JP3563599B2 - コイル状製品の梱包方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム箔、スズ箔、銅箔などの金属箔を中空吊り梱包方法に関し、特に輸送中に外装のプラスチックチューブ状フィルムが破れにくく、また雨水の侵入の少ない金属箔コイル状製品の梱包方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
傷がつきにくく、取扱が容易であり、縦積みなど、コイル直置きが可能なプラスチックフィルムや紙などのコイル状製品とは異なり、アルミニウム箔、スズ箔、鉛箔、銅箔などの傷の付きやすい金属箔は、巻芯鋼管にコイル状に巻き、巻芯鋼管の中に吊芯鋼管を通した形の製品全体をプラスチックチューブ状フィルムで覆う形の梱包のいわゆる”宙づり梱包”をすることが多い。
以下、アルミニウム箔(コイル状)を例にとり従来の宙づり梱包方法を説明する。
従来の梱包方法は図3または図5に示すような形態の梱包方法が行われていた。すなわち、一般的にアルミニウム箔を巻芯鋼管2に巻いたアルミニウム箔コイル1は、図3に示すようにコイル受け4の上に宙づり包装をするために、巻芯鋼管2に吊芯鋼管3を通し、この製品全体を厚さ20〜50ミクロンのプラスチックフィルム(チューブ状フィルム)5で全体を覆う形態に梱包される。
【0003】
この梱包形態においてチューブ状フィルムの両端は、
▲1▼チューブを結ぶかチューブ端部を吊芯鋼管の中に入れる。
▲2▼吊芯鋼管に穴を開けておき、図4に示すような専用のピンまたは専用のボルトで止める。
▲3▼セロテープあるいはストッパー付き輪ゴムでチューブ状フィルムを吊芯鋼管に縛りつける。
(この場合、コイル両端部とコイル受けの間またはコイル両端部と巻芯鋼管面の間には固定用のスペーサー(紙管)が挿入される。)
あるいは図5、図6に示すように
▲4▼専用のプラスチックスリーブを用いてチューブ状フィルムの両端を吊芯鋼管に固定する。
などの方法により密閉が行われている。
【0004】
しかしこれらの梱包方法では密閉度が不完全であったりまたは輸送中にコイルが揺れた時にチューブ状フィルムが破損しやすく、また密閉が不十分なために雨水などの侵入が完全に防げない問題がある。すなわち、
▲1▼結んだ時は外見が悪く、チューブ状フィルムが破損しやすい。また単に吊芯鋼管に押し込んだだけの場合は、フィルムが確実に固定されていないため簡単に梱包の密閉度が解ける。
▲2▼ピンあるいはボルトを使用した時は、固定は十分であるがチューブ状フィルムに穴を開けることで雨水の侵入がしやすくなる。
▲3▼ストッパー付き輪ゴム止めではシールが線止めになるため雨水が入りやすく、またセロテープ止めでは長期間の保存にテープの粘着力が低下し、シール状態が悪化し雨水が入りやすくなる。
▲4▼専用のプラスチックスリーブでは、輸送中にコイルが揺れた時にチューブ状フィルムが専用プラスチックスリーブと巻芯鋼管で擦れて破損しやすく、その結果雨水が侵入する。
などの問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はコイル状金属箔をチューブ状フィルムで宙づり梱包した時、長期の保存においても梱包の密閉状態が悪化せず、かつ輸送中にコイルが揺れてもチューブ状フィルムが破損しにくく、雨水の侵入の少ないコイル状製品の梱包方法の開発を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
[1] 吊芯鋼管を使用した製品コイル全体をチューブ状フィルムで覆う梱包において、巻芯鋼管の軸方向外側に伸びている吊芯鋼管外側に内側環を嵌入して鋼管とチューブ状フィルムが直接触れないようにし、前記内側環嵌入部より外側の吊芯鋼管に、前記チューブ状フィルムの外側から外側環をはめ込むことにより密封することを特徴とするコイル状製品の梱包方法、
[2] 紙管または低発泡プラスチック管である、巻芯鋼管の外径より小さく、かつ吊芯鋼管の外径より大なる内径を有し、幅が少なくとも5mmである内側環及び幅が少なくとも15mm、内径が吊芯鋼管の外径より3〜5mm大きい外側環を使用した請求項1に記載のコイル状製品の梱包方法、及び
[3] 厚さが少なくとも30〜100ミクロンのプラスチック製チューブ状フィルムを用いる前記[1]または[2]記載のコイル状製品の梱包方法、を開発することにより上記の目的を達成した。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において金属箔とは、容易に傷つき易く、湿気、雨水に触れる時はさび、腐食が発生し易く、また光沢などを失い易いアルミニウム箔、アルミニウム合金箔、スズ箔、鉛箔、銅箔、鉄箔などの金属箔を意味する。これらの金属箔は一般に巻芯鋼管あるいは吊芯鋼管を使用した巻芯鋼管に巻かれてコイル置き桟に宙づり梱包を行い、貯蔵、輸送などを行うのが普通である。
金属箔梱包のサイズは、金属箔の幅や目的、用途などにより異なるが、工業的なコイル状製品においては金属箔を巻芯鋼管に巻き、これ全体をチューブ状フィルムで梱包するか、または上記コイル状製品の巻芯鋼管の中に吊芯鋼管を挿入しそのコイル状製品全体をチューブ状フィルムで梱包することが行われている。
先述のように、従来の梱包方法においては、チューブ状フィルムが破れ易かったり、雨水の侵入が起き易かったりする問題があった。
【0008】
以下図面により本発明を具体的に説明する。
本発明の梱包方法の一つの具体例として、図1及び図2に示すように吊芯鋼管3の外側に内側環8を嵌入した後、該コイル状製品全体をプラスチック製のチューブ状フィルム5で覆い、該フィルム5の外側から外側環9を嵌入し、吊芯鋼管の表面にフィルムを強固にキッチリ止めることにより行われる。
【0009】
この場合に使用するプラスチック製チューブ状フィルムとしては、水を通さず、製品コイル全体を覆うことができるサイズのチューブであり、破れにくいものであれば特に限定する必要はない。例えば従来使用されてきた厚さが少なくとも30〜100ミクロンくらい、好ましくは40〜50ミクロンくらいのポリエチレンあるいはポリ塩化ビニルフィルムなどのプラスチック製チューブ状フィルムが使用できる。これ以上の厚さのフィルムは経済的に好ましくない。
【0010】
吊芯鋼管を使用する時に用いる内側環は、巻芯鋼管とチューブ状フィルムが直接触れてフィルムが破れるのを防ぐために設けるものであり、内径が巻芯鋼管または吊芯鋼管に嵌入できるものであれば良い。特に吊芯鋼管を使用する時は巻芯鋼管の外径よりは小さく、吊芯鋼管の外径よりは大なる内径を有し、吊芯鋼管に嵌入できるものが好ましい。
材質的には輸送中の振動などにより製品コイルが振れた時に、内側環と接触してチューブ状フィルムが破れないような柔らかさと簡単に変形しないような強度を必要であるので紙管、低発泡プラスチックなどが好ましく、また幅は少なくとも5mm、好ましくは10mm以上のものが適当である。外径は特に制限されないが、巻芯鋼管の外径と少なくとも同じサイズまたはそれ以上のものが好ましい。実際には、作業性(素早く内側環をセットできること。)、資材の調達、管理の容易性から、上記の要件に合致する外側環と同じものを使用することが好ましい。
【0011】
また外側環は、コイル状製品を覆ったチューブ状フィルムの外側から吊芯鋼管にはめてフィルムを吊芯鋼管の表面に強固に密着させるものである。また輸送中の振動などにより内側環と外側環が接触しないように外側環も吊芯鋼管に強固に固定されることが必要である。材質的には特に限定する必要はないが、チューブ状フィルムを破らないような硬度のもの、例えば紙管が最も好ましかった。該外側環の内径は、チューブ状フィルムの外側から吊芯鋼管に嵌入した時に十分強固に固定できるサイズである必要がある。したがってチューブ状フィルムの厚さやコイル外径と吊芯鋼管の外径の差などにより影響を受けるが、一般的には外側環の内径が巻芯鋼管または吊芯鋼管の外径より3〜5mm、好ましくは4〜5mmオーバーサイズのものを用いれば吊芯鋼管へのセットも容易で、フィルムの固定も十分に可能である。なお吊芯鋼管にセロハンテープを巻いて使用する時はその分だけ内径の大きなサイズの外側環を使用すれば良い。
【0012】
このような本発明のコイル状製品の梱包方法は、輸送中の振動などによりコイルが振れた場合においても、チューブ状フィルムとまたは吊芯鋼管が擦れた場合にチューブ状フィルムの破損を効果的に防止し、かつチューブ状フィルム端面を吊芯鋼管表面に確実にシールしているため、雨水の侵入を確実に防止しているものである。
【0013】
【実施例】
(実施例1−1〜1−5)
幅1500mm、厚さ10ミクロンのアルミニウム箔を、外径81mmφの巻芯鋼管に外径300mmφの厚さに巻いたコイルを準備した。巻芯鋼管には外径70mmφの吊芯鋼管を通しておいた。内側環として外径75mmφ、肉厚5mmt、幅が5mmの紙管を巻芯鋼管に嵌入し、該製品コイル全体を厚さ50ミクロンの高圧法低密度ポリエチレンチューブ状フィルムで覆い、外側環として幅が20mmの各種の内径を有する外側環を用いて600km輸送テストによるチューブ状フィルムの破損状況及び雨水の侵入テストを行った。
600km輸送テストは輸送用トラックにテストコイル(2コイル)をのせ、300km走行後一度積み換えを行い再度300km走行した後、チューブ状フィルムを目視で破損状況をチェックした。
雨水の侵入強制テストは、テストコイル(2コイル)の端部に10リットル(1端部あたり2.5リットル)の水を振りかけた後、フォークリフトで2km走行させ、そのまま1週間放置後梱包を切り開き、コイルの水濡れの有無、腐食の有無を目視でチェックした。
結果を表1に示す。
【0014】
(実施例2−1〜2−5)
実施例1において、内側環の幅が10mm、外側環が30mmとした以外は実施例1−1〜5に準じてこれを行った。
結果を表1及び表2に示す。
(実施例3−1〜3−5)
実施例1において、内側環の幅を10mm、外側環の幅を50mmとした以外は実施例1−1〜1−5に準じてこれを行った。
結果を表1に示す。
【0015】
(比較例1〜6)
実施例と同一の状態の製品コイルを用い、従来の方法によりコイル状製品の梱包を行い、同一のテストを行った。比較例6(内側環+セロテープ巻き)を除きほとんどの場合において雨水テストが不合格となった。なおセロテープ巻きは長期間の保存において接着力が低下し雨水テストが不安定になる。
結果を表2に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
【発明の効果】
本発明のコイル状製品の梱包方法による時は、傷がつき易く、縦積みなどのコイル直置きが不可能な金属箔コイルに適用されている「宙づり梱包」において、輸送中にコイルが揺れた時に吊芯鋼管と外装のチューブ状フィルムが擦れて破れる問題を大きく改善できた。
特に内側環は吊芯鋼管に嵌入するだけで良く、また外側環は製品コイル全体を覆うチューブ状フィルムの上から嵌入するだけでフィルムの固定も十分にできるので、作業自体も簡単であり、それでいながら輸送中のコイルの揺れに対してのフィルムの破損を防止し、かつ長期の保存においてもシールの悪化をもたらさない優れた梱包方法を開発できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】巻芯鋼管のみを使用した時の本発明のコイル状製品の梱包方法の一例。
【図2】巻芯鋼管と吊芯鋼管を使用した時の本発明のコイル状製品の梱包方法の一例。
【図3】従来の宙づり法によるコイル状製品の梱包方法。
【図4】専用ピンを用いたシール部分の拡大図。
【図5】専用プラスチックスリーブを用いた梱包方法。
【図6】専用プラスチックスリーブの拡大図。
【符号の説明】
1 金属箔コイル
2 巻芯鋼管
3 吊芯鋼管
4 コイル受け
5 チューブ状フィルム
6 チューブ固定用専用ピン
7 プラスチックスリーブ
8 内側環
9 外側環
Claims (3)
- 吊芯鋼管を使用した製品コイル全体をチューブ状フィルムで覆う梱包において、巻芯鋼管の軸方向外側に伸びている吊芯鋼管外側に内側環を嵌入して鋼管とチューブ状フィルムが直接触れないようにし、前記内側環嵌入部より外側の吊芯鋼管に、前記チューブ状フィルムの外側から外側環をはめ込むことにより密封することを特徴とするコイル状製品の梱包方法。
- 紙管または低発泡プラスチック管である、巻芯鋼管の外径より小さく、かつ吊芯鋼管の外径より大なる内径を有し、幅が少なくとも5mmである内側環及び幅が少なくとも15mm、内径が吊芯鋼管の外径より3〜5mm大きい外側環を使用した請求項1に記載のコイル状製品の梱包方法。
- 厚さが少なくとも30〜100ミクロンのプラスチック製チューブ状フィルムを用いる請求項1または2記載のコイル状製品の梱包方法。
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