JP3561786B2 - ワニスの使用方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、液晶の配向を制御する液晶配向膜、或いは、液晶カラーフィルターの保護膜等のポリアミック酸系ワニスに関するものである。特に、ワニスの経時変化に対して安定なワニスを供給するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子は、低電圧駆動、低消費電力、薄型表示素子、等の特徴により時計をはじめ、電卓、TV、ワープロ、パソコン等、各種の表示素子として使用される様になってきた。そして、今後ますますその用途を広げようとしている。
それを支える技術としては、セルの基板、スペーサー、光源、駆動技術、液晶材料、表示方式、シール材、カラーフィルター、電極技術、配向膜等の数々の技術開発が行われており、これらの技術が同時に平行して完成されて初めて優れた液晶表示素子となる。しかし現在は未だ色々な問題が残されている。一つ配向膜の分野においても、配向膜の塗布性(はじきの発生等)、ティルト角の大きさ、ティルト角の安定性、配向むら、ワニスの化学的安定性等、種々の問題がある。
液晶の配向膜としては、無機系配向膜、及び有機系配向膜に分類されるが、一般的には、ライン生産に適した有機系配向膜が用いられている。又、有機系配向膜においては、ポリビニルアルコール、ポリイミド等の高分子膜が用いられているが、これらの中では、耐熱性、配向制御性、安定性等が他の有機高分子膜と比較して良い事から、ポリイミド系高分子膜が用いられる様になってきた。
【0003】
しかし、液晶表示素子が多方面に使用される様になってくると、より表示品質の高い表示素子が求められる様になり、又、より作業性の良い配向剤が要求される様になっている。ポリイミド系配向剤は、通常ポリアミック酸の溶液として使用されている。その溶媒として、一般的には、非プロトン性極性有機溶媒が用いられており、その具体例として、N−メチル−2−ピロリドン(以後、NMPと記載する)、N−メチルカプロラクタム、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、γ−ブチルラクトン等の極性溶媒が用いられている。しかし、これらの溶剤のみでは、実用的には、塗膜に“はじき”が発生し、基板上に均一膜を形成する事が出来ない。従って、これらの溶剤に加えてはじき性改良等の目的でセロソルブ系溶剤等が併用されている。
【0004】
ポリイミド前駆体を含有するワニスは一般にセロソルブ系溶剤を含有する場合温度に対して不安定であり、室温に放置してさえもワニスの粘度が変化しやすく、その保存においては、低温で保存する処置がとられている。又、これらの輸送に当たっては、低温輸送等の特別の配慮がなされているほどである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリイミド前駆体を含有するワニスのこのような粘度の不安定さを改良する事を課題とする。従来、ポリアミック酸の溶剤としては、前述したような有極性溶剤、セロソルブ系溶剤(例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル)等が用いられている。しかし、後述するように、単にこれらの溶媒を使用しても必ずしも満足のいく結果は得られていない。ワニスは一般に印刷法、スピンナー法、吹き付け法、あるいは、浸漬法等により塗布され得るが、ワニスの粘度の変化は、これらの作業工程において膜厚の変動の原因となったり、あるいは印刷性不良の原因となったりして安定な膜を形成する事が困難となる弊害が生じる。これらのワニスは保存時には、フリーザー内保管により比較的安定に保たれるが、輸送時においては、しばしば常温に放置されることも考えられる。粘度の変化は±10%以内、好ましくは、5%以内が好ましいと思われる。これまでこの様なポリアミック酸の粘度変化の防止方法についてはあまり知られていない。
【0006】
本発明は、ポリイミド前駆体を含有するワニスの種々の問題点の中でワニスの安定性の改良に関するものであり、とりわけその粘度の経時変化を極力抑えたワニスの使用方法に関するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ポリイミド前駆体を含有するワニスの粘度変化の防止手段として、次の方法による解決策を見いだしたものである。
即ち、ポリアミック酸はNMP等の溶剤下では粘度は、殆ど変化なく安定した粘度を維持することが可能であるが、セロソルブ系、カルビトール系、トリグリコール系、プロピレングリコール系、ジ−あるいは、トリ−プロピレングリコール系等のいわゆるグリコール系溶剤の下では、例えば、室温保存の場合に、粘度が急落するワニスあるいは、逆に粘度が上昇してしまうもの等がある。例えば、NMPとブチルセロソロルブとの共存下では、経時変化により、粘度が急激に低下しやすく、一方、ジアルキルグリコール系溶剤(例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル等)との併用では粘度が逆に上昇しやすい傾向がある。粘度が低下するものと、上昇するものを併用すると比較的安定した粘度を維持することも可能であるが、必ずしも十分とはいえない。
【0008】
本発明では、安定した保存性を有するワニスを得る方法として、ポリイミド前駆体を含有するワニスを使用する場合において、ワニスの輸送又は、保管時には、溶剤成分中に下記A群の少なくとも1種を90重量%以上含有し、ワニスの使用時には、下記B群の溶剤を配合して使用するワニスの使用方法である。
即ち、A群:NMP、N−メチルカプロラクタム、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルプロピオンアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチルラクトン、ジメチルイミダゾリジノンの中から少なくとも1種を溶剤成分中90重量%以上含有したワニスを、保存あるいは輸送し、ワニスの使用時に、塗布性の改善(ハジキ性の改良、白化防止、等)等のために、B群:エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、これらのアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、トリプロピレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、これらのアセテート類、乳酸アルキル、3−メトキシ−3−メチルブタノール、テトラリン、デカリン、イソホロン、マロン酸ジアルキルを配合して使用する方法である。A群の溶剤の中では特にNMPが毒性が低いこと、引火点が高いこと(95℃)等から輸送等の面からは好ましい(航空輸送時にもIATAに該当しない)。又、これらの溶剤の含有量は98〜60重量%程度が好ましい。98重量%を超えると他の溶剤を配合した時にポリマー濃度が小さくなりすぎ、また60重量%未満ではワニスの粘度が高くなりすぎ、取扱いが困難となるので好ましくない。
【0009】
ポリイミド前駆体は、機構は明らかではないが、これら上記の溶剤中では安定した粘度を維持することが出来る(実施例参照)。
ワニスの輸送時や保管時に使用されるA群の溶剤の他に、ワニスの粘度の経時変化に支障のない程度に他の溶剤を含有する事は可能であるが、その量は、10重量%以内が好ましい。
【0010】
10重量%以内含有され得る溶剤としては、例えば、B群の溶剤等を挙げることができる。
これらは塗布性改良のために用いる事も可能である。粘度の経時変化を生じにくい他の溶剤としては、乳酸アルキル、前出のグリコール系溶剤のアセテート系溶剤、テトラリン、デカリン、イソホロン等を挙げることが出来る。これらも前出の溶剤と同様に塗布性改良を目的としても使用出来る。しかし、これらの溶剤に限定するものではなく、このような効果のある溶剤はすべて含むことができる。これらの溶剤は、ポリイミド前駆体に対しては必ずしも溶解性が十分ではなく、前記NMP等の併用が必要になり、その意味で、NMP等のA群の溶剤は必須成分となる。
【0011】
一方、使用時に配合し得る溶剤として、ワニスの塗布性が要求されることから塗布性に効果を有する溶剤が可能であり、それらの例を挙げると以下の溶剤等があげられる。即ち、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、これらのアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、これらのアセテート類、乳酸アルキル、3−メチル−3−メトキシブタノール、テトラリン、デカリン、イソホロン、マロン酸ジアルキル等を挙げることができる。これらの中では、一般に表面張力の小さい溶剤が好ましい事は言うまでもない。又、塗布時のポリイミド前駆体の濃度としては、好ましくは1〜20重量%、更に好ましくは2〜10重量%程度である。1重量%未満では、膜厚が薄くなりすぎ、また20重量%を超えると均一な膜の形成が困難となり、又、膜が厚くなりすぎるので好ましくない。
【0012】
本発明におけるポリイミド前駆体としては、一般式
【0013】
【化1】
Figure 0003561786
【0014】
(式中、Rは4価の脂環式、又は芳香族炭化水素、又は複素環式残基を主要構成成分とし、基中にはハロゲン等の基を有するも可。Rは2価の基を示し、炭化水素残基を主要構成成分とし、基中に−O−、あるいは−S−、あるいはハロゲン基や−CN等の基を有するも可。)で示される構造単位を有するポリアミック酸が用いられる。即ち、ポリアミック酸としては、ピロメリット酸二無水物の様な芳香族環を有するテトラカルボン酸二無水物や、シクロブタン環等の脂環式テトラカルボン酸にジアミノ化合物を反応させて得られるポリアミック酸等が用いられる。
【0015】
テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,2,5,6−ナフタリンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタリンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族系テトラカルボン酸等を、又、脂環式テトラカルボン酸としては、シクロブタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、ビシクロオクタンや下記記載の脂環式テトラカルボン酸等を挙げることができる。
【0016】
【化2】
Figure 0003561786
【0017】
又、ジアミノ化合物として、
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]シクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−メチルシクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−エチルシクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−nプロピルシクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−nブチルシクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−nペンチルシクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−nヘキシルシクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−nヘプチルシクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−nオクチルシクロヘキサン、
【0018】
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ペンタン、
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサン、
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘプタン、
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]オクタン、
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ノナン、
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]デカン、
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ドデカン、
【0019】
1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]シクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−メチルシクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−エチルシクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−nプロピルシクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−nブチルシクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−nペンチルシクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−nヘキシルシクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−nヘプチルシクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−nオクチルシクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]メタン、
【0020】
4,4’−ジアミノフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタ4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジ(メタ−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−(パラ−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、オルト−フェニレンジアミン、メタ−フェニレンジアミン、パラ−フェニレンジアミン、ベンジジン、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニル−2,2’−プロパン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサメチルプロパン等の芳香族ジアミノ化合物、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン等の脂環式ジアミノ化合物がある。しかし、本発明で用いられるテトラカルボン酸二無水物やジアミノ化合物はこれらに限定されるものではない。
【0021】
更に、酸無水物及びジアミノ化合物は2種類以上を組合わせて用いることもできる。
これらの原料から合成されたポリイミド前駆体の濃度は、0.1〜40重量%とすることができるが、通常のワニスの塗布手段(例えば、スピンナー塗布、印刷塗布、浸漬塗布、スプレー塗布等)で用いるには、1〜10重量%程度の濃度が適量である。
【0022】
又、これらのポリイミド前駆体の一部がイミド化されたポリアミド・イミドのワニスにおいても適用することが可能である。
【0023】
【実施例】
以下に本発明の実施例及び比較例を示す。
実施例1〜5
1)母液1の製造
300mlのフラスコに攪拌装置、温度計、コンデンサー及び窒素置換装置を付し、フラスコ内を窒素ガスにより置換した後、脱水精製したNMP85.8mlを添加した。次いで、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]オクタン10.0gを仕込み攪拌溶解した後、5℃に氷冷した。次に、ピロメリット酸二無水物5.2gを一度に投入し、冷却しながら攪拌反応させ、1時間反応後、パラアミノフェニルトリメトキシシラン1.14gを加え、10℃、1時間攪拌反応により16重量%でピロメリット酸二無水物、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]オクタン及び、パラアミノフェニルトリメトキシシランのモル比がそれぞれ8:7:1.8からなるポリアミック酸透明溶液が得られた。この溶液の25℃における粘度は、約1400cpsであった。この透明溶液を母液1とする。
【0024】
2)試料液の調合
母液1(ポリマー16重量%)及び母液1に本発明による溶剤(NMP)をポリマーの量が8重量%濃度になるように調合し、よく混合して、粘度経時変化評価用試料とした。
3)粘度変化の評価
50ccのガラス容器に各液を約30cc入れ、25℃に調節した室内に試料を保存し、粘度の経時変化を測定した。
使用粘度計:ELD形回転粘度計(東京計器製)
測定温度:25℃
尚、粘度の保持率は次式で表した。
粘度保持率=(経日後の粘度/テスト開始時の粘度)×100
したがって、保持率としては100または100±10以内が好ましい。
【0025】
4)結果
実施例1,2は、ポリマー濃度8%及び16%のワニスを室温で15日間放置した後の粘度の保持率を示したものである。
実施例3,4,5は実施例1の試料(15日経過したもの)にB群の溶剤を配合したワニスの粘度を初期の同じ溶剤組成の試料の粘度で割った値を示している。
【0026】
【表1】
Figure 0003561786
【0027】
DMTG :トリエチレングリコールジメチルエーテル
DMCa :ジメチルカルビトール
BC :ブチルセロソルブ
比較例1〜3
1)母液1の製造
前記の実施例1で用いた母液1を用い、前記の方法と同様の方法で有機溶剤を混合し、室温に放置した際の粘度の保持率を測定した。その結果を表2に示す。
【0028】
【表2】
Figure 0003561786
【0029】
DMTG :トリエチレングリコールジメチルエーテル
DMCa :ジメチルカルビトール
BC :ブチルセロソルブ
以上の実施例、及び比較例から判るようにポリイミド前駆体はNMP中では安定であるが、グリコール系溶剤の中では不安定であることが判る。
従って、A群の溶剤中で保存あるいは、輸送し、使用時にB群の溶剤を配合して使用すると、保存、あるいは、輸送中での粘度変化にあまり気を使わず取り扱うことができる。
【0030】
実施例6
実施例3の試料を用いて、下記の要領で液晶セルを作成し、液晶の配向性を目視にて評価した。その結果、液晶の配向性ドメインなくきれいに一方向に配向していることが認められた。
【0031】
液晶セルの作成手順と配向性評価方法
導電膜としてインジウム錫オキサイドを蒸着した硝子基板に実施例3のワニスを数滴滴下した後、2200rpmにて15秒間スピンナーにかけて塗布し、次いで100℃で60分間加熱後、200℃にて90分間加熱硬化させて後、冷却後、ラビング装置にて膜面上をラビングした。この基板を膜面が互いに内側になるように相対して設置し、約10μのギャップとなる液晶用セル(アンチパラレルセル)を作成した。このセルに液晶(ZLI−1132:メルク社)を注入し、注入後、100℃まで一瞬加熱したあと室温まで放冷し、液晶の配向状態を観察した。
【0032】
【発明の効果】
以上の実施例及び、比較例から判るように本発明の方法によれば、ポリイミド前駆体系ワニスを安定な状態で保存あるいは輸送することが可能である。

Claims (2)

  1. ポリイミド前駆体を含有するワニスを使用する場合において、ワニスの輸送又は、保管時には、溶剤成分中に下記A群の溶剤の少なくとも1種を90重量%以上含有し、ワニスの使用時には、下記B群の溶剤の少なくとも1種を配合して使用するワニスの使用方法。
    A群:N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチルラクトン及びジメチルイミダゾリジノン。
    B群:エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、これらのアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、トリプロピレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、これらのアセテート類、乳酸アルキル、3−メトキシ−3−メチルブタノール、テトラリン、デカリン、イソホロン、マロン酸ジアルキル。
  2. 溶剤がN−メチル−2−ピロリドンである請求項1記載のワニスの使用方法。
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