JP3559507B2 - 化粧料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、皮膚の保湿性能及びバリヤ−機能の回復を可能にする化粧料に関す
る。
【0002】
【従来の技術】
角質層の保湿性能(水分保有力若しくは水分保有機能等とも称される)及びバ
リヤ−機能の低下が皮膚の形態及び機能の劣化(代表的には、肌荒れ及び乾燥肌)に密接に関連することから、多くの化粧料が保湿剤を含む組成に調製されている。なお、肌荒れは、その代表的現象がドライスキンであるところから、ドライスキン(乾燥肌)の同義語として使用されることがある。本明細書においては、「肌荒れ」をドライスキンを含む皮膚(肌)の形態及び機能の低下等を意味する広義の意味で使用する。
【0003】
角質層の保湿性能は、角質層に含まれる天然保湿因子(natural mo
isturizing factor、以下において、NMFという)と、皮脂(皮脂線由来の脂肪)及び角質層細胞間脂質等とに大きく影響されると今日的には理解されている。ただし、角質層の保湿機能低下の原因は多岐にわたり、その回復改善のメカニズムも著しく複雑であって、そのメカニズムには多くの未知の領域が存在する。表1は角質層のNMFの組成を示している(「機能性化粧品II」シ−エムシ−発行、1996、p28等を参照)。表2は、角質層細胞間脂質の組成を示している。
【0004】
【表1】
Figure 0003559507
【0005】
【表2】
Figure 0003559507
【0006】
MF由来の保湿性能は、ピロリドンカルボン酸(強吸湿性のNa塩として存在し、ピログルタミン酸とも称される)、尿素(タンパク質代謝物)及び乳酸塩等が有する強吸湿性によって肯定されて、角質層細胞間脂質由来の保湿性能は、その水分子を層状に含むラメラ結晶構造の保水能力によって肯定されている。従来の化粧料においては、皮膚の保湿性能の補足の目的に次のような保湿剤が配合されている。
【0007】
(i)グリセリン、プロピレングリコ−ル、1,3−ブチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、3−メチル−1,3−ブタンジオ−ル、ソルビト−ル若しくはポリオキシエチレンメチルグルコシドからなる多価アルコ−ル、(ii)トレハロ−ス、硫酸化トレハロ−ス若しくはマルト−スからなる多糖類、(iii)ヒアルロン酸ナトリウム若しくはコンドロイチン硫酸ナトリウムからなるムコ多糖類、(iv)キチン・キトサンに代表されるムコ多糖類、(v)水溶性コラ−ゲン、低分子化コラ−ゲン、ペプシン処理コラ−ゲン、コハク酸処理コラ−ゲン、エステル化コラ−ゲン若しくはエラスチンからなるタンパク質、(vi)卵殻分解物からなる水溶性タンパク質、(vii)アミノ酸、(viii)乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム若しくは乳酸菌培養液からなるNMF成分相当物、(ix)細胞間脂質の同等物質若しくは類似物質である。
【0008】
多価アルコ−ルは、吸湿性が大きく皮膚に対する刺激が少ない等の理由により
、糖類は、吸湿性が大きく類似化合物が天然に存在する等の理由により、ムコ多糖類は、真皮等に存在する化合物であって吸湿性が大きい等の理由により使用されている。コラ−ゲンタンパク質は、真皮その他の生体内に存在する化合物であって、吸湿性を有して脂質等とも親和性がある等の理由で使用されている。
【0009】
ただし、NMF成分と同等物質を化粧料の保湿剤として使用しても、皮膚の保
湿性能の回復に有効に働くものと、そうでないものとがあって、皮膚の保湿メカニズムに対してNMF全体及び個別成分が与える影響については未知の領域が多いのが実情である。そのことは、細胞間脂質と皮膚の保湿メカニズムとの関係についても同様である。また、従来の化粧料においては、皮膚の肌荒れ防止用として前述の保湿剤が主として用いられている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従来のNMF成分を化粧料に利用するについての検討は、NMF成分の同等物質に該当する試薬を化粧料に添加してその効果を調べるという方法により行われている。それは、NMF成分のCa2+及びMg2+ついても同様である。
【0011】
かかる状況下において、皮膚の保湿メカニズム(特に、保湿性能の回復)に影
響するMg2+及びCa2+を含むイオン群について本発明者により実験主体に詳細に検討されて、Mg2+及びCa2+が他のイオンと共存する場合に皮膚の保湿メカニズムに良い影響を与える得るという事実が見いだされて、その事実を基礎として本発明が得られた。
【0012】
ここにおいて、本発明は、皮膚の保湿性能及びバリヤ−機能を回復させること
を可能にする化粧料を提供すること、を目的とする。
本発明は、他の保湿剤が共存する場合には、その保湿剤の効果を有効に発揮さ
せて、かつ、本発明のイオン群由来の効果を発揮させることを可能にする化粧料を提供すること、をも目的とする。
本発明は、化粧料の原材料の性能に制約されることなく、皮膚の保湿性能及び
バリヤ−機能を回復させることを可能にする化粧料を提供すること、をも目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明による化粧料は、(a)Mg2+及びCa2+をMg2+/Ca2+のモル比率として0.2〜3.6の範囲で含み、
(b)Mg2+及びCa2+をそれらの合計量として0.05〜4.2モル/化粧料100リットルの量で含み、
(c)共存イオンとして、少なくともK+ 、Na+ 及びCl- を含み、
(d)共存イオンのK+ 及びNa+ をMg2+1モルについて0.05〜0.20モルの範囲で含み、
(e)Mg2+及びCa2+をMgCl2 /CaCl2 のモル比率が1.5〜3.0のにがりの添加によって調整されて、
(f)イオンを含む化粧料が水溶液若しくはジエル状であること、を特徴とする。
【0014】
【発明の具体的説明】
本発明の化粧料は、前述の発明の構成からなるもので、その内容を以下に具体
的に説明する。
【0015】
〔化粧料の特徴〕
本発明は、第一〜第三の特徴として挙げられるイオン群が化粧料に含まれるこ
とによって、化粧料をして皮膚の保湿性能及びバリヤ−機能の回復効果を発現するものにされている。
【0016】
第一の特徴は、Mg2+及びCa2+が、K 、Na 及びCl 等の共存イオン
と共に化粧料に含まれていることである。すなわち、化粧料は、Mg2+及びCa2+が、特定の共存イオンと共存することによって皮膚の保湿性能及びバリヤ−機能の回復効果を発現する。
【0017】
本発明の第二の特徴は、Mg2+及びCa2+が、皮膚の保湿性能及びバリヤ−機
能を回復させるの有効な比率で化粧料に含まれていることである。Mg2+/Ca2+のモル比率は、例えば、0.05〜4.0、好ましくは0.2〜3.6、特に好ましくは0.5〜3.0、であると、皮膚の保湿性能及びバリヤ−機能の回復の効果が大きくなり、モル比率が0.5〜3.0(特に好ましい範囲)であると本発明の効果が顕著になる。
また、Mg2+及びCa2+は、皮膚の保湿性能及びバリヤ−機能の回復に有効な
量で配合されるのが適している。Mg2+及びCa2+は、合計量が、例えば、0.052〜4.2モル/化粧料100リットル、好ましくは0.2〜3.8モル/化粧料100リットル、特に好ましくは0.5〜3.0モル/化粧料100リットル、であると、本発明の効果の享受が容易である。
【0018】
本発明の第三の特徴は、共存イオンとして、K 、Na 及びCl が共存し
ていれば、それ以外のイオンが本発明の効果に寄与するならば共存可能であって、本発明の「少なくとも、K 、Na 及びCl と共存する」は、そのことを意味している。
共存イオンは、皮膚の保湿性能及びバリヤ−機能を回復させるのに有効な量で
含まれていることが望ましい。K+ 、Na+ の共存イオンは、例えば、約0.05〜0.20モル/Mg2+(1モル基準)で含まれていれば、皮膚の保湿性能及びバリヤ−機能の回復に有効である。
【0019】
、Na 及びCl 以外の共存イオンは、生態系に密接に関連する自然系
に含まれるイオン(例えば、海水、若しくは海水を原材料とする生産物若しくはその生産物の副産物等に含まれるイオン)が適している。例えば、にがりを化粧料に加えて、K 、Na 及びClとそれ以外のイオンが共存することになっても皮膚の保湿性能及びバリヤ−機能の回復が可能であることが本発明で見いだされている。にがりは、海水若しくはかん水を濃縮して食塩を晶出させた後の母液(残液))である。
【0020】
、Na 及びCl 以外の共存イオンとしては、例えば、海水溶存イオン
である、SO 2− 、CO 2− 、Br 、BO 及びF 等が挙げられる。
本発明の化粧料は、第一〜第三の特徴を備えることによって種々の具体的効果
の享受が可能であって、例えば、イオン群の存在のみによって回復の効果を生じさせて、他の保湿剤を含む場合には、それの保湿効果を引き出すことが可能であって、化粧料の原材料の種類に制約を受けることなく回復の効果を生じさせること等が可能である。
【0021】
〈化粧料の調製〉
化粧料は、本発明の第一〜第三の特徴を備える限りにおいては、その調製方法
において任意である。ただし、にがりを配合して本発明の第一〜第三の特徴を備える化粧料に調製される場合には、皮膚の保湿性能及びバリヤ−機能の回復が大きい化粧料が得られる。
【0022】
にがりの組成は、製塩法(イオン交換膜法、天日法、塩田法若しくは蒸発法)
の相違、食塩晶出時の温度、食塩晶出時の食塩濃度及び圧力その他の条件によって変わってくる。表3及び表4は製塩法が相違するにがりの組成の一例を示している(「無機工業概論」(株)培風館、1995発行、p38〜39及びその他を参照)。なお、表3及び表4の数値の単位はg/100gである。また、イオン交換膜法によるにがりについてみれば、イオン交換膜の特性等によっても変わってくる。
【0023】
【表3】
Figure 0003559507
【0024】
【表4】
Figure 0003559507
【0025】
にがりは、量的主体のMg塩がMgCl であるので、MgCl /CaCl
のモル比率を基準にしてにがりを選択して、それを化粧料に配合することによって化粧料をして本発明の第一〜第三の特徴を備えるものにすることが可能である。
【0026】
にがりとしては、例えば、MgCl /CaCl のモル比率が1.5〜3.
0の範囲にあるものを使用すると、化粧料中のMg2+/Ca2+のモル比率の調整が容易であって、必要な共存イオンを化粧料に含ませることが容易である。にがり(特に、MgCl /CaClのモル比率が1.5〜3.0の範囲にあるにがり)の添加により調製の化粧料は、皮膚の保湿性能及びバリヤ−機能の回復の効果においても優れれている(後記実施例を参照)。
【0027】
にがりは、それの配合によって本発明の第一〜第三の特徴を備える化粧料に調
製可能であれば、にがりの製造法に制約されることがない。ただし、にがりは、共存イオンとしてSO 2−を含まない場合には、皮膚の保湿性能及びバリヤ−機能の回復が大きくなる傾向がある。また、蒸発法のにがりを配合の化粧料が、本発明による効果を容易かつ最大に享受可能になる。蒸発法のにがりが、他の製造法のにがりと併用される場合も本発明による効果の向上が得られる。
【0028】
また、化粧料は、にがりと海水関連物質(例えば、海水、海水濃縮液若しくは
かん水)を併用して化粧料をして本発明の第一〜第三の特徴を備えるものにすることも可能である。
【0029】
〈化粧料〉
化粧料は、本発明の特徴として挙げられるイオン群が溶存可能な形態(すなわ
ち、水分を含む形態)であることが必要である。化粧料は、代表的には、水溶液であるが、イオン群が溶存可能であれば、水溶液以外の形態(例えば、ジエル状)であることができる。
【0030】
化粧料は、その用途において特に制約がなく、基礎化粧料(例えば、洗顔料、
化粧水、乳液、クリ−ム、ジェル、美容液、パック及びひげそり用化粧料等)、メ−キャップ化粧料(例えば、水系ファンデ−ション等)、毛髪化粧料(例えば、洗髪用化粧料、育毛剤、毛髪仕上げ用化粧料、パ−マネントウエ−ブ用剤及びヘア−ブリ−チ等)、芳香化粧料(例えば、女性用香水、男性用香水、女性用コロン、男性用コロン等)、ボディ化粧料(例えば、液体ボディ洗浄料、サンケア料、ハンドケア料、防臭化粧料及び浴用剤等)及び特殊化粧料(例えば、パック、男性用香水、男性用コロン等)等であることが可能である。
【0031】
本発明の化粧料は、原材料につい特に制約を受けることなく本発明の効果を享
受可能である。従って、原材料として、例えば、(1)水、アルコ−ル及びエ−テル等の水性基剤、(2)油脂、ロウ類、炭化水素、高級脂肪酸(例えば、天然高級脂肪酸、合成高級脂肪酸)、高級アルコ−ル、糖類、エステル類及びシリコ−ン油等の油性材料、(3)アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤及び高分子界面活性剤等の界面活性剤、(4)保湿剤(例えば、前述の(i)〜(iv)のもの)、(5)増粘剤及び皮膜剤等の高分子剤、(6)酸化防止剤、キレ−ト剤、安定化剤及び金属イオン封止剤等の添加剤等が用いられる。
【0032】
更には、細胞賦活剤が化粧料に添加さていても本発明の効果を生じさせること
が可能であって、細胞賦活剤と相乗的に作用させることも可能である。
胞賦活剤としては、例えば、1.ビタミンA、ビタミンE、コラ−ゲン、エラス
チン及びアラントイン等の直接的作用物質、2.プラセンタエキス、牛乳タンパク質分解物、牛脾臓抽出物、牛血液分解物、仔牛胸腺抽出物及び幼牛血液の透析物等の動物抽出分解物、3.酵母エキス、乳酸菌エキス、発酵乳抽出液等の有用微生物代謝物、4.和漢薬に使用される植物エキス等がある。
【0033】
なお、本発明においては、本発明と合目的であって、本発明の効果を特に害さ
ない限りにおいては、本発明の改変あるいは部分的な変更及び付加は任意であっていずれも本発明の範囲である。次に本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、実施例は例示であって本発明を拘束するものではない。
【0034】
【実施例】
〈実施例1〉フェイスロ−ション
表5に示す基礎処方のフェイスロ−ション(基礎化粧料)について、塩化マグ
ネシウム6水和物(特級試薬:関東化学(株)製)及び塩化カルシウム(特級試薬:関東化学(株)製)の添加量を調整して、ロ−ション中のMgCl /CaCl のモル比が相違する6種類のフェイスロ−ション(表6の1a〜1f)を調製した。にがり成分は、Mg2+及びCa2+の合計量が0.2〜3.8モル/化粧料100リットルになるように添加した(表5では所定量として表示)。表6は、フェイスロ−ション1a〜1fに含まれるMgCl /CaCl のモル比を示している。表7は、フェイスロ−ションの基礎処方に使用したにがりの組成を示している。
【0035】
【表5】
Figure 0003559507
【0036】
【表6】
Figure 0003559507
【0037】
【表7】
Figure 0003559507
【0038】
フェイスロ−ション1a〜1fは、25名のパネラ−による官能試験によって
皮膚の保湿効果及び角質層内のNMFと脂質分のバランスによる整肌効果が評価された。官能試験は、パネラ−の個人差の影響を減少させるために、25名の被験者を1グル−プとして、複数グル−プの被験者について試験した。なお、25名のパネラ−は、20〜30才の女性が12名で、30〜50才の女性が13名であった。
【0039】
官能試験は、人体の試験部位として比較的安定化している前腕内側面表皮を試
験対象部位として、その部位のアセトン処理によって表皮脂質を除いて人為的に肌荒れを生じさせて、一定量のフェイスロ−ション1a〜1fをガ−ゼにより塗布してから約10時間経過後に乾いたガ−ゼにより試験対象部位を拭き取った。その後で試験対象部位の皮膚をル−ペ等を通じて視認して、かつ、手による接触感を認識した。
【0040】
また、表5のにがり成分に代えて精製水を増量した比較用フェイスロ−ション
(にがり成分無含有のフェイスロ−ション)を調製して、それについても、フェイスロ−ション1a〜1fと同様の官能試験を行った。
【0041】
表8は、官能試験の結果を示している。表8において、評価基準の「A−1」
が、保湿効果及び整肌効果の改善効果が非常に優れている、評価基準の「B−1」が、保湿効果及び整肌効果の改善効果が認められる、評価基準の「C−1」が、保湿効果及び整肌効果について特に変化がない、評価基準の「D−1」が、保湿効果及び整肌効果が認められずむしろ悪くなったことを意味している。
それらの評価基準は、被験者に対して、フェイスロ−ション1a〜1fと比較
用フェイスロ−ションを試験して、その結果の対比から感得された結果である。なお、表8中の数字は、パネラ−の人数を示している。
【0042】
【表8】
Figure 0003559507
【0043】
官能試験の結果からは、MgCl /CaCl のモル比が、0.05から保
湿効果及び整肌効果の改善が認められて、1.0〜3.0の範囲では、保湿効果及び整肌効果の改善が著しいことが明らかになった。
【0044】
また、動植物を対象とする自然的現象は、その多くがいくつかの分布関数(例
えば、Maxwell、Maxwell−Boltzmannの分布等)に近似する状態になることが経験則的に知られている。従って、モル比が3.0を越える領域でも、保湿効果及び整肌効果の改善が顕著に認められることが明瞭である。
【0045】
図1は、官能試験で得られた詳細デ−タを示す線図である(横軸の一部が省略
されている)。図1の有効レベルは、官能試験において保湿効果及び整肌効果の改善効果が明らかに認められる最小レベルの保湿性能の回復率を示している。図1の斜線領域は、フェイスロ−ション1a〜1fにより得られた保湿性能の回復率を示している。
【0046】
〈実施例2〉ボディロ−ション
表9の基礎処方からなるボディロ−ション(ボディ化粧品)を実施例1と同様
にして6種類(表10の2a〜2f)を調製した。表9のにがり成分の所定量も、Mg2+及びCa2+の合計量が0.2〜3.8モル/化粧料100リットルになるようにした。ボディロ−ションに含まれるMgCl /CaCl のモル比は、ボディロ−ション2a、2b、2c、2d、2e及び2fのモル比が、実施例1の同じアルファベット記号のフェイスロ−ション(表6を参照)のモル比と同一である(例えば、ボディロ−ション2aと実施例1のフェイスロ−ション1aのモル比が同一である)。
【0047】
また、表9のにがり成分に代えて精製水を増量した比較用ボディ化粧品(にが
り成分無含有のボディ化粧品)を調製しておいた。ボディ化粧品2a〜2f及び比較用ボディ化粧品についても実施例1と同様の同様の官能試験を行った。表10は、ボディ化粧品2a〜2fの官能試験の結果を示している。
【0048】
【表9】
Figure 0003559507
【0049】
【表10】
Figure 0003559507
【0050】
ボディ化粧品の官能試験の結果からは、MgCl /CaClのモル比が0
.05から保湿効果及び整肌効果の改善が認められて、モル比が2.0〜3.0の領域では、保湿効果及び整肌効果の改善が著しいことが認めらた。また、モル比が3.0を越える領域でも、実施例1と同様の理由から保湿効果及び整肌効果の改善がが認められることが明瞭である。
【0051】
図2は、官能試験の結果を示す線図である(横軸の一部が省略されている)。
なお、図2の有効レベルは、図1と同様であって、斜線領域がフェイスロ−ション1a〜1fにより得られた保湿性能の回復率を示している。
【0052】
〈実施例3〉水性ファンデ−ション
表11の基礎処方からなる水性ファンデ−ションを調製した。それを実施例1
と同様に官能試験を行ったが、その試験結果は、実施例1とほぼ同様であった。
【0053】
【表11】
Figure 0003559507
【0054】
〈比較例1〉
表5の処方からにがり成分を除いたロ−ションにMg2+及びCa2+を添加して
、K 、Na 及びCl が共存しないフェイスロ−ションを調製して、それについても実施例1と同様の官能試験を行った。その結果を線図にしたのが図3でである。図3において、上側の斜線領域30が実施例1の結果の一部を示していて、下側の斜線領域31が比較例1の結果を示している。
【0055】
【発明の効果】
本発明の化粧料によれば、下記(a)〜(e)に代表される種々の効果が得ら
れる。
(a)本発明の化粧料の使用によって、皮膚の保湿性能及びバリヤ−機能の回復効果が大きくなって、かつ、それらの回復速度も早くなる。
(b)本発明の化粧料は、にがりの使用等によって容易に調製可能である。
(c)使用される原材料に制約されることなく、化粧料が皮膚の保湿性能及びバリヤ−機能の回復性能を有することになる。
(d)他の保湿剤との併用使用が可能であって、他の保湿剤と相乗的に皮膚の保湿性能及びバリヤ−機能を回復させることも可能にする。
(e)本発明の第一〜第三の特徴は、微調整が容易であるとこから、皮膚の荒れ等に応じて保湿性能及びバリヤ−機能を最適に回復させる化粧料に調製することが容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の官能試験の結果を示す線図である。
【図2】実施例2の官能試験の結果を示す線図である。。
【図3】実施例1と比較例1との対比を示す線図である。

Claims (3)

  1. (a)Mg2+及びCa2+をMg2+/Ca2+のモル比率として0.2〜3.6の範囲で含み、
    (b)Mg2+及びCa2+をそれらの合計量として0.05〜4.2モル/化粧料100リットルの量で含み、
    (c)共存イオンとして、少なくともK+ 、Na+ 及びCl- を含み、
    (d)共存イオンのK+ 及びNa+ をMg2+1モルについて0.05〜0.20モルの範囲で含み、
    (e)Mg2+及びCa2+をMgCl2 /CaCl2 のモル比率が1.5〜3.0のにがりの添加によって調整されて、
    (f)イオンを含む化粧料が水溶液若しくはジエル状であること、を特徴とする化粧料。
  2. (i)Mg2+及びCa2+をMg2+/Ca2+のモル比率として0.2〜3.6の範囲で含み、
    (ii)Mg2+及びCa2+をそれらの合計量として0.05〜4.2モル/化粧料100リットルの量で含み、
    (iii)共存イオンとして、少なくともK+ 、Na+ 及びCl- を含み、
    (iv)共存イオンのK+ 及びNa+ をMg2+1モルについて0.05〜0.20モルの範囲で含み、
    (v)Mg2+及びCa2+をMgCl2 /CaCl2 のモル比率が1.5〜3.0のにがりであって、SO4 -2を含まないにがりの添加によって調整されて、
    (vi)イオンを含む化粧料が水溶液若しくはジエル状であること、を特徴とする化粧料。
  3. 化粧料が、基礎化粧料、メ−キャップ化粧料、毛髪化粧料、毛髪仕上げ用化粧料、芳香化粧料若しくはボディ化粧料であること、を特徴とする請求項1若しくは2に記載の化粧料。
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