JP3879209B2 - 鏡胴のヘリコイド構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カメラ等に使用される鏡胴の構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、鏡胴を構成する回転筒の外周ギア部に溝を設ける事によって外ヘリコイドを形成したタイプのヘリコイド構造が用いられている。これは、同じく鏡胴を構成する固定筒の内周に設けられた内ヘリコイドと、前記回転筒の外ヘリコイドとが螺合し、ヘリコイド結合するものであり、光軸方向の長さを短くする事ができる構造であって、有利である。この場合、鏡胴を構成する筒は一般的に樹脂成形品であるので、例えば金型製作当初は外ヘリコイドの底を深めに作っておき、後に現合により内ヘリコイド先端との隙間を減らすように金型を削る事により増肉し、ガタツキを防止するという事が行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、外ヘリコイドの底が外周ギアの底よりも浅くなると、相手ギア先端と干渉するという問題が生じる。従来は、これらを同じ深さにするか、或いはギア底又はギア先端が逃げるように歯形を変えるか、若しくは金型製作と実際のヘリコイドの形成工程を高精度に管理するという事が行われていた。その場合、現合後の外ヘリコイドの底は、内ヘリコイドの先端と略一致するが、現合を行うのは外ヘリコイドの側なので、最終的な位置は内ヘリコイドの先端によって決まってしまう。故に、別々の部品である固定筒と回転筒の、それぞれ内ヘリコイド先端と外周ギアの底を合わせるのは困難である。
【0004】
本発明は、回転筒の外ヘリコイドの底が相手ギア先端と干渉する事なく、容易にガタツキを防止する事ができ、しかも高精度な鏡胴を得る事ができる鏡胴のヘリコイド構造を提供する事を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1の発明の鏡胴のヘリコイド構造は、内周面に螺旋状に突出した内ヘリコイドを有する固定筒と、外周面にギア部を設け、そのギア部に螺旋状に刻み込んだ外ヘリコイドを有する回転筒とを備え、前記外ヘリコイドと前記内ヘリコイドとが螺合する鏡胴のヘリコイド構造において、前記外ヘリコイドは前記ギア部のギア幅の範囲に刻み込まれており、前記外ヘリコイドの底は、前記ギア部のギア底よりも前記外周面から見て深い位置にあり、前記固定筒の内周に、前記内ヘリコイドと平行に遮光線を設け、前記ギア部先端に、前記外ヘリコイドと平行に遮光線逃げ部を設けた事を特徴とする。第2の発明の鏡胴のヘリコイド構造は、上記第1の発明において、前記外ヘリコイドの底が前記内ヘリコイドの先端に近接するように、前記回転筒の金型を調整する事を特徴とする。第3の発明の鏡胴のヘリコイド構造は、上記第1又は第2の発明において、前記ギア部と前記外ヘリコイドは、光軸方向に関して同じ位置に設けられている事を特徴とする。尚、前記回転筒は、本発明の実施形態で言うところの回転カム筒の事である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態の基本的な構成を模式的に示す分解斜視図である。同図に示すように、1は回転カム筒、2は直進筒、3は第二成分玉枠、4は固定筒、5はカメラボディーであり、直進筒2は回転カム筒1内にバヨネット結合され、第二成分玉枠3は直進筒2を介して回転カム筒1にカム結合され、回転カム筒1は固定筒4にヘリコイドによって結合し、固定筒4はカメラボディー5にビス止めされる構成である。筒の数は従来の4個に対して本実施形態では3個であり、第二成分玉枠3を含みそれぞれ光軸(一点鎖線で示す)と同軸関係である。詳しくは後述する。
【0007】
回転カム筒1の先端には、レンズを保護する透明のレンズバリア6が取り付けられており、また後端外周には外周ギア7が設けられていて、その周囲数カ所には外ヘリコイド8がギア底よりも深くなるように螺旋状に刻み込まれている。後述するように、この外周ギア7が受ける駆動力により、回転カム筒1が回転駆動され、そのとき外ヘリコイド8の働きにより、光軸方向にも駆動される。
【0008】
また、直進筒2の先端には第一成分玉枠9が取り付けられていて、そこには第一成分レンズ10が設けられており、また後端外周には直進筒フランジ11が設けられていて、その周囲数カ所(本実施形態では3カ所)には直進結合部12が外側に向かって突出している。更にフランジ11の前方には、所定の間隔をおいてバヨネット用フランジ13が設けられていて、その周囲数カ所(本実施形態では3カ所)には回転カム筒1の導入用逃げ部14が切り欠かれている。そして、直進筒2の周囲前方から後端にかけて、直進ガイド15が前記各フランジ内周にも及ぶ切り欠きとして数カ所(本実施形態では3カ所)設けられている。
【0009】
そして、第二成分玉枠3には第二成分レンズ16が設けられており、また周囲数カ所(本実施形態では3カ所)にはカムピン17が外側に向かって突出している。さらに、固定筒4の内周には内ヘリコイド18が螺旋状に内側に向かって突出しており、また内側周囲数カ所(本実施形態では3カ所)には前方から後端にかけて、直進ガイド19が溝切りされている。
【0010】
固定筒4の外周の1カ所には光軸方向に沿って収納部20が設けられており、ここに駆動用長ギア21が収納される。また、収納部20と固定筒4の外周に跨るように固定筒フランジ22が設けられており、ここに開けられた軸穴22aに、カメラボディー5に取り付けられた軸23が貫通する事により、固定筒4がカメラボディー5に位置決めされる。更に軸23には駆動ギア24が軸着され、ギア押さえ板25により抜け止めされる。
【0011】
このとき、収納部20に設けられた窓20′を通して駆動用長ギア21と駆動ギア24が噛合する。最後に、固定筒フランジ22に別途開けられた止め穴22bを貫通したビス27が、カメラボディー5に取り付けられたボス26と螺合する事により、固定筒4がカメラボディー5に固定される。
【0012】
図2は、回転カム筒1を後方より見た斜視図である。同図に示すように、回転カム筒1の後端内周数カ所(本実施形態では3カ所)にはバヨネット爪28が設けられており、またそこより前方内周には有底のカム溝29が設けられている。組立時には図1に示す直進筒2が回転カム筒1に挿入され、バヨネット爪28がそれぞれバヨネット用フランジ13に設けられた導入用逃げ部14を通り、直進筒フランジ11とバヨネット用フランジ13との間に導入される。これにより、回転カム筒1と直進筒2とが光軸方向一体で回転方向自在に結合される。回転カム筒1のカム溝29は有底であるので、直進筒2にカムを形成した場合と異なり、強度上の問題がない。
【0013】
一方、図1の第二成分玉枠3は直進筒2に挿入され、直進筒2の直進ガイド15を通った第二成分玉枠3のカムピン17が前記カム溝29と嵌合し、カム結合する。これにより、回転カム筒1の回転によって第二成分玉枠3が光軸方向にカム駆動される構成となる。組み立てられたこれらのユニットは、更に固定筒4に挿入され、回転カム筒1の外ヘリコイド8が固定筒4の内ヘリコイド18と螺合し、また直進筒2の直進結合部12が固定筒4の直進ガイド19と嵌合する。このとき、回転カム筒1の外周ギア7が、固定筒4の収納部20に収納された駆動用長ギア21と噛合した状態となる。
【0014】
尚、図5に示すように、直進筒2の先端部内周にバヨネット結合用溝が設けられており、第一成分玉枠9の先端部外周に設けられたバヨネット結合用フランジと嵌合する事により、第一成分玉枠9が直進筒2にバヨネット結合して固定される。また、第一成分玉枠9の後側外周にバヨネット結合用フランジが設けられており、後記シャッターユニットとバヨネット結合してシャッターを保持する。詳しくは後述する。
【0015】
また、駆動用長ギア21は、固定筒4側及びカメラボディー5側のそれぞれ図6に示した軸により前後で軸支されながら回転する事により、回転カム筒1の外周ギア7を駆動する構成であるが、固定筒4側には収納部20先端内側に片方の軸しか付いていないため、上記のように組み立てられたいわゆる鏡胴ユニット単体では軸支されない。そこで、図3に固定筒4を後方より見た斜視図として示すように、収納部20後端に可撓性を持たせた仮抜け止め凸部30を設け、駆動用長ギア21を抜け止めする事により、組立時等の作業性を高めている。この仮抜け止め凸部30は、鏡胴ユニットがカメラボディー5に取り付けられたときには、駆動用長ギア21から離れ、機能しない。
【0016】
上記組み立てられたズーム鏡胴の駆動時の動作を説明すると、まず、図示しないモーターの駆動力によって回転駆動された駆動ギア24により、駆動用長ギア21が回転駆動され、これにより回転カム筒1の外周ギア7が回転駆動され、回転カム筒1が回転する。このとき、回転カム筒1の外ヘリコイド8と固定筒4の内ヘリコイド18とのヘリコイド結合により、回転カム筒1が回転前進(或いは後退)する。そして、直進筒2は回転カム筒1と光軸方向に一体に移動するが、固定筒4の直進ガイド19により、直進結合部12が直進ガイドされているので、回転せずに直進のみする。
【0017】
また、第一成分玉枠9,第一成分レンズ10等より成る第一成分ユニットは、直進筒2と一体に移動する。また、第二成分玉枠3,第二成分レンズ16等より成る第二成分ユニットは、回転カム筒1のカム溝29と直進筒2の直進ガイド15とによって形成されるカム機構により、光軸方向に移動する。
【0018】
図4は、ズーム鏡胴の他の例における縦断面を模式的に示す図である。同図の一点鎖線で示した光軸より下半分が省略されている。同図に示すように、この例においては、直進筒2′が回転カム筒1′の外側に位置しており、第一成分ユニット51及び第二成分ユニット52は従来と同様に配置されている。この場合、直進筒2′に外力が加わると、これが回転カム筒1′に伝達され、回転カム筒1′からヘリコイド結合部を通して固定筒4′に伝達されるので、部材を2段階で介する事となり、強度的に不利となる。
【0019】
これに対して本実施形態においては、回転カム筒1が外側に位置しており、ここに加わった外力は、ヘリコイド結合部を通して直接に固定筒4に伝達されるので、強度的に有利である。
【0020】
図5は、本実施形態のズーム鏡胴の側面縦断面図である。上記基本構成で説明した事と同様にして、回転カム筒1の先端にはレンズバリア6が取り付けられており、直進筒2は回転カム筒1内に後端でバヨネット結合されている。また、第一成分玉枠9は、直進筒2内にその先端において矢印aで示す部分でバヨネット結合により固定されており、シャッターユニット32は、第一成分玉枠9の外周りにその後端において矢印bで示す部分でバヨネット結合により固定されている。さらに、第二成分玉枠3は、直進筒2を介して回転カム筒1にカムピン17でカム結合されている。
【0021】
第一成分玉枠9には、第一成分レンズ10としてG1,G2が取り付けられており、第二成分玉枠3には、上記第二成分レンズ16としてG3,G4が取り付けられている。回転カム筒1は、その後端に設けられている外ヘリコイド8と、固定筒4の内周に設けられている内ヘリコイド18により、固定筒4内にヘリコイド結合されている。また、33はシャッターユニット32と固定筒4側を電気的に結合するフレキシブル基板である。
【0022】
図6は、上記駆動用長ギア21周辺を示す縦断面図である。同図に示すように、回転カム筒1を回転駆動する駆動用長ギア21は、図示しない固定筒4外周に設けられた収納部20内で、その収納部20の先端内側より後方に向かって突出している軸34と、カメラボディー5より前方に向かって突出している軸35とにより、前後において軸支されている。駆動用長ギア21と噛合する駆動ギア24は、収納部20側に設けられた固定筒フランジ22をカメラボディー5に取り付けられた軸23が貫通した後に、その軸23に軸着され、ギア押さえ板25により抜け止めされて、軸周りに回転自在に取り付けられる。
【0023】
従来は駆動用長ギア21と駆動ギア24との間に働く力により軸間が開き、ギアの歯飛びや駆動力不足の原因となっていた。またそれを防ぐため、別途補強部材により、軸間が開かないようにしている例もあるが、本実施形態においては、固定筒フランジ22と駆動ギア24の軸23とが嵌合して強固に結合するため、補強部材を用いなくても軸間が開かない。さらに、その近傍を図1に示したビス止め等で固定する事により、より強固な結合とする事ができる。
【0024】
図7は、本実施形態のズーム鏡胴の一部を後方より詳細に見た図であり、仮沈胴端に位置する状態を表している。同図に示すように、回転カム筒1の内周には3カ所のバヨネット爪28a,28b,28cが略等分上に設けられており、直進筒2の破線で示したバヨネット用フランジ13の周囲3カ所に切り欠かれた導入用逃げ部14a,14b,14cに対応している。また、回転カム筒1の外周には外周ギア7が設けられていて、そこには図の左上に示すように、駆動用長ギア21が噛合している。
【0025】
バヨネット爪28a,28b,28c及び導入用逃げ部14a,14b,14cについては、それぞれの箇所で幅と高さを異ならせているため、対応する部分に合致したとき以外は、バヨネット爪は導入用逃げ部の周辺のいずれかの位置に係合する事となり、各々の爪は直進筒2のバヨネット用フランジから外れない。故に、回転カム筒1が一回転近く回転する場合でも、各々の筒が光軸方向一体に保たれ、また互いに傾く事はない。
【0026】
また、図示しない固定筒4と、回転カム筒1及び直進筒2を組み立てた後、矢印cで示す回転量だけ回転カム筒1を回転させ、この状態で駆動長ギア21を後方から差し込むと、駆動長ギア21が、矢印dで示すように、回転カム筒1の外周ギア7の非ギア部、つまりカメラ使用時にギア部としては不必要な部分と干渉し、この状態から矢印Wで示すワイド(広角端)側へは回転する事ができなくなるので、仮の沈胴ストッパーとなり、固定筒4から回転カム筒1及び直進筒2が外れなくなるので、カメラ組立時の作業性がよくなる。
【0027】
カメラ使用時における沈胴位置は、上記状態よりも図の矢印Tで示すテレ(望遠端)側にあり、図示しないカメラボディー5に設けられたストッパーにより規制される。尚、このズーム鏡胴のユニット単品状態で、上述したように駆動長ギア21も仮止めされるので、ユニット単体で不用意に分解する事ができなくなり、更に便利となる。
【0028】
図8は、バヨネット爪とその導入用逃げ部を図7とは違う形にした場合を示す図である。同図に示すように、回転カム筒1のバヨネット爪28′a,28′b,28′c及び直進筒2のフランジ13の導入用逃げ部14′a,14′b,14′cを、コの字形にしたり幅をより小さくしたりして、図7より爪の高さを抑えた形状とし、径方向のスペース上有利になる。また各々の爪及び導入用逃げ部の形状は、図7と同様、対応する部分が合致したとき以外は外れないようになっており、同様の効果が得られる。
【0029】
図9及び図10は、それぞれ直進筒2及び第一成分玉枠9前部のバヨネット結合要部を模式的に示す図である。図9(a)は直進筒2を正面より見た状態を表しており、その内周に被写体側リブAとフィルム側リブBとが3カ所で交互に並んでいる。これを側面縦断面で見ると(b)のようになり、第一成分玉枠9のバヨネットフランジ38が各リブA,Bの間に圧入される事によって固定される構成となっている。尚、この図の一点鎖線で示す光軸から下半分は省略している。
【0030】
取付を行う際は、図10(a)に示すような第一成分玉枠9の回転位置で直進筒2に嵌め込み、フィルム側リブBにバヨネットフランジ38を当接させ、更に直進筒2の逃げ部37に、第一成分玉枠9に取り付けられた後述するシャッターユニット32のシャッター外周凸部39を挿入し、第一成分玉枠9を(b)に示すように右回転させると、各バヨネットフランジ38の矢印で示す先端が、図9(a)において破線で示す被写体側リブAの位置決め用当たりに当接し、第一成分玉枠9が直進筒2に固定される。
【0031】
また、シャッター外周凸部39が、直進筒2の内周に設けられた回転規制凸部36に対して反時計回り側に隣接した位置になる事により、第一成分玉枠9に取り付けられた図示しないシャッターユニット32は、時計回り方向の回転を規制される。
【0032】
図11及び図12は、それぞれシャッターユニット32及び第一成分玉枠9後部のバヨネット結合要部を模式的に示す図である。図11(a)はシャッターユニット32を正面より見た状態を表しており、その内周に被写体側リブA′とフィルム側リブB′とが3カ所で交互に並んでいるのが分かる。これを側面縦断面で見ると(b)のようになり、第一成分玉枠9のバヨネットフランジ41が各リブA′,B′の間に挿入される構成となっている。尚、この図の一点鎖線で示す光軸から下半分は省略している。
【0033】
取付を行う際は、図12(a)に示すような第一成分玉枠9の回転位置でシャッターユニット32に嵌め込み、フィルム側リブB′にバヨネットフランジ41を当接させ、第一成分玉枠9を(b)に示すように右回転させると、各バヨネットフランジ41の矢印で示す先端が、図11(a)において破線で示す被写体側リブA′の位置決め用当たりに当接し、第一成分玉枠9がシャッターユニット32に位置決めされる。また、図11に示すシャッター外周凸部39の働きは上述した通りである。尚、図11(b)に示す40はシャッター羽根である。
【0034】
この状態で、上記図9,図10で説明したように第一成分玉枠9が直進筒2に対して圧入によって固定されると、シャッターユニット32は反時計方向には回転する事ができなくなる。一方、シャッター外周凸部39の時計回り側には、直進筒2の回転規制凸部36が隣接しているので、シャッターユニット32は時計回りにもその隙間分しか回転する事ができない。これにより、シャッターユニット32の回転が規制されるので、バヨネット結合が外れて第一成分玉枠9から脱落する事はなくなる。
【0035】
尚、第一成分玉枠9をシャッターユニット32に圧入する事によって固定する事も考えられるが、一般的にシャッターは、剛性の低いシャッター羽根が弱い力によって駆動される構成であるため、圧入等によって歪みや変形を与えると、シャッター不良となる恐れがある。また、接着によって固定する事も考えられるが、この場合は接着剤がシャッター羽根付近に流れ込み、シャッター開閉不良となる恐れがある。故に、上記のような構成により、シャッターそのものには余計な力を加えずに位置決め,固定するようにしている。
【0036】
図13は、ヘリコイド結合部を模式的に示すものであり、同図(a)は縦断面の拡大図、(b)は固定筒内面の展開図である。(a)に示すように、固定筒4の内周に設けられた内ヘリコイド18と、回転カム筒1の後端外周に設けられた外周ギア7の周囲数カ所に刻み込まれた外ヘリコイド8とが螺合し、ヘリコイド結合している。このとき、回転カム筒1は一般的に樹脂成形品であるので、金型製作当初は外ヘリコイド8の底を二点鎖線で示すように深めに作っておき、後に現合により内ヘリコイド18先端との隙間を減らすように金型を削る事により増肉し、ガタツキを防止する事が行われる。尚、一点鎖線は外周ギア7のピッチ径である。
【0037】
但し、外ヘリコイド8の底が(a)において破線で示す外周ギア7の底よりも浅くなると、相手ギアである駆動用長ギア21のギア先端と干渉するので、同じ深さにするか或いはもっと深くする必要がある。その場合、現合後の外ヘリコイド8の底は、内ヘリコイド18の先端と略一致するが、現合を行うのは外ヘリコイド8の側なので、最終的な位置は内ヘリコイド18の先端によって決まる。
【0038】
別々の部品である固定筒4と回転カム筒1の、それぞれ内ヘリコイド18先端と外周ギア7の底を合わせるのは困難であるので、固定筒4側の内ヘリコイド18先端がなるべく内側になるように設定しておく方がよい。この考え方に従って、外ヘリコイド8の底が外周ギア7の底よりも深くなるように設定しておけば、ギアの底を抜けてくる外部からの光を止める効果も得られる。
【0039】
また、固定筒4の内周に設けられている遮光線42は、通常は同図(b)の固定筒4内面の展開図で示すように、矢印で示す光軸方向と直角になっているので、外周ギア7先端とのクリアランスがどうしても必要となるが、これを図14(a)に示すように外周ギア7先端に遮光線逃げ部43を設け、同図(b)及び(c)の展開図でそれぞれ示すように、矢印で示す光軸方向を基準とせず、遮光線42を内ヘリコイド18に平行とし、遮光線逃げ部43を外ヘリコイド8に平行とする事により、対応した形とする事で、前記クリアランスを詰める事ができ、鏡胴径を小さくする事ができる。尚、ギアの強度はギアの根元で決まるので、外周ギア先端部のギア幅が狭くなっても強度上問題はない。
【0040】
図15は、回転カム筒1の内周面の展開図である。同図に示すように、回転カム筒1の内周面には、カム溝29が設けられており、上記のように第二成分玉枠3のカムピン17がこれと嵌合し、カム結合する。これにより、回転カム筒1の回転によって第二成分玉枠3が光軸方向にカム駆動される構成である。この場合、同図においてカム溝に注目すると、括弧で示した範囲がフォーカス動作を受け持つ部分であり、残りがズーム動作を受け持つ部分である。つまり、ズーム領域とフォーカス領域を交互に持つカム機構となっている。
【0041】
このフォーカス動作を受け持つ部分は、固定筒4内周面の内ヘリコイド18と傾きが同じで逆方向になっている。故に、第二成分玉枠3は、回転カム筒1の光軸方向移動量と同じ量だけ逆方向に移動する。つまり、固定筒4に対して静止している。その時、第一成分玉枠9は、回転カム筒1と一体で移動するので、これによりフォーカシングが行われる。
【0042】
このような階段状のカムを用いてズーム,フォーカスを一体的に構成した鏡胴では、ズームとフォーカスが同一の機構によって駆動される。そのような鏡胴では、従来のフォーカス用レンズのみを別の駆動源によって動かしてフォーカスするタイプの鏡胴と比べて、フォーカス時に駆動される部材が大きいため、慣性等によってレリーズタイムラグが大きくなりやすいという問題がある。これを改善するために、高速で駆動できるような駆動系を設けると、ズーム動作が速くなりすぎ、カメラ使用時に適当な画角を設定するのが難しくなってしまう。
【0043】
そこで、本実施形態では、上記高速で駆動できるような駆動系を設けた上で、図16に示すフローチャートに基づいて、ズーミング時の駆動がフォーカシング時の駆動よりも遅くなるように制御している。同図に示すように、撮影動作が開始されると、まず、ステップ#5において、使用者によりテレ(望遠側)ズームスイッチが押されているか否かを判定し、押されていなければステップ#10に移行する。次に、ステップ#10において、ワイド(広角側)ズームスイッチが押されているか否かを判定し、押されていなければステップ#15に移行する。そして、ステップ#15において、レリーズスイッチが押されているか否かを判定し、押されていなければ最初に戻る。
【0044】
ステップ#5において、テレズームスイッチが押されていれば、ステップ#20に移行し、鏡胴をテレ方向へゆっくり駆動する。引き続きステップ#25において、テレズームスイッチがOFFになったか否かを判定し、なっていなければステップ#20に戻り、駆動を継続する。ステップ#25において、テレズームスイッチがOFFになったら最初に戻る。
【0045】
ステップ#10において、ワイドズームスイッチが押されていれば、ステップ#30に移行し、鏡胴をワイド方向へゆっくり駆動する。引き続きステップ#35において、ワイドズームスイッチがOFFになったか否かを判定し、なっていなければステップ#30に戻り、駆動を継続する。ステップ#35において、ワイドズームスイッチがOFFになったら最初に戻る。
【0046】
ステップ#15において、レリーズスイッチが押されていればステップ#40に移行して測距,測光を行い、引き続きステップ#45で、測距データに基づいて鏡胴を全速力で駆動し、フォーカス動作を行った後に停止させ、ステップ#50において撮影を行い、最後にステップ#55で鏡胴を全速力で繰り込み、待機位置で停止させて終了する。尚、駆動速度及び停止の制御はPWM制御にて行う。また、電源電圧が低下しているときは、ノーマル時と比較してズームスピードをフォーカススピードに対して相対的に速くする。
【0047】
但し、実際は上記各ズームスイッチがOFFになれば直ちに駆動を止めて最初に戻る訳ではなく、後述するステップズームの或所定のポジションに到達するまでは駆動が継続される。本フローチャートは、具体的には示されていないこれらの動作も含むものとする。
【0048】
図17は、本実施形態において使用されるズームファインダーの構成を示す分解斜視図である。同図に示すように、略L字形をした箱状の台板61の長尺部分には、ファインダーズームレンズFG1,FG2が光軸方向に連なって配置され、ガイド軸62によって光軸方向に摺動自在に取り付けられている。それぞれのファインダーズームレンズは、付勢スプリング63により常に互いに引き合う力を与えられている。そして、台板61の下面には止めピン65にて回転カム板64が回転自在に取り付けられ、その上面で回転中心の周りに設けられたG1用カム溝64a及びG2用カム溝64bが、それぞれファインダーズームレンズFG1,FG2から下に延びた突起と嵌合する事によりカム結合している。
【0049】
また、ミラー66,接眼レンズ67,コンデンサーレンズ68はそれぞれ台板1上の所定の場所に取り付けられる。さらに、台板61の側面には、ファインダー画面の形状を変化させるC,H,P(クラシック,ハイビジョン,パノラマの各サイズ)切換機構69が取り付けられ、その画枠の外側から反転プリズム70を収納したプリズム押さえ台板71が取り付けられる。最後に、台板61の上面に蓋72が取り付けられる。
【0050】
この状態で回転カム板64がズーム鏡胴側の駆動ギア24と連動して矢印T(望遠端)方向或いはW(広角端)方向に回転する事により、ファインダーズームレンズFG1,FG2が互いに接近,遠離するように光軸方向に駆動され、ズーミングに合わせてファインダーの画角が変化する仕組みである。また、ファインダーに入射した被写体からの光は、ファインダーズームレンズFG1,FG2を通過し、ミラー66に反射された後にコンデンサーレンズ68を通過して、C,H,P切換機構69を経て反転プリズム70により反転され、最後に接眼レンズ67を通過して使用者の眼に到達する構成である。
【0051】
さらに、ファインダーズームレンズFG1,FG2のそれぞれ角部より出ているガイド片Fa,Fbが、図示しない弾性部材によって台板61に設けられている回転止めレール面73に、押しつけられながら摺動する構成である事により、ファインダーズームレンズFG1,FG2の回転を防止している。また、この機構を利用する事により、後述する視差の補正を行う事もできる。
【0052】
ところで、図18は、本実施形態によるレンズシャッターカメラの外観を模式的に示す斜視図である。同図において、74はズーム鏡胴、75はファインダー窓であり、76は上述のレリーズスイッチ、T,Wは同じく上述のそれぞれテレズームスイッチ,ワイドズームスイッチである。また、77は後述するモード切換スイッチであり、通常モード,マクロモード,風景モードを切り換える働きをする。
【0053】
図19は、本実施形態によるレンズシャッターカメラの制御系を示すブロック図である。同図において、CPUは例えばマイクロコンピュータにより構成される制御部であり、そこにはレリーズスイッチ76,テレズームスイッチT,ワイドズームスイッチW,モード切換スイッチ77が接続されている。レリーズスイッチ76は、半押し,全押しの状態に応じてそれぞれS1,S2の二段階に切り替わる。さらに、CPUからの指令を受けたモータードライバー78によりモーターMが回転し、ズーム鏡胴,ファインダーを駆動する構成である。
【0054】
また、例えばモーターMの回転に連動する図示しない回転羽根が、同じく図示しないフォトインタラプタの光束を遮る頻度を、モーター回転量検出器79によりモーター回転量として検出し、CPUに情報伝達している。さらに、後述する位置検出スイッチ80によりズーム鏡胴の位置を検出し、CPUに情報伝達している。これらの構成により、後述するようなファインダー,ズーム鏡胴の制御を行う。
【0055】
図20は、本実施形態のズーム鏡胴に前記位置検出スイッチ80を設けた様子を示す図であり、(a)が平面図、(b)が側面縦断面図である。ズーム鏡胴部分の構成に関しては、上記図5に示したものとほぼ同じである。図20の場合、固定筒4の上部は軸方向に切り欠かれて、位置検出スイッチ80が取り付けられるようになっている。
【0056】
位置検出スイッチ80は、固定筒4に沿って配置された第1接片82と第2接片84とから成る。第1接片82は、同図(a)に示すように、概ね梯子状の形状を有し、複数の貫通穴87と横断部86とが軸方向に交互に配置されている。この貫通穴87と横断部86の下を、同図(b)に示す直進筒2のスイッチ突起81がズーム鏡胴の駆動に伴って移動する。スイッチ突起81が横断部86に当接すると、第1接片82が押し上げられ、その後端部83が第2接片84の後端部85から離れて非導通状態となる。
【0057】
一方、スイッチ突起81が貫通穴87内に位置するときに、第1接片82は元の位置に復帰して第2接片84と導通状態となる。横断部86と貫通穴87とは、ズーム鏡胴の図15で示したズーム領域とフォーカス領域との各部それぞれに対応して配置されている。
【0058】
図21は、上記図17で示したズームファインダーのファインダーカム曲線を表しており、撮影光学系(ズーム鏡胴)の第一成分レンズ10がリニア、即ち回転量に対する移動量が一定の場合の焦点距離に対応している。ここでは横軸に回転カム板64のカム回転量を取り、縦軸にファインダーズームレンズ(FG1,FG2)の移動量を取っている。横軸に示した1〜5の数字は、ステップズームの各ポジションを示しており、WIDE(広角端)からTELE(望遠端)までの各段階となっている。尚、各ポジションの間の位置には停止しないので、そこは構図確認には使用しない。
【0059】
撮影光学系のズームでは、ズーム鏡胴に都合の良いようにズーム曲線を設定しているので、同図に示すように、撮影光学系のズームの動きに対応するようにファインダーカム曲線を構成すると、ポジション1から2へ移行する際に、図の○印で示したFG1を駆動するカムの圧力角が大きくなりすぎ、ファインダーズームレンズの駆動トルクアップや駆動不良、及びファインダー像の揺れ等の原因となる。そこで、図22に括弧にて示すように、ポジション1からポジション2までのFG1のファインダーカム曲線を略直線にする事により圧力角をならし、特に圧力角が大きいところをなくす事が有効となる。
【0060】
各ポジションの間の位置は構図確認には使用しないのであるから、各ステップ間でのファインダーのズーム動作は、ズーム鏡胴のズーム動作とは無関係に構成する事ができ、上記のような構成としても実用上何等差し支える事はない。尚、FG2はファインダーの視度が一定になるように、FG1の動きに合わせて動作するように構成されている。
【0061】
図23は、各ズームポジションでのFG1,FG2の通常位置を示すファインダーカム曲線において、ズーム停止位置調整範囲を示す図である。本実施例で示したようなズームとフォーカスを鏡胴のカムで行うタイプの鏡胴では、撮影時には、位置検出スイッチ80を基準に鏡胴を駆動してフォーカシングを行うため、撮影シーケンス開始前の鏡胴の停止位置は、撮影結果に影響を与えない。そのため、撮影系に関しては、ズームの停止位置は、基準となるスイッチ80を検出可能な位置であれば自由である。
【0062】
そこで、1〜5の各ズームポジションにおいて、矢印で示すようなズーム停止位置調整範囲を設け、ズーム鏡胴とファインダーとの間の組立上のガタや部品の精度誤差等による視野範囲のズレを修正する事が可能となる。そこで、撮影シーケンス(フォーカシング)開始前の待機ポジションを調整する事により、ファインダーの視野率を最適にする事ができる。また、広角端側から望遠端側へズームしたときとその逆とでは、ギアのバックラッシュ等のガタ分だけ停止位置がずれるので、視野範囲が同じになるように停止位置を調整し、ズーム停止させる。
【0063】
図24は、前記ズーム停止位置調整の様子を示すブロック図である。同図に示すように、カメラ本体91のファインダー窓75を通してファインダー接眼部75′から調整用カメラ92によりチャート93を観察し、得られたデータを調整機94に送り込み、ここで補正量を計算してカメラ本体91内のROMに書き込む事で、ズーム鏡胴74の停止位置を調整する。具体的な手順としては、図25にフローチャートで示すように、ファインダー倍率を測定し、これによるズーム停止位置の補正量を計算し、ROMに書き込むという事になる。これは、カメラ生産時に1台ずつ調整を行ってもよいし、同一金型による部品で組み立てた製品は同等とみなし、その全製品に同じデータを書き込んでもよい。
【0064】
図26は、各ズームポジションでのFG1,FG2の通常位置を示すファインダーカム曲線において、各モード時のズーム待機位置を示す図である。マクロ撮影で接写を行う場合は、通常撮影より撮影範囲が狭くなるので、実際に撮影される範囲をファインダー視野枠内に表示するため、全域マクロモードのときは、ステップズーム各ポジションに対して図の長い矢印で示す、通常より望遠側で待機する。逆に、風景撮影で無限遠を撮影する場合は、通常撮影より撮影範囲が広くなるので、実際に撮影される範囲をファインダー視野枠内に表示するため、全域風景モードのときは、ステップズーム各ポジションに対して図の短い矢印で示す、通常より広角側で待機する。
【0065】
即ち、撮影シーケンス(フォーカシング)開始前の待機位置を、マクロモードではより望遠側にして視野率を合わせ、風景モードではより広角側にして視野率を合わせる事になる。図27は、ズーム待機の手順を示すフローチャートである。撮影動作が開始されると、まず、同図のステップS5において、図18で示したレリーズスイッチ76,ズームスイッチT,W等の各種スイッチのいずれかがONになっているか否かをチェックし、ONになっていなければステップS10に移行する。ステップS10において、図18で示したモード切換スイッチ77によりマクロモードとなっているか否かを判定し、マクロモードであればステップS15に移行する。
【0066】
ステップS15において、現在のズーム鏡胴待機位置がマクロ待機位置か否かを判定し、マクロ待機位置でなければステップS20に移行し、ズーム鏡胴をマクロ待機位置へ移動させて最初に戻る。ステップS15においてマクロ待機位置であればそのまま最初に戻る。また、上記ステップS5において、各種スイッチのいずれかがONになっていればステップS25に移行し、各シーケンス動作を行った後に最初に戻る。尚、そのシーケンスがズームであった場合は、モードに応じた位置で停止する。また、上記ステップS10において、マクロモードでなければステップS30に移行する。
【0067】
ステップS30において、モード切換スイッチ77により風景モードとなっているか否かを判定し、風景モードであればステップS35に移行する。ステップS35において、現在のズーム鏡胴待機位置が風景待機位置か否かを判定し、風景待機位置でなければステップS40に移行し、ズーム鏡胴を風景待機位置へ移動させて最初に戻る。ステップS35において風景待機位置であればそのまま最初に戻る。上記ステップS30において、風景モードでなければステップS45に移行する。
【0068】
ステップS45において、現在のズーム鏡胴待機位置が通常待機位置か否かを判定し、通常待機位置でなければステップS50に移行し、ズーム鏡胴を通常待機位置へ移動させて最初に戻る。ステップS45において通常待機位置であればそのまま最初に戻る。
【0069】
上記のような全域でモード切換を行うのではなく、望遠端のみマクロモードとする事ができるいわゆるテレマクロの構成の場合には、ファインダーカム曲線は図28のようになり、通常の望遠端から矢印で示すテレマクロの状態にすると、ファインダーカムにより視野範囲を狭くするとともに、視度が近距離のものに合うような仕組みとする事もできる。
【0070】
図29(a)は、ズーム鏡胴のフォーカシング動作に連動して撮影範囲に対する視野範囲及び/或いは撮影距離に対する視度が調整される場合のファインダーカム曲線を示す図である。同図において、破線は元のズーム曲線、実線は本実施形態のファインダーカム曲線を示している。撮影レンズは、一般にその撮影距離(フォーカス位置)によって撮影画角が変化する。一方本実施例の鏡胴−ファインダーシステムでは、フォーカスを行うとファインダーカムも駆動されるので、ファインダーのカムを撮影距離に応じた画角及び/又は視度になるように設定する事により、より正確な画角及び/又は視度でファインダー像を示す事が可能となる。
【0071】
また、図19で示したように、レリーズスイッチ76はS1,S2の2段階となっており、S1の半押し状態でフォーカス動作を行う事で、より正しい視野範囲,視度で構図決めをする事ができる。但し、通常のズーム時に、このままで定速にズーム駆動を行うと、ファインダー倍率が不連続に変動し、使用者に不快感を与える事になる。故に、同図(b)に示すように、ファインダーズームの駆動スピードを制御して、倍率の変動が滑らかになるようにする事も可能である。
【0072】
さらに、フォーカシング動作時に、ファインダーレンズを偏心させ、視差(パララックス)の補正を行うようにしてもよい。これは、上記図17で示した回転止めレール面73を図30のような波形に加工し、この面上にファインダーズームレンズFG1(或いはFG2)のガイド片Fa(或いはFb)を摺動させる事により、各ポジション1,2,3…における無限遠から近接までのフォーカシングに対応してファインダーズームレンズFG1(或いはFG2)をガイド軸を中心に回転させる事により偏心させ、撮影距離に応じたズーム鏡胴とファインダーとの視差の補正を行おうとするものである。
【0073】
ところで、上記レンズバリア6は、従来の絞り板や飾りシートの機能を併せ持つ構成とする事もできる。図31は、上記図5で示す鏡胴前部の側面縦断面の拡大図であり、レンズバリア6に別の機能を付加した構成を示している。即ち、回転カム筒1の先端に取り付けられたレンズバリア6のフィルム側、言い換えればレンズ側の面(いわゆる裏面)には、鏡胴内の各部品の取付部分の内面を覆い隠し、外観品質を高めるための裏面印刷6′が輪状に施されており、その中央部の光軸周りには、絞り径Sで示す光学的な開口が設けられていて、従来の絞り板や飾りシートの役割を兼ね備えている。
【0074】
さらに、裏面印刷6′のフィルム側の面には、粘着剤6″が塗布されていて、これにより、レンズバリア6をワンタッチで回転カム筒1に取り付ける事ができるようになっている。図32は、機能を付加したレンズバリア6の外観を示す図であり、(a)は正面斜視図,(b)は背面斜視図,(c)は正面図である。これらの図に示すように、レンズバリア6表面或いはレンズバリア6と裏面印刷6′との間に「ZOOM LENS 38−115mm」等のレンズの説明や、或いはメーカー名やカメラ名等の標章を施す事により、更に外観品質を高める事ができる。以上のような構成により、鏡胴における部品点数や組立工数の減少を図り、また、主に光軸方向に関して小型化を図る事ができる。尚、レンズバリア6に印刷する事にこだわらず、従来の飾りシートに絞りの役割をする印刷を施しても良い。
【0075】
本実施形態における請求項1及び請求項2に関する鏡胴のヘリコイド構造の構成は、図13(a)の縦断面図にて示されており、固定筒の内周に設けられた内ヘリコイドと、回転カム筒の後端外周に設けられた外周ギアの周囲数カ所に刻み込まれた外ヘリコイドとが螺合し、ヘリコイド結合している構成である。そして、外ヘリコイドの底を破線で示す外周ギアの底よりも深くしてある。このとき、回転カム筒は一般的に樹脂成形品であるので、金型製作当初は外ヘリコイドの底を二点鎖線で示すように深めに作っておき、後に現合により内ヘリコイド先端との隙間を減らすように金型を削る事により増肉し、ガタツキを防止する事が行われる。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、回転筒の外ヘリコイドの底が相手ギア先端と干渉する事なく、容易にガタツキを防止する事ができ、しかも高精度な鏡胴を得る事ができる鏡胴のヘリコイド構造を提供する事ができる。
【0077】
特に、請求項1によるならば、回転筒の外ヘリコイドの底が相手ギア先端と干渉する事なく、しかもギアの底を抜けてくる外部からの光を止める効果が得られる。また、請求項2によるならば、現合で金型を調整する事により、容易にガタツキを防止する事ができ、しかも高精度な鏡胴を得る事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の基本的な構成を模式的に示す分解斜視図。
【図2】回転カム筒を後方より見た斜視図。
【図3】固定筒を後方より見た斜視図。
【図4】ズーム鏡胴の他の例における縦断面を模式的に示す図。
【図5】本実施形態のズーム鏡胴の側面縦断面図。
【図6】駆動用長ギア周辺を示す縦断面図。
【図7】本実施形態のズーム鏡胴の一部を後方より詳細に見た図。
【図8】バヨネット爪とその導入用逃げ部を別の形にした場合を示す図。
【図9】直進筒のバヨネット結合要部を模式的に示す図。
【図10】第一成分玉枠前部のバヨネット結合要部を模式的に示す図。
【図11】シャッターユニットのバヨネット結合要部を模式的に示す図。
【図12】第一成分玉枠後部のバヨネット結合要部を模式的に示す図。
【図13】ヘリコイド結合部を模式的に示す図。
【図14】遮光線逃げ部を設けた場合のヘリコイド結合部を模式的に示す図。
【図15】回転カム筒の内周面の展開図。
【図16】ズーミング時及びフォーカシング時の駆動制御を示すフローチャート。
【図17】ズームファインダーの構成を示す分解斜視図。
【図18】レンズシャッターカメラの外観を模式的に示す斜視図。
【図19】レンズシャッターカメラの制御系を示すブロック図。
【図20】ズーム鏡胴に位置検出スイッチを設けた様子を示す図。
【図21】ズームファインダーのファインダーカム曲線を表す図。
【図22】ファインダーカム曲線の圧力角をならした状態を表す図。
【図23】ファインダーカム曲線のズーム停止位置調整範囲を示す図。
【図24】ズーム停止位置調整の様子を示すブロック図。
【図25】ズーム停止位置調整手順を示すフローチャート。
【図26】ファインダーカム曲線のズーム待機位置を示す図。
【図27】ズーム待機の手順を示すフローチャート。
【図28】テレマクロの構成におけるファインダーカム曲線を示す図。
【図29】ズーム鏡胴のフォーカシング動作に連動する例を示す図。
【図30】回転止めレール面を波形に加工した様子を示す図。
【図31】レンズバリアに別の機能を付加した構成を示す側面縦断面図。
【図32】機能を付加したレンズバリアの外観を示す図。
【符号の説明】
1 回転カム筒
2 直進筒
3 第二成分玉枠
4 固定筒
5 カメラボディー
6 レンズバリア
7 外周ギア
8 外ヘリコイド
9 第一成分玉枠
10 第一成分レンズ
11 直進筒フランジ
12 直進結合部
13 バヨネット用フランジ
14 導入用逃げ部
15 直進ガイド
16 第二成分レンズ
17 カムピン
18 内ヘリコイド
19 直進ガイド
20 収納部20
21 駆動用長ギア
22 固定筒フランジ
23 軸
24 駆動ギア
25 ギア押さえ板
26 ボス
27 ビス
28 バヨネット爪
29 カム溝
30 仮抜け止め凸部
32 シャッターユニット
33 フレキシブル基板
34,35 軸
36 回転規制凸部
37 逃げ部
38,41 バヨネットフランジ
39 シャッター外周凸部
42 遮光線
43 遮光線逃げ部
61 台板
62 ガイド軸
63 付勢スプリング
64 回転カム板
65 止めピン
66 ミラー
67 接眼レンズ
68 コンデンサーレンズ
69 C,H,P切換機構
70 反転プリズム
71 プリズム押さえ台板
72 蓋
73 回転止めレール面
74 ズーム鏡胴
75 ファインダー窓
76 レリーズスイッチ
77 モード切換スイッチ
78 モータードライバー
79 モーター回転量検出器
80 位置検出スイッチ
81 スイッチ突起
86 横断部
87 貫通穴
91 カメラ本体
FG1,FG2 ファインダーズームレンズ
T テレズームスイッチ
W ワイドズームスイッチ
M モーター
CPU 制御部

Claims (3)

  1. 内周面に螺旋状に突出した内ヘリコイドを有する固定筒と、外周面にギア部を設け、該ギア部に螺旋状に刻み込んだ外ヘリコイドを有する回転筒とを備え、前記外ヘリコイドと前記内ヘリコイドとが螺合する鏡胴のヘリコイド構造において、
    前記外ヘリコイドは前記ギア部のギア幅の範囲に刻み込まれており、前記外ヘリコイドの底は、前記ギア部のギア底よりも前記外周面から見て深い位置にあり、前記固定筒の内周に、前記内ヘリコイドと平行に遮光線を設け、前記ギア部先端に、前記外ヘリコイドと平行に遮光線逃げ部を設けた事を特徴とする鏡胴のヘリコイド構造。
  2. 前記外ヘリコイドの底が前記内ヘリコイドの先端に近接するように、前記回転筒の金型を調整する事を特徴とする請求項1に記載の鏡胴のヘリコイド構造。
  3. 前記ギア部と前記外ヘリコイドは、光軸方向に関して同じ位置に設けられている事を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鏡胴のヘリコイド構造
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