JP3582122B2 - ワニス組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、液晶の配向を制御する配向膜、液晶カラーフィルター又はその保護膜等に使用される、ポリアミック酸又は可溶性ポリイミドを含むワニス組成物に関し、特に、塗布性、塗布むら、経時変化、毒性、引火点等が改善されたワニス組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子は、低電圧駆動、低消費電力、薄型表示素子等の特徴により、時計をはじめ、電卓、TV、ワープロ、パソコン等といった各種の表示素子の用途に使用されるようになってきた。そして、今後、ますますその用途を広げようとしている。
【0003】
それを支えるため、セルの基板、スペーサー、光源、駆動技術、液晶材料、表示方式、シール材、カラーフィルター、電極技術、配向膜等の数々の分野で技術開発が行われており、これらの技術が同時平行的に完成されて初めて優れた液晶表示素子が達成される。しかし、現在は未だ色々な問題が残されている。配向膜の分野においても、配向膜の塗布性(ハジキの発生等)、ティルト角の大きさ、ティルト角の安定性、配向むら、ワニスの化学的安定性、使用する有機溶媒の安全性等、種々の問題がある。
【0004】
液晶の配向膜は、無機系配向膜と有機系配向膜に分類されるが、一般的には、ライン生産に適した有機系配向膜が用いられている。又、有機系配向膜の中でも、実用的には、耐熱性、配向制御性、電気特性、膜の安定性等が優れているポリイミド系高分子膜が用いられている。
しかし、液晶表示素子が多方面に使用されるようになってくると、より表示品質の高い表示素子が求められるようになり、又、より作業性の良い配向剤が要求されるようになってきている。ポリイミド系の膜を与える配向剤は、通常ポリアミック酸の溶液として使用されている。一般的にはポリアミック酸の合成時には、その溶媒として、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記する)等の非プロトン性極性有機溶媒が用いられている。しかし、これらの溶媒を用いる配向剤又はワニスでは、ワニス塗布時にハジキが発生しやすく均一な膜厚を有する薄膜を形成しにくい。その為に、これらの溶媒以外に塗布性を改良する目的でセロソルブ系溶媒(通常ブチルセロソルブが使用されている)を併用したり、あるいは、オルガノポリシロキサン化合物や、フッ素系界面活性剤を配合する等の手段が用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が改良しようとする課題の1は、ワニスの塗布性の向上であり、その2は塗布膜厚みの均一性向上である。即ち、後述するように、比較的よく用いられるNMP/ブチルセロソルブ(以下、BCと略記する)の溶媒系においてさえもハジキが見られる事がある。
【0006】
又、更に、塗膜のよりシビアな評価において、ハジキに到らないまでも、塗布膜の厚みの均一性において難点がある事もある。膜厚が不均一であると液晶表示素子の表示むらが発生しやすく問題である。
課題のその3は、使用される溶媒の毒性の改良に関するものである。従来よく使用されているセロソルブ系の溶媒は、毒性が強く、その使用において、労働安全衛生規則(有機溶剤中毒予防規則)等の規制を受け、その使用方法が規定されている。有害性の小さい溶媒を用い安全な作業環境を構築する事も重要なポイントである。
【0007】
さらに、課題のその4は、ポリアミック酸系ワニスの粘度の不安定さの改良である。即ち、通常溶媒として用いられているNMPとBCを併用した場合の問題点は、ワニスのポットライフに悪影響をもたらしワニスの粘度の経時変化を大きくする作用を有する事である。具体的に示すと、比較例に示したようにNMPとBCの組合せにおいて、室温における粘度の経時変化は、1日放置で2割近くも粘度が低下してしまう難点がある。これまで、ポリアミック酸の粘度の安定化に関する方法はあまり知られていない。
本発明によれば、これらの課題を個別又は重複して達成する事が出来る。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決する手段として、以下のワニス組成物を提供する。即ち、本発明は、ポリアミック酸又は可溶性ポリイミド(以下、ポリアミック酸等と称することがある)と溶剤とからなり、該溶剤が成分Aから選ばれる溶剤の少なくとも1種と、成分Bから選ばれる溶剤の少なくとも1種とを含有するか、又は成分Aから選ばれる溶剤の少なくとも1種、成分B’から選ばれる溶剤の少なくとも1種及び成分Cの溶剤の少なくとも1種とからなるワニス組成物である。
【0009】
成分A:以下に掲げる非プロトン性有機溶剤類
NMP、N−メチルカプロラクタム、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ジメチルイミダゾリジノン(以後、DMIと略記する)、γ−ブチルラクトン。
【0010】
成分B:3−メトキシ−3−メチルブタノール(以後、MMBと略記する)、デカリン、イソホロン、エチルカルビトール混合物。
ただし、エチルカルビトール混合物は、エチルカルビトールと乳酸アルキル、3−メトキシ−3−メチルブタノール、テトラリン、デカリンおよびイソホロンの少なくとも1つとの混合物である。以後、エチルカルビトールをECAと略記する。
成分B’:乳酸アルキル(好ましくは、乳酸ブチル)、MMB、テトラリン、デカリン、イソホロン、ECA混合物。
成分C:R1−O(C3H6O)nH (1)
(nは1又は2、R1はnが1のときにブチルであり、nが2のときに炭素数1〜4のアルキル基である)。
【0011】
例えば、1)成分AのNMPもしくはDMIと成分BのMMB、ECAとの組合わせ、又は成分AのNMPもしくはDMIと、成分B’の乳酸ブチル、MMB、ECAと、成分Cとの組合わせにおいては、低有毒性でかつ塗布性に優れたワニス組成物を提供する事が出来る。2)成分Aとイソホロンを含有するとハジキが少なく塗布性に優れたワニス組成物を提供することが出来る。又、いうまでもなく1)と2)の混合系においても、塗布性は良好である。更に、本発明におけるワニスは、成分Aとセロソルブ系(BC等)を組み合わせた場合に見られるワニスのポットライフ(粘度の経時変化)の欠点を改良する事も可能である。とりわけ、テトラリン、乳酸ブチル、イソホロン等が粘度の安定性において効果的であるが、MMB及び成分Cの溶剤もセロソルブ系に比較するとポットライフに優れる。
【0012】
又、ポリアミック酸等の溶解性においては、イソホロン、MMB及びECAは通常成分Aと併用して用いられているBCよりも優れている。これは、ワニスを低温で保存した場合に、NMP/BC系においてポリマーの析出あるいは、ワニスの凝固が生じる場合でも、NMP/イソホロン、あるいは、NMP/MMB系では同じ配合割合でも均一溶液状態を示す。特にイソホロンの溶解性は良い。成分Cや乳酸ブチルの溶解性はBCに比較すると若干小さいが、これらは、前述の溶解性の良い溶剤と併用するとその欠点を補う事ができる。
【0013】
更に、本発明による溶剤系は、引火点がいずれも60℃以上であり、作業時における引火の危険も少なく安全に取り扱う事ができる。従って、静電気に対しても安全性が高い。特に、成分Aとして、DMIやNMPを用いた場合は、引火点が何れも70℃以上を有するもので構成することができる。これらの件について法規的に見ると、通常使用されているセロソルブ系の溶剤、例えば、最も汎用的に使用されているBCについてみると、消防法、労働安全衛生法(第2種有機溶剤)、危険物船舶輸送及び貯蔵規則、航空法施行規則(毒物)等の法規に指定されている溶剤で、輸送時にはこれらの法規の制限を受ける。本発明によるワニスにおいては、有毒性が低い等の点で有利な溶剤(例えば、成分AのNMP及びDMI、成分B’の乳酸ブチル、成分Bもしくは成分B’のECA及びMMB、並びに成分Cの溶剤等)が多い。
【0014】
溶剤成分Aの中では、NMPとDMIが好ましい。これらは、沸点が適度であり、引火点も高く、有毒性も比較的小さい成分である。溶剤中成分Aの含有量は重量で(以下同じ)80〜5%が好ましく、更には、60〜10%程度が好ましい。これらの成分が多過ぎると、塗布性に問題があり、又、5%より小さいと、ポリアミック酸等の溶解牲に問題が出て来る場合が多い。もちろん、ポリアミック酸等の濃度が小さい場合は、これらの成分の濃度は低くとも可能であり、ポリアミック酸等の濃度が高くなれば、これらの成分Aの濃度は高めの濃度を選択する事になる。又、溶剤中、成分B、成分B’及び成分Cの含有量はそれぞれ20〜95%が適するが、特に40〜90%程度が好ましい。それは、20%より小さいと、塗布性に問題が生じやすく、また、90%を超えると、特に95%以上では、ポリマーの溶解性に難点が出やすくなるからである。尚、本発明の効果を損なわない限りにおいて、本発明で使用する有機溶剤以外に他の溶剤を含有する事が出来ることはいうまでもない。
ポリアミック酸等の濃度としては、0.1〜40%が適するが、通常のワニスの塗布手段(例えば、スピンナー塗布、印刷塗布、浸漬塗布、スプレイ塗布等)で用いるには、1〜10%程度の濃度が好ましい。
本発明におけるポリイミド前駆体のポリアミック酸としては、一般式
【0015】
【化1】
【0016】
(式中R1 は4価の脂環式若しくは芳香族系の炭化水素残基又は複素環式残基を主要構成成分とし、該基中にはハロゲン等の置換基を有することもできる。R2は炭化水素残基を主要構成成分とする2価の基を示し、基中に−O−、−S−、ハロゲン基又は−CN等の基を有することも出来る。)で示される構造単位を有するポリアミック酸が用いられる。即ち、ポリアミック酸としては、ピロメリット酸二無水物の様な芳香族環を有するテトラカルボン酸二無水物や、シクロブタン環等の脂環式テトラカルボン酸にジアミノ化合物を反応させて得られるポリアミック酸等が用いられる。
【0017】
テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,2,5,6−ナフタリンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタリンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族系テトラカルボン酸等を、又、脂環式テトラカルボン酸としては、シクロブタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、ビシクロオクタンや下記記載の脂環式テトラカルボン酸等を挙げる事が出来る。
【0018】
【化2】
【0019】
又、ジアミノ化合物として、
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]シクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−メチルシクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−エチルシクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−nプロピルシクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−nブチルシクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−nペンチルシクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−nヘキシルシクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−nヘプチルシクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−nオクチルシクロヘキサン、
【0020】
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ペンタン、
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサン、
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘプタン、
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]オクタン、
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ノナン、
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]デカン、
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ドデカン、
1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]シクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−メチルシクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−エチルシクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−nプロピルシクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−nブチルシクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−nペンチルシクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−nヘキシルシクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−nヘプチルシクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−nオクチルシクロヘキサン、
1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]メタン、
【0021】
4,4’−ジアミノフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタ4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジ(メタ−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−(パラ−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、オルト−フェニレンジアミン、メタ−フェニレンジアミン、パラ−フェニレンジアミン、ベンジジン、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニル−2,2−プロパン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサメチルプロパン等の芳香族ジアミノ化合物、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン等の脂環式ジアミノ化合物がある。しかし、本発明で用いられるテトラカルボン酸二無水物やジアミノ化合物はこれらに限定されるものではない。
【0022】
更に、酸無水物及びジアミノ化合物は2種類以上を組合わせて用いることもできる。本発明は、これらのポリアミック酸に加え、このものの一部がイミド化された可溶性のポリアミド・イミドのワニスについても同様にして適用することが可能である。
【0023】
【実施例】
以下に本発明の実施例及び比較例を示す。尚、これら例中の%は重量%を意味する。
実施例7
1)母液1の製造
300mlのフラスコに撹拌装置、温度計、コンデンサー及び窒素置換装置を付し、フラスコ内を窒素ガスにより置換した後、脱水精製したNMP85.8mlを添加した。次いで、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]オクタン10.0gを仕込み撹拌溶解した後、5℃に氷冷した。次に、ピロメリット酸二無水物5.2gを一度に投入し、冷却しながら撹拌反応させ、1時間反応後、パラアミノフェニルトリメトキシシラン1.14gを加え、10℃、1時間撹拌反応させることによりピロメリット酸二無水物、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]オクタン及びパラアミノフェニルトリメトキシシランのモル比がそれぞれ8:7:1.8からなるポリアミック酸の16%透明溶液約100mlが得られた。この溶液の25℃における粘度は約1400cpsであった。この透明溶液を母液1とする。
【0024】
2)試料液の調合
上記母液1に、デカリンを重量比1:1の割合で加え、よく混合してデカリン50%、NMP42%及びポリアミック酸8%からなる試料液を調製した。
3)ハジキ性の評価
きれいに洗浄したガラス基板上に2)で用意した配向剤用の試料液を数滴滴下し、3000rpmの回転速度で10秒間スピンナーにかけた後、室温で放置し、ハジキ性を目視で評価した。その結果、ハジキ性は認められなかった。尚、ハジキ性の評価を行った室内の湿度は、60%であった。
【0025】
ポリアミック酸濃度(%)= 100−(NMP濃度+他の溶剤濃度)
比較例1〜8
前記の実施例7で用いた母液1を用いるが、これに本発明範囲外の有機溶剤を同様にして混合し、ハジキ性を評価した。その結果を表2に示した。
【0026】
【表2】
【0027】
実施例10 及び13
1)母液2の製造
500mlのフラスコに攪拌装置、温度計、コンデンサー、及び窒素置換装置を付し、フラスコ内を窒素ガスにより置換後、脱水精製したDMI263.4mlを添加した。次いで、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−nペンチルシクロヘキサン31.66gを仕込み攪拌溶解した後、氷浴で5℃に冷却した。次に、ピロメリット酸二無水物15.16gを一度に投入し、冷却しながら1時間30分反応後、パラアミノフェニルトリメトキシシラン3.36gを加え、10℃で1時間攪拌反応させることにより、ピロメリット酸二無水物、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−nペンチルシクロヘキサン及びパラアミノフェニルトリメトキシシランのモル比がそれぞれ8:7:1.8からなるポリアミック酸の16%透明溶液約300gを得た。この溶液を母液2とする。
【0028】
2)試料液の調合
上記母液2に本発明に含まれる有機溶剤を添加後の組成物に基づく濃度が表3に示す値となるように加え、良く混合してハジキ性と塗布むらの評価用試料液とした。
【0029】
3)ハジキ性及び塗布むらの評価
各実施例に従って調製した溶剤濃度の試料液を、約25mm×25mm角のITO (酸化インジューム) の透明電極付きガラス基板上に数滴滴下した後、回転速度2000rpmで10秒間回転させることにより塗布し、次いで50℃にセットしたホットプレート上で乾燥して溶剤を除去し、このものののハジキ性を同様にして評価した。その後、200℃にて90分間加熱処理をし、前記ガラス基板上のポリイミド薄膜の膜厚むらを観察した。薄膜の場合、膜厚にむらがあると干渉色がいろいろと変化するので、膜の色むらを観察する事により膜厚むらを知る事が出来る。ここでは膜の色むらを膜厚むらとして判定することとした。
その結果を表3に示す。本実施例から、本発明の有機溶剤は、母液2を構成するタイプのポリアミック酸に対してもハジキ性の面から有効であり、かつ、さらに塗膜の均一性においても優れている事が判る。
【0030】
【表3】
【0031】
PGB:プロピレングリコールモノブチルエーテル((I)式において、nが1で、R1が炭素数4のアルキル基のもの)(以下の表中でも同じ。)
比較例9〜12
上記母液2を使用するが、これに本発明範囲外の有機溶剤を用いる以外は実施例11と同様にして試料液を調合し、同様にしてハジキ性及び塗膜むらを評価した。その結果を表4に示す。
【0032】
【表4】
【0033】
*1:ハジキがひどく、膜が形成されない。
*2:全面的に色の異なるモザイク状模様である。
実施例15 及び 18
上記母液2に、本発明に含まれる有機溶剤を添加後の組成物に基づく濃度が表5に示す値となるように加えて調合し、良く混合して粘度保持率評価用試料液とした。
【0034】
上記粘度保持率の評価は下記の方法によって行った。
即ち、20ccのガラスの容器に各試料液を約10cc入れ、25℃に調節した室内及び35℃に調節したオーブン内に試料を保存し、粘度の経時変化を測定した。
使用粘度計:ELD形回転粘度計(東京計器製)
測定温度 :25℃
尚、粘度保持率は次式で表した。
【0035】
粘度保持率(%)=(経日後の粘度/テストの開始時の粘度)×100
保持率としては 100±10%以内が好ましい。
測定結果を表5に示した。
【0036】
【表5】
Isoh :イソホロン(以下の表中でも同じ)
*3:25℃で放置。
*4:35℃で放置。
【0037】
比較例13、14
上記母液2を使用するが、これに本発明範囲外の有機溶剤を用いる以外は実施例15 又は 18と同様にして試料溶液を調合し、同様にして粘度安定性を評価した。結果を表6に示す。
【0038】
【表6】
【0039】
実施例21〜23、比較例15
上記母液2を用い、これに溶剤を加えて表7に示す割合で溶剤を含むワニス組成物を調合し、これを低温下(−40℃)に保ってボリアミック酸の析出を観察し、もってポリマーの溶解性を評価した。結果を表7に示す。
【0040】
【表7】
〇:ポリマーの析出なし。
×:ポリマーが析出し相分離を生じる。
【0041】
実施例26 及び27
上記母液2に、本発明に含まれる有機溶剤を添加後の組成物の濃度が、表8に示す値となるように配合し、良く混合して塗布性評価用の試料液とした。これを実施例10 又は 13と同様にしてITOの透明電極付きガラス基板上に塗布し、次いで、乾燥及び加熱処理を行った。そして同様にハジキ性及び膜厚むらの評価を行った。その結果を表8に示す。
【0042】
【表8】
【0043】
【発明の効果】
以上の実施例及び比較例からも判る様に、成分Aと成分Bからそれぞれ選ばれる化合物もしくは成分A、成分B’及び成分Cからそれぞれ選ばれる化合物を溶剤とし、この溶剤とポリアミック酸又は可溶性ポリイミドを組み合わせることにより、塗布性、膜厚むら、経時変化、毒性又は引火点といった性質が個別又は重複して改善されたワニス組成物を得ることができる。
Claims (7)
- ポリアミック酸又は可溶性ポリイミド0.1〜40重量%と溶剤60〜99.9重量%とからなり、該溶剤が成分Aから選ばれる溶剤の少なくとも1種5〜80重量%と、成分Bから選ばれる溶剤の少なくとも1種95〜20重量%を含有することからなるワニス組成物。
成分A:N−メチルー2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ジメチルイミダゾリジノン、
成分B:3−メトキシ−3−メチルブタノール、デカリン、イソホロン、エチルカルビトール混合物(ただし、エチルカルビトール混合物は、エチルカルビトールと乳酸アルキル、3−メトキシ−3−メチルブタノール、テトラリン、デカリンおよびイソホロンの少なくとも1つとの混合物である)。 - ポリアミック酸又は可溶性ポリイミド0.1〜40重量%と溶剤60〜99.9重量%とからなり、該溶剤が成分Aから選ばれる溶剤の少なくとも1種5〜80重量%、成分B’から選ばれる溶剤の少なくとも1種95〜20重量%、および式(1)で示される成分Cの溶剤の少なくとも1種95〜20重量%を含有することからなるワニス組成物。
成分A:N−メチルー2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ジメチルイミダゾリジノン、
成分B’:乳酸アルキル、3−メトキシ−3−メチルブタノール、テトラリン、デカリン、イソホロン、エチルカルビトール混合物(ただし、エチルカルビトール混合物は、エチルカルビトールと乳酸アルキル、3−メトキシ−3−メチルブタノール、テトラリン、デカリンおよびイソホロンの少なくとも1つとの混合物である。)、
成分C:R 1 −O(C 3 H 6 O) n H (1)
(nは1又は2、R 1 はnが1のときに炭素数4のアルキル基、nが2のときに 炭素数1〜4のアルキル基である)。 - 成分Aから選ばれる溶剤がN−メチル−2−ピロリドン又はジメチルイミダゾリジノンである、請求項1または2に記載のワニス組成物。
- 成分Bから選ばれる溶剤が3−メトキシ−3−メチルブタノールである、請求項1に記載のワニス組成物。
- 成分B’から選ばれる溶剤が3−メトキシ−3−メチルブタノールであり、成分Cの溶剤が(1)式においてnが1でR 1 がブチルの化合物である、請求項2に記載のワニス組成物。
- 成分Bから選ばれる溶剤が、エチルカビトールと3−メトキシ−3−メチルブタノールとの混合物である、請求項1に記載のワニス組成物。
- 成分B’から選ばれる溶剤が、エチルカビトールと3−メトキシ−3−メチルブタノールとの混合物であり、成分Cの溶剤が(1)式においてnが1でR 1 がブチルの化合物である、請求項2に記載のワニス組成物。
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