JP3562574B2 - 平版印刷版用支持体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軽印刷で使用される平版印刷版用の支持体に関する。さらに詳しくは、湿し水による印刷時の版の伸びが少なく、版のエッジからの水の浸透を抑え、印刷機への取り付けの際のエッジ切れや伸びの問題が無く、横方向の強度も高いため横掛けも可能であり、この平印刷版を使用した印刷物のベタ面が均一である平印刷版用支持体に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、軽印刷の分野では、平印刷版として、安価であるという最大の特徴によって紙を支持体とし、これに酸化亜鉛感光層を塗工した酸化亜鉛マスターペーパーが使用されている。これらマスターペーパーは、印刷時の湿し水の影響を抑えるために原紙に強サイズを施し、さらに耐水性の塗工を行うことによって印刷時の版の伸び(印伸び)を少なくしているが、耐水性に限界があるため、大量の印刷を行う場合には、印伸びが発生してしまう。また、紙の地合ムラや平滑性のムラが原因で、これらマスターペーパーを使用した印刷物は、ベタ面が不均一になるなどの問題点を有していた。
【0003】
これら問題点を解決するために特開平11−109668号公報にはポリエステルフィルムを支持体としたものが提案されているが、シートの腰が無く、強度に対する伸びが大きいため、印刷機に取り付ける際のハンドリングが悪く、また、価格的にも高いという問題点がある。
【0004】
さらに、特開平7−239575号公報には、紙の両面に導電性ウィスカーを含む2軸配向ポリエステルフィルムを貼り合わせた複合体を支持体とする提案がなされているが、ポリエステルフィルムにウィスカーを混合することでフィルムが脆化し、強度が低くなる問題点を有している。また、この公報では、貼り合わせる紙は通常オフセットマスターの原紙として用いられる紙が同様に使用できる旨の記載がなされているだけであり、さらに、貼り合わせる紙とポリエステルフィルムとの厚みの比率については、何ら規定されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようする課題は、平印刷版として必要な強度、伸び、耐水性、寸法安定性、腰等の特性を備え、さらに、この平印刷版を使用した印刷物の印刷品質が高く、特にベタ面が均一に印刷できる、軽印刷で使用される安価な平印刷用の支持体を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、耐水性と寸法安定性が得られる支持体として、原紙の両面にポリエステルフィルムを貼り合わせた複合体構造の平印刷版用の支持体を用いた場合に、これら平印刷版を使用した印刷物のベタ面で発生するムラが、一つには原紙の地合及び平滑性と関係があり、また、もう一つには、貼り合わせる原紙とポリエステルフィルムの厚みの比率と関係があることを見出した。さらに、本発明者らはかような支持体の強度特性も、複合する紙とポリエステルフィルムの厚みの比率によって大きく影響されることを発見し、この両方の特性を満足させるためには、原紙に使用するパルプ配合や使用する薬品を限定する必要があり、原紙の厚みと表裏に貼り合わせるポリエステルフィルムの厚みの合計との比率を規定する必要があることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち本発明による平版印刷版用支持体は、全製紙原料用パルプを100重量部とした場合に、針葉樹パルプと広葉樹パルプの重量比が20:80〜50:50で構成され、コッブの吸水度30g/m2 以下でベックの平滑度40秒以上とした原紙の両面にポリエステルフィルムを貼り合わせた構造を有し、原紙の厚みと原紙の両面に貼り合わせたポリエステルフィルムの厚みの合計との比率が3:1〜1:1の範囲にあり、全厚みが100〜250μmであることを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する原紙は、全製紙原料用パルプを100重量部とした場合に、針葉樹パルプと広葉樹パルプの重量比が20:80〜50:50でなければならない。一般的に紙は、木材パルプから構成され、木材パルプもその原木が針葉樹のものと広葉樹のものとに分かれる。針葉樹パルプは、繊維長が2〜5mm程度、広葉樹パルプは繊維長が0.5〜1.5mm程度であり、紙に強度が要求される場合には、針葉樹パルプを多く使用し、均一性や平滑性が要求されるときには、広葉樹パルプの配合率を高くするのが一般的である。
【0009】
本発明では、印刷時のベタ面の均一性や網点の再現性を考えれば、均一性や平滑性を重視しなければならないが、印刷機への取付の際や印刷時にかかる力にも強度的に耐えなければならないので強さも必要となる。針葉樹パルプと広葉樹パルプの配合という観点から考えると相反する特性を満足させるためには、針葉樹パルプと広葉樹パルプの配合率は、重量比で20:80〜50:50である必要がある。これより針葉樹パルプが多くなると地合などの均一性が悪くなり、広葉樹パルプが多くなると強度の問題が発生する。
【0010】
また、叩解の程度によっても得られるシートの強度や均一性は変化し、本発明の場合、全パルプの叩解度は、カナディアンスタンダードフリーネス(C.S.F.)で300〜500ml程度であることが好ましい。300mlより低すぎると強度は高いが、地合や平滑性が悪くなり、500mlより高いと強度が不足する傾向がある。
【0011】
印刷版は、印刷される際に大量の湿し水が使用され、紙を使用する支持体の場合は、この湿し水の浸透を防止しなければ、印刷時の強度や寸法安定性などの必要な特性が得られない。本発明においては、紙の両面にポリエステルフィルムを貼り合わせるため、湿し水の紙の表裏からの浸透は、完全に防止することが可能である。さらに、紙が露出している端面(断裁面)からの湿し水の浸透を防止するため芯材である原紙のJIS−P8140に準じて測定したコッブの吸水度は、30g/m以下でなければならない。
【0012】
原紙のコッブの吸水度を30g/m以下にするためには、原紙に使用する全製紙原料用パルプ100重量部に対して0.8〜2.0重量部(固形分重量)の変性ロジンエマルジョンサイズ剤を添加する方法が採用できる。0.8重量部より少ないと端面からの水の浸透を防止する効果が十分でなく、2.0重量部以上添加しても浸透防止効果の向上はみられず、経済的に不利になるばかりでなく、抄造時にウエットプレス等で汚れの問題が発生する。また、パルプサスペンションに対して変成ロジンエマルジョンを単独で添加するだけでは、ロジンエマルジョンのパルプへの定着が発生しにくいため、十分なアルミニウム塩を加えることによって定着させることが望ましい。
【0013】
また、端面から水が浸透したときの強度面を考慮して、必要に応じて湿潤紙力増強剤を製紙原料用パルプに添加することも可能である。湿潤紙力増強剤は、カチオン性である場合が多いのでパルプの凝集が発生し、地合が悪くなるという問題点を有する。そこで、全製紙原料用パルプ100重量部に対して湿潤紙力増強剤の添加量は、0.2〜2.0重量部(固形分重量)の範囲であることが好ましい。0.2重量部以下であると湿潤時の紙力増強効果が少なく、2.0重量部以上添加してもコストに見合うほどの効果が得られないばかりか、紙の地合を悪くするという問題が発生する傾向がある。
【0014】
添加する湿潤紙力増強剤としては、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒドリン樹脂、ポリエチレンイミン等が、適宜使用できる。その他、乾燥紙力増強剤としてポリアクリルアミド、各種変性デンプン、植物ガム、CMCなどを適宜添加することができる。
【0015】
このように調製された原料を抄紙するにあたって、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤーフォーマー、単網抄紙機等、あらゆる抄紙機が適応できる。また、ポリエステルフィルムと貼り合わせを行うにあたって、その接着剤の原紙への浸透を抑える必要もあるため、サイズプレスによって浸透防止加工を行うことが好ましい。この際のサイズプレス薬品としては、酸化デンプンなどの変性デンプン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、スチレン−アクリルなど通常のサイズプレス工程で慣用されている薬品が同様に使用できるが、バリアー性などから考えると高重合度のポリビニルアルコールが最も好ましい。
【0016】
このように抄造された紙は、ウエットプレスやオンマシンまたはオフマシンカレンダーで平滑化処理が施され、ポリエステルフィルムと貼り合わせたときにポリエステルフィルム表面の平滑性を阻害しないようにしなければならない。このような意味から、得られる原紙の平滑度は、JIS−P8119に準じたベックの平滑度が、40秒以上である必要がある。これ以下であると貼り合わせた後でポリエステルフィルム面の平滑性を阻害してしまう。
【0017】
また、本発明者らは、原紙の平滑性とポリエステルフィルムと貼り合わせた後のポリエステルフィルム面の平滑性を比較したとき、ポリエステルフィルムの厚みが十分に厚いことによって、原紙の影響が少なくなることを見出した。さらに、原紙の厚みと両面に貼り合わせたポリエステルフィルムの厚みの合計との比によって複合体の強度が大きく変化し、特に横方向の強度が、紙単独の場合と比較して著しく向上することを見出した。
【0018】
横方向の強度が必要となる理由は、最近この種の支持体を使用した印刷版は大判化する傾向があり、例えば菊全判などで使用される場合、製版は縦方向で行うが、印刷版は印刷機に横方向で掛けられる場合が多くなっているからである。このような場合は、横方向の強度が必要になり、軽印刷で大量に使用されている紙版(ペーパーマスター)では横強度が弱すぎて問題となっていた。
【0019】
これらを考慮すると、本発明の平印刷版用の支持体としての複合体は、原紙の厚みと原紙の両面に貼り合わせたポリエステルフィルムの厚みの合計との比率が、3:1〜1:1の範囲にあり、全厚みが100〜250μmでなければならない。この比よりもポリエステルフィルムの厚みが薄くなると複合体の特に横方向の強度が不十分であり、横方向での版掛けが不可能になってしまう。また、原紙の凹凸が、ポリエステルフィルム表面にも影響を与える。また、この比よりもポリエステルフィルムが厚くなるとコストに見合うほどの強度面、平滑面の向上効果が得られないばかりでなく、シートの腰がなくなり、版掛けの際のハンドリングが悪くなるなどの問題が発生する。
【0020】
複合体として平滑性が要求されるのは、その表面に画像形成層が塗工されるためであり、従って、紙の両面に貼り合わせるポリエステルフィルムの厚みは同一である必要はなく、画像形成層を塗工する面のポリエステルフィルムの厚みが厚い方が、本発明にとっては好ましい。しかしながら、強度面から考えると原紙と両面に貼り合わせるポリエステルフィルムの厚みの合計との比率は、3:1〜1:1でなければならない。
【0021】
さらに、本発明は、平印刷版用支持体であるため強度面、シートの腰、ハンドリングなどの関係から複合体シートの全厚みは、100〜250μmの範囲である必要がある。100μm以下では、強度面、腰などが不足し、250μm以上では、割高になってしまうだけでなく、腰が強すぎ版掛けが非常に難しくなる。
【0022】
紙とポリエステルフィルムを貼り合わせる方法としては、従来から用いられている方法が同様に採用できる。例えば、ドライラミネート、ウエットラミネート、イクストルージョンラミネートなどが挙げられるが、貼り合わせのしやすさからドライラミネート法が最も好ましい。また、ドライラミネートで使用する接着剤は、水の浸透を防止するものであればどんなものでも使用できるが、接着力という観点からウレタン−イソシアネート系接着剤が最も好ましい。
【0023】
本発明の支持体は、その表面に画像形成層が形成されて平印刷版として使用されるものであり、画像形成層の画像部は疎水性(親油性)とされ、非画像部は親水性とされる。本発明の支持体には、従来から平印刷版に採用されているあらゆる種類の画像形成層が適用可能であり、代表的なものとしては、電子写真方式や直描方式の画像形成層が挙げられる。
【0024】
画像形成層として酸化亜鉛感光層を適用した電子写真方式の平版印刷用版材は一般的なものでり、軽印刷の分野で広く使用されている。この電子写真式平印刷版は、通常、コロナ帯電、露光、現像、定着工程を経て、画像が形成される。次にこの酸化亜鉛感光層をエッチング液で処理して親水化したのち、オフセット印刷機にかけて、インキと湿し水によって印刷が行われる。本発明の支持体に酸化亜鉛感光層を設けて画像を形成しようとする場合には、非画像部として不必要な電荷を裏面から逃がす必要があり、支持体にある程度の導電性を付与する必要がある。そのため、支持体の表裏に何らかの導電処理を施して、端面にて表裏が導通されるようにしなければならない。この際、ポリエステルフィルムに導電剤を練り込む形式で導電処理を施すと、ポリエステルフィルムの強度が低下する傾向があるため、表裏のポリエステルフィルム面に導電層を形成させ、端面で導通させる方式を採用することが好ましい。
【0025】
直描型の画像形成層を設けた平印刷用版材も、軽印刷の分野で使用されている。直描型とは、親水性である画像受容層上に親油性インキを用いて手書きやプリンターを使用して親油性画像を直接形成させ、湿し水とインキによってオフセット印刷が行える方式である。最近では、コピー機やレーザープリンター、熱転写プリンター等で、簡単に親油性の画像が形成できるため徐々に普及し始めている。この方式の画像形成層は、一般的に無機顔料と水溶性樹脂、耐水化剤などから構成され、このような画像形成層も本発明の支持体に適応できる。
【0026】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0027】
[実施例1]
市販の針葉樹パルプと広葉樹パルプを重量比30:70でパルパーに投入し、固形分濃度5%で十分に離解した後、ダブルディスクリファイナーで叩解を行い、C.S.F.で400mlの原料パルプを調製した。その後、調合タンクにおいて変性ロジンエマルジョンサイズ剤(商品名「サイズパインN−771」、荒川化学(株)製)を対パルプ重量当たり、固形分濃度で1%添加し、湿潤紙力増強剤(商品名「WS−547」、(株)日本PMC製)を固形分濃度で0.8%添加した後、硫酸バンドを4%添加して十分攪拌して、調合済み紙料を得た。この紙料を使用して長網抄紙機によって115g/m、厚み125μmの貼り合わせ用原紙を抄造した。
【0028】
この様に抄造した原紙については、以下の項目の評価を行った。
<厚み> JIS−P8117に準じて測定。
<地合> 透過光による目視評価:5段階で◎が非常に均一、○が均一、△がやや不均一、×が不均一、××が非常に不均一。
<コッブの吸水度> JIS−P8140に準じて測定。
<平滑度> JIS−P8119に準じて測定。
【0029】
上記原紙に対して2液硬化型のウレタン−イソシアネート系接着剤(商品名「タケラックA−975」「タケネートA−3」、武田薬品工業(株)製)を使用してドライラミネーターで表裏に厚み36μmのポリエステルフィルムを貼り合わせ、複合体構造の平印刷用支持体を完成させた。
【0030】
得られた支持体については、以下の項目の評価を行った。
<引張り強度> テンシロンを使用して、5%伸びたときの強度を求めた。
<腰(剛直度)> J.TAPPI No.40に準じて測定。
【0031】
次に画像形成層として、酸化亜鉛(商品名「SAZEN#2000」、堺化学工業(株)製)100重量部に対してアクリル樹脂(商品名「アクリディックA−405」、大日本インキ化学工業(株)製)30重量部使用し、トルエンにて適性粘度に調整した後、バーコーターによって、上記支持体の片面に7g/m塗工して、直描型平印刷版を得た。
【0032】
このように作成した直描型平印刷用版材の画像形成層上に,コピー機(「Fuji Xerox 5026」、富士ゼロックス(株)製)を用いて、画像を転写して製版を行った。次に、不感脂化処理液(商品名「エッチ液V」、岩崎通信機(株)製)で不感脂化処理した後、オフセット印刷機(「リョービ2800」、リョービ(株)製)によって印刷した。
【0033】
印刷版の評価は以下のようにして行った。
<印刷機に取り付ける際のハンドリング性> 作業者が平印刷版を印刷機に取り付ける際のハンドリング性を3段階で評価した。◎はハンドリング性良好、△はハンドリング性にやや難あり、×はハンドリング性不良。この特性は、平版印刷版の腰(剛直性)と大きな関係がある。
<印刷機に取り付ける際のエッジ切れ> 平印刷版を印刷機に取り付ける際に一方のエッジを取り付けた後、万力等で引張り、版胴へ十分に密着させるが、その際のエッジ切れを2段階で評価した。○がエッジ切れの発生無し、×がエッジ切れの発生である。この特性は、平印刷用支持体の引張り強度と関係している。
<エッジからの湿し水の浸透> 湿し水の浸透程度を3段階で評価した。◎は全く 浸透無し、○はわずかに浸透、×は浸透して原紙の層間剥離発生。
印刷物の評価は以下のようにして行った。
<印伸び> 印刷前の版面画像の標線間距離と10000枚印刷した後の標線間距離との差。
<印刷物の鮮明性> 30%の網点の再現性で5段階評価を行った。◎は網点が欠けることなく完全な状態である。○は網点の一部が欠けているがその程度はわずかである。△は網点の部分的な欠如が見られその程度が大きい。×は網点のうち完全に欠如しているものが存在する。××は網点のうち完全に欠如しているものが多く存在する。
<印刷物のベタ面の均一性> 5cm×5cmの黒ベタ面の均一性で5段階評価を行った。◎は非常に均一、○は均一、△は不均一な部分が存在、×は不均一、××は非常に不均一。
【0034】
[実施例2]
実施例1で原紙の両面に貼り合わせるポリエステルフィルムの厚みを26μmに変更して、その他の条件はまったく同一として平版印刷用支持体を製造した。その後、この平印刷用支持体の表裏に貼り合わせたポリエステルフィルムの表面に、ポリピロールとアクリルエマルジョンを配合した塗料を塗工し、表面抵抗で10Ω程度の導電層を設けて、端面にて導通した。次に、一方の導電層の上層に、画像形成層として酸化亜鉛とアクリルエマルジョンを混合した塗料をトルエンを溶媒として塗工し、電子写真式平印刷用版を得た。
このようにして得られた版材を製版機(「IP501」、岩崎通信機(株)製)を用いて製版し、エッチング液(岩崎通信機(株)製)で親水化した後、印刷機(「リョービ2800」)を用いて印刷を行い、実施例1と同様の評価を行った。
【0035】
[実施例3]
市販の針葉樹パルプと広葉樹パルプの重量比を50:50として、ダブルディスクリファイナーで叩解する程度を進めてC.S.F.を350mlにしたこと、および原紙の厚みを105μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして平版印刷用紙支持体と平版印刷版を製造し、実施例1と同様の評価を行った。
【0036】
[比較例1]
針葉樹パルプと広葉樹パルプの重量比を70:30として、ダブルディスクリファイナーで叩解する程度を進めてC.S.F.を400mlにしたこと以外は、実施例1と同様にして原紙、平版印刷用支持体と平版印刷版を製造し、実施例と同様の評価を行った。
【0037】
[比較例2]
変性ロジンエマルジョンサイズ剤(「サイズパインN−771」)の添加量を0.6%に変更した以外は、実施例1と同様にして原紙、平印刷用支持体、平印刷版を製造し、実施例と同様の評価を行った。
【0038】
[比較例3]
原紙の坪量を60g/mとしたこと以外は、実施例2と同様にして原紙、平印刷用支持体,平印刷版を製造し、実施例と同様の評価を行った。
【0039】
[比較例4]
貼り合わせるポリエステルフィルム厚みを12μmに変更したこと以外は、実施例2と同様にして原紙、平印刷用支持体、平印刷版を製造し、実施例と同様の評価を行った。
【0040】
[比較例5]
原紙の原料に対して湿潤紙力増強剤を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして原紙、平印刷用支持体、平印刷版を製造し、実施例と同様の評価を行った。
【0041】
[比較例6]
印刷用支持体として厚み188μmのポリエステルフィルムのみを使用したこと以外は、実施例2と同様にして、平印刷用支持体、平印刷版を製造し、実施例と同様の評価を行った。
【0042】
上記した実施例1〜3及び比較例1〜6で得られた原紙、平印刷用支持体、平印刷版について評価結果を表1にまとめて示した。
【0043】
【表1】
Figure 0003562574
【0044】
表1から以下のことがわかる。
(1)原紙で使用するパルプ及び薬品が所定の範囲内であり、貼り合わせで使用するポリエステルフィルムの厚みと貼り合わせ後の全厚みが所定の範囲内であれば、平印刷版として求められる特性が全て優れている(実施例1〜3)。
(2)針葉樹パルプと広葉樹パルプの配合割合が所定の範囲内に入っていない場合(比較例1)は、原紙の地合が悪く、強度特性は良好であるが、印刷物の鮮明性やベタの均一性が悪くなる。
(3)原紙の原料に添加するサイズ剤の量が少ない場合(比較例2)は、オフセット印刷する際の湿し水が、支持体の端面から浸透し、エッジから剥離する現象が発生する。
(4)原紙の厚みが薄く、原紙の厚みと両面に貼り合わせるポリエステルフィルムの厚みの合計との比が所定の範囲内に入っていない場合(比較例3)は、支持体の剛直度が低く、引張り強度も低いため印刷機に取り付ける際のハンドリング性が悪く、取り付ける際にエッジ切れの問題が発生する。
(5)貼り合わせるポリエステルフィルムの厚みが薄く、原紙の厚みとポリエステルフィルムの厚みの合計との比が所定の範囲内に入っていない場合(比較例4)は、引張り強度と剛直度が低く、しかも原紙の影響が大きいため縦横比も大きくなる。このため印刷機に取り付ける際のハンドリング性、エッジ切れの問題が発生する。
(6)原紙原料に湿潤紙力増強剤が入っていない場合(比較例5)は、エッジからの僅かな水の浸透によって層間剥離が発生し、印刷後にエッジが弱くなる問題が発生する。
(7)ポリエステルフィルムのみを平印刷用支持体として使用した場合(比較例6)は、剛直度が低く、印刷機に取り付ける際のハンドリング性が悪く、エッジを印刷胴にくわえ込ませようとして折り曲げるときに折り曲げにくいという問題が発生する。
【0045】
【発明の効果】
以上の説明からわかるように、本発明の平版印刷版用支持体によれば、平印刷版としたときに必要な強度、伸び、耐水性、寸法安定性、腰等の諸特性を有し、さらに、この平印刷版を使用した印刷物の印刷品質を高めることができ、特にベタ面が均一に印刷できるという優れた効果をもたらすことができる。

Claims (3)

  1. 全製紙原料用パルプを100重量部とした場合に、針葉樹パルプと広葉樹パルプの重量比が20:80〜50:50で構成され、コッブの吸水度30g/m2 以下でベックの平滑度40秒以上とした原紙の両面にポリエステルフィルムを貼り合わせた構造を有し、原紙の厚みと原紙の両面に貼り合わせたポリエステルフィルムの厚みの合計との比率が3:1〜1:1の範囲にあり、全厚みが100〜250μmであることを特徴とする平版印刷版用支持体。
  2. 前記原紙は、全製紙原料用パルプ100重量部に対して0.8〜2.0重量部の変性ロジンエマルジョンサイズ剤を添加して抄造した原紙であることを特徴とする請求項1記載の平版印刷用支持体。
  3. 前記原紙は、全製紙原料用パルプ100重量部に対して湿潤紙力増強剤を0.2〜2.0重量部添加して抄造した原紙であることを特徴とする請求項1または2記載の平版印刷用支持体。
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