JP3750912B2 - 束巻き電線 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、VVF電線、IV電線等の束巻き電線に関し、詳しくは良好な取り扱い性を有する傷付防止加工を施した収縮フィルム包装束巻き電線に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、束巻き電線は輸送時及び保管時における汚損等を防止すべくクレープ紙、クラフト紙及びプラスチック等のテープ状体をラップ巻きして包装されていた。また、束巻き電線をダンボール箱に収容して包装する方法も用いられていた。
【0003】
しかし、上記ラップ巻き包装では使用時に巻装したテープ状体を巻き戻さなければならず、手間がかかるという欠点があった。また、ダンボール箱に収容する方法では包装費及び保管スペースが嵩むという欠点があった。
【0004】
そこで、上記欠点を解消すべく、例えば特開平9−202372号公報には図5及び図6に示すような発明が提案されている。上記発明は、一定範囲内の厚みを有する熱収縮性プラスチックシート92にて束巻き電線91の内周面91aを除く外面を被覆したものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特開平9−202372号公報記載の発明においては以下のような欠点があった。すなわち、熱収縮性プラスチックシート92は被覆強度と経済性の面から一定範囲内の厚さを使用するものであるが、束巻き電線を取り扱う際に熱収縮性プラスチックシート92の内周縁部92aが作業者の手を傷付けたり、電線を引き出した際に電線の表面を損傷させることがあった。
【0006】
本発明の目的は、作業者の手を傷付けたり、電線の表面を損傷させることなく、容易に取り扱うことのできる束巻き電線を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
▲1▼ 熱収縮性フィルムにより、電線を巻回させた電線束の内周面を除く外面を被覆した束巻き電線において、
前記熱収縮性フィルムに、電線被覆領域を半径方向へ減少させる電線露出用の破断部が設けられたことを特徴とする束巻き電線。
【0008】
▲2▼ 前記破断部が、束巻き電線の中心点より放射状に少なくとも3箇所設けられたことを特徴とする前記▲1▼記載の束巻き電線。
【0009】
▲3▼ 前記破断部が、束巻き電線と同心円状に少なくとも一箇所設けられたことを特徴とする前記▲1▼又は▲2▼記載の束巻き電線。
【0010】
▲4▼ 前記破断部が、束巻き電線の中心点より放射状に複数箇所設けられるとともに、束巻き電線と同心円状に少なくとも一箇所設けられたことを特徴とする前記▲1▼記載の束巻き電線。
【0011】
▲5▼ 前記破断部が、内縁から渦巻き状に設けられたことを特徴とする前記▲1▼記載の束巻き電線。
【0012】
【作用】
前記▲1▼の構成によれば、熱収縮性フィルムに電線被覆領域を半径方向へ減少させる電線露出用の破断部が設けられたことにより、熱収縮性フィルムを容易に破断して作業に支障のない領域までめくり上げることができ、電線を容易に引き出すことができる。
【0013】
前記▲2▼の構成によれば、束巻き電線の中心点より放射状に少なくとも3つの破断部が設けられたことにより、熱収縮性フィルムの所望部分を容易に破断して作業に支障のない領域までめくり上げ、電線を容易に引き出すことができる。また、電線取り扱い後は、熱収縮性フィルムの破断してめくった部分を元に戻して再び電線を被覆することができる。
【0014】
前記▲3▼の構成によれば、束巻き電線と同心円状に少なくとも1つの破断部が設けられたことにより、熱収縮性フィルムの所望部分を内側から容易に破断して作業に支障のない領域までめくり上げたり、或いは除去することができる。
【0015】
前記▲4▼の構成によれば、束巻き電線の中心点より放射状に複数の破断部が設けられるとともに、束巻き電線と同心円状に少なくとも1つの破断部が設けられたことにより、熱収縮性フィルムの所望部分を容易に破断して作業に支障のない領域までめくり上げたり、或いは除去することができる。
【0016】
前記▲5▼の構成によれば、渦巻き状の破断部が設けられたことにより、熱収縮性フィルムの所望部分を内側から容易に破断して作業に支障のない領域までめくり上げたり、或いは除去することができる。
【0017】
なお、本発明における破断部とは、ミシン目、連続孔、刻線、薄肉部等の、容易に破断可能な形態のものを意味する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1〜図3は本発明の第1実施形態を示し、図1は斜視図、図2は運搬時における斜視図、図3は使用時における斜視図である。
【0019】
束巻き電線1は該束中に埃が付着しないように束巻き電線1の内周面1aを除く外面がシュリンクフィルム2によりドーナツ状に被覆されている。シュリンクフィルム2の内周縁部2aの径は束巻き電線1の内週面1aの径よりも小さく、束巻き電線1の内周面1aよりもシュリンクフィルム2の内周縁部2aが束巻き電線1の中心点に近く設けられており、束巻き電線1の束中に埃が付着しないように形成されている。
【0020】
シュリンクフィルム2はポリエチレン、ポリプロピレン及びポリエチレンテレフタレート等のプラスチックからなる熱収縮性フィルムである。シュリンクフィルム2の全面には束巻き電線1の中心点から放射状の破断線3が均等間隔に4箇所設けられている。
【0021】
本第1実施形態の作用を説明する。
シュリンクフィルム2の全面には均等間隔で放射状の破断線3が4箇所設けられており、作業者の手等によりシュリンクフィルム2の内周縁部2aを上下方向へ引っ張ることにより、放射状の破断線3に沿ってシュリンクフィルム2を容易に破断することができる。したがって、作業に支障のない領域までシュリンクフィルム2をめくり上げることができ、シュリンクフィルム2が作業者の手を傷付けることがない。
【0022】
運搬時においては、図2に示すように、放射状の破断線3を束巻き電線1の内周面1aまで破断して内側に折り込むことにより、作業者の手を傷付けることなく容易に持ち運ぶことができる。
【0023】
作業時においては、図3に示すように、取り出す電線4の表面が接触しない位置まで放射状の破断線3を破断し、外側に巻きこんで作業を行う。
【0024】
本第1実施形態によれば、シュリンクフィルム2の所望部分を容易に破断できる。また、作業者の手を傷付けず容易に持ち運べるとともに、作業時においても作業者の手及び電線表面を傷付けることがない。
【0025】
なお、本第1実施形態ではシュリンクフィルム2に放射状の破断線3を4箇所設けたが、本発明はこれに限定するものではなく、好ましくは放射状の破断線3を少なくとも3箇所設ければよいものであり、シュリンクフィルム2の硬度や束巻き電線1の容積に適宜対応させて設けることができる。
【0026】
また、本第1実施形態ではシュリンクフィルム2の全面に放射状の破断線3を設けたが、本発明はこれに限定するものではなく、シュリンクフィルム2の上下面のどちらか一方又は両方に放射状の破断線3を設けてもよい。
【0027】
さらに、本第1実施形態の放射状の破断線3はシュリンクフィルム2を容易に破断するためのものであり、放射状の破断線3に替えて、連続した小さな孔、刻線、薄肉部等を放射状に設けてもよい。
【0028】
図4は本発明の第2実施形態を示す斜視図である。
前記第1実施形態と同様に、束巻き電線1は内周面1aを除く外面がシュリンクフィルム2によってドーナツ状に被覆されている。
【0029】
シュリンクフィルム2の上下面には束巻き電線1の中心点から同心円状の破断線5が多数設けられている。また、シュリンクフィルム2の全面には放射状の破断線3が束巻き電線1の中心点から等間隔に2箇所、すなわち直線状に設けられている。
【0030】
本第2実施形態の作用を説明する。
シュリンクフィルム2の上下面には同心円状の破断線5が多数設けられるとともに、シュリンクフィルム2の全面には均等間隔で放射状の破断線3が2箇所設けられている。これら2つの破断線3,5は作業者の手等によりシュリンクフィルム2の内周縁部2aを上下左右方向へ引っ張ることにより、容易に破断することができる。
【0031】
運搬時においては、前記第1実施形態と同様に、作業者の手等によりシュリンクフィルム2の内周縁部2aを上下方向へ引っ張って放射状の破断線3を破断した後、束巻き電線1の内周面1aに対応する同心円状の破断線5に沿って内側へ折り曲げ、運搬する。この時、同心円状の破断線5によって容易に内側へ折り込むことができる。
【0032】
作業時においては、取り出す電線4の表面が接触しない位置まで放射状の破断線3を破断した後、これと対応する同心円状の破断線5に沿って外側へ巻き込んで作業を行う。或いは、放射状の破断線3及び同心円状の破断線5により所望部分を除去して作業を行う。
【0033】
本第2実施形態によれば、放射状の破断線3及び同心円状の破断線5により、シュリンクフィルム2の所望部分を作業に支障のない領域まで容易に外側へ巻き込んだり、或いは除去することができ、作業の効率化が図れる。
また、束巻き電線1の内周面1aに対応する同心円状の破断線5によって容易に内側へ折り込むことができる。
【0034】
なお、本第2実施形態ではシュリンクフィルム2の表面に同心円状の破断線5を多数設けたが、本発明は同心円状の破断線5を少なくとも1つ設ければよいものである。すなわち、束巻き電線1の内周面1aに対応する同心円状の破断線5のみとし、放射状の破断線3を多数設け、前記第1実施形態と同様に、シュリンクフィルム2の内周縁部2aを外側へ巻きこんで作業を行ってもよい。
【0035】
図5は本発明の第3実施形態を示す斜視図である。
前記第1実施形態と同様に、束巻き電線1は内周面1aを除く外面がシュリンクフィルム2によってドーナツ状に被覆されている。また、シュリンクフィルム2の上下面には渦巻き状の破断線7が設けられている。
【0036】
本第3実施形態の作用を説明する。
シュリンクフィルム2に設けられた渦巻き状の破断線7は、作業者の手等によりシュリンクフィルム2の内周縁部2aを外側に向けて引っ張ることにより、容易に破断することができる。そして、シュリンクフィルム2は作業に支障のない領域までめくり上げられ、電線を容易に引き出すことができる。また、運搬時においては、前記第1実施形態と同様に、破断した部分を内側へ折り込むことができる。
【0037】
本第3実施形態によれば、渦巻き状の破断線7により、シュリンクフィルム2の所望部分を作業に支障のない領域まで容易に外側へめくり上げたり、或いは除去することができ、作業者及び電線を傷付けることなく、作業の効率化が図れる。
なお、各実施形態において、破断分離後のシュリンクフィルムは重ねることが可能であり、まとめ易く、散乱を防止できる。
【0038】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、熱収縮性フィルムに、電線被覆領域を半径方向へ減少させる破断部が設けられたことにより、電線被覆領域を作業に支障のない所望領域まで容易に露出させることができ、作業者の手を傷付けたり、取り出す電線の表面等を破断することなく、容易に束巻き電線を取り扱うことができる。
【0039】
請求項2の発明によれば、破断部が放射状に少なくとも3箇所設けられていることにより、熱収縮性フィルムの所望部分を容易に破断して外側に巻き込んだり、容易に破断できるとともに、作業者の手を傷付けず束巻き電線を容易に持ち運ぶことができる。さらに、作業終了後の保管時において、熱収縮性フィルムの破断部分を分離せずに原形状に戻すことにより、埃の侵入を阻止することができる。
【0040】
請求項3の発明によれば、束巻き電線と同心円状に少なくとも1つの破断部が設けられたことにより、熱収縮性フィルムの所望部分を内側から容易に破断して作業に支障のない領域までめくり上げたり、或いは除去することができる。
【0041】
請求項4の発明によれば、破断部が放射状及び同心円状であることにより、熱収縮性フィルムの所望部分を容易に外側へ巻き込んだり、或いは除去することができ、作業の効率化が図れる。また、束巻き電線の内周面に対応する同心円状の破断部によって熱収縮性フィルムの内周縁部を容易に内側へ折り込むことができる。
【0042】
請求項5の発明によれば、破断部が渦巻き状であることにより、熱収縮性フィルムの所望部分を容易に破断或いは除去することができ、作業の効率化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態を示す運搬時の斜視図である。
【図3】第1実施形態を示す作業時の斜視図である。
【図4】第2実施形態を示す斜視図である。
【図5】第3実施形態を示す斜視図である。
【図6】従来例を示す斜視図である。
【図7】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 束巻き電線
2 シュリンクフィルム
3 放射状の破断線
4 電線
5 同心円状の破断線
7 渦巻き状の破断線

Claims (5)

  1. 熱収縮性フィルムにより、電線を巻回させた電線束の内周面を除く外面を被覆した束巻き電線において、
    前記熱収縮性フィルムに、電線被覆領域を半径方向へ減少させる電線露出用の破断部が設けられたことを特徴とする束巻き電線。
  2. 前記破断部が、束巻き電線の中心点より放射状に少なくとも3箇所設けられたことを特徴とする請求項1記載の束巻き電線。
  3. 前記破断部が、束巻き電線と同心円状に少なくとも一箇所設けられたことを特徴とする請求項1又は2記載の束巻き電線。
  4. 前記破断部が、束巻き電線の中心点より放射状に複数箇所設けられるとともに、束巻き電線と同心円状に少なくとも一箇所設けられたことを特徴とする請求項1記載の束巻き電線。
  5. 前記破断部が、内縁から渦巻き状に設けられたことを特徴とする請求項1記載の束巻き電線。
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