JP3560675B2 - 合成樹脂製針 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は高剛性かつ高靭性の合成樹脂製針に係わり、特に注射針、採血針、留置針、混注針、瓶針、穿刺針等の医療用合成樹脂製針に関する。
【0002】
【従来の技術】
注射針の材質としてはステンレス等の金属が一般的に使用されている。金属製の注射針は、針の肉厚を薄くでき、小さな外径であっても大きな流量を確保できることや、刃先をシャープに研磨できるのでスムーズな穿刺が行えることなどのメリットを有するものであるが、廃棄時に焼却処分ができず、針としての原形を留めたままゴミとして回収業者に処分してもらっている。
そのため、焼却処分が可能な注射針の開発が望まれ、その材質として、合成樹脂の使用が検討されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、合成樹脂単独では剛性、強度不足により刺通時に刃先が変形したり折れたり曲がったりして刺通が困難であった。また、剛性を向上させるために充填材を添加した場合、剛性が向上する反面、靭性が低下し脆くなり、返って刺通時に折れてしまう虞れが増加するものであった。
従って、注射針として実用上十分な剛性と靭性とを併せ持つ合成樹脂製注射針の出現が望まれているが、これを満足するものは未だ得られていないのが現状である。
したがって、本発明は、実用に耐え得る剛性と靭性とを有し、しかも焼却処分が可能な注射針を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するため、以下の(1)〜(5)の対策が講ぜられた。
(1)繊維強化された合成樹脂製針であって、該繊維が可燃性を有しその長手方向を該針の軸方向に沿うように(直線的に、または多少曲線状をなしていてもよい)設けられていること。
(2)該繊維は該針の軸方向全長に亘って設ける。
(3)該繊維は該針に実質的に均一に分散させる。
(4)該繊維は該針の外周近傍に偏在させてもよい。
(5)該針は中空針であり、該繊維は該針の円周方向に対し不均一に偏在され、外部より中空部を観察可能としてもよい。
なお、針は中実、または中空針であってもよい。
【0005】
すなわち、本発明の合成樹脂製針は基本的構成として、繊維強化された合成樹脂製針であって、該繊維は可燃性を有し、該針の一端から他端に向けて設けられていることを特徴とするものである。
【0006】
【作用】
本発明による繊維強化合成樹脂製針によれば、繊維が長手方向に連続しているため(直線状、若しくは曲線的に)、長手方向に垂直な方向への曲げ荷重に対する強度が高く、折れが生じにくい。さらに繊維が可燃性であるから焼却処理することができる。
【0007】
【実施例】本発明の合成樹脂製針に使用される合成樹脂材料としては、環状オレフィン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルラクトン、液晶ポリエステル等の熱可塑性樹脂、あるいはエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、等の熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの内、取扱の容易さ、生体安全性を考慮すると熱可塑性樹脂が好ましい。さらに曲げ弾性率が2×104Kg/cm2以上である高弾性熱可塑性樹脂、例えばポリカーボネート、環状オレフィン系樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、液晶ポリエステル樹脂等が望ましい。
【0008】
本発明の合成樹脂針に使用される繊維は可燃性のものである。ここで可燃性とは焼却炉等での焼却後、その形状を有さないことを言う。具体的には、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリイミド繊維、ポリアミドイミド繊維、ヘテロ環高性能繊維、ポリアミド系繊維、ポリアリレート繊維等が挙げられる。これらの内、剛性の面から弾性率が5.0×103Kg/mm2以上である炭素繊維、アラミド繊維、ヘテロ環高性能繊維、ポリアリレート繊維が好ましく、より好ましくは弾性率が10.0×103Kg/mm2以上である炭素繊維、アラミド繊維、ヘテロ環高性能繊維が好ましい。また、繊維の繊維径は1〜50μmであるものが好ましく、より好ましくは約5〜25μmである。
【0009】
本発明の合成樹脂製針を構成する樹脂材料に対する繊維の添加量は採用する樹脂や繊維の組合わせにより異なるが合成樹脂製針全体に基づいて概ね10〜80容量%程度であり、好ましくは30〜80容量%、より好ましくは40〜70容量%である。
繊維が10容量%以上添加されていれば、長手方向に垂直な方向への曲げ荷重に対する強度が実用的なレベルにまで上昇する。また、添加する繊維が短繊維のみの場合、添加量が30容量%以上では曲げ弾性率および曲げ強さがかえって弱くなり脆く折れやすくなる傾向にある。しかし、本発明の合成樹脂製針の場合、繊維を多量に添加してもこれらの数値は上昇し続ける。すなわち、短繊維を添加する場合に比べて、刺通性能が良好でしかも折れにくい合成樹脂製針が得られる。また、繊維の形状等にもよるが80容量%程度までは個々の繊維が合成樹脂製針を構成する樹脂材料中に分散され、繊維同士が互いに直接触れないと考えられるので繊維が樹脂材料の強度の上昇に充分寄与することができる。
これらの樹脂と繊維を用いて針を作製するが、樹脂として透明性の高い、ポリカーボネート等を使用し、針管の長手方向に対し垂直方向の断面において強化長繊維を部分的に集束し、不均一に分散させるよう合成樹脂製針を形成すると、合成樹脂製針内を流れる流体を目視することができる合成樹脂製針が得られる。
作成された合成樹脂製針において、その弾性率は20×104Kg/cm2以上が好ましく、より好ましくは30×104Kg/cm2以上、さらに好ましくは50×104Kg/cm2以上である。
【0010】
次に、本発明の合成樹脂製針の製造方法を中空針を例にとって以下に説明する。押出成型機(図示せず)に接続された図1に示したクロスヘッド部1の後端に設けられた繊維挿入部12へ連続した繊維2を挿入し、挿入部12から押出し部13へ向かって繊維を前進させる。このとき図示しない押出成型機にて加熱、溶融した熱可塑性樹脂4を押出成型機接続部3を介してクロスヘッド部1内へ挿入し、繊維2に含浸させる。そして、樹脂含浸された繊維を樹脂の押出し速度に合わせてダイス131、マンドレル132間より引き抜き、押出された管状体51を冷却、固化することにより中空針用管状体を製造する。
【0011】
このような成型機を使用して、合成樹脂製針と強化長繊維を用いて円筒状あるいは管状体の成型を行う。なお、成型品の形状は外径0.5〜5.0mm,内径0〜4.8mmの寸法にて成型を行う。なお、成型品は上述した押出し成型のように連続的に成型を行ってもよいし、射出成型のように所定の長さに成型する不連続的な成型を行っても良い。このように成型された成型品を目的の長さにカットして刃面づけを行うことにより合成樹脂製針を得る。刃面づけの方法として、加熱した金型へ入れる方法、砥石により研磨する方法、レーザー、ウォータージェット、刃物等によりカットする方法等を挙げられる。また刃先形状はオープンエンドのランセットタイプでも良く、管状体内腔に連通し外部に開口する孔のついた円錐形状でもよい。合成樹脂製針は接着剤、熱融着、高周波融着等によりシリンジ等への接続部を有するハブに固定することができる。
【0012】
なお、繊維挿入部12およびクロスヘッド部1内にて繊維2を均一に分散させた状態で成型を行った場合には、繊維2が実質的に均一に分散されている合成樹脂製針が成型され、また繊維2を円周方向に偏在させた状態で成型を行った場合には、針管の長手方向に対し垂直方向の断面において繊維2が部分的に収束し、不均一に偏在されている合成樹脂製針が成型される。
【0013】
また、剛性をさらに向上させるため合成樹脂材料に短繊維を充填させてもよい。短繊維としては、ウイスカー(ひげ結晶)、無機フィラー(例えばシリカ、タルク)、ガラス繊維、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、等が挙げられる。ウイスカーとしては、酸化チタン、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、グラファイト、等が挙げられる。それらの充填量は合成樹脂製針全体積の0〜30容量%が望ましい。短繊維の大きさは、直径0.01〜50μm、好ましくは0.05〜10μm、長さ1.0〜100μm、好ましくは3〜50μmが望ましい。
【0014】
実施例 1
成型品全体の30容量%に相当するように炭素繊維(直径7μm、東洋レーヨン社製、ベスファイトHTA、弾性率24×104Kg/mm2)7800本からなる長繊維束を均一に分散するように押出し成型機に接続されたクロスヘッド部後端の繊維挿入部より連続して挿入し、挿入部から押出し部へ向かって繊維束を前進させる。このとき、押出し成型機によって加熱、溶融されたポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチック社製、レックス7020、弾性率2.3×104Kg/cm2)をクロスヘッド部内に挿入し、炭素繊維をダイス・マンドレル間から引き抜き、合成樹脂内に繊維が均一に分散した状態で押出すことによって中空状に成型した後、冷却、固化することにより内径1.0mm、外径1.5mmのパイプ形状の成型品を得た。
得られたパイプ形状の成型品を50mmの長さに切断した後、一端を砥石により刃面を形成させ、合成樹脂製針を製造した。
【0015】
実施例 2
実施例1と同様の炭素繊維を成型品全体の45容量%に相当するように12000本からなる長繊維束を均一に分散するようにしてクロスヘッド部に連続して挿入した以外は実施例1と同様にして合成樹脂製針を製造した。
【0016】
実施例 3
実施例1の炭素繊維の代りに成型品全体の45容量%に相当するようにアラミド繊維(直径12μm、日本アラミド社製、トワロンHM1056、弾性率13×104Kg/mm2)3900本からなる長繊維束を均一に分散するようにしてクロスヘッド部に連続して挿入した以外は実施例1と同様にして合成樹脂製針を製造した。
【0017】
実施例 4
ポリカーボネートとともに短繊維として酸化チタンウイスカー(直径1.0μm、長さ5.0μm、石原産業社製、FTL−200)を成型品全体の9容量%を用い、これらをクロスヘッド部に導入した以外は実施例2と同様にして合成樹脂製針を製造した。
【0018】
実施例 5
実施例1と同様の炭素繊維を成型品全体の60容量%に相当するように15000本からなる長繊維束を均一に分散するようにしてクロスヘッド部に連続して挿入した以外は実施例1と同様にして合成樹脂製針を製造した。
【0019】
実施例 6
実施例3と同様のアラミド繊維を成型品全体の60容量%に相当するように5200本からなる長繊維束を均一に分散するようにしてクロスヘッド部に連続して挿入した以外は実施例3と同様にして合成樹脂製針を製造した。
【0020】
実施例 7
実施例1の炭素繊維の代りに成型品全体の60容量%に相当するようにポリアクリレート繊維(直径23μm、クラレ社製、ベクトランHT、弾性率8×104Kg/mm2)1400本からなる長繊維束を均一に分散するようにしてクロスヘッド部に連続して挿入した以外は実施例1と同様にして合成樹脂製針を製造した。
【0021】
実施例 8
実施例1と同様の炭素繊維を成型品全体の60容量%に相当するように15000本からなる長繊維束を均一に分散するようにしてクロスヘッド部に連続して挿入し、ポリカーボネートの代りに環状オレフィンコポリマー(三井石油化学社製、APL6015、弾性率3.2×104Kg/cm2)を押出し成型機によって加熱、溶融しクロスヘッド部に導入した以外は実施例1と同様にして合成樹脂製針を製造した。
【0022】
実施例 9
実施例1と同様の炭素繊維を成型品全体の60容量%に相当するように15000本からなる長繊維束を均一に分散するようにしてクロスヘッド部に連続して挿入し、ポリカーボネートの代りにポリブチレンテレフタレート(三菱エンジニアリングプラスチック社製、ノバドウル5050、弾性率2.4×104Kg/cm2)を押出し成型機によって加熱、溶融しクロスヘッド部に導入した以外は実施例1と同様にして合成樹脂製針を製造した。
【0023】
実施例 10
実施例1と同様の炭素繊維を成型品全体の60容量%に相当するように15000本からなる長繊維束を均一に分散するようにしてクロスヘッド部に連続して挿入し、ポリカーボネートの代りにポリフェニレンサルフィド(ポリプラスチック(株):フォートロン002A9、弾性率4.0×104Kg/cm2)を押出し成型機によって加熱、溶融しクロスヘッド部に導入した以外は実施例1と同様にして合成樹脂製針を製造した。
【0024】
実施例 11
実施例1と同様の炭素繊維を成型品全体の60容量%に相当するように15000本からなる長繊維束を均一に分散するようにしてクロスヘッド部に連続して挿入し、ポリカーボネートの代りにポリエーテルエーテルケトン(住友化学社製、ビクトレックス450G、弾性率3.8×104Kg/cm2)を押出し成型機によって加熱、溶融しクロスヘッド部に導入した以外は実施例1と同様にして合成樹脂製針を製造した。
【0025】
実施例 12
実施例1と同様の炭素繊維を成型品全体の60容量%に相当するように15000本からなる長繊維束を均一に分散するようにしてクロスヘッド部に連続して挿入し、ポリカーボネートの代りにポリエーテルイミド(日本GEプラスチック社製、Ultem 1000、弾性率3.4×104Kg/cm2)を押出し成型機によって加熱、溶融しクロスヘッド部に導入した以外は実施例1と同様にして合成樹脂製針を製造した。
【0026】
実施例 13
実施例1と同様の炭素繊維を成型品全体の60容量%に相当するように15000本からなる長繊維束を均一に分散するようにしてクロスヘッド部に連続して挿入し、ポリカーボネートの代りに液晶ポリエステル(三菱エンジニアリングプラスチック社製、ノバキュレートE310、弾性率12.0×104Kg/cm2)を押出し成型機によって加熱、溶融しクロスヘッド部に導入した以外は実施例1と同様にして合成樹脂製針を製造した。
【0027】
実施例 14
実施例1と同様の炭素繊維を成型品全体の70容量%に相当するように18000本からなる長繊維束を均一に分散するようにしてクロスヘッド部に連続して挿入した以外は実施例1と同様にして合成樹脂製針を製造した。
【0028】
実施例 15
実施例1と同様の炭素繊維を成型品全体の80容量%に相当するように21500本からなる長繊維束を均一に分散するようにしてクロスヘッド部に連続して挿入した以外は実施例1と同様にして合成樹脂製針を製造した。
【0029】
実施例 16
実施例1と同様の炭素繊維の本数を7800本とし、長繊維束が繊維挿入部およびクロスヘッド部内に円周方向に対して3方向に集束し、偏在させた状態で成型を行った以外は実施例1と同様にして合成樹脂製針を製造した。
【0030】
実施例 17
実施例1と同様の炭素繊維を成型品全体の10容量%に相当するように2600本からなる長繊維束を均一に分散するようにしてクロスヘッド部に連続して挿入し、さらにポリカーボネートとともに短繊維として酸化チタンウイスカー(直径1.0μm、長さ5.0μm、石原産業社製、FTL−200)を成型品全体の19容量%を用い、これらを押出し成型機によって加熱、溶融しクロスヘッド部に導入した以外は実施例1と同様にして合成樹脂製針を製造した。
【0031】
比較例 1
炭素繊維を添加しなかったこと以外は実施例1と同様に合成樹脂製針を製造した。
【0032】
比較例 2
炭素繊維を添加せず、炭素短繊維(直径7μm、長さ500μm、)を成型品全体の19容量%添加した以外は実施例1と同様に合成樹脂製針を製造した。
【0033】
比較例 3
炭素繊維を添加せず、かつポリカーボネートの代りにポリフェニレンサルフィド(ポリプラスチック(製):フォートロン 002A9、弾性率4.0×104Kg/cm2)と充填剤として炭素短繊維(19容量%)を用い、これらを押出し成型機によって加熱、溶融しクロスヘッド部に導入した以外は実施例1と同様にして合成樹脂製針を製造した。
【0034】
比較例 4
実施例1と同様の炭素繊維を成型品全体の90容量%に相当するように23000本からなる長繊維束を均一に分散するようにしてクロスヘッド部に連続して挿入した以外は実施例1と同様にして合成樹脂製針を製造した。
【0035】
比較例 5
実施例1と同様の炭素繊維を成型品全体の60容量%に相当するように15000本からなる長繊維束を均一に分散するようにしてクロスヘッド部に連続して挿入し、かつポリカーボネートの代りにポリエチレン(三菱化学社製、三菱ポリエチ−HD HJ930、弾性率1.0×104Kg/cm2)を用い、これを押出し成型機によって加熱、溶融しクロスヘッド部に導入した以外は実施例1と同様にして合成樹脂製針を製造した。
【0036】
(試験例1)
上記実施例1〜17、比較例1〜5の合成樹脂製針のそれぞれについて、試験方法JIS K 7203に従って曲げ弾性率、曲げ強さの測定を行った。また、刺通性能を示す指標として穿刺部がイソプレンゴム(硬度JISA40、厚さ6mm)からなる輸液バッグ(テルモ(株)社製、商品名:テルパック)の栓体にそれぞれ20本ずつ刺通し、その評価を行った。ここで、刺通性能は次の評価法により行った。
【0037】
A: 通常のヒトの力で20本全部、刺通できた。
B: 刃先のへたりや折れにより15〜19本しか刺通できなかった。
C: 刃先のへたりや折れにより10〜14本しか刺通できなかった。
D: 刃先のへたりや折れにより0〜9本しか刺通できなかった。
これらの結果を弾性率、曲げ強さの測定結果と合わせて表1に示す。
【0038】
【0039】
なお、本発明の上記実施例の合成樹脂製針を医療用注射針基準(昭和45年12月20日、厚生省告示第443号)に基づき溶出試験を行った結果、いずれもこの基準を満たし、問題はなかった。
さらに、本発明の合成樹脂製針は輸液セットの輸液容器に接続するための瓶針、体内から血液を取り出す採血針、体内へ薬液を注入する注射針、留置針等へ適用できることが確認された。さらに、ハブ部分への固着は接着剤を使用しても、また熱融着、高周波融着などを利用しても行えることが確認された。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように本発明による繊維強化合成樹脂製針によれば、該繊維は可燃性であるので、焼却処分が可能であり、錆が出ず、靭性の向上とともに剛性の強化が図られる。また、針を構成する合成樹脂と接着性のある繊維であると刃面づけを容易におこなえる等の効果がある。また、短繊維を充填した場合に比べて繊維が長手方向に連続しているため(直線状、若しくは曲線的に)、長手方向に垂直な方向への曲げ荷重に対する強度が高く、折れが生じにくい。すなわち、長繊維の場合は添加しても靭性が低下しにくく、脆く折れ易くなることがないので、短繊維に比べて剛性、靭性共に向上が図れるなどの利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の合成樹脂針の製造方法を説明するための成型機の部分断面図である。
【符号の説明】
1…クロスヘッド部、
2…繊維、
3…押出成型機接続部、
4…熱可塑性樹脂、
12…繊維挿入部、
13…押出し部、
51…管状体、
131…ダイス、
132…マンドレル。
Claims (20)
- 強化長繊維によって強化された合成樹脂製針であって、該強化長繊維は可燃性でかつ該合成樹脂製針の一端から他端に向けて連続して延びる長繊維からなり、該強化長繊維の繊維束が分散されて設けられていることを特徴とする合成樹脂製針。
- 該繊維が該針の一端から他端に向けて直線状に設けられていることを特徴とする請求項1記載の合成樹脂製針。
- 該繊維が該針の一端から他端に向けて曲線をなして設けられていることを特徴とする請求項1記載の合成樹脂製針。
- 該繊維が炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリイミド繊維、ポラミドイミド繊維、ヘテロ環高性能繊維、ポリアミド系繊維、ポリアリレート繊維から選ばれるものであることを特徴とする請求項1記載の合成樹脂製針。
- 該繊維が炭素繊維、アラミド繊維、ヘテロ環高性能繊維、ポリアリレート繊維から選ばれるものであることを特徴とする請求項1記載の合成樹脂製針。
- 該繊維が炭素繊維、アラミド繊維、ヘテロ環高性能繊維から選ばれるものであることを特徴とする請求項4記載の合成樹脂製針。
- 該繊維の弾性率が5.0×103Kg/mm2以上であることを特徴とする請求項1記載の合成樹脂製針。
- 該繊維の添加量が合成樹脂製針全体に対し10ないし80容量%であることを特徴とする請求項1記載の合成樹脂製針。
- 該繊維の繊維径が1〜50μmであることを特徴とする請求項1記載の合成樹脂製針。
- 該合成樹脂製針に使用される合成樹脂が、環状オレフィン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルラクトン、液晶ポリエステルの熱可塑性樹脂、あるいはエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂の熱硬化性樹脂から選ばれるものであることを特徴とする請求項1記載の合成樹脂製針。
- 該合成樹脂製針に使用される合成樹脂が、ポリカーボネート、環状オレフィン系樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、全芳香族ポリエステル樹脂から選ばれるものであることを特徴とする請求項1記載の合成樹脂製針。
- 該合成樹脂製針に使用される合成樹脂の曲げ弾性率が2×104Kg/cm2以上であることを特徴とする請求項1記載の合成樹脂製針。
- 該合成樹脂製針にさらに短繊維が充填されていることを特徴とする請求項1記載の合成樹脂製針。
- 該短繊維が、ウイスカー(ひげ結晶)、無機フィラー、ガラス繊維、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維から選ばれるものであることを特徴とする請求項1記載の合成樹脂製針。
- 該短繊維の充填量が、合成樹脂製針全体積の0〜30容量%であることを特徴とする請求項1記載の合成樹脂製針。
- 該合成樹脂製針が医療用針であることを特徴とする請求項1記載の合成樹脂製針。
- 該合成樹脂製針の弾性率が20×104Kg/cm2以上であることを特徴とする請求項1記載の合成樹脂製針。
- 該繊維が不均一に分散されていることを特徴とする請求項1記載の合成樹脂製針。
- 該繊維が針の外周近傍に偏在していることを特徴とする請求項1記載の合成樹脂製針。
- 該繊維が針の円周方向に対し不均一に偏在され、外部より中空部を観察可能となっていることを特徴とする請求項1記載の合成樹脂製針。
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