JP3558153B2 - N−ヒドロキシ尿素誘導体 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なN−ヒドロキシ尿素誘導体に関するものである。本発明の化合物は、リポキシゲナーゼ阻害作用とトロンボキサン合成酵素阻害作用を有するものであり、アレルギー性疾患または炎症性疾患の治療または緩和に有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、喘息等のアレルギー性疾患におけるケミカルメディエーターの役割が急速に解明され、ヒスタミンに加えPAF、ロイコトリエン類、トロンボキサン等が知られるようになった。このうち、ロイコトリエン類は、アラキドン酸より5−リポキシゲナーゼの作用により生成されることが、また、トロンボキサンA2は、アラキドン酸よりシクロオキシゲナーゼの作用を経た後トロンボキサン合成酵素により生成されることが解明された。そして、ロイコトリエン類及びトロンボキサンA2は、いずれも、喘息、乾癬、腸炎、腎炎、潰瘍、虚血などの各種疾患の原因となるアレルギー反応における重要なケミカルメディエーターであることが判明した。従って、これらのケミカルメディエーターの生成を両方とも抑制することができれば、単独で抑制するものより、上記の各種疾患の治療または緩和により大きな効果をもたらすことができる。
最近になり、このような両メディエーターの生成を抑制する化合物としてベンゾチアゾール誘導体(特開平5−178855号)、キノン誘導体(特開平5−78321号)、イミダゾリルフェノール誘導体(特開平6−9571号)、N−ヒドロキシウレア誘導体(WO96/23772号)が知られるようになった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、ロイコトリエン類とトロンボキサンA2の生成を両方とも抑制することができる化合物、即ち、リポキシゲナーゼ阻害作用とトロンボキサン合成酵素阻害作用の二つの作用を併せ持つ新規な化合物を見いだすべく、広範囲にわたって種々検討を行った結果、上記公報に記載の化合物とは全く構造を異にする、新規なN−ヒドロキシ尿素誘導体が優れた作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は式(I)
【0005】
【化2】
【0006】
(式中、R1、R2、R3のいずれか一つは3−ピリジル基または3−ピリジルアルキル基を表し、R1、R2、R3の他の基はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子または置換基を有してもよいC1〜C8のアルキル基(置換基はハロゲン原子、シアノ基またはフェニル基を表す)を表す。R4は水素原子または低級アルキル基を表す。R5は水素原子、低級アルキル基、C3〜C7のシクロアルキル基または置換基を有しても良いフェニル基(置換基はハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基を表す)を表す。Aは結合、C1〜C8のアルキレン基、C2〜C8のアルケニレン基、C2〜C8のアルキニレン基を表す。または、A−C(R4)で中間にベンゼン環を有するC2〜C6のアルキレン基を表す。)で表されるN−ヒドロキシ尿素誘導体、またはその光学活性体、薬理学的に許容される塩、もしくはこれらの水和物または溶媒和物を有効成分とする医薬特に抗アレルギー剤または抗炎症剤に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明は前記の通りであるが、好ましい化合物として、R1、R2、R3のいずれか一つは3−ピリジル基、3−ピリジルメチル基または3−ピリジルプロピル基を表し、R1、R2、R3の他の基は好ましくは、水素原子、ハロゲン原子またはC1〜C5のアルキル基、特に水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表す。R4は好ましくは水素原子、メチル基またはエチル基、特に水素原子またはメチル基を表す。R5は好ましくは水素原子、メチル基、エチル基またはC3〜C6のシクロアルキル基、特に水素原子を表す。Aは好ましくは結合、C1〜C5のアルキレン基、C2〜C5のアルケニレン基、特に結合、ビニレン基を表す。あるいは、A−C(R4)で中間にベンゼン環を有するC1〜C4のアルキレン基を表すN−ヒドロキシ尿素誘導体である。
【0008】
更に、本発明では、式(I)で表されるN−ヒドロキシ尿素誘導体は、薬理学的に許容される塩であってもよい。具体的には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、重亜硫酸、燐酸等から形成される無機酸塩、及びギ酸、酢酸、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、乳酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等から形成される有機酸塩等を挙げることができる。
【0009】
以下に、本発明の好ましい化合物の具体例を示す。
(化合物1)N−ヒドロキシ−N−[3−[2−(3−ピリジル)インドリル]メチル]尿素
(化合物2)N−ヒドロキシ−N−[3−[3−[1−メチル−2−(3−ピリジル)インドリル]]−2−プロペニル]尿素
(化合物3)N−ヒドロキシ−N−[3−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]−2−プロペニル]尿素
(化合物4)N−ヒドロキシ−N−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]メチル]尿素
(化合物5)N−ヒドロキシ−N−[4−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]メチルベンジル]尿素
(化合物6)N−ヒドロキシ−N−[3−[1−[3−(3−ピリジル)プロピル]インドリル]メチル]尿素
(化合物7)N−ヒドロキシ−N−[3−[5−ブロモ−1−(3−ピリジルメチル)インドリル]メチル]尿素
(化合物8)N−ヒドロキシ−N−[3−[2−メチル−1−(3−ピリジルメチル)インドリル]メチル]尿素
(化合物9)N−ヒドロキシ−N−[1−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]エチル]尿素
(化合物10)N−ヒドロキシ−N−[3−[5−フルオロ−1−(3−ピリジルメチル)インドリル]メチル]尿素
【0010】
本発明によって提供されるN−ヒドロキシ尿素誘導体は多くの方法により製造することができ、また、用いられる出発物質は、商業的に入手可能な化合物または既知の化合物から公知の方法にもとづいて合成される。
即ち、式(I)で表される本発明化合物は以下の反応工程(1)にしたがって合成することができ、また、この反応工程以外の方法によって合成することもできる。
【0011】
【化3】
【0012】
(反応工程中、R1、R2、R3、R4、R5、Aは、式(I)のそれと同一の意味を表す。)
この製造方法に用いられている反応は、公知の標準的な方法である。即ち、ヒドロキシルアミン(v)とトリメチルシリルイソシアナートを反応させることにより目的物(vi)を得る。また、式(I)で表される化合物において、R5がメチル基、シクロヘキシル基などで表される化合物は、ヒドロキシルアミンにそれぞれ対応するR5−NCO(メチルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアナートなど)を反応させることにより合成することができる。
【0013】
ヒドロキシルアミン(v)は、ケトンもしくはアルデヒドまたはアルコールから、公知の標準的な方法を用いて容易に合成される。例えば、相当するアルコール(i)を光延反応の条件を用いて、N,O−ビス(tert−ブトキシカルボニル)ヒドロキシルアミンと反応させ、NとOが保護されたヒドロキシルアミン(v)を合成し、次いで、酸加水分解を行うことにより、ヒドロキシルアミンに導くことができる。(WO92/01682号公報参照)。
別の方法として、ヒドロキシアミン(v)は、カルボニル化合物(ii)すなわちケトンもしくはアルデヒドを塩酸ヒドロキシルアミンと反応させてオキシム(iii)を合成し、次に適当な還元剤で還元することによって合成される(ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイエティー 1971年93巻2897参照)。還元剤としては、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、ボラン−ピリジン錯体、ボラン−トリエチルアミン錯体、ボラン−ジメチルスルフィド錯体などが挙げられるが、好適なものとしてはシアノ水素化ホウ素ナトリウム、ボラン−ピリジン錯体等を挙げることができる。
【0014】
また、合成中間体のアルデヒド、ケトン等のカルボニル化合物(ii)は、標準的な方法で合成される。例えば、アルコール(i)を酸化して、ケトンを合成する。用いる酸化反応は、二酸化マンガン酸化、ジョーンズ酸化、スワン酸化等が挙げられる。
一方、合成中間体のアルコール(i)も、標準的な方法で合成される。例えば、アルデヒド、ケトン及びエステルなどのカルボニル化合物を種々の還元剤で還元することによって合成する。ここで用いる還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化ジイソブチルアルミニウムなどが挙げらる。
更に、前記アルコール(i)は、別の方法として、カルボニル化合物にグリニャール試薬、あるいは、有機金属化合物などを用いて合成することができる。反応試薬として好適なものは、メチルマグネシウムブロミドを挙げることができる。また、反応は−78℃から室温の範囲で行われるが、この場合0℃が好ましい。
【0015】
合成中間体である3−ピリジルアルキルハライドは、3−ピリジルアルキルアルコールを標準的な方法でハロゲン化することにより合成される。例えば、塩化メチレン中、該当するアルコール体を、四ハロゲン化炭素とトリフェニルフォスフィンとを反応させることにより合成される。
また、本発明に供されるインドール化合物は、入手が容易な他のインドール化合物から簡単に合成される。例えば、適当なインドール化合物をウィルスマイヤー試薬で処理することによってホルミルインドール化合物を、酸塩化物または酸無水物でフリーデル・クラフツ反応条件下で処理することによってアシルインドール化合物をそれぞれ得ることができる。好適なものとしては、ウィルスマイヤー・ハークの反応の条件下で例えばジメチルホルムアミドのオキシ塩化リンの存在下の縮合があげられる。
【0016】
また、式(I)中のAが二重結合を含有する化合物、または反応中間体の増炭反応は、アルデヒドにウィッティヒ反応、ホーナー・エモンズ反応などを用いることによって合成される。ここで用いるホスホニウム塩、ホスホネートエステルとしては、トリメチルホスホノアセテート、エチル(トリフェニルホスホラニリデン)アセテートまたはジエチルホスホノ酢酸エチルエステルなどが挙げられる。また、ホーナー・エモンズ反応における塩基としては、水素化ナトリウム、ナトリウムアミドなどが挙げられる。
【0017】
本発明では、次の式(II)
【0018】
【化4】
【0019】
(式中R6、R7は、水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表す。)で表されるインドール化合物の出発物質は文献(米国特許第3,468,894号公報、ジャーナル オブ ケミカル ソサイエティー 1955年2865頁参照)に記載のもの、あるいは縮合剤、例えばエタノール性塩化水素またはポリ燐酸の存在下で対応する置換されたフェニルヒドラジンおよび式3−PyCOCH2R6のケトンから、周知のフィッシャーのインドール合成法(フリーハン編集「ヘテロ サイクリック コンパウンズ インドールス パートI」232〜317頁参照)によって同様に製造される。
【0020】
更に、式(III)
【0021】
【化5】
【0022】
(式中Xは、水素原子、メチル基または3−ピリジルアルキル基を表し、R7は、式(II)のそれと同一の意味を表し、R8はメチル基または水素原子を表し、R9は、水素原子、ハロゲン原子または4−カルボキシベンジル基を表す。)で表される中間体のうち、Xがメチル基、3−ピリジルアルキル基であるインドール化合物は、Xが水素原子であるインドール化合物から標準的な方法で合成される。例えばXが水素原子であるインドール化合物を強塩基(水素化ナトリウム等)で処理し、次に不活性溶媒(ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等)中で対応するアルキルハライド(メチルイオダイド、3−クロロメチルピリジン塩酸塩等)と反応させることによって合成される。本反応は、15−クラウン−5等のクラウンエーテル類、または4−ジメチルアミノピリジンなどによって促進される。
【0023】
また、次の式(IV)
【0024】
【化6】
【0025】
(式中R7、R8は式(III)のそれと同一の意味を表し、R10は、水素原子を表し、4−カルボキシベンジル基を表す。)で表される中間体のうち、R10が4−カルボキシベンジル基であるインドール化合物は、R10が水素原子であるインドール化合物から標準的な方法で合成される。例えば、R10が水素原子のインドール化合物にグリニャール試薬、あるいは、有機金属化合物など、好適なものとしてはメチルマグネシウムブロミドを反応させ、次に不活性溶媒(ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等)中で4−シアノベンジルブロミドを反応させ、これに希酸(例えば、10%塩酸等)を滴下することにより合成できる(特開昭59−225181号公報参照)。
上記、各反応で得られた化合物は、再結晶、あるいはシリカゲルカラムクロマトグラフィー等の既知の方法によって単離、精製することができる。
【0026】
本発明の化合物をアレルギー性疾患または炎症性疾患の治療薬として用いる場合、経口、または非経口などの適当な投与方法により投与することができる。経口投与用の形態としては、例えば錠剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、散剤、液剤などが、また、非経口投与用の形態としては、例えば注射剤、吸入剤、座剤、液剤、などが挙げられる。これら医薬投与用組成物の製剤化に際しては、本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩を常法に従い調製することができる。
【0027】
例えば、経口剤の場合には、乳糖、ブドウ糖、コーンスターチ、ショ糖などの賦形剤、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロースなどの崩壊剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、硬化油などの滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ゼラチン、アラビアゴムなどの結合剤、グリセリン、エチレングリコールなどの湿潤剤、その他必要に応じて界面活性剤、矯味剤などを使用して所望の投与剤形に調製することができる。
また、非経口剤の場合には、水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、寒天、トラガラントガムなどの希釈剤を用いて、必要に応じて溶解補助剤、緩衝剤、保存剤、香料、着色剤などを使用することができる。
【0028】
本発明の化合物を、アレルギー性疾患および炎症性疾患の治療薬として処方する場合、その投与単位は本発明化合物として、成人一人あたり、経口投与の場合、1日5〜1000mg、好ましくは5〜100mg、非経口投与の場合、1日1〜200mg、好ましくは1〜20mgの範囲で投与され、それぞれ1日1〜3回の分割投与により所望の治療効果が期待できる。
【0029】
【実施例】
次に本発明の実施例について説明する。
実施例1
(化合物1) N−ヒドロキシ−N−[[3−[2−(3−ピリジル)インドリル]]メチル]尿素
(1)3−[2−(3−ピリジル)インドール]アルデヒドの合成
アルゴン下、ジメチルホルムアミド(3.4ml)中に0℃で、オキシ塩化リン(2.24ml)を滴下し、0℃で1時間攪拌する。0℃で2−(3−ピリジル)インドール(4.24g)のジメチルホルムアミド(6.8ml)溶液を滴下し、室温で4時間攪拌した。反応後、0℃で飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下し、酢酸エチルで抽出した。飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥したのち溶媒を減圧留去し、残渣をメタノールで再結晶し、3−[2−(3−ピリジル)インドール]アルデヒド(4.32g)を得た。出発原料の2−(3−ピリジル)インドールは、米国特許第3,468,894号公報に記載されている方法に準じて合成した。
(2)3−[2−(3−ピリジル)インドール]アルデヒドオキシムの合成
(1)で得た生成物(2.5g)のエタノール(10ml)溶液に、ピリジン(10ml)と塩酸ヒドロキシルアミン(1.17g)を加え、室温で5.5時間攪拌した。反応後、酢酸エチルで希釈し、水、飽和食塩水で順次洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥したのち溶媒を減圧留去し、3−[2−(3−ピリジル)インドール]アルデヒドオキシム(1.47g)を得た。
【0030】
(3)3−[2−(3−ピリジル)インドリル]メチルヒドロキシルアミンの合成
アルゴン下、(2)で得た生成物(2.12g)の酢酸(12ml)溶液に、0℃でシアノ水素化ホウ素ナトリウム(1.69g)を加え、室温で2時間攪拌した。反応後、0℃で飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下し、酢酸エチルで抽出した。飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥したのち溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、3−[2−(3−ピリジル)インドリル]メチルヒドロキシルアミン(955mg)を得た。
(4)N−ヒドロキシ−N−[3−[2−(3−ピリジル)インドリル]メチル]尿素の合成
アルゴン下、(3)で得た生成物(955mg)のテトラヒドロフラン(5ml)溶液に、トリメチルシリルイソシアナート(581μl)を加え、室温で20時間攪拌した。反応後、水を滴下して20分間攪拌したのち溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、N−ヒドロキシ−N−[3−[2−(3−ピリジル)インドリル]メチル]尿素(760mg)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6): δ 4.77(s,2H),6.32(s,2H),7.03(m,1H),7.15(m,1H),7.39(d,1H),7.51(m,1H),7.77(d,1H),8.19(m,1H),8.58(m,1H),9.00(d,1H),9.30(s,1H),11.44(s,1H)
【0031】
実施例2
(化合物2) N−ヒドロキシ−N−[3−[3−[1−メチル−2−(3−ピリジル)インドリル]]−2−プロペニル]尿素
(1)1−メチル−2−(3−ピリジル)インドールの合成
アルゴン下、60%水素化ナトリウム(0.76g)を懸濁させたジメチルホルムアミド(20ml)中に、2−(3−ピリジル)インドール(3.07g)のジメチルホルムアミド(30ml)溶液を滴下し、室温で30分間攪拌する。0℃でメチルイオダイド(1.2ml)を滴下し、室温で1時間攪拌した。0℃で反応後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下し、酢酸エチルで抽出した。飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥したのち溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、1−メチル−2−(3−ピリジル)インドール(1.72g)を得た。
(2)3−[1−メチル−2−(3−ピリジル)インドリル]アルデヒドの合成
(1)で得た生成物(1.72g)を、実施例1の(1)と同様の反応により、3−[1−メチル−2−(3−ピリジル)インドリル]アルデヒド(1.82g)を得た。
【0032】
(3)3−[3−[1−メチル−2−(3−ピリジル)インドリル]]アクリル酸メチルエステルの合成
(2)で得た生成物(1.82g)とトリフェニルフォスフォラニリデン酢酸メチルエステル(2.83g)をトルエン溶媒(50ml)中、140℃で45時間還流する。反応後、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、3−[3−[1−メチル−2−(3−ピリジル)インドリル]]アクリル酸メチルエステル(3.95g)を得た。
(4)3−[3−[1−メチル−2−(3−ピリジル)インドリル]]−2−プロペノールの合成
アルゴン下、(3)で得た生成物(3.95g)のトルエン(20ml)溶液に−78℃で水素化ジイソブチルアルミニウム1Mトルエン溶液(7.2ml)を滴下し、−78℃で1時間攪拌した。反応後、ジエチルエーテル(68μl)、水(68μl)を滴下し、0℃で15分間攪拌した後、過剰量の硫酸マグネシウムを加え、更に、20分間攪拌した。不溶分を濾去後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し3−[3−[1−メチル−2−(3−ピリジル)インドリル]]−2−プロペノール(500mg)を得た。
【0033】
(5)3−[3−[1−メチル−2−(3−ピリジル)インドリル]]アクリルアルデヒドの合成
(4)で得た生成物(500mg)の塩化メチレン溶液(5ml)溶液に、二酸化マンガン(2.5g)を懸濁させ、室温で5時間攪拌した。反応後、セライトで濾過し、溶媒を減圧留去し、3−[3−[1−メチル−2−(3−ピリジル)インドリル]]アクリルアルデヒド(389mg)を得た。
(6)N−ヒドロキシ−N−[3−[3−[1−メチル−2−(3−ピリジル)インドリル]]−2−プロペニル]尿素の合成
(5)で得た生成物を実施例1の(2)〜(4)と同様に処理しN−ヒドロキシ−N−[3−[3−[1−メチル−2−(3−ピリジル)インドリル]]−2−プロペニル]尿素を得た。1H−NMR(DMSO−d6): δ 2.77(s,3H),4.26(d,2H),5.31(br.s,2H),6.22(m,1H),6.47(d,1H),7.17(d,1H),7.19(t,1H),7.34(t,1H),7.44(m,1H),7.65(m,1H),7.91(d,1H),8.32(s,1H),8.55(d,1H),10.41(br.s,1H)
【0034】
実施例3
(化合物3) N−ヒドロキシ−N−[3−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]−2−プロペニル]尿素
(1)1−(3−ピリジルメチル)インドールの合成
アルゴン下、60%水素化ナトリウム(7.9g)を懸濁させたジメチルホルムアミド(350ml)中に、インドール(18g)のジメチルホルムアミド(50ml)溶液を滴下し、室温で30分間撹拌する。0℃で3−クロロメチルピリジン塩酸塩(25g)のジメチルホルムアミド(100ml)溶液を滴下し、室温で18時間撹拌した。反応後、0℃で飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下し、酢酸エチルで抽出した。飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥したのち溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、1−(3−ピリジルメチル)インドール(31.9g)を得た。
(2)3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]アルデヒドの合成
(1)で得た生成物を実施例1の(1)と同様に処理することにより、3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]アルデヒドを得た。
(3)N−ヒドロキシ−N−[3−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]−2−プロペニル]尿素の合成
(2)で得た生成物を、実施例2の(3)〜(6)と同様に処理することによりN−ヒドロキシ−N−[3−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]−2−プロペニル]尿素を得た。
1H−NMR(DMSO−d6): δ 4.10(d,2H),5.44(s,2H),6.13(m,1H),6.33(s,2H),6.67(d,1H),7.08(t,1H),7.15(t,1H),7.31(m,1H),7.51(d,1H),7.56(m,1H),7.67(s,1H),7.78(d,1H),8.44(m,1H),8.53(d,1H),9.30(s,1H)
【0035】
実施例4
(化合物4) N−ヒドロキシ−N−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]メチル]尿素
実施例3の(2)で得た生成物を、実施例1の(2)〜(4)と同様に処理することにより、N−ヒドロキシ−N−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]メチル]尿素を得た。
1H−NMR(DMSO−d6): δ 4.64(s,2H)5.43(s,2H),6.23(s,2H),7.00(t,1H),7.10(t,1H),7.32(m,1H),7.45(d,1H),7.46(s,1H),7.58(m,1H),7.66(d,1H),8.45(m,1H),8.53(m,1H),9.22(s,1H)
【0036】
実施例5
(化合物5) N−ヒドロキシ−N−[4−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]メチルベンジル]尿素
(1)4−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]メチル安息香酸メチルエステルの合成
4−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]メチル安息香酸(1.27g)のメタノール(20ml)溶液を、濃硫酸(0.5ml)存在下、85℃で3時間還流した。反応後、0℃で飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下し、酢酸エチルで抽出した。飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥したのち溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、4−メチル−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]メチル安息香酸メチルエステル(547mg)を得た。出発原料の4−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]メチル安息香酸は、特開昭59−225181号公報に記載の方法で合成した。
(2)4−メチル−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]ベンジルアルコールの合成
アルゴン下、(1)で得た化合物(275mg)のテトラヒドロフラン(5.5ml)溶液に、0℃で水素化リチウムアルミニウム(96mg)を懸濁し、0℃で15分攪拌した。反応後、0℃で水(0.2ml)、15%水酸化ナトリウム水溶液(0.2ml)、水(0.6ml)を滴下し室温で15分間攪拌した。硫酸マグネシウムを加え、さらに1時間攪拌した後不溶分を濾去、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、4−メチル−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]ベンジルアルコール(91mg)を得た。
【0037】
(3)N,O−ビス−(tert−ブトキシカルボニル)−[4−メチル−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]ベンジル]ヒドロキシルアミンの合成
アルゴン下、(2)で得た生成物(91mg)のテトラヒドロフラン(2ml)溶液に、−10℃でトリフェニルホスフィン(86mg)とN,O−ビス−tert−ブトキシカルボニルヒドロキシルアミン(86mg)を加え、次いで40%ジエチルアゾジカルボキシレートトルエン溶液(0.16ml)を滴下し、同温で15分間攪拌した。反応後、揮発物を減圧留去し,残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、N,O−ビス−(tert−ブトキシカルボニル)−[4−メチル−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]ベンジル]ヒドロキシルアミン(213mg)を得た。
(4)4−メチル−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]ベンジルヒドロキシルアミンの合成
(3)で得た生成物(213mg)のジクロロメタン(4ml)溶液に、トリフルオロ酢酸(2ml)を滴下し、室温で20分間攪拌した。反応後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下し、酢酸エチルで抽出した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥ののち溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、4−メチル−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]ベンジルヒドロキシルアミン(63.5mg)を得た。
(5)N−ヒドロキシ−N−[4−メチル−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]ベンジル]尿素の合成
(4)で得た生成物(63.5mg)を実施例1の(4)と同様に処理することによりN−ヒドロキシ−N−[4−メチル−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]ベンジル]尿素(53mg)を得た。
1H−NMR(CDCl3): 4.07(s,2H),4.65(s,2H),4.95(s,2H),5.15(br.s,2H),6.80(s,1H),7.02〜7.24(m,9H),7.58(d,1H),7.97(m,1H),8.24(m,1H)
【0038】
実施例6
(化合物6) N−ヒドロキシ−N−[3−[1−[3−(3−ピリジル)プロピル]インドリル]メチル]尿素
実施例3の(1)における3−クロロメチルピリジン塩酸塩の代わりに3−(3−ピリジン)プロピルブロミドを用い、以下実験例4と同様に処理することにより、N−ヒドロキシ−N−[3−[1−[3−(3−ピリジル)プロピル]インドリル]メチル]尿素を得た。
出発原料の3−(3−ピリジン)プロピルブロミドは、以下の方法で得られた。3−(3−ピリジン)プロピルプロパノールを塩化メチレン中、四臭化炭素、トリフェニルフォスフィンと室温で30分攪拌し、反応後、0℃で飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下し、塩化メチレン、酢酸エチルで抽出した。飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥したのち溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
1H−NMR(DMSO−d6): δ 2.07(m,2H),2.60(m,2H),4.16(m,2H),4.62(s,2H),6.21(s,2H),6.99(m,1H),7.11(m,1H),7.28〜7.31(m,1H),7.39(d,1H),7.60〜7.65(m,1H),7.64(d,1H),8.38〜8.40(m,1H),8.42(d,1H),9.20(s,1H)
【0039】
実施例7
(化合物7) N−ヒドロキシ−N−[3−[5−ブロモ−1−(3−ピリジルメチル)インドリル]メチル]尿素
実施例3の(1)におけるインドールの代わりに5−ブロモインドールを用い、以下実験例4と同様に処理することにより、N−ヒドロキシ−N−[3−[5−ブロモ−1−(3−ピリジルメチル)インドリル]メチル]尿素を得た。
1H−NMR(DMSO−d6): δ 4.53(s,2H),5.37(s,2H),6.22(s,2H),7.14(m,1H),7.24(m,1H),7.38(d,1H),7.46(s,1H),7.49(d,1H),7.77(d,1H),8.39(d,1H),8.44(d,1H), 9.20(s,1H)
【0040】
実施例8
(化合物8) N−ヒドロキシ−N−[3−[2−メチル−1−(3−ピリジルメチル)インドリル]メチル]尿素
実施例3の(1)におけるインドールの代わりに2−メチルインドールを用い、以下実験例4と同様に処理することにより、N−ヒドロキシ−N−[3−[2−メチル−1−(3−ピリジルメチル)インドリル]メチル]尿素を得た。
1H−NMR(DMSO−d6): δ 2.38(s,3H),4.66(s,2H),5.46(s,2H),6.19(s,2H),7.30(m,2H),7.34(m,2H),7.36(d,1H),7.63(d,1H),8.35(d,1H),8.43(d,1H),9.16(s,1H)
【0041】
実施例9
(化合物9) N−ヒドロキシ−N−[1−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]エチル]尿素
(1)1−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]エタノールの合成
アルゴン下、実施例3の(2)で得た生成物(2.5g)のテトラヒドロフラン(40ml)溶液に0℃でメチルマグネシウム1Mテトラヒドロフラン溶液(21ml)を加え、室温で1時間反応した。反応後、飽和塩化アンモニウム水溶液を滴下、酢酸エチルで抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、1−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]エタノール(2.8g)を得た。
(2)N−ヒドロキシ−N−[1−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]エチル]尿素の合成
(1)で得られた化合物を、実施例2の(5)〜(6)と同様に処理することによりN−ヒドロキシ−N−[1−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]エチル]尿素を得た。
1H−NMR(DMSO−d6): δ 1.48(d,3H),5.43(s,2H),5.65(m,1H),6.22(s,2H),6.99(t,1H),7.08(t,1H),7.31(m,1H),7.41(d,1H),7.48(s,1H),7.57(d,1H),7.66(d,1H),8.45(m,1H),8.52(d,1H),8.88(s,1H)
【0042】
実施例10
(化合物10) N−ヒドロキシ−N−[3−[5−フルオロ−1−(3−ピリジルメチル)インドリル]メチル]尿素
実施例3の(1)におけるインドールの代わりに5−フルオロインドールを用い、以下、同様に処理することにより、N−ヒドロキシ−N−[3−[5−フルオロ−1−(3−ピリジルメチル)インドリル]メチル]尿素を得た。
1H−NMR(DMSO−d6): δ 4.59(s,2H),5.44(s,2H),6.27(s,2H),6.95(m,1H),7.32(m,1H),7.40(m,1H),7.46(m,1H),7.55(s,1H),7.58(dlike,1H),8.46(m,1H),8.53(d,1H),9.25(s,1H)
【0043】
(製剤例)
実施例11(錠剤の調製)
本発明化合物(化合物1) 250g
乳糖 620g
コーンスターチ 400g
ヒドロキシプロピルセルロース 20g
ステアリン酸マグネシウム 10g
上記の本発明化合物、乳糖およびコーンスターチを均一になるまで混合した後、ヒドロキシプロピルセルロースの5W/V%エタノール溶液を加えて練合、顆粒化する。16メッシュの篩に通し整粒した後、常法により打錠し、1錠当たりの重量130mg、直径7mm、主薬含量25mgの錠剤とした。
【0044】
実施例12(カプセル剤の調製)
本発明化合物(化合物3) 250g
乳糖 620g
アビセル 620g
ステアリン酸マグネシウム 10g
上記の本発明化合物、乳糖、アビセル及びステアリン酸マグネシウムを均一になるまで充分に混合した後、3号カプセルに充填し、1カプセル当たりの内容物の重量150mg、主薬含量25mgのカプセル剤とした。
【0045】
試験例1(トロンボキサン合成酵素阻害作用試験)
ヒト血小板ミクロソームを用い、トロンボキサンA2の安定代謝物であるトロンボキサンB2の産生量を指標として実験を行った。ヒト血小板ミクロソーム(50μg protein/ml)と被験化合物(最終濃度10−6M)とを含む緩衝液(20mM tris−HCl buffer,1mM EDTA,pH 7.5)を攪拌後、0℃で30分間インキュベートした。これにプロスタグランジンH2(100ng/2μl)を加え、酸性にして反応を停止させた後、1M Tris−Baseで中和し、3000rpmで20分間遠心分離し、その上清中のトロンボキサンB2量をEIA法(Cayman社製キット)により測定した。
被験化合物として、前記の化合物2〜化合物5を用い上記の試験を行い、各化合物のトロンボキサンB2産生抑制作用(TxSI)をIC50で表1に示した。
【0046】
試験例2(リポキシゲナーゼ阻害作用試験)
ラット多形核白血球を用い、ロイコトリエンB4の産生量を指標として実験を行った。Wistar系雄性ラット(日本クレア)に12%カゼインナトリウムをラットに腹腔内投与し、16時間後に腹腔内洗浄を行い多形核白血球を回収した。得られた多形核白血球はリン酸緩衝液(137mM NaCl,3mM KCl,8mM Na2HPO4,2mM KH2PO4)に懸濁し(2.5x105 cells/0.4ml)、被験化合物(最終濃度10−5M)を添加して10分間、さらに、カルシウム溶液(10mM CaCl2,0.86% NaCl)0.1mlを添加して5分間、37℃でインキュベートを行った後、カルシウムイオノフォア(20μM A−23187)1.25μlにより反応を開始した。反応時間は5分間とし、メタノール250μlにて反応を停止した。反応停止後、20分間遠心し(4℃,3000rpm)、上清中のロイコトリエンB4量をEIA法(Cayman社製キット)により測定した。
被験化合物として、試験例1と同一の化合物を用い上記の試験を行い、各化合物のロイコトリエンB4産生抑制作用(LTBI)をIC50で表1に示した。
【0047】
【表1】
【0048】
試験例3(ラットのex vivoにおけるトロンボキサン合成酵素阻害活性測定および5−リポキシゲナーゼ阻害活性測定)
実験動物はSD系雄性ラットを用い、実験前日から絶食した。被験薬は0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウムにて懸濁し、採血1時間前に経口投与した。採血は腹部大動脈より行い、トロンボキサン合成酵素阻害活性測定および5−リポキシゲナーゼ阻害活性測定用に分注した。
トロンボキサン合成酵素活性はトロンボキサンA2安定代謝物であるトロンボキサンB2の産生量を指標とした。分注した血液は自然凝集反応(25℃、90分間)を行い、血清を遠心分離し(3000rpm、20分間、4℃)、血清中のトロンボキサンB2量をEIA法により測定した。トロンボキサン合成酵素阻害活性は、溶媒対照群に対する被験薬群の抑制率より50%阻害用量を算出した。
5−リポキシゲナーゼ活性はロイコトリエンB4の産生量を指標とした。分注した血液に50μMカルシウムイオノフォア(A23187)を添加して反応を開始し(37℃、30分間)、1mM Indomethacin、1mM Phenidone、0.1mM EGTAを添加して反応を停止した。血漿を遠心分離し(3000rpm、20分間、4℃)、血漿中のロイコトリエンB4量をEIA法により測定した。5−リポキシゲナーゼ阻害活性は、溶媒対照群に対する被験薬群の抑制率より50%阻害用量を算出した。
被験化合物として、前記の化合物2、3、4、9を用いて上記の試験を行い、その結果を表2に示した。
【0049】
【表2】
【0050】
試験例4(モルモットの抗原誘発気道収縮モデルに対する薬物作用)
卵白アルブミンで感作したモルモットを用い、5%アラビアゴムに懸濁した被験化合物を経口投与し、投与1時間後の抗原誘発気道収縮に対する抑制作用をコンセントレズラー法にて測定した。
感作モルモットを35mg/kgペントバルビタール麻酔下にて、気道内にカニューレを挿入して人工呼吸器に接続し、頸静脈内にカニューレを挿入して5mg/kgスキサメトニウム及び5mg/kgメピラミン処置を行った。次いでモルモットにネブライザーより、霧化した卵白アルブミンを吸入させて気道収縮を惹起し、人工呼吸器からの送気量に対する検出器への流出量の比を気道収縮率とし、気道収縮抑制活性を求めた。
被験化合物として化合物4を用い、対照薬として、トロンボキサン合成酵素阻害薬であるOKY−046及び5−リポキシゲナーゼ阻害薬であるA−64077を用いて上記の試験を行い、その結果を表3に示した。
【0051】
【表3】
【0052】
上記、試験例1〜試験例3の結果より本発明の化合物は、リポキシゲナーゼ阻害作用とトロンボキサン合成酵素阻害作用の二つの作用を併せ持つ化合物であることが分かる。また、試験例4よりモルモットの抗原誘発気道収縮モデルにおいて、気道収縮抑制効果を示すことから、喘息治療薬等として有用な化合物であることが分かる。
【0053】
試験例5(急性毒性試験)
Crj−ICR系雄性マウス(7週齢、一群5匹)を用いた。被験化合物(化合物4)を0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウムで懸濁して、10ml/kgの割合で腹腔内に投与した。動物の生死は投与後7日まで観察を行なった。
その結果、1000mg/kg 以下の用量での死亡例は認められなかった。
【0054】
上記試験例で用いた化合物の各置換基の構造を表4に示す。
【0055】
【表4】
【本発明の効果】
本発明化合物は、強いリポキシゲナーゼ阻害作用と強いトロンボキサン合成酵素阻害作用を有することから、アレルギー性疾患または炎症性疾患の治療用薬剤として、具体的にはアラキドン酸の代謝産物に起因する各種疾患、たとえば喘息、乾癬、腸炎、腎炎、虚血などの治療薬、予防薬として有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なN−ヒドロキシ尿素誘導体に関するものである。本発明の化合物は、リポキシゲナーゼ阻害作用とトロンボキサン合成酵素阻害作用を有するものであり、アレルギー性疾患または炎症性疾患の治療または緩和に有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、喘息等のアレルギー性疾患におけるケミカルメディエーターの役割が急速に解明され、ヒスタミンに加えPAF、ロイコトリエン類、トロンボキサン等が知られるようになった。このうち、ロイコトリエン類は、アラキドン酸より5−リポキシゲナーゼの作用により生成されることが、また、トロンボキサンA2は、アラキドン酸よりシクロオキシゲナーゼの作用を経た後トロンボキサン合成酵素により生成されることが解明された。そして、ロイコトリエン類及びトロンボキサンA2は、いずれも、喘息、乾癬、腸炎、腎炎、潰瘍、虚血などの各種疾患の原因となるアレルギー反応における重要なケミカルメディエーターであることが判明した。従って、これらのケミカルメディエーターの生成を両方とも抑制することができれば、単独で抑制するものより、上記の各種疾患の治療または緩和により大きな効果をもたらすことができる。
最近になり、このような両メディエーターの生成を抑制する化合物としてベンゾチアゾール誘導体(特開平5−178855号)、キノン誘導体(特開平5−78321号)、イミダゾリルフェノール誘導体(特開平6−9571号)、N−ヒドロキシウレア誘導体(WO96/23772号)が知られるようになった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、ロイコトリエン類とトロンボキサンA2の生成を両方とも抑制することができる化合物、即ち、リポキシゲナーゼ阻害作用とトロンボキサン合成酵素阻害作用の二つの作用を併せ持つ新規な化合物を見いだすべく、広範囲にわたって種々検討を行った結果、上記公報に記載の化合物とは全く構造を異にする、新規なN−ヒドロキシ尿素誘導体が優れた作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は式(I)
【0005】
【化2】
【0006】
(式中、R1、R2、R3のいずれか一つは3−ピリジル基または3−ピリジルアルキル基を表し、R1、R2、R3の他の基はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子または置換基を有してもよいC1〜C8のアルキル基(置換基はハロゲン原子、シアノ基またはフェニル基を表す)を表す。R4は水素原子または低級アルキル基を表す。R5は水素原子、低級アルキル基、C3〜C7のシクロアルキル基または置換基を有しても良いフェニル基(置換基はハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基を表す)を表す。Aは結合、C1〜C8のアルキレン基、C2〜C8のアルケニレン基、C2〜C8のアルキニレン基を表す。または、A−C(R4)で中間にベンゼン環を有するC2〜C6のアルキレン基を表す。)で表されるN−ヒドロキシ尿素誘導体、またはその光学活性体、薬理学的に許容される塩、もしくはこれらの水和物または溶媒和物を有効成分とする医薬特に抗アレルギー剤または抗炎症剤に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明は前記の通りであるが、好ましい化合物として、R1、R2、R3のいずれか一つは3−ピリジル基、3−ピリジルメチル基または3−ピリジルプロピル基を表し、R1、R2、R3の他の基は好ましくは、水素原子、ハロゲン原子またはC1〜C5のアルキル基、特に水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表す。R4は好ましくは水素原子、メチル基またはエチル基、特に水素原子またはメチル基を表す。R5は好ましくは水素原子、メチル基、エチル基またはC3〜C6のシクロアルキル基、特に水素原子を表す。Aは好ましくは結合、C1〜C5のアルキレン基、C2〜C5のアルケニレン基、特に結合、ビニレン基を表す。あるいは、A−C(R4)で中間にベンゼン環を有するC1〜C4のアルキレン基を表すN−ヒドロキシ尿素誘導体である。
【0008】
更に、本発明では、式(I)で表されるN−ヒドロキシ尿素誘導体は、薬理学的に許容される塩であってもよい。具体的には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、重亜硫酸、燐酸等から形成される無機酸塩、及びギ酸、酢酸、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、乳酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等から形成される有機酸塩等を挙げることができる。
【0009】
以下に、本発明の好ましい化合物の具体例を示す。
(化合物1)N−ヒドロキシ−N−[3−[2−(3−ピリジル)インドリル]メチル]尿素
(化合物2)N−ヒドロキシ−N−[3−[3−[1−メチル−2−(3−ピリジル)インドリル]]−2−プロペニル]尿素
(化合物3)N−ヒドロキシ−N−[3−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]−2−プロペニル]尿素
(化合物4)N−ヒドロキシ−N−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]メチル]尿素
(化合物5)N−ヒドロキシ−N−[4−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]メチルベンジル]尿素
(化合物6)N−ヒドロキシ−N−[3−[1−[3−(3−ピリジル)プロピル]インドリル]メチル]尿素
(化合物7)N−ヒドロキシ−N−[3−[5−ブロモ−1−(3−ピリジルメチル)インドリル]メチル]尿素
(化合物8)N−ヒドロキシ−N−[3−[2−メチル−1−(3−ピリジルメチル)インドリル]メチル]尿素
(化合物9)N−ヒドロキシ−N−[1−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]エチル]尿素
(化合物10)N−ヒドロキシ−N−[3−[5−フルオロ−1−(3−ピリジルメチル)インドリル]メチル]尿素
【0010】
本発明によって提供されるN−ヒドロキシ尿素誘導体は多くの方法により製造することができ、また、用いられる出発物質は、商業的に入手可能な化合物または既知の化合物から公知の方法にもとづいて合成される。
即ち、式(I)で表される本発明化合物は以下の反応工程(1)にしたがって合成することができ、また、この反応工程以外の方法によって合成することもできる。
【0011】
【化3】
【0012】
(反応工程中、R1、R2、R3、R4、R5、Aは、式(I)のそれと同一の意味を表す。)
この製造方法に用いられている反応は、公知の標準的な方法である。即ち、ヒドロキシルアミン(v)とトリメチルシリルイソシアナートを反応させることにより目的物(vi)を得る。また、式(I)で表される化合物において、R5がメチル基、シクロヘキシル基などで表される化合物は、ヒドロキシルアミンにそれぞれ対応するR5−NCO(メチルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアナートなど)を反応させることにより合成することができる。
【0013】
ヒドロキシルアミン(v)は、ケトンもしくはアルデヒドまたはアルコールから、公知の標準的な方法を用いて容易に合成される。例えば、相当するアルコール(i)を光延反応の条件を用いて、N,O−ビス(tert−ブトキシカルボニル)ヒドロキシルアミンと反応させ、NとOが保護されたヒドロキシルアミン(v)を合成し、次いで、酸加水分解を行うことにより、ヒドロキシルアミンに導くことができる。(WO92/01682号公報参照)。
別の方法として、ヒドロキシアミン(v)は、カルボニル化合物(ii)すなわちケトンもしくはアルデヒドを塩酸ヒドロキシルアミンと反応させてオキシム(iii)を合成し、次に適当な還元剤で還元することによって合成される(ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイエティー 1971年93巻2897参照)。還元剤としては、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、ボラン−ピリジン錯体、ボラン−トリエチルアミン錯体、ボラン−ジメチルスルフィド錯体などが挙げられるが、好適なものとしてはシアノ水素化ホウ素ナトリウム、ボラン−ピリジン錯体等を挙げることができる。
【0014】
また、合成中間体のアルデヒド、ケトン等のカルボニル化合物(ii)は、標準的な方法で合成される。例えば、アルコール(i)を酸化して、ケトンを合成する。用いる酸化反応は、二酸化マンガン酸化、ジョーンズ酸化、スワン酸化等が挙げられる。
一方、合成中間体のアルコール(i)も、標準的な方法で合成される。例えば、アルデヒド、ケトン及びエステルなどのカルボニル化合物を種々の還元剤で還元することによって合成する。ここで用いる還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化ジイソブチルアルミニウムなどが挙げらる。
更に、前記アルコール(i)は、別の方法として、カルボニル化合物にグリニャール試薬、あるいは、有機金属化合物などを用いて合成することができる。反応試薬として好適なものは、メチルマグネシウムブロミドを挙げることができる。また、反応は−78℃から室温の範囲で行われるが、この場合0℃が好ましい。
【0015】
合成中間体である3−ピリジルアルキルハライドは、3−ピリジルアルキルアルコールを標準的な方法でハロゲン化することにより合成される。例えば、塩化メチレン中、該当するアルコール体を、四ハロゲン化炭素とトリフェニルフォスフィンとを反応させることにより合成される。
また、本発明に供されるインドール化合物は、入手が容易な他のインドール化合物から簡単に合成される。例えば、適当なインドール化合物をウィルスマイヤー試薬で処理することによってホルミルインドール化合物を、酸塩化物または酸無水物でフリーデル・クラフツ反応条件下で処理することによってアシルインドール化合物をそれぞれ得ることができる。好適なものとしては、ウィルスマイヤー・ハークの反応の条件下で例えばジメチルホルムアミドのオキシ塩化リンの存在下の縮合があげられる。
【0016】
また、式(I)中のAが二重結合を含有する化合物、または反応中間体の増炭反応は、アルデヒドにウィッティヒ反応、ホーナー・エモンズ反応などを用いることによって合成される。ここで用いるホスホニウム塩、ホスホネートエステルとしては、トリメチルホスホノアセテート、エチル(トリフェニルホスホラニリデン)アセテートまたはジエチルホスホノ酢酸エチルエステルなどが挙げられる。また、ホーナー・エモンズ反応における塩基としては、水素化ナトリウム、ナトリウムアミドなどが挙げられる。
【0017】
本発明では、次の式(II)
【0018】
【化4】
【0019】
(式中R6、R7は、水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表す。)で表されるインドール化合物の出発物質は文献(米国特許第3,468,894号公報、ジャーナル オブ ケミカル ソサイエティー 1955年2865頁参照)に記載のもの、あるいは縮合剤、例えばエタノール性塩化水素またはポリ燐酸の存在下で対応する置換されたフェニルヒドラジンおよび式3−PyCOCH2R6のケトンから、周知のフィッシャーのインドール合成法(フリーハン編集「ヘテロ サイクリック コンパウンズ インドールス パートI」232〜317頁参照)によって同様に製造される。
【0020】
更に、式(III)
【0021】
【化5】
【0022】
(式中Xは、水素原子、メチル基または3−ピリジルアルキル基を表し、R7は、式(II)のそれと同一の意味を表し、R8はメチル基または水素原子を表し、R9は、水素原子、ハロゲン原子または4−カルボキシベンジル基を表す。)で表される中間体のうち、Xがメチル基、3−ピリジルアルキル基であるインドール化合物は、Xが水素原子であるインドール化合物から標準的な方法で合成される。例えばXが水素原子であるインドール化合物を強塩基(水素化ナトリウム等)で処理し、次に不活性溶媒(ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等)中で対応するアルキルハライド(メチルイオダイド、3−クロロメチルピリジン塩酸塩等)と反応させることによって合成される。本反応は、15−クラウン−5等のクラウンエーテル類、または4−ジメチルアミノピリジンなどによって促進される。
【0023】
また、次の式(IV)
【0024】
【化6】
【0025】
(式中R7、R8は式(III)のそれと同一の意味を表し、R10は、水素原子を表し、4−カルボキシベンジル基を表す。)で表される中間体のうち、R10が4−カルボキシベンジル基であるインドール化合物は、R10が水素原子であるインドール化合物から標準的な方法で合成される。例えば、R10が水素原子のインドール化合物にグリニャール試薬、あるいは、有機金属化合物など、好適なものとしてはメチルマグネシウムブロミドを反応させ、次に不活性溶媒(ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等)中で4−シアノベンジルブロミドを反応させ、これに希酸(例えば、10%塩酸等)を滴下することにより合成できる(特開昭59−225181号公報参照)。
上記、各反応で得られた化合物は、再結晶、あるいはシリカゲルカラムクロマトグラフィー等の既知の方法によって単離、精製することができる。
【0026】
本発明の化合物をアレルギー性疾患または炎症性疾患の治療薬として用いる場合、経口、または非経口などの適当な投与方法により投与することができる。経口投与用の形態としては、例えば錠剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、散剤、液剤などが、また、非経口投与用の形態としては、例えば注射剤、吸入剤、座剤、液剤、などが挙げられる。これら医薬投与用組成物の製剤化に際しては、本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩を常法に従い調製することができる。
【0027】
例えば、経口剤の場合には、乳糖、ブドウ糖、コーンスターチ、ショ糖などの賦形剤、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロースなどの崩壊剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、硬化油などの滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ゼラチン、アラビアゴムなどの結合剤、グリセリン、エチレングリコールなどの湿潤剤、その他必要に応じて界面活性剤、矯味剤などを使用して所望の投与剤形に調製することができる。
また、非経口剤の場合には、水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、寒天、トラガラントガムなどの希釈剤を用いて、必要に応じて溶解補助剤、緩衝剤、保存剤、香料、着色剤などを使用することができる。
【0028】
本発明の化合物を、アレルギー性疾患および炎症性疾患の治療薬として処方する場合、その投与単位は本発明化合物として、成人一人あたり、経口投与の場合、1日5〜1000mg、好ましくは5〜100mg、非経口投与の場合、1日1〜200mg、好ましくは1〜20mgの範囲で投与され、それぞれ1日1〜3回の分割投与により所望の治療効果が期待できる。
【0029】
【実施例】
次に本発明の実施例について説明する。
実施例1
(化合物1) N−ヒドロキシ−N−[[3−[2−(3−ピリジル)インドリル]]メチル]尿素
(1)3−[2−(3−ピリジル)インドール]アルデヒドの合成
アルゴン下、ジメチルホルムアミド(3.4ml)中に0℃で、オキシ塩化リン(2.24ml)を滴下し、0℃で1時間攪拌する。0℃で2−(3−ピリジル)インドール(4.24g)のジメチルホルムアミド(6.8ml)溶液を滴下し、室温で4時間攪拌した。反応後、0℃で飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下し、酢酸エチルで抽出した。飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥したのち溶媒を減圧留去し、残渣をメタノールで再結晶し、3−[2−(3−ピリジル)インドール]アルデヒド(4.32g)を得た。出発原料の2−(3−ピリジル)インドールは、米国特許第3,468,894号公報に記載されている方法に準じて合成した。
(2)3−[2−(3−ピリジル)インドール]アルデヒドオキシムの合成
(1)で得た生成物(2.5g)のエタノール(10ml)溶液に、ピリジン(10ml)と塩酸ヒドロキシルアミン(1.17g)を加え、室温で5.5時間攪拌した。反応後、酢酸エチルで希釈し、水、飽和食塩水で順次洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥したのち溶媒を減圧留去し、3−[2−(3−ピリジル)インドール]アルデヒドオキシム(1.47g)を得た。
【0030】
(3)3−[2−(3−ピリジル)インドリル]メチルヒドロキシルアミンの合成
アルゴン下、(2)で得た生成物(2.12g)の酢酸(12ml)溶液に、0℃でシアノ水素化ホウ素ナトリウム(1.69g)を加え、室温で2時間攪拌した。反応後、0℃で飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下し、酢酸エチルで抽出した。飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥したのち溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、3−[2−(3−ピリジル)インドリル]メチルヒドロキシルアミン(955mg)を得た。
(4)N−ヒドロキシ−N−[3−[2−(3−ピリジル)インドリル]メチル]尿素の合成
アルゴン下、(3)で得た生成物(955mg)のテトラヒドロフラン(5ml)溶液に、トリメチルシリルイソシアナート(581μl)を加え、室温で20時間攪拌した。反応後、水を滴下して20分間攪拌したのち溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、N−ヒドロキシ−N−[3−[2−(3−ピリジル)インドリル]メチル]尿素(760mg)を得た。
1H−NMR(DMSO−d6): δ 4.77(s,2H),6.32(s,2H),7.03(m,1H),7.15(m,1H),7.39(d,1H),7.51(m,1H),7.77(d,1H),8.19(m,1H),8.58(m,1H),9.00(d,1H),9.30(s,1H),11.44(s,1H)
【0031】
実施例2
(化合物2) N−ヒドロキシ−N−[3−[3−[1−メチル−2−(3−ピリジル)インドリル]]−2−プロペニル]尿素
(1)1−メチル−2−(3−ピリジル)インドールの合成
アルゴン下、60%水素化ナトリウム(0.76g)を懸濁させたジメチルホルムアミド(20ml)中に、2−(3−ピリジル)インドール(3.07g)のジメチルホルムアミド(30ml)溶液を滴下し、室温で30分間攪拌する。0℃でメチルイオダイド(1.2ml)を滴下し、室温で1時間攪拌した。0℃で反応後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下し、酢酸エチルで抽出した。飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥したのち溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、1−メチル−2−(3−ピリジル)インドール(1.72g)を得た。
(2)3−[1−メチル−2−(3−ピリジル)インドリル]アルデヒドの合成
(1)で得た生成物(1.72g)を、実施例1の(1)と同様の反応により、3−[1−メチル−2−(3−ピリジル)インドリル]アルデヒド(1.82g)を得た。
【0032】
(3)3−[3−[1−メチル−2−(3−ピリジル)インドリル]]アクリル酸メチルエステルの合成
(2)で得た生成物(1.82g)とトリフェニルフォスフォラニリデン酢酸メチルエステル(2.83g)をトルエン溶媒(50ml)中、140℃で45時間還流する。反応後、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、3−[3−[1−メチル−2−(3−ピリジル)インドリル]]アクリル酸メチルエステル(3.95g)を得た。
(4)3−[3−[1−メチル−2−(3−ピリジル)インドリル]]−2−プロペノールの合成
アルゴン下、(3)で得た生成物(3.95g)のトルエン(20ml)溶液に−78℃で水素化ジイソブチルアルミニウム1Mトルエン溶液(7.2ml)を滴下し、−78℃で1時間攪拌した。反応後、ジエチルエーテル(68μl)、水(68μl)を滴下し、0℃で15分間攪拌した後、過剰量の硫酸マグネシウムを加え、更に、20分間攪拌した。不溶分を濾去後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し3−[3−[1−メチル−2−(3−ピリジル)インドリル]]−2−プロペノール(500mg)を得た。
【0033】
(5)3−[3−[1−メチル−2−(3−ピリジル)インドリル]]アクリルアルデヒドの合成
(4)で得た生成物(500mg)の塩化メチレン溶液(5ml)溶液に、二酸化マンガン(2.5g)を懸濁させ、室温で5時間攪拌した。反応後、セライトで濾過し、溶媒を減圧留去し、3−[3−[1−メチル−2−(3−ピリジル)インドリル]]アクリルアルデヒド(389mg)を得た。
(6)N−ヒドロキシ−N−[3−[3−[1−メチル−2−(3−ピリジル)インドリル]]−2−プロペニル]尿素の合成
(5)で得た生成物を実施例1の(2)〜(4)と同様に処理しN−ヒドロキシ−N−[3−[3−[1−メチル−2−(3−ピリジル)インドリル]]−2−プロペニル]尿素を得た。1H−NMR(DMSO−d6): δ 2.77(s,3H),4.26(d,2H),5.31(br.s,2H),6.22(m,1H),6.47(d,1H),7.17(d,1H),7.19(t,1H),7.34(t,1H),7.44(m,1H),7.65(m,1H),7.91(d,1H),8.32(s,1H),8.55(d,1H),10.41(br.s,1H)
【0034】
実施例3
(化合物3) N−ヒドロキシ−N−[3−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]−2−プロペニル]尿素
(1)1−(3−ピリジルメチル)インドールの合成
アルゴン下、60%水素化ナトリウム(7.9g)を懸濁させたジメチルホルムアミド(350ml)中に、インドール(18g)のジメチルホルムアミド(50ml)溶液を滴下し、室温で30分間撹拌する。0℃で3−クロロメチルピリジン塩酸塩(25g)のジメチルホルムアミド(100ml)溶液を滴下し、室温で18時間撹拌した。反応後、0℃で飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下し、酢酸エチルで抽出した。飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥したのち溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、1−(3−ピリジルメチル)インドール(31.9g)を得た。
(2)3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]アルデヒドの合成
(1)で得た生成物を実施例1の(1)と同様に処理することにより、3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]アルデヒドを得た。
(3)N−ヒドロキシ−N−[3−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]−2−プロペニル]尿素の合成
(2)で得た生成物を、実施例2の(3)〜(6)と同様に処理することによりN−ヒドロキシ−N−[3−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]−2−プロペニル]尿素を得た。
1H−NMR(DMSO−d6): δ 4.10(d,2H),5.44(s,2H),6.13(m,1H),6.33(s,2H),6.67(d,1H),7.08(t,1H),7.15(t,1H),7.31(m,1H),7.51(d,1H),7.56(m,1H),7.67(s,1H),7.78(d,1H),8.44(m,1H),8.53(d,1H),9.30(s,1H)
【0035】
実施例4
(化合物4) N−ヒドロキシ−N−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]メチル]尿素
実施例3の(2)で得た生成物を、実施例1の(2)〜(4)と同様に処理することにより、N−ヒドロキシ−N−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]メチル]尿素を得た。
1H−NMR(DMSO−d6): δ 4.64(s,2H)5.43(s,2H),6.23(s,2H),7.00(t,1H),7.10(t,1H),7.32(m,1H),7.45(d,1H),7.46(s,1H),7.58(m,1H),7.66(d,1H),8.45(m,1H),8.53(m,1H),9.22(s,1H)
【0036】
実施例5
(化合物5) N−ヒドロキシ−N−[4−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]メチルベンジル]尿素
(1)4−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]メチル安息香酸メチルエステルの合成
4−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]メチル安息香酸(1.27g)のメタノール(20ml)溶液を、濃硫酸(0.5ml)存在下、85℃で3時間還流した。反応後、0℃で飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下し、酢酸エチルで抽出した。飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥したのち溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、4−メチル−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]メチル安息香酸メチルエステル(547mg)を得た。出発原料の4−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]メチル安息香酸は、特開昭59−225181号公報に記載の方法で合成した。
(2)4−メチル−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]ベンジルアルコールの合成
アルゴン下、(1)で得た化合物(275mg)のテトラヒドロフラン(5.5ml)溶液に、0℃で水素化リチウムアルミニウム(96mg)を懸濁し、0℃で15分攪拌した。反応後、0℃で水(0.2ml)、15%水酸化ナトリウム水溶液(0.2ml)、水(0.6ml)を滴下し室温で15分間攪拌した。硫酸マグネシウムを加え、さらに1時間攪拌した後不溶分を濾去、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、4−メチル−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]ベンジルアルコール(91mg)を得た。
【0037】
(3)N,O−ビス−(tert−ブトキシカルボニル)−[4−メチル−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]ベンジル]ヒドロキシルアミンの合成
アルゴン下、(2)で得た生成物(91mg)のテトラヒドロフラン(2ml)溶液に、−10℃でトリフェニルホスフィン(86mg)とN,O−ビス−tert−ブトキシカルボニルヒドロキシルアミン(86mg)を加え、次いで40%ジエチルアゾジカルボキシレートトルエン溶液(0.16ml)を滴下し、同温で15分間攪拌した。反応後、揮発物を減圧留去し,残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、N,O−ビス−(tert−ブトキシカルボニル)−[4−メチル−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]ベンジル]ヒドロキシルアミン(213mg)を得た。
(4)4−メチル−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]ベンジルヒドロキシルアミンの合成
(3)で得た生成物(213mg)のジクロロメタン(4ml)溶液に、トリフルオロ酢酸(2ml)を滴下し、室温で20分間攪拌した。反応後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下し、酢酸エチルで抽出した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥ののち溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、4−メチル−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]ベンジルヒドロキシルアミン(63.5mg)を得た。
(5)N−ヒドロキシ−N−[4−メチル−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]ベンジル]尿素の合成
(4)で得た生成物(63.5mg)を実施例1の(4)と同様に処理することによりN−ヒドロキシ−N−[4−メチル−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]ベンジル]尿素(53mg)を得た。
1H−NMR(CDCl3): 4.07(s,2H),4.65(s,2H),4.95(s,2H),5.15(br.s,2H),6.80(s,1H),7.02〜7.24(m,9H),7.58(d,1H),7.97(m,1H),8.24(m,1H)
【0038】
実施例6
(化合物6) N−ヒドロキシ−N−[3−[1−[3−(3−ピリジル)プロピル]インドリル]メチル]尿素
実施例3の(1)における3−クロロメチルピリジン塩酸塩の代わりに3−(3−ピリジン)プロピルブロミドを用い、以下実験例4と同様に処理することにより、N−ヒドロキシ−N−[3−[1−[3−(3−ピリジル)プロピル]インドリル]メチル]尿素を得た。
出発原料の3−(3−ピリジン)プロピルブロミドは、以下の方法で得られた。3−(3−ピリジン)プロピルプロパノールを塩化メチレン中、四臭化炭素、トリフェニルフォスフィンと室温で30分攪拌し、反応後、0℃で飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下し、塩化メチレン、酢酸エチルで抽出した。飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥したのち溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
1H−NMR(DMSO−d6): δ 2.07(m,2H),2.60(m,2H),4.16(m,2H),4.62(s,2H),6.21(s,2H),6.99(m,1H),7.11(m,1H),7.28〜7.31(m,1H),7.39(d,1H),7.60〜7.65(m,1H),7.64(d,1H),8.38〜8.40(m,1H),8.42(d,1H),9.20(s,1H)
【0039】
実施例7
(化合物7) N−ヒドロキシ−N−[3−[5−ブロモ−1−(3−ピリジルメチル)インドリル]メチル]尿素
実施例3の(1)におけるインドールの代わりに5−ブロモインドールを用い、以下実験例4と同様に処理することにより、N−ヒドロキシ−N−[3−[5−ブロモ−1−(3−ピリジルメチル)インドリル]メチル]尿素を得た。
1H−NMR(DMSO−d6): δ 4.53(s,2H),5.37(s,2H),6.22(s,2H),7.14(m,1H),7.24(m,1H),7.38(d,1H),7.46(s,1H),7.49(d,1H),7.77(d,1H),8.39(d,1H),8.44(d,1H), 9.20(s,1H)
【0040】
実施例8
(化合物8) N−ヒドロキシ−N−[3−[2−メチル−1−(3−ピリジルメチル)インドリル]メチル]尿素
実施例3の(1)におけるインドールの代わりに2−メチルインドールを用い、以下実験例4と同様に処理することにより、N−ヒドロキシ−N−[3−[2−メチル−1−(3−ピリジルメチル)インドリル]メチル]尿素を得た。
1H−NMR(DMSO−d6): δ 2.38(s,3H),4.66(s,2H),5.46(s,2H),6.19(s,2H),7.30(m,2H),7.34(m,2H),7.36(d,1H),7.63(d,1H),8.35(d,1H),8.43(d,1H),9.16(s,1H)
【0041】
実施例9
(化合物9) N−ヒドロキシ−N−[1−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]エチル]尿素
(1)1−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]エタノールの合成
アルゴン下、実施例3の(2)で得た生成物(2.5g)のテトラヒドロフラン(40ml)溶液に0℃でメチルマグネシウム1Mテトラヒドロフラン溶液(21ml)を加え、室温で1時間反応した。反応後、飽和塩化アンモニウム水溶液を滴下、酢酸エチルで抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、1−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]エタノール(2.8g)を得た。
(2)N−ヒドロキシ−N−[1−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]エチル]尿素の合成
(1)で得られた化合物を、実施例2の(5)〜(6)と同様に処理することによりN−ヒドロキシ−N−[1−[3−[1−(3−ピリジルメチル)インドリル]]エチル]尿素を得た。
1H−NMR(DMSO−d6): δ 1.48(d,3H),5.43(s,2H),5.65(m,1H),6.22(s,2H),6.99(t,1H),7.08(t,1H),7.31(m,1H),7.41(d,1H),7.48(s,1H),7.57(d,1H),7.66(d,1H),8.45(m,1H),8.52(d,1H),8.88(s,1H)
【0042】
実施例10
(化合物10) N−ヒドロキシ−N−[3−[5−フルオロ−1−(3−ピリジルメチル)インドリル]メチル]尿素
実施例3の(1)におけるインドールの代わりに5−フルオロインドールを用い、以下、同様に処理することにより、N−ヒドロキシ−N−[3−[5−フルオロ−1−(3−ピリジルメチル)インドリル]メチル]尿素を得た。
1H−NMR(DMSO−d6): δ 4.59(s,2H),5.44(s,2H),6.27(s,2H),6.95(m,1H),7.32(m,1H),7.40(m,1H),7.46(m,1H),7.55(s,1H),7.58(dlike,1H),8.46(m,1H),8.53(d,1H),9.25(s,1H)
【0043】
(製剤例)
実施例11(錠剤の調製)
本発明化合物(化合物1) 250g
乳糖 620g
コーンスターチ 400g
ヒドロキシプロピルセルロース 20g
ステアリン酸マグネシウム 10g
上記の本発明化合物、乳糖およびコーンスターチを均一になるまで混合した後、ヒドロキシプロピルセルロースの5W/V%エタノール溶液を加えて練合、顆粒化する。16メッシュの篩に通し整粒した後、常法により打錠し、1錠当たりの重量130mg、直径7mm、主薬含量25mgの錠剤とした。
【0044】
実施例12(カプセル剤の調製)
本発明化合物(化合物3) 250g
乳糖 620g
アビセル 620g
ステアリン酸マグネシウム 10g
上記の本発明化合物、乳糖、アビセル及びステアリン酸マグネシウムを均一になるまで充分に混合した後、3号カプセルに充填し、1カプセル当たりの内容物の重量150mg、主薬含量25mgのカプセル剤とした。
【0045】
試験例1(トロンボキサン合成酵素阻害作用試験)
ヒト血小板ミクロソームを用い、トロンボキサンA2の安定代謝物であるトロンボキサンB2の産生量を指標として実験を行った。ヒト血小板ミクロソーム(50μg protein/ml)と被験化合物(最終濃度10−6M)とを含む緩衝液(20mM tris−HCl buffer,1mM EDTA,pH 7.5)を攪拌後、0℃で30分間インキュベートした。これにプロスタグランジンH2(100ng/2μl)を加え、酸性にして反応を停止させた後、1M Tris−Baseで中和し、3000rpmで20分間遠心分離し、その上清中のトロンボキサンB2量をEIA法(Cayman社製キット)により測定した。
被験化合物として、前記の化合物2〜化合物5を用い上記の試験を行い、各化合物のトロンボキサンB2産生抑制作用(TxSI)をIC50で表1に示した。
【0046】
試験例2(リポキシゲナーゼ阻害作用試験)
ラット多形核白血球を用い、ロイコトリエンB4の産生量を指標として実験を行った。Wistar系雄性ラット(日本クレア)に12%カゼインナトリウムをラットに腹腔内投与し、16時間後に腹腔内洗浄を行い多形核白血球を回収した。得られた多形核白血球はリン酸緩衝液(137mM NaCl,3mM KCl,8mM Na2HPO4,2mM KH2PO4)に懸濁し(2.5x105 cells/0.4ml)、被験化合物(最終濃度10−5M)を添加して10分間、さらに、カルシウム溶液(10mM CaCl2,0.86% NaCl)0.1mlを添加して5分間、37℃でインキュベートを行った後、カルシウムイオノフォア(20μM A−23187)1.25μlにより反応を開始した。反応時間は5分間とし、メタノール250μlにて反応を停止した。反応停止後、20分間遠心し(4℃,3000rpm)、上清中のロイコトリエンB4量をEIA法(Cayman社製キット)により測定した。
被験化合物として、試験例1と同一の化合物を用い上記の試験を行い、各化合物のロイコトリエンB4産生抑制作用(LTBI)をIC50で表1に示した。
【0047】
【表1】
【0048】
試験例3(ラットのex vivoにおけるトロンボキサン合成酵素阻害活性測定および5−リポキシゲナーゼ阻害活性測定)
実験動物はSD系雄性ラットを用い、実験前日から絶食した。被験薬は0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウムにて懸濁し、採血1時間前に経口投与した。採血は腹部大動脈より行い、トロンボキサン合成酵素阻害活性測定および5−リポキシゲナーゼ阻害活性測定用に分注した。
トロンボキサン合成酵素活性はトロンボキサンA2安定代謝物であるトロンボキサンB2の産生量を指標とした。分注した血液は自然凝集反応(25℃、90分間)を行い、血清を遠心分離し(3000rpm、20分間、4℃)、血清中のトロンボキサンB2量をEIA法により測定した。トロンボキサン合成酵素阻害活性は、溶媒対照群に対する被験薬群の抑制率より50%阻害用量を算出した。
5−リポキシゲナーゼ活性はロイコトリエンB4の産生量を指標とした。分注した血液に50μMカルシウムイオノフォア(A23187)を添加して反応を開始し(37℃、30分間)、1mM Indomethacin、1mM Phenidone、0.1mM EGTAを添加して反応を停止した。血漿を遠心分離し(3000rpm、20分間、4℃)、血漿中のロイコトリエンB4量をEIA法により測定した。5−リポキシゲナーゼ阻害活性は、溶媒対照群に対する被験薬群の抑制率より50%阻害用量を算出した。
被験化合物として、前記の化合物2、3、4、9を用いて上記の試験を行い、その結果を表2に示した。
【0049】
【表2】
【0050】
試験例4(モルモットの抗原誘発気道収縮モデルに対する薬物作用)
卵白アルブミンで感作したモルモットを用い、5%アラビアゴムに懸濁した被験化合物を経口投与し、投与1時間後の抗原誘発気道収縮に対する抑制作用をコンセントレズラー法にて測定した。
感作モルモットを35mg/kgペントバルビタール麻酔下にて、気道内にカニューレを挿入して人工呼吸器に接続し、頸静脈内にカニューレを挿入して5mg/kgスキサメトニウム及び5mg/kgメピラミン処置を行った。次いでモルモットにネブライザーより、霧化した卵白アルブミンを吸入させて気道収縮を惹起し、人工呼吸器からの送気量に対する検出器への流出量の比を気道収縮率とし、気道収縮抑制活性を求めた。
被験化合物として化合物4を用い、対照薬として、トロンボキサン合成酵素阻害薬であるOKY−046及び5−リポキシゲナーゼ阻害薬であるA−64077を用いて上記の試験を行い、その結果を表3に示した。
【0051】
【表3】
【0052】
上記、試験例1〜試験例3の結果より本発明の化合物は、リポキシゲナーゼ阻害作用とトロンボキサン合成酵素阻害作用の二つの作用を併せ持つ化合物であることが分かる。また、試験例4よりモルモットの抗原誘発気道収縮モデルにおいて、気道収縮抑制効果を示すことから、喘息治療薬等として有用な化合物であることが分かる。
【0053】
試験例5(急性毒性試験)
Crj−ICR系雄性マウス(7週齢、一群5匹)を用いた。被験化合物(化合物4)を0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウムで懸濁して、10ml/kgの割合で腹腔内に投与した。動物の生死は投与後7日まで観察を行なった。
その結果、1000mg/kg 以下の用量での死亡例は認められなかった。
【0054】
上記試験例で用いた化合物の各置換基の構造を表4に示す。
【0055】
【表4】
【本発明の効果】
本発明化合物は、強いリポキシゲナーゼ阻害作用と強いトロンボキサン合成酵素阻害作用を有することから、アレルギー性疾患または炎症性疾患の治療用薬剤として、具体的にはアラキドン酸の代謝産物に起因する各種疾患、たとえば喘息、乾癬、腸炎、腎炎、虚血などの治療薬、予防薬として有用である。
Claims (9)
- 式(I)
- (R1、R2、R3のいずれか一つは3−ピリジル基または3−ピリジルアルキル基を表し、R1、R2、R3の他の基はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子またはC1〜C5のアルキル基を表す。R4は水素原子、メチル基またはエチル基を表す。R5は水素原子、メチル基、エチル基またはC3〜C6のシクロアルキル基を表す。Aは結合、C1〜C5のアルキレン基、C2〜C5のアルケニレン基を表す。または、A−C(R4)で中間にベンゼン環を有するC1〜C4のアルキレン基を表す。)で表される請求項1記載のN−ヒドロキシ尿素誘導体。
- R1が3−ピリジルメチル基または3−ピリジルプロピル基であり、R2、R3はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子またはメチル基であり、R4は水素原子またはメチル基であり、R5は水素原子であり、Aは結合、C1〜C5のアルキレン基、エチレン基、ビニレン基であり、または、A−C(R4)で中間にベンゼン環を有するC1〜C4のアルキレン基である請求項2記載のN−ヒドロキシ尿素誘導体。
- R2が3−ピリジル基であり、R1、R3はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子またはメチル基であり、R4は水素原子またはメチル基であり、R5は水素原子であり、Aは結合またはビニレン基である請求項2記載のN−ヒドロキシ尿素誘導体。
- R1が3−ピリジルメチル基または3−ピリジルプロピル基であり、Aが結合、ビニレン基、またはA−C(R4)で中間にベンゼン環を有するC1〜C4のアルキレン基である請求項3記載のN−ヒドロキシ尿素誘導体。
- R1が3−ピリジルメチル基であり、R2、R3はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子またはメチル基であり、R4は水素原子またはメチル基であり、R5は水素原子であり、Aは結合である請求項5記載のN−ヒドロキシ尿素誘導体。
- R2が3−ピリジル基であり、R1、R3はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基であり、R4は水素原子であり、R5は水素原子であり、Aは結合である請求項4記載のN−ヒドロキシ尿素誘導体。
- 請求項1ないし請求項7記載のN−ヒドロキシ尿素誘導体、その薬理学上許容しうる塩またはその水和物または溶媒和物と担体とを含んでなる医薬組成物。
- 請求項1ないし請求項7記載のN−ヒドロキシ尿素誘導体、その薬理学上許容しうる塩またはその水和物または溶媒和物を有効成分とする、抗アレルギー剤または抗炎症剤。
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