JP3561358B2 - 車両用アンチロックブレーキ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マスタシリンダおよび車輪ブレーキ間に、車輪ブレーキの前記マスタシリンダおよびリザーバへの連通状態を制御可能であるとともにマスタシリンダおよび車輪ブレーキ間に介装されるオリフィスを有するブレーキ液圧制御手段が設けられる車両用アンチロックブレーキ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、かかるアンチロックブレーキ制御装置において、ブレーキ液圧制御手段のオリフィスは、車輪ブレーキの液圧を減圧せしめたアンチロックブレーキ制御中にブレーキ液圧を増圧せしめるべくマスタシリンダおよび車輪ブレーキ間を連通状態としたときに、車輪ブレーキのブレーキ液圧が急激に増圧することを防止するために設けられているものである。しかるに、そのオリフィスが在るために、車輪ブレーキのブレーキ圧を速やかに減圧することが困難であり、特開平5−201320号公報では、車輪ブレーキ側からマスタシリンダ側への作動液の流れを許容するチェック弁が、ブレーキ液圧制御手段を迂回してマスタシリンダおよび車輪ブレーキ間に設けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記特開平5−201320号公報で開示された従来技術では、マスタシリンダの出力液圧を速やかに低下させて車輪ブレーキのブレーキ圧を速やかに減圧することが可能であるものの、その減圧操作後に再びマスタシリンダの出力液圧を増圧したときには、オリフィスの絞り作用により減圧開始前の圧力までブレーキ液圧を復帰させるのが遅れることになる。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構成により、マスタシリンダの出力液圧を急減後に再増圧するようにブレーキ操作したときに車輪ブレーキのブレーキ液圧再増圧を迅速に行ない得るようにした車両用アンチロックブレーキ制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、マスタシリンダおよび車輪ブレーキ間に、車輪ブレーキの前記マスタシリンダおよびリザーバへの連通状態を制御可能であるとともにマスタシリンダおよび車輪ブレーキ間に介装されるオリフィスを有するブレーキ液圧制御手段が設けられる車両用アンチロックブレーキ制御装置において、マスタシリンダおよび車輪ブレーキ間に、前記オリフィスを有するブレーキ液圧制御手段を迂回する迂回路が設けられると共に、この迂回路にアクチュエータが介設され、そのアクチュエータが、マスタシリンダに常時通じる第1圧力室と、車輪ブレーキに常時通じる第2圧力室とに両端を臨ませるとともに第2圧力室側にばね付勢されたピストンがハウジングに摺動自在に嵌合されて成ることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0007】
図1において、ブレーキ操作レバー1の操作に応じて液圧を出力するマスタシリンダ2と、車輪ブレーキ3との間にはブレーキ液圧制御手段4が設けられており、このブレーキ液圧制御手段4によって車輪ブレーキ3の液圧が制御されることにより、車輪ブレーキ3が装着された車輪がブレーキ時にロック状態に陥ることが防止される。
【0008】
ブレーキ液圧制御手段4は、マスタシリンダ2に接続されるオリフィス5と、該オリフィス5および車輪ブレーキ3間に設けられる常開型電磁弁6と、リザーバ7と、車輪ブレーキ3およびリザーバ7間に設けられる常閉型電磁弁8と、吸入口が吸入弁9を介してリザーバ7に接続されるとともに吐出口が吐出弁10を介してマスタシリンダ2およびオリフィス5間に接続される戻しポンプ11とを有して、従来周知の還流式に構成されるものである。
【0009】
而してアンチロックブレーキ制御時には戻しポンプ11が作動せしめられ、常開型電磁弁6の閉弁状態で常閉型電磁弁8が開弁されることにより車輪ブレーキ3のブレーキ液圧が減圧され、常開型および常閉型電磁弁6,8がともに閉弁せしめられたときには車輪ブレーキ3のブレーキ液圧が保持され、常閉型電磁弁8の閉弁状態で常開型電磁弁6が開弁せしめられたときには車輪ブレーキ3のブレーキ液圧が増圧される。
【0010】
ところで、マスタシリンダ2および車輪ブレーキ3間には、ブレーキ液圧制御手段4を迂回する迂回路12が設けられており、該迂回路12にアクチュエータ13が介設される。
【0011】
このアクチュエータ13は、第1圧力室15および第2圧力室16に両端を臨ませるとともに戻しばね17により第2圧力室16側にばね付勢されたピストン18がハウジング19に摺動自在に嵌合されて成るものである。第1圧力室15はマスタシリンダ2に常時連通するものであり、また第2圧力室16は車輪ブレーキ3に常時連通するものである。戻しばね17は、ピストン18およびハウジング19間に縮設されるようにして第1圧力室15に収納される。
【0012】
次にこの実施例の作用について説明すると、平時にはブレーキ液圧制御手段4における常開型電磁弁6は開弁しており、また常閉型電磁弁8は閉弁している。この状態で、ブレーキ操作レバー1によりマスタシリンダ2を作動せしめると、該マスタシリンダ2の出力液圧はオリフィス5および常開型電磁弁6を経て車輪ブレーキ3に作用する。この際、アクチュエータ13においては、ピストン18が第1圧力室15の液圧、ならびに戻しばね17のばね力により第2圧力室16の容積を最少とする位置まで移動している。
【0013】
このようなブレーキ操作時に車輪がロック傾向となったことに伴なうアンチロックブレーキ制御にあたっては戻しポンプ11の作動が開始され、ブレーキ液圧を減圧するときには、常開型電磁弁6が閉弁されるとともに常閉型電磁弁8が開弁される。これにより、車輪ブレーキ3のブレーキ液圧はリザーバ7に吸収されたり、マスタシリンダ2側に戻されたりし、車輪ブレーキ3のブレーキ液圧が減圧される。また車輪ブレーキ3のブレーキ液圧低下に伴なう制動力の減少により車輪のロック傾向が解消されると、制動力を回復すべく常開型電磁弁6が開弁されるとともに常閉型電磁弁8が閉弁される。したがってマスタシリンダ2の出力液圧がオリフィス5および常開型電磁弁6を介して車輪ブレーキ3に再び作用するようになり、オリフィス5の絞り作用により車輪ブレーキ3の急激な増圧を回避して的確な制動力の回復が可能となる。
【0014】
このような常開型電磁弁6および常閉型電磁弁8の開・閉制御が高速で繰り返されることにより、車輪ブレーキ3のブレーキ圧が効率的に制御される。
【0015】
ブレーキ操作レバー1を戻してマスタシリンダ2の出力液圧を急激に低下させたときには、アクチュエータ13における第2圧力室16の液圧が第1圧力室15の液圧よりも高くなるのに応じて、ピストン18が第1圧力室15側に移動して第2圧力室16の容積が増大され、容積増大に応じて第2圧力室16の液圧すなわち車輪ブレーキ3のブレーキ液圧が速やかに低下せしめられる。したがって、常開型電磁弁6およびオリフィス5における絞り抵抗の影響を受けずに車輪ブレーキ3のブレーキ液圧が速やかに低下せしめられる。
【0016】
またマスタシリンダ2の出力液圧を急激に低下させた後、再びブレーキ操作レバー1を操作してマスタシリンダ2の出力液圧を増大せしめると、アクチュエータ13においては第1圧力室15の液圧増大に応じてピストン18が第2圧力室16側に移動する。したがって、オリフィス5の絞り作用の影響を受けずに、容積収縮に伴なって増圧された第2圧力室16の液圧を車輪ブレーキ3に作用せしめ、車輪ブレーキ3のブレーキ液圧を速やかに元の液圧まで復帰させることができる。
【0017】
このようにして、マスタシリンダ2に常時通じる第1圧力室15と、車輪ブレーキ3に常時通じる第2圧力室16とに両端を臨ませるとともに第2圧力室16側にばね付勢されたピストン18がハウジング19に摺動自在に嵌合されて成るアクチュエータ13が、ブレーキ液圧制御手段4を迂回する迂回路12に介設された簡単な構成により、マスタシリンダ2の操作によるブレーキ液圧の速やかな減圧と、減圧後の速やかな再増圧とを可能とすることができ、従来必要であったチェック弁を不要として構成を簡素化し、コスト低減に寄与することができる。
【0018】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
【0019】
たとえば、ブレーキ液圧制御手段4における常開型電磁弁6および常閉型電磁弁8に代えて、車輪ブレーキ3およびマスタシリンダ2間を接続するが車輪ブレーキ3およびリザーバ7間を遮断する状態と、車輪ブレーキ3およびマスタシリンダ2間を遮断するが車輪ブレーキ3およびリザーバ7間を接続する状態と、車輪ブレーキ3およびマスタシリンダ2間ならびに車輪ブレーキ3およびリザーバ7間をともに遮断する状態とを切換可能とした電磁切換弁を用いてもよい。
【0020】
【発明の効果】
以上のように本発明は、マスタシリンダおよび車輪ブレーキ間に、オリフィスを有するブレーキ液圧制御手段を迂回する迂回路が設けられると共に、この迂回路にアクチュエータが介設され、そのアクチュエータが、マスタシリンダに常時通じる第1圧力室と、車輪ブレーキに常時通じる第2圧力室とに両端を臨ませるとともに第2圧力室側にばね付勢されたピストンがハウジングに摺動自在に嵌合されて成るので、チェック弁を不要とした簡単かつ低コストの構成で、マスタシリンダの出力液圧急減による車輪ブレーキのブレーキ液圧減少を速やかに行なうことができるとともに、急減圧操作後の再増圧操作に伴って車輪ブレーキのブレーキ液圧を速やかに増圧することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両用アンチロックブレーキ制御装置の液圧回路図である。
【符号の説明】
2・・・マスタシリンダ
3・・・車輪ブレーキ
4・・・ブレーキ液圧制御手段
5・・・オリフィス
12・・迂回路
13・・アクチュエータ
15・・第1圧力室
16・・第2圧力室
18・・ピストン
19・・ハウジング
Claims (1)
- マスタシリンダ(2)および車輪ブレーキ(3)間に、車輪ブレーキ(3)の前記マスタシリンダ(2)およびリザーバ(7)への連通状態を制御可能であるとともにマスタシリンダ(2)および車輪ブレーキ(3)間に介装されるオリフィス(5)を有するブレーキ液圧制御手段(4)が設けられる車両用アンチロックブレーキ制御装置において、
マスタシリンダ(2)および車輪ブレーキ(3)間に、前記オリフィス(5)を有するブレーキ液圧制御手段(4)を迂回する迂回路(12)が設けられると共に、この迂回路(12)にアクチュエータ(13)が介設され、
そのアクチュエータ(13)は、マスタシリンダ(2)に常時通じる第1圧力室(15)と、車輪ブレーキ(3)に常時通じる第2圧力室(16)とに両端を臨ませるとともに第2圧力室(16)側にばね付勢されたピストン(18)がハウジング(19)に摺動自在に嵌合されて成ることを特徴とする、車両用アンチロックブレーキ制御装置。
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JP32264195A JP3561358B2 (ja) | 1995-12-12 | 1995-12-12 | 車両用アンチロックブレーキ制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP32264195A JP3561358B2 (ja) | 1995-12-12 | 1995-12-12 | 車両用アンチロックブレーキ制御装置 |
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JPH09156486A JPH09156486A (ja) | 1997-06-17 |
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Family
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Family Applications (1)
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JP32264195A Expired - Fee Related JP3561358B2 (ja) | 1995-12-12 | 1995-12-12 | 車両用アンチロックブレーキ制御装置 |
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JP (1) | JP3561358B2 (ja) |
-
1995
- 1995-12-12 JP JP32264195A patent/JP3561358B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH09156486A (ja) | 1997-06-17 |
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