JP3560492B2 - スクロール型圧縮機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空調装置の冷媒圧縮機として使用するのに適したスクロール型圧縮機であって、特に二酸化炭素(CO)等の高圧ガスを冷媒とする車両用空調装置に用いられるスクロール型圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に良く知られているようにスクロール型圧縮機においては、その構造上の特徴から必然的に運転時において可動スクロールにスラスト荷重が作用する。このスラスト荷重を支持するために、可動スクロールの端板部の背面と、それに対向するハウジングの一部の平坦な端面部とを摺動面として、それらを摺動係合させているのが普通である。このようなスラスト荷重支持面における摺動摩擦を軽減するために、様々の工夫がなされている。
【0003】
ところで、近年においてフロン系の冷媒が地球環境に及ぼす影響が指摘されるようになって来たために、それに代わるものとして二酸化炭素(CO)を冷媒とする冷凍サイクルが注目されているが、COを冷媒として使用する場合には、フロン系冷媒を使用する場合に比べて冷凍サイクルの運転時の圧力が非常に高いという特徴があるので、冷媒圧縮機としてスクロール型圧縮機を用いる場合には、可動スクロールに軸方向に従来にも増して非常に大きなスラスト荷重が作用する。従って高負荷運転の状態において摺動面に大きな摩耗や焼き付きが発生し易くなるため、スクロール型圧縮機の信頼性が低下するという問題がある。また、同時に摺動面の摩擦による機械損失も大きくなるため、スクロール型圧縮機の性能面においても問題を生じる。
【0004】
これらの問題に対処するための手段として、可動スクロールに作用するスラスト荷重の支持面の一方である可動スクロールの端板部の背面に溝状の背圧室を、ハウジングの平坦な端面部に対応するようにして設けて、この背圧室に加圧された流体をダイレクトに導いて摺動面の間で拡散させて、可動スクロールのスラスト荷重を浮動的に支持することが、従来より公知(特開平9−310687号)である。しかしながら、この方法も背圧室、即ち作動室のシール性が確保できず問題がある。
【0005】
更にスクロール型圧縮機の作動室の軸方向のシール性を改善したものとして、特開平3−64686号公報に示されたものが従来公知である。この圧縮機は、固定スクロールと可動スクロールとにより圧縮され、吐出室に吐出された高圧冷媒ガスを圧力調整弁又は絞りを介して、可動スクロール背面側にバイパスさせると共に、可動スクロール背面側の冷媒ガスを調整弁及び絞りを介して吸入室側に戻すことにより、吐出圧力、吸入圧力に応じた適正な中間圧力を作り出し、この中間圧力を可動スクロール背面に作用させることにより、可動スクロールを軸方向に押し付け、作動室のシール性を向上させ、圧縮効率を上げることにある。しかしながら、上記構成では、圧縮機が圧縮仕事を与えた高圧の吐出冷媒ガスを可動スクロール背面側に捨ててしまう構成となるため、圧縮機の性能を向上させる効果が小さくなってしまうという問題がある。
【0006】
また、本出願人は、作動室のシール性を高める一方で、スラスト受面に生じる可能性がある摩耗を防止して、圧縮機の信頼性を向上させるという目的で、スラスト受面に円環状に形成される背圧室を二重のリング溝としたものを、特願平10−311257号として出願しているが、これも依然として作動室の圧力をダイレクトに可動スクロール背面に作用させているため、可動スクロールの傾き等により一端漏れが発生すると、背圧供給部である作動室から連続的に冷媒が漏れるため、圧縮性能が低下するという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点が、「可動スクロールに作用するスラスト荷重に対抗する背圧力が、圧縮仕事を与えた吐出冷媒ガスを可動スクロール背面に作用させて、吸入室側に捨てることにより作り出されている」という点と、「一端漏れが発生すると連続的に漏れ続ける」という点とが原因で発生するということに着目し、吐出冷媒ガスを吸入室側に捨てる量を小さくできるようにしたものである。
【0008】
すなわち、本発明は、従来技術における前述の問題に対処して、スクロール型圧縮機において、可動スクロールに作用するスラスト荷重に対抗して、可動スクロールを固定スクロールの端板部に向って十分な大きさの背圧力によって軸方向に押圧し、作動室のシール性を高める一方、高負荷運転時にスラスト受面に生じる可能性がある摩耗を防止して、圧縮機の信頼性を向上させると共に機械損失を低減させることができると共に、高圧の吐出冷媒ガスが可動スクロールのスラスト受面において、低圧側である吸入室に多量に漏れ出て圧縮機の圧縮効率が低下することのない改良されたスクロール型圧縮機を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の各請求項に記載されたスクロール型圧縮機を提供する。
【0010】
請求項1に記載されたスクロール型圧縮機においては、可動スクロールの端板部の背面に設けられた背圧用ポケットと作動室とを連通するために、可動スクロールの端板部を貫通して連通孔を設けると共に、この連通孔に背圧用ポケットから作動室への流体の漏れを阻止する逆止弁を設けたものであり、これにより作動中において、可動スクロールに作用するスラスト荷重Fが可動スクロールの背面に生じる背圧力Fよりも小さくなって、可動スクロール端板部とミドルプレートとの間に隙間が生じ、背圧用ポケット内の冷媒が吸入室へ流出し、背圧用ポケット内の圧力が低下しても、連通孔内に設けた逆止弁の開弁力効果により、作動室内の冷媒が背圧用ポケット内に流入する前に背圧用ポケット内の冷媒が吸入室に流出するため、スラスト荷重によって瞬時に可動スクロール端板部はミドルプレートに接触し、背圧用ポケットは密閉空間を作るようになり、冷媒を無駄に吸入室に流出させることがなく、圧縮効率を向上させることができる。これは、可動スクロールが傾き、背圧用ポケットの密閉空間がくずれ、冷媒が吸入室に流出した場合においても、同様に可動スクロールの傾きを修正でき、冷媒の流出を少なくすることができる。
【0011】
請求項2に記載されたスクロール型圧縮機においては、連通孔の作動室内の開口位置を特定することによって、従来の高圧の吐出冷媒を可動スクロールの背圧力に利用していたのに比べて、圧縮途中の冷媒を使用できるので、省動力効果を高めることができる。
【0012】
請求項3及び請求項4に記載のスクロール型圧縮機は、逆止弁として、リード弁又はボールとバネで構成したものを使用したもので、実質的に請求項1のスクロール型圧縮機と同様の効果を奏する。
請求項5及び請求項6に記載のスクロール型圧縮機は、それぞれ背圧用ポケットの形状と位置とを特定したものであり、同じく実質的に請求項1のスクロール型圧縮機と同様の効果を奏する。
【0013】
請求項7に記載のスクロール型圧縮機は、背圧用ポケットの外周を囲うようにシールを設けたもので、これにより定常運転時の背圧用ポケットから吸入室への冷媒の漏れを低減し、一層の圧縮効果が期待できる。
請求項8に記載のスクロール型圧縮機は、前記逆止弁に絞り機能を付加するか又は逆止弁とは別途に絞りを設けることにより、背圧用ポケットから吸入室への冷媒の漏れ時に、逆止弁の開弁力に加えて絞り効果を加えることにより、背圧用ポケットを密閉空間に戻す作用の信頼性を高めたものである。
【0014】
請求項9に記載のスクロール型圧縮機は、使用冷媒として、COのような高圧ガスに特定したもので、この場合において特に有効である。
請求項10に記載のスクロール型圧縮機は、駆動源として電動機を内蔵したものであり、他の駆動源と使用したものと同様の作用効果を有するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態のスクロール型圧縮機を図1〜4を参照して説明する。本発明のスクロール型圧縮機は、COを冷媒とする空調装置の冷媒圧縮機に適しているものである。図1は本発明のスクロール型圧縮機の全体構造を示す断面図であり、シャフト1は、モータケーシング2に固定されているフロントベアリング4と、ミドルプレート5に固定されているメインベアリング6とによって、回転自在に支持されており、このシャフト1の一端には、軸の中心に対し所定量偏心した位置にクランク部1aが設けられている。モータ3は、モータケーシング2に固定されているモータステータ3aと、シャフト1に固定されているモータロータ3bからなり、図示しない電源から電力を供給されることにより回転し、前記シャフト1を回転させる。
【0016】
可動スクロール7は、略円形をした可動スクロール端板部7aと、この端板部7aの片側に形成され、円筒形状をした可動スクロールボス部7bと、このボス部7bが形成されている端板部7aの他面側に形成されている渦巻き形状をした可動スクロールラップ部(羽根部)7cとからなる。可動スクロールボス部7bには、ロータベアリング15が固定されており、シャフト1のクランク部1aに回転自在に支持されている。
【0017】
本発明の特徴に対応して、可動スクロール端板部7aの背面には、背圧用ポケット7eが1つ或いは複数個形成されており、その形状は、可動スクロールボス部7bとほぼ同心位置に円環形状(図2を参照)をしており、後述の自転防止機構とは半径方向に異なる位置に設けられている。あるいは、その形状はこのボス部7bを中心とし、略楕円(図3の(a)を参照)か、略円(図3の(b)を参照)か、略トラック形状(図3の(c)を参照)か、略扇形状(図3の(d)を参照)をしており、後述の自転防止機構と同じような円周上で、それらの間に設けられている。そして、この背圧用ポケット7eは、可動スクロールの公転運動にかかわらず、常時ミドルプレート5と閉空間を形成できる位置に設けられている。
更に可動スクロール端板部7aに穿孔して形成された連通孔7fを通じて、背圧用ポケット7eは、圧縮機自体によって圧縮された冷媒ガスの一部の供給を受けるようになっており、それによって可動スクロール7の端板部7aの背面と、ミドルプレート5の平坦な端面部との間に、可動スクロール6に作用するスラスト荷重を支持する流体軸受を形成する。
【0018】
通常のスクロール型圧縮機と同様に、可動スクロール7に対して偏心した位置で対向して、回転方向に180度ずらして噛み合う固定スクロール8が設けられる。固定スクロール8は、カップ形状をした固定スクロール端板部8aと、可動スクロールラップ部7cと略同形状をした渦巻状の固定スクロールラップ部(羽根部)8bとからなり、この可動スクロールラップ部7cと相対するように組み付けられる。可動スクロール7の渦巻状のラップ部7cと固定スクロール8の渦巻き状のラップ部8bとが噛み合うことによって、それらの渦巻き状のラップ部7cと8bの間に冷媒を取り込んで圧縮する三日月状の作動室11が複数個形成されるが、2つのスクロール7及び8の共通の中心部領域には、圧縮された冷媒の圧力が最も高くなる高圧作動室が1つだけ形成される。
【0019】
モータケーシング2とミドルプレート5と固定スクロール8とは、図示しないボルト等で締結されており、前記固定スクロール端板部8aとモータケーシング2及びミドルプレート5とで吸入室16を形成している。吸入ポート8cは、固定スクロール端板部8a内に形成され、図示しない冷凍サイクルの低圧側と接続されている。更に固定スクロール端板部8aには、吐出孔8dが設けられており、これは作動室11の容積がほぼ零になる位置に形成されている。なお、固定スクロール端板部8aの背後には、ボルト等によってリアケーシング10が締結され、この端板部8aとで吐出室17を形成している。この吐出室17内の固定スクロール端板部8aには、吐出孔8dを覆う位置に図示しないボルト等で吐出弁9が固定されている。前記リアケーシング10には、吐出ポート10aが形成されていて、図示しない冷凍サイクルの高圧側と接続されている。
【0020】
更に本発明の特徴に対応して、前記可動スクロール端板部7aを穿孔して形成した前記連通孔7fは、図2,3に示されるように前記背圧用ポケット7eと、前記作動室11内の圧力が背圧用ポケット7eの表面積に応じた任意圧力に達する位置と、を連通させている位置に設けられている。また、背圧用ポケット7eと作動室11の間の連通孔7f内には、絞り13及び逆止弁14が配置されている。この逆止弁14は、例えばボールとバネ或いはリード弁等でもよく、背圧用ポケット7eから作動室11への冷媒の流れを止める。更に本発明のスクロール型圧縮機では、可動スクロール7の公転を許すが自転を阻止する自転防止機構が、可動スクロール端板部7aの背面に設けられた自転防止用ポケット7dと、ミドルプレート5の端面から軸方向に突出する自転防止ピン12とが相互に係合する対から構成され、これが可動スクロール7の円周上に少なくとも3ヶ所設けられている。
【0021】
以上のように構成された第1の実施の形態のスクロール型圧縮機においては、モータ3から与えられた駆動力により、シャフト1及びクランク部1aは回転し、クランク部1aはシャフト1に対し所定量偏心しているため、クランク部1aにロータベアリング15を介して嵌合している可動スクロール7は、自転防止機構により自転を阻止されているために公転運動をする。従って2つのスクロール7と8の渦巻き状のラップ部7cと8bの間に形成される作動室11が、吸入室16に開口したときに吸入室16からCOのような冷媒を取り込み、更に可動スクロール7が公転することによって作動室11が閉じて、2つのスクロール7と8の中心に向って移動する間に、作動室11の容積が小さくなるので吸入された作動室11内の冷媒は徐々に圧縮される。そして作動室11の容積が最も小さくなって中心部の高圧作動室に開口するときに、作動室11内で圧縮された高圧冷媒が高圧作動室及び吐出孔8dから吐出弁9を押し開けて吐出室17に流出し、吐出ポート10aから外部へ導かれる。
【0022】
このようにして作動室11内で流体が圧縮されるときには、作動室11内の圧力と吸入室16の差圧により、可動スクロール端板部7aには、図4の(a)に示されるように図中左方向にスラスト荷重Fが発生する。作動室11内で任意の圧力に達した冷媒は、背圧用ポケット7e内の圧力を越えると逆止弁14及び連通孔7fを介して背圧用ポケット7e内に流入し、可動スクロール端板部7aに図7に示されるように図中右方向に背圧力Fを与える。
負荷変動等により、スラスト荷重Fが大きくなると作動室11内の圧力も上昇するため、背圧用ポケット7e内にさらに高圧の冷媒が流入し、背圧力Fを増大させる。
【0023】
また逆にスラスト荷重FがF>Fになるほど小さくなった場合は、図4の(b)に示されるように可動スクロール端板部7aはミドルプレート5から離れ、ミドルプレート5と可動スクロール端板部7aの間に隙間が発生するため、背圧用ポケット7e内の冷媒は吸入室16へ流出し、背圧用ポケット7e内の圧力は低下する。
その際、連通孔7f内に設けた逆止弁14の開弁力と絞り13の絞り効果により、作動室11内の冷媒が背圧用ポケット7e内に流入する前に背圧用ポケット7e内の冷媒は吸入室16に流出するため、スラスト荷重によって瞬時に可動スクロール端板部7aはミドルプレート5に接触し、背圧用ポケット7eは密閉空間を形成する。
【0024】
上記のような作動により、作動室11内より吸入室16に流出する冷媒は、圧縮途中の冷媒であるため、図5に示すように、従来の特開平3−64686号のスクロール型圧縮機のように高圧の吐出冷媒を使用するに比べて、省動力効果が高くなる。
【0025】
更に、スクロール型圧縮機の運転時、前記したように可動スクロール7には作動室11内の圧縮反力により、スラスト荷重Fが発生するが、圧縮途中の冷媒を絞り13、逆止弁14、連通孔7fを介して、可動スクロール端板部7aの背面の背圧用ポケット7eに導入して、スラスト荷重Fとは反対の向きに背圧力Fを発生し、可動スクロール7を押し返すことにより、可動スクロール7のスラスト摺動面に作用する荷重を低減しているが、可動スクロール7には作動室11内の圧縮反力により径方向にも荷重が作用するため、可動スクロール7にモーメント力が働き、片持ち構造の可動スクロール7は、ロータベアリング15を支点として嵌合遊び分だけ傾く。この傾きにより、ミドルプレート5及び逆止弁14により密閉空間を形成していた背圧用ポケット7eは開口し、冷媒が吸入室16に流出することがある。
【0026】
この場合においても、逆止弁14と絞り13とによる開弁力と絞り効果により、作動室11内の冷媒が連通孔7f内に設けた絞り13と逆止弁14を介して背圧用ポケット7e内に流入する前に背圧用ポケット7e及び連通孔7f内の冷媒は吸入室16に流出するため、可動スクロール7に作用するスラスト荷重によって瞬時に可動スクロール7は傾きをなくし、再び背圧用ポケット7eは密閉空間を形成できる。その後、絞り13、逆止弁14、連通孔7fを介して圧縮途中の冷媒が導入されるため、冷媒を無駄に吸入室16に流出させることなく元の状態に復帰できる。
【0027】
このように、本発明のスクロール型圧縮機においては、圧縮冷媒ガスの流出を最少限にすることができ、圧縮効率が良く、可動スクロールのスラスト摺動面の信頼性が高く、また従来の高圧の吐出冷媒を可動スクロールの背圧用として使用するのに比べて、劣動力効果の高い圧縮機を提供できる。
【0028】
図6は、本発明の第2の実施の形態としてのスクロール型圧縮機を示したもので、第2の実施の形態は前述の第1の実施の形態とは、背圧用ポケットを設ける位置に違いがあるだけで、それ以外の部分は実質的に第1の実施の形態と同じであるので重複部分の説明は省略する。
即ち、第2の実施の形態では、背圧用ポケット7eを第1の実施の形態では可動スクロール端板部7aの背面側に設けていたのに対して、ミドルプレート5の可動スクロールと対向している平坦な端面部に設けたものである。このミドルプレート5に設ける背圧用ポケット7eは、第1の実施の形態及びその変形例(図2,3を参照)と同様に、1つあるいは複数個形成されており、その形状は、シャフト1とほぼ同心位置に円環形状をしているか、或いはシャフト1を中心として、略楕円か、略円か、略トラック形状か、略扇形が複数個設けられている。円環形状の背圧用ポケット7eは、前記自転防止機構とは、シャフト1を中心として半径方向に異なる位置に設けられるが、その他の形状の複数個の背圧用ポケット7eは、自転防止機構と同じ円周上で、それらの間に位置するように設けられている。
【0029】
図7は、第3の実施の形態を示しており、ここでは背圧用ポケット7eの外周を囲う様に、樹脂かゴム又は銅などの金属等よりなるシール17が設けられている。その他の部分は、第1の実施の形態と同じである。
このように、シール17を設けることにより、スクロール型圧縮機の定常運転時における背圧用ポケット7eから吸入室16に漏れ出す冷媒量を低減でき、圧縮効率を一層向上できるものである。
【0030】
図1及び図6,7に示されるように本発明の第1〜3の実施の形態のスクロール型圧縮機は、いずれもモータを駆動源としているが、図8に示すように自動車のエンジン等を駆動源とし、ベルトを介して前記シャフト1に駆動力を与える構成としてもよく、同様の作用効果が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のスクロール型圧縮機の縦断面図である。
【図2】本発明のスクロール型圧縮機の可動スクロールの背圧用ポケットの形状を示す平面図である。
【図3】(a)〜(d)は、可動スクロールの背圧用ポケットの形状及び位置を示す変形例をそれぞれ示している可動スクロールの平面図である。
【図4】スクロール型圧縮機における可動スクロールに作用するスラスト荷重Fと背圧力Fとの大小関係による作動状況を説明する図である。
【図5】本発明のスクロール型圧縮機が、圧縮途中の冷媒を可動スクロールの背圧力に利用することによる従来の吐出冷媒を利用するものとの省動力効果を説明するグラフである。
【図6】本発明の第2の実施の形態のスクロール型圧縮機の縦断面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態のスクロール型圧縮機の縦断面図である。
【図8】電動機を内蔵したものに代えて、自動車のエンジン等の外部の駆動源を利用できるようにした本発明のスクロール型圧縮機の縦断面図である。
【符号の説明】
1…シャフト
1a…クランク部
3…モータ
5…ミドルプレート
7…可動スクロール
7a…可動スクロール端板部
7b…可動スクロールボス部
7c…可動スクロールラップ部
7d…自転防止用ポケット
7e…背圧用ポケット
7f…連通孔
8…固定スクロール
8a…固定スクロール端板部
8b…固定スクロールラップ部
9…吐出弁
11…作動室
12…自転防止ピン
13…絞り
14…逆止弁
16…吸入室
17…吐出室
18…シール

Claims (10)

  1. ハウジング内にそれぞれ形成された吸入室及び吐出室と、固定の端板部上に形成された渦巻状の羽根部を有し、前記ハウジングの1部を構成する固定スクロールと、可動の端板部上に形成された渦巻状の羽根部を有し、前記固定スクロールと噛み合うことによってそれらの渦巻状の羽根部の間に流体を圧縮するための複数個の作動室を形成する可動スクロールとを備えており、前記作動室が前記可動スクロールの公転運動によって両スクロールの中心部に向って移動する際に容積を縮小することによって前記作動室内部の流体を圧縮し、前記両スクロールの中心部から吐出弁を介して加圧された流体を吐出するように構成されたスクロール型圧縮機において、このスクロール型圧縮機が、
    前記可動スクロールの公転を許すと共に自転を阻止するために前記ハウジングと前記可動スクロールとの間に設けられている自転防止機構と、
    前記可動スクロールの前記端板部の背面及び前記ハウジングの内部に形成される平坦な端板部からなるスラスト荷重支持面と、
    前記可動スクロールの前記端板部の背面において、前記可動スクロールの中心の周りに形成された背圧用ポケットと、
    前記背圧用ポケットと前記作動室とを連通するために、前記可動スクロールの前記端板部を貫通して形成された連通孔と、
    前記背圧用ポケットから前記作動室への流体の漏れを阻止する前記連通孔内に配置される逆止弁と、
    を備えており、
    所定の圧力が前記背圧用ポケットに作用すると、前記可動スクロールが前記固定スクロール側に移動し、前記背圧用ポケットの流体が前記吸入室へ洩れ出ることを特徴とするスクロール型圧縮機。
  2. 前記連通孔の前記作動室内の開口位置が、前記背圧用ポケット内に導かれた圧力により発生する荷重に対し、前記可動スクロールの前記端板部に作用する荷重と同等以下となる位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスクロール型圧縮機。
  3. 前記逆止弁がリード弁であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスクロール型圧縮機。
  4. 前記逆止弁がボールとバネで構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスクロール型圧縮機。
  5. 前記背圧用ポケットが単一の円環状に形成されており、前記自転防止機構が前記背圧用ポケットに対して半径方向に異なる位置に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のスクロール型圧縮機。
  6. 前記背圧用ポケットが複数個形成されており、前記自転防止機構が前記背圧用ポケットと実質的に同じ円周上において、前記背圧用ポケットの間に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のスクロール型圧縮機。
  7. 前記背圧用ポケットによって形成される空間のシール性を高めるために、前記背圧用ポケットの周縁に沿ってシール材が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のスクロール型圧縮機。
  8. 前記逆止弁が絞り機能を有しているか、或いは前記逆止弁と前記作動室との間に別途絞りを設けることを特徴とする請求項1又は2に記載のスクロール型圧縮機。
  9. 使用冷媒が高圧ガス、例えば二酸化炭素、であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のスクロール型圧縮機。
  10. 駆動源として電動機を内蔵していることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のスクロール型圧縮機。
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