JP3475976B2 - コンデンサ - Google Patents

コンデンサ

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JP3475976B2
JP3475976B2 JP00369595A JP369595A JP3475976B2 JP 3475976 B2 JP3475976 B2 JP 3475976B2 JP 00369595 A JP00369595 A JP 00369595A JP 369595 A JP369595 A JP 369595A JP 3475976 B2 JP3475976 B2 JP 3475976B2
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はコンデンサに関し、さら
に詳しくは、静電容量の温度依存性が小さく、かつ耐熱
性に優れ、使用可能温度範囲が広い上、容積効率にも優
れ、温度補償型コンデンサとして好適なシンジオタクチ
ックポリスチレンフィルムとポリエステルフィルムを組
み合わせたものを誘電体としたフィルムコンデンサに関
するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】フィル
ムコンデンサは、誘電体にプラスチックフィルムを、電
極にアルミニウム,錫などの薄い金属箔,又は蒸着層を
使用したものである。このフィルムコンデンサはプラス
チックフィルムを用いているため、紙のような浸水性が
なく、かつ絶縁抵抗が高い上、周波数特性に優れてお
り、例えば高周波発振回路,ドルビー回路,時定数回路
などに用いられ、VTR,オーディオ機器をはじめとす
る民生機器、工業計器などの産業機器、さらには宇宙衛
星用などに幅広く使用されている。このようなフィルム
コンデンサにおいては、誘電体として、従来ポリエチレ
ンテレフタレートフィルムやポリプロピレンフィルムな
どが多用されており、さらに最近では、単一素材では満
足しえない特性の発現を目的として、二種以上の素材を
複合化したものを誘電体とするフィルムコンデンサも知
られている。例えば、静電容量の温度補償を目的とし
て、正の温度係数をもつポリエチレンテレフタレートフ
ィルムと負の温度係数をもつポリプロピレンフィルムを
組み合わせて複合化したものを誘電体とする複合化コン
デンサが実用化されている。
【0003】しかしながら、この複合化コンデンサにお
いては、ポリエチレンテレフタレートは耐熱性に優れて
いるものの(105℃程度)、耐熱性に劣るポリプロピ
レンを使用しているため、使用上限温度が低くなるのを
免れず、その使用上限温度は85℃程度である。したが
って、静電容量の温度依存性が低いのが最大の特性であ
るにもかかわらず、実際には、この特性を活用しうる温
度領域が著しく狭い。さらに、ポリプロピレンの誘電率
は約2.2で、ポリエチレンテレフタレートの約3.2に比
べて低く、また、ポリプロピレンは極薄フィルムの製造
が困難であるため、この複合化コンデンサは同一静電容
量のポリエチレンテレフタレートコンデンサに比べて大
型化が避けられず、その改良が求められていた。
【0004】一方、最近、誘電体として、シンジオタク
チックポリスチレンの単層フィルムを用いたコンデンサ
が提案されている(特開平3−124750号公報,特
開平6−29146号公報)。このコンデンサは、他の
プラスチックからなる単層フィルムを用いたコンデンサ
に比べて、耐熱性及び周波数特性などは格段に優れてい
るものの、静電容量の温度依存性が充分とは言えなかっ
た。
【0005】本発明は、このような従来のフィルムコン
デンサがもつ欠点を改良し、静電容量の温度依存性が小
さく、かつ耐熱性に優れ、使用可能温度範囲が広い上、
容積効率にも優れたフィルムコンデンサを提供すること
を目的とするものである。本発明者らは、前記の好まし
い性質を有するフィルムコンデンサを開発すべく鋭意研
究を重ねた結果、誘電体として、誘電率の温度係数が正
で、かつ耐熱性に優れるポリエステル系樹脂フィルム
と、該温度係数が負で、かつポリプロピレンに比べて誘
電率の高いシンジオタクチック構造のスチレン系重合体
フィルムとを組み合わせたものを用いることにより、そ
の目的を達成しうることを見出した。本発明は、かかる
知見に基づいて完成したものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、誘
電体として、(A)高度のシンジオタクチック構造を有
し、かつ重量平均分子量が100,000以上のスチレ
ン系重合体を基材とする層と、(B)ポリエステル系樹
脂、好ましくはポリエチレンテレフタレート又はポリエ
チレン−2,6−ナフタレートを基材とする層とを、厚
み比が1:0.2〜1:3になるように組み合わせたもの
を用いたことを特徴とするコンデンサを提供するもので
ある。以下に、本発明を更に詳細に説明する。
【0007】本発明のコンデンサは、誘電体として、
(A)層と(B)層の二種の層を組み合わせたものであ
って、(A)層には、基材として高度のシンジオタクチ
ック構造を有するスチレン系重合体が、(B)層には、
基材としてポリエステル系樹脂が用いられる。(A)層
に基材として用いられるシンジオタクチック構造のスチ
レン系重合体は、立体化学構造がシンジオタクチック構
造、すなわち炭素−炭素結合から形成される主鎖に対し
て側鎖であるフェニル基や置換フェニル基が交互に反対
方向に位置する立体構造を有するものであり、そのタク
ティシティーは同位体炭素による核磁気共鳴法(13 C−
NMR法)により定量される。13C−NMR法により測
定されるタクティシティーは、連続する複数個の構成単
位の存在割合、例えば2個の場合はダイアッド,3個の
場合はトリアッド,5個の場合はペンタッドによって示
すことができるが、本発明にいう高度のシンジオタクチ
ック構造を有するスチレン系重合体とは、通常はラセミ
ダイアッドで75%以上、好ましくは85%以上、若し
くはラセミペンタッドで30%以上、好ましくは50%
以上のシンジオタクティシティーを有するポリスチレ
ン,ポリ( アルキルスチレン),ポリ(ハロゲン化スチレ
ン),ポリ( アルコキシスチレン),ポリ( ビニル安息香酸
エステル),これらの水素化重合体及びこれらの混合
物、あるいはこれらの構造単位を含む共重合体を指称す
る。なお、ここでポリ( アルキルスチレン) としては、
ポリ( メチルスチレン),ポリ( エチルスチレン),ポリ(
プロピルスチレン),ポリ(ブチルスチレン),ポリ( フェ
ニルスチレン),ポリ( ビニルナフタレン),ポリ( ビニル
スチレン),ポリ( アセナフチレン) などがあり、ポリ(
ハロゲン化スチレン) としては、ポリ( クロロスチレ
ン),ポリ( ブロモスチレン),ポリ( フルオロスチレン)
などがある。また、ポリ( アルコキシスチレン) として
は、ポリ( メトキシスチレン),ポリ( エトキシスチレ
ン) などがある。これらのうち特に好ましいスチレン系
重合体としては、ポリスチレン,ポリ( p−メチルスチ
レン),ポリ( m−メチルスチレン),ポリ( p−ターシャ
リーブチルスチレン),ポリ( p−クロロスチレン),ポリ
( m−クロロスチレン),ポリ( p−フルオロスチレン)
、またスチレンとp−メチルスチレンとの共重合体を
挙げることができる(特開昭62−187708号公
報)。
【0008】さらに、スチレン系共重合体におけるコモ
ノマーとしては、上記のようなスチレン系重合体のモノ
マーのほか、エチレン,プロピレン,ブテン,ヘキセ
ン,オクテンなどのオレフィンモノマー、ブタジエン,
イソプレンなどのジエンモノマー、環状ジエンモノマー
やメタクリル酸メチル,無水マレイン酸,アクリロニト
リルなどの極性ビニルモノマーなどを挙げることができ
る。
【0009】本発明においては、このスチレン系重合体
として、重量平均分子量100,000以上のものが用
いられる。この重量平均分子量が100,000未満で
はフィルムの耐熱性や機械的物性が不充分である。ま
た、重量平均分子量があまり高すぎると高倍率の延伸が
困難で、薄い延伸フィルムの作成が困難となる。フィル
ムの耐熱性,機械的物性,延伸性などの点から、好まし
い重量平均分子量は100,000〜500,000の
範囲である。さらに、分子量分布については特に制限は
ないが、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(M
n)が1.5〜8のものが好ましい。なお、このシンジオ
タクチック構造を有するスチレン系重合体は、従来のア
タクチック構造のスチレン系重合体に比べて耐熱性が格
段に優れている。
【0010】本発明に係るシンジオタクチック構造を有
するスチレン系重合体は、その不純物含量が極めて少な
く、高純度のものが好ましい。つまり、このスチレン系
重合体には、スチレン系単量体を重合して該スチレン系
重合体を製造する工程において使用された触媒に起因す
る13族化合物のアルミニウム分の含量が好ましくは1
000ppm 以下、さらに好ましくは800ppm 以下であ
り、またスチレン系単量体の残留量が3000ppm 以
下、さらに2000ppm 以下であることが好ましい。こ
こで触媒に起因する13族化合物としては、通常使用さ
れるチタン化合物−アルミニウム化合物触媒の場合、そ
こに含有されるアルミニウム化合物が挙げられる。また
スチレン系単量体とは、重合に供する原料の単量体であ
り、共重合体を得るためにスチレン系単量体以外の単量
体を使用した場合はその残留物も含まれる。
【0011】このような高純度のスチレン系重合体を製
造するには、種々の方法があるが、例えば次の方法を用
いることができる。なお、原料としては上述の重合体に
対応する単量体を用いる。まず、残留アルミニウム分及
び残留スチレン系単量体を調節するためには、高活性
触媒を用いてスチレン系重合体を製造する方法(特願昭
63−7466号明細書参照)あるいは脱灰,洗浄に
よる方法、すなわち、特開昭62−187708号公報
などに記載の通常の4族の有機金属化合物(例えば、有
機チタン化合物)とメチルアルミノキサンなどのアルキ
ルアルミノキサンを触媒成分として、スチレン系単量体
を重合させた後、得られたシンジオタクチック構造のス
チレン系重合体を、酸,アルカリを適当な溶媒に溶解さ
せた溶液により脱灰し、適当な溶媒で洗浄する方法であ
る。
【0012】このようにしてあるいはの方法によ
り、残留アルミニウム分の少ないシンジオタクチック構
造のスチレン系重合体が得られるが、さらに、これを下
記あるいはの方法で処理すれば、残留スチレン系単
量体が5000ppm 以下のものとなる。この段階で残留
スチレン系単量体が5000ppm 以下のものであれば、
フィルムとした場合に、目的である残留量を3000pp
m 以下とすることができる。 上記スチレン系重合体を減圧乾燥する方法 ここで減圧乾燥するに当たっては、乾燥温度を該重合体
のガラス転移温度以上とすると効率がよい。 上記スチレン系重合体を押出機により脱気する方法 このような処理を経て残留アルミニウム分及び残留スチ
レン系単量体の少ない高純度のシンジオタクチック構造
のスチレン系重合体が得られる。また特に触媒に起因し
て残留する4族元素化合物、具体的には残留チタン分が
10ppm 以下、好ましくは残留チタン分が7ppm 以下、
脱灰操作によって含まれるハロゲン化合物は50ppm 以
下、アルカリ金属化合物は100ppm 以下となるように
調整することが、電気的特性上好ましい。
【0013】上記のシンジオタクチック構造を有するス
チレン系重合体を用いてフィルムを作成する場合、得ら
れるフィルムの耐電圧性を改良するために、所望により
−NH−基を有し、かつ10,000未満の分子量をも
つ有機化合物を、該スチレン系重合体に配合することが
できる。この−NH−基を有し、かつ10,000未満
の分子量をもつ有機化合物としては、−NH−基に電子
吸引基が隣接しているものが好ましく、このような電子
吸引基としては、ベンゼン環,ナフタレン環,アントラ
セン環,ピリジン環,トリアジン環,インデニル環及び
これらの誘導体などの芳香族環又はカルボニル構造を含
むものが好ましい。また、上記有機化合物としては熱分
解温度が260℃以上のものが特に好ましい。具体的に
は2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒ
ドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,
3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシ
ンナミド)、N,N’−ビス〔3−(3,5−ジ−t−
ブチル−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジ
ン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−ト
リアゾール、デカメチレンジカルボン酸ジサリチロイル
ヒドラジド、イソフタル酸(2−フェノキシプロピオニ
ルヒドラジド)、2,2−オキサミド−ビス〔エチル−
3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート〕、オキサリル−ビス(ベンジリデ
ン−ヒドラジド)、N−ホルミル−N’−サリシロイル
ヒドラジン、2−メルカプトベンツイミダゾール、N,
N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、
4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニ
ルアミン、2−メルカプトメチルベンツイミダゾール,
スチレン化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルア
ミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、ポリ(2,
2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、6
−エトキシ−1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチ
ルキノリン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジ
アミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチ
ル)−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−
(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−
p−フェニレンジアミン、チオジフェニルアミン、p−
アミノジフェニルアミン、N−サリシロイル−N’−ア
ルデヒドヒドラジン、N−サリシロイル−N’−アセチ
ルヒドラジン、N,N’−ジフェニル−オキサミド、
N,N’−ジ(2−ヒドロキシフェニル)オキサミド、
6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒ
ドロキノリン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p
−フェニレンジアミンなどが使用できる。
【0014】本発明においては、これらのうち好ましく
は、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−
ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,
3,5−トリアジン、N,N’ヘキサメチレンビス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシ
ンナミド)、N,N’−ビス〔3−(3,5−ジ−t−
ブチル−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジ
ン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−ト
リアゾール、デカメチレンジカルボン酸ジサリチロイル
ヒドラジド、イソフタル酸(2−フェノキシプロピオニ
ルヒドラジド)、2,2−オキサミド−ビス〔エチル−
3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート〕、オキサリル−ビス(ベンジリデ
ン−ヒドラジド)、N−ホルミル−N’−サリシロイル
ヒドラジン、2−メルカプトベンツイミダゾール、N,
N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、
4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニ
ルアミンが用いられる。
【0015】上記−NH−基を有しかつ10,000未満
の分子量をもつ有機化合物は、該スチレン系重合体との
合計重量に基づき、0.1〜30重量%の割合で配合する
のが有利である。この配合量が0.1重量%未満では耐電
圧改良の効果が充分に発揮されず、また30重量%を超
えるとフィルム成形が困難となる上、フィルムの機械的
特性及び耐熱性が低下する。得られるフィルムの耐電圧
改良効果,フィルム成形性,フィルムの機械的強度や耐
熱性などの点から、好ましい配合量は0.1〜20重量%
の範囲であり、特に0.1〜10重量%の範囲が好適であ
る。さらに、該スチレン系重合体には、本発明の目的が
阻害されない範囲で、必要に応じ滑剤,他の熱可塑性樹
脂,酸化防止剤,無機充填剤、ゴム,相溶化剤,着色
剤,架橋剤,架橋助剤,核剤,可塑剤などを添加するこ
ともできる。滑剤としては、例えば無機微粒子を用いる
ことができる。ここで、無機微粒子とは、1族,2族,
4族,6族,7族,8〜10族,11族,12族,13
族,14族元素の酸化物,水酸化物,硫化物,窒素化
物,ハロゲン化物,炭酸塩,硫酸塩,酢酸塩,燐酸塩,
亜燐酸塩,有機カルボン酸塩,珪酸塩,チタン酸塩,硼
酸塩及びそれらの含水化合物、それらを中心とする複合
化合物,天然鉱物粒子を示す。
【0016】具体的には、フッ化リチウム,硼砂( 硼酸
ナトリウム含水塩) などの1族元素化合物、炭酸マグネ
シウム,燐酸マグネシウム,酸化マグネシウム( マグネ
シア),塩化マグネシウム,酢酸マグネシウム,フッ化マ
グネシウム,チタン酸マグネシウム,珪酸マグネシウ
ム,珪酸マグネシウム含水塩( タルク),炭酸カルシウ
ム,燐酸カルシウム,亜燐酸カルシウム,硫酸カルシウ
ム( 石膏),酢酸カルシウム,テレフタル酸カルシウム,
水酸化カルシウム,珪酸カルシウム,フッ化カルシウ
ム,チタン酸カルシウム,チタン酸ストロンチウム,炭
酸バリウム,燐酸バリウム,硫酸バリウム,亜燐酸バリ
ウムなどの2族元素化合物、二酸化チタン(チタニア),
一酸化チタン,窒化チタン,二酸化ジルコニウム( ジル
コニア),一酸化ジルコニウムなどの4族元素化合物、二
酸化モリブデン,三酸化モリブデン,硫化モリブデンな
どの6族元素化合物、塩化マンガン,酢酸マンガンなど
の7族元素化合物、塩化コバルト,酢酸コバルトなどの
8〜10族元素化合物、沃化第一銅などの11族元素化
合物、酸化亜鉛,酢酸亜鉛などの12族元素化合物、酸
化アルミニウム( アルミナ),水酸化アルミニウム,フッ
化アルミニウム,アルミノシリケート( 珪酸アルミナ,
カオリン,カオリナイト) などの13族元素化合物、酸
化珪素( シリカ,シリカゲル),石墨, カーボン,グラフ
ァイト,ガラスなどの14族元素化合物、カーナル石,
カイナイト,雲母( マイカ, キンウンモ),バイロース鉱
などの天然鉱物の粒子が挙げられる。ここで用いる無機
微粒子の平均粒径は、特に制限はないが、好ましくは
0. 01〜3μm、フィルム中の含量は、通常 0. 00
1〜5重量%、好ましくは 0.005〜3重量%であ
る。この無機微粒子はフィルムに含有されるが、含有さ
れる方法に限定はない。例えば、重合中の任意の過程で
添加あるいは析出させる方法、溶融押出する任意の過程
で添加する方法が挙げられる。
【0017】本発明において上記のスチレン系重合体
に、添加できる他の熱可塑性樹脂としては各種のものが
あるが、例えば、アタクチック構造のスチレン系重合
体,アイソタクチック構造のスチレン系重合体,ポリフ
ェニレンエーテルなどが挙げられる。これらの樹脂は前
述のシンジオタクチック構造のスチレン系重合体と相溶
しやすく、延伸用予備成形体を作成するときの結晶化の
制御に有効で、その後の延伸性が向上し、延伸条件の制
御が容易で、かつ力学物性に優れたフィルムを得ること
ができる。このうち、アタクチック構造及び/又はアイ
ソタクチック構造のスチレン系重合体を含有させる場合
は、シンジオタクチック構造のスチレン系重合体と同様
の単量体からなるものが好ましい。また、これら相溶性
樹脂成分の含有割合は、スチレン系重合体との合計重量
に基づき、1〜70重量%、特に2〜50重量%とすれ
ばよい。ここで相溶性樹脂成分の含有割合が70重量%
を超えると、シンジオタクチック構造のスチレン系重合
体の長所である耐熱性などが損なわれることがあるため
好ましくない。
【0018】また、該スチレン系重合体に添加しうる他
の樹脂であって、非相溶性樹脂としては、例えば、ポリ
エチレン,ポリプロピレン,ポリブテン,ポリペンテン
などのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート,
ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレー
トなどのポリエステル、ナイロン−6やナイロン6,6
などのポリアミド、ポリフェニレンスルフィドなどのポ
リチオエーテル、ポリカーボネート,ポリアリレート,
ポリスルホン,ポリエーテルエーテルケトン,ポリエー
テルスルホン,ポリイミド,テフロンなどのハロゲン化
ビニル系重合体、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリ
ル系重合体、ポリビニルアルコールなど、上記相溶性の
樹脂以外はすべて相当し、さらに、上記相溶性の樹脂を
含む架橋樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、該シンジ
オタクチック構造のスチレン系重合体と非相溶であるた
め、少量含有する場合、シンジオタクチック構造のスチ
レン系重合体中に島のように分散させることができ、表
面のすべり性を改良するのに有効である。これら非相溶
性樹脂成分の含有割合は、スチレン系重合体との合計重
量に基づき、0.001〜5重量%が好ましい。また、製
品として使用する温度が高い場合は、比較的耐熱性のあ
る非相溶性樹脂を用いることが好ましい。
【0019】酸化防止剤としてはリン系酸化防止剤,フ
ェノール系酸化防止剤,硫黄系酸化防止剤を用いること
ができる。これらの酸化防止剤を用いることにより、極
めて熱安定性のよいフィルムが得られる。ここでリン系
酸化防止剤としては種々のものが挙げられ、モノホスフ
ァイトやジホスファイトなどであることを問わない。モ
ノホスファイトとしてはトリス(2,4−ジ−t−ブチ
ルフェニル)ホスファイト;トリス(モノ及びジ−ノニ
ルフェニル)ホスファイトなどが挙げられる。またジホ
スファイトとしては、一般式
【0020】
【化1】
【0021】〔式中、R1 及びR2 は同一でも異なって
いてもよく、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基,炭
素数3〜20のシクロアルキル基あるいは炭素数6〜2
0のアリール基を示す。〕で表わされるホスファイトが
用いられ、具体例としては、ジステアリルペンタエリス
リトールジホスファイト;ジオクチルペンタエリスリト
ールジホスファイト;ジフェニルペンタエリスリトール
ジホスファイト;ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)ペンタエリスリトールジホスファイト;ビス(2,
6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリ
スリトールジホスファイト;ジシクロヘキシルペンタエ
リスリトールジホスファイト;トリス(2,4−ジ−t
−ブチルフェニル)ホスファイト;テトラキス(2,4
−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン
ホスフォナイトなどが挙げられる。これらの中でもビス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリト
ールジホスファイト;ビス(2,6−ジ−t−ブチル−
4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファ
イト;トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホス
ファイト;テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)−4,4’−ビフェニレンホスフォナイトが好まし
く用いられる。
【0022】また、フェノール系酸化防止剤としては種
々のものを使用することができるが、具体的には、ジア
ルキルフェノール,トリアルキルフェノール,ジフェニ
ルモノアルコキシフェノール,テトラアルキルフェノー
ルなどが用いられる。ジアルキルフェノールとしては、
2,2' −メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチル
フェノール);1,1−ビス(5−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン;2,2' −メ
チレンビス( 4−メチル−6−シクロヘキシルフェノー
ル);4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチ
ルフェノール);2,2−ビス(5−t−ブチル−4−
ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシル
メルカプト−ブタンなどが挙げられる。トリアルキルフ
ェノールとしては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチ
ルフェノール;2,2'−メチレンビス(6−t−ブチ
ル−4−エチルフェノール);2,2' −メチレンビス
〔4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェ
ノール〕;2,2' −メチレンビス(4−メチル−6−
ノニルフェノール);1,1,3−トリス−(5−t−
ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタ
ン;エチレングリコール−ビス〔3,3−ビス(3−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブチレート〕;1
−1−ビス(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニ
ル)−3−(n−ドデシルチオ)−ブタン;1,3,5
−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベ
ンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン;2,2−
ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジ
ル)マロン酸ジオクタデシルエステル;n−オクタデシ
ル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフ
ェニル)プロピオネート;テトラキス〔メチレン(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメ
ート)〕メタン;3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2
−(β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチ
ルフェニル)プロピオニルオキシ)エチル−2,4,
8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン;
トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベ
ンジル)イソシアヌレイトなどが挙げられる。また、ジ
フェニルモノアルコキシフェノールとしては2,6−ジ
フェニル−4−メトキシフェノールなどが挙げられ、テ
トラアルキルフェノールとしてはトリス−(4−t−ブ
チル−2,6−ジ−メチル−3−ヒドロキシベンジル)
−イソシアヌレイトなどが挙げられる。
【0023】さらに硫黄系酸化防止剤としては、チオエ
ーテル系のものが好ましく、具体的にはジラウリル−
3,3’−チオジプロピオネート;ジミリスチル−3,
3’−チオジプロピオネート;ジステアリル−3,3’
−チオジプロピオネート;ペンタエリスリトール−テト
ラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート);ビス
〔2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニ
ルオキシ)−5−t−ブチルフェニル〕スルフィド;2
−メルカプトベイゾイミダゾール等が挙げられる。これ
らの中でも特にペンタエリスリトール−テトラキス−
(β−ラウリル−チオプロピオネート)が好ましい。
【0024】前記の高度のシンジオタクチック構造を有
するスチレン系重合体、又はこれに必要に応じて用いら
れる各種添加成分を配合して得られたスチレン系樹脂組
成物を用いてフィルムを製造する場合、その方法につい
ては特に制限はなく、例えばこれらの材料を加熱溶融
後、予備成形体とし、これを加熱延伸して、さらに必要
に応じて熱固定するなどの方法を用いることができる。
【0025】上記加熱溶融から熱固定までの操作を具体
的に説明すると、まず、前記スチレン系重合体又はスチ
レン系樹脂組成物を成形素材とし、これを通常は押出成
形して、延伸用予備成形体( フィルム,シート又はチュ
ーブ) とする。この成形においては、上記成形素材の加
熱溶融したものを押出成形機にて所定形状に成形するの
が一般的であるが、成形素材を加熱溶融させずに、軟化
した状態で成形してもよい。ここで用いる押出成形機
は、一軸押出成形機,二軸押出成形機のいずれでもよ
く、またベント付き,ベントなしのいずれでもよい。な
お、押出機には適当なフィルターを使用すれば、夾雑物
や異物を除去することができる。またフィルターの形状
は、平板状,円筒状など適当に選定して使用することが
できる。またここで押出条件は、特に制限はなく、種々
の状況に応じて適宜選定すればよいが、好ましくは温度
を成形素材の融点〜分解温度より50℃高い温度の範囲
で選定し、剪断応力を5×106 dyne/cm2 以下とす
る。用いるダイはT−ダイ,円環ダイなどを挙げること
ができる。
【0026】上記押出成形後、得られた延伸用予備成形
体を冷却固化する。この際の冷媒は、気体,液体,金属
ロールなど各種のものを使用することができる。金属ロ
ールなどを用いる場合、エアナイフ,エアチャンバー,
タッチロール,静電印荷などの方法によると、厚みムラ
や波うち防止に効果的である。冷却固化の温度は、通常
は0℃〜延伸用予備成形体のガラス転移温度より30℃
高い温度の範囲、好ましくはガラス転移温度より70℃
低い温度〜ガラス転移温度の範囲である。また冷却速度
は200〜3℃/秒の範囲で適宜選択する。冷却,固化
した予備成形体は二軸延伸の場合は縦方向及び横方向に
同時に延伸してもよいが、任意の順序で逐次延伸しても
よい。また延伸は一段で行ってもよく、多段で行っても
よい。この延伸倍率は面積比で2倍以上、好ましくは3
倍以上である。この範囲の延伸倍率であると、フィルム
の結晶化度が25%以上となり、物性の好ましいものが
得られる。
【0027】ここで延伸方法としては、テンターによる
方法,ロール間で延伸する方法,気体圧力を利用してバ
ブリングによる方法,圧延による方法など種々のものが
使用でき、これらを適当に選定あるいは組み合わせて適
用すればよい。延伸温度は、一般には予備成形体のガラ
ス転移温度と融点の間で設定すればよい。また延伸速度
は、通常は1×10〜1×105 %/分、好ましくは1
×103 〜1×105%/分である。このような条件で
延伸して得られた延伸フィルムに、さらに高温時の寸法
安定性,耐熱性,フィルム面内の強度バランスが要求さ
れる場合などには、さらに熱固定を行うことが好まし
い。熱固定は、通常行われている方法で行うことができ
るが、この延伸フィルムを緊張状態,弛緩状態あるいは
制限収縮状態の下で、該フィルムのガラス転移温度〜融
点、好ましくは融点より100℃低い温度〜融点直前の
温度範囲にて、0.5〜120秒間程度保持することによ
って行えばよい。なお、この熱固定は、上記範囲内で条
件を変えて二回以上行うことも可能である。また、この
熱固定はアルゴンガス,窒素ガスなどの不活性ガス雰囲
気下で行ってもよい。
【0028】一方、本発明のコンデンサにおいて、該電
体として用いられるもう一つの(B)層には、基材とし
てポリエステル系樹脂が使用される。このポリエステル
系樹脂としては、例えばテレフタル酸,2,6−ナフタ
レンジカルボン酸,1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸などの中から選ばれた少なくとも一種の酸成分と、エ
チレングリコール,1,4−ブタンジオール,1,4−
シクロヘキサンジメタノールなどの中から選ばれた少な
くとも一種のアルコール成分とを縮重合させて得られた
ものなどが挙げられる。これらの中で、ポリエチレンテ
レフタレート及びポリエチレン−2,6−ナフタレート
が好適である。
【0029】これらのポリエステル系樹脂を用いてフィ
ルムを作成する場合、該ポリエステル系樹脂に対し、本
発明の目的が阻害されない範囲で、前記(A)層フィル
ムの作成において説明したものと同様の各種添加剤、例
えば−NH−基を有し且つ10,000未満の分子量を持つ有
機化合物,滑剤,酸化防止剤,ガラス繊維などの無機充
填剤,ゴム,相溶化剤,着色剤,難燃剤,架橋剤,架橋
助剤,核剤,可塑剤などを添加することができる。さら
に、他の熱可塑性樹脂、例えばポリエチレン,ポリプロ
ピレン,ポリブテン,ポリペンテンなどのポリオレフィ
ン、スチレン系樹脂,ポリフェニレンエーテル,ポリア
ミド(ナイロン6やナイロン6,6など),ポリフェニ
レンスルフィド,ポリカーボネート,ポリアリレート,
ポリスルホン,ポリエーテルエーテルケトン,ポリエー
テルスルホン,ポリイミド,テフロンなどのハロゲン化
ビニル系重合体,ポリメタクリル酸メチルなどのアクリ
ル系重合体,ポリビニルアルコールなども配合すること
ができる。上記ポリエステル系樹脂、又はこれに必要に
応じて用いられる各種添加成分を配合して得られたポリ
エステル系樹脂組成物を用いて、フィルムを製造する方
法については特に制限はなく、例えば前記(A)層フィ
ルムの製造において説明した方法と同様の方法を用いる
ことができる。また、この(B)層のポリエステル系樹
脂を基材とするフィルムとしては、市販の各フィルムを
用いることができる。
【0030】本発明のフィルムコンデンサは、前記のよ
うにして得られた高度のシンジオタクチック構造を有す
るスチレン系重合体を基材とする(A)層と、ポリエス
テル系樹脂を基材とする(B)層とを組み合わせたもの
を誘電体とし、これと、金属膜からなる電極とで構成さ
れたものである。上記(B)層は、誘電率の温度係数が
正で、かつ耐熱性に優れており、一方(A)層は、誘電
率の温度係数が負で、かつポリプロピレンに比べて誘電
率が高いなどの性質を有している。また、電極に用いら
れる金属膜の材質については特に制限はないが、例えば
アルミニウム,亜鉛,ニッケル,クロム,錫,銅及びこ
れらの合金などが好ましく用いられる。このフィルムコ
ンデンサは、その製法により、(A)層及び(B)層の
それぞれの誘電体を用いてなる各単位蓄電器が並列接続
となる構成、及び直列接続となる構成にすることが可能
であり、いずれであってもよい。例えば電極層/(A)
層/電極層/(B)層/電極層の順に各層を重ねれば、
電極の配線の仕方によって並列接続又は直列接続とする
ことができる。また、電極層/(A)層/(B)層/電
極層の順に各層を重ねれば、直列接続を容易に得ること
ができる。
【0031】本発明のコンデンサにおいては、誘電体と
して用いられる該(A)層と(B)層の厚み比は、温度
変化による静電容量の変動を補償する目的から、極めて
重要である。すなわち、(B)層/(A)層の厚み比は
0.2〜3の範囲にあることが必要である。この厚み比が
0.2未満では、シンジオタクチックポリスチレンフィル
ムのみを誘電体とするコンデンサに対する温度特性の改
良効果が充分に発揮されない上、複合誘電率が低いため
にコンデンサを大型化しなければ、所要の静電容量を得
ることができない。一方、3を超えるとコンデンサの温
度特性はポリエステル系樹脂を基材とするフィルムのみ
を誘電体とするコンデンサのそれと比べ、改良効果に乏
しい。温度特性及び複合誘電率などの面から、好ましい
厚み比は0.2〜2.5の範囲であり、特に0.3〜1.5の範
囲が好適である。また、該(A)層及び(B)層のそれ
ぞれの厚みについては特に制限はないが、通常はそれぞ
れ0.5〜30μmの範囲で選ばれる。この厚みが0.5μ
m未満ではフィルム成形が困難であり、また30μmを
超えるとコンデンサが大型となり好ましくない。フィル
ムの成形性及びコンデンサの大きさなどを考慮すると、
好ましい厚みは、それぞれ0.5〜15μmの範囲であ
る。
【0032】本発明のコンデンサにおいて、(A)層と
(B)層とを組み合わせる方法については特に制限はな
く、様々な方法を用いることができる。例えば前記のよ
うにして各フィルムをそれぞれ単独に成形しておき、コ
ンデンサ作成時に、両者を重ねる方法、あるいは電極層
を挟んで両者を重ねる方法を用いることができる。ま
た、共押出法,押出ラミネーション法,ドライラミネー
ション法,コーティング法などにより、(A)層と
(B)層とからなる積層フィルムを成形してもよいが、
(A)層フィルムと(B)層フィルムの厚み比の制御が
容易な点から、各フィルムを予め単独で成形しておく方
法が有利である。
【0033】本発明のコンデンサの形状としては、通常
のリード線を有するタイプ若しくはリード線を有さず基
板にハンダを用いて直付けするタイプ(いわゆるチップ
コンデンサ)のいずれでもよい。また、(A)層そのも
のは、大気中の湿気の影響を全く受けないが、(B)層
フィルムの吸湿を防ぐ目的から、または電極がアルミニ
ウムの薄膜で形成される場合のように大気中の湿気の影
響を受けるときは、コンデンサの周囲に外被を設けるこ
とが好ましい。かかる外被の材質としては、アルミニウ
ムなどの金属,ガラスなどの無機質,プラスチックなど
が挙げられるが、チップコンデンサの場合には、軟化点
が200℃以上、特に240℃以上の樹脂組成物が好ま
しい。
【0034】次に、本発明のコンデンサの好ましい製造
方法の例について説明する。まず、金属箔を電極とする
場合には、細断した(A)層フィルムと(B)層フィル
ムを重ね、さらにその上に金属箔を重ね合わせて円筒状
に巻き上げ(巻回法)、コンデンサ素子を形成する。ま
た、金属薄膜を電極にする場合には、(A)層フィルム
又は(B)層フィルムのいずれかに、予め蒸着法,メッ
キ法などにより金属薄膜層を形成させ、このフィルムを
他方のフィルムと共に円筒状に巻き上げ、コンデンサ素
子を形成する。目的とする形状がチップ型の場合には、
積層,裁断の手法をもって巻回法に代えることもでき
る。
【0035】いずれの場合にも、素子形成後、常温〜2
00℃程度の温度でフィルム表面と垂直方向にプレスし
て、容量及び絶縁破壊電圧の安定化を図る。なお、本発
明において、コンデンサとは、電気回路の受動回路素子
の一種で、誘電体をはさんで導体からなる一対の電極を
設けることにより、両電極間に一定の静電容量を与えた
ものを意味し、蓄電器,キャパシターなどと呼ばれてい
るものと同義である。また金属箔とは、自己支持性の金
属膜であり、その厚さは3〜15μmが好ましい。金属
薄膜としては、上記(A)層フィルム又は(B)層フィ
ルムを支持体として、その表面に蒸着,メッキなどの方
法で形成された非自己支持体の金属膜であり、その厚さ
は0.01〜0.5μmが好ましい。フィルム上に金属薄膜
層を形成する場合、あらかじめフィルム表面に、コロナ
処理,プラズマ処理など、接着性向上のための処理を施
しておくこともできる。次に、このようにして形成され
たコンデンサ素子に、必要に応じ、端面導電化処理,リ
ード線取付け,外被形成などを行ってコンデンサとす
る。また、本発明のコンデンサに、油,電解液などを含
浸させて、いわゆる液浸コンデンサとしてもよい。
【0036】このようにして得られた本発明のコンデン
サは、静電容量の温度依存性が小さく、耐熱性に優れ、
使用温度範囲が広い上、容積効率にも優れ、温度補償型
コンデンサとして、好適に用いられる。
【0037】
【実施例】以下に、本発明を実施例によりさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限
定されるものではない。
【0038】参考例1 アルゴン置換した内容積500ミリリットルのガラス製
容器に、硫酸銅5水塩( Cu SO4 ・5H2 O)17g
(71ミリモル),トルエン200ミリリットル及びトリ
メチルアルミニウム24ミリリットル(250ミリモ
ル)を入れ、40℃で8時間反応させた。その後、固体
部分を除去して接触生成物 6. 7gを得た。このものの
凝固点降下法によって測定した分子量は610であっ
た。製造例1 シンジオタクチック構造を有するスチレ
ン系重合体フィルムの製造内容積2リットルの反応容器
に、参考例1で得られた接触生成物をアルミニウム原子
として7.5ミリモル,トリイソブチルアルミニウムを
7.5ミリモル,ペンタメチルシクロペンタジエニルチ
タントリメトキシドを 0. 038ミリモル及び精製スチ
レンを1リットルとり、90℃で5時間重合反応を行っ
た。反応終了後、水酸化ナトリウムのメタノール溶液で
触媒成分を分解後、生成物をメタノールで繰り返し洗浄
し、乾燥して重合体466gを得た。上記重合体の重量平均
分子量を1,2,4−トリクロロベンゼンを溶媒とし
て、130℃でゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ーにて測定したところ290,000であり、また重量平
均分子量/数平均分子量は2.72であった。さらに融点
及び13C−NMRの測定により、得られた重合体はシン
ジオタクチック構造のポリスチレンであることが確認さ
れた。得られたシンジオタクチック構造のスチレン系重
合体(以下、SPSと略記する。)99.0重量%にN.
N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)を1.0重量%混合
し、T−ダイを先端に取り付けた押出機を用いて300
℃にて溶融押出後、冷却して厚さ60μmの低結晶化度
の予備成形体を成形した。この予備成形体を110℃で
縦方向に3倍、横方向に3倍延伸し260℃で20秒間
熱処理を施し厚さ4μmのフィルムを得た。このフィル
ムの直流での絶縁破壊電圧を測定したところ、550k
V/mmであった。
【0039】実施例1 製造例1の様にして得られた4μm厚のSPSフィルム
を電子ビーム加熱真空蒸着器にて処理し、片面アルミニ
ウム蒸着SPSフィルムを作成した。この際、端部にオ
イルマージンを形成した。次に、このフィルムを4μm
厚のポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記
する。)フィルムと共に巻回し、その後圧縮,熱処理,
亜鉛溶射,リード線取付け,エポキシ樹脂による外装の
常法により、コンデンサを作製した。このコンデンサの
20℃における静電容量を測定し、既知のフィルム厚と
電極面積を用いて逆算した複合誘電体の見掛けの誘電率
は2.9であった。温度特性の評価については、得られた
コンデンサの1kHzにおける静電容量をLCZメータ
ーにより各温度にて測定し、20℃での値を基準とする
容量変化率ΔC/Cを求めた。結果を第1表に示す。
【0040】実施例2 実施例1において、PETフィルムの代わりに、ポリエ
チレン−2,6−ナフタレート(PENと略記)フィル
ムを用いた以外は、実施例1と同様にしてコンデンサを
作製し、評価した。結果を第1表に示す。
【0041】比較例1 実施例1において、SPSフィルムの代わりに、4μm
厚のポリプロピレン(PPと略記)フィルムを用いた以
外は、実施例1と同様にしてコンデンサを作製し、評価
した。結果を第1表に示す。
【0042】比較例2 実施例1において、PETフィルム/SPSフィルムの
厚み比を4.0とした以外は、実施例1と同様にしてコン
デンサを作製し、評価した。結果を第1表に示す。
【0043】比較例3 実施例1において、PETフィルム/SPSフィルムの
厚み比を0.1とした以外は、実施例1と同様にしてコン
デンサを作製し、評価した。結果を第1表に示す。
【0044】比較例4 実施例1において、誘電体層としてSPS単層フィルム
を用いた以外は、実施例1と同様にしてコンデンサを作
製し、評価した。結果を第1表に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】以上の結果、ポリエステル及びSPSを、
厚み比が特定の範囲になるように組み合わせて誘電体と
したコンデンサは、静電容量の温度係数(容量変化率)
が小さく、また、現行素子であるポリエステルフィルム
/ポリプロピレンフィルムコンデンサよりも使用可能温
度領域が広い上、誘電率が高いため、同一静電容量のコ
ンデンサであれば小型化が可能であることが分かる。
【0048】
【発明の効果】本発明のコンデンサは、静電容量の温度
依存性が小さく、かつ耐熱性に優れ、使用可能温度範囲
が広い上、容積効率にも優れるなどの特徴を有し、温度
補償型コンデンサとして好適である。本発明のコンデン
サは、例えば高周波発振回路,ドルビー回路,時定数回
路などに用いられ、VTR,オーディオ機器をはじめと
する民生機器,工業計器などの産業機器、さらには宇宙
衛星用などの分野に利用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01G 4/00 - 17/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)高度のシンジオタクチック構造を
    有し、かつ重量平均分子量が100,000以上のスチ
    レン系重合体を基材とする層と、(B)ポリエステル系
    樹脂を基材とする層とを、厚み比が1:0.2〜1:3に
    なるように組み合わせたものを誘電体として用いること
    を特徴とするコンデンサ。
  2. 【請求項2】 (B)層の基材として用いられるポリエ
    ステル系樹脂がポリエチレンテレフタレート又はポリエ
    チレン−2,6−ナフタレートである請求項1記載のコ
    ンデンサ。
  3. 【請求項3】 温度補償型コンデンサである請求項1記
    載のコンデンサ。
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