JP3560137B2 - ウェーハボート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はウェーハボート、詳しくはシリコンウェーハの熱処理に用いられる組立式のウェーハボートに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、シリコンウェーハに、その表面をシリコン酸化膜により覆う熱酸化処理を施すときは、多数枚のウェーハを一括して処理するウェーハボートが用いられている。
汎用タイプのウェーハボートは、互いに離間された一対の端板(保持部材)に、複数本の支持ロッドが平行に架け渡されている。なお、各支持ロッドの内側面には、一定ピッチのウェーハ挿填溝が、ロッド軸線方向へ向かって多数配設されている。シリコンウェーハは、これらのウェーハ挿填溝に挿填されることになる。
【0003】
ところで、支持ロッドと端板との素材の組み合わせには、溶接による両者の連結に不都合が生じてしまう組み合わせが何種類かある。例えば、ポリシリコン−ポリシリコン、シリコン−シリコン、シリコン−ポリシリコンなどがそれである。
これらの組み合わせでは、ウェーハボートは必然的に組み立て式となる。なお、この組み立て式とすることで、ボート使用後の洗浄および補修などが容易になるなどの利点も生じる。
従来、この組み立て式のウェーハボートにおける支持ロッドの端板への掛止は、掛止具などを用いた、端板の支持ロッドより内側という一方向だけからの掛止であった。具体的には、端板の支持ロッドより中央側に、この端板に対して平行に回動自在なキーを設ける一方、支持ロッドの両端部にキー溝を形成させる。その後のボート組み立て時に、キーを支持ロッド側へ回動させて、キー先端部を支持ロッドの対応するキー溝に掛止して、この支持ロッドを端板から外れないように保持する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような従来技術の組み立て式のウェーハボートにあっては、前述したように、支持ロッドの端板への保持が、端板の中央側という一方向からだけの保持であった。
これにより、支持ロッドの端板に対する保持力が比較的小さく、ガタつきが発生して、例えばボート取り扱い時に外部からわずかな衝撃力が加わっても、支持ロッドがゆがむおそれがあった。なお、このウェーハボートの各ウェーハ挿填孔に挿填された多数枚のシリコンウェーハは、そのウェーハ外周近傍が複数箇所で各支持ロッドに支持されている。このため、支持ロッドがゆがんだままで、所定の熱処理炉でウェーハの熱処理を行うと、ウェーハ外周の支持部分からウェーハの内部へ向かってスリップが発生するおそれがあった。
よって、ウェーハの品質の低下を招いたり、デバイスの品質低下および歩留りの低下が生じたりする懸念があった。
【0005】
また、前述したようにウェーハの素材と、ウェーハボートを構成する端板および支持ロッドの素材とが異なれば、その熱伝導率も異なる。この結果、例えば1200℃前後の高温でウェーハの熱処理を行えば、同様にスリップが発生するおそれがあった。しかも、これらの問題は、ウェーハが横置き状態でウェーハ挿填溝に挿填される縦型のウェーハボートの場合にさらに顕著となっていた。
【0006】
そこで、この発明者らは、鋭意研究の結果、支持ロッドを保持部材にボート内外の2方向から掛止すれば、支持ロッドを確実かつ堅固に保持することができ、しかも挿填されるウェーハと同じ素材でウェーハボートを作製すれば、ウェーハにスリップが発生するのを未然に防ぐことができることを突き止め、この発明を完成させた。
【0007】
【発明の目的】
この発明は、ボートの洗浄や補修が容易で、しかも支持ロッドを保持部材に堅固に保持することができるウェーハボートを提供することを、その目的としている。
また、この発明は、ウェーハにスリップが発生しにくいウェーハボートを提供することを、その目的としている。
さらに、この発明は、この支持ロッドを保持部材に掛止する際、ロッド軸線方向およびそれに垂直な方向に対する支持ロッドの押しつけ力を高めることができる。
そして、この発明は、第1の掛止部材および/または第2の掛止部材から支持ロッドに加えられる外力の一部を、支持ロッドの軸線に作用する軸力に簡単かつ確実に変換することができ、かつ変換手段の作製が容易になって、ボートの低コスト化を図ることができる。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、ウェーハを支持する複数本の支持ロッドと、それぞれの支持ロッドの両端部を保持する一対の保持部材とを備え、上記各支持ロッドは、この支持ロッドより内側に配置された第1の掛止部材と、上記支持ロッドより外側に配置された第2の掛止部材とにより、互いに対峙する2方向から、上記保持部材に着脱自在に掛止されるウェーハボートであって、上記第1の掛止部材および第2の掛止部材は、上記支持ロッドの軸線に対して直交方向の外力を発生させることにより、上記保持部材に向かって支持ロッドをそれぞれ押しつけるとともに、この外力の一部を上記支持ロッドの軸線に作用する軸力に変換する変換手段を第2の掛止部材に設け、この変換手段は、互いに当接するテーパ 面を第2の掛止部材および支持ロッドにそれぞれ有し、これらのテーパ面は上記支持ロッドの軸線に対して傾斜する面で構成されたウェーハボートである。
【0009】
ウェーハの品種は限定されない。例えば、シリコンウェーハ,ガリウム砒素ウェーハ(化合物半導体ウェーハ)などが挙げられる。
ウェーハボート側の支持ロッドおよび保持部材の素材は限定されない。例えば、支持ロッドおよび保持部材の素材をウェーハと同じ素材としてもよいし、異なる素材としてもよい。また、支持ロッドと保持部材との関係にあっても、両者を同じ素材で作製してもよし、異なる素材で作製してもよい。
ウェーハボートの用途は限定されない。例えば、ウェーハの熱酸化処理用のボートでも、張り合わせウェーハにおけるウェーハ張り合わせ熱処理時に用いられるボートでもよい。ただし、支持ロッドと保持部材とが分離可能な組み立て式のボートでなければならない。
【0010】
第1の掛止部材および第2の掛止部材の素材は限定されない。例えば、ウェーハ、支持ロッド、保持部材の何れかの素材と同じとしてもよい。または、これらとは別素材としてもよい。
この保持部材上での第1の掛止部材の取り付け位置は限定されない。ただし、支持ロッドの保持位置より内側(中央側)に配置されていなければならない。
一方、保持部材上での第2の掛止部材の取り付け位置も限定されない。ただし、支持ロッドの保持位置より外側に配置されていなければならない。
この第1の掛止部材による支持ロッドの掛止構造、および、第2の掛止部材による支持ロッドの掛止構造は限定されない。例えば、第1の掛止部材および/または第2の掛止部材をキーとし、それを支持ロッドに形成されたキー溝に着脱自在に圧入するキー掛止構造でもよい。また、第1の掛止部材および/または第2の掛止部材をコッタとし、これを支持ロッド側のテーパ溝に着脱可能に圧入するコッタ掛止構造としてもよい。
【0011】
請求項2に記載の発明は、ウェーハを支持するためウェーハ挿填溝が形成された複数本の支持ロッドと、それぞれの支持ロッドの両端部を保持する一対の保持部材とを備え、上記各支持ロッドの端部は上記保持部材の孔に挿入され、軸部を中心として保持部材に回動自在に支持されたキーの先端がキー溝の円弧面に押し当てられることにより、支持ロッドの内側から保持部材に固定されるとともに、支持ロッドの外側からテーパ状のコッタを押し込むことにより、支持ロッドは保持部材に固定されるウェーハボートであって、上記軸部と上記円弧面の中間点との距離は、上記軸部とキー先端との距離よりも短いウェーハボートである。
ウェーハ熱処理時の加熱温度は限定されない。このように、支持ロッドおよび保持部材がウェーハと同じ素材になるので、どのような加熱温度であっても、これら3つの部材の熱伝導率は同じになる。よって、温度の高低に関係なく、常に上述したこの発明の効果が得られる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、上記ウェーハの素材と、上記支持ロッドおよび両保持部材の素材とを同じにした請求項1または請求項2に記載のウェーハボートである。
ウェーハ、支持ロッドおよび保持部材の素材は限定されない。例えば、シリコン、ポリシリコン、ガリウム砒素(化合物半導体)などが挙げられる。ただし、これらの3者が同じ素材でなければならい。
支持ロッドの軸線に対して直交方向の外力を発生させるのは、第1の掛止部材でも、第2の掛止部材でも、その両者でもよい。
【0013】
また、上記変換手段は、支持ロッドの軸線に対して直交方向の外力の一部を支持ロッドの軸線に作用する軸力に変換することができれば限定されない。この変換手段を設ける位 置は限定されない。
これらのテーパ面の形成位置は限定されない。例えば、第1の掛止部材と支持ロッドおよび/または保持部材との間、もしくは、第2の掛止部材と支持ロッドおよび/または保持部材との間などが挙げられる。
【0014】
【作用】
この発明によれば、ボート組み立て時、支持ロッドは保持部材の内側から第1の掛止部材により保持される一方、第2の掛止部材により保持部材の外側から保持される。支持ロッドは互いに対峙する2方向から保持部材に掛止される。第1の掛止部材および第2の掛止部材は、支持ロッドの軸線に対して直交方向の外力を発生させることにより、保持部材に向かって支持ロッドをそれぞれ押しつけるとともに、この外力の一部を上記支持ロッドの軸線に作用する軸力に変換する。このように、支持ロッドが、第1の掛止部材および第2の掛止部材を利用して、ボート取り扱い時に外力が加わりやすい方向となる、保持部材の内側,外側の2方向から保持されるので、通常の取り扱い中、多少の外力がボートに加わっても、支持ロッドを保持部材に堅固に保持しておくことができる。この結果、支持ロッドにたわみや倒れ(傾き)が生じず、ウェーハを水平に保持することができる。また、これにより、ウェーハを高温で熱処理する際に、熱膨張によるウェーハボートの全体の変形量が低減される。よって、このウェーハ熱処理時に、支持されたウェーハの、ボートの変形にともなう動きが抑えられる。その結果、ウェーハにスリップが発生することを防ぐことができる。
なお、このウェーハボートは組み立て式である。そのため、ウェーハボートの洗浄時および補修時にはボートの分解を行うことができる。よって、このボートの洗浄作業および補修作業が容易になる。
【0015】
特に、請求項3に記載の発明によれば、各支持ロッドおよび保持部材の素材を、ウェーハと同じ素材としたので、これらの3者の熱伝導率が同じになる。そのため、例えば1200℃などの高い温度でウェーハを熱処理しても、熱膨張によるウェーハボートの全体の変形量が同じとなる。その結果、ウェーハ熱処理時のスリップの発生を抑えることができる。
【0016】
また、支持ロッドを保持部材に掛止する際には、第1の掛止部材および/または第2の掛止部材によって、支持ロッドの軸線に直交する方向からこの支持ロッドに外力を加える。これにより、支持ロッドが保持部材に向かって押しつけられる。その際、外力の一部は、変換手段により支持ロッドの軸線に作用する軸力に変換される。この結果、支持ロッドの軸線、および、これに直交する方向に対する支持ロッドの保持部材への押しつけ力が高まる。よって、従来のように、支持ロッドに直交する方向だけのガタつきだけでなく、支持ロッドの軸線方向に対するガタつきも抑えることができる。
【0017】
さらに、変換手段が、支持ロッドの軸線に対して傾斜するテーパ面であることから、その外力の一部を支持ロッドの軸線に作用する軸力に簡単かつ確実に変換することができる。しかも、この変換手段の作製が容易になり、ウェーハボートの低コスト化を図ることもできる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施例を図面を参照して説明する。なお、ここではシリコン製の支持ロッドおよび保持部材を有する縦型のウェーハボートを例にとる。まず、第1の実施例を説明する。
図1は、この発明の第1の実施例に係るウェーハボートの全体斜視図である。図2は、この発明の第1の実施例に係るウェーハボートの支持ロッドの保持構造を示す要部拡大縦断面図である。図3は、この発明の第1の実施例に係るウェーハボートの支持ロッドの保持構造を示す要部拡大平面図である。
【0019】
図1において、10はこの発明の第1の実施例に係る縦型のウェーハボートであり、このウェーハボート10は、図示しないシリコンウェーハが支持される互いに垂直状態で配置される3本の支持ロッド11と、各支持ロッド11の両端部が着脱自在に保持される、平面視して円形の一対の端板(保持部材)12と、を備えた組み立て式のウェーハボートである。
各支持ロッド11は、シリコンウェーハと同じシリコン製の長尺な支柱であり、両端板12の外縁部において、対応する端板12の中心点を中心とした同心円上に120度間隔で配置されている。これらの端板12の素材もウェーハと同じシリコンである。
各支持ロッド11の内側面には、一定ピッチのウェーハ挿填溝11aが、ロッド軸線方向へ多数形成されている。また、各支持ロッド11の両端部には、このロッド内側面へ向かってコの字形に湾曲した鉤状掛合部11bが一体的に形成されている。各支持ロッド11の端板12への保持には、キー掛止構造と、コッタ掛止構造とが採用されている。両掛止構造は、支持ロッド11に対する掛止方向が対峙している。まず、前者のキー掛止構造を説明する。
【0020】
図1〜図3に示すように、このキー掛止構造は、主に、両端板12の外縁部に軸支されたシリコン製のキー(第1の掛止部材)13と、各支持ロッド11の両鉤状掛合部11bに刻設されたキー溝14とを有している。
キー13は、舌片状のキー本体13aと、キー本体13aの元部裏面に直交配置された軸部13bとからなる。この軸部13bは、端板12の外縁部付近に穿設された軸孔12aに挿入されている。なお、キー本体13aの先端面は、平面視して丸くなっている。
キー溝14は、鉤状掛合部11bの外方へコの字形に突出した奥部分のウェーハ挿填孔11a側の端部に刻設されており、このウェーハ挿填孔11aと平行な平面視して円弧状(三日月状)の溝である(図3参照)。端板12の各軸孔12aより半径方向の外側には、平面視して矩形状をした比較的口径が大きな合計3つの矩形穴12bが形成されている。この矩形穴12bは、鉤状掛合部11bが掛合される穴である。各矩形穴12bの、軸孔12a側とは反対側にある2つの角部には、一対の掛止片12cが配設されている。両掛止片12cが形成されるのは端板12の内面側である。また、これらの掛止片12cには、上記コの字形の鉤状掛合部11bが掛止される。
【0021】
次に、上記コッタ構造を説明する。
このコッタ構造は、主に、鉤状掛合部11bの内部空間に圧入されるコッタ(第2の掛止部材)15と、このコッタ15を端板12の外縁部に固定するテーパピン16とを有している。
コッタ15は、長さ方向の一端部にテーパ孔15aが穿設され、しかも片面がテーパ面(変換手段)15bである平面視して長方形のシリコン板片である。このコッタ15は、端板12の各穴部12bより外周部の内面に陥没形成されたコッタ溝12dに抜き差し自在に挿着される。コッタ溝12dは、コッタ15の先部を上記鉤状掛合部11bの内部空間に案内するための溝であり、端板12の半径方向に沿って、端板12の外周面から穴部12bの中間位置まで、端板12の厚さの略半分の深さで刻設されている。このコッタ溝12dは、その底面が溝奥へ向かって徐々に溝厚が狭くなるテーパ面(変換手段)となっている。なお、上記鉤状掛合部11bの折り返えされた先端部の内面も、コッタ溝12dの底面と傾斜の度合いが合致したテーパ面(変換手段)となっている。また、コッタ溝12dの底面の外側部には、上記テーパ孔15aに連通されるテーパ孔12eが穿設されている。
【0022】
次に、この第1の実施例のウェーハボート10の組み立て方を説明する。
図1〜図3に示すように、上下に離間配置された一方の端板12と、他方の端板12との間に、各端板12の周方向へ向けて、120度ごとに3本の支持ロッド11を垂直に架け渡す。
まず、上記キー掛止構造による、これらの支持ロッド11の端板12への掛止作業を説明する。すなわち、各端板12の穴部12bに、各対応する支持ロッド11の鉤状掛合部11bを、そのコの字形の開口部側を端板12の外方へ向けて挿入する。次いで、それぞれの支持ロッド11を、端板12の外方へ平行に移動させる。これにより、各鉤状掛合部11bがそれぞれの掛止片12cに掛止される。なお、端板12の外面と、鉤状掛合部11bの折り返された先端部の外面とは面が揃えられる。
【0023】
その後、各キー13を、対応する支持ロッド11側へ回動させて、各キー本体13aの先端を対応するキー溝14に強く押し当てる。すなわち、このときのキー溝14の円弧面の中間点から軸部12bの回動中心点までの距離は、キー13の先端から軸部12bの回動中心点までの距離より短くなっている。したがって、キー13にはくさび作用が発生し、これにより支持ロッド11が所定の位置決め位置にしっかりと固定されることになる。その結果、それぞれの鉤状掛合部11bが、端板12の内側から一対の掛止片12cにしっかりと掛止され、支持ロッド11の保持状態が維持される。
【0024】
続いて、コッタ掛止構造による支持ロッド11の端板12への掛止作業を行う。具体的には、まずテーパ面15bを有する各コッタ15を、これに対応するテーパ面を有するコッタ溝12dに沿って、支持ロッド11側へ押し込む。これにより、上記端板12の掛止片12cに掛止された鉤状掛合部11bの内部空間の中間部に、コッタ15の先部が圧入される。よって、キー掛止構造で固定されていた支持ロッド11は、その対峙する端板12の外側から、このコッタ構造により2重に掛止される。
その後、テーパピン16を、互いに合致されたテーパ孔12e,15aに差し込むことで、コッタ15の抜け止めが行われる。
なお、このウェーハボート10の分解時には、上述した組み立て作業が逆の順序で行われる。
【0025】
このように、ウェーハボート10を組み立て式としたので、ウェーハボート10の洗浄時および補修時に、このボート10を扱いやすい大きさに分解することができる。これにより、その洗浄作業および補修作業を比較的容易にすることができる。
また、各支持ロッド11の端板12への保持を、支持ロッド11より内側に配置されたキー13を有するキー掛止構造と、支持ロッド11より外側に配置されたコッタ15を有するコッタ掛止構造という、互いに対峙する2方向からの保持としたので、仮にボート搬送時などのボート取り扱い中、外設の部材に接触したりして、このウェーハボート10に多少の外力が加わった場合でも、支持ロッド11をしっかりと端板12に保持しておくことができる。これにより、支持ロッド11がゆがんだままで、所定の熱処理炉内でシリコンウェーハの熱処理を行った場合に、ウェーハ外周の支持部分からウェーハの内部へ向かって発生するスリップを押さえることができる。よって、ウェーハの品質が高められ、デバイスの品質および歩留りを高めることができる。
【0026】
さらに、支持ロッド11および端板12の素材をウェーハと同じシリコンとしたので、このシリコンウェーハと、これを支える支持ロッド11および端板12との熱伝導率が同じになる。その結果、これらの3者は、ウェーハ熱処理炉の炉内温度の変化にともない、常に同じ変化量で、熱膨張および冷却時の収縮が行われる。これにより、ウェーハと異なる素材によってウェーハボートが作製されることで生じる、ウェーハ熱処理時のスリップなどの発生を低減させることができる。
さらにまた、コッタ溝12dのテーパ面と、これに接するコッタ15のテーパ面15bという変換手段により、コッタ15から支持ロッド11に加えられる外力の一部を支持ロッド11の軸線に作用する軸力に変換するようにしたので、支持ロッド11の軸線、および、これに直交する方向に対する支持ロッド11の端板12への押しつけ力が高まる。これにより、従来のように、支持ロッド11に直交する方向だけのガタつきだけでなく、支持ロッド11の軸線方向に対するガタつきも抑えることができる。
そして、このように、変換手段として、支持ロッド11の軸線に対して傾斜するテーパ面を採用したので、その外力の一部を支持ロッド11の軸線に作用する軸力に簡単かつ確実に変換することができる。しかも、この変換手段、ひいてはウェーハボート10の作製が容易になり、このボート10の低コスト化を図ることもできる。
【0027】
次に、図4および図5に基づいて、この発明の第2の実施例を説明する。
図4は、この発明の第2の実施例に係るウェーハボートの支持ロッドの保持構造を示す要部拡大縦断面図である。図5は、この発明の第2の実施例に係るウェーハボートの支持ロッドの保持構造を示す要部拡大平面図である。
図4および図5において、20はこの発明の第2の実施例に係るウェーハボートである。このウェーハボート20の特長は、支持ロッド11Aを端板12Aに掛止するキー掛止構造を、比較的短尺なL字形に折れ曲がった屈曲掛合部21と、ロッド軸線に沿って外方へ延びる突起状の突起掛合部22とにより構成し、また、コッタ掛止構造のコッタ15Aを比較的小片とし、その抜け止め構造として、端板12Aの外縁部に形成されたテーパ孔12fに嵌入されるテーパピン16により、このコッタ15Aの外端面を外方から押さえる構造を採用した点である。
【0028】
すなわち、屈曲掛止部21は、支持ロッド11Aの両端部のロッド内側面に一体形成されている。なお、この屈曲掛合部21の外方へL字形に突出した先部分には、上記キー溝14が刻設されている。また、屈曲掛合部21の短尺な先端部21aはロッド軸線方向の外側へ折れ曲がっている。この先端部21aは、端板12Aの軸孔12a付近に刻設された掛止溝12gに抜き差し自在に挿入されている。掛止溝12gは、平面視して端板12Aの半径方向に直交する方向へ長い細溝である。そして、この端板12Aの掛止溝12gより外周部には、上記突起掛合部22が掛合される平面視して矩形状の掛合孔12hが穿設されている。この突起掛合部22の長さ方向の中間部には、そのロッド内,外面を貫通して、上記コッタ15Aが抜き差しされるコッタ孔22aが穿設されている。なお、コッタ孔22aのロッド軸線方向外側の面がテーパ面(変換手段)22bとなっている。また、コッタ15Aは、このテーパ面22bに接する面がテーパ面15bとなっている。
なお、端板12Aの外縁部の外面側の、テーパ孔12fおよび掛合孔12hの形成部一帯には、このコッタ15Aが収められる平面視して矩形状のコッタ溝12iが形成されている。
【0029】
この第2の実施例のウェーハボート20の組み立て方は、まず突起掛合部22を対応する掛合孔12hに挿通すると共に、屈曲掛合部21の先端部21aを端板12の掛止溝12gに掛止する。この際、突起掛合部22の先端部が、端板12Aの外面から外方へ突出している。それから、キー13を回動させて、そのキー先端部をキー溝14に強く押し当てる。その結果、支持ロッド11Aが端板12Aの内側からしっかりと固定される。
続いて、コッタ15Aを、コッタ溝12iに沿って、突起掛合部22のコッタ孔22aに圧入する。この際、コッタ15Aのテーパ面15bと、突起掛合部22のテーパ面22bとがガイドになって、コッタ15Aが圧入される。
その後、テーパピン16をテーパ孔12fに圧入すれば、テーパピン16の周面がコッタ15Aの後端面に圧接される。その結果、このコッタ15Aの圧入状態が保持される。
その他の構成、作用、効果は、第1の実施例と略同様であるので説明を省略する。
【0030】
【発明の効果】
この発明によれば、支持ロッドの保持部材への保持を、支持ロッドより内側に配置された第1の掛止部材を有する掛止構造と、支持ロッドより外側に配置された第2の掛止部材を有する掛止構造とにより行うようにしたので、仮に取り扱い中に多少の外力がボートに加わっても、支持ロッドを保持部材に堅固に保持しておくことができる。
【0031】
特に、請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、各支持ロッドおよび保持部材の素材を、ウェーハと同じ素材としたので、これらの熱伝導率が同じになり、ウェーハの熱処理時において、スリップの発生を抑えることができる。
【0032】
また、第1の掛止部材および/または第2の掛止部材による、支持ロッドの保持部材への押しつけ力を、変換手段によりロッド軸線に対して垂直方向の外力を発生することにより、上記保持部材に向かって支持ロッドを押しつけるとともに、この外力の一部を上記支持ロッドの軸線に作用する軸力に変換するようにしたので、この支持ロッドを保持部材に掛止する際、ロッド軸線方向およびそれに垂直な方向に対する支持ロッドの押しつけ力を高めることができる。
【0033】
さらに、変換手段として支持ロッドの軸線に対して傾斜するテーパ面を採用したので、第1の掛止部材および/または第2の掛止部材から支持ロッドに加えられる外力の一部を、この支持ロッドの軸線に作用する軸力に簡単かつ確実に変換することができる。しかも、この変換手段、ひいてはウェーハボートの作製が容易となり、このウェーハボートの低コスト化を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施例に係るウェーハボートの全体斜視図である。
【図2】この発明の第1の実施例に係るウェーハボートの支持ロッドの保持構造を示す要部拡大縦断面図である。
【図3】この発明の第1の実施例に係るウェーハボートの支持ロッドの保持構造を示す要部拡大平面図である。
【図4】この発明の第2の実施例に係るウェーハボートの支持ロッドの保持構造を示す要部拡大縦断面図である。
【図5】この発明の第2の実施例に係るウェーハボートの支持ロッドの保持構造を示す要部拡大平面図である。
【符号の説明】
10,20 ウェーハボート、
11,11A 支持ロッド、
12,12A 端板(保持部材)、
13 キー(第1の掛止部材)、
15,15A コッタ(第2の掛止部材)。
Claims (3)
- ウェーハを支持する複数本の支持ロッドと、それぞれの支持ロッドの両端部を保持する一対の保持部材とを備え、
上記各支持ロッドは、この支持ロッドより内側に配置された第1の掛止部材と、上記支持ロッドより外側に配置された第2の掛止部材とにより、互いに対峙する2方向から、上記保持部材に着脱自在に掛止されるウェーハボートであって、
上記第1の掛止部材および第2の掛止部材は、上記支持ロッドの軸線に対して直交方向の外力を発生させることにより、上記保持部材に向かって支持ロッドをそれぞれ押しつけるとともに、
この外力の一部を上記支持ロッドの軸線に作用する軸力に変換する変換手段を第2の掛止部材に設け、
この変換手段は、互いに当接するテーパ面を第2の掛止部材および支持ロッドにそれぞれ有し、これらのテーパ面は上記支持ロッドの軸線に対して傾斜する面で構成されたウェーハボート。 - ウェーハを支持するためウェーハ挿填溝が形成された複数本の支持ロッドと、それぞれの支持ロッドの両端部を保持する一対の保持部材とを備え、
上記各支持ロッドの端部は上記保持部材の孔に挿入され、軸部を中心として保持部材に回動自在に支持されたキーの先端がキー溝の円弧面に押し当てられることにより、支持ロッドの内側から保持部材に固定されるとともに、
支持ロッドの外側からテーパ状のコッタを押し込むことにより、支持ロッドは保持部材に固定されるウェーハボートであって、
上記軸部と上記円弧面の中間点との距離は、上記軸部とキー先端との距離よりも短いウェーハボート。 - 上記ウェーハの素材と、上記支持ロッドおよび両保持部材の素材とを同じにした請求項1または請求項2に記載のウェーハボート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27230399A JP3560137B2 (ja) | 1999-09-27 | 1999-09-27 | ウェーハボート |
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