAM上で簡単に、しかも視覚的にチェックすることが可能となり、長時間加工を実施してから仕上りを確認する必要性がなくなるという効果がある。
【作用】
【0016】
請求項1においては、電極図面を作成する段階でこの電極図面に加工位置を定義し、電極図面に加工位置情報等を含めて電極データベースに登録するものであるから、加工位置再定義の手間を省き、演算ミスを防ぐ。
【0017】
請求項2においては、請求項1のNCデータは、型彫放電加工機のNCデータとすることができ、加工状態をCAD/CAM上で簡単に、しかも視覚的にチェックすることが可能となり、長時間実施してから確認する必要性がなくなる。
【実施例】
【0018】
以下、本発明の実施例、変形例を図によって説明する。
〈実施例1〉
図1はこの発明の第一実施例のCAD/CAM装置の全体を示すブロック構成図である。なお、図中、従来例と同一符号及び記号の1〜4,7〜10,13〜21は従来例の構成部分と同一または相当する構成部分を示すものであるから、ここでは重複する説明を省略する。
図1において、22は電極図面10の作成時に型金の基準が残っている段階で電極図面10に対して定義する加工位置定義部、11aは電極図面10に加工位置情報等を含めて登録する電極登録部(加工位置)、12aは登録された電極データベース(加工位置)である。23は電極データベース12aの中から型金に対応する電極を検索し、加工情報を取り出す加工定義検索部である。
【0019】
次に、本実施例によるCAD/CAM装置において、電極を電極データベース12aに登録するまでの操作について、図2のこの発明の第一実施例のCAD/CAM装置の登録操作のフローチャート(a)及びNCデータ8の作成操作のフローチャート(b)に従ってその動作を説明する。
まず、ステップS1で型金図面4を用意し、ステップS2で放電加工個所を検討し、そして、ステップS3で各加工個所で必要な電極データベース12aの登録にとりかかる。
【0020】
ステップS3の電極データベース12aの登録について説明する。
最初に、ステップS310で型金図面4から加工形状を抜き出して、ステップS320で放電ギャップ,揺動を見込んだ形状の縮小・変形を行って、ステップS330で電極図面10を作成する。電極図面10の型金に対する位置は既知であるので、この段階、即ち、ステップS340で電極図面10に対して加工位置の定義を行う。更に、ステップS350で材質、縮小代等の属性を付加して、ステップS360で電極として登録する。そして、ステップS370で電極データベース12aには、電極図面10に対して型金名,属性,加工座標等が登録される。この操作をステップS4で終了と判定されるまで、電極種類数分だけ繰り返す。
【0021】
更に、NCデータ8の作成までの操作について、フローチャート(b)に従って説明する。
ステップS11で再び型金図面を用意すると、ステップS12でこの型金を加工する電極が電極データベース12aから検索され、登録されている属性や加工座標の情報が型金図面4に呼び出される。ステップS13でATC割付等の加工情報を付加し、ステップS14でNCデータ8を生成すると、ステップS15でNCデータ8が作成される。
【0022】
図3はこの発明の第一実施例のCAD/CAM装置の電極データベース12aに登録されている内容の事例を示す説明図である。また、図4はこの発明の第一実施例のCAD/CAM装置の電極データベース12aに登録されている型金図面の事例で、(a)は『work1』という名称の型金図面4、(b)は『work1』の属性及び加工座標を表現した型金図面4である。
図3において、各電極図面10に対応して、図形30、電極名31、使用する型金名32、材質,縮小代等の電極属性33に加え、加工座標値となる加工位置34がメモリに所定のエリアに登録されている。
例えば、図4(a)は『work1』という名称の型金図面4を示すものである。この型金図面4を呼び出すと、電極データベース12aの中から型金名32が『work1』であるもので、結果として、電極名31が『ele1』及び『ele2』の2種が検索され、それぞれの電極属性33や加工位置34(“34-1”,“34-2”)の情報が型金図面4に呼び出され、図4(b)の長方形“34-1”と三角形“34-2”のように、それぞれの加工位置に形成される。
【0023】
このように構成されたCAD/CAM装置においては、電極図面10を作成する段階で、この電極図面10に加工位置を定義する加工位置定義手段と、電極図面10に加工位置情報等を含めて電極データベース12aに登録する電極データベース登録手段を備えることにより、加工位置を再定義する必要性がなくなり、その手間を省き、演算ミスを防ぐことが可能となる。
【0024】
〈変形例1〉
図5はこの発明の変形例1のCAD/CAM装置の全体を示すブロック構成図である。なお、図中、従来例と同一符号及び記号の1〜10,13〜21は従来例の構成部分と同一または相当する構成部分を示すものであるから、ここでは重複する説明を省略する。
図5において、24は電極基準に対する加工形状記憶部、11bは電極基準に対する加工形状の各要素を含めて登録する電極登録部(加工形状)、12bは登録された電極データベース(加工形状)である。
【0025】
次に、本変形例によるCAD/CAM装置において、電極を電極データベース12bに登録するまでの操作について、図6のこの発明の変形例1のCAD/CAM装置の登録操作のフローチャート(a)及びNCデータ8の作成操作のフローチャート(b)に従ってその動作を説明する。
まず、フローチャート(a)のステップS21で型金図面4を用意し、ステップS22で放電加工個所を検討する。そして、ステップS23で各加工個所で必要な電極データベース12bの登録にとりかかる。
【0026】
電極データベース12bの登録では、ステップS231で最初に型金図面4から加工形状を抜き出し、ステップS232で放電ギャップ、揺動を見込んで形状の縮小・変形を行い、ステップS233で電極図面10を作成するそして、ステップS234で電極の基準45を決定する。
即ち、これを図7のこの発明の変形例1のCAD/CAM装置の電極データベース12bに登録されている型金図面4の説明図で説明する。なお、図7の(a)は加工部、(b)は型金図面4から抜き出した加工形状74の変形の説明図、(c)は電極の基準の説明図である。
図7(a)は型金図面4の斜線部41が加工部分に相当する。(b)は型金図面4から抜き出した加工形状42の変形を示す説明図で、放電ギャップ,揺動を見込んだ量Lだけ縮小,変形した後の加工形状43となり、(c)はこの加工形状43を利用して電極形状44を作成したものであり、ここから電極の基準45を決定する。
次に、ステップS235で材質、縮小代等の属性を付加して、ステップS236で前記基準45として選択した電極を登録する。そして、ステップS237で電極データベース12bには、電極図面10、属性等にあわせて電極基準に対する元の加工形状の各要素が登録される。この操作をステップS24で終了が判定されるまで電極種類数分だけ繰り返す。
【0027】
図8はこの発明の変形例1のCAD/CAM装置の電極データベース12bに登録されている内容の事例を示す説明図で、図8(a)は電極データベース12bに登録されている各電極図面10に対応して、図形50、電極名51、材質、縮小代等の電極属性52に加え、電極基準に対する元の加工形状53が登録されている。図8(b)は前記加工形状53の具体例である。
【0028】
更に、NCデータ8の作成までの操作について、図6(b)のフローチャートに従って説明する。
ステップS31で再び型金図面を用意し、ステップS32で使用する電極を電極データベース12bから選択し、ステップS33で加工形状53を指定すると、電極データベース12bには電極基準に対する加工形状53が登録されているので、ステップS34で電極基準が決定される。そして、ステップS35でATC割付等の加工情報を付加し、ステップS36で終了が判定されるまで、このステップS31からステップS36のルーチンを繰り返し実行し、これを加工箇所分繰り返し、ステップS37でNCデータ8を生成し、ステップS38でNCデータ8が作成される。
【0029】
このように構成されたCAD/CAM装置においては、電極図面10を作成する段階で、作成した電極の基準に対する元の加工形状53の各要素を記憶する加工形状記憶部24からなる記憶手段を設け、後に、型金図面4に対して加工定義を行う際に、電極基準位置を具体的に入力しなくても加工形状を指定するだけで、実際の加工座標を決定する加工座標決定手段を備えることにより、加工定義時に、電極の大きさや縮小代を考慮する煩雑な加工位置演算をする必要がなくなり、それによる演算ミスを防ぐことが可能となる。
【0030】
〈変形例2〉
図9はこの発明の変形例2のCAD/CAM装置の全体を示すブロック構成図である。なお、図中、従来例と同一符号及び記号の1〜12,14〜21は従来例の構成部分と同一または相当する構成部分を示すものであるから、ここでは重複する説明を省略する。
図9において、25はATC/工程順序自動割付部である。
図10はこの発明の変形例2のCAD/CAM装置で使用する電極のATC割付け及び工程順序決定のルールを設定する条件設定表の事例の説明図である。 図10において、61はATC割付けに関する部分で、62が工程展開に関する部分の工程展開ルールである。ATC割付け61には、仕上げ電極の荒加工流用の有無61-1や、電極交換回数61-2等があり、工程展開ルール62には、ワーク別工程展開のON/OFF62-1や工程展開パターン62-2等がある。
【0031】
図11はこの発明の変形例2のCAD/CAM装置の加工図面の事例を説明する説明図である。なお、図11の(a)は加工図面、(b)は同じ電極を用いて加工を行う場合の工程表の説明図、(c)〜(f)は加工順序の説明図である。そして、図12はこの発明の変形例2のCAD/CAM装置の加工順序のフローチャートである。
図11(a)は加工図面であり、71,72,73の3箇所に2工程ずつ、同じ電極を用いて加工を行う場合の工程表が図11(b)である。この工程表のT番号74と、加工順序75を演算する処理について、図10の条件を例にとってフローチャートに従って説明する。
【0032】
まず、ステップS41でT番号74は荒工程にT11、仕工程にT12を割付ける。ステップS42でワーク別工程展開62-1がOFFであるのを確認し、ステップS43で電極交換回数61-2をみて、電極交換回数61-2が2回なので、この回数毎に新しい番号をつけたものが、図11(d)となる。
次に、ステップS44で仕上げ電極の荒加工流用61-1のONを判定し、ステップS45で工程展開パターン62-2の荒仕(往復)を判定し、2工程毎に仕上げ電極を荒加工に再使用するようステップS46でT番号74を変更し、工程展開パターン62-2に従って、ステップS47で加工順序75を決めると、図11(e)となる。
【0033】
更に、ステップS48で同じT番号、即ち、仕上げ電極の荒加工への流用では、必ず仕上げ加工を先に行い、また、1つの加工単位では、荒工程を先に行うというルールをチェックし、ステップS49で逆転しないように加工順序を変更し、最終的なT番号74と、加工順序75が決定される。
なお、この変形例では、各加工が荒・仕上げの2工程の場合について説明したが、3工程、4工程のものにも応用できる。
このように構成されたCAD/CAM装置においては、ATC割付ルール,工程展開方式等の条件を入力する入力手段と、これに従いATCの割付け、工程順序を演算するATC/工程順序自動割付部25からなる工程順序演算手段と、更に、これらの情報を、電極や加工の情報にあわせて一覧表にしたものを表示・出力する一覧表作成手段を備えることにより、難しく時間のかかる手動の割り付け作業を省略することが可能となる。
【0034】
〈変形例3〉
上記変形例2では、加工定義された工程の全てに関するATC/工程順序を自動割付するものとしたが、本発明を実施する場合には、加工工程、加工条件等の加工情報をコピーする加工定義コピー機能に、コピー毎にこの演算を行う処理を追加した変形例3とすることができる。
このように構成されたCAD/CAM装置においては、ATC割付ルール、工程展開パターンを含む条件を入力する入力手段と、前記入力手段の入力に従ってATCの割付け及び工程順序を演算する工程順序演算手段と、前記工程順序演算手段で演算された情報を電極及びその加工情報に対応する一覧表としたものを表示する一覧表作成手段とを具備し、更に、複数箇所に同様の加工を行う場合、加工工程,加工条件等の加工情報に加え、ATC割付けを演算しながら後述のコピーする加工用コピー機能を備えることにより、繰り返し定義や複雑なATC割付け等の面倒な作業をなくし、信頼性を向上することが可能となる。
【0035】
〈変形例4〉
図13はこの発明の変形例4のCAD/CAM装置の全体を示すブロック構成図である。なお、図中、従来例と同一符号及び記号の1〜21は従来例の構成部分と同一または相当する構成部分を示すものであるから、ここでは重複する説明を省略する。
図13において、26はワークコピー部である。
次に、本変形例によるCAD/CAM装置において、加工定義済ワークを複数個コピーする場合の操作について説明する。
図14はこの発明の変形例4のCAD/CAM装置の加工定義済ワークの複数コピーのフローチャートである。図15はこの発明の変形例4のCAD/CAM装置で使用する複数コピー設定表の説明図、図16は図15の複数コピー設定表を使用してワークコピーした場合の説明図である。
【0036】
まず、ステップS51でコピーする元のワークを選択する。ステップS52でワークを配置するパターンを決定し、ステップS53でピッチ、ステップS54で個数等のコピー情報を設定する。
即ち、図15はこのコピー情報を設定する表の一例であり、81は配置パターンの設定領域、82がピッチの設定領域、83が個数の設定領域である。
また、加工定義済のワークをコピーする画面の一例を図16で説明すると、図15の条件で図16(a)をコピーした場合、配置パターンの設定領域G54のコピー後の図面が図16(b)の高さ方向(y=2)に2個及び横方向(x=3)に3個並んだパターンとなる。
なお、本変形例では、ワークを格子パターンに配置する場合について説明したが、直線、ランダム、その他のパターンでの配置に応用できることはいうまでもない。
【0037】
このように構成されたCAD/CAM装置においては、複数個のワークに同様の加工を行うとき、加工定義済のワークを選択し、配置パターン、個数等のコピー条件を入力することにより、ワーク形状だけでなく、このワークに定義されたすべての加工定義をコピーするワークコピー部26からなるワークコピー手段を備えることにより、操作性や信頼性を向上することが可能となる。
【0038】
〈変形例5〉
図17はこの発明の変形例5のCAD/CAM装置の全体を示すブロック構成図である。なお、図中、従来例と同一符号及び記号の1〜13、15〜21は従来例の構成部分と同一または相当する構成部分を示すものであるから、ここでは重複する説明を省略する。
図17において、27は電極干渉チェック部である。
図18はこの発明の変形例5のCAD/CAM装置の電極形状を変形して表示するまで
のフローチャート、図19はこの発明の変形例5のCAD/CAM装置の電極形状90の加工状況を表示するフローチャート、図20は図19の加工によって処理される電極形状90の加工状況を表示する場合の事例の説明図である。
【0039】
まず、電極形状を変形して表示するまでの処理の流れを説明する。
ステップS61で加工に使用する電極をデータベースより検索し、ステップS62で揺動パターン、ステップS63で縮小代を取り出し、ステップS64で揺動パターンによって決まっているそれぞれの処理に従って形状を変形する。なお、この変形処理の詳細は後に述べる。ここで求めた形状が、その電極を使用して加工した場合の、実際の加工形状となるので、ステップS65でこれをCRTに表示する。そして、このCRTに表示する形状と、型金図面の加工形状の間にある隙間が、加工残しの部分であり、加工形状からはみ出した部分が、加工過ぎの部分であるということが図面上で判断できる。
ステップS64の変形処理について、図20の電極形状90の加工状況を表示する場合を例にとって、図19のフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS71で変形の方向を判別するために、電極形状90の仮中心点92を求める。図20の電極90形状に登録されている芯ずれ補正データの4測定点91から中心92を求め、この点を変形の中心と仮定する。
【0040】
次に、ステップS72で電極形状90の形状の中で、線分について形状を変形する。即ち、図21の変形前の線分93と、変形後の線分94の間隔が、縮小代95となるように変形する。そして、ステップS73で揺動パターンにより変形処理を分岐する。次に、ステップS74で円弧部分についての変形を行うが、ステップS74で円モードの場合を例にすると、半径をかえて変形を行う。図22(a)を例にとると、変形前の円弧96に対して、図20で求めた中心92が内側にある場合には、揺動によってその円弧は大きくなるので、円弧96の中心98を固定して、半径を大きくr+dとして変形し、補正円弧97となる。
【0041】
また、ステップS75で図22(b)のように、変形前の円弧99に対して、図20で求めた中心92が外側にある場合には、揺動によってその円弧は小さくなるので、円弧99の中心100を固定して、半径を小さくr−dとして変形し、補正円弧101となる。このとき補正円弧101の角度は、変形前後とも同じとし、コーナ部は半径dの円弧で補間する。
なお、本変形例では、揺動パターンが円モードのものについて述べたが、当然のことながら角モードや放射モード等に応用できる。
【0042】
このように構成されたCAD/CAM装置においては、型金図面と電極図面から加工時の電極の揺動を見込んで、電極の干渉をチェックする電極干渉チェック部27からなる電極干渉チェック手段を具備するから、各揺動パターンに応じて電極形状を変形し、それを加工形状に重ねることにより、加工残し及び加工過ぎがないかどうかを、CAD/CAM上で簡単に、しかも視覚的にチェックすることが可能となる。
【0043】
ところで、上記各実施例及び変形例においては、型彫放電加工機のNCデータを作成するCAD/CAM装置について説明したが、本発明を実施する場合には、金型を放電加工する前に加工状態をCAD/CAM上で簡単に、しかも視覚的にチェックすることが可能となり、長時間加工を実施してから仕上りを確認する必要性がなくなるという効果を期待できる。勿論、他の多軸旋盤、フライス盤等の工作機械に使用できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明の第一実施例のCAD/CAM装置の全体を示すブロック構成図である。
【図2】図2はこの発明の第一実施例のCAD/CAM装置の登録及びNCデータの作成操作のフローチャートである。
【図3】図3はこの発明の第一実施例のCAD/CAM装置の電極データベースに登録されている内容の事例を示す説明図である。
【図4】図4はこの発明の第一実施例のCAD/CAM装置の電極データベースに登録されている型金図面の事例の説明図である。
【図5】図5はこの発明の変形例1のCAD/CAM装置の全体を示すブロック構成図である。
【図6】図6はこの発明の変形例1のCAD/CAM装置の登録操作及びNCデータの作成操作のフローチャートである。
【図7】図7はこの発明の変形例1のCAD/CAM装置の電極データベースに登録されている型金図面の事例の説明図である。
【図8】図8はこの発明の変形例1のCAD/CAM装置の電極データベースに登録されている内容の事例を示す説明図である。
【図9】図9はこの発明の変形例2のCAD/CAM装置の全体を示すブロック構成図である。
【図10】図10はこの発明の変形例2のCAD/CAM装置で使用する電極のATC割付け及び工程順序決定のルールを設定する条件設定表の事例の説明図である。
【図11】図11はこの発明の変形例2のCAD/CAM装置の加工図面の事例を説明する説明図である。
【図12】図12はこの発明の変形例2のCAD/CAM装置の加工順序のフローチャートである。
【図13】図13はこの発明の変形例4のCAD/CAM装置の全体を示すブロック構成図である。
【図14】図14はこの発明の変形例4のCAD/CAM装置の加工定義済ワークの複数コピーのフローチャートである。
【図15】図15はこの発明の変形例4のCAD/CAM装置で使用する複数コピー設定表の説明図である。
【図16】図16は図15の複数コピー設定表を使用してワークコピーした場合の説明図である。
【図17】図17はこの発明の変形例5のCAD/CAM装置の全体を示すブロック構成図である。
【図18】図18はこの発明の変形例5のCAD/CAM装置の電極形状を変形して表示するまでのフローチャートである。
【図19】図19はこの発明の変形例5のCAD/CAM装置の電極形状の加工状況を表示するフローチャートである。
【図20】図20は図19の加工によって処理される電極形状の加工状況を表示する事例の説明図である。
【図21】図21は図19の加工によって処理される電極形状の変形前後の間隔の説明図である。
【図22】図22は図19の加工によって処理される揺動よって変化する補正円の説明図である。
【図23】図23は従来のCAD/CAM装置の例を示す全体のブロック構成図である。
【符号の説明図】
4 型金図面
5 加工定義部
6 加工情報記憶部
7 NCデータ生成部
8 NCデータ
9 作画コマンド
10 電極図面
11 電極登録部
11a 電極登録部(加工位置)
11b 電極登録部(加工形状)
12 電極データベース
12a 電極データベース(加工位置)
12b 電極データベース(加工形状)
13 ATC/工程順序割付部
14 電極干渉チェック
15 NC制御装置
16 形彫放電加工機
21 外部記憶装置
22 加工位置定義部
23 加工定義検索部
24 加工形状記憶部
25 ATC/工程順序自動割付部
26 ワークコピー部
27 電極干渉チェック部
Claims (2)
- NCデータを作成するCAD/CAM装置において、
型金図面から加工形状を抜き出し、その抜き出した形状に変形を加えて電極図面を作成するとき、前記電極図面に対して加工位置を定義する加工位置定義手段と、
前記電極図面に加工位置情報を対応させて電極データベースとして登録する電極データベース登録手段と
を具備することを特徴とするCAD/CAM装置。 - 前記NCデータは、型彫放電加工機のNCデータとすることを特徴とする請求項1に記載のCAD/CAM装置。
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-
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