JP3559512B2 - ステップズームレンズカメラ - Google Patents
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Description
【0001】
【技術分野】
本発明は、カム溝を有するカムリングの回転角を制御してフォーカシングを行うステップズームレンズカメラに関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】
古典的ズームレンズは、ズーミング時には複数の変倍レンズ群を予め定めたズーミング軌跡で移動させてピント位置を移動させることなく焦点距離を変化させ、シャッタレリーズ時には被写体距離に応じてフォーカスレンズ群を移動させるものである。フォーカスレンズ群は、変倍レンズ群とは独立していることもいずれかの変倍レンズ群と共通であることもある。このような古典的ズームレンズは、カム溝を有するカムリングを手動あるいは電動で無段階に回転駆動させる機械式のズームレンズに広く採用されてきた。
【0003】
これに対して、ステップズームレンズは、カム溝を有するカムリングの回転角をパルス制御するタイプのレンズに採用されている。このステップズームレンズは、テレ端からワイド端までを有限段数からなる複数の焦点距離ステップに分割し、各ステップにおいてカムリングの回転角を制御することによって、ズーミングを伴ってフォーカシング動作しながら無限遠から最短撮影距離までの全ての被写体距離に合焦できるように設定することを特徴としており、カムリングの回転角は、被写体距離情報に基づきそのステップ内に存在する焦点距離との組み合わせで合焦するようにパルス制御される。
【0004】
このステップズームレンズは、被写体距離と焦点距離との組み合わせによるフォーカシングテーブルをメモリしておくことにより、シャッタレリーズ時のカムリングの現在位置からのカムリングの回転角を被写体距離に合致するように演算することができるので、基本的にカム溝形状を問わずに、フォーカシングできるという利点がある。このため従来、各ステップ内のカム溝は線形に形成されていた。しかし、カム溝の各ステップを線形に近似すると、カムリングの回転角と像面の移動量との関係が非線形になり、制御が難しくなる。例えば、ステップズームレンズでは、カムリングの回転角をパルス制御できるので、ズーミング調整(各焦点距離でのピント位置を一致させる調整)やfB調整(ピント位置を撮像面(フィルム面)位置に一致させる調整)をカムリングの回転角の設定(補正)で行うことができるが、ステップ内でのカムリングの回転角と像面の移動量との関係が非線形であると、フォーカシング時に、特にfB調整分を含めたパルス数の演算が複雑になる。演算が複雑であると、CPUやメモリなどの制御系の負担が多くなる。
【0005】
【発明の目的】
本発明は、従って、フォーカシングや調整における制御の負担を軽減し、高精度なフォーカシングを行うことができる信頼性の高いステップズームレンズカメラを得ることを目的とする。
【0006】
【発明の概要】
本発明は、カム溝を有するカムリングの回転角をテレ端からワイド端までの有限段数からなる複数の焦点距離ステップに分割し、各ステップにおいてカムリングの回転角を制御することによって、焦点距離を変化させながら無限遠から最短撮影距離までの被写体に合焦可能なステップズームレンズカメラにおいて、各ステップでカムリングの回転に応じて、該カムリングの回転角と線形の関係で光軸方向に移動される、変倍レンズ群を兼ねるフォーカスレンズ群と、カム溝によって案内され、各ステップでカムリングの回転に応じて、該カムリングの回転角と非線形の関係で光軸方向に移動される、変倍レンズ群を兼ねる調整レンズ群とを備え、カム溝の各ステップ部分が、カムリングの回転角と無限遠物体に対するピント位置の移動量とが線形の関係となるように調整レンズ群を移動させる軌跡を有していることを特徴としている。
【0007】
このステップズームレンズカメラでは、ズームレンズ系は上記のフォーカスレンズ群と調整レンズ群の2群構成であり、このうちフォーカスレンズ群は被写体側の前群レンズであり、調整レンズ群は像面側の後群レンズであることが好ましい。
【0008】
さらに、複数のステップ部分で、カムリングの単位回転角とピント位置の移動量が等しくなるように、調整レンズ群の移動軌跡を決定してもよい。
【0009】
以上のステップズームレンズカメラでは、フォーカスレンズ群を、カムリングを停止した状態で該カムリングに対して光軸方向に位置調整可能とし、該フォーカスレンズ群の位置調整によって、各ステップでのピント位置を一致させるズーミング調整を行い、フォーカシング時に、カムリングの回転に応じて上記フォーカスレンズ群と調整レンズ群をそれぞれ所定の軌跡で移動させて、ピント位置を撮像面位置に一致させるfB調整を行うように用いることが望ましい。
【0010】
【発明の実施形態】
図1に示す実施形態を参照して本発明の概念を説明する。この実施形態は、図1のズーム軌跡に示すように、それぞれが変倍レンズである第1レンズ群(フォーカスレンズ群)L1と第2レンズ群(調整レンズ群)L2を備えた2群タイプのズームレンズに本発明を適用したものであり、ワイド端(WIDE)、中間距離(MIDDLE)、テレ端(TELE)の3つの焦点距離ステップを有している。説明を簡単にするため、第1レンズL1と第2レンズ群L2が光軸方向に直進案内され、単一のカムリングに、各レンズ群L1、L2を案内するズーミングカム溝Z1及びZ2が形成されていると仮定する。回転駆動されるカムリングの回転位置は、パルス管理される。
【0011】
第1レンズ群L1を案内するズーミングカム溝Z1は、最もフィルム面(撮像面)Fに接近するワイド端、中間距離、最も離間するテレ端の3つの各ステップにおいて、撮影距離∞としたとき、各ステップ溝Z1−i(i=1〜3)で線形にフィルム面Fとの距離を増減させる軌跡を持っている。換言すれば、各ステップ内では、第1レンズ群L1の光軸方向の変位量は、カムリングの回転角と線形の関係にある。
【0012】
これに対し、第2レンズ群L2用のズーミングカム溝Z2は、ワイド端、中間距離及びテレ端の各ステップに対応する各ステップ溝Z2−i(i=1〜3)の形状が、古典的ズーミング軌跡、すなわち撮影距離∞のとき、第1レンズ群L1とともにピント位置を変化させることなく連続的に焦点距離を変化させる仮想ズーミング軌跡に対して変位するように、それ自体が非線形に形成されている。換言すれば、各ステップ内では、第2レンズ群L2の光軸方向の変位量は、カムリングの回転角と非線形の関係にある。各ステップ溝Z2−iの間には、移行域Z2yが設けられている。
【0013】
以上のカム構造において、カムリングを回転させると、ズーミングカム溝Z1により第1レンズ群L1が移動し、同時に、ズーミングカム溝Z2に従って2群レンズL2が移動する。第1レンズ群L1は、各ステップ溝Z1−iの間の移行域において、その光軸方向の移動量とカムリングの回転角との関係が線形になるように案内される。また、第2レンズ群L2は、各ステップ溝Z2−iの間の移行域Z2yでは前述の仮想ズーミング軌跡に近づくように案内される。
【0014】
そして第1レンズ群L1と第2レンズ群L2が移行域を過ぎていずれかのステップ部分に達すると、カムリングの回転によってズーミングを伴ってフォーカシングがなされる。例えば、カムリングがワイド端ステップの回転位置で回転駆動されると、ズーミングカム溝Z1のステップ溝Z1−1の形状に従って、第1レンズ群L1はカムリングの回転角に対して線形の変位量で移動される。一方、ズーミングカム溝Z2のステップ溝Z2−1の形状に従って、第2レンズ群L2はカムリングの回転角に対して非線形の変位量で、第1レンズ群L1との相対位置を変化させる。この第1レンズ群L1と第2レンズ群L2の相対位置変化によって、ワイド端ステップ内では、無限遠撮影距離(∞)と最短撮影距離(近)の間の各被写体に合焦させることができる。ここではワイド端ステップを例に説明したが、中間距離ステップやテレ端ステップでも同様に、カムリングの回転角を制御することによって無限遠撮影距離から最短撮影距離まで合焦させることができる。なお、フォーカシング時には同時に各ステップ内で焦点距離が変化するが、隣接するステップの焦点距離に至ることはない。例えば、ワイド端ステップの最短撮影距離での焦点距離は、中間距離ステップの無限遠撮影距離での焦点距離になることはない。また、カムリングは移行域で停止することはない。
【0015】
以上のように図1のズームレンズでは、それぞれがカムリングの回転駆動によって所定のズーミング軌跡で移動される変倍レンズ群を構成している第1レンズ群L1と第2レンズ群L2を、有限段数で分割した焦点距離ステップ内では、該カムリングの引き続きの回転駆動によって光軸方向の相対移動が生じるように構成し、カムリングの回転制御によってズーミングとフォーカシングを可能としている。但し、実際の鏡筒構成では、ズーミングカム溝Z1、Z2を単一のカムリングに形成することは種々の不利益や制約があるため、カムリングには、ズーミングカム溝Z2だけを形成するのが好ましい。第1レンズ群L1に関しては、ヘリコイド繰出などの手段で前述の動作を行わせることができる。
【0016】
なお、図1のズームレンズでは、カムリングは、回転に伴って光軸方向に繰り出しされるタイプと、回転時に光軸方向には移動しないタイプのいずれであってもよい。要は、カムリングが回転したときに第1レンズ群L1と第2レンズ群L2に以上のような動きが与えられればよい。
【0017】
本発明は以上の前提において、さらに、ズーミングカム溝Z2におけるステップ溝Z2−iの形状を問題とするものである。すなわち、第1レンズ群L1がズーミングカム溝Z1に従って光軸方向に移動してフォーカシング動作するときに、この第1レンズ群L1の変位量、すなわちカムリングの回転角(駆動パルス数)と、ステップ内での無限遠物体(一定距離の被写体)に対するピント(像面)位置P−iの移動量との関係が線形をなすように、ステップ溝Z2−iを設定したことに特徴がある。以下、その理由と利点を説明する。なお、図1のP−iは、各ステップで無限遠距離から最短撮影距離に合焦するようにカムリングを回転駆動させたときに、無限遠の被写体が結像する位置を示している。
【0018】
この本発明の特徴による作用を説明する前に、カムリングに対する駆動パルス数と一定距離の被写体に対するピント位置の移動量との関係が非線形である場合の問題点を説明する。図2は、この比較例を図示したものである。同比較例では、第1レンズ群L1’に関しては前述の本実施形態と同様に、ステップ溝Z1−i’(i=1〜3)で、第1レンズ群L1’の変位量とカムリングの回転角’が線形の関係となるようにズーミングカム溝Z1’の形状が定められている。なお、ズーミングカム溝Z1’に代えてヘリコイド等でも同様の動きを与えることが可能である。一方、第2レンズ群L2’は、各ステップではフィルム面Fに対する距離が変化しないように、ズーミングカム溝Z2’のステップ溝Z2−i’によって案内されている。このステップ溝Z2−i’の形状は、カムリングが光軸方向に移動せずに回転するタイプのズームレンズであれば、同回転方向と平行になるようにカムリングの周方向に向けて形成した線形カム溝であり、カムリングが回転しながら光軸方向に移動するタイプのズームレンズであれば、カムリングの回転繰出方向とは反対方向に傾斜した、いわば線形の戻りカム溝になる。
【0019】
この比較例では、各ステップで第2レンズ群L2’が光軸方向に移動せず、実質的には第1レンズ群’が光軸方向に単独で移動されて合焦動作を行うフォーカスレンズ群を構成していると言える。このように、ステップ内で第2レンズ群L2’を停止させたままフォーカスレンズ群(第1レンズ群L1’)が移動すれば、カムリングの駆動パルス数とステップ内でのピント位置P−i’(i=1〜3)の移動量との関係は非線形になる。この関係は以下の通りに表される。
ΔP(m)/ΔXi=Mj2−Mi2・Mj2(m)
但し、
ΔP(m):横倍率m時における像面移動量、
ΔXi:第1レンズ群の移動量、
Mi:フォーカスレンズ群(1群)の横倍率
Mj:フォーカスレンズ群よりも像面側の全レンズ群(2群)の横倍率。
【0020】
前述のように、ステップズームレンズカメラでは、ピント調整をカムリングの回転角の設定で行うことができるが、ステップ内においてパルス当たりのピント位置の変位量が非線形であると、ピント調整量を、フォーカシング用にパルス管理されたカムリングの回転角に変換して与えるときの演算が煩雑になる。例えば、ズームレンズにおいて、図3に示すようにフィルム面Fに対するピント位置がPrで示す位置になったとする。fB調整とは、このようにフィルム面Fからのずれ量rが一定であるピント位置Prを、フィルム面Fまでシフトさせて一致させる調整である。ここで、ステップ内におけるパルス当たりのピント位置の変位量が非線形であると、fB調整量(r)に対応するカムリングの回転角を求めるために、非線形に変位するピント位置P−i’の変位量を短いステップにして直線に近似し、各分割域での傾きを求め、この傾きと被写体距離に応じて、fB調整量に対応したカムリングの回転角を求めるというステップを要する。そのためには、複雑な演算を行ったり、多くのデータをメモリに格納させるさせる必要があり、制御の負担が大きくなる。
【0021】
この比較例とした本実施形態の特徴は、第1レンズ群L1をフォーカシングのためにステップ内で移動させた結果、第1レンズ群L1の変位量に対して(無限光に対する)ピント位置の移動軌跡が非線形になるような場合において、当該ピント位置の移動軌跡が非線形にならずに線形となるように、第2レンズ群L2に補正の動きをさせた点にある。つまり、第1レンズ群L1の移動量と(無限光に対する)ピント位置の移動量とが線形の関係になるように、第2レンズ群L2がステップ溝Z2−iに従って移動される。この関係が線形であることは、図1の各ステップにおいてピント位置の変位を表す線P−iが直線であることに表れている。
【0022】
第2レンズ群L2に以上のような補正の動作を与えるには、ズーミングカム溝のステップ溝Z2−iの各々に、Kが一定となるように以下の式を満たす形状を与えればよい。但し、Kは複数のステップそれぞれでは異なっていてもよい。Kが複数ステップ相互で異なるということは、図1でフィルム面Fに対するP−1、P−2、P−3の傾きが異なることを意味する。
ΔP(m)/ΔXi=K
但し、
ΔP(m):横倍率m時における像面移動量、
ΔXi:第1レンズ群の移動量。
【0023】
このようにズーミングカム溝Z2のステップ溝Z2−iの形状を設定すれば、ステップ内でのカムリングの回転角と像面移動量の関係が線形になるので、カムリングの回転角の設定でピント調整、特にfB調整を行う際に、その駆動パルスの演算が簡単になる。具体的には、図3のようにフィルム面Fに対するfB調整前のピント位置がPrで示す位置であるとき、本実施形態の構成によれば、ピント位置Prをフィルム面Fに一致させるためにのピント移動量rと、カムリングの回転角の関係がステップ内で線形であるので、ステップ内では、ピント位置Prをフィルム面Fに一致させる際のカムリングの回転角は一定になる。例えば、図1のワイド端ステップで、無限遠距離(∞)におけるfB調整用のパルス数が10であれば、最短撮影距離(近)までのいずれの被写体距離でも、fB調整用のパルス数は10となる。つまり、1パルス当たりの像面移動量が一定なので、各ステップでは、被写体距離情報に応じたフォーカシング用のパルス数に、一定のfB調整用パルス数を上乗せし、あるいは差し引くだけでfB調整ができ、最終的に決定されるパルス数の演算が容易に行える。実際の制御では、被写体距離情報に応じたフォーカシング用のパルス数を得るための演算式に、このfB調整分のパルス数を予め加味してもよい。
【0024】
なお、図1に示すステップ溝Z2−iの両端部は、無限遠撮影距離と最短撮影距離に対する合焦位置までであるが、ズーミングカム溝Z2は、このステップ溝Z2−iの両側にピント調整用の調整領域を有している。この調整領域は、ステップ溝Z2−iの合焦機構を損なうことなく第2レンズ群L2を光軸方向に移動させる軌跡をなしており、前述のfB調整はこの調整領域を用いて行われる。さらに調整領域は、ステップ溝Z2−iと同じく、カムリングの回転角とピント位置の移動量とが線形の関係となるように第2レンズ群L2を案内させる。つまり、この調整領域とステップ溝Z2−iとが、ズーミングカム溝Z2における実際のステップ部分(有効カム溝領域)を構成している。ズーミングカム溝の調整領域に関しては、後述の具体的な構成例に詳しく示す。
【0025】
以上の説明では、単一のステップ内でカムリングの回転角とピント位置の移動量を線形の関係にすることに着目したが、これに加えて、複数のステップで、カムリングの単位回転角とピント位置の移動量が等しくなるように、ズーミングカム溝Z2の各ステップ溝Z2−iを形成することもできる。すなわち、図1で言えば、ピント位置の変位を示すP−1、P−2、P−3の、フィルム面Fに対する傾きを等しくさせるようなカム溝形状になる。このカム溝形状を得るには、ステップ溝Z2−iを示す先の式、ΔP(m)/ΔXi=Kで、Kが複数の分割ステップ相互でも常に一定となるようにステップ溝Z2−iの形状を設定すればよい。該構成によれば、ワイド端、中間距離、テレ端の各ステップで、同じ角度カムリングを回転させたときのピント位置移動量が共通になるので、fB調整を含めたフォーカシング制御がより簡単になる。
【0026】
本実施形態のズームレンズでは、複数の焦点距離ステップでのピント位置を一致させるためのズーミング調整を、ズーミングカム溝Z2の軌跡に従って第2レンズ群L2の動作によって行わせることも原理的には可能であるが、ソフト的な制御を簡単にするという観点からは、第1レンズ群L1の機械的位置の調整によってズーミング調整を行うことが望ましい。具体的な構成例は後述するが、第2レンズ群L2を案内するカムリングとヘリコイド結合されている別の直進筒を設けて、この直進筒に第1レンズ群L1を光軸方向に位置調整可能に支持させれば、第1レンズ群L1を単独で光軸方向に移動させてズーミング調整を行うことができる。これにより、ズーミングカム溝Z2におけるピント調整用の負担領域を減らし、余裕をもってフォーカシング及びfB調整を行わせることが可能になる。
【0027】
本発明は、以上のようなズーミングカム溝Z2を有するカムリングをパルス管理して回転させることで、ステップズーミングを行うカメラ一般に適用することができ、その具体的な機構は問わないが、次に2群ズームレンズに適用した機械的な構成例を図4以下を参照して説明する。なお、以下の説明において、光軸方向あるいは光軸と平行な方向とは、カメラ完成状態における撮影レンズの撮影光軸Oに沿う方向を指すものとする。
【0028】
ステップズームレンズカメラの本体部には、ズームレンズ鏡筒11を構成するハウジング12が固定され、該ハウジング12の内側には固定鏡筒13が固定されている。この固定鏡筒13の内周面には雌ヘリコイド14が形成されており、さらに雌ヘリコイド14の形成領域を一部切除して、光軸Oと平行な一対の直進案内溝15が形成されている。
【0029】
固定鏡筒13には光軸方向へ長く切欠部が形成されていて、この切欠部に多連ピニオン16が取り付けられる。多連ピニオン16は、光軸Oと平行な回動中心で回動可能に支持され、そのピニオン部の歯面が固定鏡筒13の内側に突出されている。ハウジング12には、モータ支持板17を介してズームモータ18が設置されており、このズームモータ18の駆動軸の回転は、ズームギヤ列19を介して多連ピニオン16に伝達される。
【0030】
ズームモータ18の駆動軸には複数のスリットが形成されたスリット円板20が固定されており、このスリット円板20の回転をフォトインタラプタ21で検出することにより、ズームモータ18の駆動量を検出することができる。ズームレンズ鏡筒11の繰出及び収納動作量はズームモータ18の駆動量に応じたものであるから、このスリット円板20とフォトインタラプタ21からなるパルス検出機構を用いて、後述するカムリング25の回転角をパルス制御することができる。
【0031】
固定鏡筒13の雌ヘリコイド14には、カムリング25の外周面の後端付近に形成された雄ヘリコイド26が螺合されている。雄ヘリコイド26の光軸方向の幅は、カムリング25の最大繰出時に外観に露出しない程度に形成されている。このカムリング25にはさらに、雄ヘリコイド26が形成された同一周面上に、雄ヘリコイド26と平行な領域で複数の外周ギヤ部27が設けられている。それぞれの外周ギヤ部27の歯は光軸Oと平行な方向に形成されており、これに前述の多連ピニオン16が噛合している。
【0032】
カムリング25の内部には、直進案内環28が配設されている。直進案内環28の後端部付近には半径方向外方に突出する外方フランジ29を有し、さらに直進案内間28の後端面には直進案内板30が固定されている。この外方フランジ29と直進案内板30によって、カムリング25後端部に設けた内方フランジ31を挟むことによって、直進案内環28はカムリング25に対して、光軸方向には相対移動不能かつ相対回転は可能に結合される。
【0033】
また直進案内板30には、周方向に位置を異ならせて、半径方向外方に一対の直進案内突起32が突設されている。それぞれの直進案内突起32は、固定鏡筒13に形成した前述の直進案内溝15にそれぞれ摺動可能に係合している。従って、直進案内環28及び直進案内板30は、光軸方向にはカムリング25と一体に移動されるが、撮影光軸Oを中心とする周方向には固定鏡筒13に対する相対回転が規制されている。つまり直進案内されている。
【0034】
以上のカムリング25と直進案内環28がズームレンズ鏡筒11の第1の繰出段部を構成する。この第1繰出段部は、ズームモータ18によって多連ピニオン16が所定のレンズ繰出方向に回転されると、外周ギヤ部27を介してカムリング25が回転され、雌ヘリコイド14と雄ヘリコイド26の関係によって固定鏡筒13からカムリング25が回転しながら繰り出される。同時に、直進案内環28とカムリング25は相対回転可能に結合されているため、直進案内環28は、固定鏡筒13に対して直進案内されながらカムリング25と共に撮影光軸に沿って移動する。
【0035】
カムリング25と直進案内環28の間には、レンズ支持筒35が位置している。レンズ支持筒35の内側にはシャッタ取付環36が固定され、シャッタ取付環36の前端部にはシャッタブロック37が固定されている。シャッタブロック37はシャッタブレード38を開閉させるためのシャッタ駆動モータ34(図13)を内蔵しており、シャッタ用FPC(フレキシブルプリント回路)44を介してCPU60(図13)から送られるシャッタ開閉信号に応じてシャッタブレード38を開閉させることができる。
【0036】
シャッタブロック37はさらに、1群レンズ枠39を介して第1レンズ群(フォーカスレンズ群)L1を支持している。1群レンズ枠39の外周面とシャッタブロック37の内周面には、互いに螺合する調整ねじ24が形成されており、第1レンズ枠39は、シャッタブロック37やレンズ支持筒35に対して、調整ねじ24に従って光軸方向位置を調整することができる。この光軸方向位置の調整の際には、1群レンズ枠39とレンズ支持筒35の間に設けたフリクション部材33によって、1群レンズ枠39の位置は安定させることができる。1群レンズ枠39の位置が決まったら、例えば接着剤P(図9にのみ示す)でレンズ支持筒35に固定させる。よって鏡筒完成状態では、第1レンズ群L1はレンズ支持筒35に固定され、レンズ支持筒35と一体的に光軸方向へ移動されるようになる。
【0037】
図4に示すように、直進案内環28は、周面が3つの部分円筒状の直進案内部40に分割された、不完全な筒型形状をなしている。一方、レンズ支持筒35に固定されたシャッタ取付環36には、それぞれが光軸Oと平行な方向へ向かう3つの第1直進案内溝41と3つの第2直進案内溝42が、周方向に交互に形成されている。このうち、それぞれの第1直進案内溝41には、直進案内環28の3つの直進案内部40の各々が嵌合している。この直進案内溝41と直進案内部40との嵌合関係によって、シャッタ取付環36とレンズ支持筒35とシャッタブロック37とは、光軸方向に直進案内される。
【0038】
レンズ支持筒35の後端付近の外周面には雄ヘリコイド45が形成されており、この雄ヘリコイド45は、カムリング25の内周面に形成した雌ヘリコイド46に螺合している。カムリング25が回転すると雌ヘリコイド46と雄ヘリコイド45の螺合関係によって、直進案内環28を介して直進案内されたレンズ支持筒35が、カムリング25(第1の繰出段部)に対して光軸方向に前後移動される。つまり、レンズ支持筒35は、ズームレンズ鏡筒11の第2段目の繰出段部を構成している。第1レンズ群L1は、このレンズ支持筒35と共に光軸方向に移動する。
【0039】
また、シャッタ取付環36の第2直進案内溝42には、第2レンズ群(調整レンズ群)L2を支持する2群レンズ枠47に設けた3つの直進案内部48が光軸方向に摺動可能に嵌合している。この直進案内部48と第2直進案内溝42の嵌合関係により、2群レンズ枠47は直進案内される。2群レンズ枠47の各直進案内部48からは、半径方向外方へ向けてカムローラ49が突設されており、このカムローラ49が、カムリング25の内周面に形成した2群案内カム溝50に摺動可能に嵌まっている。2群案内カム溝50は撮影光軸Oに対して所定の傾斜を有しており、カムリング25が回転したときには、該2群案内カム溝50とカムローラ49の関係によって、直進案内された2群レンズ枠47がレンズ支持筒35に対して光軸方向に前後移動される。つまり、カムリング25が回転したときには、第2レンズ群L2は、2群案内カム溝50の形状に従って、第1レンズ群L1に対して光軸方向に相対移動する。
【0040】
本ステップズームレンズカメラでは、第1レンズ群L1は、ヘリコイドによって、カムリング25の回転角に対して線形の軌跡で光軸方向に移動される。一方、第2レンズ群L2は、ステップ内でこの第1レンズ群L1との相対間隔が変化してピント位置が変わるように、2群案内カム溝50によって案内されている。この2群案内カム溝50が、図1を参照して説明したズーミングカム溝Z2に相当するカムである。
【0041】
2群案内カム溝50の展開形状を図12に示す。2群案内カム溝50は、ワイド端からテレ端までのズーミング域内において、1ないし4の4ステップに分割された非線形の軌跡を持っている。この2群案内カム溝50の分割ステップ溝を、ワイド端側から順に、ステップ溝50−i(i=1〜4)とする。ステップ溝50−iは、各ステップ内において、それぞれ無限遠撮影距離(∞)と最短撮影距離(近)の間の各被写体の合焦位置に2群レンズL2を移動させることができる軌跡であり、前述の仮想ズーミング軌跡に対して変位している。
【0042】
各ステップ溝50−iの両端部には調整領域50aが設けられている。この調整領域50aもステップ溝50−iと同様に合焦機能を備える形状を有しており、ステップ溝50−iの端部を両側の調整領域50a内で動かしても、各ステップ溝50−i内での合焦動作は、全く同様に行うことができる。図12で具体的に説明すると、基本のステップ溝50−4をステップ溝50−4’のように、調整領域50aを用いて変化させても、合焦動作は全く同様に行うことができる。
【0043】
つまり、2群案内カム溝50においては、ステップ溝50−iを挟んで両側の調整領域50aまでが、4段の各焦点距離ステップで用いられるステップ部分(有効カム溝領域)56−i(i=1〜4)を構成している。それぞれのステップ部分56−iは、図1でのステップ溝Z2−iとその両側の調整領域に対応しており、カムリング25の回転角と無限遠物体に対するピント位置の移動量とが線形の関係となるように第2レンズ群L2を移動させる軌跡を有している。
【0044】
4段に分けられたステップ部分56−1、56−2、56−3、56−4の間には、移行域50bが設けられている。移行域50bは、隣接するステップ部分56−iを接続するカム溝であり、各ステップ部分56−iを前述した仮想のズーミング軌跡に近づける作用をする。また、2群案内用カム溝50は、鏡筒収納時にカムローラ49を案内する収納域50cを有しており、この収納域50cとワイド端ステップ用のステップ部分56−1との間にも移行域50dが設けられている。さらに、ステップ溝50−4を含むテレ端側のステップ部分56−4の先には、カムローラ49を2群案内カム溝50内に導入させるための導入部50eが形成されている。
【0045】
ワイド端からテレ端までの焦点距離の各ステップや鏡筒収納位置は、固定鏡筒13の内周面に固定したコード板51と、第1の繰出段部を構成する直進案内板30に固定されたブラシ52との摺接位置の変化によって、有限段数の距離情報として検出することができる。コード板51はリード線55を介してCPU60に接続されており、固定鏡筒13に対する直進案内板30(第1の繰出段部)の光軸方向移動に応じてコード板51とブラシ52の摺接位置が変化すると焦点距離ステップが検出される。ブラシ52は、ブラシ押え板53と固定ねじ54を介して直進案内板30に固定されている。
【0046】
また、ズームレンズ鏡筒11の前端部には、鏡筒収納状態で第1レンズ群L1の前方空間を閉じ、撮影状態で開く開閉バリヤ機構が設けられている。開閉バリヤ機構は、レンズ支持筒35の前端付近に設けたバリヤ取付台70に支持された一対のバリヤ羽根71、該一対のバリヤ羽根71を閉じ方向に付勢するバリヤ付勢ばね72、バリヤ駆動環73などを備えている。バリヤ駆動環73は、ズームレンズ鏡筒11を構成するレンズ支持筒35の光軸方向の進退動作に応じて回転し、一対のバリヤ羽根71を開閉させる。
【0047】
レンズ支持筒35の前方には、この開閉バリヤ機構の前部を覆う化粧板75が設けられ、該化粧板75の前面は化粧リング76で覆われている。また、カムリング25の前端部には別の化粧リング77が装着されている。さらに、固定鏡筒13の前部は、カメラの本体部を構成する前カバー78で覆われている。
【0048】
図13に示すように、ズームレンズカメラ10はさらに、ズーム操作部材61、シャッタレリーズ部材62、測距モジュール63及び測光モジュール64を備えており、これらの各部材はCPU60に接続されている。ズーム操作部材61は、ズームレンズ鏡筒11にズーミング指令、すなわちワイド側からテレ側への移動指令、及びテレ側からワイド側への移動指令を与えるものである。シャッタレリーズ部材62は、レリーズボタンから構成されるもので、その一段押しで測距モジュール63への測距指令と測光モジュール64への測光指令を与え、二段押しでシャッタブロック37のシャッタ駆動モータ34を動作させる。シャッタ駆動モータ34は、測光モジュール64からの測光出力を受けて、シャッタブレード38を所定時間開放する。また、CPU60に接続するROM(EEPROM)65が設けられている。
【0049】
ROM65には、各ステップ内において、無限遠撮影距離(∞)から最短撮影距離(近)の間の被写体への合焦位置にズームレンズ系を移動させるためのカムリング25の回転角(パルス数)を求めるための演算式がメモリされている。この演算式には、各ステップで必要とされるfB調整因子、すなわちfB調整用のパルス数が予め含まれている。
【0050】
この具体例では、ズーミング調整は鏡筒組立時に第1レンズ群L1の光軸方向位置を調整することで行う。前述の通り、第1レンズ群L1は、調整ねじ24に従ってレンズ支持筒35内での光軸方向位置を調整可能であり、該調整を行うと、停止状態のカムリング25に対して光軸方向に変位することになる。よって、各焦点距離ステップでのピント位置が一致するように第1レンズ群L1を光軸方向に位置調整してから接着剤Pで固定すれば、ズーミング調整がなされる。
【0051】
以上のステップズームレンズカメラのズームレンズ系は、次のように動作する。図9の鏡筒収納状態あるいは図10のワイド端からズームモータ18が繰出方向に駆動されると、固定鏡筒13からカムリング25が回転して繰り出され、直進案内環28は、固定鏡筒13によって直進案内されながらカムリング25と共に前方へ移動する。カムリング25が回転繰出されると、該カムリング25の内周面とヘリコイド結合されかつ直進案内されたレンズ支持筒35が、第1レンズ群L1と共にさらに光軸前方に移動される。同時に、第2レンズ群L2は、2群案内カム溝50の案内によって、レンズ支持筒35の内側を第1レンズ群L1とは異なる軌跡で移動する。よって、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2は、互いの間隔を相対的に変化させつつ全体として光軸前方に移動され、ズーミングが行われる。図11のテレ端からズームモータ18を収納方向に駆動させると、ズームレンズ鏡筒11と各レンズ群L1、L2は鏡筒繰出時とは反対に動作する。
【0052】
各焦点距離ステップでのフォーカシング動作は次のように制御される。ズーム操作部材61を操作して以上の鏡筒繰出または収納動作が行われると、コード板51とブラシ52が摺接されて複数に分割された焦点距離ステップのいずれかが検出される。本実施形態では、各ステップの収納(ワイド端)側の所定位置にステップ検出位置が設定されていて、このステップ検出位置から少し繰り出た位置にフォーカシング時のパルスカウントの基準位置が設定される。図示しないが、本ズームカメラは撮影光学系とは別にファインダ光学系を有しているため、ズーム操作の時点では合焦させる必要はない。よってズーム操作を解除すると、ズームレンズ鏡筒11は、各ステップのパルスカウント基準位置よりも鏡筒収納方向の待機位置で停止する。
【0053】
この待機状態においてレリーズボタンが半押しされ、測距モジュール63による測距動作が行われるとCPU60が被写体距離を検出する。すると、この被写体へ合焦する位置にズームレンズ系を移動させるためのカムリング25の回転角が、ROM65内に格納された演算式に基づいてCPU60により演算される。この演算式にはfB調整因子も含まれているため、演算により得られたカムリング25の回転角には、当該ステップでfB調整を行わせる分のパルス数が含まれている。そして、演算されたカムリング25の回転角度位置は、パルスカウント基準位置におけるカムリング25の回転角度位置と比較され、カムリング25を該基準位置から合焦用の回転角度位置まで駆動するために必要なズームモータ18の駆動パルスが決定される。
【0054】
ここでレリーズボタンが全押しされてシャッタレリーズ部材62からオン信号が入力されると、ズームモータ18を駆動してズームレンズ鏡筒11を繰出方向に動作させ、ブラシ52とコード板51の接点接触時点、すなわちパルスカウント基準位置からズームモータ18のパルスカウントを開始する。このパルスカウントは、前述のスリット円板20とフォトインタラプタ21を用いて行う。そして、先に演算により決定したパルス数が検出されるとズームモータ18を停止してズームレンズ系を合焦位置に保持し、シャッタ駆動モータ34によりシャッタブレード38を開閉させて撮影が行われる。撮影後には、ズームレンズ鏡筒11は再びステップごとの待機位置まで戻る。こうして、ソフト的なピント調整(fB調整)を伴った合焦動作をズームレンズ系に行わせることができる。なお、本具体例では、シャッタレリーズ時に合焦動作を行うようにしているが、フォーカシングの駆動形態はこれには限定されず、例えば測距完了時点でフォーカシングを行っても構わない。また、各ステップでのズームレンズ鏡筒の待機位置も以上の説明と異なっていてもよい。
【0055】
以上のフォーカシング制御においては、カムリング25の回転角と無限遠物体に対するピント位置の移動量が線形の関係になるように第2レンズ群L2を移動させるべく、2群案内カム溝50の各ステップ部分56−iを形成したので、ソフト的にfB調整を行う際の演算を簡単にすることができる。よって、当該フォーカシング制御におけるCPU60の負担を小さくしたり、ROM65が記憶するべきデータを少なくできる。制御の負担が軽減されればそれだけ安価なCPUやメモリを用いることができ、カメラのコストダウンを図ることが可能となる。また、制御が容易であれば、それだけ信頼性が高いズームレンズを得ることができる。
【0056】
また、機械構成的な観点からは、fB調整をソフト的に行っているため、ズームレンズ系全体を光軸方向に移動させるような大がかりなfB調整機構を不要にできる。ズーミング調整は、第1レンズ群L1のみの簡単な位置調整で行うことができる。従って、機械的なピント調整機構は最低限にすることができ、鏡筒構成の簡略化や製造コストの軽減を図ることができる。
【0057】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、フォーカシングや調整における制御の負担を軽減した、高精度なフォーカシングを行うことができる信頼性の高いステップズームレンズカメラが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるステップズームレンズカメラを2群ズームレンズに適用した場合のズーミング軌跡(カム溝形状)例を示す図である。
【図2】比較例として示す、図1に対応する2群レンズ用軌跡図である。
【図3】fB調整の概念を示す図である。
【図4】本発明によるステップズームレンズカメラを2群ズームレンズに適用した場合の具体的な機械構成を示す、ズームレンズ鏡筒の収納状態の分解斜視図である。
【図5】図4のズームレンズ鏡筒の一部を拡大して示す分解斜視図である。
【図6】図4のズームレンズ鏡筒の一部を拡大して示す分解斜視図である。
【図7】図4のズームレンズ鏡筒の一部を拡大して示す分解斜視図である。
【図8】図4のズームレンズ鏡筒の一部を拡大して示す分解斜視図である。
【図9】図4のズームレンズ鏡筒の収納状態を示す上半断面図である。
【図10】図4のズームレンズ鏡筒のワイド端における上半断面図である。
【図11】図4のズームレンズ鏡筒のテレ端における上半断面図である。
【図12】カムリングの展開図である。
【図13】図4ないし図12に機械的構成を示すステップズームレンズカメラの制御回路系を示すブロック図である。
【符号の説明】
11 ズームレンズ鏡筒
12 ハウジング
13 固定鏡筒
18 ズームモータ
20 スリット円板
21 フォトインタラプタ
25 カムリング
28 直進案内環
35 レンズ支持筒
39 1群レンズ枠
47 2群レンズ枠
49 カムローラ
50 2群案内カム溝
50−1 50−2 50−3 50−4 ステップ溝
50a 調整領域
50b 50d 移行域
50c 収納域
50e 導入部
51 コード板
52 ブラシ
56−1 56−2 56−3 56−4 ステップ部分
60 CPU
65 ROM
L1 第1レンズ群(フォーカスレンズ群)
L2 第1レンズ群(調整レンズ群)
O 撮影光軸
P−1 P−2 P−3 ピント位置
Z1 Z2 ズーミングカム溝
Z1−1 Z1−2 Z1−3 ステップ溝
Z2−1 Z2−2 Z2−3 ステップ溝
【技術分野】
本発明は、カム溝を有するカムリングの回転角を制御してフォーカシングを行うステップズームレンズカメラに関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】
古典的ズームレンズは、ズーミング時には複数の変倍レンズ群を予め定めたズーミング軌跡で移動させてピント位置を移動させることなく焦点距離を変化させ、シャッタレリーズ時には被写体距離に応じてフォーカスレンズ群を移動させるものである。フォーカスレンズ群は、変倍レンズ群とは独立していることもいずれかの変倍レンズ群と共通であることもある。このような古典的ズームレンズは、カム溝を有するカムリングを手動あるいは電動で無段階に回転駆動させる機械式のズームレンズに広く採用されてきた。
【0003】
これに対して、ステップズームレンズは、カム溝を有するカムリングの回転角をパルス制御するタイプのレンズに採用されている。このステップズームレンズは、テレ端からワイド端までを有限段数からなる複数の焦点距離ステップに分割し、各ステップにおいてカムリングの回転角を制御することによって、ズーミングを伴ってフォーカシング動作しながら無限遠から最短撮影距離までの全ての被写体距離に合焦できるように設定することを特徴としており、カムリングの回転角は、被写体距離情報に基づきそのステップ内に存在する焦点距離との組み合わせで合焦するようにパルス制御される。
【0004】
このステップズームレンズは、被写体距離と焦点距離との組み合わせによるフォーカシングテーブルをメモリしておくことにより、シャッタレリーズ時のカムリングの現在位置からのカムリングの回転角を被写体距離に合致するように演算することができるので、基本的にカム溝形状を問わずに、フォーカシングできるという利点がある。このため従来、各ステップ内のカム溝は線形に形成されていた。しかし、カム溝の各ステップを線形に近似すると、カムリングの回転角と像面の移動量との関係が非線形になり、制御が難しくなる。例えば、ステップズームレンズでは、カムリングの回転角をパルス制御できるので、ズーミング調整(各焦点距離でのピント位置を一致させる調整)やfB調整(ピント位置を撮像面(フィルム面)位置に一致させる調整)をカムリングの回転角の設定(補正)で行うことができるが、ステップ内でのカムリングの回転角と像面の移動量との関係が非線形であると、フォーカシング時に、特にfB調整分を含めたパルス数の演算が複雑になる。演算が複雑であると、CPUやメモリなどの制御系の負担が多くなる。
【0005】
【発明の目的】
本発明は、従って、フォーカシングや調整における制御の負担を軽減し、高精度なフォーカシングを行うことができる信頼性の高いステップズームレンズカメラを得ることを目的とする。
【0006】
【発明の概要】
本発明は、カム溝を有するカムリングの回転角をテレ端からワイド端までの有限段数からなる複数の焦点距離ステップに分割し、各ステップにおいてカムリングの回転角を制御することによって、焦点距離を変化させながら無限遠から最短撮影距離までの被写体に合焦可能なステップズームレンズカメラにおいて、各ステップでカムリングの回転に応じて、該カムリングの回転角と線形の関係で光軸方向に移動される、変倍レンズ群を兼ねるフォーカスレンズ群と、カム溝によって案内され、各ステップでカムリングの回転に応じて、該カムリングの回転角と非線形の関係で光軸方向に移動される、変倍レンズ群を兼ねる調整レンズ群とを備え、カム溝の各ステップ部分が、カムリングの回転角と無限遠物体に対するピント位置の移動量とが線形の関係となるように調整レンズ群を移動させる軌跡を有していることを特徴としている。
【0007】
このステップズームレンズカメラでは、ズームレンズ系は上記のフォーカスレンズ群と調整レンズ群の2群構成であり、このうちフォーカスレンズ群は被写体側の前群レンズであり、調整レンズ群は像面側の後群レンズであることが好ましい。
【0008】
さらに、複数のステップ部分で、カムリングの単位回転角とピント位置の移動量が等しくなるように、調整レンズ群の移動軌跡を決定してもよい。
【0009】
以上のステップズームレンズカメラでは、フォーカスレンズ群を、カムリングを停止した状態で該カムリングに対して光軸方向に位置調整可能とし、該フォーカスレンズ群の位置調整によって、各ステップでのピント位置を一致させるズーミング調整を行い、フォーカシング時に、カムリングの回転に応じて上記フォーカスレンズ群と調整レンズ群をそれぞれ所定の軌跡で移動させて、ピント位置を撮像面位置に一致させるfB調整を行うように用いることが望ましい。
【0010】
【発明の実施形態】
図1に示す実施形態を参照して本発明の概念を説明する。この実施形態は、図1のズーム軌跡に示すように、それぞれが変倍レンズである第1レンズ群(フォーカスレンズ群)L1と第2レンズ群(調整レンズ群)L2を備えた2群タイプのズームレンズに本発明を適用したものであり、ワイド端(WIDE)、中間距離(MIDDLE)、テレ端(TELE)の3つの焦点距離ステップを有している。説明を簡単にするため、第1レンズL1と第2レンズ群L2が光軸方向に直進案内され、単一のカムリングに、各レンズ群L1、L2を案内するズーミングカム溝Z1及びZ2が形成されていると仮定する。回転駆動されるカムリングの回転位置は、パルス管理される。
【0011】
第1レンズ群L1を案内するズーミングカム溝Z1は、最もフィルム面(撮像面)Fに接近するワイド端、中間距離、最も離間するテレ端の3つの各ステップにおいて、撮影距離∞としたとき、各ステップ溝Z1−i(i=1〜3)で線形にフィルム面Fとの距離を増減させる軌跡を持っている。換言すれば、各ステップ内では、第1レンズ群L1の光軸方向の変位量は、カムリングの回転角と線形の関係にある。
【0012】
これに対し、第2レンズ群L2用のズーミングカム溝Z2は、ワイド端、中間距離及びテレ端の各ステップに対応する各ステップ溝Z2−i(i=1〜3)の形状が、古典的ズーミング軌跡、すなわち撮影距離∞のとき、第1レンズ群L1とともにピント位置を変化させることなく連続的に焦点距離を変化させる仮想ズーミング軌跡に対して変位するように、それ自体が非線形に形成されている。換言すれば、各ステップ内では、第2レンズ群L2の光軸方向の変位量は、カムリングの回転角と非線形の関係にある。各ステップ溝Z2−iの間には、移行域Z2yが設けられている。
【0013】
以上のカム構造において、カムリングを回転させると、ズーミングカム溝Z1により第1レンズ群L1が移動し、同時に、ズーミングカム溝Z2に従って2群レンズL2が移動する。第1レンズ群L1は、各ステップ溝Z1−iの間の移行域において、その光軸方向の移動量とカムリングの回転角との関係が線形になるように案内される。また、第2レンズ群L2は、各ステップ溝Z2−iの間の移行域Z2yでは前述の仮想ズーミング軌跡に近づくように案内される。
【0014】
そして第1レンズ群L1と第2レンズ群L2が移行域を過ぎていずれかのステップ部分に達すると、カムリングの回転によってズーミングを伴ってフォーカシングがなされる。例えば、カムリングがワイド端ステップの回転位置で回転駆動されると、ズーミングカム溝Z1のステップ溝Z1−1の形状に従って、第1レンズ群L1はカムリングの回転角に対して線形の変位量で移動される。一方、ズーミングカム溝Z2のステップ溝Z2−1の形状に従って、第2レンズ群L2はカムリングの回転角に対して非線形の変位量で、第1レンズ群L1との相対位置を変化させる。この第1レンズ群L1と第2レンズ群L2の相対位置変化によって、ワイド端ステップ内では、無限遠撮影距離(∞)と最短撮影距離(近)の間の各被写体に合焦させることができる。ここではワイド端ステップを例に説明したが、中間距離ステップやテレ端ステップでも同様に、カムリングの回転角を制御することによって無限遠撮影距離から最短撮影距離まで合焦させることができる。なお、フォーカシング時には同時に各ステップ内で焦点距離が変化するが、隣接するステップの焦点距離に至ることはない。例えば、ワイド端ステップの最短撮影距離での焦点距離は、中間距離ステップの無限遠撮影距離での焦点距離になることはない。また、カムリングは移行域で停止することはない。
【0015】
以上のように図1のズームレンズでは、それぞれがカムリングの回転駆動によって所定のズーミング軌跡で移動される変倍レンズ群を構成している第1レンズ群L1と第2レンズ群L2を、有限段数で分割した焦点距離ステップ内では、該カムリングの引き続きの回転駆動によって光軸方向の相対移動が生じるように構成し、カムリングの回転制御によってズーミングとフォーカシングを可能としている。但し、実際の鏡筒構成では、ズーミングカム溝Z1、Z2を単一のカムリングに形成することは種々の不利益や制約があるため、カムリングには、ズーミングカム溝Z2だけを形成するのが好ましい。第1レンズ群L1に関しては、ヘリコイド繰出などの手段で前述の動作を行わせることができる。
【0016】
なお、図1のズームレンズでは、カムリングは、回転に伴って光軸方向に繰り出しされるタイプと、回転時に光軸方向には移動しないタイプのいずれであってもよい。要は、カムリングが回転したときに第1レンズ群L1と第2レンズ群L2に以上のような動きが与えられればよい。
【0017】
本発明は以上の前提において、さらに、ズーミングカム溝Z2におけるステップ溝Z2−iの形状を問題とするものである。すなわち、第1レンズ群L1がズーミングカム溝Z1に従って光軸方向に移動してフォーカシング動作するときに、この第1レンズ群L1の変位量、すなわちカムリングの回転角(駆動パルス数)と、ステップ内での無限遠物体(一定距離の被写体)に対するピント(像面)位置P−iの移動量との関係が線形をなすように、ステップ溝Z2−iを設定したことに特徴がある。以下、その理由と利点を説明する。なお、図1のP−iは、各ステップで無限遠距離から最短撮影距離に合焦するようにカムリングを回転駆動させたときに、無限遠の被写体が結像する位置を示している。
【0018】
この本発明の特徴による作用を説明する前に、カムリングに対する駆動パルス数と一定距離の被写体に対するピント位置の移動量との関係が非線形である場合の問題点を説明する。図2は、この比較例を図示したものである。同比較例では、第1レンズ群L1’に関しては前述の本実施形態と同様に、ステップ溝Z1−i’(i=1〜3)で、第1レンズ群L1’の変位量とカムリングの回転角’が線形の関係となるようにズーミングカム溝Z1’の形状が定められている。なお、ズーミングカム溝Z1’に代えてヘリコイド等でも同様の動きを与えることが可能である。一方、第2レンズ群L2’は、各ステップではフィルム面Fに対する距離が変化しないように、ズーミングカム溝Z2’のステップ溝Z2−i’によって案内されている。このステップ溝Z2−i’の形状は、カムリングが光軸方向に移動せずに回転するタイプのズームレンズであれば、同回転方向と平行になるようにカムリングの周方向に向けて形成した線形カム溝であり、カムリングが回転しながら光軸方向に移動するタイプのズームレンズであれば、カムリングの回転繰出方向とは反対方向に傾斜した、いわば線形の戻りカム溝になる。
【0019】
この比較例では、各ステップで第2レンズ群L2’が光軸方向に移動せず、実質的には第1レンズ群’が光軸方向に単独で移動されて合焦動作を行うフォーカスレンズ群を構成していると言える。このように、ステップ内で第2レンズ群L2’を停止させたままフォーカスレンズ群(第1レンズ群L1’)が移動すれば、カムリングの駆動パルス数とステップ内でのピント位置P−i’(i=1〜3)の移動量との関係は非線形になる。この関係は以下の通りに表される。
ΔP(m)/ΔXi=Mj2−Mi2・Mj2(m)
但し、
ΔP(m):横倍率m時における像面移動量、
ΔXi:第1レンズ群の移動量、
Mi:フォーカスレンズ群(1群)の横倍率
Mj:フォーカスレンズ群よりも像面側の全レンズ群(2群)の横倍率。
【0020】
前述のように、ステップズームレンズカメラでは、ピント調整をカムリングの回転角の設定で行うことができるが、ステップ内においてパルス当たりのピント位置の変位量が非線形であると、ピント調整量を、フォーカシング用にパルス管理されたカムリングの回転角に変換して与えるときの演算が煩雑になる。例えば、ズームレンズにおいて、図3に示すようにフィルム面Fに対するピント位置がPrで示す位置になったとする。fB調整とは、このようにフィルム面Fからのずれ量rが一定であるピント位置Prを、フィルム面Fまでシフトさせて一致させる調整である。ここで、ステップ内におけるパルス当たりのピント位置の変位量が非線形であると、fB調整量(r)に対応するカムリングの回転角を求めるために、非線形に変位するピント位置P−i’の変位量を短いステップにして直線に近似し、各分割域での傾きを求め、この傾きと被写体距離に応じて、fB調整量に対応したカムリングの回転角を求めるというステップを要する。そのためには、複雑な演算を行ったり、多くのデータをメモリに格納させるさせる必要があり、制御の負担が大きくなる。
【0021】
この比較例とした本実施形態の特徴は、第1レンズ群L1をフォーカシングのためにステップ内で移動させた結果、第1レンズ群L1の変位量に対して(無限光に対する)ピント位置の移動軌跡が非線形になるような場合において、当該ピント位置の移動軌跡が非線形にならずに線形となるように、第2レンズ群L2に補正の動きをさせた点にある。つまり、第1レンズ群L1の移動量と(無限光に対する)ピント位置の移動量とが線形の関係になるように、第2レンズ群L2がステップ溝Z2−iに従って移動される。この関係が線形であることは、図1の各ステップにおいてピント位置の変位を表す線P−iが直線であることに表れている。
【0022】
第2レンズ群L2に以上のような補正の動作を与えるには、ズーミングカム溝のステップ溝Z2−iの各々に、Kが一定となるように以下の式を満たす形状を与えればよい。但し、Kは複数のステップそれぞれでは異なっていてもよい。Kが複数ステップ相互で異なるということは、図1でフィルム面Fに対するP−1、P−2、P−3の傾きが異なることを意味する。
ΔP(m)/ΔXi=K
但し、
ΔP(m):横倍率m時における像面移動量、
ΔXi:第1レンズ群の移動量。
【0023】
このようにズーミングカム溝Z2のステップ溝Z2−iの形状を設定すれば、ステップ内でのカムリングの回転角と像面移動量の関係が線形になるので、カムリングの回転角の設定でピント調整、特にfB調整を行う際に、その駆動パルスの演算が簡単になる。具体的には、図3のようにフィルム面Fに対するfB調整前のピント位置がPrで示す位置であるとき、本実施形態の構成によれば、ピント位置Prをフィルム面Fに一致させるためにのピント移動量rと、カムリングの回転角の関係がステップ内で線形であるので、ステップ内では、ピント位置Prをフィルム面Fに一致させる際のカムリングの回転角は一定になる。例えば、図1のワイド端ステップで、無限遠距離(∞)におけるfB調整用のパルス数が10であれば、最短撮影距離(近)までのいずれの被写体距離でも、fB調整用のパルス数は10となる。つまり、1パルス当たりの像面移動量が一定なので、各ステップでは、被写体距離情報に応じたフォーカシング用のパルス数に、一定のfB調整用パルス数を上乗せし、あるいは差し引くだけでfB調整ができ、最終的に決定されるパルス数の演算が容易に行える。実際の制御では、被写体距離情報に応じたフォーカシング用のパルス数を得るための演算式に、このfB調整分のパルス数を予め加味してもよい。
【0024】
なお、図1に示すステップ溝Z2−iの両端部は、無限遠撮影距離と最短撮影距離に対する合焦位置までであるが、ズーミングカム溝Z2は、このステップ溝Z2−iの両側にピント調整用の調整領域を有している。この調整領域は、ステップ溝Z2−iの合焦機構を損なうことなく第2レンズ群L2を光軸方向に移動させる軌跡をなしており、前述のfB調整はこの調整領域を用いて行われる。さらに調整領域は、ステップ溝Z2−iと同じく、カムリングの回転角とピント位置の移動量とが線形の関係となるように第2レンズ群L2を案内させる。つまり、この調整領域とステップ溝Z2−iとが、ズーミングカム溝Z2における実際のステップ部分(有効カム溝領域)を構成している。ズーミングカム溝の調整領域に関しては、後述の具体的な構成例に詳しく示す。
【0025】
以上の説明では、単一のステップ内でカムリングの回転角とピント位置の移動量を線形の関係にすることに着目したが、これに加えて、複数のステップで、カムリングの単位回転角とピント位置の移動量が等しくなるように、ズーミングカム溝Z2の各ステップ溝Z2−iを形成することもできる。すなわち、図1で言えば、ピント位置の変位を示すP−1、P−2、P−3の、フィルム面Fに対する傾きを等しくさせるようなカム溝形状になる。このカム溝形状を得るには、ステップ溝Z2−iを示す先の式、ΔP(m)/ΔXi=Kで、Kが複数の分割ステップ相互でも常に一定となるようにステップ溝Z2−iの形状を設定すればよい。該構成によれば、ワイド端、中間距離、テレ端の各ステップで、同じ角度カムリングを回転させたときのピント位置移動量が共通になるので、fB調整を含めたフォーカシング制御がより簡単になる。
【0026】
本実施形態のズームレンズでは、複数の焦点距離ステップでのピント位置を一致させるためのズーミング調整を、ズーミングカム溝Z2の軌跡に従って第2レンズ群L2の動作によって行わせることも原理的には可能であるが、ソフト的な制御を簡単にするという観点からは、第1レンズ群L1の機械的位置の調整によってズーミング調整を行うことが望ましい。具体的な構成例は後述するが、第2レンズ群L2を案内するカムリングとヘリコイド結合されている別の直進筒を設けて、この直進筒に第1レンズ群L1を光軸方向に位置調整可能に支持させれば、第1レンズ群L1を単独で光軸方向に移動させてズーミング調整を行うことができる。これにより、ズーミングカム溝Z2におけるピント調整用の負担領域を減らし、余裕をもってフォーカシング及びfB調整を行わせることが可能になる。
【0027】
本発明は、以上のようなズーミングカム溝Z2を有するカムリングをパルス管理して回転させることで、ステップズーミングを行うカメラ一般に適用することができ、その具体的な機構は問わないが、次に2群ズームレンズに適用した機械的な構成例を図4以下を参照して説明する。なお、以下の説明において、光軸方向あるいは光軸と平行な方向とは、カメラ完成状態における撮影レンズの撮影光軸Oに沿う方向を指すものとする。
【0028】
ステップズームレンズカメラの本体部には、ズームレンズ鏡筒11を構成するハウジング12が固定され、該ハウジング12の内側には固定鏡筒13が固定されている。この固定鏡筒13の内周面には雌ヘリコイド14が形成されており、さらに雌ヘリコイド14の形成領域を一部切除して、光軸Oと平行な一対の直進案内溝15が形成されている。
【0029】
固定鏡筒13には光軸方向へ長く切欠部が形成されていて、この切欠部に多連ピニオン16が取り付けられる。多連ピニオン16は、光軸Oと平行な回動中心で回動可能に支持され、そのピニオン部の歯面が固定鏡筒13の内側に突出されている。ハウジング12には、モータ支持板17を介してズームモータ18が設置されており、このズームモータ18の駆動軸の回転は、ズームギヤ列19を介して多連ピニオン16に伝達される。
【0030】
ズームモータ18の駆動軸には複数のスリットが形成されたスリット円板20が固定されており、このスリット円板20の回転をフォトインタラプタ21で検出することにより、ズームモータ18の駆動量を検出することができる。ズームレンズ鏡筒11の繰出及び収納動作量はズームモータ18の駆動量に応じたものであるから、このスリット円板20とフォトインタラプタ21からなるパルス検出機構を用いて、後述するカムリング25の回転角をパルス制御することができる。
【0031】
固定鏡筒13の雌ヘリコイド14には、カムリング25の外周面の後端付近に形成された雄ヘリコイド26が螺合されている。雄ヘリコイド26の光軸方向の幅は、カムリング25の最大繰出時に外観に露出しない程度に形成されている。このカムリング25にはさらに、雄ヘリコイド26が形成された同一周面上に、雄ヘリコイド26と平行な領域で複数の外周ギヤ部27が設けられている。それぞれの外周ギヤ部27の歯は光軸Oと平行な方向に形成されており、これに前述の多連ピニオン16が噛合している。
【0032】
カムリング25の内部には、直進案内環28が配設されている。直進案内環28の後端部付近には半径方向外方に突出する外方フランジ29を有し、さらに直進案内間28の後端面には直進案内板30が固定されている。この外方フランジ29と直進案内板30によって、カムリング25後端部に設けた内方フランジ31を挟むことによって、直進案内環28はカムリング25に対して、光軸方向には相対移動不能かつ相対回転は可能に結合される。
【0033】
また直進案内板30には、周方向に位置を異ならせて、半径方向外方に一対の直進案内突起32が突設されている。それぞれの直進案内突起32は、固定鏡筒13に形成した前述の直進案内溝15にそれぞれ摺動可能に係合している。従って、直進案内環28及び直進案内板30は、光軸方向にはカムリング25と一体に移動されるが、撮影光軸Oを中心とする周方向には固定鏡筒13に対する相対回転が規制されている。つまり直進案内されている。
【0034】
以上のカムリング25と直進案内環28がズームレンズ鏡筒11の第1の繰出段部を構成する。この第1繰出段部は、ズームモータ18によって多連ピニオン16が所定のレンズ繰出方向に回転されると、外周ギヤ部27を介してカムリング25が回転され、雌ヘリコイド14と雄ヘリコイド26の関係によって固定鏡筒13からカムリング25が回転しながら繰り出される。同時に、直進案内環28とカムリング25は相対回転可能に結合されているため、直進案内環28は、固定鏡筒13に対して直進案内されながらカムリング25と共に撮影光軸に沿って移動する。
【0035】
カムリング25と直進案内環28の間には、レンズ支持筒35が位置している。レンズ支持筒35の内側にはシャッタ取付環36が固定され、シャッタ取付環36の前端部にはシャッタブロック37が固定されている。シャッタブロック37はシャッタブレード38を開閉させるためのシャッタ駆動モータ34(図13)を内蔵しており、シャッタ用FPC(フレキシブルプリント回路)44を介してCPU60(図13)から送られるシャッタ開閉信号に応じてシャッタブレード38を開閉させることができる。
【0036】
シャッタブロック37はさらに、1群レンズ枠39を介して第1レンズ群(フォーカスレンズ群)L1を支持している。1群レンズ枠39の外周面とシャッタブロック37の内周面には、互いに螺合する調整ねじ24が形成されており、第1レンズ枠39は、シャッタブロック37やレンズ支持筒35に対して、調整ねじ24に従って光軸方向位置を調整することができる。この光軸方向位置の調整の際には、1群レンズ枠39とレンズ支持筒35の間に設けたフリクション部材33によって、1群レンズ枠39の位置は安定させることができる。1群レンズ枠39の位置が決まったら、例えば接着剤P(図9にのみ示す)でレンズ支持筒35に固定させる。よって鏡筒完成状態では、第1レンズ群L1はレンズ支持筒35に固定され、レンズ支持筒35と一体的に光軸方向へ移動されるようになる。
【0037】
図4に示すように、直進案内環28は、周面が3つの部分円筒状の直進案内部40に分割された、不完全な筒型形状をなしている。一方、レンズ支持筒35に固定されたシャッタ取付環36には、それぞれが光軸Oと平行な方向へ向かう3つの第1直進案内溝41と3つの第2直進案内溝42が、周方向に交互に形成されている。このうち、それぞれの第1直進案内溝41には、直進案内環28の3つの直進案内部40の各々が嵌合している。この直進案内溝41と直進案内部40との嵌合関係によって、シャッタ取付環36とレンズ支持筒35とシャッタブロック37とは、光軸方向に直進案内される。
【0038】
レンズ支持筒35の後端付近の外周面には雄ヘリコイド45が形成されており、この雄ヘリコイド45は、カムリング25の内周面に形成した雌ヘリコイド46に螺合している。カムリング25が回転すると雌ヘリコイド46と雄ヘリコイド45の螺合関係によって、直進案内環28を介して直進案内されたレンズ支持筒35が、カムリング25(第1の繰出段部)に対して光軸方向に前後移動される。つまり、レンズ支持筒35は、ズームレンズ鏡筒11の第2段目の繰出段部を構成している。第1レンズ群L1は、このレンズ支持筒35と共に光軸方向に移動する。
【0039】
また、シャッタ取付環36の第2直進案内溝42には、第2レンズ群(調整レンズ群)L2を支持する2群レンズ枠47に設けた3つの直進案内部48が光軸方向に摺動可能に嵌合している。この直進案内部48と第2直進案内溝42の嵌合関係により、2群レンズ枠47は直進案内される。2群レンズ枠47の各直進案内部48からは、半径方向外方へ向けてカムローラ49が突設されており、このカムローラ49が、カムリング25の内周面に形成した2群案内カム溝50に摺動可能に嵌まっている。2群案内カム溝50は撮影光軸Oに対して所定の傾斜を有しており、カムリング25が回転したときには、該2群案内カム溝50とカムローラ49の関係によって、直進案内された2群レンズ枠47がレンズ支持筒35に対して光軸方向に前後移動される。つまり、カムリング25が回転したときには、第2レンズ群L2は、2群案内カム溝50の形状に従って、第1レンズ群L1に対して光軸方向に相対移動する。
【0040】
本ステップズームレンズカメラでは、第1レンズ群L1は、ヘリコイドによって、カムリング25の回転角に対して線形の軌跡で光軸方向に移動される。一方、第2レンズ群L2は、ステップ内でこの第1レンズ群L1との相対間隔が変化してピント位置が変わるように、2群案内カム溝50によって案内されている。この2群案内カム溝50が、図1を参照して説明したズーミングカム溝Z2に相当するカムである。
【0041】
2群案内カム溝50の展開形状を図12に示す。2群案内カム溝50は、ワイド端からテレ端までのズーミング域内において、1ないし4の4ステップに分割された非線形の軌跡を持っている。この2群案内カム溝50の分割ステップ溝を、ワイド端側から順に、ステップ溝50−i(i=1〜4)とする。ステップ溝50−iは、各ステップ内において、それぞれ無限遠撮影距離(∞)と最短撮影距離(近)の間の各被写体の合焦位置に2群レンズL2を移動させることができる軌跡であり、前述の仮想ズーミング軌跡に対して変位している。
【0042】
各ステップ溝50−iの両端部には調整領域50aが設けられている。この調整領域50aもステップ溝50−iと同様に合焦機能を備える形状を有しており、ステップ溝50−iの端部を両側の調整領域50a内で動かしても、各ステップ溝50−i内での合焦動作は、全く同様に行うことができる。図12で具体的に説明すると、基本のステップ溝50−4をステップ溝50−4’のように、調整領域50aを用いて変化させても、合焦動作は全く同様に行うことができる。
【0043】
つまり、2群案内カム溝50においては、ステップ溝50−iを挟んで両側の調整領域50aまでが、4段の各焦点距離ステップで用いられるステップ部分(有効カム溝領域)56−i(i=1〜4)を構成している。それぞれのステップ部分56−iは、図1でのステップ溝Z2−iとその両側の調整領域に対応しており、カムリング25の回転角と無限遠物体に対するピント位置の移動量とが線形の関係となるように第2レンズ群L2を移動させる軌跡を有している。
【0044】
4段に分けられたステップ部分56−1、56−2、56−3、56−4の間には、移行域50bが設けられている。移行域50bは、隣接するステップ部分56−iを接続するカム溝であり、各ステップ部分56−iを前述した仮想のズーミング軌跡に近づける作用をする。また、2群案内用カム溝50は、鏡筒収納時にカムローラ49を案内する収納域50cを有しており、この収納域50cとワイド端ステップ用のステップ部分56−1との間にも移行域50dが設けられている。さらに、ステップ溝50−4を含むテレ端側のステップ部分56−4の先には、カムローラ49を2群案内カム溝50内に導入させるための導入部50eが形成されている。
【0045】
ワイド端からテレ端までの焦点距離の各ステップや鏡筒収納位置は、固定鏡筒13の内周面に固定したコード板51と、第1の繰出段部を構成する直進案内板30に固定されたブラシ52との摺接位置の変化によって、有限段数の距離情報として検出することができる。コード板51はリード線55を介してCPU60に接続されており、固定鏡筒13に対する直進案内板30(第1の繰出段部)の光軸方向移動に応じてコード板51とブラシ52の摺接位置が変化すると焦点距離ステップが検出される。ブラシ52は、ブラシ押え板53と固定ねじ54を介して直進案内板30に固定されている。
【0046】
また、ズームレンズ鏡筒11の前端部には、鏡筒収納状態で第1レンズ群L1の前方空間を閉じ、撮影状態で開く開閉バリヤ機構が設けられている。開閉バリヤ機構は、レンズ支持筒35の前端付近に設けたバリヤ取付台70に支持された一対のバリヤ羽根71、該一対のバリヤ羽根71を閉じ方向に付勢するバリヤ付勢ばね72、バリヤ駆動環73などを備えている。バリヤ駆動環73は、ズームレンズ鏡筒11を構成するレンズ支持筒35の光軸方向の進退動作に応じて回転し、一対のバリヤ羽根71を開閉させる。
【0047】
レンズ支持筒35の前方には、この開閉バリヤ機構の前部を覆う化粧板75が設けられ、該化粧板75の前面は化粧リング76で覆われている。また、カムリング25の前端部には別の化粧リング77が装着されている。さらに、固定鏡筒13の前部は、カメラの本体部を構成する前カバー78で覆われている。
【0048】
図13に示すように、ズームレンズカメラ10はさらに、ズーム操作部材61、シャッタレリーズ部材62、測距モジュール63及び測光モジュール64を備えており、これらの各部材はCPU60に接続されている。ズーム操作部材61は、ズームレンズ鏡筒11にズーミング指令、すなわちワイド側からテレ側への移動指令、及びテレ側からワイド側への移動指令を与えるものである。シャッタレリーズ部材62は、レリーズボタンから構成されるもので、その一段押しで測距モジュール63への測距指令と測光モジュール64への測光指令を与え、二段押しでシャッタブロック37のシャッタ駆動モータ34を動作させる。シャッタ駆動モータ34は、測光モジュール64からの測光出力を受けて、シャッタブレード38を所定時間開放する。また、CPU60に接続するROM(EEPROM)65が設けられている。
【0049】
ROM65には、各ステップ内において、無限遠撮影距離(∞)から最短撮影距離(近)の間の被写体への合焦位置にズームレンズ系を移動させるためのカムリング25の回転角(パルス数)を求めるための演算式がメモリされている。この演算式には、各ステップで必要とされるfB調整因子、すなわちfB調整用のパルス数が予め含まれている。
【0050】
この具体例では、ズーミング調整は鏡筒組立時に第1レンズ群L1の光軸方向位置を調整することで行う。前述の通り、第1レンズ群L1は、調整ねじ24に従ってレンズ支持筒35内での光軸方向位置を調整可能であり、該調整を行うと、停止状態のカムリング25に対して光軸方向に変位することになる。よって、各焦点距離ステップでのピント位置が一致するように第1レンズ群L1を光軸方向に位置調整してから接着剤Pで固定すれば、ズーミング調整がなされる。
【0051】
以上のステップズームレンズカメラのズームレンズ系は、次のように動作する。図9の鏡筒収納状態あるいは図10のワイド端からズームモータ18が繰出方向に駆動されると、固定鏡筒13からカムリング25が回転して繰り出され、直進案内環28は、固定鏡筒13によって直進案内されながらカムリング25と共に前方へ移動する。カムリング25が回転繰出されると、該カムリング25の内周面とヘリコイド結合されかつ直進案内されたレンズ支持筒35が、第1レンズ群L1と共にさらに光軸前方に移動される。同時に、第2レンズ群L2は、2群案内カム溝50の案内によって、レンズ支持筒35の内側を第1レンズ群L1とは異なる軌跡で移動する。よって、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2は、互いの間隔を相対的に変化させつつ全体として光軸前方に移動され、ズーミングが行われる。図11のテレ端からズームモータ18を収納方向に駆動させると、ズームレンズ鏡筒11と各レンズ群L1、L2は鏡筒繰出時とは反対に動作する。
【0052】
各焦点距離ステップでのフォーカシング動作は次のように制御される。ズーム操作部材61を操作して以上の鏡筒繰出または収納動作が行われると、コード板51とブラシ52が摺接されて複数に分割された焦点距離ステップのいずれかが検出される。本実施形態では、各ステップの収納(ワイド端)側の所定位置にステップ検出位置が設定されていて、このステップ検出位置から少し繰り出た位置にフォーカシング時のパルスカウントの基準位置が設定される。図示しないが、本ズームカメラは撮影光学系とは別にファインダ光学系を有しているため、ズーム操作の時点では合焦させる必要はない。よってズーム操作を解除すると、ズームレンズ鏡筒11は、各ステップのパルスカウント基準位置よりも鏡筒収納方向の待機位置で停止する。
【0053】
この待機状態においてレリーズボタンが半押しされ、測距モジュール63による測距動作が行われるとCPU60が被写体距離を検出する。すると、この被写体へ合焦する位置にズームレンズ系を移動させるためのカムリング25の回転角が、ROM65内に格納された演算式に基づいてCPU60により演算される。この演算式にはfB調整因子も含まれているため、演算により得られたカムリング25の回転角には、当該ステップでfB調整を行わせる分のパルス数が含まれている。そして、演算されたカムリング25の回転角度位置は、パルスカウント基準位置におけるカムリング25の回転角度位置と比較され、カムリング25を該基準位置から合焦用の回転角度位置まで駆動するために必要なズームモータ18の駆動パルスが決定される。
【0054】
ここでレリーズボタンが全押しされてシャッタレリーズ部材62からオン信号が入力されると、ズームモータ18を駆動してズームレンズ鏡筒11を繰出方向に動作させ、ブラシ52とコード板51の接点接触時点、すなわちパルスカウント基準位置からズームモータ18のパルスカウントを開始する。このパルスカウントは、前述のスリット円板20とフォトインタラプタ21を用いて行う。そして、先に演算により決定したパルス数が検出されるとズームモータ18を停止してズームレンズ系を合焦位置に保持し、シャッタ駆動モータ34によりシャッタブレード38を開閉させて撮影が行われる。撮影後には、ズームレンズ鏡筒11は再びステップごとの待機位置まで戻る。こうして、ソフト的なピント調整(fB調整)を伴った合焦動作をズームレンズ系に行わせることができる。なお、本具体例では、シャッタレリーズ時に合焦動作を行うようにしているが、フォーカシングの駆動形態はこれには限定されず、例えば測距完了時点でフォーカシングを行っても構わない。また、各ステップでのズームレンズ鏡筒の待機位置も以上の説明と異なっていてもよい。
【0055】
以上のフォーカシング制御においては、カムリング25の回転角と無限遠物体に対するピント位置の移動量が線形の関係になるように第2レンズ群L2を移動させるべく、2群案内カム溝50の各ステップ部分56−iを形成したので、ソフト的にfB調整を行う際の演算を簡単にすることができる。よって、当該フォーカシング制御におけるCPU60の負担を小さくしたり、ROM65が記憶するべきデータを少なくできる。制御の負担が軽減されればそれだけ安価なCPUやメモリを用いることができ、カメラのコストダウンを図ることが可能となる。また、制御が容易であれば、それだけ信頼性が高いズームレンズを得ることができる。
【0056】
また、機械構成的な観点からは、fB調整をソフト的に行っているため、ズームレンズ系全体を光軸方向に移動させるような大がかりなfB調整機構を不要にできる。ズーミング調整は、第1レンズ群L1のみの簡単な位置調整で行うことができる。従って、機械的なピント調整機構は最低限にすることができ、鏡筒構成の簡略化や製造コストの軽減を図ることができる。
【0057】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、フォーカシングや調整における制御の負担を軽減した、高精度なフォーカシングを行うことができる信頼性の高いステップズームレンズカメラが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるステップズームレンズカメラを2群ズームレンズに適用した場合のズーミング軌跡(カム溝形状)例を示す図である。
【図2】比較例として示す、図1に対応する2群レンズ用軌跡図である。
【図3】fB調整の概念を示す図である。
【図4】本発明によるステップズームレンズカメラを2群ズームレンズに適用した場合の具体的な機械構成を示す、ズームレンズ鏡筒の収納状態の分解斜視図である。
【図5】図4のズームレンズ鏡筒の一部を拡大して示す分解斜視図である。
【図6】図4のズームレンズ鏡筒の一部を拡大して示す分解斜視図である。
【図7】図4のズームレンズ鏡筒の一部を拡大して示す分解斜視図である。
【図8】図4のズームレンズ鏡筒の一部を拡大して示す分解斜視図である。
【図9】図4のズームレンズ鏡筒の収納状態を示す上半断面図である。
【図10】図4のズームレンズ鏡筒のワイド端における上半断面図である。
【図11】図4のズームレンズ鏡筒のテレ端における上半断面図である。
【図12】カムリングの展開図である。
【図13】図4ないし図12に機械的構成を示すステップズームレンズカメラの制御回路系を示すブロック図である。
【符号の説明】
11 ズームレンズ鏡筒
12 ハウジング
13 固定鏡筒
18 ズームモータ
20 スリット円板
21 フォトインタラプタ
25 カムリング
28 直進案内環
35 レンズ支持筒
39 1群レンズ枠
47 2群レンズ枠
49 カムローラ
50 2群案内カム溝
50−1 50−2 50−3 50−4 ステップ溝
50a 調整領域
50b 50d 移行域
50c 収納域
50e 導入部
51 コード板
52 ブラシ
56−1 56−2 56−3 56−4 ステップ部分
60 CPU
65 ROM
L1 第1レンズ群(フォーカスレンズ群)
L2 第1レンズ群(調整レンズ群)
O 撮影光軸
P−1 P−2 P−3 ピント位置
Z1 Z2 ズーミングカム溝
Z1−1 Z1−2 Z1−3 ステップ溝
Z2−1 Z2−2 Z2−3 ステップ溝
Claims (4)
- カム溝を有するカムリングの回転角をテレ端からワイド端までの有限段数からなる複数の焦点距離ステップに分割し、各ステップにおいてカムリングの回転角を制御することによって、焦点距離を変化させながら無限遠から最短撮影距離までの被写体に合焦可能なステップズームレンズカメラにおいて、各ステップでカムリングの回転に応じて、該カムリングの回転角と線形の関係で光軸方向に移動される、変倍レンズ群を兼ねるフォーカスレンズ群;及び
上記カム溝によって案内され、各ステップでカムリングの回転に応じて、該カムリングの回転角と非線形の関係で光軸方向に移動される、変倍レンズ群を兼ねる調整レンズ群;
を備え、
上記カム溝の各ステップ部分は、カムリングの回転角と無限遠物体に対するピント位置の移動量とが線形の関係となるように上記調整レンズ群を移動させる軌跡を有していることを特徴とするステップズームレンズカメラ。 - 請求項1記載のステップズームレンズカメラにおいて、ズームレンズ系は上記フォーカスレンズ群と調整レンズ群の2群構成であり、フォーカスレンズ群は被写体側の前群レンズであり、調整レンズ群は像面側の後群レンズであるステップズームレンズカメラ。
- 請求項1または2記載のステップズームレンズカメラにおいて、上記カム溝はさらに、複数のステップ部分で、カムリングの単位回転角とピント位置の移動量が等しくなるように、上記調整レンズ群を移動させる軌跡を有しているステップズームレンズカメラ。
- 請求項1から3いずれか1項記載のステップズームレンズカメラにおいて、
上記フォーカスレンズ群は、カムリングを停止した状態で、該カムリングに対して光軸方向に位置調整可能であり、該フォーカスレンズ群の位置調整によって、各ステップでのピント位置を一致させるズーミング調整を行い、
フォーカシング時に、カムリングの回転に応じて上記フォーカスレンズ群と調整レンズ群をそれぞれ所定の軌跡で移動させて、ピント位置を撮像面位置に一致させるfB調整を行うステップズームレンズカメラ。
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