JP3558457B2 - 燐酸エステルオリゴマーの製造方法 - Google Patents

燐酸エステルオリゴマーの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂用の難燃剤として有用なアリール燐酸エステルオリゴマーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
燐酸エステルは、ハロゲンを含まず、樹脂との相溶性が優れ、かつ良好な難燃効果が得られるので、樹脂用の難燃剤として汎用されている。代表的な燐酸エステルとしては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシリルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェートなどのトリアリール燐酸エステルが挙げられる。しかしながら、これらの化合物は比較的沸点が低く、樹脂との押出し、成形時に揮発して金型の汚染を引き起こしたり、成形品の表面にしみ出して外観を損なうなどの欠点があった。
【0003】
上記の欠点を解決する、揮発性の低い燐酸エステルとして、特公昭51−39271号、特公昭54−32818号、特公昭62−25706号、特公平2−18336号などの各公報に記載されている燐酸エステルオリゴマーが提案されている。これらの化合物のうちでも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAと記す。)の残基で架橋された下記一般式(1)で表される燐酸エステルオリゴマーは、特に耐熱性と耐加水分解性が高いことが特開平7−258539号広報などに記載されており、特に好適に使用されている。
【0004】
【化2】
Figure 0003558457
【0005】
(式中、nは1以上概ね10までの整数であり、R1〜R4は各々独立に、フェニル基、トリル基、又はキシリル基である。またnが2以上の場合、複数あるR4は各々同一でも異なっていてもよい。)
これらの燐酸エステルオリゴマーは通常、ルイス酸触媒存在下、オキシハロゲン化燐と1価フェノール及び2価フェノールの反応により合成され、トリアリールホスフェートを含む種々の縮合度の燐酸エステルオリゴマーの混合物として得られる。これらの混合物のうち、1分子に2つの燐原子を持つ燐酸エステル2量体成分が、難燃性と樹脂との相溶性が優れ、特に好ましい。縮合度が高い、例えば上記(1)式のn≧3の成分は、樹脂との相溶性が劣るため、樹脂組成物の物性低下を引き起こすと共に、熱分解温度が高い為、難燃性能もn=1の2量体成分に対して大幅に劣る。
【0006】
この為、トリアリールホスフェートと、縮合度の高い燐酸エステルオリゴマーの両方の生成を抑え、有効な2量体を選択的に製造する方法が検討されてきた。例えば、特開平6−316586号公報には、オキシハロゲン化燐と1価フェノールからジアリールハロホスフェートを合成した後、これを蒸留精製し、さらに2価フェノールと反応させる方法が記載されている。しかしこの方法は工程が複雑な上、未反応の2価フェノールの除去が困難であり、これが製品に残留してエステルの耐熱性の低下を引き起こす問題があった。
【0007】
また、特開昭63−227632号公報には、2価フェノールに対し過剰量のオキシ塩化燐を用いて反応を行った後、未反応のオキシ塩化燐を除去し、さらに1価フェノールを加えて反応を完結させる方法が示されている。しかし該公報に示される方法では、反応条件により生成物の組成が大きく変化するため、安定した組成の燐酸エステルオリゴマーを得ることが困難であった。さらに、この反応においては、原料の2価フェノール化合物に対して4〜6倍モルの塩化水素が発生するため、その処理に関わる巨大な設備が必要となる問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、コンパクトな装置により、樹脂との相溶性と難燃性能に優れる2量体を主成分とする燐酸エステルオリゴマーを製造する方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決する為、燐酸エステルオリゴマー混合物の組成を左右する因子が何であるかを検討した。その結果、原料仕込み比が同じ場合、前段のオキシ塩化燐と2価フェノール類の反応速度により最終的な製品の組成が決まり、反応で生じる塩酸の発生速度を一定値以下に抑えることにより、2量体を主成分とする安定した組成の燐酸エステルオリゴマーが得られること、さらに、反応で生じる塩酸発生速度を後段反応においても一定値以下に保つことにより、廃塩酸の処理設備を小型化でき、製造装置全体としても大幅にコンパクトにし得ることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は以下の通りである。
1. 触媒の存在下に、下式で示される反応により、式中のn=1を主成分とするアリール燐酸エステルオリゴマーを合成するに当たり、反応時における塩酸の最大発生速度を、前段、後段の反応を通して、原料である2価フェノール化合物1molあたり2mol/hr以下とすることを特徴とする燐酸エステルオリゴマーの製造方法。
【0011】
【化3】
Figure 0003558457
【0012】
(式中、POClはオキシ塩化燐である。Ar(OH)は2価フェノール化合物、ROHは1価フェノール化合物で、各々1種類、又は複数の化合物の混合物であってよい。nは1以上10までの整数である。)
2. 2価フェノール化合物がビスフェノールA、1価フェノール化合物がフェノール、クレゾール、キシレノールから選ばれる1種又は複数の化合物であり、触媒が無水塩化アルミニウムと無水塩化マグネシウムのいずれか、又は両方である上記1の燐酸エステルオリゴマーの製造方法。
【0013】
以下、本発明を詳述する。
本発明の燐酸エステルオリゴマー合成反応は、下式に示すように、触媒存在下にオキシ塩化燐と2価フェノール化合物を反応させ、必要に応じて未反応物を除去した後、1価フェノール化合物を加えて反応を完結させる2段階のプロセスからなる、すでに知られている反応である。
【0014】
【化4】
Figure 0003558457
【0015】
(式中、POClはオキシ塩化燐である。Ar(OH)は2価フェノール化合物、ROHは1価フェノール化合物で、各々1種類、又は複数の化合物の混合物であってよい。nは1以上10までの整数である。)
本発明者らの研究によると、最終製品の組成は、前段のオキシ塩化燐と2価フェノール化合物の反応の工程でほぼ決まり、これを左右する主要な因子は、触媒の種類、オキシ塩化燐と2価フェノール化合物の仕込みモル比、及び反応時の塩酸発生速度である。すなわち、1分子に2つの燐原子を持つ燐酸エステル2量体を選択的に合成するためには、反応選択性の高い触媒を用い、2価フェノールに対して2倍モル以上、すなわち過剰量のオキシ塩化燐を仕込むと共に、塩酸発生速度の適正なコントロールを行うことが必須である。
【0016】
驚くべき事に、2価フェノール化合物1molあたりの塩酸発生速度の最大値が2mol/hr以下であれば、最終製品の組成はほぼ同じであるのに対し、これを越えると2量体の割合が急激に低下する。塩酸発生速度最大値の下限は特に規定しないが、小さすぎると反応時間が長大となるだけで、最終製品の組成はほぼ同じであり、好ましくない。実用的には、2価フェノール化合物1molあたり0.2mol/hr以上であることが好ましく、0.5mol/hr以上であることがより好ましい。
【0017】
後段の反応は最終製品の組成に殆ど影響しないが、前段反応を越える塩化水素が発生するので、その速度が製造設備、特に塩酸回収設備のスケールを決める最大の因子となる。すなわち、同じ製造能力の設備であっても、塩酸発生速度の最大値が2倍になれば、2倍の規模の塩酸回収設備が必要となる。したがって、製造設備をコンパクトにするためには、後段の塩酸発生速度最大値を前段反応と同等程度に抑えることが必要である。
【0018】
塩酸発生速度最大値は、触媒の種類と量、フェノール化合物の種類、及び反応温度により決まる。特に触媒の種類と反応温度の影響が大きいので、塩酸発生速度最大値は反応温度でコントロールする方法が有効である。具体的には、例えば、事前に小スケールの試験などにより、反応器の昇温プログラムを決定しておく方法や、発生する塩酸の流量や、塩酸吸収塔に於ける発熱量により、反応器の温度を調節する方法等を挙げることが出来る。
【0019】
触媒としては、例えば塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、塩化チタン、塩化鉄などの、ルイス酸性の無水金属塩化物の単独又は組み合わせが一般的であるが、反応速度と選択性の面から、無水塩化アルミニウムと無水塩化マグネシウムのいずれか、又は両者の組み合わせが好ましい。
原料の2価フェノール化合物としては、例えばビフェニル−3,3′ジオール、ビフェニル−4,4′ジオール、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、1,5−ナフタレンジオール、2,6−ナフタレンジオールなど及びこれらの化合物の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子で置き換えた化合物が挙げられる。中でも、ビスフェノールAは、反応生成物の耐加水分解性が優れる上、生成物組成に及ぼす反応時の塩酸発生速度の影響が顕著で、特に本発明の方法が有効である。
【0020】
原料の1価フェノール化合物としては、例えばフェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,6−キシレノール、2,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,4,6−トリメチルフェノール、4−エチルフェノール、2−メチル4−エチルフェノール、4−プロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、4−ブチルフェノール、4−イソブチルフェノール、4−t−ブチルフェノール、4−ヘキシルフェノール、ノニルフェノール、デシルフェノール、4−シクロヘキシルフェノール、3,5−ジ−t−ブチルフェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフトール、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、p−ベンジルフェノール、p−クミルフェノール、m−メトキシフェノール、m−ブトキシフェノール、m−シクロヘキソキシフェノールなど、及びこれらの化合物の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子で置き換えた化合物が挙げられる。中でも、フェノール、クレゾール、キシレノールは、反応性が高く、条件によっては塩酸発生速度が極めて大きくなるため、その調節が特に重要である。
【0021】
これらの反応により得られる燐酸エステルオリゴマーとしては、例えばポリ(ビフェニル−4,4′ジオール−フェニルホスフェート)、ポリ(レゾルシノール−フェニルホスフェート)、ポリ{レゾルシノール−(2,6キシリル)ホスフェート}、ポリ{レゾルシノール−(p−クロロフェニル)ホスフェート}、ポリ(ヒドロキノン−フェニルホスフェート)、ポリ(ビスフェノールA−フェニルホスフェート)、ポリ(ビスフェノールA−クレジルホスフェート)、ポリ(ビスフェノールF−フェニルホスフェート)、ポリ(ビスフェノールS−フェニルホスフェート)、ポリ(テトラブロモビスフェノールA−フェニルホスフェート)などが挙げられる。
【0022】
上記の方法により合成された燐酸エステルオリゴマーは、未反応フェノール類の留去や触媒の洗浄除去などの精製工程を経て、熱安定性、樹脂との相溶性および難燃性能に優れた、2量体含有率の高い製品とすることが出来る。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
製造した燐酸エステルの組成分析は、ゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)を用い、以下の条件によった。
カラム 東ソー TSKgel G2000HXL 2本
東ソー TSKgel G3000HXL 1本 直列
溶媒 THF flow=1ml/分
検出器 UV λ=254nm
試料 THF1000倍希釈 5μl 絶対検量線法
実施例に用いた樹脂を以下に示す。
[ポリフェニレンエーテル樹脂(PPEと略す。)]
クロロホルム中30℃で測定した極限粘度が0.52である、ポリ2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル樹脂
[ポリカーボネート樹脂(PCと略す)]
帝人化成(株)製 パンライトL1250
[ポリスチレン樹脂(GPPSと略す)]
旭化成工業(株)製 旭化成ポリスチレン685
[耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPSと略す)]
旭化成工業(株)製 旭化成ポリスチレン9405
[ABS樹脂(ABSと略す)]
旭化成工業(株)製 スタイラック6920(ゴム成分30重量%)
[ポリテトラフルオロエチレン(PTFEと略す)]
ダイキン工業(株)製 ダイフロンF201L
【0024】
【実施例1】
ビスフェノールA456.4g(2.0モル)、オキシ塩化燐768.1g(5.0モル)、及び無水塩化マグネシウム2.8g(0.015モル)を、かくはん機・還流管付きの2000ml四つ口フラスコに仕込み、窒素気流下75℃1時間反応後、80℃1時間、90℃1時間それぞれ保持した後、さらに120℃まで昇温し、2時間保持して反応を完結させた。塩化水素の最大発生速度は1.7モル/hr/(1モルビスフェノールA)で、反応開始約1.5時間後であった。そのままの温度を維持しつつ、真空ポンプにて100mmHg以下に減圧して、未反応のオキシ塩化燐を蒸留回収した。ついでフラスコを室温まで冷却し、フェノール752g(8.0モル)を加えて、100℃から150℃まで10℃/時間で昇温した後、さらにそのままの温度で2時間保持して反応を完結させた。塩化水素の最大発生速度は1.5モル/hr/(1モルビスフェノールA)で、反応開始約2時間後であった。そのままの温度で10mmHg以下まで減圧し、未反応のフェノール類を溜去した。得られた反応生成物を洗浄して触媒成分を除去後、減圧蒸留により水分と残留フェノール分を除去し、燐酸エステルオリゴマー1181gを得た。生成物の組成分析結果を表1に示す。
【0025】
【実施例2】
無水塩化マグネシウムの代わりに無水塩化アルミニウム4.01g(0.015モル)を用いる以外は実施例1と同様の装置、仕込みにて、40℃から70℃まで10℃/時間で昇温した。さらに110℃まで20℃/時間で昇温後、1時間保持して反応を完結させた。塩化水素の最大発生速度は1.8モル/hr/(1モルビスフェノールA)で、反応開始約1.5時間後であった。120℃まで昇温し、真空ポンプで100mmHg以下に減圧して、未反応のオキシ塩化燐を蒸留回収した。ついでフラスコを室温まで冷却し、フェノール752g(8.0モル)を加えて、80℃から130℃まで10℃/時間で昇温した後、さらに150℃まで昇温し、2時間保持して反応を完結させた。塩化水素の最大発生速度は、反応開始約1.5時間後で、1.8モル/hr/(1モルビスフェノールA)で、反応開始約1.5時間後であった。そのままの温度で10mmHg以下まで減圧し、未反応のフェノール類を溜去した。得られた反応生成物を洗浄して触媒成分を除去後、減圧蒸留により水分と残留フェノール分を除去し、燐酸エステルオリゴマー1168gを得た。生成物の組成分析結果を表1に示す。
【0026】
【実施例3】
実施例1と同様の装置、仕込みにて、60℃から80℃まで10℃/時間、さらに100℃まで5℃/時間で昇温した。さらに120℃まで昇温後、2時間保持して反応を完結させた。塩化水素の最大発生速度は0.7モル/hr/(1モルビスフェノールA)で、反応開始約3時間後であった。そのままの温度を維持しつつ、真空ポンプで100mmHg以下に減圧して、未反応のオキシ塩化燐を蒸留回収した。ついでフラスコを室温まで冷却し、クレゾール865g(8.0モル)を加えて、80℃から100℃まで10℃/時間、つづいて130℃まで5℃/時間で昇温した後、さらに150℃まで昇温し、2時間保持して反応を完結させた。塩化水素の最大発生速度は0.9モル/hr/(1モルビスフェノールA)で、反応開始約2.5時間後であった。そのままの温度で10mmHg以下まで減圧し、未反応のフェノール類を溜去した。得られた反応生成物を洗浄して触媒成分を除去後、減圧蒸留により水分と残留フェノール分を除去し、燐酸エステルオリゴマー1288gを得た。生成物の組成分析結果を表1に示す。
【0027】
【比較例1】
実施例1と同様の装置、仕込みにて、90℃〜130℃まで10℃/時間で昇温した後、さらに2時間温度を保持して反応を完結させた。塩化水素の最大発生速度は2.7モル/hr/(1モルビスフェノールA)で、反応開始約1時間後であった。そのままの温度を維持しつつ、真空ポンプで100mmHg以下に減圧して、未反応のオキシ塩化燐を蒸留回収した。ついでフラスコを室温まで冷却し、フェノール752g(8.0モル)を加えて、120℃から150℃まで10℃/時間で昇温した後、さらに2時間温度を保持して反応を完結させた。塩化水素の最大発生速度は4.5モル/hr/(1モルビスフェノールA)で、反応開始約1時間後であった。そのままの温度で10mmHg以下まで減圧し、未反応のフェノール類を溜去した。得られた反応生成物を洗浄して触媒成分を除去後、減圧蒸留により水分と残留フェノール分を除去し、燐酸エステルオリゴマー1160gを得た。生成物の組成分析結果を表1に示す。
【0028】
【比較例2】
実施例2と同様の装置、仕込みにて、80℃〜120℃まで10℃/時間で昇温した後、さらに2時間温度を保持して反応を完結させた。塩化水素の最大発生速度は4.1モル/hr/(1モルビスフェノールA)で、反応開始約1時間後であった。そのままの温度を維持しつつ、真空ポンプで100mmHg以下に減圧して、未反応のオキシ塩化燐を蒸留回収した。ついでフラスコを室温まで冷却し、フェノール752g(8.0モル)を加えて、120℃から150℃まで10℃/時間で昇温した後、さらに2時間温度を保持して反応を完結させた。塩化水素の最大発生速度は5.4モル/hr/(1モルビスフェノールA)で、反応開始約1時間後であった。そのままの温度で10mmHg以下まで減圧し、未反応のフェノール類を溜去した。得られた反応生成物を洗浄して触媒成分を除去後、減圧蒸留により水分と残留フェノール分を除去し、燐酸エステルオリゴマー1155gを得た。生成物の組成分析結果を表1に示す。
【0029】
【実施例4〜6及び比較例3,4】
PPE60重量部、GPPS20重量部、HIPS20重量部、及び表1に示す燐酸エステルオリゴマー15重量部を、シリンダー温度300℃に設定した2軸押出し機にてペレットとした後、シリンダー温度300℃の射出成型機を用いて、厚み1/16インチの難燃性試験用の試験片とした。得られた試験片を用いて、UL94に準拠した方法で難燃性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0030】
【実施例7〜9及び比較例5,6】
PC75重量部、ABS25重量部、PTFE0.3重量部、及び表1に示す燐酸エステルオリゴマー15重量部を、シリンダー温度300℃に設定した2軸押出し機にてペレットとした後、シリンダー温度300℃の射出成型機を用いて、厚み1/16インチの難燃性試験用の試験片とした。得られた試験片を用いて、UL94に準拠した方法で難燃性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0031】
【表1】
Figure 0003558457
【0032】
【表2】
Figure 0003558457
【0033】
【表3】
Figure 0003558457
【0034】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、コンパクトな製造設備で、2量体含有量の多い、樹脂用の難燃剤として優れた効果を持つ燐酸エステルオリゴマーを製造することが出来る。

Claims (2)

  1. 触媒の存在下に、下式で示される反応により、式中のn=1を主成分とするアリール燐酸エステルオリゴマーを合成するに当たり、反応時における塩酸の最大発生速度を、前段、後段の反応を通して、原料である2価フェノール化合物1molあたり2mol/hr以下とすることを特徴とする燐酸エステルオリゴマーの製造方法。
    Figure 0003558457
    (式中、POClはオキシ塩化燐である。Ar(OH)は2価フェノール化合物、ROHは1価フェノール化合物で、各々1種類、又は複数の化合物の混合物であってよい。nは1以上10までの整数である。)
  2. 2価フェノール化合物が2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1価フェノール化合物がフェノール、クレゾール、キシレノールから選ばれる1種又は複数の化合物であり、触媒が無水塩化アルミニウムと無水塩化マグネシウムのいずれか、又は両方である請求項1記載の燐酸エステルオリゴマーの製造方法。
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