JP5326355B2 - 液晶配向処理剤及びそれを用いた液晶表示素子 - Google Patents

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Description

本発明は、液晶配向処理剤、それを用いた液晶配向膜、及び液晶表示素子に関するものである。特にはラビング処理工程を経て作製される液晶表示素子に用いる液晶配向処理剤、それを用いた液晶配向膜及び液晶表示素子に関する。
液晶表示素子は、液晶分子が基板上に形成された液晶配向膜で挟まれた構造をしており、この液晶分子が電圧によって応答することを利用した表示素子である。液晶配向膜は、液晶分子の配向方向とプレチルト角を任意の状態に制御するという重要な役割を持っている。
液晶配向膜は、一般的には基板上に形成されたポリイミド膜の表面を、レーヨン、ナイロン布などによってその表面に圧力をかけて擦る、いわゆる“ラビング処理”を行って作製されている。このラビング処理によって液晶分子の配向方向が決定される。
液晶のプレチルト角を大きくする手段としては、液晶配向膜を形成しているポリイミドの構造中に長鎖のアルキル基を導入する手段が知られている(例えば特許文献1参照)。
基板上にポリイミド膜を形成させる手段としては、ポリアミック酸などの溶液を塗布して基板上でイミド化させる方法と、可溶性ポリイミドの溶液を塗布する方法とがある。
中でも、可溶性ポリイミドの溶液を使用する方法は、比較的低温の焼成であっても、液晶配向膜としたときの特性が良好なポリイミド膜を形成させることが可能であるという反面、形成された膜の強度が低く、ラビング処理により膜表面への傷及び膜の剥離が起き易いという問題がある。
また、液晶配向膜を作製する際にポリマー溶液を基板へ塗布する手段として、現在、工業的にはフレキソ印刷法が広く用いられている。しかし、イミド化率の高い可溶性ポリイミドの溶液はこの印刷性が劣るため、ポリアミック酸、あるいはイミド化率の低い可溶性ポリイミドなどを混合して用いるなどの工夫が必要であった(例えば特許文献2参照)。更には、液晶に大きいプレチルト角を与える為に、可溶性ポリイミドの構造に長鎖アルキル基を導入すると、この印刷性が悪化する傾向があった。
ポリマー溶液の基板への印刷性の改善手段としては、ブチルセロソルブなどの溶媒を加える方法が知られている(例えば特許文献3参照)。しかし、一般的に可溶性ポリイミドはポリアミック酸などと比較して溶解性が低いため、ブチルセロソルブなどの溶媒を多量に使用することはできなかった。その他として、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどのジアルキルイミダゾリジノン類とラクトン類とを含有させることで膜厚の均一性を改善する方法が知られている(例えば特許文献4参照)。
また、現在では低コスト化の一環として、印刷して乾燥後、もしくは焼成後にピンホールなどの不良が発生した場合に、液晶配向膜を形成した基板から液晶配向膜剥離液を用いて液晶配向膜を剥離し、基板を再利用する方法が広く用いられている。しかし、ラビング耐性を向上させるために液晶配向膜と基板との密着性を向上させたり、液晶配向膜の硬度を上げると、基板から液晶配向膜を剥離しにくいという問題があった。
特開平2−282726号公報 特開平9−297312号公報 特開平2−037324号公報 特開2004−51698号公報
本発明の目的は、基板に形成した液晶配向膜の剥離性に優れ、また塗膜の耐ラビング性が良好で、液晶のプレチルト角が大きい(例えば4°以上の)液晶配向膜が得られ、かつイミド化率が高くても印刷性が良好なポリイミド系の液晶配向処理剤の提供することにある。
本発明者は、上記の目的を達成するために鋭意研究を行った結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下の要旨を有する。
(1)下記のポリイミド(A)と下記のポリイミド(B)とを、50:50〜90:10の質量比で含有し、かつ溶媒として1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを含有することを特徴とする液晶配向処理剤。
ポリイミド(A):
式(1)で表されるジアミンを含むジアミン成分、又は、式(1)で表されるジアミンと、式(2)、式(3)、式(4)、及び式(5)で表されるジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種のジアミンとを含むジアミン成分と、テトラカルボン酸二無水物成分とを反応させて得られるポリアミック酸をイミド化したポリイミド。
Figure 0005326355
Figure 0005326355
(式(2)中、Xは、単結合、又は、エーテル、エステル、及びアミドからなる群より選ばれる結合基を表し、Xは炭素数1〜12の直鎖状アルキル基を表す。式(3)において、nは1又は2である。式(5)において、Xは、単結合、又は、−O−、−CH−、−NH−、及び−CONH−からなる群より選ばれる結合基を表し、Rは水素原子又はメチル基である。)
ポリイミド(B):
式(1)で表されるジアミンと式(6)で表されるジアミンとを含むジアミン成分、又は、式(1)で表されるジアミンと式(6)で表されるジアミンと、式(2)、式(3)、式(4)、及び式(5)で表されるジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種のジアミンとを含むジアミン成分と、テトラカルボン酸二無水物成分とを反応させて得られるポリアミック酸をイミド化したポリイミド。
Figure 0005326355
(式(6)中、Xは、単結合、又は、エーテル、エステル、メチレンエーテル、及びアミドからなる群より選ばれる結合基を表し、Xは炭素数14〜20の直鎖状アルキル基、又は下記式(7)で表される1価の有機基である。)
Figure 0005326355
(式(7)中、Xは、フェニル基又はシクロヘキシル基であり、Xは炭素数1〜12の直鎖状アルキル基を有するシクロヘキシル基である。)
(2)ポリイミド(A)及びポリイミド(B)のイミド化率が共に40%以上である、上記(1)に記載の液晶配向処理剤。
(3)ポリイミドを得るために使用される全ジアミン量100モル%に対して、式(1)で表されるジアミンが20〜100モル%含有し、かつ、式(1)のジアミン含有量が100モル%未満の場合には、残りのジアミンは、式(2)、式(3)、式(4)、及び式(5)からなる群より選ばれる少なくとも1種のジアミンである、上記(1)又は(2)に記載の液晶配向処理剤。
(4)ポリイミドを得るために使用される全ジアミン量100モル%に対して、式(1)で表されるジアミンを20〜90モル%、式(6)で表されるジアミンを5〜40モル%含有し、かつ、式(1)のジアミンと式(6)のジアミンの合計含有量が100モル%未満の場合には、残りのジアミンは式(2)、式(3)、式(4)、及び式(5)からなる群より選ばれる少なくとも1種のジアミンである、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
(5)溶媒として1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンと、γ−ブチロラクトンと、ブチルセロソルブと、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル又はジエチレングリコールジエチルエーテルと、を含有する上記(1)〜(4)のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
(6)ポリイミド(A)とポリイミド(B)の合計含有量が1〜10質量%である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
(7)1,3−ジメチル−イミダゾリジノンの含有量は溶媒全体の10質量%以上である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
(8)液晶配向処理剤が、ラビング処理される液晶配向膜用である上記(1)〜(7)のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
(9)上記(1)〜(8)のいずれかに記載の液晶配向処理剤を用いて得られる液晶配向膜。
(10)上記(1)〜(8)のいずれかに記載の液晶配向処理剤を電極付き基板上に塗布、焼成し、ラビング処理して得られる液晶配向膜。
(11)上記(9)又は(10)に記載の液晶配向膜を有する液晶表示素子。
本発明の液晶配向処理剤は、基板に塗布する際の印刷性に優れ、ラビング処理時の膜表面への傷及び膜の剥離が少なく、液晶のプレチルト角が大きい液晶配向膜が得られるので、表示不良が少なく良好な特性を有する液晶表示素子を得ることができる。
また、容易に基板から液晶配向膜を剥離することができるため、基板の再利用がし易い。
また、本発明の液晶配向処理剤に含有される可溶性ポリイミドは、N−メチル−2−ピロリドンやγ−ブチロラクトンなど、液晶配向処理剤に常用される溶媒に対する溶解性が向上しているので、可溶性ポリイミドに使用できるテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分との組み合わせの選択範囲が広い。よって、これらの成分を適宜選択することにより、上記の効果以外にも優れた液晶配向処理剤を提供することができる。
本発明に関して以下に詳細に述べる。
本発明の液晶配向処理剤は、下記のポリイミド(A)と下記のポリイミド(B)の2種類のポリイミドを含有し、溶媒として1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを含有するものである。本発明の液晶配向処理剤は、ラビング処理される液晶配向膜用として特に好適である。すなわち、本発明の液晶配向処理剤は、電極付き基板上に塗布、焼成し、ラビング処理して液晶配向膜とするために使用される。
<ポリイミド(A)>
本発明に用いるポリイミド(A)は、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とを反応させて得られるポリアミック酸をイミド化したポリイミドである。
ポリイミド(A)は、本発明の液晶配向処理剤に含有される有機溶媒中に可溶性であり、また、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とを反応させてポリイミド(A)を得る反応系で使用される有機溶媒にも可溶性である。
[ジアミン成分]
ポリイミド(A)を得るために用いるジアミン成分は、下記式(1)で表されるジアミンを必須成分とする。
Figure 0005326355
式(1)で表されるジアミンにおいて、ベンゼン環上の各置換基の位置は特に限定されないが、2つのアミノ基の位置関係はメタ又はパラが好ましい。以下にこのジアミンの好ましい具体例を挙げるが、これに限定されるものではない。
Figure 0005326355
式(1)で表されるジアミンの使用は、ラビング処理時の膜表面への傷及び膜の剥離を抑制することに効果的であり、さらにポリイミド(A)の有機溶媒に対する溶解性も高くなる。式(1)で表されるジアミンは1種類単独で用いることができるが、複数種を併用してもよい。
式(1)で表されるジアミンの含有量は、ポリイミド(A)を得るために使用されるジアミン成分全体の20〜100モル%が好ましく、より好ましくは30〜100モル%、さらに好ましくは40〜100モル%である。式(1)で表されるジアミンの比率が多くなるほど、ラビング処理時の配向膜表面の傷及び膜の剥離を抑制する効果が高くなり、また、ポリイミドの有機溶媒に対する溶解性も高くなる。
式(1)で表されるジアミンが100モル%未満の場合には、残りのジアミンは下記の式(2)、式(3)、式(4)、及び式(5)で表されるジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種である。式(2)、式(3)、式(4)、及び式(5)からなる群より選ばれる少なくとも1種のジアミンの含有量は、ポリイミド(A)を得るために使用されるジアミン成分全体の0超〜80モル%が好ましく、より好ましくは5〜70モル%であり、さらに好ましくは10〜60モル%である。特に、式(2)で表されるジアミンの含有量は、0超〜40モル%が好ましく、より好ましくは5〜30モル%、更に好ましくは10〜30モル%であり、残りの含有量は、式(3)、式(4)、及び式(5)からなる群より選ばれる少なくとも1種のジアミンである。
Figure 0005326355
式(2)中、Xは、単結合、又は、エーテル、エステル、及びアミドからなる群より選ばれる結合基を表し、Xは炭素数1〜12の直鎖状アルキル基を表す。
式(3)において、nは1又は2であり、好ましくは1である。
式(5)において、Xは、単結合、又は、−O−、−CH−、−NH−、及び−CONH−からなる群より選ばれる結合基を表し、Rは水素原子又はメチル基であり、好ましくは水素原子である。
式(2)のジアミンを使用すると溶解性と液晶のプレチルト角を大きくする効果がある。また、式(3)、式(4)及び式(5)で表されるジアミンを使用すると液晶の配向性を高める効果がある。
以下に式(2)、式(3)、式(4)及び式(5)で表されるジアミンの具体例を挙げるがこれに限定されるものではない。
式(2)で表されるジアミンの例として、下記式(11)〜式(14)のジアミンなどが挙げられる。
Figure 0005326355
式(11)〜式(14)において、mは0〜11、好ましくは5〜11の整数である。
式(3)で表されるジアミンの例として、2−アミノベンジルアミン、3−アミノベンジルアミン、4−アミノベンジルアミン、2−(2−アミノフェニル)エチルアミン、2−(3−アミノフェニル)エチルアミン、2−(4−アミノフェニル)エチルアミンなどが挙げられる。
式(4)で表されるジアミンの例として、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、オルトフェニレンジアミンなどが挙げられる。
式(5)で表されるジアミンの例として、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルアミドなどが挙げられる。
これらの中でも、特に3−アミノベンジルアミン、又は4−アミノベンジルアミンは、ポリイミドとしたときの溶解性が高いため好ましい。
[テトラカルボン酸二無水物成分]
ポリイミド(A)を得るために、上記したジアミン成分と反応させるテトラカルボン酸二無水物成分は、基板に塗布する際の印刷性、ラビング処理時に発生する液晶配向膜表面の傷及び膜の剥離といった問題を改善するという点では限定されず、むしろ、他の特性に応じて種々選択すればよい。本発明では、使用するテトラカルボン酸二無水物は1種類単独でも複数種を併用してもよい。
例えば、高イミド化率のポリイミドであっても比較的溶解性の高いポリイミドが得やすい点、及び液晶セルの電圧保持率を高くできる点などからは、脂環式構造又は脂肪族構造を有するテトラカルボン酸二無水物を用いることが好ましい。
脂環式構造又は脂肪族構造を有するテトラカルボン酸二無水物としては、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1−シクロヘキシルコハク酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[3,3,0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、シス−3,7−ジブチルシクロオクタ−1,5−ジエン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、トリシクロ[4.2.1.02,5]ノナン−3,4,7,8−テトラカルボン酸−3,4:7,8−二無水物、ヘキサシクロ[6.6.0.12,7.03,6.19,14.010,13]ヘキサデカン−4,5,11,12−テトラカルボン酸−4,5:11,12−二無水物などが挙げられる。
特に、芳香族テトラカルボン酸二無水物を併用すると、液晶配向性が向上し、かつ液晶セルの蓄積電荷を低減させることができる。
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
ポリイミド(A)の溶解性、液晶の配向性、電圧保持率、及び蓄積電荷特性などの各特性のバランスを考慮する場合には、脂環式構造又は脂肪族構造を有するテトラカルボン酸二無水物と、芳香族テトラカルボン酸二無水物との併用比率は、前者/後者のモル比で90/10〜60/40が好ましく、より好ましくは80/20〜70/30である。特に好ましいテトラカルボン酸二無水物の組み合わせは、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物とピロメリット酸二無水物である。
[ポリアミック酸の製造方法]
上記したジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とを反応させてポリアミック酸を得る反応は、通常、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを有機溶媒中で混合して行われる。
テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを有機溶媒中で混合させる方法は特に限定されない。例えば、ジアミン成分を有機溶媒に分散あるいは溶解させた溶液を攪拌させ、テトラカルボン酸二無水物成分をそのまま、又は有機溶媒に分散あるいは溶解させて添加する方法、テトラカルボン酸二無水物成分を有機溶媒に分散あるいは溶解させた溶液にジアミン成分を添加する方法、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを交互に添加する方法などが挙げられる。また、テトラカルボン酸二無水物成分又はジアミン成分が複数種の化合物を含む場合は、これら複数種の成分をあらかじめ混合した状態で重合反応させてもよく、個別に順次重合反応させてもよい。
テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分を有機溶媒中で重合反応させる際の温度は、通常0〜150℃、好ましくは5〜100℃、より好ましくは10〜80℃である。
重合反応させる際の温度は、高い場合に重合反応が早く終了するが、高すぎると高分子量の重合体が得られない場合がある。
また、重合反応は生成させる重合体の任意の濃度で行うことができるが、濃度が低すぎると高分子量の重合体を得ることが難しくなり、濃度が高すぎると反応液の粘性が高くなり過ぎて均一な攪拌が困難となる。そのため、重合反応を行う際の濃度は、1〜50質量%が好ましく、より好ましくは5〜30質量%である。また、重合反応初期は高濃度で行い、その後、有機溶媒を追加して濃度を下げる方法も用いることができる。
上記反応に用いられる有機溶媒は、生成したポリアミック酸が溶解するものであれば特に限定されない。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができる。
これらの有機溶媒は一種単独でも、複数種を併用してもよい。更に、ポリアミック酸を溶解させない有機溶媒であっても、生成したポリアミック酸が析出しない範囲であれば、上記した有機溶媒に混合して使用することもできる。
また、有機溶媒中の水分は重合反応を阻害し、更には生成したポリアミック酸を加水分解させる原因となるので、有機溶媒はなるべく脱水乾燥させたものを用いることが好ましい。
ポリアミック酸の重合反応に用いるテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分の比率は、モル比で0.8:1〜1.2:1であることが好ましく、0.9:1〜1:1がより好ましい。このモル比が1:1に近いほど得られるポリアミック酸の分子量は大きくなる。このポリアミック酸の分子量を制御することで、イミド化後に得られるポリイミドの分子量を調整することができる。
本発明において、ポリアミック酸の分子量は特に限定されないが、特に本発明に適したポリイミド(A)を得るための前駆体としては、重量平均分子量で2,000〜200,000が好ましく、より好ましくは5,000〜50,000である。
[ポリイミド(A)の製造方法]
上記のようにして得られたポリアミック酸のイミド化は、有機溶媒中において、塩基性触媒と酸無水物の存在下で1〜100時間攪拌することにより可能である。
塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミンなどを挙げることができる。中でもピリジンは、反応を進行させる上で適度な塩基性を持つので好ましい。
また、酸無水物としては無水酢酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などを挙げることができる。中でも無水酢酸は、イミド化終了後に、得られたポリイミドの精製が容易となるので好ましい。
ポリアミック酸をイミド化する際に用いる有機溶媒としては、前述したポリアミック酸の重合反応に用いる有機溶媒と同じ有機溶媒を使用することができる。
ポリイミド(A)のイミド化率は、触媒量、反応温度、反応時間などを調節することにより制御することができる。塩基性触媒の量はアミック酸基の0.2〜10倍モルが好ましく、より好ましくは0.5〜5倍モルである。また、酸無水物の量はアミック酸基の1〜30倍モルが好ましく、より好ましくは1〜10倍モルである。反応温度は−20〜250℃が好ましく、より好ましくは0〜180℃である。反応時間は、1〜100時間であり、好ましくは1〜10時間である。
ポリイミド(A)のイミド化率は特に限定されないが、40%以上が好ましく、高い電圧保持率を得るためには60%以上がより好ましく、80%以上が特に好ましい。
得られたポリイミド(A)の溶液内には、添加した触媒などが残存しているので、ポリイミドを回収・洗浄してから本発明の液晶配向処理剤に用いることが好ましい。
ポリイミド(A)の回収は、イミド化後の溶液を攪拌している貧溶媒に投入し、ポリイミドを析出させた後にろ過することで可能である。貧溶媒としてはメタノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセロソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼンなどを挙げることができる。回収したポリイミドの洗浄も、この貧溶媒で行うことができる。回収・洗浄したポリイミドは、常圧あるいは減圧下で、常温あるいは加熱乾燥して粉末とすることができる。
本発明の液晶配向処理剤に含有されるポリイミド(A)の分子量は特に限定されないが、塗膜の強度と液晶配向処理剤としての取り扱いのし易さの観点から、重量平均分子量で2,000〜200,000が好ましく、より好ましくは5,000〜50,000である。
<ポリイミド(B)>
ポリイミド(B)は、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とを反応させて得られるポリアミック酸をイミド化したポリイミドである。ポリイミド(B)は、本発明の液晶配向処理剤に含有される有機溶媒に可溶性であり、また、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とを反応させてポリイミド(B)を得る反応系で使用される有機溶媒にも可溶性である。
[ジアミン成分]
ポリイミド(B)を得るために用いるジアミン成分は、式(1)で表されるジアミン及び式(6)で表されるジアミンを必須成分とする。
Figure 0005326355
Figure 0005326355
式(6)中、Xは、単結合、又は、エーテル、エステル、メチレンエーテル、及びアミドからなる群より選ばれる結合基を表し、Xは炭素数14〜20の直鎖状アルキル基、又は下記式(7)で表される1価の有機基である。
Figure 0005326355
式(7)中、Xは、フェニル基又はシクロヘキシル基であり、Xは炭素数1〜12の直鎖状アルキル基を有するシクロヘキシル基である。
式(1)で表されるジアミンは、上記のポリイミド(A)において記載した[ジアミン成分]が使用され、その役割及び好ましい具体例も同様である。
ポリイミド(B)においては、式(1)で表されるジアミンだけではなく、式(6)で表されるジアミンもジアミン成分として必須である。式(1)で表されるジアミンの含有量は、ポリイミド(B)を得るために使用されるジアミン成分全体の20〜90モル%が好ましく、より好ましくは30〜60モル%、さらに好ましく30〜50モル%である。
一方、式(6)で表されるジアミンは、ポリイミド(B)を得るために使用されるジアミン成分全体の5〜40モル%含有されることにより、液晶のプレチルト角を大きくすることができ好ましい。式(6)で表されるジアミンの含有量は、より好ましくは10〜40モル%であり、更に好ましくは10〜30モル%である。式(6)で表されるジアミンは1種類単独でも、複数種を併用してもよい。
また、ポリイミド(B)を得るために使用されるジアミン成分全体における、式(1)のジアミンと式(6)のジアミンの合計含有量が100モル%未満の場合には、残りのジアミンは上記した式(2)、式(3)、式(4)、及び式(5)で表されるジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種である。好ましくは、式(3)、式(4)、及び式(5)で表されるジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種のジアミンであり、これらのジアミンは、液晶の配向性を良好に保つ効果を奏する。これらのジアミンの含有量は、ポリイミド(B)を得るために使用されるジアミン成分中において、0超〜75モル%が好ましく、より好ましくは5〜75モル%であり、さらに好ましくは10〜60モル%である。
以下に式(6)で表されるジアミンの具体例を挙げるがこれに限定されるものではない。
Figure 0005326355
式(15)〜式(19)においてpは13〜19の整数であり、好ましくは13〜17の整数である。
Figure 0005326355
式(20)〜式(24)においてqは0〜11の整数であり、好ましくは2〜6の整数である。
Figure 0005326355
式(25)〜式(29)においてhは0〜11の整数であり、好ましくは2〜6の整数である。
[テトラカルボン酸二無水物成分]
ポリイミド(B)を得るために、上記したジアミン成分と反応させるテトラカルボン酸二無水物成分は、基板に塗布する際の印刷性、ラビング処理時に発生する液晶配向膜表面の傷及び膜の剥離といった問題を改善するという点では限定されず、むしろ、他の特性に応じて種々選択すればよい。使用するテトラカルボン酸二無水物は1種類単独でも、複数種を併用してもよい。好ましい具体例としては、ポリイミド(A)の[テトラカルボン酸二無水物成分]で例示したテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
[ポリアミック酸及びポリイミド(B)の製造方法]
上記したジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とを反応させてポリアミック酸を得る反応操作、得られたポリアミック酸のイミド化及びポリイミドの回収操作などは、前記のポリイミド(A)の[ポリアミック酸の製造方法]及び[ポリイミド(A)の製造方法]と同様に行うことができる。
ポリイミド(B)の前駆体であるポリアミック酸の分子量は特に限定されないが、特に本発明に適したポリイミド(B)を得るための前駆体としては、重量平均分子量で2,000〜200,000が好ましく、より好ましくは5,000〜50,000である。
また、ポリイミド(B)の分子量も特に限定されないが、塗膜の強度と液晶配向処理剤としての取り扱いのし易さの観点から、重量平均分子量で2,000〜200,000が好ましく、より好ましくは5,000〜50,000である。
ポリイミド(B)のイミド化率は特に限定されないが、ポリイミド(A)と同様に、40%以上が好ましく、高い電圧保持率を得るためには60%以上がより好ましく、80%以上が特に好ましい。
<液晶配向処理剤>
本発明の液晶配向処理剤は、良好な印刷性と大きなプレチルト角を得るために、ポリイミド(A)とポリイミド(B)とを、(A):(B)が50:50〜90:10の質量比で含有する溶液であり、より好ましくは60:40〜80:20である。例えば、ポリイミド(A)及びポリイミド(B)の粉末を、有機溶媒にそれぞれ溶解してポリイミド溶液とし、これらの溶液を混合した後に所望の濃度まで希釈した溶液、又は、それぞれのポリイミドの溶液を所望の濃度まで希釈した後に混合した溶液である。
前記の希釈の工程において、基板への塗布性を制御する為の有機溶媒組成の調整、さらには塗膜の特性を改善する為の添加物の追加などを行うことができる。
ポリイミド(A)及び/又はポリイミド(B)の粉末を、溶解させるための有機溶媒としては、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、2−ピロリドン、N−エチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
本発明の液晶配向処理剤は1,3−ジメチル−イミダゾリジノンを溶媒の必須成分とする。1,3−ジメチル−イミダゾリジノンは、ポイミドの再溶解時や、希釈時などのいずれで用いても構わない。また、ポリイミド(A)を含む溶液とポリイミド(B)を含む溶液のどちらか一方に1,3−ジメチル−イミダゾリジノンを用いて、これを混合してもよい。この溶媒を用いると液晶配向膜を基板から剥離しやすくなる。本発明の液晶配向処理剤に用いる溶媒は1,3−ジメチル−イミダゾリジノン単独でも良いが、上記した溶媒や下記に示す溶媒と組み合わせて用いても構わない。中でもγ−ブチロラクトンは吸湿しにくいので好ましい。混合溶媒としたときは1,3−ジメチル−イミダゾリジノンの好ましい含有量は溶媒全体の10質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上である。一方、1,3−ジメチル−イミダゾリジノンの含有量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下が好適である。
基板への塗布性を制御する為に加える溶媒としては、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール、ジエチレングリコールジエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、プロピレングリコール−1−モノエチルエーテル−2−アセテート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、2−(2−エトキシプロポキシ)プロパノール、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル、乳酸イソアミルエステルなどが挙げられる。
これらの溶媒には、単独ではポリイミド(A)あるいはポリイミド(B)を溶解させることができない溶媒も含まれるが、ポリイミドが析出しない範囲であれば、本発明の液晶配向処理剤に混合することができる。特に、低表面張力を有する溶媒を適度に混合させることにより、基板への塗布時に塗膜均一性が向上することが知られており、本発明の液晶配向処理剤においても好適に用いられる。
上記した溶媒の組合せの中でも、1,3−ジメチル−イミダゾリジノンと組み合わせる溶媒としては、γ−ブチロラクトンとブチルセロソルブが好ましく、さらにはジプロピレングリコールモノメチルエーテル若しくはジエチレングリコールジエチルエーテルを含むのが好ましい。特に、1,3−ジメチル−イミダゾリジノンと、γ−ブチロラクトンと、ブチルセロソルブと、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルと、の組合せが好ましい。各溶媒の比率としては、溶媒全体のうち、1,3−ジメチル−イミダゾリジノンが10〜60質量%、γ−ブチロラクトンが20〜70質量%、ブチルセロソルブが10〜30質量%、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル若しくはジエチレングリコールジエチルエーテルが10〜30質量%が好ましく、特に、1,3−ジメチル−イミダゾリジノンが30〜50質量%、γ−ブチロラクトンが30〜60質量%、ブチルセロソルブが10〜20質量%、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル若しくはジエチレングリコールジエチルエーテルが10〜20質量%が好ましい。このような組成を用いた本発明の液晶配向処理剤は、印刷したときの膜厚変化によるムラ及びピンホールがより生じにくくなる。
塗膜の特性を改善する為の添加物としては、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤の添加により、基板に対する塗膜の密着性を更に向上させることができる。
本発明の液晶配向処理剤に含有されるポリイミドの含有量(濃度)は、形成させようとする液晶配向膜の厚みの設定によって適宜変更することができる。通常、ポリイミド(A)とポリイミド(B)の合計含有量が、好ましくは1〜10質量%、特に好ましくは2〜6質量%であり、かかる場合、均一で欠陥のない塗膜を形成し易く、液晶配向処理剤の保存安定性がより向上する。
なお、本発明における液晶配向処理剤は、場合により、基板に塗布する前に濾過することが好ましい。
<液晶配向膜>
本発明の液晶配向膜は、上記の液晶配向処理剤を基板に塗布し、乾燥、焼成して硬化し、塗膜とし、塗膜面をラビング処理などの配向処理を施すことにより得られる。
用いる基板としては、透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板、又はアクリル基板、ポリカーボネート基板などのプラスチック基板を用いることができる。また、液晶駆動のためのITO電極などが形成された基板を用いることがプロセスの簡素化の観点から好ましい。さらに、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみにならばシリコンウエハーなどの不透明な基板も使用でき、電極はアルミなどの光を反射する材料も使用できる。
液晶配向処理剤の塗布方法としては、スピンコート法、印刷法、インクジェット法などが挙げられる。生産性の面からは、工業的にはフレキソ印刷法が広く用いられており、本発明の液晶配向処理剤においても好適に用いられる。
液晶配向処理剤を塗布した後の乾燥の工程は、必ずしも必要ではない。しかし、塗布後から焼成までの時間が基板ごとに一定していない場合、あるいは、塗布後ただちに焼成しない場合には、乾燥工程を行うのが好ましい。乾燥の程度は、基板の搬送などにより塗膜形状が変形しない程度に溶媒が蒸発していればよく、その乾燥手段については特に限定されない。例えば、温度50〜150℃、好ましくは温度80〜120℃のホットプレート上で、0.5〜30分間、好ましくは1〜5分間乾燥させる方法が挙げられる。
液晶配向処理剤を塗布した基板の焼成は、100〜350℃の任意の温度で行うことができるが、好ましくは150℃〜300℃であり、さらに好ましくは180℃〜250℃である。ポリイミド中にアミック酸基が存在する場合は、この焼成温度によって得られるポリイミド膜のイミド化率が変化するが、本発明においては、イミド化率は必ずしも100%でなくてもよい。
焼成後の塗膜の厚みは、厚すぎると液晶表示素子の消費電力の面で不利となり、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、好ましくは10〜200nm、より好ましくは50〜100nmである。
上記のようにして基板上に形成された塗膜面のラビング処理は、既存のラビング装置を使用することができる。この際のラビング布の材質としては、コットン、レーヨン、ナイロンなどが挙げられる。
<液晶表示素子>
本発明の液晶表示素子は、上記した手法により本発明の液晶配向処理剤から液晶配向膜付き基板を得た後、既知の方法で液晶セルを作製し、液晶表示素子としたものである。
液晶セルの作製は、例えば、液晶配向膜が形成された1対の基板を、好ましくは1〜30μm、より好ましくは2〜10μmのスペーサーを挟んで、ラビング方向が0〜270°の任意の角度となるように設置して周囲をシール剤で固定し、液晶を注入して封止する方法が一般的である。液晶封入の方法については特に制限されず、作製した液晶セル内を減圧にした後液晶を注入する真空法、液晶を滴下した後封止を行う滴下法などが例示できる。
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
実施例及び比較例で使用する略号は以下のとおりである。
<テトラカルボン酸二無水物>
CBDA: 1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
PMDA: ピロメリット酸二無水物
<ジアミン>
2,4−DAA: 2,4−ジアミノ−N,N−ジアリルアニリン
C12DAB: 4−ドデシルオキシ−1,3−ジアミノベンゼン
C14DAB: 4−テトラデシルオキシ−1,3−ジアミノベンゼン
C16DAB: 4−ヘキサデシルオキシ−1,3−ジアミノベンゼン
4−ABA: 4−アミノベンジルアミン
3−ABA: 3−アミノベンジルアミン
<有機溶媒>
DMI: 1,3−ジメチル−イミダゾリジノン
γBL: γ−ブチロラクトン
BS: ブチルセロソルブ
DPM: ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
<構造式>
Figure 0005326355
Figure 0005326355
Figure 0005326355
Figure 0005326355
<分子量の測定>
ポリイミドの分子量は、該ポリイミドをGPC(常温ゲル浸透クロマトグラフィー)装置によって測定し、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド換算値として数平均分子量と重量平均分子量を算出した。
GPC装置:Shodex社製 (GPC−101)
カラム:Shodex社製 (KD803、KD805の直列)
カラム温度:50℃
溶離液:N,N-ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・H2O)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o-リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)
流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:東ソー社製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量 約900,000、150,000、100,000、30,000)、及び、ポリマーラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(分子量 約12,000、4,000、1,000)。
<イミド化率の測定>
ポリイミドのイミド化率は次のようにして測定した。
ポリイミド粉末20mgをNMRサンプル管に入れ、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d、0.05%TMS混合品)0.53mlを添加し、完全に溶解させた。この溶液を日本電子データム社製NMR測定器(JNM-ECA500)にて500MHzのプロトンNMRを測定した。イミド化率は、イミド化前後で変化しない構造に由来するプロトンを基準プロトンとして決め、このプロトンのピーク積算値と、9.5〜10.0ppm付近に現れるアミック酸のNH基に由来するプロトンピーク積算値とを用い次式によって求めた。
イミド化率(%)=(1−α・x/y)×100
上記式において、xはアミック酸のNH基由来のプロトンピーク積算値、yは基準プロトンのピーク積算値、αはポリアミック酸(イミド化率が0%)の場合におけるアミック酸のNH基プロトン一個に対する基準プロトンの個数割合である。
(合成例1)
テトラカルボン酸二無水物成分として、CBDAを13.53g(0.069mol)、PMDAを6.54g(0.030mol)、ジアミン成分として、2,4−DAAを8.13g(0.040mol)、4−ABAを3.67g(0.030mol)、C12DABを8.77g(0.030mol)用い、NMP161.8g中、室温で24時間反応させポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸溶液34.81gに、NMPを62.65g加えて希釈し、無水酢酸5.15gとピリジン2.19gを加え、温度50℃で3時間反応させてイミド化した。
この反応溶液を室温程度まで冷却後、メタノール366.8ml中に投入し、沈殿した固形物を回収した。さらに、この固形物をメタノールで数回洗浄した後、温度100℃で減圧乾燥して、ポリイミド(SPI−1)の白色粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は12,016、重量平均分子量は35,126であった。また、イミド化率は90%であった。
上記で得られたポリイミド1.99gに、DMIを5.97gとγBLを11.94g加え、温度50℃で24時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。この溶液を室温程度まで冷却後、γBLを7.96g、BSを5.97g、DPMを5.97g加えて充分に攪拌し均一な溶液を得た。この溶液に含まれるDMIは全溶液の15質量%である。
(合成例2)
合成例1で得られたポリイミド1.99gに、DMIを17.51gとγBLを0.40g加え、温度50℃で24時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。この溶液を室温程度まで冷却後、γBLを7.96g、BSを5.97g、DPMを5.97g加えて充分に攪拌し均一な溶液を得た。この溶液に含まれるDMIは全溶液の44質量%である。
(合成例3)
テトラカルボン酸二無水物成分として、CBDAを13.53g(0.069mol)、PMDAを6.54g(0.030mol)、ジアミン成分として、2,4−DAAを8.13g(0.040mol)、4−ABAを3.67g(0.030mol)、C12DABを8.77g(0.030mol)用い、NMP162.6g中、室温で24時間反応させポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸溶液38.33gに、NMPを68.99g加えて希釈し、無水酢酸5.67gとピリジン2.42gを加え、温度45℃で3時間反応させてイミド化した。
この反応溶液を室温程度まで冷却後、メタノール403.9ml中に投入し、沈殿した固形物を回収した。さらに、この固形物をメタノールで数回洗浄した後、温度100℃で減圧乾燥して、ポリイミド(SPI−3)の白色粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は13,513、重量平均分子量は47,948であった。また、イミド化率は76%であった。
上記で得られたポリイミド1.99gに、DMIを11.54gとγBLを6.37g加え、温度50℃で24時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。この溶液を室温程度まで冷却後、γBLを7.96g、BSを5.97g、DPMを5.97g加えて充分に攪拌し均一な溶液を得た。この溶液に含まれるDMIは全溶液の29質量%である。
(合成例4)
テトラカルボン酸二無水物成分として、CBDAを13.53g(0.069mol)、PMDAを6.54g(0.030mol)、ジアミン成分として、2,4−DAAを6.10g(0.030mol)、3−ABAを4.89g(0.040mol)、C14DABを9.62g(0.030mol)用い、NMP162.7g中、室温で24時間反応させポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸溶液35.79gに、NMPを63.91g加えて希釈し、無水酢酸5.16gとピリジン2.20gを加え、温度50℃で3時間反応させてイミド化した。
この反応溶液を室温程度まで冷却後、メタノール374.7ml中に投入し、沈殿した固形物を回収した。さらに、この固形物をメタノールで数回洗浄した後、温度100℃で減圧乾燥して、ポリイミド(SPI−4)の白色粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は13,472、重量平均分子量は35,859であった。また、イミド化率は89%であった。
上記で得られたポリイミド1.99gに、γBLを17.91g加え、温度50℃で24時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。この溶液を室温程度まで冷却後、γBLを7.96g、BSを5.97g、DPMを5.97g加えて充分に攪拌し均一な溶液を得た。
(合成例5)
テトラカルボン酸二無水物成分として、CBDAを13.53g(0.069mol)、PMDAを6.54g(0.030mol)、ジアミン成分として、2,4−DAAを6.10g(0.030mol)、3−ABAを6.11g(0.050mol)、C16DABを6.97g(0.020mol)用い、NMP157.0g中、室温で24時間反応させポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸溶液23.20gに、NMPを32.77g加えて希釈し、無水酢酸3.49gとピリジン1.49gを加え、50℃で3時間反応させてイミド化した。
この反応溶液を室温程度まで冷却後、メタノール213.3ml中に投入し、沈殿した固形物を回収した。さらに、この固形物をメタノールで数回洗浄した後、温度100℃で減圧乾燥して、ポリイミド(SPI−5)の白色粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は12,498、重量平均分子量は34,121であった。また、イミド化率は89%であった。
上記で得られたポリイミド1.99gに、γBLを17.91g加え、温度50℃で24時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。この溶液を室温程度まで冷却後、γBLを7.96g、BSを5.97g、DPMを5.97g加えて充分に攪拌し均一な溶液を得た。
(比較合成例1)
合成例1で得られたポリイミド1.99gに、γBLを17.91g加え、温度50℃で24時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。この溶液を室温程度まで冷却後、γBLを7.96g、BSを5.97g、DPMを5.97g加えて充分に攪拌し均一な溶液を得た。
(実施例1)
合成例1と合成例4で得られたポリイミド溶液を用い、SPI−1とSPI−4が質量比で7:3となるように混合して、本発明の液晶配向処理剤を得た。この液晶配向処理剤に含まれるDMIの含有量は10.5質量%である。
<印刷性の評価>
上記の液晶配向処理剤を、洗浄したCr板上に配向膜印刷機(日本写真印刷社製「オングストローマー」)を用いてフレキソ印刷した。印刷後の基板は70℃のホットプレート上に5分間放置して、塗膜の仮乾燥を行った。
上記仮乾燥後の膜表面を光学顕微鏡(ニコン社製「ECLIPSE ME600」)にて50倍で観察したところ、膜厚変化によるムラは生じておらず、ピンホール(膜のはじき)も見られなかった。
<剥離性の評価>
上記の液晶配向処理剤を透明電極付きガラス基板にスピンコートし、70℃のホットプレート上で5分間乾燥させた後、210℃のホットプレート上で10分間焼成を行い、膜厚100nmの塗膜を形成させた。この液晶配向膜付きガラス基板を50℃のNMP中に1分間浸し、100nmからの膜厚の減少率を残膜率として算出した。例えば膜厚が40nm残った場合、残膜率は40%であり、この数字の低い方が剥離しやすいことになる。本実施例では残膜率60%以上を剥離しにくいとした。結果を表1に示す。
<ラビング耐性の評価>
上記の液晶配向処理剤を透明電極付きガラス基板にスピンコートし、70℃のホットプレート上で5分間乾燥させた後、230℃のホットプレート上で15分間焼成を行い、膜厚100nmの塗膜を形成させた。この塗膜面をロール径120mmのラビング装置でレーヨン布を用いて、ロール回転数1000rpm、ロール進行速度50mm/sec、押し込み量0.3mmの条件でラビングし、液晶配向膜付き基板を得た。
この液晶配向膜の膜表面を共焦点レーザー顕微鏡にて2000倍で観察したところ、傷及び膜の剥離は見られなかった。
なお、膜表面の観察には、レーザーテック社製のリアルタイム走査型レーザー顕微鏡1LM21Dを使用した。
<プレチルト角の評価>
上記の液晶配向処理剤を透明電極付きガラス基板にスピンコートし、温度70℃のホットプレート上で5分間乾燥させた後、230℃のホットプレートで15分間焼成を行い、膜厚100nmの塗膜を形成させた。この塗膜面をロール径120mmのラビング装置でレーヨン布を用いて、ロール回転数1000rpm、ロール進行速度50mm/sec、押し込み量0.3mmの条件でラビングし、液晶配向膜付き基板を得た。
この基板を2枚用意し、その1枚の液晶配向膜面上に6μmのスペーサーを散布し、その上からシール剤を印刷し、もう1枚の基板を液晶配向膜面が向き合いラビング方向が逆向きになるようにして張り合わせた後、シール剤を硬化させて空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、液晶MLC−2003(メルク・ジャパン社製)を注入し、注入口を封止して、アンチパラレルネマティック液晶セルを得た。
この液晶セルを用いて温度23℃でのプレチルト角の測定を行った。測定にはautronic社製のTBA107を用いた。評価結果は表1に示す。
<電圧保持率の評価>
上記と同様にして準備した液晶配向膜付き基板2枚を用い、その1枚の液晶配向膜面上に6μmのスペーサーを散布し、シール剤を印刷し、もう1枚の基板を液晶配向膜面が向き合いラビング方向が直行するようにして張り合わせた後、シール剤を硬化させて空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、液晶MLC−2003(C080)(メルク・ジャパン社製)を注入し、注入口を封止して、ツイストネマティック液晶セルを得た。
この液晶セルに、23℃の温度下で4Vの電圧を60μs間印加し、16.67ms後の電圧を測定し、電圧がどのくらい保持できているかを電圧保持率として計算した。また、90℃の温度下でも同様の測定をした。なお、電圧保持率の測定には、東陽テクニカ社製の電圧保持率測定装置VHR−1を使用した。評価結果を表1に示す。
(実施例2)
合成例2と合成例4で得られたポリイミド溶液を用い、SPI−2とSPI−4が質量比で7:3となるように混合して、本発明の液晶配向処理剤を得た。この液晶配向処理剤に含まれるDMIの含有量は30.8質量%である。
この液晶配向処理剤を用い、実施例1と同様に印刷性とラビング耐性の評価を行った。その結果、膜厚変化によるムラは生じておらず、ピンホールも見られず、傷及び膜の剥離も見られなかった。残膜率とプレチルト角と電圧保持率の測定の結果を表1に示す。
(実施例3)
合成例3と合成例4で得られたポリイミド溶液を用い、SPI−3とSPI−4が質量比で7:3となるように混合して、本発明の液晶配向処理剤を得た。この液晶配向処理剤に含まれるDMIの含有量は20.3質量%である。
この液晶配向処理剤を用い、実施例1と同様に印刷性とラビング耐性の評価を行った。その結果、膜厚変化によるムラは生じておらず、ピンホールも見られず、傷及び膜の剥離も見られなかった。残膜率とプレチルト角と電圧保持率の測定の結果を表1に示す。
(実施例4)
合成例2と合成例5で得られたポリイミド溶液を用い、SPI−2とSPI−5が質量比で7:3となるように混合して、本発明の液晶配向処理剤を得た。この液晶配向処理剤に含まれるDMIの含有量は30.8質量%である。
この液晶配向処理剤を用い、実施例1と同様に印刷性とラビング耐性の評価を行った。その結果、膜厚変化によるムラは生じておらず、ピンホールも見られず、傷及び膜の剥離も見られなかった。残膜率とプレチルト角と電圧保持率の測定の結果を表1に示す。
(比較例1)
比較合成例1と合成例4で得られたポリイミド溶液を用い、SPI−1とSPI−4が質量比で7:3となるように混合して、本発明の液晶配向処理剤を得た。
この液晶配向処理剤を用い、実施例1と同様に印刷性とラビング耐性の評価を行った。その結果、膜厚変化によるムラは生じておらず、ピンホールも見られず、傷及び膜の剥離も見られなかった。残膜率とプレチルト角と電圧保持率の測定の結果を表1に示す。
(比較例2)
合成例1で得られたポリイミド溶液を液晶配向処理剤として用い、実施例1と同様に印刷性とラビング耐性の評価を行った。その結果、膜厚変化によるムラは生じておらず、ピンホールも見られず、傷及び膜の剥離も見られなかった。残膜率とプレチルト角と電圧保持率の測定の結果を表1に示す。
(比較例3)
合成例4で得られたポリイミド溶液を液晶配向処理剤として用い、実施例1と同様に印刷性とラビング耐性の評価を行った。その結果、膜厚変化によるムラが酷く、ピンホールも多数見られた。傷及び膜の剥離は見られなかった。残膜率とプレチルト角と電圧保持率の測定の結果を表1に示す。
Figure 0005326355
以上の評価結果より、本発明の液晶配向処理剤は、基板からの液晶配向膜の剥離性に優れ、また、印刷性も良好で、得られた液晶配向膜は、液晶のプレチルト角が大きく、耐ラビング性に優れていることが確認できた。一方、比較例の液晶配向処理剤では、液晶配向膜の剥離性が悪い(比較例1)か、得られる液晶配向膜の液晶のプレチルト角は大きいが、印刷性に劣る(比較例3)か、印刷性に問題がなくても得られた液晶配向膜の液晶のプレチルト角が小さい(比較例2)ことが確認された。
本発明の液晶配向処理剤は、イミド化率の高いポリイミドを含有し、基板からの剥離性に優れ、ラビング処理時の膜表面への傷及び膜の剥離が起き難い液晶配向膜を形成できる。また、本発明の液晶配向処理剤を用いて作製した液晶表示素子は、信頼性の高い液晶表示デバイスとして、TN液晶表示素子、STN液晶表示素子、TFT液晶表示素子、OCB液晶表示素子などに好適に用いられ、産業上有用である。

Claims (11)

  1. 下記のポリイミド(A)と下記のポリイミド(B)とを、50:50〜90:10の質量比で含有し、溶媒として1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを含有することを特徴とする液晶配向処理剤。
    ポリイミド(A):
    式(1)で表されるジアミンを含むジアミン成分、又は、式(1)で表されるジアミンと、式(2)、式(3)、式(4)、及び式(5)で表されるジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種のジアミンとを含むジアミン成分と、テトラカルボン酸二無水物成分とを反応させて得られるポリアミック酸をイミド化したポリイミド。
    Figure 0005326355
    Figure 0005326355
    (式(2)中、Xは、単結合、又は、エーテル、エステル、及びアミドからなる群より選ばれる結合基を表し、Xは炭素数1〜12の直鎖状アルキル基を表す。式(3)において、nは1又は2である。式(5)において、Xは、単結合、又は、−O−、−CH−、−NH−、及び−CONH−からなる群より選ばれる結合基を表し、Rは水素原子又はメチル基である。)
    ポリイミド(B):
    式(1)で表されるジアミンと式(6)で表されるジアミンとを含むジアミン成分、又は、式(1)で表されるジアミンと、式(6)で表されるジアミンと、式(2)、式(3)、式(4)、及び式(5)で表されるジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種のジアミンとを含むジアミン成分と、テトラカルボン酸二無水物成分とを反応させて得られるポリアミック酸をイミド化したポリイミド。
    Figure 0005326355
    (式(6)中、Xは、単結合、又は、エーテル、エステル、メチレンエーテル、及びアミドからなる群より選ばれる結合基を表し、Xは炭素数14〜20の直鎖状アルキル基、又は下記式(7)で表される1価の有機基である。)
    Figure 0005326355
    (式(7)中、Xは、フェニル基又はシクロヘキシル基であり、Xは炭素数1〜12の直鎖状アルキル基を有するシクロヘキシル基である。)
  2. ポリイミド(A)及びポリイミド(B)のイミド化率が共に40%以上である、請求項1に記載の液晶配向処理剤。
  3. ポリイミド(A)を得るために使用される全ジアミン量100モル%に対して、式(1)で表されるジアミンを20〜100モル%含有し、かつ、式(1)のジアミン含有量が100モル%未満の場合には、残りのジアミンは、式(2)、式(3)、式(4)、及び式(5)からなる群より選ばれる少なくとも1種のジアミンである、請求項1又は2に記載の液晶配向処理剤。
  4. ポリイミド(B)を得るために使用される全ジアミン量100モル%に対して、式(1)で表されるジアミンを20〜90モル%、式(6)で表されるジアミンを5〜40モル%含有し、かつ、式(1)のジアミンと式(6)のジアミンの合計含有量が100モル%未満の場合には、残りのジアミンは式(2)、式(3)、式(4)、及び式(5)からなる群より選ばれる少なくとも1種のジアミンである、請求項1〜3のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
  5. 溶媒として、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンと、γ−ブチロラクトンと、ブチルセロソルブと、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル若しくはジエチレングリコールジエチルエーテルと、を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
  6. ポリイミド(A)とポリイミド(B)の合計含有量が1〜10質量%である請求項1〜5のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
  7. 1,3−ジメチル−イミダゾリジノンの含有量は溶媒全体の10質量%以上である請求項1〜6のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
  8. 液晶配向処理剤が、ラビング処理される液晶配向膜用である請求項1〜7のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の液晶配向処理剤を用いて得られる液晶配向膜。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の液晶配向処理剤を電極付き基板上に塗布、焼成し、ラビング処理して得られる液晶配向膜。
  11. 請求項9又は10に記載の液晶配向膜を有する液晶表示素子。
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