JP3563443B2 - 注ぎキャップ - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、容器の吐出口に取付けられる注ぎキャップに関する。
【0002】
【従来の技術】
栓が外された容器の吐出口に取付けられ、容器が転倒しても内容液が流出せず、一定条件下で、内容液が注ぎ口から流出する注ぎキャップが提案されている(実公昭36−892号公報参照)。
【0003】
この注ぎキャップ50には、図9に示すように、容器52の吐出口54に圧入される筒体56と、この筒体56の上部開口を閉塞する蓋58とで構成されている。この蓋58には、筒体56と連通する孔60、62が穿設されており、図10に示すように、容器52が転倒した際、孔60と孔62とが水平線上に位置し、圧力水頭hの差が0になるように、容器52が偏平型となっている。
【0004】
このとき、内圧P’と圧力水頭hの合計が大気圧Pと釣り合っているため、大気中の空気が孔60あるいは孔62から容器52内へ流入できず、孔60、62から溶液が溢れない。
【0005】
一方、孔60あるいは孔62から溶液を流出させるには、図11に示すように、容器52を立てて、孔60と孔62が上下に位置するようにすると、孔60の圧力水頭h1 と孔62の圧力水頭h2 とにΔhの圧力水頭差を生じ、孔60から容器52内に空気が流入し、孔62から溶液が流出するようになっている。
【0006】
しかしながら、上記のような注ぎキャップ50では、適用できる容器の形状が限定され、デザインの自由度が小さく、また、汎用性もない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事実を考慮し、容器の形状に左右されず、汎用性に優れ液溢れ防止機能を有する注ぎキャップを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の注ぎキャップは、容器の吐出口を閉塞する筒体と、前記容器中の内容液が外部へ流出可能に前記筒体に開口され、容器の転倒時に内容液を流出させず、所定の要件下で内容液を流出させる注ぎ手段と、を有する注ぎキャップにおいて、前記キャップの外周部に設けられた筒状のスカートと前記スカートの内側に配設され前記吐出口内へ延出する環状のリテーナが前記容器の開口縁を挟持し前記リテーナの内側に筒体が設けられ、前記注ぎ手段が、前記筒体の周壁の長手方向に沿って形成され前記容器が前記注ぎ手段を下にして真横に転倒したとき開口面と液面が略平行となり前記周壁の長手方向両端の圧力水頭差が容器内へ外部から空気が流入しないように設定されたことを有することを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の注ぎキャップは、前記筒体の周壁の周方向に沿った前記注ぎ手段の開口幅が前記容器が前記注ぎ手段を真横にして転倒したとき前記周壁の幅方向両端の圧力水頭差が液体の表面張力より小さくなるように設定され、少なくとも容器内へ外部から空気が流入しないように設定されたことを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の注ぎキャップは、前記注ぎ手段が、前記筒体の周壁の長手方向に沿って開口された長孔で構成されたことを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の注ぎキャップは、前記注ぎ手段が、前記筒体の周壁の長手方向に沿って穿設された少なくとも2つ以上の孔からなる開口から構成されたことを特徴としている。
【0012】
【作用】
請求項1に記載の注ぎキャップでは、キャップの外周部に設けられた筒状のスカートと、スカートの内側に配設され吐出口内へ延出する環状のリテーナが容器の開口縁を挟持し、リテーナの内側に筒体が設けられ、吐出口を閉塞する。この筒体の周壁には、注ぎ手段が開口されており、この注ぎ手段を通して内容液が外部へ流出されるようになっている。このリテーナとスカートによって、注ぎキャップを一般的な容器の吐出口に密閉状態で取付けることができる。
【0013】
次に、容器が注ぎ手段を下側にして真横に転倒すると、内容液が注ぎ手段へ流れ込むが、注ぎ手段は、開口面と液面が略平行となり筒体の周壁の長手方向の両端における圧力水頭差が容器内へ外部から空気が流入しないように設定されている。
【0014】
容器内へ空気が流入しないとは、容器の内圧と注ぎ手段の圧力水頭の合計が大気圧と等しく、注ぎ手段の両端における圧力水頭差が0の場合と、周壁の長手方向の両端で圧力水頭差はあるが、注ぎ手段における内容液の表面張力より小さくなるように設定されているという2つの意味を持っている。
【0015】
これによって、容器が転倒しても注ぎ手段から空気が容器内へ流入しないので、注ぎ手段から内容液が流出することがない。
【0016】
また、容器から内容液を流出させるときは、容器を手に持って傾けると、注ぎ手段の長手方向両端における圧力水頭差が表面張力より大きくなって、圧力水頭の小さい方から空気が容器内へ流入し、圧力水頭の高い方から内容液が外部へ流出する。
【0017】
このように、筒体の周壁の長手方向に沿って注ぎ手段を設けることで、容器の形状に左右されずに、溢れ防止機能を発揮させることができる。
【0018】
請求項2に記載の注ぎキャップでは、筒体の周壁の周方向における注ぎ手段の開口幅が、容器が注ぎ手段を真横にして転倒したとき前記周壁の幅方向両端の圧力水頭差が液体の表面張力より小さくなるように設定されている。
【0019】
すなわち、円筒状の容器では、転倒したときに転がって、注ぎ手段が上下方向の中間に位置することがある。このとき、注ぎ手段の開口幅が必要以上に大きいと、幅方向両端の圧力水頭差が内容液の表面張力より大きくなり、注ぎ手段から内容液が溢れる恐れがある。
【0020】
このため、幅方向両端の圧力水頭差が内容液の表面張力より大きくならないように、注ぎ手段の開口幅が、容器が転倒したとき前記周壁の幅方向両端の圧力水頭差が液体の表面張力より小さくなるように設定され、どのように転倒しても内容液が溢れないようになっている。
【0021】
請求項3に記載の注ぎキャップでは、注ぎ手段が、筒体の周壁の長手方向に沿って穿設された長孔で構成されている。このように、注ぎ手段を長孔とすることで、長孔の孔壁を若干凹設させ、液垂れを防止する機能を持たせることもできる。
【0022】
請求項4に記載の注ぎキャップでは、注ぎ手段が、筒体の周壁の長手方向に沿って穿設された少なくとも2つ以上の孔からなる開口から構成されている。これによって、実質的に空気が流入し、また、内容液が流出する部分だけ孔を穿設すればよいので、容器中の内容液が空気に触れる面積が小さくなり、内容液の鮮度を保つことができる。
以上
【0023】
【実施例】
図1及び図2に示すように、第1実施例に係る注ぎキャップ10は、円筒状の容器12の吐出口14へ装着されるようになっている。
【0024】
この吐出口14の外周部には、栓が螺合可能な雄ねじ部16が形成されており、また、吐出口14の開口縁には、利用者の安全を考慮して丸みを帯びた肉厚部18が形成されている。
【0025】
図2に示すように、この雄ねじ部16へ、注ぎキャップ10の外周部に設けられた筒状のスカート20の先端が嵌まり込むようになっている。また、同時に、スカート20の内側に配設され吐出口14の中へ延出する環状のリテーナ22が、スカート20との間に、肉厚部18を挟持するようになっている。
【0026】
このリテーナ22とスカート20によって、注ぎキャップ10を一般的な容器の吐出口に密閉状態で取付けることができる。
【0027】
一方、リテーナ22の内側には、容器12側に底壁26を有し、上方が開口された筒体24が形成されている。この筒体24の周壁28は、底壁26に向かって接近し合う方向へ傾斜している(図3参照)。
【0028】
また、周壁28には、長手方向に沿って長孔30が底壁26から開口付近に渡って形成されている。図4に示すように、この長孔30を通して、周壁28の外周面に回り込んだ液体が容器12から流出するようになっている。この長孔30から流出した液体は、筒体24の開口縁から立設された筒状の注ぎ口32を通じて、外部へ流れるようになっている。この注ぎ口32の口縁は、外方にめくられるように湾曲しており、液垂れを防止するようになっている。また、長孔30の両端も円形に加工されており、長孔30から流出する液体の液垂れも防止されている。
【0029】
なお、図8に示すように、非使用時には、長孔30を密閉する蓋31を取付けておき、蓋31の外周縁を薄肉として、プルリング33で必要なときに、長孔30を開口するようにしてもよい。これによって、液体の鮮度を保持することができる。
【0030】
次に、本実施例に係る注ぎキャップ10の作用を説明する。
図3に示すように、容器12が長孔30を下にして転倒すると、長孔30の開口面と液面が略平行となって、液体が長孔30の下側へ回り込む。
【0031】
このとき、長孔30の下端側(底壁26側)の圧力水頭H1 と、下端側(筒体24の開口側)圧力水頭H2 との圧力水頭差はΔhとなる。また、ここで、大気圧(P)=内圧(P’)+(H1 +H2 )/2の関係が成立している。
【0032】
従って、空気が圧力水頭の低い長孔30の下側から浸入し、液体が圧力水頭の高い長孔30の上端側から流出しようとするが、圧力水頭H1 と圧力水頭H2 との圧力水頭差Δhが液体の表面張力以下となるように、周壁28が傾斜しているので、液体は長孔30から流出しない。
【0033】
なお、本実施例において、周壁28を傾斜させ長孔30の両端で圧力水頭差が生じるようにしたのは、図4に示すように、容器12を傾ける割合が小さくても、長孔30から液体が流出し易いように考慮したもので、周壁28を傾斜させず、容器12が転倒したとき、長孔30の両端に圧力水頭差が生じないようにすることもできる。
【0034】
しかしながら、使い勝手を考えると、液体の有する表面張力を利用して、容器12が転倒したときに、長孔30の両端で圧力水頭差が生じるようにした方が好ましい。
【0035】
一方、図5に示すように、容器12が長孔30を真横にして転倒すると、今度は、長孔30の孔幅方向の上下端で圧力水頭差Δhが生じ、下端の方から液体が流出しようとする。
【0036】
このときも、圧力水頭差Δhは、液体の表面張力より小さくなるように設定されているので、長孔30から液体が流出しない。この長孔30の孔幅は、液体の種類によって実験的に設定されるものであるが、一例として、水の場合、孔幅が4mm程度であれば、長孔30から水が流出しないことが実験によって判明している。
【0037】
次に、図4に示すように、容器12を手に持って傾けると、長孔30の上端と下端との圧力水頭差がΔh1 >Δhとなって、表面張力より大きくなる。この結果、圧力水頭の低い長孔30の下端側から空気が容器12内へ浸入し、上端側から液体が流れ出る。
【0038】
なお、本実施例では、注ぎ手段として周壁28に長孔30を形成したが、容器12を傾けたときに容器の長手方向に圧力水頭差が生じるものであれば、形状は特に限定されず、図6に示す注ぎキャップ29のように、周壁28の長手方向の両端に円孔34、36を穿設したものでもよい。
【0039】
さらに、筒体24を、容器12の吐出口14の中へ必ずしも挿入する必要はなく、図7に示すように、外側へ突出し頂面39を有する筒体38が形成された注ぎキャップ40でもよい。
【0040】
【発明の効果】
本発明は上記構成としたので、容器の形状に左右されずに、容器転倒時の液溢れを防止でき、かつ、軽く傾けるだけで内容液を流出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係る注ぎキャップを容器に取付ける前の状態を示した斜視図である。
【図2】本実施例に係る注ぎキャップを容器に取付けた状態を示した斜視図である。
【図3】本実施例に係る注ぎキャップを取付けた容器が転倒した状態を示した正断面図である。
【図4】本実施例に係る注ぎキャップから内容液が流出している状態を示した正断面図である。
【図5】本実施例に係る注ぎキャップを取付けた容器が転倒した状態を示した側断面図である。
【図6】本実施例に係る注ぎキャップの変形例を示した斜視図である。
【図7】本実施例に係る注ぎキャップの変形例を示した断面図である。
【図8】本実施例に係る注ぎキャップの長孔に開封可能な密閉蓋を取付けた状態を示した斜視図である。
【図9】従来の注ぎキャップを容器に取付ける前の状態を示した斜視図である。
【図10】従来の注ぎキャップを取付けた容器が転倒した状態を示した正断面図である。
【図11】従来の注ぎキャップから内容液が流出している状態を示した正断面図である。
【符号の説明】
24 筒体
26 周壁
30 長孔(注ぎ手段)
34 孔(注ぎ手段)
36 孔(注ぎ手段)
【産業上の利用分野】
本発明は、容器の吐出口に取付けられる注ぎキャップに関する。
【0002】
【従来の技術】
栓が外された容器の吐出口に取付けられ、容器が転倒しても内容液が流出せず、一定条件下で、内容液が注ぎ口から流出する注ぎキャップが提案されている(実公昭36−892号公報参照)。
【0003】
この注ぎキャップ50には、図9に示すように、容器52の吐出口54に圧入される筒体56と、この筒体56の上部開口を閉塞する蓋58とで構成されている。この蓋58には、筒体56と連通する孔60、62が穿設されており、図10に示すように、容器52が転倒した際、孔60と孔62とが水平線上に位置し、圧力水頭hの差が0になるように、容器52が偏平型となっている。
【0004】
このとき、内圧P’と圧力水頭hの合計が大気圧Pと釣り合っているため、大気中の空気が孔60あるいは孔62から容器52内へ流入できず、孔60、62から溶液が溢れない。
【0005】
一方、孔60あるいは孔62から溶液を流出させるには、図11に示すように、容器52を立てて、孔60と孔62が上下に位置するようにすると、孔60の圧力水頭h1 と孔62の圧力水頭h2 とにΔhの圧力水頭差を生じ、孔60から容器52内に空気が流入し、孔62から溶液が流出するようになっている。
【0006】
しかしながら、上記のような注ぎキャップ50では、適用できる容器の形状が限定され、デザインの自由度が小さく、また、汎用性もない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事実を考慮し、容器の形状に左右されず、汎用性に優れ液溢れ防止機能を有する注ぎキャップを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の注ぎキャップは、容器の吐出口を閉塞する筒体と、前記容器中の内容液が外部へ流出可能に前記筒体に開口され、容器の転倒時に内容液を流出させず、所定の要件下で内容液を流出させる注ぎ手段と、を有する注ぎキャップにおいて、前記キャップの外周部に設けられた筒状のスカートと前記スカートの内側に配設され前記吐出口内へ延出する環状のリテーナが前記容器の開口縁を挟持し前記リテーナの内側に筒体が設けられ、前記注ぎ手段が、前記筒体の周壁の長手方向に沿って形成され前記容器が前記注ぎ手段を下にして真横に転倒したとき開口面と液面が略平行となり前記周壁の長手方向両端の圧力水頭差が容器内へ外部から空気が流入しないように設定されたことを有することを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の注ぎキャップは、前記筒体の周壁の周方向に沿った前記注ぎ手段の開口幅が前記容器が前記注ぎ手段を真横にして転倒したとき前記周壁の幅方向両端の圧力水頭差が液体の表面張力より小さくなるように設定され、少なくとも容器内へ外部から空気が流入しないように設定されたことを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の注ぎキャップは、前記注ぎ手段が、前記筒体の周壁の長手方向に沿って開口された長孔で構成されたことを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の注ぎキャップは、前記注ぎ手段が、前記筒体の周壁の長手方向に沿って穿設された少なくとも2つ以上の孔からなる開口から構成されたことを特徴としている。
【0012】
【作用】
請求項1に記載の注ぎキャップでは、キャップの外周部に設けられた筒状のスカートと、スカートの内側に配設され吐出口内へ延出する環状のリテーナが容器の開口縁を挟持し、リテーナの内側に筒体が設けられ、吐出口を閉塞する。この筒体の周壁には、注ぎ手段が開口されており、この注ぎ手段を通して内容液が外部へ流出されるようになっている。このリテーナとスカートによって、注ぎキャップを一般的な容器の吐出口に密閉状態で取付けることができる。
【0013】
次に、容器が注ぎ手段を下側にして真横に転倒すると、内容液が注ぎ手段へ流れ込むが、注ぎ手段は、開口面と液面が略平行となり筒体の周壁の長手方向の両端における圧力水頭差が容器内へ外部から空気が流入しないように設定されている。
【0014】
容器内へ空気が流入しないとは、容器の内圧と注ぎ手段の圧力水頭の合計が大気圧と等しく、注ぎ手段の両端における圧力水頭差が0の場合と、周壁の長手方向の両端で圧力水頭差はあるが、注ぎ手段における内容液の表面張力より小さくなるように設定されているという2つの意味を持っている。
【0015】
これによって、容器が転倒しても注ぎ手段から空気が容器内へ流入しないので、注ぎ手段から内容液が流出することがない。
【0016】
また、容器から内容液を流出させるときは、容器を手に持って傾けると、注ぎ手段の長手方向両端における圧力水頭差が表面張力より大きくなって、圧力水頭の小さい方から空気が容器内へ流入し、圧力水頭の高い方から内容液が外部へ流出する。
【0017】
このように、筒体の周壁の長手方向に沿って注ぎ手段を設けることで、容器の形状に左右されずに、溢れ防止機能を発揮させることができる。
【0018】
請求項2に記載の注ぎキャップでは、筒体の周壁の周方向における注ぎ手段の開口幅が、容器が注ぎ手段を真横にして転倒したとき前記周壁の幅方向両端の圧力水頭差が液体の表面張力より小さくなるように設定されている。
【0019】
すなわち、円筒状の容器では、転倒したときに転がって、注ぎ手段が上下方向の中間に位置することがある。このとき、注ぎ手段の開口幅が必要以上に大きいと、幅方向両端の圧力水頭差が内容液の表面張力より大きくなり、注ぎ手段から内容液が溢れる恐れがある。
【0020】
このため、幅方向両端の圧力水頭差が内容液の表面張力より大きくならないように、注ぎ手段の開口幅が、容器が転倒したとき前記周壁の幅方向両端の圧力水頭差が液体の表面張力より小さくなるように設定され、どのように転倒しても内容液が溢れないようになっている。
【0021】
請求項3に記載の注ぎキャップでは、注ぎ手段が、筒体の周壁の長手方向に沿って穿設された長孔で構成されている。このように、注ぎ手段を長孔とすることで、長孔の孔壁を若干凹設させ、液垂れを防止する機能を持たせることもできる。
【0022】
請求項4に記載の注ぎキャップでは、注ぎ手段が、筒体の周壁の長手方向に沿って穿設された少なくとも2つ以上の孔からなる開口から構成されている。これによって、実質的に空気が流入し、また、内容液が流出する部分だけ孔を穿設すればよいので、容器中の内容液が空気に触れる面積が小さくなり、内容液の鮮度を保つことができる。
以上
【0023】
【実施例】
図1及び図2に示すように、第1実施例に係る注ぎキャップ10は、円筒状の容器12の吐出口14へ装着されるようになっている。
【0024】
この吐出口14の外周部には、栓が螺合可能な雄ねじ部16が形成されており、また、吐出口14の開口縁には、利用者の安全を考慮して丸みを帯びた肉厚部18が形成されている。
【0025】
図2に示すように、この雄ねじ部16へ、注ぎキャップ10の外周部に設けられた筒状のスカート20の先端が嵌まり込むようになっている。また、同時に、スカート20の内側に配設され吐出口14の中へ延出する環状のリテーナ22が、スカート20との間に、肉厚部18を挟持するようになっている。
【0026】
このリテーナ22とスカート20によって、注ぎキャップ10を一般的な容器の吐出口に密閉状態で取付けることができる。
【0027】
一方、リテーナ22の内側には、容器12側に底壁26を有し、上方が開口された筒体24が形成されている。この筒体24の周壁28は、底壁26に向かって接近し合う方向へ傾斜している(図3参照)。
【0028】
また、周壁28には、長手方向に沿って長孔30が底壁26から開口付近に渡って形成されている。図4に示すように、この長孔30を通して、周壁28の外周面に回り込んだ液体が容器12から流出するようになっている。この長孔30から流出した液体は、筒体24の開口縁から立設された筒状の注ぎ口32を通じて、外部へ流れるようになっている。この注ぎ口32の口縁は、外方にめくられるように湾曲しており、液垂れを防止するようになっている。また、長孔30の両端も円形に加工されており、長孔30から流出する液体の液垂れも防止されている。
【0029】
なお、図8に示すように、非使用時には、長孔30を密閉する蓋31を取付けておき、蓋31の外周縁を薄肉として、プルリング33で必要なときに、長孔30を開口するようにしてもよい。これによって、液体の鮮度を保持することができる。
【0030】
次に、本実施例に係る注ぎキャップ10の作用を説明する。
図3に示すように、容器12が長孔30を下にして転倒すると、長孔30の開口面と液面が略平行となって、液体が長孔30の下側へ回り込む。
【0031】
このとき、長孔30の下端側(底壁26側)の圧力水頭H1 と、下端側(筒体24の開口側)圧力水頭H2 との圧力水頭差はΔhとなる。また、ここで、大気圧(P)=内圧(P’)+(H1 +H2 )/2の関係が成立している。
【0032】
従って、空気が圧力水頭の低い長孔30の下側から浸入し、液体が圧力水頭の高い長孔30の上端側から流出しようとするが、圧力水頭H1 と圧力水頭H2 との圧力水頭差Δhが液体の表面張力以下となるように、周壁28が傾斜しているので、液体は長孔30から流出しない。
【0033】
なお、本実施例において、周壁28を傾斜させ長孔30の両端で圧力水頭差が生じるようにしたのは、図4に示すように、容器12を傾ける割合が小さくても、長孔30から液体が流出し易いように考慮したもので、周壁28を傾斜させず、容器12が転倒したとき、長孔30の両端に圧力水頭差が生じないようにすることもできる。
【0034】
しかしながら、使い勝手を考えると、液体の有する表面張力を利用して、容器12が転倒したときに、長孔30の両端で圧力水頭差が生じるようにした方が好ましい。
【0035】
一方、図5に示すように、容器12が長孔30を真横にして転倒すると、今度は、長孔30の孔幅方向の上下端で圧力水頭差Δhが生じ、下端の方から液体が流出しようとする。
【0036】
このときも、圧力水頭差Δhは、液体の表面張力より小さくなるように設定されているので、長孔30から液体が流出しない。この長孔30の孔幅は、液体の種類によって実験的に設定されるものであるが、一例として、水の場合、孔幅が4mm程度であれば、長孔30から水が流出しないことが実験によって判明している。
【0037】
次に、図4に示すように、容器12を手に持って傾けると、長孔30の上端と下端との圧力水頭差がΔh1 >Δhとなって、表面張力より大きくなる。この結果、圧力水頭の低い長孔30の下端側から空気が容器12内へ浸入し、上端側から液体が流れ出る。
【0038】
なお、本実施例では、注ぎ手段として周壁28に長孔30を形成したが、容器12を傾けたときに容器の長手方向に圧力水頭差が生じるものであれば、形状は特に限定されず、図6に示す注ぎキャップ29のように、周壁28の長手方向の両端に円孔34、36を穿設したものでもよい。
【0039】
さらに、筒体24を、容器12の吐出口14の中へ必ずしも挿入する必要はなく、図7に示すように、外側へ突出し頂面39を有する筒体38が形成された注ぎキャップ40でもよい。
【0040】
【発明の効果】
本発明は上記構成としたので、容器の形状に左右されずに、容器転倒時の液溢れを防止でき、かつ、軽く傾けるだけで内容液を流出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係る注ぎキャップを容器に取付ける前の状態を示した斜視図である。
【図2】本実施例に係る注ぎキャップを容器に取付けた状態を示した斜視図である。
【図3】本実施例に係る注ぎキャップを取付けた容器が転倒した状態を示した正断面図である。
【図4】本実施例に係る注ぎキャップから内容液が流出している状態を示した正断面図である。
【図5】本実施例に係る注ぎキャップを取付けた容器が転倒した状態を示した側断面図である。
【図6】本実施例に係る注ぎキャップの変形例を示した斜視図である。
【図7】本実施例に係る注ぎキャップの変形例を示した断面図である。
【図8】本実施例に係る注ぎキャップの長孔に開封可能な密閉蓋を取付けた状態を示した斜視図である。
【図9】従来の注ぎキャップを容器に取付ける前の状態を示した斜視図である。
【図10】従来の注ぎキャップを取付けた容器が転倒した状態を示した正断面図である。
【図11】従来の注ぎキャップから内容液が流出している状態を示した正断面図である。
【符号の説明】
24 筒体
26 周壁
30 長孔(注ぎ手段)
34 孔(注ぎ手段)
36 孔(注ぎ手段)
Claims (4)
- 容器の吐出口を閉塞する筒体と、前記容器中の内容液が外部へ流出可能に前記筒体に開口され、容器の転倒時に内容液を流出させず、所定の要件下で内容液を流出させる注ぎ手段と、を有する注ぎキャップにおいて、
前記キャップの外周部に設けられた筒状のスカートと前記スカートの内側に配設され前記吐出口内へ延出する環状のリテーナが前記容器の開口縁を挟持し前記リテーナの内側に筒体が設けられ、
前記注ぎ手段が、前記筒体の周壁の長手方向に沿って形成され前記容器が前記注ぎ手段を下にして真横に転倒したとき開口面と液面が略平行となり前記周壁の長手方向両端の圧力水頭差が容器内へ外部から空気が流入しないように設定されたことを有することを特徴とする注ぎキャップ。 - 前記筒体の周壁の周方向に沿った前記注ぎ手段の開口幅が前記容器が前記注ぎ手段を真横にして転倒したとき前記周壁の幅方向両端の圧力水頭差が液体の表面張力より小さくなるように設定され、少なくとも容器内へ外部から空気が流入しないように設定されたことを特徴とする請求項1に記載の注ぎキャップ。
- 前記注ぎ手段が、前記筒体の周壁の長手方向に沿って開口された長孔で構成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の注ぎキャップ。
- 前記注ぎ手段が、前記筒体の周壁の長手方向に沿って穿設された少なくとも2つ以上の孔からなる開口から構成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の注ぎキャップ。
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JP14146994A JP3563443B2 (ja) | 1994-06-23 | 1994-06-23 | 注ぎキャップ |
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JP14146994A JP3563443B2 (ja) | 1994-06-23 | 1994-06-23 | 注ぎキャップ |
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