JP2000199844A - ステップズ―ムレンズカメラ - Google Patents

ステップズ―ムレンズカメラ

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JP2000199844A
JP2000199844A JP11001514A JP151499A JP2000199844A JP 2000199844 A JP2000199844 A JP 2000199844A JP 11001514 A JP11001514 A JP 11001514A JP 151499 A JP151499 A JP 151499A JP 2000199844 A JP2000199844 A JP 2000199844A
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cam
lens
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Hiromitsu Sasaki
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Asahi Kogaku Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 フォーカシングや調整における制御の負担を
軽減し、特にステップ内の焦点距離変化が大きい場合で
も、高精度なフォーカシングを行うことができる信頼性
の高いステップズームレンズカメラを得る。 【解決手段】 カム溝の各ステップ部分は、カムリング
の回転角と仮想ズーミング軌跡からのフォーカスレンズ
群の変位量とを線形の関係にする成分と、ステップ内の
ピント感度を一定にする成分との合成からなる、それ自
身は非線形の形状であって、カムリングの回転より焦点
距離を変化させながら無限遠から最短撮影距離までの被
写体に合焦可能な位置にフォーカスレンズ群を移動させ
ることができる形状をし、かつその両側に、カムリング
の回転位置を変化させたとき上記合焦機能を損なうこと
なくフォーカスレンズ群を単に光軸方向に移動させる調
整領域を持っていること;及び上記カムリングの回転角
をパルス制御するカムリング駆動機構;を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、ステップズームカメラに関す
る。
【0002】
【従来技術およびその問題点】古典的ズームレンズは、
ズーミング時には複数の変倍レンズ群を予め定めたズー
ミング軌跡で移動させてピント位置を移動させることな
く焦点距離を変化させ、シャッタレリーズ時には被写体
距離に応じてフォーカスレンズ群を移動させるものであ
る。フォーカスレンズ群は、変倍レンズ群とは独立して
いることもいずれかの変倍レンズ群と共通であることも
ある。このような古典的ズームレンズは、カム溝を有す
るカムリングを手動あるいは電動で無段階に回転駆動さ
せる機械式のズームレンズに広く採用されてきた。
【0003】これに対して、ステップズームレンズは、
カム溝を有するカムリングの回転角をパルス制御するタ
イプのレンズに採用されつつある。このステップズーム
レンズは、 a.カムリングに形成するカム溝を、ワイド端からテレ
端迄複数ステップに分割すること、 b.各ステップ内のカム溝形状を、変倍レンズ群を兼ね
るフォーカスレンズ群が、ズーミングを伴ってフォーカ
シング動作しながら全ての被写体距離に合焦できるよう
に設定すること、及び c.カムリングの回転角を、被写体距離情報に基づきそ
のステップ内に存在する焦点距離との組み合わせで合焦
するようにパルス制御すること、に特徴がある。
【0004】このステップズームレンズは、被写体距離
と焦点距離との組み合わせによるフォーカシングテーブ
ルをメモリしておくことにより、シャッタレリーズ時の
カムリングの現在位置からのカムリングの回転角を被写
体距離に合致するように演算することができるので、基
本的にカム溝形状を問わずに、フォーカシングできると
いう利点がある。このため従来、各ステップ内のカム溝
は線形に形成されていた。
【0005】また、カムリングの回転角をパルス制御で
きるので、ズーミング調整(各焦点距離でのピント位置
を一致させる調整)やfb調整(ピント位置を撮像面
(フィルム面)位置に一致させる調整)もカムリングの
回転角の設定(補正)で行うことができるという利点も
ある。
【0006】このステップズームレンズカメラでは、カ
ム溝の各ステップ内において最短撮影距離から無限遠ま
での被写体に合焦させるべくカムリングを回転させる
と、焦点距離も各ステップ内で短焦点距離から長焦点距
離に変化する。そして、焦点距離が変化すると、当然ピ
ント感度(フォーカスレンズ群が単位距離移動したとき
のピント位置の変化量)も変化する。よく知られている
ように、ピント感度は、焦点距離が長くなる程高くな
り、かつ焦点距離の変化に対するピント感度の変化は非
線形である。従って、カム溝の各ステップを線形に近似
すると、加工が容易という利点がある反面、制御が難し
くなり、かつ高精度な制御ができないという問題があ
る。
【0007】特に、ズーム分割数を少なくして各ステッ
プの鏡筒回転量を大きく取っているステップズームレン
ズカメラでは、ステップ内での焦点距離の変化が大きく
なるため、ステップ内におけるピント感度変化が無視で
きなくなり、カムリングの回転角決定が複雑になる。
【0008】
【発明の目的】本発明は従って、ステップ内の焦点距離
変化が大きい場合でも、フォーカシングや調整における
制御の負担を軽減し、高精度なフォーカシングを行うこ
とができる信頼性の高いステップズームレンズカメラを
得ることを目的とする。より具体的には、従来線形であ
ったステップズームレンズのカム溝形状を改良すること
を目的とする。
【0009】
【発明の概要】本発明は、回転駆動されるカムリングに
形成したカム溝に従って光軸方向に進退する、変倍レン
ズ群を兼ねるフォーカスレンズ群;上記カム溝は、ピン
ト位置を変化させずに焦点距離を変化させる非線形の仮
想ズーミング軌跡に対して変位した、ワイド端からテレ
端までを複数に分割した複数のステップ部分を有するこ
と;このカム溝の各ステップ部分は、カムリングの回転
角と仮想ズーミング軌跡からのフォーカスレンズ群の変
位量とを線形の関係にする成分と、ステップ内のピント
感度を一定にする成分との合成からなる、それ自身は非
線形の形状であって、カムリングの回転より焦点距離を
変化させながら無限遠から最短撮影距離までの被写体に
合焦可能な位置にフォーカスレンズ群を移動させること
ができる形状をし、かつその両側に、カムリングの回転
位置を変化させたとき上記合焦機能を損なうことなくフ
ォーカスレンズ群を単に光軸方向に移動させる調整領域
を持っていること;及び上記カムリングの回転角をパル
ス制御するカムリング駆動機構;を有することを特徴と
している。
【0010】カムリングの調整領域は、ピント調整(ズ
ーミング調整とfb調整)を行うための回転角をカムリ
ングに与えるために用いられる。
【0011】本発明は、2群以上の変倍レンズ群をもつ
ステップズームレンズカメラ一般に適用することができ
るが、なかでも3群の変倍レンズ群を有し、その中間の
2群レンズが変倍レンズを兼ねるフォーカスレンズ群で
あるステップズームレンズカメラに適用すると好ましい
効果が得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】この実施形態は、図1のズーム軌
跡に示すように、1群レンズL1、2群レンズL2、3
群レンズL3がそれぞれ変倍レンズ群であって、2群レ
ンズL2がフォーカスレンズ群を兼ねるズームレンズに
本発明を適用した実施形態である。説明を簡単にするた
め、1群レンズL1ないし3群レンズL3が光軸方向に
直進案内され、単一のカムリングに、これら1群レンズ
L1ないし3群レンズL3のズーミングカム溝Z1ない
しZ3が形成されていると仮定する。回転駆動されるカ
ムリングの回転位置は、パルス管理される。
【0013】ズーミングカム溝Z1とZ3は、1群レン
ズL1と3群レンズL3が最もフィルム面(撮像面)に
接近するワイド端から、最も離間するテレ端までのズー
ミング域(撮影距離∞とする)において線形にフィルム
面(撮像面)との距離を増減する軌跡を持っている。こ
れに対し、ズーミングカム溝Z2は、ワイド端からテレ
端までのズーミング域内において、1ないし8の8ステ
ップに分割された非線形の軌跡を持っている。このズー
ミングカム溝Z2の分割ステップ溝を、ワイド端側から
順に、ステップ溝Z2−i(i=1〜8)とする。図1
には、古典的なズーミング軌跡、すなわち、撮影距離∞
のとき、1群レンズL1、3群レンズL3とともに、ピ
ント位置を変化させることなく連続的に焦点距離を変化
させる2群レンズL2の仮想ズーミング軌跡Z2’を描
いている。
【0014】ステップ溝Z2−iは、各ステップ内にお
いて、それぞれ無限遠撮影距離(∞)と最短撮影距離
(近)の間の各被写体の合焦位置に2群レンズL2を移
動させることができる軌跡であり、仮想ズーミング軌跡
Z2’に対して変位している。隣接するステップでは、
この無限遠撮影距離(∞)と最短撮影距離(近)の前後
関係が逆になっている。また、図2に詳細を示すよう
に、各ステップ溝Z2−iの両端部には調整領域Z2a
が設けられ、各ステップ溝Z2−i(調整領域Z2a)
の間に、移行域Z2bが設けられている。
【0015】調整領域Z2aの役割は次の通りである。
カムリングの停止位置は、設計上、被写体距離に応じて
ステップ溝Z2−iの中に設定される。しかし、2群レ
ンズL2は、後述するピント調整(ズーミング調整とf
b調整)因子に応じて、被写体距離とは無関係に(被写
体距離に合算して)、シャッタレリーズ時にソフト的に
移動させる必要がある。調整領域Z2aは、このピント
調整因子による2群レンズL2の移動量を確保するため
に設定されている。すなわち、ピント調整因子による2
群レンズL2の移動量を得るために、ステップ溝Z2−
iの端部を両側の調整領域Z2a内で動かしても(調節
しても)、各ステップ溝Z2−i内での合焦動作は、全
く同様に行うことができる。図2で具体的に説明する
と、基本のステップ溝Z2−1をステップ溝Z2−1’
やステップ溝Z2−1”のように、調整領域Z2aを用
いて変化させても、合焦動作は全く同様に行うことがで
きる。ステップ溝Z2−1、Z2−1’、Z2−1”の
範囲(角度)は同一である。移行域Z2bは、隣接する
ステップ溝Z2−iを接続するカム溝であり、ズーミン
グカム溝Z2の方向を反転して、各ステップ溝Z2−i
を仮想ズーミング溝Z2’に近づける作用をする。
【0016】以上のカム構造において、カムリングを回
転させると、ズーミングカム溝Z1、Z3により1群レ
ンズL1、3群レンズL3が移動し、同時に、各ステッ
プ溝Z2−iに従って2群レンズL2が移動する。この
とき、同時に各ステップ内で焦点距離が変化する。但
し、隣接するステップの焦点距離に至ることはない。例
えば、ステップ1の最短撮影距離での焦点距離は、ステ
ップ2の無限遠撮影距離での焦点距離になることはな
い。また、カムリングは移行域Z2bで停止することは
ない。
【0017】実際の鏡筒構成では、ズーミングカム溝Z
1ないしZ3を単一のカムリングに形成することは種々
の不利益や制約があるため、カムリングには、ズーミン
グカム溝Z2だけを形成するのが好ましい。図8には、
ズーミングカム溝Z2だけを形成したカムリング30
と、ステップ溝Z2−i、調整領域Z2a、移行域Z2
bの具体的形状例を示している。
【0018】本実施形態は、以上の前提において、さら
に、ズーミングカム溝Z2(ステップ溝Z2−i)の形
状を問題としている。すなわち、各ステップ溝Z2−i
が、非線形の仮想ズーミング軌跡Z2’に対して、カム
リングの回転角と仮想ズーミング軌跡Z2’からの2群
レンズL2の変位量とを線形の関係とする成分と、その
ステップ内のピント感度を一定にする(ステップ内の感
度変化を打ち消す)成分との合成軌跡として設定されて
いることに特徴がある。以下、その理由と利点を説明す
る。
【0019】最初に、ソフト的に行うピント調整の原理
を説明する。これは、3群ズームレンズの2群レンズL
2でピント調整を行う例である。図9において、ズーミ
ング調整とfb調整を、機械的に行わずに、2群レンズ
L2を駆動するカムリングの回転角の設定で行う場合、
ズーミング調整相当量をZadj、fb調整相当量をF
adj、シャッタレリーズ時に2群レンズL2に与える
べき移動量をAadjとすると、 Aadj=Zadj+Fadj で与えられる。
【0020】調整前のピント位置をpとし、ワイド端に
おけるピント位置Lwとテレ端におけるピント位置Lt
を測定する。いまワイド端(w)、中間焦点距離
(i)、テレ端(t)におけるピント感度をKw、K
i、Ktとすると、 Δpw=Kw×Zadj Δpi=Ki×Zadj Δpt=Kt×Zadj から、 Zadj=(Δpt−Δpw)/(Kt−Kw) =−(Lt−Lw)/(Kt−Kw) また、 Fadj=Lw+pw=Lw−Kw(Lt−Lw)/
(Kt−Kw) Li=Fadj−Δpi =Lw+(Ki−Kw)(Lt−Lw)/(Kt−K
w) であるから、Aadjは、 Aadj=−Li/Ki =−{Lw/Ki+(1−Kw/Ki)(Lt−Lw)
/(Kt−Kw)} で求めることができる。LwとLtは測定値であり、K
w、Ki、Ktはレンズデータからの値である。よっ
て、各焦点距離におけるAadjによるカムリングの回
転角をメモリしておき、シャッタレリーズ時に、被写体
距離データに基づくカムリングの回転角に、このAad
jによるカムリングの回転角を加えれば、機械的なピン
ト調整を行うことなく、ソフト的にピント調整ができ
る。
【0021】一方、本発明の対象とするステップズーム
レンズ、特に1、3群レンズもズーミング動作に関与す
るズームレンズでは、各ステップ内での撮影距離に基づ
く焦点距離変化が大きいため、撮影距離(焦点距離)に
基づく感度変化が無視できない。そこで本発明は、上述
のように、各ステップ溝Z2−iの形状を、カムリング
の回転角と仮想ズーミング軌跡Z2’からの2群レンズ
L2の変位量とを線形の関係にする成分と、ステップ内
のピント感度を一定にする成分との合成からなるよう
に、それ自身は非線形に設定したものである。この本発
明の特徴を説明する前に、各ステップ溝が線形である場
合(カム溝(ステップ溝)をZ2hで表す)の問題点を
説明する。
【0022】図5ないし図7は、この比較例を図示した
ものである。図5ないし図7における符号(式)の定義
は次の通りである。A区間;カムリングがテレ方向に回
転するとき2群レンズL2が仮想ズーミング軌跡Z2’
から前方に離れるカム溝Z2hのステップ溝、B区間;
カムリングがテレ方向に回転するとき2群レンズL2が
仮想ズーミング軌跡Z2’に接近するカム溝Z2hのス
テップ溝、 y=f(x);仮想ズーミング軌跡Z2’を与える式、 y=aix+bi;区間Aにおけるカム溝Z2hを与え
る式、 y=ajx+bj;区間Bにおけるカム溝Z2hを与え
る式、 x;カムリング回転角、 y;2群レンズL2の光軸方向の位置、 ai;A区間におけるカム溝Z2hの傾き、 bi;A区間におけるカム溝Z2hの切片、 aj;B区間におけるカム溝Z2hの傾き、 bj;B区間におけるカム溝Z2hの切片。
【0023】各ステップ溝が線形であることは、カム溝
Z2hの形状が直線であることに表れている。この関係
では、カムリングの回転角とカム溝Z2hの仮想ズーミ
ング軌跡Z2’からの変位量(つまりは2群レンズL2
の変位量)との関係(カム溝Z2hと仮想ズーミング軌
跡Z2’との差をプロットした線y=f’(x)、y=
−f’(x))は、非線形となる。加えて、カムリング
の回転角(焦点距離)とピント感度の関係は図10に示
すように非線形であり、ステップ内での焦点距離変化が
大きい場合(分割したステップが図10の横軸方向に長
い場合)には、このステップ内での非線形のピント感度
変化が大きくなり、これを線形に近似することは難し
い。
【0024】このように、カムリングの回転角とカム溝
Z2hの仮想ズーミング軌跡Z2’からの変位量(2群
レンズL2の変位量)との関係が非線形で、さらにステ
ップ内のピント感度変化が大きい場合、上述のピント調
整量を、パルス管理されたカムリングの回転角に変換し
て与えるときの演算が煩雑になり、演算時間がかかるば
かりか、精度が落ちる。具体的には、この比較例は、ピ
ント調整量に対応するカムリングの回転角を求めるため
に、y=f’(x)、y=−f’(x)を、感度変化を
無視でき、カムリングの回転角と仮想ズーミング軌跡Z
2’からの変位量の関係を線形に近似できる程度に短い
ステップに分割し、各分割域で感度を設定すると共に各
分割域での傾きを求め、この傾きと被写体距離に応じ
て、ピント調整量に対応したカムリングの回転角を求め
るというステップを要することを意味する。このため演
算時間を要し、しかも近似する項が多くなるので、2群
レンズL2の停止位置が不正確になる。
【0025】図2ないし図4は、図5ないし図7の比較
例に対応する本発明の一実施形態である。図2ないし図
4における符号(式)の定義は次の通りである。なお、
図5ないし図7と共通する符号(式)については説明を
省略する。 y=f(x)+c(x−xi1)+gi(x);区間A
におけるカム溝Z2hを与える式、 y=f(x)−c(x−xj2)+gj(x);区間B
におけるカム溝Z2hを与える式、 gi(x);区間Aにおける感度補正項、 gj(x);区間Bにおける感度補正項、 c;感度補正項を除いた、仮想ズーミング軌跡Z2’か
らのカム溝Z2hの変位の傾き、 y=cx;感度補正項を除いた、区間Aにおける仮想ズ
ーミング軌跡Z2’からのカム溝Z2hの変位量、 y=−cx;感度補正項を除いた、区間Bにおける仮想
ズーミング軌跡Z2’からのカム溝Z2hの変位量、 xi1;区間Aにおける無限遠撮影距離でのカムリング
回転角、 xi2;区間Aにおける最短撮影距離でのカムリング回
転角、 xj1;区間Bにおける無限遠撮影距離でのカムリング
回転角、 xj2;区間Bにおける最短撮影距離でのカムリング回
転角。
【0026】この実施形態の比較例と比較しての特徴
は、(1)ズーミングカム溝Z2の形状が非線形であ
り、この非線形形状は、各ステップ内のピント感度を一
定にする感度補正成分を含んでいること、(2)ズーミ
ングカム溝Z2のうち、この感度補正成分を除いた成分
が、カムリングの回転角xとカム溝Z2の仮想ズーミン
グ軌跡Z2’からの変位量(2群レンズL2の変位量)
との関係が線形となるような非線形形状に定められてい
ること、にある。
【0027】(2)は、端的に言えば、図5ないし図7
の比較例のy=f’(x)、y=−f’(x)が、図2
ないし図4のy=cxまたはy=−cxの関係になるよ
うにすることであり、これを満たすための式は、区間A
では、 y=f(x)+c(x−xi1) で与えられ、区間Bでは、 y=f(x)−c(x−xj2) で与えられる。
【0028】また、区間Aにおいて、当該ステップの基
準感度(ここでは∞撮影距離での感度とする)をKi
(xi1)、カムリング回転角xのときの感度をKi
(x)とすると、カムリングが区間Aにおける撮影距離
∞での回転角(xi1)からx回転したときのピント移
動量Δdは、 Δd=c(x−xi1)・Ki(xi1) ={c(x−xi1)+gi(x)}Ki(x) で与えられ、これより、区間Aでの感度補正項gi
(x)を与える次式が得られる。 gi(x)=c(x−xi1){1−Ki(xi1)/K
i(x)}
【0029】同様に、区間Bの感度補正項gj(x)
は、次式で与えられる。 gj(x)=c(x−xj2){1−Kj(xj2)/K
j(x)} 但し、 Kj(xj2);ステップの基準感度(ここでは∞撮影
距離での感度とする)、 Kj(x);カムリング回転角xのときの感度、 である。
【0030】従って、カムリングの回転角と仮想ズーミ
ング軌跡からの変位量の関係とを線形にさせるカム溝成
分を得る上記式に、この式で得られる感度補正項gi
(x)、gj(x)を加えると、(1)、(2)を満た
した、区間Aと区間Bにおける実際のズーミングカム溝
Z2の形状を表す上述の式、 y=f(x)+c(x−xi1)+gi(x) y=f(x)−c(x−xj2)+gj(x) が得られる。
【0031】このようにカム溝Z2(ステップ溝Z2−
i)のステップ部分の形状を設定すれば、各ステップ内
で生じる非線形の感度変化も考慮したピント調整量を、
カムリングの回転角xから容易に演算できる。つまり、
このズーミングカム溝Z2では、ピント調整に関するカ
ムリングの回転角の決定の際には、ステップ内でのピン
ト感度を一定とみなすことができ、同時に、各ステップ
内のカム溝形状は、カムリングの回転角と仮想ズーミン
グ軌跡からのフォーカスレンズ群の変位量の関係を線形
とするものである。従ってピント調整に関しては、iス
テップにおける基準位置(例えば∞撮影距離)でのピン
ト調整量Aadjと、感度補正成分を除いた、仮想ズー
ミング軌跡Z2’からのカム溝Z2の変位の傾きcとの
関係のみで、必要なカムリング回転角を求めることがで
きる。
【0032】すなわち、ズーミングカム溝Z2では、先
のピント調整量の式、 Aadj=−{Lw/Ki+(1−Kw/Ki)(Lt
−Lw)/(Kw−Kw)} に、iステップにおいて一定とみなされる感度Kiをレ
ンズデータとして入れるのみでAadjを求めることが
でき、さらに、このAadjを得るのに必要なカムリン
グの回転角Δθiは、 Δθi=Aadj/c で得ることができる。シャッタレリーズ時には、被写体
距離情報に基づくカムリングの回転角に、このピント調
整量に基づく回転角Δθiを加えた量だけ、カムリング
を回転させればよい。
【0033】本発明は、以上のようなズーミングカム溝
Z2を有するカムリングをパルス管理して回転させるこ
とで、ステップズーミングを行うカメラ一般に適用する
ことができ、その具体的な機構は問わないが、次に3群
ズームレンズに適用した機械的な構成例を説明する。
【0034】図11から図14に示すように、ステップ
ズームレンズカメラ5は、カメラボディ9とズームレン
ズ鏡筒10を備えている。カメラボディ9内部にはアパ
ーチャ板11が固定され、このアパーチャ板11の光軸
O側の縁部が、フィルムへの露光領域を決定するアパー
チャ11aを形成している。アパーチャ板11の前部に
は、固定鏡筒13がカメラボディ9に固定されている。
この固定鏡筒13の内周面には、雌ヘリコイド14が形
成されており、固定鏡筒13の内周面にはさらに、光軸
Oに平行な複数の直進案内溝15が形成されている。
【0035】固定鏡筒13には光軸Oと平行な方向へ切
欠部13aが形成されていて、この切欠部13aにズー
ムギヤ(多連ピニオン)16が取り付けられる。ズーム
ギヤ16は、光軸Oと平行な回動中心で回動可能に支持
され、そのピニオン部の歯面が上記の切欠部13aから
固定鏡筒13の内側に突出されている。カメラボディ内
にはズームモータMが設置されており、このズームモー
タMの駆動軸の回転は、ズームギヤ列8を介してズーム
ギヤ16に伝達される。
【0036】ズームモータMの駆動軸には複数のスリッ
トが形成されたスリット円板12aが固定されており、
このスリット円板12aの回転をフォトインタラプタ1
2bで検出することにより、ズームモータMの駆動量を
検出することができる。ズームレンズ鏡筒10の繰出及
び収納動作量はズームモータMの駆動量に応じたもので
あるから、このスリット円板12aとフォトインタラプ
タ12bからなるパルス検出機構12(図15参照)を
用いて、後述するカムリング30の回転角をパルス制御
することができる。
【0037】固定鏡筒13の雌ヘリコイド14には、第
1外筒17の外周面の後端付近に形成された雄ヘリコイ
ド18が螺合されている。雄ヘリコイド18の光軸方向
の幅は、第1外筒17の最大繰出時に外観に露出しない
程度に形成されている。この第1外筒17にはさらに、
雄ヘリコイド18が形成された同一周面上に、雄ヘリコ
イド18と平行な複数の外周ギヤ部19が設けられてい
る。それぞれの外周ギヤ部19の歯は光軸Oと平行な方
向に形成されており、これに上記ズームギヤ16が噛合
している。さらに、第1外筒17の内周面には、光軸O
と平行な方向に複数の回転伝達溝17aが形成されてい
る(図中には一つのみを示す)。
【0038】第1外筒17の内部には、第1直進案内環
20が配設されている。この第1直進案内環20は、後
端付近の外周面に、周方向へ平行な一対のフランジ部2
1a、21bが半径方向外方に突設されており、この一
対のフランジ部21a、21bに挟まれる部分が、光軸
Oを中心とする環状溝21cとなっている。一方、第1
外筒17の内周面の後端部には、周方向に位置を異なら
せて、半径方向内方(光軸O側)へ複数の係合爪23
(図中には一つのみを示す)が突設されている。それぞ
れの係合爪23の厚みは、第1直進案内環20に形成し
た環状溝21cに対して光軸Oと平行な方向にはガタな
く嵌まり、かつ周方向に摺動可能な程度となっている。
よって、係合爪23を環状溝21cに係合させれば、第
1外筒17と第1直進案内環20は、光軸方向には相対
移動不能かつ相対回転可能に結合される。
【0039】また第1直進案内環20の後端には、周方
向に位置を異ならせて、半径方向外方に複数の直進案内
突起24が突設されている。それぞれの直進案内突起2
4は、固定鏡筒13の内周面に形成した複数の直進案内
溝15にそれぞれ摺動可能に係合している。従って、第
1直進案内環20は、光軸方向には第1外筒17と一体
に移動されるが、光軸Oを中心とする周方向には、固定
鏡筒13に対する相対回転が規制されている。つまり直
進案内されている。
【0040】以上の第1外筒17と第1直進案内環20
がズームレンズ鏡筒10の第1繰出段部を構成する。こ
の第1繰出段部は、ズームモータMによってズームギヤ
16が所定のレンズ繰出方向に回転されると、外周ギヤ
部19を介して第1外筒17が回転され、雌ヘリコイド
14と雄ヘリコイド18の関係によって固定鏡筒13か
ら第1外筒17が回転しながら繰り出される。同時に、
第1直進案内環20と第1外筒17は相対回転可能に爪
係合されているため、第1直進案内環20は、固定鏡筒
13に対して直進案内されながら第1外筒17と共に光
軸方向に移動する。
【0041】第1直進案内環20の内周面には、上記雌
ヘリコイド14と同傾斜方向の雌ヘリコイド27が形成
されている。第1直進案内環20の内周面にはさらに、
光軸Oと平行な複数の直進案内溝28が周方向に位置を
異ならせて形成されている。
【0042】第1直進案内環20の内部には、雌ヘリコ
イド27に螺合する雄ヘリコイド29を外周面に有する
カムリング30が配設される。雄ヘリコイド29は、こ
のカムリング30の外周面全体に形成されている。ま
た、カムリング30の内周面全体には、雄ヘリコイド2
9と逆傾斜方向の雌ヘリコイド31が形成されている。
このカムリング30の内周面の後端部には、周方向に位
置を異ならせて、半径方向内方(光軸O側)へ複数の係
合爪32(図中には一つのみを示す)が突設されてい
る。
【0043】カムリング30の内部には、第2直進案内
環33が配設されている。この第2直進案内環33は、
後端付近の外周面に、周方向へ平行な一対のフランジ部
34a、34bが半径方向外方に突設されており、この
一対のフランジ部34a、34bに挟まれる部分が、光
軸Oを中心とする環状溝34cとなっている。上記カム
リング30の内周面に突設した複数の係合爪32を、環
状溝34cに嵌めることにより、カムリング30と第2
直進案内環33は、光軸方向には相対移動不能かつ相対
回転可能に結合される。
【0044】また第2直進案内環33の後端には、周方
向に位置を異ならせて、半径方向外方に突出する複数の
直進案内突起36が半径方向外方へ突設されている。そ
れぞれの直進案内突起36は、第1直進案内環20の内
周面に形成した複数の直進案内溝28にそれぞれ摺動可
能に係合している。従って、第2直進案内環33は、光
軸方向にはカムリング30と相対移動不能で、第1直進
案内環20を介して固定鏡筒13に対して直進案内され
ている。
【0045】第2外筒40は、カムリング30の外周を
覆って第1外筒17と第1直進案内環20の間に位置し
ており、後端付近の外周面に突設した複数の回転伝達突
起41を、第1外筒17の内周面に形成した光軸Oと平
行な方向の複数の回転伝達溝17aに摺動可能に係合さ
せている。従って、第2外筒40は、第1外筒17に対
しては、相対回転せず、かつ光軸Oと平行な方向には相
対移動自在に案内されている。
【0046】カムリング30の前端部には、3箇所の切
欠部38を有するリブ37が突設されている。第2外筒
40は、内周面の前端側に、この切欠部38に嵌合可能
な3つの係合爪39が、周方向に位置を異ならせて半径
方向内方に突設されている。この係合爪39と切欠部3
8を係合させ、さらに化粧リング42を前端部に取り付
けることによって、カムリング30と第2外筒40は、
光軸方向へ相対移動せずかつ相対回転しないように一体
に結合される。従って、第2外筒40は第1外筒17に
従って回転し、カムリング30に回転力を与える。
【0047】以上のカムリング30、第2直進案内環3
3及び第2外筒40が、ズームレンズ鏡筒10の第2繰
出段部を構成する。第1繰出段部を構成する第1外筒1
7が回転して固定鏡筒13より繰り出されると、回転伝
達溝17aと回転伝達突起41の関係によって、第1外
筒17と共に第2外筒40が回転される。第2外筒40
の回転を受けるカムリング30は、雌ヘリコイド27と
雄ヘリコイド29の関係により、固定鏡筒13に対して
は第1外筒17の回転方向と同方向に回転しながら、第
2外筒40と共に第1直進案内環20から繰り出され
る。同時に、第2直進案内環33は、カムリング30と
相対回転可能に結合されているため、直進案内突起36
と直進案内溝28の関係によって第1直進案内環20に
直進案内されつつ、カムリング30と共に光軸方向に移
動する。
【0048】カムリング30の内側には、第3外筒45
が配設されている。第3外筒45の内側には、先述の第
2直進案内環33が位置している。第2直進案内環33
の外周面には、光軸Oと平行に複数のガイドレール33
aが形成されている。一方、第3外筒45の内周面に
は、上記ガイドレール33aに係合する複数のガイドレ
ール45aが形成されている。第3外筒45に設けたガ
イドレール45aは、それぞれが第2直進案内環33に
設けたガイドレール33aに摺動可能に係合し、これら
を係合させることによって、第3外筒45は、第2直進
案内環33に対して光軸Oと平行な方向に相対移動可能
に直進案内される。
【0049】第3外筒45の後部外周面には、カムリン
グ30の内周面に設けた雌ヘリコイド31と螺合する、
雄ヘリコイド46が形成されている。カムリング30が
繰出回転を行うと第3外筒45に回転力が加えられる
が、第3外筒45は第2直進案内環33によって直進案
内されている。そのため第3外筒45は、カムリング3
0の繰出回転時にはこれと一体に回転せず、雄ヘリコイ
ド46と雌ヘリコイド31の関係によって、固定鏡筒1
3に対して光軸Oと平行な方向に直進しつつカムリング
30から繰り出される。つまり、第3外筒45は、レン
ズ鏡筒の第3繰出段部を構成しており、雄ヘリコイド4
6の光軸方向の幅は、第3外筒45の最大繰出時に外観
に露出しない程度に設定されている。
【0050】第2直進案内環33には、周面の一部を切
除して、3本の2群直進案内スリット50が光軸Oと平
行な直線状に形成されている。本ステップズームレンズ
カメラ5において、3群ズーミング用のカム溝は2種類
の斜行溝からなっており、第2直進案内環33には、2
群直進案内スリット50に対して斜行する3本の3群用
ズーミングカム溝Z3aが形成され、第3外筒45の内
周面にはカム溝Z3aと反対方向に斜行する3本の3群
用ズーミングカム溝Z3bが形成されている。このうち
3群用ズーミングカム溝Z3aは、第2直進案内環33
の内周面と外周面を貫通している。
【0051】また、カムリング30の内周面には、先述
のように、それ自身は非線形の形状で、各ステップ形状
が、カムリング30の回転角と仮想のズーミング軌跡Z
2’からの2群レンズL2の変位量とを線形の関係にす
る成分と、ステップ内のピント感度を一定にする成分の
合成からなっている3本の2群用ズーミングカム溝Z2
が形成されている。2群用ズーミングカム溝Z2の各ス
テップはさらに、撮影範囲の両側に上述の調整領域を有
している。
【0052】第3外筒45の内部には1群レンズ枠47
が固定されており、この1群レンズ枠47に1群レンズ
L1が保持されている。1群レンズL1は、第3外筒4
5と共に光軸方向に直進移動され、第3外筒45が進退
したときの1群レンズL1の移動軌跡は、図1に示すよ
うな線形のズーム軌跡となる。つまり、本ステップズー
ムレンズカメラ5では、1群用のズーミングカム溝(Z
1)は設けていないが、本発明が1群レンズL1の駆動
形態を問うものでないことは先に述べた通りである。
【0053】2群ユニット48は、2群レンズL2を保
持する2群レンズ枠48aと、この2群レンズ枠48a
が固定されるシャッタブロック54とからなっており、
シャッタブロック54の後端には3つのスライド板55
が後方に延設されている。それぞれのスライド板55
は、第2直進案内環33に形成した2群直進案内スリッ
ト50にスライド自在に案内されている。さらに3つの
スライド板55のそれぞれには半径方向外方に2群カム
フォロワ56が突設され、各2群カムフォロワ56がカ
ムリング30に形成した2群用ズーミングカム溝Z2に
係合している。従って、カムリング30が回転すると、
2群ユニット48は、直進案内されつつ2群用ズーミン
グカム溝Z2の軌跡に応じて光軸方向に所定の進退移動
を行う。
【0054】3群ユニット49は、3群レンズL3が3
群支持環49aに保持された構成となっており、3群支
持環49aは、前方へ突出する3つの延出板57を有し
ている。それぞれの延出板57には半径方向外方へ突出
する3群カムフォロワ58が設けられていて、この3群
カムフォロワ58は先述の3群用ズーミングカム溝Z3
aを貫通して3群用ズーミングカム溝Z3bに係合され
る。この構造により、カムリング30が回転したときに
は、ズーミングカム溝Z3a、Z3bの合成軌跡によっ
て3群カムフォロワ58が案内され、3群ユニット49
は光軸方向へ図1に示すような線形の軌跡で移動する。
なおカム溝Z3a、Z3bがそれぞれ光軸に対する斜行
形状をなしているため、3群ユニット49は、光軸Oを
中心とする回転動作を伴って光軸平行方向へ前後移動す
る。
【0055】2群ユニット48と3群ユニット49の間
には、バックラッシュ除去用の圧縮ばね59が配されて
いて、2群ユニット48は光軸方向前方に、3群ユニッ
ト49は光軸方向後方にそれぞれ移動付勢されている。
【0056】ズームレンズ系の焦点距離は、第1外筒1
7に固定されたブラシ62と、第1直進案内環20の外
周面に貼付されたズームコード板63の摺接関係によっ
て、有限段数の距離情報として検出することができる。
ズームコード板63とCPU70はFPC基板60を介
して接続されており、第1外筒17と第1直進案内環2
0の相対回転に応じてズームコード板63とブラシ62
の摺接位置が変化すると焦点距離(ステップ)が検出さ
れる。図16に示すように、ズームコード板63のコー
ドパターンは、第1外筒17と第1直進案内環20の一
定の回転角の変化ごとにブラシ62の2接点と導通する
ように形成されており、1から8までの8ステップの焦
点距離を検出できる。
【0057】図15に示すように、ステップズームレン
ズカメラ5はさらに、ズーム操作手段64、シャッタレ
リーズ手段65、測距手段66及び測光手段67を備え
ており、各手段はCPU70に接続されている。ズーム
操作手段64は、ズームレンズ鏡筒10にズーミング指
令、すなわちワイド側からテレ側への移動指令、及びテ
レ側からワイド側への移動指令を与えるもので、例えば
モーメンタリのスイッチから構成される。シャッタレリ
ーズ手段65は、レリーズボタンから構成されるもの
で、その一段押しで測距手段66への測距指令と測光手
段67への測光指令を与え、二段押しで上記シャッタブ
ロック54を動作させる。シャッタブロック53は、測
光手段67からの測光出力を受けて、図示しないシャッ
タブレードを所定時間開放する。また、CPU70に接
続するROM(EEPROM)68が設けられている。
【0058】ROM68には、各焦点距離ステップ内に
おいて、無限遠撮影距離(∞)から最短撮影距離(近)
の間の被写体への合焦位置に2群レンズL2を移動させ
るためのカムリング30の回転角(フォーカシングテー
ブル)が予めメモリされている。
【0059】さらにROM68には、各焦点距離ステッ
プ内におけるピント調整量(Aadj)を得るための上
述の式、 Aadj=−{Lw/Ki+(1−Kw/Ki)(Lt
−Lw)/(Kt−Kw)} と、このピント調整を行うためのカムリング30の回転
角を表す上述の式、 Δθi=Aadj/c とが予め書き込まれている。カメラ組立時に、少なくと
もワイド端とテレ端でのピント位置Lw、Ltを測定し
てROM68に書き込むと、以上の2式より各焦点距離
におけるピント調整用のカムリング30の回転角が得ら
れる。上述した通り、このピント調整に関するカムリン
グ30の回転角の決定に際しては、ステップ内でのピン
ト感度は一定とみなすことができ、またカムリング30
の回転角と仮想のズーミング軌跡Z2’からの2群レン
ズL2の変位量を線形として扱うことができるので、演
算が容易である。こうして得たピント調整用のカムリン
グ30の回転角(ピント調整テーブル)がROM68に
メモリされている。
【0060】以上のステップズームレンズカメラ5のズ
ームレンズ系は、次のように動作する。図11の鏡筒収
納状態あるいは図12のワイド端からズームモータMが
繰出方向に駆動されると、固定鏡筒13から第1外筒1
7が回転して繰り出され、第1直進案内環20は、固定
鏡筒13に直進案内されながら第1外筒17と共に前方
へ移動する。すると、第2外筒40と共にカムリング3
0が第1外筒17の回転方向と同方向に回転しながら、
第1直進案内環20から繰り出される。同時に、第2直
進案内環33がカムリング30と共に光軸方向に直進移
動し、第2直進案内環33に直進案内された第3外筒4
5が、カムリング30の回転を受けて光軸前方に移動
し、該第3外筒45に固定された1群レンズL1が光軸
前方へ線形に移動される。このとき、第2直進案内環3
3と第3外筒45に形成した3群用ズーミングカム溝Z
3a、Z3bの案内によって、3群レンズL3も光軸前
方に線形の軌跡で移動される。また2群レンズL2は、
カムリング30に形成した2群用ズーミングカム溝Z2
によって、図1に示す非線形の移動軌跡で光軸平行方向
に移動する。図13のテレ端からズームモータMを収納
方向に駆動させると、ズームレンズ鏡筒10と各レンズ
群L1〜L3は鏡筒繰出時とは反対に動作する。
【0061】各段の焦点距離でのフォーカシング動作は
次のように制御される。ズーム操作手段64を操作する
と、ブラシ62とズームコード板63が摺接されて焦点
距離ステップ1〜8のいずれかが検出される。各ステッ
プにおいては、鏡筒を収納(ワイド端)側から繰り出し
たときにブラシ62とズームコード板63が接触した時
点をパルスカウントの基準とする。図示しないが本ステ
ップズームカメラ5は、撮影光学系とは別にファインダ
光学系を有しているため、ズーム操作の時点では、2群
レンズL2を合焦位置に移動させる必要はない。よって
ズーム操作を行っただけの時点では、2群レンズL2を
合焦位置に移動させる必要はないので、ズーム操作手段
64を操作解除すると、ズームレンズ鏡筒10は、各ス
テップのパルスカウント基準位置よりも鏡筒収納方向の
待機位置で停止する。
【0062】この待機状態においてレリーズボタンが半
押しされ、測距手段66による測距動作が行われるとC
PU70が被写体距離を検出する。すると、この被写体
へ合焦する位置に2群レンズL2を移動させるためのカ
ムリング30の回転角がROM68に格納されたフォー
カシングテーブルから読み出される。さらに、この焦点
距離ステップにおけるピント調整用のカムリング30の
回転角もROM68のピント調整テーブルから読み出さ
れ、上記のフォーカシングテーブルからのデータと合わ
せてカムリング30の最終的な回転角(停止位置)が求
められる。求められた回転角度位置は、パルスカウント
基準位置におけるカムリング30の回転角度位置と比較
され、カムリング30を該基準位置から決定された回転
角度位置まで駆動するために必要なズームモータMの駆
動パルスがCPU70において演算される。
【0063】ここでレリーズボタンが全押しされてシャ
ッタレリーズ手段65からオン信号が入力されると、ズ
ームモータMを駆動してズームレンズ鏡筒10を繰出方
向に動作させ、ブラシ62とズームコード板63の接触
時点、すなわち基準位置からズームモータMのパルスカ
ウントを開始する。そして、先に演算したパルス数が検
出されるとズームモータMを停止して、2群レンズL2
を合焦及びピント調整がなされた位置に保持して撮影が
行われる。撮影後には、ズームレンズ鏡筒10は再び先
述の待機位置まで戻る。こうして、ソフト的なピント調
整を伴った合焦動作を2群レンズL2に行わせることが
できる。なお本実施形態では、シャッタレリーズ時に上
述の合焦動作を行うようにしているが、フォーカシング
の駆動形態はこれには限定されず、例えば測距完了時点
でフォーカスレンズ群を合焦位置に移動させても構わな
い。また、各ステップでのズームレンズ鏡筒の待機位置
が実施形態と異なっていてもよい。
【0064】以上のフォーカシング制御においては、2
群用ズーミングカム溝Z2の各ステップ形状が、カムリ
ング30の回転角と仮想のズーミング軌跡Z2’からの
2群レンズL2の変位量とを線形の関係にする成分と、
ステップ内のピント感度を一定にする成分の合成からな
っているため、パルス制御されるカムリング30の回転
角を簡単な演算で決定することができる。この構成は、
特にステップ内の焦点距離変化が大きく、該ステップ内
の感度変化が無視できない場合に有効である。また2群
用ズーミングカム溝Z2の各ステップ部分は調整領域を
有するため、ピント調整量が大きく、決定された回転角
が通常の撮影範囲を出る場合であっても対応することが
できる。
【0065】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、従来ステ
ップ内で線形であったステップズームレンズのカム溝形
状を、カムリングの回転角と仮想ズーミング軌跡からの
フォーカスレンズ群の変位量とを線形の関係にする成分
と、ステップ内のピント感度を一定にする成分との合成
から形成されるように、それ自身は非線形の形状に改良
したので、ステップ内の焦点距離変化が大きい場合で
も、フォーカシングや調整における制御の負担を軽減
し、高精度なフォーカシングを行うことができる信頼性
の高いステップズームレンズカメラを得ることができ
る。また、カム溝の各ステップの両側は、合焦機能を損
なうことなくフォーカスレンズ群を単に光軸方向に移動
させる調整領域を有するので、ピント調整因子の影響で
フォーカスレンズ群の移動範囲が設計上のステップ領域
から変化しても、合焦動作は問題なく行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるステップズームレンズカメラを3
群ズームレンズに適用した場合のズーミング軌跡(カム
溝形状)例を示す図である。
【図2】図1のズーミング軌跡の2群レンズ(変倍レン
ズ群兼用フォーカスレンズ群)用軌跡の一部の拡大図で
ある。
【図3】図2の2群レンズ用軌跡を説明するグラフであ
る。
【図4】図2の2群レンズ用軌跡を説明するグラフであ
る。
【図5】比較例として示す、図2に対応する2群レンズ
用軌跡図である。
【図6】図5の2群レンズ用軌跡を説明するグラフであ
る。
【図7】図5の2群レンズ用軌跡を説明するグラフであ
る。
【図8】2群レンズ用カム溝を有するカムリングの具体
例を示す展開図である。
【図9】回転角をパルス管理されるカムリングによりソ
フト的に行うズーミング調整を説明する図である。
【図10】カムリングの回転角と、各レンズ群のピント
感度の関係例を示すグラフである。
【図11】本発明によるステップズームレンズカメラを
3群ズームレンズに適用した場合の具体的な機械構成を
示す、ズームレンズ鏡筒の収納状態の上半断面図であ
る。
【図12】図11のズームレンズ鏡筒のワイド端におけ
る側断面図である。
【図13】図12のズームレンズ鏡筒のテレ端における
側断面図である。
【図14】ズームレンズ鏡筒の分解斜視図である。
【図15】図11ないし図14に機械的構成を示すステ
ップズームレンズカメラの制御回路系を示すブロック図
である。
【図16】ステップズームレンズカメラの焦点距離検出
機構の一例を示す展開図である。
【符号の説明】
5 ステップズームレンズカメラ 9 カメラボディ 10 ズームレンズ鏡筒 13 固定鏡筒 12 パルス検出機構 17 第1外筒 20 第1直進案内環 30 カムリング 33 第2直進案内環 40 第2外筒 45 第3外筒 56 2群カムフォロワ 58 3群カムフォロワ 62 ブラシ 63 ズームコード板 64 ズーム操作手段 66 測距手段 68 ROM 70 CPU L1 1群レンズ L2 2群レンズ L3 3群レンズ M ズームモータ Z1 ズーミングカム溝(1群用) Z2 ズーミングカム溝(2群用) Z2’ 仮想ズーミング軌跡 Z3(Z3a、Z3b) ズーミングカム溝(3群用)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転駆動されるカムリングに形成したカ
    ム溝に従って光軸方向に進退する、変倍レンズ群を兼ね
    るフォーカスレンズ群;上記カム溝は、ピント位置を変
    化させずに焦点距離を変化させる非線形の仮想ズーミン
    グ軌跡に対して変位した、ワイド端からテレ端までを複
    数に分割した複数のステップ部分を有すること;このカ
    ム溝の各ステップ部分は、カムリングの回転角と仮想ズ
    ーミング軌跡からのフォーカスレンズ群の変位量とを線
    形の関係にする成分と、ステップ内のピント感度を一定
    にする成分との合成からなる、それ自身は非線形の形状
    であって、カムリングの回転より焦点距離を変化させな
    がら無限遠から最短撮影距離までの被写体に合焦可能な
    位置にフォーカスレンズ群を移動させることができる形
    状をし、かつその両側に、カムリングの回転位置を変化
    させたとき上記合焦機能を損なうことなくフォーカスレ
    ンズ群を単に光軸方向に移動させる調整領域を持ってい
    ること;及び上記カムリングの回転角をパルス制御する
    カムリング駆動機構;を有することを特徴とするステッ
    プズームレンズカメラ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のステップズームレンズカ
    メラにおいて、カムリングの調整領域は、ズーミング調
    整とfb調整を行うための回転角をカムリングに与える
    ために用いられるステップズームレンズカメラ。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のステップズームレンズカ
    メラにおいて、変倍レンズ群は、3群からなり、その中
    間の2群レンズが上記変倍レンズ群を兼ねるフォーカス
    レンズ群であるステップズームレンズカメラ。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105425373A (zh) * 2015-12-28 2016-03-23 中国电子科技集团公司第十一研究所 一种红外连续变焦光学系统

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN105425373A (zh) * 2015-12-28 2016-03-23 中国电子科技集团公司第十一研究所 一种红外连续变焦光学系统

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