JP3558232B2 - ポリスチレン系延伸フィルム - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はポリスチレン系延伸フィルムに関し、更に詳しくは電絶用フィルム,筆記用フィルム,写真用フィルム,製版用フィルム,OHP等の光学フィルム,包装用フィルム,粘着テープなどに好適に用いられるポリスチレン系延伸フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(以下、「SPS」と略記することがある。)は、機械的強度,耐熱性,外観,耐溶剤性等に優れていることから、種々の用途が期待され、特に各種のフィルム,シートあるいは繊維等の押出技術,成形品,用途等が提案されている。
また、延伸フィルムの製造方法、種々の物性を有する延伸フィルム又はその用途については、これまでも多くの提案がなされてきた。これらの提案の中でも、延伸フィルムの実際の使用に際しては、製造時,二次加工時あるいは商品化の段階でスリットして使用することが一般的に知られており、実際に行われている。そして、従来から知られているポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエチレンテレフタレート又はナイロンフィルムなどにおいては、延伸フィルムのスリット後の実用強度の低下は少ないので、一般的な方法によるスリット,トリミングを行っても問題は生じていない。
しかしながら、従来のSPS延伸フィルムを一般的な方法でスリット,トリミングを行うと、SPS本来のフィルム強度に比べて実用強度が低下してしまうという問題点があった。また、このような実用強度が低下したSPSフィルムは、高速の蒸着やコーティング等の二次加工を実施する際の引取張力の調整が困難であったり、加工時に破断が頻発する等の問題があった。さらに、引取張力を高いレベルで設定することができないと、二次加工時に高速化が困難となる問題点が生じていた。
そして、これまでSPS延伸フィルムに関しては、二次加工におけるスリット,トリミング等に適したフィルムの提案がなされていなかった。
【0003】
本発明は上記のような状況に鑑みてなされたものである。即ち、本発明者らは、実用強度に優れたフィルムに関して鋭意検討を行った。その中で、SPSの成形品はクレーズが発生し易く、また延伸により引裂伝搬抵抗が低下することを見出した。そして、このクレーズの発生に着目してさらに検討を進めたところ、特定以上のフィルム端部のクレーズが実用強度を低下させることを見出した。
また、このクレーズの発生は、特定温度及び特定の刃基幅のスリット刃を用いることにより低減が可能であり、従来の製法を改良することにより、実用強度に優れた延伸フィルムが得られることを見出した。
本発明はかかる知見に基いて、優れた実用強度を有するSPS延伸フィルムを提供すべく完成されたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を70〜100重量%含有するスチレン系樹脂組成物からなる延伸フィルムであって、少なくとも2つの端部に10μm以上の長さのクレーズが、端部10mmの長さ当たり1個以下であり、好ましくは端部100mmの長さあたり1個以下であることを特徴とするポリスチレン系延伸フィルムを提供するものである。
以下に、本発明を更に詳細に説明する。
【0005】
先ず、本発明のポリスチレン系延伸フィルムの材料について説明する。
本発明におけるシンジオタクチック構造のスチレン系重合体とは、立体化学構造がシンジオタクチック構造、即ち炭素−炭素結合から形成される主鎖に対して側鎖であるフェニル基や置換フェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を有するものであり、そのタクティシティーは同位体炭素による核磁気共鳴法(13 C−NMR法)により定量される。13C−NMR法により測定されるタクティシティーは、連続する複数個の構成単位の存在割合、例えば2個の場合はダイアッド,3個の場合はトリアッド,5個の場合はペンタッドによって示すことができるが、本発明にいう高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体とは、通常はラセミダイアッドで75%以上、好ましくは85%以上、若しくはラセミペンタッドで30%以上、好ましくは50%以上のシンジオタクティシティーを有するポリスチレン,ポリ( アルキルスチレン),ポリ( ハロゲン化スチレン),ポリ( アルコキシスチレン),ポリ( ビニル安息香酸エステル),これらの水素化重合体およびこれらの混合物、あるいはこれらの構造単位を含む共重合体を指称する。なお、ここでポリ( アルキルスチレン) としては、ポリ( メチルスチレン),ポリ( エチルスチレン),ポリ( プロピルスチレン),ポリ( ブチルスチレン),ポリ( フェニルスチレン),ポリ( ビニルナフタレン),ポリ( ビニルスチレン),ポリ( アセナフチレン) などがあり、ポリ( ハロゲン化スチレン) としては、ポリ( クロロスチレン),ポリ( ブロモスチレン),ポリ( フルオロスチレン) などがある。また、ポリ( アルコキシスチレン) としては、ポリ( メトキシスチレン),ポリ( エトキシスチレン) などがある。これらのうち特に好ましいスチレン系重合体としては、スチレンとp−メチルスチレンとの共重合体,ポリスチレン,ポリ( p−メチルスチレン),ポリ( m−メチルスチレン),ポリ( p−ターシャリーブチルスチレン),ポリ( p−クロロスチレン),ポリ( m−クロロスチレン),ポリ( p−フルオロスチレン) をあげることができる(特開昭62−187708号公報)。
【0006】
更に、スチレン系共重合体におけるコモノマーとしては、上述の如きスチレン系重合体のモノマーのほか、エチレン,プロピレン,ブテン,ヘキセン,オクテン等のオレフィンモノマー、ブタジエン,イソプレン等のジエンモノマー、環状ジエンモノマーやメタクリル酸メチル,無水マレイン酸,アクリロニトリル等の極性ビニルモノマー等をあげることができる。
特に、スチレン繰返し単位が80〜100モル%,p−メチルスチレン繰返し単位が0〜20モル%からなるスチレン系重合体が好ましく用いられる。
またこのスチレン系重合体は、分子量について特に制限はないが、重量平均分子量が10,000以上3,000,000 以下のものが好ましく、とりわけ50,000以上 1,500,000以下のものが更に好ましい。ここで重量平均分子量が 10,000 未満であると、延伸が充分にできない場合がある。さらに、分子量分布についてはその広狭は制約がなく、 様々なものを充当することが可能であるが、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が 1. 5以上8以下のものが好ましい。なお、このシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体は、従来のアタクチック構造のスチレン系重合体に比べて耐熱性が格段に優れている。
上記高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体は、本発明のポリスチレン系延伸フィルム中に70〜100重量%、好ましくは80〜100重量%含有される。
【0007】
本発明のポリスチレン系延伸フィルムには、その目的を阻害しない範囲で滑剤、他の熱可塑性樹脂、酸化防止剤、無機充填剤、ゴム、相溶化剤、着色剤、架橋剤、架橋助剤、核剤、可塑剤などを添加することもできる。
滑剤としては、例えば無機微粒子を用いることができる。ここで、無機微粒子とは、IA族,IIA族,IVA族,VIA族,VII A族,VIII族,IB族,IIB族,III B族,IVB族元素の酸化物,水酸化物,硫化物,窒素化物,ハロゲン化物,炭酸塩,硫酸塩,酢酸塩,燐酸塩,亜燐酸塩,有機カルボン酸塩,珪酸塩,チタン酸塩,硼酸塩及びそれらの含水化合物、それらを中心とする複合化合物,天然鉱物粒子を示す。
【0008】
具体的には、弗化リチウム,硼砂( 硼酸ナトリウム含水塩) 等のIA族元素化合物、炭酸マグネシウム,燐酸マグネシウム,酸化マグネシウム( マグネシア),塩化マグネシウム,酢酸マグネシウム,弗化マグネシウム,チタン酸マグネシウム,珪酸マグネシウム,珪酸マグネシウム含水塩( タルク),炭酸カルシウム,燐酸カルシウム,亜燐酸カルシウム,硫酸カルシウム( 石膏),酢酸カルシウム,テレフタル酸カルシウム,水酸化カルシウム,珪酸カルシウム,弗化カルシウム,チタン酸カルシウム,チタン酸ストロンチウム,炭酸バリウム,燐酸バリウム,硫酸バリウム,亜燐酸バリウム等のIIA族元素化合物、二酸化チタン(チタニア),一酸化チタン,窒化チタン,二酸化ジルコニウム( ジルコニア),一酸化ジルコニウム等のIVA族元素化合物、二酸化モリブデン,三酸化モリブデン,硫化モリブデン等のVIA族元素化合物、塩化マンガン,酢酸マンガン等のVII A族元素化合物、塩化コバルト,酢酸コバルト等のVIII族元素化合物、沃化第一銅等のIB族元素化合物、酸化亜鉛,酢酸亜鉛等のIIB族元素化合物、酸化アルミニウム( アルミナ),水酸化アルミニウム,弗化アルミニウム,アルミノシリケート( 珪酸アルミナ,カオリン,カオリナイト) 等のIII B族元素化合物、酸化珪素( シリカ,シリカゲル),石墨, カーボン,グラファイト,ガラス等のIVB族元素化合物、カーナル石,カイナイト,雲母( マイカ, キンウンモ),バイロース鉱等の天然鉱物の粒子が挙げられる。
ここで用いる無機微粒子の平均粒径は、特に制限はないが、好ましくは 0. 01〜3μm、成形品中の含量は 0. 001〜5重量%、好ましくは 0. 005〜3重量%である。この無機微粒子は最終的な成形品に含有されるが、含有される方法に限定はない。例えば、重合中の任意の過程で添加あるいは析出させる方法、溶融押出する任意の過程で添加する方法が挙げられる。
【0009】
本発明において上記のスチレン系重合体に、添加できる他の熱可塑性樹脂としては各種のものがあるが、例えば、アタクチック構造のスチレン系重合体,アイソタクチック構造のスチレン系重合体,ポリフェニレンエーテル等が、挙げられる。これらの樹脂は前述のシンジオタクチック構造のスチレン系重合体と相溶しやすく、延伸用予備成形体を作成するときの結晶化の制御に有効で、その後の延伸性が向上し、延伸条件の制御が容易で、且つ力学物性に優れたフィルムを得ることができる。このうち、アタクチック構造および/またはアイソタクチック構造のスチレン系重合体を含有させる場合は、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体と同様の単量体からなるものが好ましい。また、これら相溶性樹脂成分の含有割合は1〜70重量%、特に2〜50重量%とすればよい。ここで相溶性樹脂成分の含有割合が70重量%を超えると、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体の長所である耐熱性等が損なわれることがあるため好ましくない。
【0010】
また、本発明で用いられる上記のスチレン系重合体に添加し得る他の樹脂であって、非相溶性樹脂としては、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリブテン,ポリペンテン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ナイロン−6やナイロン6,6等のポリアミド、ポリフェニレンスルフィド等のポリチオエーテル、ポリカーボネート,ポリアリレート,ポリスルホン,ポリエーテルエーテルケトン,ポリエーテルスルホン,ポリイミド,テフロン等のハロゲン化ビニル系重合体、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系重合体、ポリビニルアルコール等、上記相溶性の樹脂以外はすべて相当し、さらに、上記相溶性の樹脂を含む架橋樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、本発明に用いられるシンジオタクチック構造のスチレン系重合体と非相溶であるため、少量含有する場合、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体中に島のように分散させることができ、延伸後に程良い光沢を与えたり、表面のすべり性を改良するのに有効である。これら非相溶性樹脂成分の含有割合は、光沢を目的とする場合は2〜50重量%、表面性の制御を目的とする場合は0.001〜5重量%が好ましい。また、製品として使用する温度が高い場合は、比較的耐熱性のある非相溶性樹脂を用いることが好ましい。
【0011】
酸化防止剤としてはリン系酸化防止剤,フェノール系酸化防止剤,硫黄系酸化防止剤を用いることができる。このような酸化防止剤を用いることにより、熱安定性のよいポリスチレン系樹脂組成物が得られる。
ここでリン系酸化防止剤としては種々のものが挙げられ、モノホスファイトやジホスファイト等であることを問わない。モノホスファイトとしてはトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト;トリス(モノおよびジ−ノニルフェニル)ホスファイト等が挙げられる。またジホスファイトとしては、
一般式
【0012】
【化1】
【0013】
〔式中、R1 及びR2 は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基,炭素数3〜20のシクロアルキル基あるいは炭素数6〜20のアリール基を示す。〕
で表わされるホスファイトが用いられ、具体例としては、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト;ジオクチルペンタエリスリトールジホスファイト;ジフェニルペンタエリスリトールジホスファイト;ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト;ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト;ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイト;トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト;テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホスフォナイトなどが挙げられる。これらの中でもビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト;ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト;トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト;テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホスフォナイトが好ましく用いられる。
【0014】
また、フェノール系酸化防止剤としては種々のものを使用することができるが、具体的には、ジアルキルフェノール,トリアルキルフェノール,ジフェニルモノアルコキシフェノール,テトラアルキルフェノール等が用いられる。
ジアルキルフェノールとしては、2,2’ −メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール);1,1−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン;2,2’ −メチレンビス( 4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール);4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール);2,2−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプト−ブタンなどが挙げられる。トリアルキルフェノールとしては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール;2,2’ −メチレンビス(6−t−ブチル−4−エチルフェノール);2,2’ −メチレンビス〔4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール〕;2,2’ −メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール);1,1,3−トリス−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン;エチレングリコール−ビス〔3,3−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブチレート〕;1−1−ビス(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)−3−(n−ドデシルチオ)−ブタン;1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン;2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロン酸ジオクタデシルエステル;n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート;テトラキス〔メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)〕メタン;3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−(β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)エチル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン;トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレイト等が挙げられる。また、ジフェニルモノアルコキシフェノールとしては2,6−ジフェニル−4−メトキシフェノール等が挙げられ、テトラアルキルフェノールとしてはトリス−(4−t−ブチル−2,6−ジ−メチル−3−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等が挙げられる。
【0015】
更に硫黄系酸化防止剤としては、チオエーテル系のものが好ましく、具体的にはジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート;ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート;ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート;ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート);ビス〔2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル〕スルフィド;2−メルカプトベイゾイミダゾール等が挙げられる。これらの中でも特にペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)が好ましい。
【0016】
また、本発明のポリスチレン系延伸フィルム中には、必要に応じて、−NH−基を有しかつ10,000未満の分子量を有する有機化合物が含有する。このような有機化合物としては、−NH−基に電子吸引基が隣接しているものが好ましくこのような電子吸引基としては、ベンゼン環,ナフタレン環,アントラセン環,ピリジン環,トリアジン環,インデニル環及びこれらの誘導体等の芳香族環又はカルボニル構造を含むことが好ましい。また、上記有機化合物としては熱分解温度が260℃以上のものが特に好ましい。具体的には以下の化合物、例えば、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、N,N’−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、デカメチレンジカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド、イソフタル酸(2−フェノキシプロピオニルヒドラジド)、2,2−オギザミド−ビス〔エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オギザリル−ビス(ベンジリデン−ヒドラジド)、N−ホルミル−N’−サリシロイルヒドラジン、2−メルカプトベンツイミダゾール、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、2−メルカプトメチルベンツイミダゾール,スチレン化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、チオジフェニルアミン、p−アミノジフェニルアミン、N−サリシロイル−N’−アルデヒドヒドラジン、N−サリシロイル−N’−アセチルヒドラジン、N,N’−ジフェニル−オキサミド、N,N’−ジ(2−ヒドロキシフェニル)オキサミド、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。
上記−NH−基を有しかつ10,000未満の分子量を有する有機化合物は、本発明のポリスチレン系延伸フィルム中に、必要に応じて、30重量%未満の量で含有される。
【0017】
本発明に係るポリスチレン系延伸フィルムは、上記のスチレン系樹脂組成物からなる延伸フィルムであって、少なくとも2つの端部に10μm以上の長さのクレーズが、端部10mmの長さ当たり1個以下であり、好ましくは端部100mmの長さあたり1個以下である。上記クレーズが、端部10mmの長さ当たり1個より多い場合には、延伸フィルムの実用強度が低下してしまい好ましくない。実用強度の低下は、延伸フィルムの二次加工時にフィルム破断が頻発するという好ましくない結果を生じてしまう。
また、本発明のポリスチレン系延伸フィルムは、少なくとも2つの端部において上記クレーズ数が限定されているものであり、ロール状の長尺延伸フィルムも含まれる。延伸フィルムの1つの端部においてのみ、上記クレーズ数が端部10mmの長さ当たり1個以下であっても、実用強度の低下は避けられず好ましくない。
なお、延伸フィルムについての上記物性は、例えば下記の評価により測定できる。即ち、延伸フィルムの端部を偏光顕微鏡等で観察することにより、クレーズの有無及び数を確認する。そして、そのフィルムを適当な長さにカットして、テーブルテンター等により一定の速度で引張試験を実施し、破断張力を測定する。
このような物性を有する本発明に係るポリスチレン系延伸フィルムは、優れた実用強度を有し、該延伸フィルムを二次加工した際にも、フィルムの破断等が極めて少ないという優れた性能を有する。
【0018】
次に、本発明のポリスチレン系延伸フィルムの製造方法について説明する。
本発明に係るポリスチレン系延伸フィルムは、種々の方法によって製造することができるが、優れた実用強度を有し、二次加工等にも好適な延伸フィルムを得るには、以下の方法によることが好ましい。
本発明で用いられるスチレン系樹脂組成物は、任意の方法、即ち従来の熱可塑性樹脂に用いられている種々の方法で製造することができ、例えば、(A)前記スチレン系重合体成分と(B)スチレン系重合体以外の成分を混合し押出機等で溶融混練する方法、(A)成分の押出工程のいずれかの段階で(B)成分を添加する方法、(A)成分の製造工程のいずれかの段階で(B)成分を添加する方法、(A)成分と(B)成分を混合した材料と(A)成分を溶融混練する方法等が適用可能である。
このようなスチレン系樹脂組成物を用いて本発明の延伸フィルムを製造する場合、その方法は特に制限されず、例えばこれらの材料を加熱溶融後、予備成形体とし、加熱延伸して、さらに必要に応じて熱処理すること等によって得られた延伸フィルムを特定条件下でスリットすることにより得られる。
【0019】
上記加熱溶融から熱固定までの操作を具体的に説明すれば、次の通りである。
まず、上述の如く得られたスチレン系重合体を成形素材として、これを通常は押出成形して、延伸用予備成形体( フィルム,シートまたはチューブ) とする。この成形にあっては、上記成形素材の加熱溶融したものを押出成形機にて所定形状に成形するのが一般的であるが、成形素材を加熱溶融させずに、軟化した状態で成形してもよい。ここで用いる押出成形機は、一軸押出成形機,二軸押出成形機のいずれでもよく、またベント付き,ベント無しのいずれでもよい。なお、押出機には適当なフィルターを使用すれば、夾雑物や異物を除去することができる。またフィルターの形状は、平板状,円筒状等適当に選定して使用することができる。またここで押出条件は、特に制限はなく、種々の状況に応じて適宜選定すればよいが、好ましくは温度を成形素材の融点〜分解温度より50℃高い温度の範囲で選定し、剪断応力を5×106 dyne/cm2 以下とする。用いるダイはT−ダイ,円環ダイ等をあげることができる。
【0020】
上記押出成形後、得られた延伸用予備成形体を冷却固化する。この際の冷媒は、気体,液体,金属ロール等各種のものを使用することができる。金属ロール等を用いる場合、エアナイフ,エアチャンバー,タッチロール,静電印荷等の方法によると、厚みムラや波うち防止に効果的である。
冷却固化の温度は、通常は0℃〜延伸用予備成形体のガラス転移温度より30℃高い温度の範囲、好ましくはガラス転移温度より70℃低い温度〜ガラス転移温度の範囲である。また冷却速度は200〜3℃/秒の範囲で適宜選択する。
冷却,固化した予備成形体は二軸延伸の場合は縦方向及び横方向に同時に延伸してもよいが、任意の順序で逐次延伸してもよい。また延伸は一段で行ってもよく、多段で行ってもよい。この延伸倍率は面積比で2倍以上、好ましくは3倍以上である。この範囲の延伸倍率であると、フィルムの結晶化度が25%以上となり、物性の好ましい延伸フィルムロールが得られる。
【0021】
ここで延伸方法としては、テンターによる方法,ロール間で延伸する方法,気体圧力を利用してバブリングによる方法,圧延による方法など種々のものが使用でき、これらを適当に選定あるいは組み合わせて適用すればよい。延伸温度は、一般には予備成形体のガラス転移温度と融点の間で設定すればよい。また延伸速度は、通常は1×10〜1×105 %/分、好ましくは1×103 〜1×105 %/分である。上述の如き条件で延伸して得られた延伸フィルムに、さらに高温時の寸法安定性,耐熱性,フィルム面内の強度バランスが要求される場合などには、さらに熱固定を行うことが好ましい。熱固定は、通常行われている方法で行うことができるが、この延伸フィルムを緊張状態,弛緩状態あるいは制限収縮状態の下で、該フィルムのガラス転移温度〜融点、好ましくは融点より100℃低い温度〜融点直前の温度範囲にて、0.5〜120秒間保持することによって行えばよい。なお、この熱固定は、上記範囲内で条件を変えて二回以上行うことも可能である。また、この熱固定はアルゴンガス,窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で行っても良い。
【0022】
本発明のポリスチレン系延伸フィルムは、上記のようにして得られた延伸フィルムを特定の条件下でスリットすることにより得られる。
即ち、上記の方法により得られた延伸フィルムを、厚みの最大値が200μm以下、好ましくは150μm以下であるスリット刃を用いてスリットする。スリット時においては、スリット部の温度が90℃〜150℃、好ましくは90℃〜130℃の範囲であることがよい。
このような製造方法によれば、優れた実用強度を有し、フィルムの破断等が極めて少ない優れた性能を有する本発明に係るポリスチレン系延伸フィルムを効率良く確実に製造することができる。
【0023】
【実施例】
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
参考例1
アルゴン置換した内容積500ミリリットルのガラス製容器に、硫酸銅5水塩( Cu SO4 ・5H2 O)17g(71ミリモル),トルエン200ミリリットル及びトリメチルアルミニウム24ミリリットル(250ミリモル)を入れ、40℃で8時間反応させた。その後、固体部分を除去して接触生成物 6. 7gを得た。このものの凝固点降下法によって測定した分子量は610であった。
【0024】
製造例1 シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体の製造
内容積2リットルの反応容器に、上記参考例1で得られた接触生成物をアルミニウム原子として7.5ミリモル,トリイソブチルアルミニウムを7.5ミリモル,ペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリメトキシドを 0. 038ミリモル及び精製スチレンを1リットルとり、90℃で5時間重合反応を行った。反応終了後、水酸化ナトリウムのメタノール溶液で触媒成分を分解後、生成物をメタノールで繰り返し洗浄し、乾燥して重合体466gを得た。
得られた重合体の重量平均分子量を1,2,4−トリクロロベンゼンを溶媒として、130℃でゲルパーミエーションクロマトグラフィーにて測定したところ290,000であり、また重量平均分子量/数平均分子量は2.72であった。更に融点及び13C−NMRの測定により、得られた重合体はシンジオタクチック構造のポリスチレンであることが確認された。
【0025】
製造例2
製造例1において、精製スチレンを1リットルの代わりに、精製スチレンを0.95リットル及びp−メチルスチレン0.05リットルを用いたこと以外は、製造例1と同様にして実施した。
得られた共重合体の重量平均分子量は305,000であり、重量平均分子量と数平均分子量との比は、重量平均分子量/数平均分子量が2.67であった。また、得られた共重合体は、1H−NMRの測定によりp−メチルスチレン含量が7モル%であり、13C−NMR及び融点の測定によりシンジオタクチック構造であることを確認した。
【0026】
実施例1
製造例1の様にして得られたシンジオタクチック構造のスチレン系重合体を300℃で溶融押出後、ペレットとした。得られたペレットを濾過精度5μmの溶融フィルターを取り付けた押出機にて溶融押出し静電ピニング法にて30℃の冷却ロールに密着させて400μmの非晶性延伸用予備成形シートを作成した。
この非晶性延伸用予備成形シートを連続的に、縦方向には115℃で3倍に、横方向には125℃で3倍にそれぞれ延伸し、230℃で熱処理を施し延伸フィルムロールを得た。この延伸フィルムロールを刃もと100μm厚の鋭利な刃先のステンレスカッターによって、幅5cmにスリットし、延伸フィルムを得た。このスリット時のスリット部の温度は、100℃に設定した。
得られた延伸フィルムの端部を偏光顕微鏡で観察したところ、10μm以上のクレーズは存在しなかった。また、このフィルムを長さ20cmにカットして、岩本製作所製テーブルテンターにて10,000%/minの速度で引張試験を実施し、破断張力を測定した。
結果を第1表に示す。
【0027】
実施例2
製造例2の材料を用い、200μmの非晶性延伸用予備成形シートを作成した以外は、実施例1と同様にして延伸フィルムロールを作成しスリットして、延伸フィルムを得た。そして、実施例1と同様の評価を行った。
結果を第1表に示す。
【0028】
比較例1
実施例1において、刃もと500μm厚のステンレスカッターを用い、スリット部の温度を70℃に設定したこと以外は、実施例1と同様にして延伸フィルムロールを作成しスリットして、延伸フィルムを得た。そして、実施例1と同様の評価を行った。
結果を第1表に示す。
【0029】
比較例2
比較例1において、200μmの非晶性延伸用予備成形シートを作成した以外は、比較例1と同様にして延伸フィルムロールを作成しスリットして、延伸フィルムを得た。そして、実施例1と同様の評価を行った。
結果を第1表に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
【発明の効果】
以上詳細に述べたように、本発明に係るポリスチレン系延伸フィルムは、優れた実用強度を有し、該延伸フィルムを二次加工した際にも、フィルムの破断等が極めて少ないという優れた性能を有する。
このような本発明のポリスチレン系延伸フィルムは、電絶用フィルム,筆記用フィルム,写真用フィルム,製版用フィルム,OHP等の光学フィルム,包装用フィルム,粘着テープなどに好適に用いることができ、工業的利用価値は極めて大きい。
Claims (1)
- 高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を70〜100重量%含有するスチレン系樹脂組成物からなる延伸フィルムであって、少なくとも2つの端部に10μm以上の長さのクレーズが、端部10mmの長さ当たり1個以下であることを特徴とするポリスチレン系延伸フィルム。
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| JPH08187775A JPH08187775A (ja) | 1996-07-23 |
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