JP3562540B2 - 油圧クラッチ装置及び油圧回路のシール構造 - Google Patents

油圧クラッチ装置及び油圧回路のシール構造 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、主に車両の駆動力の伝達制御を行う自動変速機等に用いられる油圧クラッチ装置及び油圧回路のシール構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の油圧クラッチ装置としては、例えば、図4及び図5に示す様なものが知られている。
【0003】
このようなものでは、自動変速機1のケース2前方位置aに作動油供給部材としてのオイルポンプカバー3が配設されている。
【0004】
このオイルポンプカバー3は、回転軸としてのインプットシャフト4が挿通される筒部5及びこの筒部5から半径方向に周状に延設された円板部6を有している。
【0005】
このオイルポンプカバー3の後方には、リバースクラッチ7が配設されている。 このリバースクラッチ7には、クラッチドラム11が設けられ、このクラッチドラム11は、主に前記円板部6と対向する円板状の基底部8と、この基底部8の内周端縁部8aからインプットシャフト4延設方向へ沿って延設されると共に、前記筒部5の外周に回動自在に嵌合される内筒部9と、この基底部8から前記内筒部9と同方向に延設された外筒部10とを有して構成されている。
【0006】
このクラッチドラム11の内側には、クラッチピストン12が設けられている。このクラッチピストン12は、インプットシャフト4延設方向に移動自在となるように配設されて、前記クラッチドラム11と共に油圧室13を形成する様にしている。
【0007】
そして、作動油供給源であるオイルポンプから前記オイルポンプカバー3に形成された油路14を介して前記油圧室13まで、前記クラッチピストン12を移動させるクラッチ作動油を供給するため、前記筒部5には、連通孔15及びこの連通孔15と連通する環状溝16が形成されると共に、この環状溝16の前後には、リング溝17,17が形成されて、前記内筒部9と、筒部5との間をシールするオイルシールリング18,18が嵌着されている。
【0008】
更に、前記内筒部9にも、この環状溝16から供給されるクラッチ作動油を挿通する貫通孔19が形成されて、この環状溝16と、前記油圧室13とを連通するように構成されている。
【0009】
また、前記内周端縁部8aと、オイルポンプカバー3の円板部6との間には、スラストワッシャ20が介在して配設されている。
【0010】
次に、図4及び図6を用いて、従来の油圧回路のシール構造について説明する。
【0011】
自動変速機1のケース2後方位置bには、ケース2の後端部2aに、アウトプットシャフト21が、回転自在に支持されて配設されている。このアウトプットシャフト21は、前記後端部2aとの間に、ブッシュ22,22を介在させて、所定のクリアランスcを形成している。
【0012】
また、このアウトプットシャフト21の内部には、中空形状を呈する油路23が形成されて、ケース2内の各変速要素に、連通孔24,25等を介して潤滑油を供給する様に構成されている。
【0013】
そして、油路23から連通孔24へ流出する油は、前記ブッシュ22,22によって、前記アウトプットシャフト21の延設方向へ沿う漏れが防止されながら、ケース2内の各変速要素へ供給される。
【0014】
なお、他のこの種のものは、特開昭62−288753号公報等に記載されているようなものが知られている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の油圧クラッチ装置では、前記クラッチドラム11が、インプットシャフト4の延設方向へ摺動するので、油圧室13へクラッチ作動油を供給する貫通孔19を内筒部9に形成すると共に、この貫通孔19位置に対応する連通孔15及び環状溝16を前記筒部5に形成しなければならない。
【0016】
この環状溝16は、筒部5の周囲に切削して形成しなければならないので、加工作業性が良好であるとは言い難かった。
【0017】
また、この環状溝16の前後に形成されたリング溝17,17に、オイルシールリング18,18を嵌着することにより、オイルシールを行なうようにしているので、インプットシャフト4延設方向に環状溝16及びリング溝17,17が並び、スペース効率が良好ではなかった。
【0018】
しかも、前記スラストワッシャ20には、潤滑油の供給が充分に行なわれない虞があった。
【0019】
また、従来の油圧回路のシール構造では、前記ブッシュ22,22によってアウトプットシャフト21のセンタリングを行なうと共に、連通孔25から供給される潤滑油のシールをこのブッシュ22,22で行なっている。このため、ブッシュ22,22の加工精度に依存する部分が大きく、アウトプットシャフト21のセンタリング精度を出しにくい。
【0020】
そして、高回転時等、所定のアウトプットシャフト21回転時には、クリアランスcが大きいので連通孔24から供給される潤滑油が、このクリアランスcに沿って逃げてしまい、ケース2内の各変速要素へ充分な潤滑油の供給がなされない虞があった。
【0021】
そこで、この発明は、加工作業性及び、スペース効率が良好で、ベアリング部分に充分な潤滑油の供給が出来る油圧クラッチ装置を提供すると共に、シャフトのセンタリング精度を向上させて、しかも、潤滑油の逃げを防止して各部へ充分な潤滑油の供給を行なうことが出来る油圧回路のシール構造を提供することを課題としている。
【0022】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため本願発明の請求項1に記載されたものでは、回転軸が挿通される筒部及び該筒部から半径方向に周状に延設された円板部を有する作動油供給部材が配設され、該円板部と対向する円板状の基底部と、該基底部の内周端縁部から回転軸方向へ沿って延設されると共に、前記筒部の外周に嵌合される内筒部と、該基底部から前記内筒部と同方向に延設された外筒部とを有するクラッチドラムが配設され、該クラッチドラムの内側に回転軸方向に移動自在に配設されて該クラッチドラムと共に油圧室を形成するクラッチピストンを設け、作動油供給源から前記作動油供給部材に形成された油路を介して前記油圧室までクラッチ作動油を供給する様にした油圧クラッチ装置において、
前記作動油供給部材の筒部と、クラッチドラムの内筒部との間に第1シール部材を設け、前記作動油供給部材の円板部と、前記クラッチドラムの基底部との各々に互いに相対向し、前記回転軸方向に沿うシール面部を設け、該両シール面部の間に第2シール部材を設け、該両シール部材,作動油供給部材及びクラッチドラムで受渡し空間部を形成し、前記作動油供給部材に形成された油路の開口を該受渡し空間部に臨ませて、更に、該受渡し空間部と前記油圧室とを連通させる貫通孔を前記クラッチドラムに形成した油圧クラッチ装置を特徴としている。
【0023】
また、請求項2に記載されたものでは、前記受渡し空間部内には、前記クラッチドラムの基底部と、前記作動油供給部材の円盤部との間に介在されるベアリングが設けられている請求項1記載の油圧クラッチ装置を特徴としている。
【0025】
【作 用】
かかる構成の請求項1記載のものによれば、前記各シール面部が回転軸方向に沿うように形成されているので、該両シール面部の間の第2シール部材によって、受渡し空間部内を通過するクラッチ作動油は、多少クラッチドラムが回転軸延設方向へ移動しても、漏れることなく油圧室内へ供給される。
【0026】
このため、前記作動油供給部材に形成された油路の開口を該受渡し空間部に臨ませて形成することが出来るので、例えば、該作動油供給部材の円板部に該開口を形成すれば、従来のように、該作動油供給部材の筒部に環状溝を形成する必要がなくなり、加工作業性が良好である。
【0027】
また、例えば、該作動油供給部材の円板部に該開口を形成すれば、従来のように、該作動油供給部材の筒部に環状溝を形成して、両側をシールしなくても、両シール部材を筒部半径方向へ並べて配設し、筒部延設方向の長さを短縮することが出来る。
【0028】
また、請求項2に記載されたものでは、前記受渡し空間部内に、ベアリングを配設したのでベアリング配設部分に充分な潤滑油の供給が出来る。
【0029】
しかも、ベアリングは、前記クラッチドラムの基底部と、前記作動油供給部材の円盤部との間に介在されるので、該クラッチドラムの回転軸延設方向の位置決めを行なわせることが出来る。
【0033】
【実施例】
以下、本発明の具体的な実施例について、図面を参照しつつ説明する。
【0034】
図1は、この発明の第1実施例の油圧クラッチ装置を示すものである。なお、従来の油圧クラッチ装置と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0035】
まず構成を説明すると、この第1実施例の自動変速機のケース26には、作動油供給源であるオイルポンプの一部であり、作動油供給部材としてのオイルポンプカバー27が配設されている。
【0036】
このオイルポンプカバー27は、回転軸としてのインプットシャフト4が挿通される筒部28及びこの筒部28から半径方向に周状に延設された円板部29を有している。
【0037】
このオイルポンプカバー3の後方位置である図中右位置には、リバースクラッチ30が配設されている。
【0038】
このリバースクラッチ30には、クラッチドラム34が設けられている。
【0039】
このクラッチドラム34には、前記円板部29と対向する円板状の基底部31と、この基底部31の内周端縁部31aからインプットシャフト4延設方向へ沿って延設されると共に、前記筒部28の外周に嵌合される内筒部32と、この基底部31から前記内筒部32と同方向に延設された外筒部33とが設けられている。
【0040】
このクラッチドラム34の内側には、クラッチピストン12が設けられている。このクラッチピストン12は、インプットシャフト4延設方向に移動自在に配設されて、前記クラッチドラム34と共に油圧室13を形成する様にしている。
【0041】
また、前記外筒部33内側には、リバースクラッチコア35との間に介在し、このクラッチピストン12の先端が当接する複数の多板クラッチプレート36が設けられている。
【0042】
そして、オイルポンプから前記オイルポンプカバー27に形成された油路37を介して油圧室13までクラッチ作動油を供給して、クラッチピストン12をインプットシャフト4延設方向へ移動させることにより、このリバースクラッチ30の接続及び切断が行なわれるように構成されている。
【0043】
すなわち、前記オイルポンプカバー27の筒部28には、リング溝38が形成されて、この筒部28とクラッチドラム34の内筒部32との間をシールする第1オイルシールリング39が、このリング溝38に嵌着されている。
【0044】
また、前記オイルポンプカバー27の円板部29と、前記クラッチドラム34の基底部31との各々に互いに相対向し、前記インプットシャフト4延設方向に沿うシール面部40が設けられている。
【0045】
このシール面部40は、前記円板部29側に周状に凹部41aを形成されてなる円板側シール面部41と、前記基底部31に周状にフランジを形成することによりなる基底側シール面部42とから構成されている。そして、前記凹部41a内に、この基底側シール面部42を挿入することにより、これらの両シール面部41,42を相対向させるように構成されている。
【0046】
また、このうち、円板側シール面部41には、リング溝41bが形成されて、両シール面部41,42の間をシールする第2オイルシールリング43が、このリング溝41bに嵌着されて設けられている。
【0047】
そして、これらの両第1,第2オイルシールリング42,43、オイルポンプカバー27及びクラッチドラム34で受渡し空間部44が形成されている。
【0048】
この受渡し空間部44には、前記オイルポンプカバー27に形成された油路37の開口37aを臨ませて形成するようにしている。
【0049】
更に、前記クラッチドラム34の基底部31内周端縁部31aには、この受渡し空間部44と前記油圧室13とを連通させる貫通孔45が形成されている。
【0050】
また、前記クラッチドラム34の内筒部32には、油圧キャンセル用貫通孔32a及び油路32bが形成されている。
【0051】
また、前記受渡し空間部44内には、前記クラッチドラム34の基底部31と、前記オイルポンプカバー27の円盤部29との間に、ニードルベアリング46が介在されて設けられている。
【0052】
次に、この第1実施例の作用について説明する。
【0053】
前記シール面部40の各シール面部41,42がインプットシャフト4延設方向に沿うように形成されているので、油路37の開口37aから流入し、受渡し空間部44内を通過するクラッチ作動油は、多少前記クラッチドラム34がインプットシャフト4延設方向へ移動しても、これらの両シール面部41,42の間の第2オイルシールリング43によって、漏れることなく、前記貫通孔45から油圧室13内へ供給される。
【0054】
また、第1オイルシールリング39は、前記筒部28と内筒部32との間をシールする。このシール箇所でも、多少前記クラッチドラム34がインプットシャフト4延設方向へ移動しても、漏れることがない。
【0055】
このため、前記オイルポンプカバー27に形成された油路37の開口37aをこの受渡し空間部44に臨ませて形成することが出来るので、この第1実施例のようにオイルポンプカバー27の円板部29に開口37aを形成することにより、従来のように、オイルポンプカバー27の筒部28に前記環状溝16等を形成する必要がなくなり、加工作業性が良好である。
【0056】
また、例えば、このオイルポンプカバー27の円板部29に開口37aを形成すれば、従来のように、オイルポンプカバー27の筒部28に環状溝16を形成する際に必要となる両側のシールを行なわなくても良く、両第1,第2オイルシールリング39,43を筒部28半径方向へ並べて配設し、筒部28延設方向の長さを短縮することが出来る。
【0057】
また、この第1実施例では、前記受渡し空間部44内に、ニードルベアリング46を配設したので、ニードルベアリング46配設部分に充分な潤滑油の供給が出来る。
【0058】
しかも、ニードルベアリング46は、前記クラッチドラム34の基底部31と、前記オイルポンプカバー27の円盤部29との間に介在されるので、図1中、左方向へクラッチドラム34を移動させて、基底部31内周端縁部31aをこのニードリベアリング46に当接させることにより、このクラッチドラム34のインプットシャフト4延設方向の位置決めを行なわせることが出来る。
【0059】
このため、クラッチドラム34のインプットシャフト延設方向への遊びを減少させることが出来る。
【0060】
図2は、この発明の第2実施例を示すものである。なお、前記第1実施例と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0061】
この第2実施例の油圧クラッチ装置では、リバースクラッチ130の前方位置に配設されるオイルポンプのオイルポンプカバー47の筒部28と、クラッチドラム48の内筒部49との間に第1オイルシールリング39を設けている。
【0062】
また、前記オイルポンプカバー47の円板部50と、前記クラッチドラム48の基底部51との各々に互いに相対向し、前記インプットシャフト4延設方向に沿うシール面部52を設けている。
【0063】
このシール面部52は、前記円板部50側に周状にフランジを形成してなる円板側シール面部53と、前記基底部51に周状に凹部54aを形成することによりなる基底側シール面部54とから構成されている。そして、前記凹部54a内に、この円板側シール面部53を挿入することにより、これらの両シール面部53,54を相対向させるように構成されている。
【0064】
また、このうち、円板側シール面部53には、リング溝41bが形成されて、両シール面部53,54の間をシールする第2オイルシールリング43が、このリング溝41bに嵌着されて設けられている。
【0065】
そして、これらの両第1,第2オイルシールリング39,43、オイルポンプカバー47及びクラッチドラム48で受渡し空間部55が形成されている。
【0066】
他の部分の構成及び作用については、前記第1実施例と略同様であるので説明を省略する。
【0067】
図3は、第3実施例の油圧回路のシール構造を示すものである。なお、前記従来例と同一乃至均等な部分については同一符号を付して説明する。
【0068】
この第3実施例の油圧回路のシール構造では、アウトプットシャフト21内に中空の油路23が設けられている。
【0069】
この油路23には、回転により油路23内の潤滑油を外部に供給する油潤滑路60が形成されている。この潤滑油は、図示省略のインプットシャフト側にも供給され、インプットシャフトに形成された油孔から、各変速ギヤ,クラッチに送られる。
【0070】
このアウトプットシャフト21は、軸受部材としてのケース2の後端部2aに挿通され、回転自在に支持されている。
【0071】
このケース2と、前記アウトプットシャフト21との間隙56には、前記油潤滑路24aから供給される潤滑油が、このアウトプットシャフト21の回転数により流量を可変しながら供給される構成としている。
【0072】
そして、このアウトプットシャフト21を玉軸受部材57によって、前記後端部2aに支持させることにより、このアウトプットシャフト21の高速回転時に発生する潤滑油のラビリンス効果によってシール可能な大きさに、前記間隙56の大きさを設定している。この間隙56は、一般に、アウトプットシャフト21の径が30φであると、50μm以下で、20〜30μm程度に形成されることが用いて良好である。
【0073】
また、この第3実施例では、前記ケース2に、このアウトプットシャフト21が低速回転を行なう際、余剰油を、図示省略のオイルパンに戻す余剰油用貫通孔58が形成されている。
【0074】
次に、この第3実施例の作用について説明する。
【0075】
この第3実施例では、アウトプットシャフト21とアウトプットシャフト21を挿通するケース2の後端部2aとの間隙56が、玉軸受部材57のアウトプットシャフト21支持により、正確にセンタリングされ、ラビリンス効果を発生する大きさを容易に形成することが出来る。
【0076】
このため、所定の回転数にアウトプットシャフト21が到達すると、いわゆるラビリンス効果が発生して、潤滑油自体がこの間隙56をシールして、これらの潤滑油が、従来のように、図3中左方向であるアウトプットシャフト21延設方向へ逃げることなく、所定の各変速要素等へ行き渡る。
【0077】
従って、従来のようにブッシュ等でオイルシールを行なう必要がなくなり、不正確なブッシュに依存しないで、前記玉軸受部材57のみで、アウトプットシャフト21を支持出来るので、センタリング精度は、更に向上する。
【0078】
しかも、この第3実施例では、一つの玉軸受部材57を用いてアウトプットシャフト21を支持しているので、部品点数の削減を図ることが出来る。
【0079】
しかも、この第3実施例では、余剰油用貫通孔58が、前記ケース2に形成されているので、低速回転時に、余剰油が、オイルパンに戻り、更に、無駄なく、潤滑油を所定の各変速要素等へ行き渡らせることが出来る。
【0080】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限らず、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。
【0081】
例えば、前記第1,第2実施例では、クラッチ装置として、リバースクラッチ30,130を示して説明してきたが、特にこれらに限らず、例えば、リダクションクラッチ(5速用)、オーバーランクラッチ、フォワードクラッチ,ハイクラッチ等、クラッチピストンを用いる他のクラッチ、又は、リダクションブレーキ、2−4ブレーキ又は、ローアンドリバースブレーキ等、クラッチピストンを用いるディスクブレーキ等に用いてもよい。
【0082】
また、前記第3実施例では、シャフトとしてアウトプットシャフト21を用いたものを示して説明してきたが、特にこれに限らず、例えば、インプットシャフト等、他のシャフトであっても、内部に中空の油路を設け、回転により油路内の潤滑油を外部に供給する油潤滑路を連通させて形成するものであるならば、どの様なシャフトであってもよい。
【0083】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明の請求項1記載のものによれば、前記各シール面部が回転軸方向に沿うように形成されているので、該両シール面部の間の第2シール部材によって、受渡し空間部内を通過するクラッチ作動油は、多少クラッチドラムが回転軸延設方向へ移動しても、漏れることなく油圧室内へ供給される。
【0084】
このため、前記作動油供給部材に形成された油路の開口を該受渡し空間部に臨ませて形成することが出来るので、例えば、該作動油供給部材の円板部に該開口を形成すれば、従来のように、該作動油供給部材の筒部に環状溝を形成する必要がなくなり、加工作業性が良好である。
【0085】
また、例えば、該作動油供給部材の円板部に該開口を形成すれば、従来のように、該作動油供給部材の筒部に環状溝を形成して、両側をシールしなくても、両シール部材を筒部半径方向へ並べて配設し、筒部延設方向の長さを短縮することが出来る。
【0086】
また、請求項2に記載されたものでは、前記受渡し空間部内に、ベアリングを配設したのでベアリング配設部分に充分な潤滑油の供給が出来る。
【0087】
しかも、ベアリングは、前記クラッチドラムの基底部と、前記作動油供給部材の円盤部との間に介在されるので、該クラッチドラムの回転軸延設方向の位置決めを行なわせることが出来る、という実用上有益な効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の油圧クラッチ装置を示し、要部の構成を説明する自動変速機の回転軸方向に沿う部分断面図である。
【図2】本発明の第2実施例の油圧クラッチ装置を示し、要部の構成を説明する自動変速機の回転軸方向に沿う部分断面図である。
【図3】本発明の第3実施例の油圧回路のシール構造を示し、要部の構成を説明する自動変速機の回転軸方向に沿う部分断面図である。
【図4】従来例を示し、全体の構成のうち、構成部分の位置関係を説明する自動変速機の側面図である。
【図5】従来例の油圧クラッチ装置を示し、要部の構成を説明する自動変速機の回転軸方向に沿った位置の部分断面図である。
【図6】従来例の油圧回路のシール構造を示し、要部の構成を説明する自動変速機の回転軸方向に沿った位置の部分断面図である。
【符号の説明】
4 インプットシャフト
13 油圧室
21 アウトプットシャフト
26 ケース
27,47 オイルポンプカバー
28 筒部
29,50 円板部
30,130 リバースクラッチ
31,51 基底部
32,49 内筒部
33 外筒部
34,48 クラッチドラム
37 油路
39 第1オイルシールリング(第1シール部材)
40,52 シール面部
43 第2オイルシールリング(第2シール部材)
44,55 受渡し空間部
45 貫通孔

Claims (2)

  1. 回転軸が挿通される筒部及び該筒部から半径方向に周状に延設された円板部を有する作動油供給部材が配設され、該円板部と対向する円板状の基底部と、該基底部の内周端縁部から回転軸方向へ沿って延設されると共に、前記筒部の外周に嵌合される内筒部と、該基底部から前記内筒部と同方向に延設された外筒部とを有するクラッチドラムが配設され、該クラッチドラムの内側に回転軸方向に移動自在に配設されて該クラッチドラムと共に油圧室を形成するクラッチピストンを設け、作動油供給源から前記作動油供給部材に形成された油路を介して前記油圧室までクラッチ作動油を供給する様にした油圧クラッチ装置において、
    前記作動油供給部材の筒部と、クラッチドラムの内筒部との間に第1シール部材を設け、前記作動油供給部材の円板部と、前記クラッチドラムの基底部との各々に互いに相対向し、前記回転軸方向に沿うシール面部を設け、該両シール面部の間に第2シール部材を設け、該両シール部材,作動油供給部材及びクラッチドラムで受渡し空間部を形成し、前記作動油供給部材に形成された油路の開口を該受渡し空間部に臨ませて、更に、該受渡し空間部と前記油圧室とを連通させる貫通孔を前記クラッチドラムに形成したことを特徴とする油圧クラッチ装置。
  2. 前記受渡し空間部内には、前記クラッチドラムの基底部と、前記作動油供給部材の円盤部との間に介在されるベアリングが設けられていることを特徴とする請求項1記載の油圧クラッチ装置
JP17228195A 1995-07-07 1995-07-07 油圧クラッチ装置及び油圧回路のシール構造 Expired - Fee Related JP3562540B2 (ja)

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