JPH08170297A - 孔版印刷用紙 - Google Patents

孔版印刷用紙

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JPH08170297A
JPH08170297A JP6311838A JP31183894A JPH08170297A JP H08170297 A JPH08170297 A JP H08170297A JP 6311838 A JP6311838 A JP 6311838A JP 31183894 A JP31183894 A JP 31183894A JP H08170297 A JPH08170297 A JP H08170297A
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隆 越智
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Tsutomu Naito
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 クラーク剛度を抄紙方向(MD)で65L3
/100以上、吸油量を18〜30ml/m2 かつ油吸
収係数を60〜105ml/m2 ・s1/2 とし、さらに
比散乱係数を430cm2 /g以上とした孔版印刷用
紙。 【効果】 孔版印刷において問題となる、裏移り、裏抜
け、白抜けが起こり難く、しかも必要な解像性、通紙性
を備えているため、高速印刷においても画質の優れたも
のが得られ、また印刷機内での通紙トラブルを起こすこ
ともない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、孔版印刷に適した性能
を有する紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】孔版印刷はインキを透過する部分と透過
しない部分とからなる版にインキを載せ、版を透過した
インキを紙などに被着させて線画を印刷する方式であ
り、活版、オフセット等の一般の印刷方式や、複写機等
で採用されている電子写真方式による印刷とは、全く異
なる原理の印刷方式として知られている。
【0003】この孔版印刷方式に属するものとしては、
謄写版印刷、タイプ孔版印刷、スクリーン印刷等がある
が、近年では電子技術の発達に伴い、印刷すべき線画を
CCDカメラで読み取ってデジタル処理し、そこから得
られる信号に応じてサーマルヘッド等により小孔を穿ち
製版を行うデジタル製版方式も開発されてきた。既に、
この製版方式を採用した孔版印刷機(以下、デジタル孔
版印刷機という。)も上市されており、電子写真方式を
採用する複写機と比べて、操作性、印刷速度の点におい
て同等かまたはそれ以上の性能を有し、さらに多数枚印
刷時のコストが低い等の利点があることから、現在その
利用は次第に広まりつつある。さらに最近では、ワード
プロセッサやパーソナルコンピュータで作成した文書デ
ータを、直接この印刷機に送って印刷できる機能を備え
た装置も開発され、デスクトップパブリッシングシステ
ムを構成する要素としても、かかるデジタル孔版印刷機
の重要性は増してきている。
【0004】一般に孔版印刷においては、版を傷めず、
その転写時に良好な版再現性を得るために、インキがロ
ーラーで軽く均一に伸びるよう、粘度が低く、流動性が
よい液体インキが使われる。従って印刷後のインキの定
着(インキセット)には、インキ自身の蒸発、硬化の
他、紙の吸収作用の寄与する部分が多く、紙の持つ特性
が印刷品質に大きな影響を与えることとなるが、従来、
この孔版印刷用紙に必要とされる性能については、その
需要が限られていたこともあり、深く検討が加えられた
ことはなかった。しかし、デジタル孔版印刷機の登場・
普及により、その供給が本格的に求められるようになっ
たことから、かかる紙が備えるべき性能についての検討
が急務となってきた。
【0005】特に最近のデジタル孔版印刷機は両面印刷
機能を備え、孔版印刷においても紙の表裏両面に印刷さ
れる機会が多くなってきたが、この際、裏抜けと呼ばれ
る現象に悩まされることがしばしばある。これは、片面
から他の面へインキ成分が滲み出てきてしまったり、あ
るいはそのインキ成分中のビヒクルが紙に浸透したため
にその紙の不透明度を低下させて、片面から他の面の画
像が透けて見えてしまう現象を指すが、この裏抜けのた
め、孔版印刷により両面印刷された印刷物は、得てして
非常に見苦しいものになりやすい。
【0006】また、デジタル孔版印刷機の印刷速度は、
従来の孔版印刷と比較して各段に早く、さらになお早く
なる傾向にある。一方この印刷機は、その内部に特別な
インキ乾燥機構を具備していないのが普通であるので、
印刷後のインキセットには他の孔版印刷と同程度の時間
がかかる。そのため、印刷直後の紙がスタッカー等で積
み重ねられた際に、印刷された未定着のインキが、その
上に積み重ねられた紙の裏面に転移してしまう、いわゆ
る裏移りがここで大きな問題となってくる。
【0007】従って、孔版印刷用紙の性能としてまず検
討されなければならないのは、これらの問題を解決する
ために紙に付与すべき性能である。しかしその場合に
は、その他の必要な性質が犠牲になってはならない。特
にデジタル孔版印刷機での使用を考えると、その印刷を
高速化した場合に要求される、解像性や通紙性を犠牲に
してはならない。
【0008】これまでのところ、デジタル孔版印刷機に
おいても、その印刷用紙として上質紙、中質紙等、電子
写真方式の複写機等で使用される用紙が流用されてい
る。しかし上記したように、孔版印刷は、粉体であるト
ナーを紙表面に溶融定着させて印刷する、電子写真方式
による印刷とは全く別物である。従って、以上の問題は
複写機等では発生し難く、仮に起こったとしても、それ
を解決するために必要とされる手段、すなわち紙に付与
すべき性能は当然異なっている。
【0009】また孔版印刷は、活版印刷やオフセット印
刷とも同等に考えることはできない。版や印刷ブランケ
ットにインキを載せ、これを直接、紙に転写して印刷を
行うこれらの方式と、版に開けられた孔等を通過するイ
ンキを紙に転写して印刷を行う孔版印刷とでは、印刷原
理はもとより、これに使用されるインキの性質も、そし
てそれらに対応すべき紙の性質等も異なっているからで
ある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、裏抜け、裏
移りが起り難くく、しかも必要とされる解像性、通紙性
を備えた孔版印刷用紙を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため種々の検討を行った結果、孔版印刷にお
いて裏抜け、裏移り、解像性、通紙性は、その紙の吸油
性、比散乱係数及び剛度と相関を持っており、裏抜け、
裏移りの起り難い、必要な解像性、通紙性を備えた、バ
ランスの良い孔版印刷用紙を提供するには、紙の吸油性
及び比散乱係数をできるだけ低い填料使用量でより高く
すること、さらに、こうして得られた紙表面に造膜性高
分子物質を塗工することにより、その吸油性が比較的自
由に制御できることを見いだし、本発明を完成するに至
った。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。裏移り対
策、解像性の向上は、インキの紙への吸収性を大きく速
くすることで達成できる。孔版印刷においてインキは、
版の細孔を目詰まりさせないため、ここを通過する際に
は低粘度であることが要求され、これが細孔を通過して
紙に転移した後は、今度は鮮明な画像を得るために高粘
度であることを要求される。この目的に適合するインキ
として使用されているのは水/オイル型のエマルジョン
インキであるが、本発明者らはこの2成分のうち、特に
油成分の紙への吸収性が裏移り、解像性と相関関係を有
する、すなわち紙の吸油性が良ければ良いほど、裏移り
は起り難くなり、解像性も良くなることを見出だした。
【0013】もっとも、この吸油性をやみくもに大きく
速くすると、今度は、この紙をデジタル孔版印刷機で印
刷した場合に、ベタ印刷部分でインキの載らない白点が
多数発生する、いわゆる白抜けと呼ばれる現象が発生し
て画質が低下する。つまり、デジタル孔版印刷において
は、マスターペーパー(孔版印刷原紙)に印刷すべき原
稿に応じて多数の小孔を穿ち、文字・画像はすべてこの
小孔を通過するインキのドットの集合により表出してい
るのであるが、紙の吸油性が良すぎると、紙に転移した
インキの紙表面での横方向の広がり、すなわちレベリン
グが小さくなり(そのため解像度は高くなるが)、この
小孔の形態が忠実に再現されてしまうため、通常はこの
レベリングによりインキで埋められてしまっている孔と
孔との間のインキが透過しない部分がそのまま残存し、
これがベタ印刷部分では特に白抜けとして目立つことに
なる。結局、孔版印刷用紙としての解像性は、この場
合、高いほど良いという種類のものではなく、必要とさ
れる一定の範囲にあることが要求されるのである。な
お、現在行われているサーマルヘッドを用いたデジタル
製版では、マスターペーパーとして、プラスチックフィ
ルムを和紙等の多孔性支持体に貼り合わせて用い、これ
を溶融させて小孔を穿つ方式が採られているので、その
小孔にはサーマルヘッドの熱により溶融しない和紙の繊
維が残ることから、紙の吸油性が良すぎた場合には、こ
の繊維が小孔を一部塞いだためインキが通り難くなった
部分も、インキが載らない部分としてそのまま再現さ
れ、これもまた白抜けの原因となることになる。
【0014】従って孔版印刷用紙においては、裏移り対
策、解像性の向上のためその吸油性を良くする必要と同
時に、これが良すぎて白抜けが発生しないようにコント
ロールする必要があるが、ここで特に重要となるのは、
吸油性の大きさを示す吸油量と、その早さを示す油吸収
係数の2つのファクターである。すなわち、孔版印刷用
紙として要求される吸油性を満足させるためには、吸油
量18〜30ml/m2 、油吸収係数60〜105ml
/m2 ・s1/2 の両基準を満足させる必要がある。吸油
量が18ml/m2 未満であるか、または油吸収係数が
60ml/m2・s1/2 未満であると裏移りが発生し、
解像性も悪くなり、一方、吸油量が30ml/m2 を越
えるか、または油吸収係数が105ml/m2 ・s1/2
を越えるとベタ印刷部の白抜けが多くなって画質の低下
を引き起こすのである。なおここで吸油量は、ブリスト
ウ法により測定した、接触時間0.05秒における値で
あり、油吸収係数は、同じ方法により接触時間0.0
1、0.02、0.04秒における吸油量を求め、これ
とその接触時間との相関を表す回帰直線の傾きとして算
出した。両測定に使用した油は、ともに24℃において
10.5cp(B型粘度計)を示す鉱物油である。
【0015】また、紙の裏抜けを起こり難くするための
方策には、大きく分けて次の二つのアプローチがある。
つまり孔版印刷においては、その方策として、紙の表面
に印刷されたインキ成分の透過を抑制し、及び/または
そのビヒクルの紙への浸透による紙の不透明度低下を抑
制すること(浸み通し;ストライクスルー性の改善)
と、そもそもの紙に、このようにして印刷された画像が
裏面から透けて見え難いような性能を付与すること(透
き通し;ショウスルー性の改善)とを考えることができ
る。このうちストライクスルー性については、紙の吸油
量を大きくすることにより改善されるので、本発明にお
いては上記の対策が自動的にその改善へとつながるが、
裏抜け対策としてはこれもまだ充分ではない。かと言っ
て、吸油量をむやみに大きくするわけにいかないこと
も、やはり上で述べた通りである。そこで本発明者らは
さらに検討を重ね、以下の式から算出される紙の比散乱
係数を向上させることにより、ショウスルー性をも改善
できることを見出だした。
【0016】
【数1】 (数1)S= W-1・ ln[( R0 ・Rp -1)/(R0 /Rp -1)]・ (1/R
p -Rp )-1 なお、ここでSは比散乱係数、Wは紙の坪量、R0 は黒
色標準板を裏あてして測定した時の紙の反射率、RP
紙自身の反射率を表す。
【0017】すなわちこの場合は紙の比散乱係数が43
0以上であれば、上記の吸油量の範囲で、孔版印刷用紙
の裏抜け対策として有効なレベルにまでそのショウスル
ー性を改善できるのである。ちなみにこの値は、基本的
には高いほどショウスルー性改善に効果があるが、技術
的にはこれを800より大きくすることは困難であり、
これを超える値を求めることは現実的ではないとも言え
る。
【0018】さらに、この孔版印刷用紙をデジタル孔版
印刷機等で高速印刷することを考えた場合には、その剛
度も重要なファクターとなる。剛度の低い紙は、高速印
刷時の印刷機内での紙詰まり等、通紙トラブルを引き起
こしやすく、通紙性に問題があるからである。本発明者
らの検討によると、このような高速印刷時の通紙性をも
考慮した場合、用紙にはクラーク剛度でMD65L3
100以上の剛度が必要とされる。もっともこれも、通
紙性を考えた場合には高い方が良いのではあるが、印刷
用紙としての実用上からMD300L3 /100以下で
あることが好ましい。
【0019】以上の性能のうち、吸油量、油吸収係数を
向上させる効果的な方法として、まず考えられるのが紙
中への填料の添加である。しかし紙中填料の含量増加は
紙の剛度低下につながる。上記したクラーク剛度を確保
するためにも、本発明において紙中の填料量は、紙の総
重量に対して10重量%以下でなくてはならない。従っ
て、この含有量で必要とされる吸油量、油吸収係数を達
成するために、ここでは用いる填料の質も重要な要因と
なってくる。そこで本発明者らはこの填料の質について
も検討を行い、このような問題は、吸油量が110ml
/100g以上の高吸油性填料を使用することにより解
決できることを見出だした。つまり、かかる高吸油性填
料が紙の総重量に対して(以下、特に記載しなくとも、
填料の量は全て紙の総重量に対する値として表す。)1
重量%以上含まれていれば、紙中填料の全体量が10重
量%以下、言い換えればクラーク剛度を確保できる填料
量でも、この孔版印刷用紙に必要とされる吸油量、油吸
収係数を達成することができるのである。
【0020】しかし、高吸油性填料を使用した場合の紙
の吸油性制御は難しく、かかる填料を加えて抄紙された
紙の吸油性は、今度は得てして過大となりやすい。つま
りこのような高吸油性填料を使用した場合、ある範囲を
要求される吸油量、油吸収係数の下限値をクリアーする
ことは、その添加量を増加することにより比較的容易に
対応できるが、これらの値が上限値を超えないようにす
るためには、添加量の調節だけで対応することが難しい
のである。そのため本発明において一つには、この高吸
油性填料として吸油量300ml/100g以下のもの
を用いることが好ましいが、これだけでは十分でなく、
本発明者らはこのような場合のより簡単な紙の吸油性制
御法についてさらに検討をすすめ、その結果、酸化澱
粉、PVA等の造膜性のある水溶性高分子物質の紙表面
への塗工が、その吸油性を抑制する手法として極めて有
効であることを見出だした。すなわち、本発明の孔版印
刷用紙の吸油性は、抄紙時に高吸油性填料を添加して増
強し、さらに抄紙後にかかる水溶性高分子物質を塗工し
てこれを抑制する、という2段構えの処理を採ることに
より簡便・自在に制御できるのである。なお、ここで必
要とされる水溶性高分子物質の紙表面への塗工量は、お
よそ0.2〜1.2g程度の比較的少量であることか
ら、実操業上のその塗工には、少量塗工に適したゲート
ロールコーター(GRC)を用いるのが有利である。
【0021】加えて、ここで用いる高吸油性填料は、そ
の比散乱係数が2000cm2 /g以上であることが望
ましい。このような高吸油性填料を上記のようにして用
いた場合にはそれだけで、吸油量、油吸収係数のみなら
ず、本発明の孔版印刷用紙に必要とされる比散乱係数を
も達成することができるからである。ただし製紙用に用
いられる填料においては、比散乱係数が高いものを入手
するといっても自ずから限界があり、またそうでなくと
も製造コストとの兼ね合いがあるため、本発明ではこの
填料は、せいぜい比散乱係数7500cm2 /gまでの
ものを用いるのが適当である。
【0022】本発明の孔版印刷用紙は、デジタル孔版印
刷用紙として特に適した紙であるが、これを他の孔版印
刷に用いても裏抜け、裏移りの起こり難い優れた紙であ
り、さらにまたこれを他の印刷用紙、電子写真転写用
紙、一般事務用紙などに使用することも可能である。
【0023】なお、本発明の孔版印刷用紙の主原料とな
るパルプとしては、化学パルプ、機械パルプ、古紙再生
パルプ(DIP)などが適宜使用でき、また必要に応じ
てこれらを混合して使用することもできる。さらにその
抄紙時においては、通常使用される染料、填料、サイズ
剤、定着剤、乾燥紙力増強剤等を必要に応じて添加で
き、その際のpHも、必要に応じて中性あるいは酸性に
調整することが出来る。
【0024】
【作用】孔版印刷においては、その用いられるインキ成
分のうち、油成分の紙への吸収性が特に裏移りの発生、
解像性に影響を及ぼす。すなわち紙の吸油性が良いと裏
移りは起こり難くなり、解像性も良くなるが、これがあ
まり良過ぎると解像性も良くなり過ぎてインキのレベリ
ングが小さくなり、孔版印刷に用いられる原版を忠実に
再現してしまうため、インキドットの集合により文字・
画像を表出するデジタル孔版印刷においては、ベタ印刷
部における白抜けの原因となってしまうのである。
【0025】それゆえ本発明においては、その対策とし
て、紙の吸油性の大きさ示す吸油量とその速さをしめす
油吸収係数を、それぞれ18〜30ml/m2 、60〜
105ml/m2 ・s1/2 の範囲に制御する。この両者
が、どちらもその下限値以上でなければ、紙の吸油性が
悪いため裏移りが起こり、解像性も悪く、また、どちら
もその上限値以下でなければ、今度は紙の吸油性が良過
ぎるために解像性が良くなり過ぎて白抜けが起こること
となる。
【0026】また本発明においては、紙の比散乱係数を
430以上とすることにより孔版印刷用紙の裏抜け対策
とする。裏抜けの対策としては、ストライクスルー性の
改善とショウスルー性の改善との二つのアプローチが考
えられるが、この比散乱係数は特にショウスルー性に大
きな影響を与え、これをこの値以上とすることにより裏
抜けを改善することができるのである。
【0027】なお、デジタル孔版印刷機等での高速印刷
を考えた場合には、孔版印刷用紙の剛度も通紙性に影響
を及ぼすファクターとして重要となってくる。従って、
本発明の孔版印刷用紙ではすべて、その剛度がMD65
3 /100以上であることを前提とする。これより剛
度の低い紙は、高速印刷時に印刷機内での紙詰まり等、
通紙トラブルを引き起こしやすいからである。
【0028】以上の性能を有する孔版印刷用紙を得るた
めには、吸油量110ml/100g以上の高吸油性填
料の使用が有利である。紙中填料のうち、かかる高吸油
性填料が紙の総重量に対して1重量%以上含まれていれ
ば、クラーク剛度を確保できる填料量で、孔版印刷用紙
として必要な吸油量、油吸収係数を達成できるからであ
る。もっとも、このような高吸油性填料の使用のみでは
紙の吸油性制御は難しく、かかる填料を加えて抄紙され
た紙の吸油性は得てして過大となりやすいため、この場
合にはさらに、抄紙後の紙の少なくとも一面、つまり孔
版印刷用紙として印刷される面に酸化澱粉、PVA等、
造膜性のある水溶性高分子物質を塗工することによりこ
れを抑制して制御する。なお、このような塗工の効果
は、これら水溶性高分子が紙表面に親水性の膜を形成
し、油成分の浸透を妨げるためと考えられる。従って、
例えば表面サイズ剤により紙にサイズ性を付与等しただ
け、すなわち水に対する吸収性を抑制しただけではこの
ような効果は得られない。あくまで吸油性を制御するこ
とが肝要である。
【0029】加えて、ここで用いる高吸油性填料は、そ
の比散乱係数が2000cm2 /g以上であることが望
まれる。このような高吸油性填料を上記のようにして用
いた場合にはそれだけで、吸油量、油吸収係数のみなら
ず、本発明の孔版印刷用紙に必要とされる比散乱係数を
も達成することができるからである。
【0030】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づいて説明する。
【0031】[実施例1]吸油量202ml/100
g、比散乱係数2118cm2 /gのゼオライト、及び
吸油量45ml/100g、比散乱係数690cm2
gのタルクを4:3の割合で混合した填料を、紙中填料
量が7重量%となるようLBKP85重量%とNBKP
15重量%の混合品であるパルプスラリー中に添加し
た。このスラリーに添加薬品として、硫酸バンドを対パ
ルプあたり0.8重量%(以下、添加薬品の添加量はす
べて対パルプ当りとする。)、カチオン化澱粉を0.5
重量%、内添サイズ剤を0.2重量%、歩留剤を100
ppm加えた後混合し、これを原料としてオントップタ
イプのツインワイヤー抄紙機により抄紙して、坪量6
6.3g/m2 の紙を得、さらにこの両面にGRCを用
いて酸化澱粉(日本スターチSK−20)を片面当り
0.33g/m2 塗布し、これを共試試料とした。なお
得られた紙の紙中填料量は、紙中に含まれる灰分量とし
て分析・算出し、これを確認した(以下同じ。)。
【0032】[実施例2]填料として、吸油量116m
l/100g、比散乱係数2596cm2 /gの焼成ク
レー、及び吸油量35ml/100g、比散乱係数18
00cm2 /gの軽質炭酸カルシウムを3:7の割合で
混合したものを用い、これを紙中填料量が7重量%とな
るようにパルプスラリー中に添加した他は、実施例1と
同様に原料を調製して抄紙し、坪量66.0g/m2
紙を得た。そしてこれについても、GRCにて酸化澱粉
を片面当り0.70g/m2 づつ両面に塗布し、共試試
料とした。
【0033】[比較例1]填料として、実施例1のタル
クと実施例2の軽質炭酸カルシウムを3:7の割合で混
合したものを用い、これを紙中填料量が3重量%となる
ようにパルプスラリー中に添加した他は、実施例1と同
様に原料を調製して抄紙したが、抄紙後の紙に塗工を行
うことなくこれを共試試料とした。
【0034】[比較例2]填料として、実施例2の軽質
炭酸カルシウムを単独で用い、これを紙中填料量が10
重量%となるようにパルプスラリー中に添加した他は、
実施例1と同様に原料を調製して抄紙したが、抄紙後の
紙に塗工を行うことなくこれを共試試料とした。
【0035】[比較例3]填料として、実施例2の軽質
炭酸カルシウムを単独で用い、これを紙中填料量が15
重量%となるように添加した他は、実施例1と同様に原
料調製・抄紙・塗工を行って得られた紙を共試試料とし
た。
【0036】[比較例4]実施例1と同様に原料を調製
して抄紙したが、抄紙後の紙に塗工を行うことなく共試
試料とした。
【0037】[比較例5]実施例2と同様に原料を調製
して抄紙したが、抄紙後の紙に塗工を行うことなく共試
試料とした。
【0038】[比較例6]実施例2と同様に原料を調製
して抄紙し、抄紙後の紙の両面に、GRCを用いて酸化
澱粉を片面当り1.57g/m2 づつ塗布し、これを共
試試料とした。
【0039】以上の実施例、比較例において得られた試
料につき、吸油性、比散乱係数、剛度を算出するための
各物性値を測定し、また裏移り、白抜け、裏抜け、通紙
性について目視による評価を行った。
【0040】その結果を表1に示す。
【表1】
【0041】表より明らかなように、実施例1、2で
は、吸油量が110ml/100g以上、比散乱係数が
2000cm2 /g以上の高吸油性填料を、それぞれ紙
の総重量に対し4重量%または3重量%となるように添
加して抄紙し、また抄紙後の紙に酸化澱粉を塗工するこ
とにより、吸油量、油吸収係数、比散乱係数、及び剛度
がすべて本発明の範囲内である紙を得ることができた。
そしてこれらの紙は、裏移り、白抜け、裏抜け、通紙性
のすべてにおいて良好な評価が得られた。
【0042】また比較例1、2では、吸油量、比散乱係
数とも上記の値より低い填料を使用して抄紙したが、得
られた紙では、吸油量及び/または油吸収係数、比散乱
係数が本発明の範囲より低くなり、その結果これらの紙
においては、白抜けについて良い評価が得られたもの
の、裏移り、裏抜けについてはどちらも実用上満足でき
ない結果となった。一方、これらの問題を解決するため
に比較例3では、比較例2と同じ填料を用い、その添加
量を増加して紙中填料量が15重量%の紙を作成し、合
わせて、その紙表面への酸化澱粉塗工を行ったところ、
これらの値はすべて本発明の範囲内となり、この紙では
比較例1、2で問題となった裏移り、裏抜け等も良い評
価となって、かつ吸油性の過大による白抜けを起こすこ
ともなかったが、今度は填料の添加量が多すぎたため紙
の剛度がMD65L3 /100より小さくなり、その通
紙性に問題が生ずることとなった。
【0043】なお、実施例1または2と全く同じ条件で
抄紙しても、抄紙後の紙へ塗工処理を行わないと(比較
例4、5)、その紙の吸油量及び/または油吸収係数が
本発明の範囲を超えてしまうため白抜けの評価が悪くな
り、逆にその塗工量が多すぎると(比較例6)、油吸収
係数が本発明の範囲より低くなってしまうため、白抜け
については良い評価が得られたものの、裏移りに問題が
生じた。
【0044】
【発明の効果】本発明は、紙の吸油量、油吸収係数、比
散乱係数、及び剛度に着目し、これを規定することによ
り、孔版印刷での使用に適した紙を提供するものであ
る。すなわち、これらの性能が本発明の範囲内にある紙
は、裏移り、裏抜け、白抜けが起り難く、しかも必要な
解像性、通紙性を備えているため、デジタル孔版印刷機
などを用いた高速印刷においても、画質の優れたものが
得られ、また通紙トラブルを起こすこともない。
【0045】本発明はまた、吸油量、比散乱係数が一定
の値以上の填料を使用することにより得られた、上記の
性能を有する紙を提供するものでもある。かかる填料を
使用することにより填料全体の使用量を抑制できるの
で、必要な剛度、すなわち通紙性を備え、かつ孔版印刷
での使用に必要な他の性能をも備えた紙を容易に得るこ
とができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クラーク剛度が抄紙方向(MD)で65
    3 /100以上であって、吸油量が18〜30ml/
    2 かつ油吸収係数が60〜105ml/m2 ・s1/2
    であり、さらに比散乱係数が430cm2 /g以上であ
    る孔版印刷用紙。
  2. 【請求項2】 吸油量が110ml/100g以上であ
    る高吸油性填料をその総重量に対して1重量%以上含有
    し、かつ造膜性のある水溶性高分子物質の層を紙の少な
    くとも一面に設けたことを特徴とする請求項1に記載の
    孔版印刷用紙。
  3. 【請求項3】 高吸油性填料の比散乱係数が2000c
    2 /g以上である請求項2に記載の孔版印刷用紙。
  4. 【請求項4】 前記造膜性のある水溶性高分子が酸化澱
    粉であることを特徴とする請求項2または3に記載の孔
    版印刷用紙。
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