JP3559654B2 - 帯電装置、画像記録装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents
帯電装置、画像記録装置及びプロセスカートリッジ Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電圧を印加した帯電部材を被帯電体に接触させて被帯電体を帯電する接触帯電方式の帯電装置、接触帯電部材、該帯電装置や接触帯電部材を用いた画像記録装置(画像形成装置)やプロセスカートリッジに関する。
【0002】
より詳しくは、帯電部材が、担持部材に担持させた導電磁性粒子の磁気ブラシ部を有し、該磁気ブラシ部を被帯電体に接触させる磁気ブラシ帯電器であり、該磁気ブラシ帯電器の磁気ブラシ部担持部材に電圧印加手段により直流電圧成分と交番電圧成分を有する振動電圧を印加して被帯電体を帯電するものに関する。
【0003】
【従来の技術】
例えば、電子写真方式・静電記録方式等の複写機・プリンタなど、電子写真感光体・静電記録誘電体等の像担持体に該像担持体を帯電する工程を含む作像プロセスを適用して画像形成を実行する画像記録装置においては、被帯電体としての像担持体を一様に帯電処理(除電処理も含む)する手段機器として従来一般にコロナ帯電器が利用されていた。
【0004】
これはコロナ帯電器を被帯電体に非接触に対向配設し、高圧を印加したコロナ帯電器から発生するコロナシャワーに被帯電体面をさらすことで被帯電体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。
【0005】
近年は、コロナ帯電器よりも低オゾン・低電力等の利点を有することから、中・低速機種の画像記録装置などには接触帯電装置(直接帯電装置)が実用されるようになってきている。
【0006】
これは、被帯電体に、所定の電圧を印加した帯電部材(接触帯電部材、接触導電部材)を当接させて被帯電体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。接触帯電部材は導電性の部材であり、弾性ローラ(ローラ帯電器)、ブレード(ブレード帯電器)、磁気ブラシ(磁気ブラシ帯電器)、ファーブラシ(ファーブラシ帯電器)等の形態のものが用いられる。
【0007】
磁気ブラシ帯電器は、給電電極を兼ねる担持部材に磁気拘束して担持させた導電磁性粒子の磁気ブラシ部を有し、該磁気ブラシ部を被帯電体に接触させ、担持部材に給電するものである。
【0008】
ファーブラシ帯電器は、給電電極を兼ねる担持部材に担持させた導電性繊維のブラシ部を有し、該導電性繊維ブラシ部を被帯電体に接触させ、担持部材に給電するものである。
【0009】
接触帯電には、放電現象による帯電が支配的である系と、被帯電体面に対する電荷の直接注入(充電)による帯電が支配的である系がある。
【0010】
電荷注入帯電方式については例えば特開平6−3921号公報に開示されている。この電荷注入帯電方式は上記のような接触帯電部材に電圧を印加し、表面に電荷注入層を設けた、被帯電体としての感光体上のフロート電極に該感光体面に接触させた接触帯電部材から電荷を注入して帯電を行なう方法である。具体的には、特開平6−3921号公報では、電荷注入層として、感光体表面にアクリル樹脂に導電フィラー(導電性粒子)であるアンチモンドープで導電化したSnO2 を分散したものを塗工して用いることが可能であるとの記述がある。
【0011】
このような電荷注入・接触帯電方式は、放電現象を用いないため、所望する感光体表面電位に等しい直流電圧を接触帯電部材に印加することで感光体を該所望の表面電位に帯電可能であり、またオゾンの発生もない。この場合における接触帯電部材は被帯電体面との接触性(実質的に隙間無く接触)等の点から磁気ブラシ帯電器やファーブラシ帯電器が好ましく用いられる。
【0012】
接触帯電において接触帯電部材に印加する電圧に関して、直流電圧のみを印加するDC印加方式と、直流電圧成分と交番電圧(交流電圧)成分を有する振動電圧(時間とともに電圧値が周期的に変化する電圧)を印加するAC印加方式がある。DC印加方式の場合は、接触帯電部材の汚染や変性、環境変動等に起因する抵抗上昇の影響が帯電不良となって現れやすい。これに比べて、AC印加方式の場合は、ACバイアスを印加し高電位差を生むことで、高抵抗化した接触帯電部材であっても帯電均一性・帯電安定性がある。特には、本出願人の先の提案に係る特公平3−52058号公報に開示のように、帯電部材に所定の直流電圧成分と所定の交番電圧成分(接触帯電部材に直流電圧を印加したときの被帯電体の帯電開始電圧値の2倍以上のピーク間電圧を有する交番電圧)を有する振動電圧を印加する方式は均一帯電性に優れる。
【0013】
図7に、磁気ブラシ・AC印加方式の接触帯電装置の一例の概略構成を示した。1は被帯電体であり、例えば、矢示の時計方向aに所定のプロセススピード(周速度)をもって回転駆動されるドラム型電子写真感光体である。20はこの感光体1面に接触させて配設した磁気ブラシ帯電器である。本例の磁気ブラシ帯電器はスリーブ回転タイプのものであり、磁気ブラシ部担持部材が回転可能なスリーブであり、該スリーブ内に配設した固定のマグネットロール(磁界発生手段)の磁気力で導電磁性粒子(キャリア)がスリーブ外面に拘束されて磁気ブラシ部として付着保持されている形態のものである。
【0014】
即ち、21は磁気ブラシ部担持部材としての、アルミニウム等の非磁性の導電性スリーブ(電極スリーブ、導電スリーブ、帯電スリーブなどと称される)である。
【0015】
22はこのスリーブ21内に挿入配設した磁界発生手段としてのマグネットロールである。N・Sは該ロールの着磁部である。このマグネットロール22は非回転の固定部材であり、このマグネットロール22の外周りをスリーブ21が同心に矢示の時計方向bに不図示の駆動機構にて所定の周速度にて回転駆動される。
【0016】
23は導電性の磁性粒子であり、スリーブ21の外周面にスリーブ内部のマグネットロール22の磁気力で拘束されて磁気ブラシ部24として付着保持されている。導電磁性粒子23はマグネットロール22の磁気拘束力によりスリーブ21の外面上で磁気的な穂立ちを形成し、これが集まってブラシ形状となっている。
【0017】
S1はスリーブ21に対する帯電バイアス印加電源である。
【0018】
磁気ブラシ帯電器2Aは磁気ブラシ部24を被帯電体としての感光体1の面に接触させて接触ニップ部(帯電ニップ部)nを形成させてある。
【0019】
磁気ブラシ部24は、スリーブ21の回転に伴って同じ方向に回転搬送され、帯電ニップ部nにおいて回転感光体1面を摺擦し、電源S1からスリーブ21を介して磁気ブラシ部24に印加された所定の帯電バイアス(振動電圧)により回転感光体1面が接触方式で帯電処理される。接触ニップ部nにおいて、スリーブ21の回転方向、それに伴う磁気ブラシ部24の回転搬送方向は被帯電体としての回転感光体1の回転方向に対してカウンター方向としてある。
【0020】
スリーブ21は、磁気ブラシ部24の担持機能、搬送機能、帯電バイアス印加電極機能を担っている。
【0021】
帯電バイアス印加電源S1は、例えば、−700Vの直流電圧に、ピーク間電圧1000Vpp、周波数1000Hzの矩形電圧(交番電圧)を重畳した振動電圧を発生して磁気ブラシ帯電器20のスリーブ21に該電圧を給電する。回転感光体1面はほぼ−700Vに均一帯電される。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の磁気ブラシ・AC印加方式の接触帯電装置では、帯電性を向上するために磁気ブラシ帯電器に帯電バイアスとして印加する振動電圧の交番電圧成分のピーク間電圧Vppを高くした高電圧を印加すると磁気ブラシ部から該磁気ブラシ部を構成している導電磁性粒子の被帯電体側への付着が顕著になるという問題が発生していた。
【0023】
磁気ブラシ部24からの導電磁性粒子23の離脱は帯電性の劣化を生じさせる。画像記録装置にあっては磁気ブラシ帯電器20の磁気ブラシ部24がやせていくことで帯電性能や出力画像品質の劣化を招くし、像担持体面に付着した導電磁性粒子は画像露光障害物となったり、現像手段やクリーニング手段に持ち運ばれて混入して、出力画像品質を低下させる原因となる。
【0024】
そこで本発明は、磁気ブラシ・AC印加方式の接触帯電に関して、高電圧印加時でも一定の帯電性能を維持しながら、磁気ブラシ部から被帯電体への導電磁性粒子の付着を防止し帯電性の劣化を防止すること、磁気ブラシ・AC印加方式の帯電装置や磁気ブラシ帯電器を用いた画像記録装置やプロセスカートリッジについて、高電圧印加時でも一定の帯電性能を維持しながら、磁気ブラシ部から像担持体への導電磁性粒子の付着を防止し高品位な画像記録を長期に渡り維持させることを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の構成を特徴とする、帯電装置、画像記録装置及びプロセスカートリッジである。
【0026】
(1)被帯電体に接触する導電磁性粒子の磁気ブラシと、この磁気ブラシを担持する磁気ブラシ担持部材と、を備える磁気ブラシ帯電器であって、被帯電体を帯電する磁気ブラシ帯電器と、
磁気ブラシ担持部材に直流電圧成分と交流電圧成分を備える振動電圧を印加する電圧印加手段と、
磁気ブラシ帯電器、電圧印加手段、被帯電体を備える帯電回路中に接続された抵抗体と、
を有する帯電装置において、
前記磁気ブラシ帯電器単体の抵抗は10 5 〜10 7 Ω(100V印加時)であるとともに、前記導電磁性粒子の抵抗は10 6 〜10 9 Ωcmであり、
前記抵抗体は、磁気ブラシ帯電器単体の抵抗の0.5倍以上であって、かつ帯電回路の抵抗が107Ω以下となるような抵抗を備え、印加電圧の変化に対して、抵抗体の抵抗変動は磁気ブラシ帯電器単体の抵抗変動よりも小さいことを特徴とする帯電装置。
【0027】
(2)前記抵抗体が前記電圧印加手段に直列して接続されている抵抗器であることを特徴とする(1)に記載の帯電装置。
【0028】
(3)前記抵抗体がヒューズ抵抗器であることを特徴とする(1)または(2)に記載の帯電装置。
【0029】
(4)前記抵抗器が可変抵抗器であることを特徴とする(2)または(3)に記載の帯電装置。
【0032】
(5)被帯電体は、その表面に109〜1014Ω・cmの電荷注入層を備えることを特徴とする(1)ないし(4)のいずれか1つに記載の帯電装置。
【0034】
(6)像担持体に該像担持体を帯電する工程を含む作像プロセスを適用して画像形成を実行する画像記録装置において、像担持体の帯電工程手段が、(1)ないし(5)のいずれか1つに記載の帯電装置であることを特徴とする画像記録装置。
【0035】
(7)像担持体が光導電性であり、この像担持体に、該像担持体を帯電する工程、その帯電面に露光により静電潜像を形成する工程、該静電潜像を帯電したトナーにより可視化する工程を有する作像プロセスで画像形成が実行されることを特徴とする(6)に記載の画像記録装置。
【0036】
(8)像担持体は、その表面に109〜1014Ω・cmの電荷注入層を備えることを特徴とする(6)または(7)に記載の画像記録装置。
【0037】
(9)少なくとも、像担持体と、像担持体を帯電する工程手段を包含して画像記録装置本体に対して着脱されるプロセスカートリッジにおいて、
像担持体の帯電工程手段が、(1)ないし(5)のいずれか1つに記載の帯電装置であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0038】
(10)像担持体が光導電性であることを特徴とする(9)に記載のプロセスカートリッジ。
【0039】
(11)像像担持体は、その表面に109〜1014Ω・cmの電荷注入層を備えることを特徴とする(9)または(10)に記載のプロセスカートリッジ。
【0040】
〈作 用〉
1)磁気ブラシ・AC印加方式の接触帯電装置について、磁気ブラシ部と、磁気ブラシ部担持部材と、該担持部材に対する電圧印加手段と、被帯電体から構成される帯電回路中に磁気ブラシ帯電器単体の0.5倍以上の抵抗を有する抵抗体を挿入し、かつ該抵抗体挿入後の帯電回路の抵抗を107Ω以下とした構成(帯電回路抵抗の測定時には被帯電体は該被帯電体と同形状の導電性部材とする)とし、磁気ブラシ帯電器単体の抵抗は10 5 〜10 7 Ω(100V印加時)であるとともに、導電磁性粒子の抵抗は10 6 〜10 9 Ωcmでることで、帯電回路の抵抗の電圧依存性を抑え、帯電性能の維持と磁気ブラシ部から被帯電体への導電磁性粒子の付着の低減化がなされる。即ち磁気ブラシ帯電器と電圧印加手段の間に抵抗電圧依存のない抵抗器を挿入することにより、帯電系全体の抵抗を高電圧印加時にも安定して使用することができる。
【0041】
また、装置の使用環境が変化したときも磁気ブラシ部の抵抗が変動することがあるが、これも抵抗器を挿入することで安定して使用することができる。
【0042】
加えて、導電磁性粒子に要求される抵抗特性を広げられるため、材料や粒径などの特性についても、その選択の巾を広げられる。
【0043】
これにより、高電圧を印加し帯電性を向上させると同時に、電圧印加時に発生していた磁気ブラシ部の導電磁性粒子の被帯電体への付着、これによる帯電性の劣化を防止し、高電圧印加時でも一定の帯電性能を維持させることができる。
【0044】
磁気ブラシ・AC印加方式の帯電装置や磁気ブラシ帯電器を用いた画像記録装置やプロセスカートリッジにあっては、高電圧印加時でも一定の帯電性能を維持しながら、磁気ブラシ部から像担持体への導電磁性粒子の付着を防止し高品位な画像記録を長期に渡り維持させることができる。
【0045】
上記の抵抗体は、磁気ブラシ帯電器単体の抵抗の0.5倍以上で、帯電回路系全体としては107 Ω以下にする抵抗体であれば、帯電の環境安定性の効果、磁気ブラシ帯電器にあっては磁気ブラシ部からの導電性磁性粒子の離脱防止に効果が認められた。
【0046】
抵抗体の抵抗が磁気ブラシ帯電器単体の抵抗の0.5倍より低い場合は磁気ブラシ帯電器の抵抗が主になるために環境依存を抑えることができず、帯電回路系全体として107Ωを越える場合は帯電回路系の抵抗が高すぎるため十分な帯電性能を得ることができなかった。
抵抗体の抵抗は、上記で規定した通りであり、さらに印加電圧の変化に対して、抵抗体の抵抗変動は磁気ブラシ帯電器単体の抵抗変動よりも小さいことを規定したことにより、交流電圧の印加により印加電圧が変化した場合であっても、帯電性能をほぼ一定に保つことができ、磁気ブラシからの磁性粒子の離脱を防止できる。
【0047】
2)抵抗体を電圧印加手段に直結して挿入した抵抗器とすることで、容易に帯電系全体の抵抗を調整可能である。
【0048】
3)抵抗体にヒューズ抵抗器を使用することで、過電流が流れたときに電圧を遮断し、被帯電体(像担持体)や磁気ブラシ帯電器あるいは電圧印加手段の損傷を防ぐことが可能である。
【0049】
4)抵抗体を可変抵抗器にすることで、磁気ブラシ部の導電磁性粒子の組成を操作することなく帯電系の抵抗の微調整を行うことができ、画像記録装置やプロセスカートリッジにあっては、それらの種々の仕様に合わせて容易に帯電系の抵抗の微調整を行うことができる。
【0050】
5)抵抗体を磁気ブラシ帯電器の磁気ブラシ部担持部材表面を一様に被った抵抗層の形態で形成具備させることで、被帯電体(像担持体)上に存在する欠陥部位(ピンホール等の低耐圧欠陥部位)に対しても極めて強い耐圧性能を示した。
【0051】
即ち、このような構成においても、上記1)の場合と同様の作用効果すなわち高電圧を印加し帯電性を向上させると同時に、電圧印加時に発生していた磁気ブラシ部の導電磁性粒子の被帯電体への付着、これによる帯電性の劣化を防止し、高電圧印加時でも一定の帯電性能を維持させることができるとともに、被帯電体上の欠陥部位にも電流集中が極めて起きにくいものにすることが可能となる。
【0052】
【発明の実施の形態】
〈実施形態例1〉(図1〜図4)
(1)画像記録装置例の概略
図1は本発明に従う画像記録装置例の概略構成図である。本例の画像記録装置は、転写式電子写真方式、プロセスカートリッジ着脱方式、磁気ブラシ・AC印加方式のレーザービームプリンタである。
【0053】
1は像担持体(被帯電体)としての回転ドラム型の電子写真感光体であり、矢示の時計方向aに所定の周速度(プロセススピード)、本例では100mm/secをもって回転駆動される。本例の感光体は表面に電荷注入層を設けたOPC感光体(有機感光体)である。これについては(3)項で詳述する。
【0054】
2は該感光体(ドラム)1に対する接触帯電部材であり、本例は矢示の時計方向bに回転駆動されるスリーブ回転タイプの磁気ブラシ帯電器である。これについては(4)項で詳述する。
【0055】
この磁気ブラシ帯電器2に帯電バイアス印加電源S1から所定の帯電バイアス、本例では
−700Vの直流電圧Vdc、
ピーク間電圧Vpp1000V、周波数1kHzの矩形波の交流電圧Vac
を重畳した振動電圧が抵抗器(抵抗体)25を介して印加され、回転感光体表面が上記印加帯電直流電圧Vdcとほぼ同じ−700Vに電荷注入方式で接触帯電処理される。
【0056】
その回転感光体1の帯電処理面に対して露光器としてのレーザースキャナ7によりレーザービーム走査露光Lがなされて目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。レーザースキャナ7は目的の画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザー光Lを出力する。7aはレーザースキャナ7からの出力レーザー光Lを回転感光体1の画像露光部に偏向するミラーである。
【0057】
その回転感光体面の静電潜像が現像器3によりトナー画像として現像される。本例の場合は反転現像器であり、静電潜像の露光明部にトナーが付着して潜像の現像がなされる。3aは回転現像スリーブ、3bは該現像スリーブ内に挿入配設したマグネットロール、S2は現像スリーブ3aに対する現像バイアス印加電源である。現像スリーブ3aは感光体1の表面と0.3mm隔てて対向しており、矢示の反時計方向に回転駆動されてその周面に負に摩擦帯電されたトナーが薄層として塗布されて感光体との対向部(現像部)へ搬送される。現像スリーブ3aには現像バイアス印加電源S2により、本例の場合は、−500Vの直流電圧と、周波数2.0kHz、ピーク間電圧1.6kVの交流電圧を重畳した現像バイアスを印加することで、感光体1の静電潜像の露光明部に現像スリーブ3a側のトナーが電界により選択的に付着して静電潜像のトナー現像がなされる。
【0058】
回転感光体1面のトナー画像は感光体1と転写器4との対向部である転写部Tにおいて、該転写部Tに不図示の給紙機構部から所定のタイミングで給紙された記録材Pに対して転写される。転写器4は本例の場合は感光体に当接させた転写ローラであり、この転写ローラ4に転写バイアス印加電源S3からトナーの帯電極性とは逆極性の所定電圧の転写バイアスが印加されて、転写部Tに導入された記録材Pの表面側に感光体1面側のトナー画像が静電的に転写される。
【0059】
転写部Tを通ってトナー画像の転写を受けた記録材Pは回転感光体面から分離されて定着器5に導入され、トナー画像の定着処理を受けてプリントとして出力される。
【0060】
また記録材分離後の回転感光体の面はクリーニング器6により転写残りトナー等の付着残留物の除去を受けて清浄面化され、繰り返して作像に供される。
【0061】
(2)プロセスカートリッジ10
10はプリンタ本体内の所定の部位に対して着脱自在に装着されるプロセスカートリッジである。本例のものは、像担持体としての感光体1と、接触帯電部材としての磁気ブラシ帯電器2と、現像器3と、クリーニング器6の4つのプロセス機器を所定の相互配置関係をもって一体的にカートリッジ筐体9内に組み付けてプロセスカートリッジ10としてある。
【0062】
このプロセスカートリッジ10をプリンタ本体内の所定の部位に対して装着することで、該プロセスカートリッジ10とプリンタ本体側とが機械的・電気的に所定に結合状態になり、プリンタが画像形成動作可能状態になる。8・8はプロセスカートリッジ10の着脱ガイド部材兼保持部材である。
【0063】
(3)感光体1(図2)
本例で使用の感光体1は前述したように、表面に電荷注入層を設けたOPC感光体(有機感光体)である。
【0064】
図2は該感光体1の層構成模型図である。11はアルミニウム製のドラム基体(Alドラム基体)であり、その上に、下引き層12、正電荷注入防止層13、電荷発生層14、電荷輸送層15を順次に重ねて塗工することで一般的なOPC感光体層を形成し、更にその上に電荷注入層16を塗布して形成具備させたものである。
【0065】
本例における電荷注入層16は、光硬化型のアクリル樹脂に、導電性粒子としてのSnO2 超微粒子16a(径が約0.03μm)、4フッ化エチレン樹脂(商品名テフロン)などの滑剤、重合開始剤等を混合分散し、塗工後、光硬化法により膜形成したものである。電荷注入層16の抵抗値としては1×109 〜1×1014(Ω・cm)の範囲が適当である。
【0066】
感光体層はCdSや、Si,Seなど無機物半導体を用いることもできる。
【0067】
(4)磁気ブラシ帯電器2(図3)
図3の(a)は帯電回路系の構成模型図、(b)はその等価回路図である。
【0068】
本例の接触帯電部材としての磁気ブラシ帯電器2はスリーブ回転タイプのものである。この磁気ブラシ帯電器2は、固定支持させたマグネットロール22と、このマグネットロール22の外回りに同心に回転自由に外嵌させた、表面の平均粗さRa1.2μm、外径16mm、長さほぼ30cmの非磁性の導電性帯電スリーブ21と、この帯電スリーブ21の外周面に帯電スリーブ内部のマグネットロール22の磁力により吸着保持させて形成させた導電磁性粒子23の磁気ブラシ層(磁気ブラシ部)24からなる。
【0069】
マグネットロール22は帯電スリーブ表面上で半径方向の磁束密度のピークが800Gを発生する磁極を4極有するものを使用し、感光体1側に一つの磁極が向くようにマグネットロール22を固定支持させた。
【0070】
磁気ブラシ層24を構成させる導電磁性粒子23は、平均粒径が30μm、体積抵抗のオーダが1×107 (Ωcm)のフェライト粒子であり、飽和磁化が60(A・m2 /kg)のものを使用した。
【0071】
導電磁性粒子の抵抗測定は、底面積228mm2 の筒状の容器に導電磁性粒子を2g充填して加圧し、上下から100Vの電圧を印加してこの系に流れる電流から算出し正規化したもので定義した。
【0072】
導電磁性粒子としては、フェライト、マグネタイトなど磁性金属粒子や、またこれらの磁性粒子を樹脂で結着したものも使用可能である。抵抗値は1×106 〜109 Ωcmのものが適当である。粒径については10〜50μmが適性であった。更に、好ましくは15〜30μmの導電磁性粒子が感光体1への付着抑制の点で望ましい。また、複数の磁性粒子を混合し用いることで帯電性の向上も図ることが可能である。
【0073】
導電磁性粒子の平均粒径は、水平方向最大弦長で示し、測定法は顕微鏡法により、粒子300個以上をランダムに選び、その径を実測して算術平均をとることによって算出した。
【0074】
導電磁性粒子の磁気特性測定には理研電子株式会社の直流磁化B−H特性自動記録装置BHH−50を用いることができる。この際、直径(内径)6.5mm、高さ10mmの円柱状の容器に導電磁性粒子を荷重約2g重程度で充填し、容器内で粒子が動かないようにしてそのB−Hカーブから飽和磁化を測定する。
【0075】
而して、上記の磁気ブラシ帯電器2を、感光体1と略並行にして、帯電スリーブ21の表面と感光体1の表面との離間距離が0.5mmになるように長手方向の端部をスペーサ部材(不図示)を介して感光体の端部表面に当接して配設することで、磁気ブラシ層24を感光体1面に所定幅の帯電部nを形成させて接触させてある。
【0076】
帯電スリーブ21は帯電部nにおいて感光体1の回転方向aとは逆方向である矢示の時計方向bに感光体1の回転周速度100mm/secと同じ周速度で回転駆動され、これに伴い磁気ブラシ層24も同方向に回転して感光体1面を摺擦する。
【0077】
そして帯電時に該磁気ブラシ帯電器2の帯電スリーブ21に対して帯電バイアス印加電源S1から抵抗器25を介して前記の所定の帯電バイアスVdc+Vac(振動電圧)が印加されることにより、磁気ブラシ層24の導電磁性粒子を通して帯電部nにおいて感光体1の電荷注入層16に電荷が注入(充電)され、感光体表面は磁気ブラシ帯電器2に対する上記印加帯電バイアスとほぼ同電位に帯電される。
【0078】
電荷注入帯電は、中抵抗の接触帯電部材で中抵抗の表面抵抗を持つ被帯電体(感光体)表面に電荷注入を行なうものであり、本例においては感光体表面材質の持つトラップ電位に電荷を注入するものではなく、電荷注入層16の導電性粒子(SnO2 )16aに電荷を充電して帯電を行なう方式であり、図3の(b)の等価回路のように、電荷輸送層15を誘電体とし、アルミニウムドラム基体11と、電荷注入層16内の導電性粒子16aを両電極板とする微小なコンデンサーに対して、接触帯電部材2で電荷を充電する理論に基づくものと考えられる。この際、導電性粒子16aは互いに電気的には独立であり、一種の微小なフロート電極を形成している。このため、マクロ的には感光体表面は均一電位に充電、帯電されているように見えるが、実際には微小な無数の充電された導電性粒子であるSnO2 が感光体表面を覆っているような状況となっている。このため、レーザー光によって画像露光Lを行なっても、それぞれのSnO2 粒子16aは電気的に独立なため、静電潜像を保持することが可能になるものと予想する。
【0079】
(5)抵抗体(抵抗器)25と、磁気ブラシ帯電器2の抵抗特性
次に、本発明のポイントである抵抗器25を含めた磁気ブラシ帯電器2の抵抗特性について説明する。
【0080】
本発明では、磁気ブラシ帯電器2(帯電磁気ブラシ)の抵抗に近いあるいはそれより大きな抵抗をもつ抵抗器25を磁気ブラシ帯電器2に直列に配置し、磁気ブラシ帯電器2に対する帯電バイアスとしての振動電圧(交流電圧)印加時により発生する磁気ブラシ層24の導電磁性粒子23の感光体1への付着を防止することができた。その詳細について説明する。図4は、
A;磁気ブラシ帯電器2自体
B;抵抗器25自体
C;磁気ブラシ帯電器2と抵抗器25を直列に配置したもの
の上記A〜Cの各場合の抵抗特性を印加電圧(直流)を変えて測定した結果である。
【0081】
抵抗器25としては、プレート抵抗器(FP−1[500kΩ]:日本ヒドラジン工業製)を使用したが、その他にも一般の高耐圧、低温度係数の抵抗器が使用可能である。
【0082】
図4から、Aの磁気ブラシ帯電器2自体の抵抗は印加電圧に対し大きく変化するが、Bの抵抗器25自体の抵抗は印加電圧に対しほとんど変化がない。従って、磁気ブラシ帯電器2と同程度の抵抗をもつ抵抗器25を磁気ブラシ帯電器2に直列に配置したCの磁気ブラシ帯電器2+抵抗器25の抵抗変動は小さくすることができる。
【0083】
よって、磁気ブラシ帯電器2に帯電バイアスとして、ピーク間電圧の大きい振動電圧(Vdc+Vac)を印加した場合であっても帯電系全体の抵抗はほぼ一定に保つことが可能である。
【0084】
帯電安定性を確保するためには帯電バイアスとしてピーク間電圧のより高い振動電圧を印加することが望ましい。印字を繰り返した場合、転写残トナーがクリーニング器6をすり抜けて磁気ブラシ帯電器2の磁気ブラシ層24に混入するため、その混入トナーが磁気ブラシ層24と感光体1との接触を阻害し帯電性が劣化する。従って高い振動電圧を印加することでトナーを拡散し感光体を効率良く帯電することが望ましいのである。前述したように、従来、磁気ブラシ帯電器2に振動電圧を印加した場合、磁気ブラシ部から感光体への導電磁性粒子の付着が問題であったが、本実施例の構成をとることで、帯電特性及び導電磁性粒子の感光体への付着に対し安定した帯電装置を構成できる。
【0085】
磁気ブラシ帯電器の抵抗の測定は、画像記録装置の被帯電体としての感光体1のかわりに同形状のアルミ製シリンダー(導電性部材)を挿入し磁気ブラシ帯電器2と該シリンダー間に帯電時と等しい直流電圧を印加し、流れる直流電流から抵抗値を換算した。また、抵抗器25の抵抗特性は抵抗器25の両端に同等の電圧を印加し測定した。
【0086】
(6)本実施形態例の効果と、比較例
比較例として、帯電バイアス印加電源S1から磁気ブラシ帯電器2に対して抵抗器25を介さずに直接に帯電バイアスとしての振動電圧を印加して感光体1の帯電を行った場合を示した。
【0087】
比較例の構成では帯電性を満足させるために高いピーク間電圧Vppを持った振動電圧を印加すると、磁気ブラシ帯電器2の磁気ブラシ層24から感光体1への導電磁性粒子の付着が増加した。
【0088】
しかし、本実施形態例(実施例1)では抵抗器25により電圧依存度を少なくすることで、高いピーク間電圧Vppを持った振動電圧印加時においても磁気ブラシ帯電器2の磁気ブラシ層24から感光体1への導電磁性粒子の付着を生じることなく安定した帯電性を維持することができた。
【0089】
磁気ブラシ層24から感光体1への導電磁性粒子の付着は、磁気ブラシ帯電器2に印加したバイアスと、感光体1の電位の差をうめるように導電磁性粒子に電荷が誘起され生じていると考えられる。従って、帯電回路系の抵抗が低い場合には、電荷が誘起されやすく導電磁性粒子付着しやすくなる。本発明は、高圧側で抵抗が下がるのを防止し、導電磁性粒子付着を抑制するものである。
【0090】
【表1】
表1中の帯電性評価(印字後帯電性)については、前回露光を受けた感光体部位の帯電不良より生じる帯電ゴーストについて評価し、10000枚印字後の状態を評価した。
【0091】
付着評価については、初期に帯電スリーブ21に満遍なく担持させた導電磁性粒子の磁気ブラシ層24により10000枚の印字が可能であったか否かを評価した。
【0092】
本構成において、抵抗器25は抵抗500kΩのものを用いたが、およそ磁気ブラシ帯電器2の抵抗の0.5倍以上で、帯電系全体としては107 Ω以下にする抵抗器であれば、帯電性、及び導電磁性粒子付着防止の両立に効果が認められた。
【0093】
磁気ブラシ帯電器2の抵抗の0.5倍より低い抵抗の抵抗器25の場合は、磁気ブラシ帯電器2の抵抗が主になるため電圧依存性を抑えることができず、帯電性と導電磁性粒子付着防止特性を両立することができなかった。
【0094】
また抵抗器25を含む帯電回路全体の抵抗(導電磁性粒子の磁気ブラシ部24、磁気ブラシ部24の担持部材としての帯電スリーブ21、電圧印加手段S1、抵抗体としての抵抗器25、被帯電体としての像担持体1に同形状の導電性部材から構成した帯電回路の抵抗)が107 Ωを越える場合は帯電系の抵抗が高すぎるため十分な帯電性を得ることができなかった。
【0095】
表2に、抵抗器25の抵抗を変えて評価した結果を示す。
【0096】
【表2】
抵抗が凡そ100kΩ(105 Ω)の磁気ブラシ帯電器2を用い、抵抗器25の抵抗を10kΩから100MΩまで変化させて、帯電性及び導電磁性粒子の付着を評価した。
【0097】
抵抗器25の抵抗10kΩでは、磁気ブラシ帯電器2単体の抵抗に対し一桁低い抵抗であるため、抵抗の電圧依存を防止する効果はほとんどなく磁気ブラシ帯電器2のみの比較例1と同等の結果になった。従って、抵抗器25の抵抗としては、抵抗値の電圧依存を抑えるべく磁気ブラシ帯電器2の0.5倍以上である必要がある。
【0098】
更に、抵抗器25として抵抗値の高い100MΩを挿入したときは、抵抗の電圧依存は完全になくすことができるが、帯電系の抵抗が高すぎるため、感光体1を充電するに十分な電流を流すことができず、標準状態においても帯電性を満足することができなかった。
【0099】
帯電系全体としては107 Ω以下の抵抗になるような抵抗器25を挿入することで、安定した帯電性と導電磁性粒子の付着防止に効果がある。
【0100】
ここで、磁気ブラシ帯電器2のみの抵抗としては105 〜107 Ω(100V印加時)が適当であり、従って帯電系全体としても105 〜107 Ωであることが望ましい。
【0101】
本構成では、磁気ブラシ帯電器2の磁気ブラシ層24もしくは導電磁性粒子の組成を変更することなく抵抗器25の抵抗調整のみで帯電装置もしくは帯電回路系の抵抗調整を容易にできるため様々な仕様の画像記録装置にも容易に応用可能である。
【0102】
また、抵抗体25自体を可変抵抗器にすることでさらにその調整を容易にする。
【0103】
また、抵抗体25としてヒューズ抵抗器を使用することで、事故による渦電流から、磁気ブラシ帯電器2や感光体1あるいは電圧印加手段S1を保護することも可能である。また、導電磁性粒子は使用環境によって抵抗の変動があるが抵抗器25を挿入することにより環境変動に対し安定したシステムを提供する。
【0104】
以上、本実施形態例において、電圧依存性の大きな磁気ブラシ帯電器2に電圧特性に優れた抵抗器25を直列に配置することで、高電圧印加時の帯電系の抵抗を一定に維持することで、安定した帯電性を維持し、導電磁性粒子の付着も防ぐことが可能になった。
【0105】
〈参考例1〉(図5・図6)
本参考例は、帯電回路系に介入させる抵抗体を、図5のように磁気ブラシ帯電器2Aの帯電スリーブ21の外周面、即ち帯電スリーブ21の磁気ブラシ層担持面を一様に被わせた抵抗層26として具備させたものである。導電磁性粒子23の磁気ブラシ層24はこの抵抗層26を介して給電用電極部材としての帯電スリーブ21に担持され、帯電スリーブ21から該抵抗層26を介して給電される。
【0106】
他の帯電装置構成、プリンタ構成は実施形態例1のものと同様であるので再度の説明は省略する。
【0107】
抵抗層26は、凡そ107〜109 Ω・cmの比抵抗をもつ抵抗材料を帯電スリーブ21の外周面に層として形成して具備させた。
【0108】
該抵抗層26の材質としては金属酸化物や樹脂層が使用可能である。例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂など硬質なバインダーに導電性粒子を分散し抵抗調整し、塗布、乾燥し使用することが可能である。また、光硬化法や熱硬化法により作成することも可能である。
【0109】
本参考例では抵抗層26の耐久性と電圧依存性のないセラミックコート法による、金属酸化物の抵抗層26を形成し使用した。例えばアルミナなどの酸化物を抵抗調整したものを高温で溶融状態にして塗布することにより、帯電スリーブ21表面に所望の特性を有する抵抗層26を形成した。形成された抵抗層26の比抵抗は凡そ2×108Ω・cmであり、直径1.6cmの帯電スリーブ21に厚さ0.2mmにコートした。
【0110】
得られた帯電スリーブ21に導電磁性粒子23を磁気付着させて磁気ブラシ層24として担持させて、抵抗層26を有する磁気ブラシ帯電器2Aを構成し、被帯電体としての感光体1と同形状の導電性シリンダーとの間に電圧を印加して該磁気ブラシ帯電器2Aの抵抗を測定したところ、電圧特性に優れた抵抗層26を有するため抵抗の電圧依存を抑えることが可能になった。
【0111】
図6は抵抗特性の結果を表わしている。A(比較例)のように、抵抗層26を有していない磁気ブラシ帯電器のみの場合の特性に比べ、D(実施例2)のように、抵抗層26を施した磁気ブラシ帯電器2Aの場合は電圧特性に優れていることを確認した。
【0112】
表3に上記両者の帯電性評価(印字後帯電性)と導電磁性粒子付着評価についての結果を示した。この評価要領は前述表1の場合と同様である。
【0113】
【表3】
表3から明らかなように、比較例の抵抗層26を有していない磁気ブラシ帯電器を使用した場合に比べ、参考例1では、電圧特性に優れた抵抗層26を帯電スリーブ21の表面に形成してるため帯電系の抵抗変化を少なくすることが可能であり、高電圧条件下であっても導電磁性粒子付着防止特性に優れ、帯電性と導電磁性粒子付着防止特性が両立できることを確認した。
【0114】
さらに、帯電スリーブ21上に一様に抵抗層26を形成することで、被帯電体としての感光体1に欠陥(ピンホール等の低耐圧欠陥部)があった場合にも極めて強い耐リーク特性を示し電圧降下が発生することはなかった。
【0115】
本構成における抵抗層26としては、比抵抗2×108 (Ω・cm)の抵抗層を形成したが、抵抗層26の抵抗は適当な範囲をもつ。磁気ブラシ帯電器単体の0.5倍以上の抵抗を抵抗層26にもたせるような比抵抗や形状を選ぶことが必要である。つまり、磁気ブラシ層24+抵抗層26の系の抵抗から磁気ブラシ帯電器単体の抵抗を差し引いた抵抗が、磁気ブラシ帯電器単体の0.5倍以上であることが必要である。0.5倍より低い場合は帯電系全体の抵抗を主に磁気ブラシが負担することになるため帯電系の抵抗変化を抑えることができなくなる。また、抵抗層26は帯電系全体としては107 Ω以下になるよう調整する必要がある。全体として107 Ωを越える場合は帯電系の抵抗が高すぎるため十分な帯電性を得ることができなかった。
【0116】
表4に抵抗層26の比抵抗を変えて該抵抗層の抵抗を調整して評価した結果を示す。
【0117】
【表4】
〈変形例等〉
1)本発明の磁気ブラシ・AC印加方式の接触帯電装置ないし帯電部材は、実施形態例の画像記録装置における像担持体の帯電処理に限らず、広く被帯電体の接触帯電処理手段として有効であることはもちろんである。
【0118】
2)磁気ブラシ帯電器は実施形態例のスリーブ回転タイプに限らず、マグネットロール22が回転するものや、マグネットロール22の表面を必要に応じて給電用電極として導電性処理して、更には抵抗層26を施して、該マグネットロール22の面に直接に導電磁性粒子を磁気拘束させて磁気ブラシ層24を形成保持させ、マグネットロール22を回転させる構成のもの等にすることもできる。回転しないタイプの磁気ブラシ帯電器とすることもできる。
【0119】
3)被帯電体は注入帯電方式の場合には表面抵抗が109 〜1014Ω・cmの層を持つことが望ましいが、放電による帯電が支配的なものであってもよい。
【0120】
4)画像記録装置における像坦持体の帯電面に対する情報書き込み手段としての画像露光手段は、実施形態例で示した様なデジタル的な潜像を形成するレーザー走査露光手段に限定されるものではなく、通常のアナログ的な画像露光やLEDなどの他の発光素子でも構わないし、蛍光燈等の発光素子と液晶シャッタ等の組み合わせによるものなど、画像情報に対応した静電潜像を形成できるものであるなら構わない。
【0121】
また像担持体は静電記録誘電体などであってもよい。この場合は、該誘電体面を所定の極性・電位に一様に一次帯電した後、除電針ヘッド、電子銃等の除電手段で選択的に除電して目的の静電潜像を書き込み形成する。
【0122】
静電潜像の現像方式・手段は任意であり、実施形態例の反転現像でなく、正規現像方式であっても勿論よい。
【0123】
5)また、転写方法としては、実施形態例に示したローラ転写だけでなく、ブレード転写やその他の接触転写帯電方式、更に転写ドラムや転写ベルトや中間転写体などを用いて、単色画像形成ばかりでなく多重転写等により多色、フルカラー画像を形成する画像形成装置にも適応可能な事は言うまでもない。
【0124】
6)プロセスカートリッジ10は実施形態例のものに限らず、任意の作像プロセス機器の組み合わせをもって構成することができる。たとえば、像担持体1と接触帯電部材2の組み合わせ、像担持体1と現像器3又は/及びクリーニング器6の組み合わせ、像担持体1と接触帯電器2と現像器3又は/及びクリーニング器6の組み合わせなどである。
【0125】
7)また、像担持体としての電子写真感光体や静電記録誘電体を回動ベルト型にし、これに帯電・潜像形成・現像の工程手段により所要の画像情報に対応したトナー像を形成させ、そのトナー像形成部を閲読表示部に位置させて画像表示させ、像担持体は繰り返して表示画像の形成に使用する画像表示装置もある。本発明の画像記録装置にはこのような画像表示装置も含む。
【0126】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、磁気ブラシ・AC印加方式の接触帯電に関して、高電圧印加時でも一定の帯電性能を維持しながら、磁気ブラシ部から被帯電体への導電磁性粒子の離脱付着を防止し帯電性の劣化を防止すること、磁気ブラシ・AC印加方式の帯電装置や磁気ブラシ帯電器を用いた画像記録装置やプロセスカートリッジについて、高電圧印加時でも一定の帯電性能を維持しながら、磁気ブラシ部から像担持体への導電磁性粒子の離脱付着を防止し高品位な画像記録を長期に渡り維持させることができる。
【0127】
即ち、帯電回路の抵抗の電圧依存性を抑え、帯電性能の維持と磁気ブラシ部から被帯電体への導電磁性粒子の離脱付着の低減化がなされる。つまり磁気ブラシ帯電器と電圧印加手段の間に抵抗電圧依存のない抵抗器を挿入することにより、帯電系全体の抵抗を高電圧印加時にも安定して使用することができる。
【0128】
また、装置の使用環境が変化したときも磁気ブラシ部の抵抗が変動することがあるが、これも抵抗器を挿入することで安定して使用することができる。
【0129】
加えて、導電磁性粒子に要求される抵抗特性を広げられるため、材料や粒径などの特性についても、その選択の巾を広げられる。
【0130】
従って、磁気ブラシ・AC印加方式の帯電装置や磁気ブラシ帯電器を用いた画像記録装置やプロセスカートリッジにあっては、高電圧印加時でも一定の帯電性能を維持しながら、磁気ブラシ部から像担持体への導電磁性粒子の離脱付着を防止し高品位な画像記録を長期に渡り維持させることができる。
【0131】
抵抗体を電圧印加手段に直結して挿入した抵抗器とすることで、容易に帯電径全体の抵抗を調整可能である。
【0132】
抵抗体にヒューズ抵抗器を使用することで、過電流が流れたときに電圧を遮断し、被帯電体(像担持体)や磁気ブラシ帯電器あるいは電圧印加手段の損傷を防ぐことが可能である。
【0133】
抵抗体を可変抵抗器にすることで、磁気ブラシ部の導電磁性粒子の組成を操作することなく帯電系の抵抗の微調整を行うことができ、画像記録装置やプロセスカートリッジにあっては、それらの種々の仕様に合わせて容易に帯電系の抵抗の微調整を行うことができる。
【0134】
抵抗体を磁気ブラシ帯電器の磁気ブラシ部担持体表面を一様に被った抵抗層の形態で形成具備させることで、被帯電体(像担持体)上に存在する欠陥部位(ピンホール等の低耐圧欠陥部位)に対しても極めて強い耐圧性能を示した。
【0135】
即ち、このような構成においても、高電圧を印加し帯電性を向上させると同時に、電圧印加時に発生していた磁気ブラシ部の導電磁性粒子の被帯電体への付着離脱、これによる帯電性の劣化を防止し、高電圧印加時でも一定の帯電性能を維持させることができるとともに、被帯電体上の欠陥部位にも電流集中が極めて起きにくいものにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における画像記録装置の構成略図
【図2】感光体の層構成模型図
【図3】(a)は帯電回路系の模型図、(b)はその等価回路図
【図4】磁気ブラシ帯電器、抵抗器、磁気ブラシ帯電器+直列接続抵抗器の各場合の抵抗特性グラフ
【図5】参考例1における帯電回路系の模型図
【図6】抵抗層を具備させた磁気ブラシ帯電器と、抵抗層を具備させていない磁気ブラシ帯電器の抵抗特性グラフ
【図7】磁気ブラシ帯電器の一例の模型図
【符号の説明】
1 被帯電体としての像担持体(電子写真感光体)
2・2A・20 接触帯電部材としての磁気ブラシ帯電器
21 帯電スリーブ(磁気ブラシ部担持部材)
22 マグネットローラ(磁界発生手段)
23 導電磁性粒子(キャリア)
24 磁気ブラシ層
25 抵抗器
26 抵抗層
3 現像器
4 転写器(転写ローラ)
5 定着器
6 クリーニング器
7 露光器(レーザービームスキャナ)
10 プロセスカートリッジ
S1〜S3 バイアス印加電源
Claims (11)
- 被帯電体に接触する導電磁性粒子の磁気ブラシと、この磁気ブラシを担持する磁気ブラシ担持部材と、を備える磁気ブラシ帯電器であって、被帯電体を帯電する磁気ブラシ帯電器と、
磁気ブラシ担持部材に直流電圧成分と交流電圧成分を備える振動電圧を印加する電圧印加手段と、
磁気ブラシ帯電器、電圧印加手段、被帯電体を備える帯電回路中に接続された抵抗体と、
を有する帯電装置において、
前記磁気ブラシ帯電器単体の抵抗は10 5 〜10 7 Ω(100V印加時)であるとともに、前記導電磁性粒子の抵抗は10 6 〜10 9 Ωcmであり、
前記抵抗体は、磁気ブラシ帯電器単体の抵抗の0.5倍以上であって、かつ帯電回路の抵抗が107Ω以下となるような抵抗を備え、印加電圧の変化に対して、抵抗体の抵抗変動は磁気ブラシ帯電器単体の抵抗変動よりも小さいことを特徴とする帯電装置。 - 前記抵抗体が前記電圧印加手段に直列して接続されている抵抗器であることを特徴とする請求項1に記載の帯電装置。
- 前記抵抗体がヒューズ抵抗器であることを特徴とする請求項1または2に記載の帯電装置。
- 前記抵抗器が可変抵抗器であることを特徴とする請求項2または3に記載の帯電装置。
- 被帯電体は、その表面に109〜1014Ω・cmの電荷注入層を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の帯電装置。
- 像担持体に該像担持体を帯電する工程を含む作像プロセスを適用して画像形成を実行する画像記録装置において、
像担持体の帯電工程手段が、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の帯電装置であることを特徴とする画像記録装置。 - 像担持体が光導電性であり、この像担持体に、該像担持体を帯電する工程、その帯電面に露光により静電潜像を形成する工程、該静電潜像を帯電したトナーにより可視化する工程を有する作像プロセスで画像形成が実行されることを特徴とする請求項6に記載の画像記録装置。
- 像担持体は、その表面に109〜1014Ω・cmの電荷注入層を備えることを特徴とする請求項6または7に記載の画像記録装置。
- 少なくとも、像担持体と、像担持体を帯電する工程手段を包含して画像記録装置本体に対して着脱されるプロセスカートリッジにおいて、
像担持体の帯電工程手段が、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の帯電装置であることを特徴とするプロセスカートリッジ。 - 像担持体が光導電性であることを特徴とする請求項9に記載のプロセスカートリッジ。
- 像像担持体は、その表面に109〜1014Ω・cmの電荷注入層を備えることを特徴とする請求項9または10に記載のプロセスカートリッジ。
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