JP3561679B2 - 給紙装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリなどの画像読取装置に用いられ、画像が記録された原稿を搬送する原稿取扱装置などの給紙装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
シートトレイ上にセットされたシートの先端近傍を持ち上げて、シート搬送ローラに押圧するリフト板を備える給紙装置が提案されている。この種の給紙装置では、リフト板には例えば自己保持型のソレノイドが連結されている。このソレノイドは、一端が上記リフト板に連結されたプランジャと、このプランジャを軸方向に摺動可能に保持する本体とを有している。本体には、電磁石が内蔵されていて、この電磁石に制御部からの駆動電流が通電されることにより、プランジャが吸引され、リフト板が待機位置から給紙位置としての上昇終端位置へと一気に持ち上げられる。このソレノイドには例えば永久磁石が内蔵されていて、吸引されたプランジャは、リフト板が上昇終端位置に到達する位置で、その一端がソレノイドの本体の一端の内面により受け止められると共に、永久磁石に吸着され、その位置で保持される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シートの枚数が少ない場合、リフト板がシートを介してシート搬送ローラに受け止められる際に、衝撃音による騒音が発生するという問題があった。また、ソレノイドの本体の一端の内面がプランジャの一端を受け止める際に、衝撃音による騒音が発生するという問題があった。
本発明は、かかる背景のもとでなされたもので、衝撃音による騒音が発生しない給紙装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記目的を達成するための請求項1記載の発明は、シートトレイ上にセットされたシートの先端近傍の下方の待機位置と、シートの先端近傍を持ち上げて、シート搬送ローラに押圧する給紙位置との間で変位可能なリフト板と、一端が上記リフト板に連結されたプランジャと、上記プランジャを変位させる電磁石とを有するソレノイドを含み、上記電磁石に駆動電流を印加することにより上記プランジャを変位させて上記リフト板を待機位置と給紙位置との間で変位させる駆動手段と、上記リフト板が待機位置と給紙位置との間で変位する過程で、上記電磁石への駆動電流の印加を複数回に分割して行わせることにより、上記リフト板の変位速度を減速する減速手段とを備えることを特徴とする給紙装置である。
【0005】
この構成によれば、リフト板の変位速度を減速することにより、リフト板がシートを介してシート搬送ローラに受け止められる際、あるいはリフト板が待機位置に戻される際のリフト板の速度が遅くなり、衝撃音による騒音の発生を抑制することができる。
特に、電磁石への駆動電流の印加が複数回に分割して行われることにより、リフト板が徐々に持ち上げられるので、一気に持ち上げられる場合と比較して、リフト板がシートを介してシート搬送ローラに受け止められる際の速度が遅くなる。また、プランジャが受け部に受け止められる際の速度が遅くなる。したがって、衝撃音による騒音の発生を抑制することができる。
請求項2記載の発明のように、上記ソレノイドは、上記プランジャを磁力で吸着させて保持するための永久磁石を有する自己保持型のものであって、上記減速手段は、上記電磁石に印加する駆動電流を停止させた後、上記プランジャが上記永久磁石の磁力により吸着される直前のタイミングで再び上記電磁石に駆動電流を印加させることにより、上記リフト板の変位速度を減速するものであることが好ましい。
また、請求項記載の発明は、上記減速手段は、上記リフト板が待機位置から給紙位置に変位する過程で、上記リフト板の変位速度を減速することを特徴とする請求項1または2記載の給紙装置である。
【0006】
この構成によれば、リフト板がシートを介してシート搬送ローラに受け止められる際のリフト板の速度が遅くなり、衝撃音による騒音の発生を抑制することができる。
【0008】
また、請求項4記載の発明は、上記リフト板が給紙位置に到達する際に、上記プランジャを受け止める受け部をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の給紙装置である。
この構成によれば、リフト板がシートを介してシート搬送ローラに受け止められる際のリフト板の速度が遅くなる一方で、プランジャが受け部に受け止められる際の速度も遅くなるので、特に、プランジャと受け部との衝撃音による騒音の発生を抑制することができる。上記受け部は、上記プランジャを収容する本体の一端の内面であってもよい。
【0010】
また、請求項記載の発明は、上記給紙装置は、画像が記録された原稿を搬送するための原稿取扱装置であることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の給紙装置である。
この構成によれば、上記効果を奏する給紙装置を用いた原稿取扱装置を提供することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下には、図面を参照して、本発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、本発明の給紙装置の一実施形態にかかる自動原稿給送装置1(原稿取扱装置)の内部構成を示す断面概略図である。自動原稿給送装置1は、複写機、ファクシミリなどの画像読取装置に用いられ、シートトレイとしての原稿トレイ2上にシートとしての原稿3をセットして運転を開始すると、原稿を自動的に画像読取部へと搬送し、排出トレイ4に原稿を排出するものである。
【0012】
自動原稿給送装置1は、ピックアップローラ5(シート搬送ローラ)と、ピックアップローラ5の原稿搬送方向に対して下流側に配置された分離ローラ対6と、分離ローラ対6の下流側に配置されたレジストローラ対7と、レジストローラ対7の下流側に配置された複数の搬送ローラ対8、9、10と、排出トレイ4の直上流側に配置された排出ローラ対11とを備えている。
原稿3は原稿トレイ2上に載置され、原稿ガイド12に沿って挿入方向Aに挿入される。分離ローラ対6の直上流位置には、原稿トレイ2から挿入される原稿3の先端3aを規制する原稿ストップ面13が配置されている。
【0013】
ピックアップローラ5の駆動軸15には、ワンウェイクラッチ48を介して、原稿ストッパ16が、図1において実線で示す規制位置と、破線で示す非規制位置との間で変位可能に取り付けられている。ピックアップローラ5の駆動軸15が停止状態のときは、駆動系の負荷が原稿ストッパ16に伝達され、原稿ストッパ16の変位が制限されることにより、原稿ストッパ16は、規制位置で原稿3の先端3aを規制する。原稿3の先端3aが原稿ストップ面13および原稿ストッパ16に当接されて原稿3のセットが完了する。
【0014】
自動原稿給送装置1の運転が開始されると、原稿3の先端3a近傍の下方に配置されたリフト板17がソレノイド18により図1において実線で示す待機位置から、破線で示す給紙位置としての上昇終端位置まで持ち上げられ、原稿3の先端3a近傍がピックアップローラ5に対して押圧される。その一方で、ピックアップローラ5の駆動軸15が給紙方向Bに回転されると、原稿ストッパ16に対する駆動系の負荷が解放され、原稿3の先端3aにより原稿ストッパ16が非規制位置へと押し上げられ、原稿3の先端3aが分離ローラ対6側へと移動する。ピックアップローラ5は、原稿3を上から1枚ずつ下流側へと搬送する。
【0015】
分離ローラ対6は、給紙方向Cに回転する給紙ローラ19と、この給紙ローラ19に対向して配置され反給紙方向Dへのトルクが与えられる分離ローラ21とからなる。給紙ローラ19は、原稿3を下流側へと搬送するためのものであり、分離ローラ21は、ピックアップローラ5から原稿3が重送された場合に、2枚目以降の原稿3を1枚目の原稿3から切り離し、1枚目の原稿3のみを下流側へと搬送するようにするためのものである。原稿3は、分離ローラ対6を通って原稿搬送径路20へと搬送される。
【0016】
原稿搬送径路20へと搬送された原稿は、レジストローラ対7、搬送ローラ対8および上流搬送ローラ対9を介して、読取ガイド22とコンタクトガラス板23とに挟まれた画像読取位置24へと搬送される。原稿搬送径路20は、レジストローラ対7から搬送ローラ対8までの間はほぼ水平であるが、搬送ローラ対8から画像読取位置24までは湾曲して下方に向かっており、原稿3が表裏反転して画像読取装置24に導かれるようになっている。
【0017】
原稿3は、画像読取位置24で画像検出部25によって画像が読み取られた後、下流側搬送ローラ対10および排出ローラ対11を介して、排出トレイ4上に排出される。
図2は、自動原稿給送装置1の要部を示す断面概略図である。リフト板17は、例えば円筒状の軸部26と、この軸部26に一端が連結された板状のリフト部27とを有している。軸部26の内周面には、回転軸28が嵌め入れられていて、リフト板17は、この回転軸28を支軸として、図2において実線で示す待機位置と破線で示す上昇終端位置との間で揺動可能に取り付けられている。軸部26の外周面には、ソレノイド18を引張ばね29を介して連結するための連結突起30が形成されている。連結突起30には連結孔31が形成されていて、引張ばね29の一端のフック部29aは、この連結孔31に引っ掛けられている。
【0018】
ソレノイド18は、一端32aが引張ばね29の他端のフック部29bに連結されたプランジャ32と、このプランジャ32を軸方向に摺動可能に保持する本体33とを有する自己保持型のものである。プランジャ32は、例えば丸軸状で、強磁性材料である鉄により形成されている。プランジャ32の一端32aには、ピン34が設けられていて、引張ばね29のフック部29bは、このピン34に引っ掛けられている。
【0019】
本体33は、例えば中空の有底円筒状で、その他端33bにはプランジャ32を挿通するための挿通孔35が形成されている。挿通孔35の内径は、プランジャ32の外径と略一致していて、プランジャ32は、その他端32bからこの挿通孔35に挿通されている。また、本体33には、円筒状の電磁石36および永久磁石37が設けられていて、プランジャ32はこれらの電磁石36および永久磁石37に挿通されている。
【0020】
図3は、本発明に関連する部分の制御回路構成を示すブロック図である。自動原稿給送装置1を含む画像読取装置の例えばハウジングの上面には、各種操作を行うための操作パネル39が配置されている。この操作パネル39には、画像読取装置の運転を開始するための運転開始ボタン40が含まれている。また、画像読取装置の内部には、マイクロコンピュータ等で構成された制御部41(通電制御手段、減速手段)が備えられている。
【0021】
原稿3をセットした後、運転開始ボタン40を押すと、制御部41へと信号が送られる。この信号に基づいて、制御部41からソレノイド18の電磁石36へと、所定のタイミングで駆動電流42が流される。駆動電流42が通電されることにより、電磁石36が磁力を帯びて、プランジャ32が本体33の一端33a側に吸引される。これに伴って、リフト板17が回転軸28を支軸として回転されて上昇終端位置へと持ち上げられる。
【0022】
持ち上げられたリフト板17のリフト部27の上面27aは、上昇終端位置で原稿3を介してピックアップローラ5に受け止められると共に、プランジャ32は、その他端32bがソレノイド18の本体33の一端33aの内面(受け部)により受け止められる。吸引されたプランジャ32は、永久磁石37に吸着され、駆動電流42の通電が終了した後もその位置で保持される。これに伴って、リフト板17は上昇終端位置で保持される。原稿3の枚数が多い場合は、引張ばね29が伸びて、その弾性力により原稿3がピックアップローラ5に押圧される。
【0023】
原稿3の搬送が終了し、そのことを例えば搬送終了検知センサ46が検知すると、制御部41へと信号が送られる。この信号に基づいて、制御部41からソレノイド18の電磁石へと、駆動電流42とは逆向きの逆駆動電流43が流され、プランジャ32は本体33の一端33a側とは逆方向に戻される。プランジャ32のピン34は、例えば自動原稿給送装置1の本体に固定されたストッパ38により受け止められる。このとき、プランジャ32は永久磁石に吸着されてその位置に保持され、リフト板17は待機位置に支持される。
【0024】
図4は、電磁石36へと流される駆動電流42のタイミングの一例を示すタイミング図である。制御部41からの駆動電流42は、1次駆動電流44と2次駆動電流45との2回に分割して電磁石36へと通電される。この実施形態では、1次駆動電流44の1次通電時間Aは例えば10msecである。そして、例えば200msecの時間間隔Bが経過した後、例えば150msecの2次通電時間Cだけ2次駆動電流45が送られて通電が終了する。
【0025】
この場合、1次駆動電流44によりリフト板17を少し持ち上げた後、時間間隔Bが経過して、リフト板17が永久磁石の磁力により吸着される直前のタイミングで、2次駆動電流45によりリフト板17を上昇終端位置まで持ち上げる。したがって、1回の駆動電流42によりリフト板17を一気に持ち上げる場合と比較して、リフト板17が原稿3を介してピックアップローラ5に受け止められる際の速度が遅くなる。また、プランジャ32がソレノイド18の本体33の一端33aの内面に受け止められる際の速度も遅くなる。したがって、衝撃音による騒音の発生を抑制することができる。ただし、駆動電流42は2回に限らず3回以上に分割されてもよい。また、1次駆動電流44の通電時間A、時間間隔Bおよび2次駆動電流45の通電時間Cは、衝撃音による騒音の発生を抑制することができれば、上記値に限られるものではない。
【0026】
本発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0027】
ソレノイド18は自己保持型のものに限らず、永久磁石を有していないソレノイドであってもよい。この場合、駆動電流42を通電し続けることによりプランジャを保持し、リフト板17を上昇終端位置に支持する。ソレノイドには、例えばプランジャに連結されたばねが内蔵されていて、原稿3の搬送終了後は、ソレノイドへの通電を停止することにより、この内蔵ばねにプランジャが押圧され、これに伴って、リフト板17が待機位置に戻される。この構成の場合にも、駆動電流42を時間的に分割して通電することによって、リフト板17などからの衝撃音を軽減できる。
【0028】
また、リフト板17の変位速度は、待機位置から上昇終端位置へと持ち上げられる際だけでなく、上昇終端位置から待機位置へと戻される際にも減速されてもよい。具体的には、自己保持型のソレノイド18に逆駆動電流43を時間的に分割して通電すればよい。また、内蔵ばねによってプランジャを初期位置に復帰させ、リフト板17を待機位置に導く上述のソレノイドを用いる場合には、ソレノイドへの通電停止後、プランジャが初期位置に至るよりも前に、微小時間だけソレノイドへの通電を行って、プランジャに対して内蔵ばねに抗する磁気力を作用させればよい。
【0029】
また、給紙装置は、原稿3を搬送する自動原稿給紙装置1に限らず、例えば手差しで複写シートを給紙するための手差し給紙トレイ部や、両面複写機構に含まれる中間トレイ部などに用いられる複写シート給紙装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の給紙装置の一実施形態にかかる自動原稿給送装置(原稿取扱装置)の内部構成を示す断面概略図である。
【図2】自動原稿給送装置の要部を示す断面概略図である。
【図3】本発明に関連する部分の制御回路構成を示すブロック図である。
【図4】電磁石へと送られる駆動電流のタイミングの一例を示すタイミング図である。
【符号の説明】
1 自動原稿給送装置
2 原稿トレイ
3 原稿
3a 先端
5 ピックアップローラ
17 リフト板
18 ソレノイド
32 プランジャ
33 本体
33a 一端
36 電磁石
42 駆動電流
44 1次駆動電流
45 2次駆動電流

Claims (5)

  1. シートトレイ上にセットされたシートの先端近傍の下方の待機位置と、シートの先端近傍を持ち上げて、シート搬送ローラに押圧する給紙位置との間で変位可能なリフト板と、
    一端が上記リフト板に連結されたプランジャと、上記プランジャを変位させる電磁石とを有するソレノイドを含み、上記電磁石に駆動電流を印加することにより上記プランジャを変位させて上記リフト板を待機位置と給紙位置との間で変位させる駆動手段と、
    上記リフト板が待機位置と給紙位置との間で変位する過程で、上記電磁石への駆動電流の印加を複数回に分割して行わせることにより、上記リフト板の変位速度を減速する減速手段とを備えることを特徴とする給紙装置。
  2. 上記ソレノイドは、上記プランジャを磁力で吸着させて保持するための永久磁石を有する自己保持型のものであって、
    上記減速手段は、上記電磁石に印加する駆動電流を停止させた後、上記プランジャが上記永久磁石の磁力により吸着される直前のタイミングで再び上記電磁石に駆動電流を印加させることにより、上記リフト板の変位速度を減速するものであることを特徴とする請求項1記載の給紙装置。
  3. 上記減速手段は、上記リフト板が待機位置から給紙位置に変位する過程で、上記リフト板の変位速度を減速することを特徴とする請求項1または2記載の給紙装置。
  4. 上記リフト板が給紙位置に到達する際に、上記プランジャを受け止める受け部をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の給紙装置。
  5. 上記給紙装置は、画像が記録された原稿を搬送するための原稿取扱装置であることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の給紙装置。
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