JP3557869B2 - 装飾品の表面処理方法、装飾品および電子機器 - Google Patents

装飾品の表面処理方法、装飾品および電子機器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、装飾品の表面処理方法、装飾品および電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
腕時計の外装ケースを構成する金属材料としては、ステンレス鋼、黄銅、洋白、その他の各種金属が用いられ、表面仕上げとして、鏡面研磨
加工、スジ目加工、ホーニング加工等の機械的加工が施される。
【0003】
近年、腕時計の外装ケースを構成する金属材料として、Tiが注目されている。このTiは、軽量、高耐食性、高強度であり、また、耐金属アレルギー素材であるという利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、Tiを腕時計の外装ケースに用いた場合には、以下のような問題点がある。
【0005】
Ti製外装ケースの表面仕上げとしては、Ti素材の性質上、ホーニング加工(ホーニング仕上げ)が最も多いが、このホーニング加工により表面に微小な凹凸が形成されるので、一旦表面に指紋等が付着すると、それが取れなくなるという問題がある。
【0006】
また、Tiは、ビッカース硬度Hvが150以下であり、ステンレス鋼(SUS)のHv200に較べて硬度が低いため、腕時計の場合には、小傷が付き易いという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、これらの問題点を解決するものであり、その目的は、指紋の付着等による汚れや傷付きを防止することができる表面処理方法、装飾品および電子機器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の装飾品の表面処理方法は、TiまたはTi合金に、ホーニング加工またはスジ目加工または鏡面加工の機械的加工を施し、その加工面の表面に透明保護層となるガラスコーティング液を付着させ、乾燥することを特徴とする。
【0009】
この構成により、Ti表面またはTi合金表面の傷付きや汚れを防止することができる。
【0012】
また、透明保護層の密着性も高く、耐久性に優れる。
【0014】
さらに、十分な硬度を備え、耐擦傷性に優れた表面を形成することができ、指紋の付着等の汚れや傷付きをより高いレベルで防止することができる。
【0017】
また、前記ガラスコーティング液は、その原液を希釈液で希釈して用いられるのが好ましく、特に前記透明保護層の形成は、前記機械的加工の種類に応じた希釈率で希釈されたガラスコーティング液を付着せしめることによりなされるのが好ましい。
【0018】
この構成により、透明保護層の耐食性、耐摩耗性、耐擦傷性を高く維持しつつ、白色化度や光沢の度合いをより向上することができる。
【0019】
また、前記ガラスコーティング液の粘度は、150cps(25℃)以上であるのが好ましい。
【0020】
この構成により、透明保護層の耐摩耗性、耐擦傷性がより向上する。
【0021】
また、前記乾燥は、異なる乾燥条件で2回以上行われるのが好ましい。
【0022】
この構成により、透明保護層の膜質および密着性が向上する。
【0023】
また、本発明の装飾品は、TiまたはTi合金の表面に、ガラス成分を含む透明保護層が形成されてなることを特徴とする。
【0024】
この構成により、装飾品の表面の傷付きや汚れを防止することができる。
また、十分な硬度を備えた表面を形成することができ、指紋の付着等の汚れや傷付きをより高いレベルで防止することができる。
【0025】
また、本発明の装飾品は、TiまたはTi合金からなる金属部分の機械的加工がなされた表面に、ガラス成分を含む透明保護層が形成されてなることを特徴とする。
【0026】
前記機械的加工は、ホーニング加工、スジ目加工または鏡面加工のいずれかであるのが好ましい。
【0027】
これにより、装飾品の表面の傷付きや汚れを防止することができ、また、透明保護層の密着性も高く、耐久性に優れる。
【0030】
また、前記透明保護層の厚さが、0.2〜15μm であるのが好ましい。
【0031】
この構成により、十分な保護効果が得られるとともに、透明保護層を、欠陥が少なく、良好な膜質のものとすることができる。
【0032】
また、前記透明保護層のビッカース硬度(Hv)が、180〜700であるのが好ましい。
【0033】
この構成により、透明保護層の耐摩耗性、耐擦傷性がより向上する。
【0034】
また、前記装飾品は、時計外装部品であるのが好ましい。
【0035】
時計外装部品は、特に優れた外観品質を要求されるので、上述の効果が得られる本発明を適用するにあたり、その利用価値が高い。
【0036】
また、本発明は、前記記載の装飾品を少なくとも一部に有する電子機器として構成することが好ましい。
【0037】
ここで、前記電子機器は時計であるのが好ましい。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施形態について説明する。以下に述べる本実施形態は、腕時計(携帯時計)の外装ケースに対して本発明を適用した例である。
【0039】
まず、時計外装ケースについて説明する。
【0040】
時計外装ケースは、胴(ケース本体)、裏蓋、カバーガラス等の時計外装部品を組み立ててなるものであり、また、カバーガラスの外周に縁(ベゼル)を有するものもある。これら時計外装部品のうち、例えば、胴、縁の少なくとも一方をTi(純Ti)またはTi合金で構成することができ、このようなTiまたはTi合金製の時計外装部品に本発明が適用される。
【0041】
Ti合金は、Tiを主とし、他の種類の1または2以上の金属が含有されたものである。Tiに対し合金(または金属間化合物)化される金属としては、例えば、Al、V、Mo、W、Fe、Co、Cr、Cu、Ag、Pt、Pd、Zn等のうちの1種または2種以上が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、このような金属の含有量も、Tiの特性を大幅に変化させない限り、特に限定はない。
【0042】
腕時計の時計外装部品は、前述したようなTiまたはTi合金を材料として、例えば、プレス成形法、鋳造法、粉末冶金法、ロストワックス法、金属射出成形法(MIM)等により製造される。特に、プレス成形法によって製造された外装部品は、必要に応じ、適宜切削加工が施される。
【0043】
このような時計外装部品の表面には、必要に応じ、機械的加工が施される。この機械的加工としては、例えば、微細粒子を吹き付けることによるホーニング加工を行う場合と、スジ目加工を行う場合と、バフ研磨、バレル研磨等によって鏡面加工を行う場合とがある。
【0044】
次に、図1および図2を参照しつつ、本発明を説明する。
【0045】
TiまたはTi合金製の時計外装部品10の表面付近には、前記機械的加工がなされる。図1は、前記機械的加工のうち、特に、ホーニング加工を施した時計外装部品表面の様子を概念的に示すものである。ホーニング加工が施された表面(加工面)11には、微小な凹凸が形成されている。
【0046】
また、スジ目加工を行った場合でも、同様に、表面(加工面)には、線状の微小な凹凸が形成される。鏡面加工を行った場合には、その加工面は平滑な面であり、表面粗度は極めて小さい。
【0047】
次に、この表面(加工面)11上に、図2に示すように、透明保護層12を形成する。これにより、本発明の装飾品(時計外装部品)が完成する。
【0048】
透明保護層12としては、ガラスコーティング層のようなガラス成分を含む層が好ましい。これにより、屈折率等に起因する濡れ効果が発揮され、外観を白色化することができ、光沢も高くなる。また、表面11に指紋が付着し、その跡により外観を損なうということも防止される。
【0049】
なお、ガラスコーティング層に代表される透明保護層12の厚さは、特に限定されないが、0.2〜15μm 程度が好ましく、0.8〜5.0μm 程度がより好ましい。透明保護層12の厚さが厚すぎると、透明保護層内の内部応力が高まり、衝撃を受けたときにクラックが発生し易くなり、また、薄すぎると、指紋付着防止および小傷防止の効果が少なくなる。
【0050】
また、透明保護層12の硬度は、特に限定されないが、JIS Z 2244に規定するビッカース硬度(Hv)が180〜700程度であるのが好ましく、300〜500程度であるのがより好ましい。これにより、優れた耐摩耗性、耐擦傷性が得られる。
【0051】
表面11がホーニング加工またはスジ目加工された加工面である場合、表面11に存在する微小な凹凸によりアンカー効果が発揮され、透明保護層12の密着性が向上する。
【0052】
また、表面11が鏡面加工された加工面である場合には、表面11に酸化物やその他の異物等の存在が少なく、その結果、透明保護層12の密着性が向上する。
【0053】
このように、透明保護層12の密着性の向上は、透明保護層12の寿命を長くする。すなわち、耐久性の向上に寄与する。
【0054】
次に、本発明の表面処理方法の一例について説明する。
【0055】
<1>機械的加工
時計外装部品10のTiまたはTi合金表面に対し、必要に応じ、機械的加工を施す。この機械的加工の種類としては、例えば、前述したホーニング加工、スジ目加工、鏡面加工が挙げられる。
【0056】
なお、この機械的加工は、必ずしも行われなくてもよい。
【0057】
<2>表面付着物の除去
時計外装部品10の表面11(機械的加工の有無を問わない)に対し、必要に応じ、その表面に付着した酸化物その他汚れ等の異物(これらを総称して「表面付着物」と言う)を除去する作業を行う。これにより、白色化の度合いが高まり、また、より高い光沢が得られ、外観品質が向上する。
【0058】
この表面付着物を除去する処理の代表例としては、エッチング処理液による化学研磨、電解研磨、洗浄(酸洗、アルカリ洗、水洗等)が挙げられ、これらのうちの1または2以上の処理を適宜組み合わせて行うことができる。
【0059】
なお、この表面付着物の除去は、必ずしも行われなくてもよい。
【0060】
<3>透明保護層の形成
図2に示すように、時計外装部品10の表面11上に、透明保護層12を形成する。
【0061】
この透明保護層12は、例えばガラスコーティング層で構成することができる。以下、その形成方法の一例を説明する。
【0062】
時計外装部品10の表面11に、ガラスコーティング液を例えば塗布法により付着せしめ、次いでこれを乾燥することにより、透明なガラスコーティング層を形成することができる。
【0063】
透明保護層12を形成するためのガラスコーティング液としては、主成分がアルカリ珪酸塩と超微粒子状シリカとを加熱溶解して形成した生成物からなるもの(例えば、奥野製薬工業社製の透明ガラスコーティング剤、商品名:CRMコート 100)を用いることができる。
【0064】
この種のガラスコーティング液(原液)は、ナトリウム珪酸塩、カリウム珪酸塩等のアルカリ珪酸塩の固形分換算100重量部と、平均粒径が40μm 以下程度の超微粒子状シリカ5〜100重量部とを、好ましくは50〜100℃、より好ましくは80〜100℃の温度で加熱溶解し、約1〜2時間撹拌し、超微粒子状シリカをアルカリ珪酸塩に溶解(分散)させることによって生成したものである。
【0065】
ここで、前記溶解時において、上記の固形分総量100重量部に対し、好ましくは600重量部を上限として水を存在させることができ、これにより、溶解を容易、迅速に行うことができる。
【0066】
このようにして得られた透明で無機質なガラスコーティング液は、原液のままで使用するか、あるいは希釈液で希釈したものを使用することができるが、希釈液で希釈したものを用いるのが好ましい。これにより、ガラスコーティング液の塗布作業の作業性が向上するとともに、得られる透明保護層の膜質、特に、膜の硬度および耐食性が向上する。
【0067】
この場合、ガラスコーティング液の希釈倍率は、時計外装部品に施された前記機械的加工の種類、すなわちホーニング加工、スジ目加工または鏡面加工のいずれであるかに応じて、選定されるのが好ましい。これにより、透明保護層12の耐食性、耐摩耗性、耐擦傷性を高く維持しつつ、白色化度や光沢の度合いをより向上することができる。
【0068】
機械的加工の種類に応じた希釈率の好ましい範囲は、下記の通りである。なお、塗布されるガラスコーティング液の粘度にも、好ましい範囲がある。この粘度は、前記希釈率に対応しており、希釈率と併せて下記に示す。
【0069】
・ホーニング加工
希釈率は、85%以下が好ましく、30〜70%程度がより好ましい。例えば、原液に水を加えて、希釈率を70%(水:コーティング原液(容積比)=70:30)とすることができる。粘度は、150cps(25℃)以上が好ましく、200〜500cps(25℃)程度がより好ましい。
【0070】
・スジ目加工
希釈率は、85%以下が好ましく、30〜70%程度がより好ましい。例えば、原液に水を加えて、希釈率を70%(水:コーティング原液(容積比)=70:30)とすることができる。粘度は、150cps(25℃)以上が好ましく、200〜500cps(25℃)程度がより好ましい。
【0071】
・鏡面加工
希釈率は、50〜98%程度が好ましく、90〜98%程度がより好ましい。例えば、原液に水を加えて、希釈率を95%(水:コーティング原液(容積比)=95:5)とすることができる。粘度は、150〜400cps(25℃)が好ましく、150〜250cps(25℃)程度がより好ましい。
【0072】
希釈率が高すぎる(粘度が低すぎる)と、ガラスコーティングにより得られた透明保護層の耐食性、耐摩耗性または耐擦傷性が低下する場合がある。また、希釈率が低すぎる(粘度が高すぎる)と、特に、鏡面加工を施したものの場合に、白色化度または光沢の度合いが低下する。
【0073】
なお、透明保護層を例えば有機被膜のようなガラス材以外の材料で構成する場合、そのコーティングに用いる希釈液としては、水の他、例えば、アルコール類、ベンゼン、トルエン等の有機溶媒を用いることもでき、また、これらの有機溶媒を水と混合して用いることもできる。
【0074】
以上のようなガラスコーティング液の塗布方法としては、例えば、浸漬法(ディッピング)、スプレー法、ロールコーター、はけ塗り等が挙げられる。
【0075】
次に、表面11に塗布されたガラスコーティング液は、乾燥される。この乾燥条件は、特に限定されないが、常温〜250℃の温度で、1〜20分間行うのが好ましく、150〜230℃の温度で、5〜15分間行うのがより好ましい。
【0076】
また、このような乾燥は、同一または異なる乾燥条件で、2回以上行われてもよい。特に、乾燥を異なる条件(乾燥方法、乾燥温度、乾燥時間(乾燥速度)等の条件のうち、1つでも異なる)で2回以上行う場合には、透明保護膜12の膜質(特に、緻密性、均質性、厚さの均一性)や密着性の向上に寄与する。
【0077】
また、ガラスコーティング液の塗布およびその乾燥を1工程として、この工程を複数回繰り返し行ってもよい。
【0078】
一例を挙げると、所定の希釈率に希釈された前記ガラスコーティング液を、スプレーガンにより腕時計の胴の表側の表面11に吹き付け、次いで、150℃×10分間の仮乾燥を行う。次に、この胴の裏側(内側)の表面11に、同じガラスコーティング液を同様に吹き付け、150℃×10分間の仮乾燥を行う。その後、乾燥ファン、排気ファンを稼動させた状態で180℃×10分間の本乾燥を行う。これにより、ガラス層による透明保護層が形成される。このような透明保護層は、耐食性、耐摩耗性、耐擦傷性、耐衝撃性、耐指紋付着性および密着性に優れている。
【0079】
なお、透明保護層による耐食性、耐摩耗性、耐擦傷性等をより高めるために、前記本乾燥の前に、ガラスコーティング液(塗布液)の塗布を、複数回行うこともできる。
【0080】
以下、具体的実施例を挙げて説明する。
【0081】
素地金属が純Tiよりなる時計外装部品をプレス成形法により製造し、次いで、その表面に、それぞれ、ホーニング加工、スジ目加工または鏡面加工を施した。
【0082】
また、金属射出成形法(MIM)により得られた成形体を焼結して、素地金属が純Tiよりなる時計外装部品を製造した。この時計外装部品には、前記機械的加工は施さなかった。
【0083】
次に、ホーニング加工、スジ目加工を施した時計外装部品、ならびにMIMにより製造された時計外装部品を、それぞれ、エッチング処理液に浸漬し、表面の化学研磨を行った。エッチング処理液の組成は、HF:3.5vol%、HNO:32.0vol%、HSO:51.0vol%、残部が水である。エッチング処理液の温度は、65℃とした。エッチング処理液への浸漬時間は、25秒とした。エッチング処理後、温水洗浄した。
【0084】
また、鏡面加工を施した時計外装部品については、前述のような化学研磨を行わず、次工程へ進んだ。
【0085】
次に、各時計外装部品に対し、透明保護層の形成を以下のようにして行った。
【0086】
まず、ナトリウム珪酸塩を固形分換算100重量部と、平均粒径30μm の超微粒子状シリカ50重量部とを、85℃で加熱溶解し、約1時間撹拌して、超微粒子状シリカをアルカリ珪酸塩に溶解(分散)させ、ガラスコーティング液の原液を得た。
【0087】
次に、このガラスコーティング原液を水で希釈し、その希釈率および粘度(25℃)を下記表1に示すように種々変更したガラスコーティング液を調製した。
【0088】
次に、各ガラスコーティング液を、それぞれ、前記各時計外装部品の表面にスプレー法により塗布し、乾燥して、表1に示す厚さ(平均値)の透明保護層を形成した。
【0089】
なお、乾燥は、150℃×10分間の仮乾燥と、180℃×11分間の本乾燥とを行った。
【0090】
得られた各時計外装部品について、透明保護層形成面の外観品質、ビッカース硬度(Hv)、耐指紋付着性(指紋の付着し難さ)、耐擦傷性および透明保護層の密着性を調べた。その結果を下記表1および表2に示す。
【0091】
なお、表1、表2中の外観品質等の評価において、Hはホーニング加工をしたもの、Sはスジ目加工を施したもの、Mは鏡面研磨加工を施したもの、Nは機械的加工を施さないもの(MIM成形品)をそれぞれ示す。
【0092】
【表1】
Figure 0003557869
【0093】
【表2】
Figure 0003557869
【0094】
表1中の外観品質は、目視判定により以下の5段階に分類して評価した。
【0095】
A:外観優良(白色度極めて大および光沢極めて大)
B:外観良(白色度大および光沢大)
C:外観普通(白色度中および光沢中)
D:外観やや不良(白色度やや小および光沢小)
E:外観不良(白色度小および光沢なし)
なお、評価A、Bは、実際に製品化した場合に、全く問題を生じないものであり、評価Cは、例えば高級品のような特別高品質を要求される特殊な製品を除き、問題を生じないものである。
【0096】
また、表1中の耐指紋付着性は、機械的加工がHおよびMの場合において調べ、その平均で評価した。この場合、軽く手の指を触れさせたときの指紋の付き具合により判断し、以下の4段階に分類して評価した。
【0097】
◎:指紋付着が全くないもの
○:指紋付着がほとんどないもの
△:指紋付着が若干あるもの
×:指紋付着が激しいもの
また、表2中の耐擦傷性は、機械的加工がH、S、MおよびNの場合において調べ、その平均で総合評価した。このうち、試験1は500g/cmで加圧した状態で牛皮で1.5万回の摩耗試験をした結果を、試験2はAl材により引っ掻き試験をした結果を、試験3はBS鋼材にて引っ掻き試験を行った結果を、試験4はステンレス鋼の線材で引っ掻き試験を行った結果をそれぞれ示すものである。それぞれ、以下の4段階に分類して評価した。
【0098】
◎:擦傷痕が全く付かないもの
○:擦傷痕がほとんど付かないもの
△:擦傷痕が若干付くもの
×:擦傷痕が激しく付くもの
また、表2中の透明保護層の密着性は、粘着テープを貼り、それを剥がしたときの透明保護層の剥離の有無により判断し、以下の4段階に分類して評価した。
【0099】
◎:透明保護層の剥離が全くないもの
○:透明保護層の剥離がほとんどないもの
△:透明保護層の剥離が若干あるもの
×:透明保護層の剥離が激しいもの
表1および表2に示すように、実施例1〜7では、いずれも、優れた外観品質、耐指紋付着性および耐擦傷性が得られている。特に、機械的加工の種類(H、S、M)に応じて適正な希釈率を選択することにより、白色化度や光沢の度合いが高まり、外観品質をより向上することができることがわかる。
【0100】
また、実施例1〜7において、機械的加工を施したものは、特に、透明保護層の密着性が優れている。
【0101】
これに対し、透明保護層を形成しない比較例は、耐指紋付着性および耐擦傷性が劣っている。
【0102】
本発明では、透明保護層を形成するためのコーティング液は、前述したものに限定されず、透明保護層を形成し得るものであれば、コーティング液の組成、温度、希釈率、粘度、塗布方法等の条件は、任意のものが可能である。
【0103】
例えば、無機質の酸化アルミニウム、酸化シリコン、水ガラス系等を含む種々のコーティング液が使用可能である。
【0104】
また、透明保護層は、無機質のものに限らず、例えば硬質樹脂のような高分子材料で構成されたもの(有機被膜)でもよい。
【0105】
さらに、透明保護層の形成方法は、前述したような塗布法(コーティング)に限らず、例えば、各種湿式メッキ、乾式メッキ(例:蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD)等によるものでもよい。
【0106】
また、透明保護層の形成は、前述の表面付着物の除去工程が終了後、通常144時間以内に行うことが好ましい。144時間を超えると、表面に酸化物層が形成され始め、若干の変色が発生し始める可能性があるからである。
【0107】
また、本発明は、腕時計の外装部品またはこれを組み立ててなる外装ケース等のほぼ全体を透明保護層により被覆する場合に限らず、腕時計の外装部品、外装ケース、その他各種装飾品等の表面の一部分に、あるいはその表面上の複数箇所に対し、ガラスコーティング層等の透明保護層を設けてもよい。
【0108】
例えば、時計外装ケースの内側にマスキングを行った状態で、透明保護層の形成処理を行うと、時計外装ケースの内面には透明保護層が形成されないので、内部の機械体(ムーブメント)を収納、固定するに際して、機械体の正確な位置決めを行うことができ、また、透明保護層の構成物質による機械体への悪影響も防止できる。
【0109】
例えば、裏蓋を胴にスナップ取付する際、胴または裏蓋の係合面における透明保護層の削れカスが機械体に進入し機械体の駆動を阻害し遅れや止まりを引き起こす可能性がある場合には、両者のスナップ係合面に透明保護層を形成しないことにより、このような不都合を防止することができる。
【0110】
また、本発明は、TiまたはTi合金の素地上に透明保護層を形成するものに限らず、所定の基材上に形成されたTiまたはTi合金層の表面に、透明保護層を形成するものでもよい。
【0111】
また、本発明は、腕時計の外装ケースやバンド、それらを用いた時計完成品に適用できるが、これらに限らず、その他の携帯時計、あるいは置時計、掛け時計等の他の種類の時計にも同様に適用することができる。
【0112】
また、時計以外の、例えば、メガネフレーム、ネクタイピン、カフスボタン、ライターまたはそのケース、ペン、指輪、ネックレス、ブレスレット、ブローチ、ペンダント、イヤリング、ピアス、ティアラ、宝飾品、置物類、インテリア製品等の装飾品(装飾性を少しでも備えたもの)または装身具に適用することもできる。
【0113】
また、本発明は、前述したような装飾品を一部に備えた(少なくとも一部に装飾的効果を発揮し得るように用いられた)電子機器類も対象となる。このような電子機器としては、例えば、電子時計、携帯電話機、ポケットベル、電卓、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、プリンタ、複写機、カメラ、ビデオ装置、テレビ、オーディオ機器、電子玩具、各種測定機器等が挙げられる。
【0114】
さらには、このような装飾品、装身具、電子機器に限らず、種々のTiまたはTi合金製の部材に適用することもできる。
【0115】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、以下の効果を奏する。
【0116】
透明保護層を形成することにより、優れた耐擦傷性および耐指紋付着性が得られる。特に、透明保護層をガラスコーティング層のようなガラス成分を含む層とすることにより、透明保護層の形成を容易に行うことができるとともに、高硬度で、耐食性、耐摩耗性に優れた透明保護層とすることができ、また、外観品質の向上にも寄与する。
【0117】
また、TiまたはTi合金の表面に対し事前にホーニング加工、スジ目加工、鏡面加工等の機械的加工が施された場合でも、前述したような優れた効果が得られる。また、この場合には、透明保護層の密着性がより高くなり、耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態の処理工程における表面状態を概念的に示す説明図である。
【図2】本発明に係る実施形態の処理工程における表面状態を概念的に示す説明図である。
【符号の説明】
10 時計外装部品
11 表面
12 透明保護膜

Claims (13)

  1. TiまたはTi合金に、ホーニング加工またはスジ目加工または鏡面加工の機械的加工を施し、
    その加工面の表面に透明保護層となるガラスコーティング液を付着させ、
    乾燥することを特徴とする装飾品の表面処理方法。
  2. 前記ガラスコーティング液は、その原液を希釈液で希釈して用いられる請求項1に記載の装飾品の表面処理方法。
  3. 前記透明保護層の形成は、前記機械的加工の種類に応じた希釈率で希釈されたガラスコーティング液を付着せしめることによりなされる請求項1に記載の装飾品の表面処理方法。
  4. 前記ガラスコーティング液の粘度は、150cps(25℃)以上である請求項3に記載の装飾品の表面処理方法。
  5. 前記乾燥は、異なる乾燥条件で2回以上行われる請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の装飾品の表面処理方法。
  6. TiまたはTi合金の表面に、ガラス成分を含む透明保護層が形成されてなることを特徴とする装飾品。
  7. TiまたはTi合金からなる金属部分の機械的加工がなされた表面に、ガラス成分を含む透明保護層が形成されてなることを特徴とする装飾品。
  8. 前記機械的加工は、ホーニング加工、スジ目加工または鏡面加工のいずれかである請求項7に記載の装飾品。
  9. 前記透明保護層の厚さが、0.2〜15μm である請求項6ないし8のいずれかに記載の装飾品。
  10. 前記透明保護層のビッカース硬度(Hv)が、180〜700である請求項6ないし9のいずれかに記載の装飾品。
  11. 前記装飾品は、時計外装部品である請求項5ないし9のいずれかに記載の装飾品。
  12. 請求項6ないし10のいずれかに記載の装飾品を少なくとも一部に有することを特徴とする電子機器。
  13. 前記電子機器は時計である請求項12に記載の電子機器。
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