JP2019060715A - 時計用外装部品および時計 - Google Patents

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寛和 ▲高▼橋
Hirokazu Takahashi
川上 淳
Atsushi Kawakami
淳 川上
塚本 亙
Wataru Tsukamoto
亙 塚本
十河 智彦
Tomohiko Sogo
智彦 十河
慶貴 高橋
Yoshitaka Takahashi
慶貴 高橋
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Abstract

【課題】金属光沢に優れ、明るさが向上し、かつ金属アレルギーを起こしにくい時計用外装部品を提供すること。【解決手段】外装ケース(時計用外装部品の一例)は、金属製の基材と、基材の表面の少なくとも一部に被覆された多層反射層と、を有し、多層反射層は、第1屈折率を有する第1無機材料層と、第1屈折率より高い第2屈折率を有する第2無機材料層とが交互に積層された構造を有し、第1無機材料層は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウム及び酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種を含み、第2無機材料層は、窒化ケイ素、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化イットリウム、及び酸化ニオブからなる群から選択される少なくとも1種を含み、第1無機材料層及び第2無機材料層は、Ni、Cr、Co、Zn、Hg、Sn、Pd、Pt、Cu、Au、Cd、Mn、及びSbを含まない。【選択図】図2

Description

本発明は、時計用外装部品および時計に関する。
時計ケースおよび時計バンドなどの時計用外装部品には、優れた美的外観が要求される。この目的を達成するために、金属光沢を有する貴金属(例えば、金、白金、パラジウムなど)や、金属(例えば、チタン、ステンレス鋼など)で時計用外装部品を構成することが知られている。
また、時計用外装部品をはじめとする金属製装飾品においては、湿式めっきや乾式めっきで表面をコーティングする技術が知られている。
一方、金属製の時計用外装部品は、通常、人が身につけて使用するため、所謂金属アレルギーを持つ人が上記時計用外装部品を身につけると、金属元素をアレルゲンとする免疫反応が生じるおそれがある。
このような金属アレルギーを考慮した技術として、例えば特許文献1には、毒性およびアレルギー性の指摘が少ない元素のみを用いた生体装飾品が開示されている。具体的には、Ti−Mo系合金を用いた生体装飾品が開示されている。
特開2004−292902号公報
特許文献1に記載の技術によれば、製品イメージが安全な生体装飾品が得られる。しかしながら、時計用外装部品の開発においては、金属アレルギーの発生を抑えつつ、金属光沢や明るさを向上させることが求められている。
本発明の目的は、金属光沢に優れ、明るさが向上し、かつ金属アレルギーを起こしにくい時計用外装部品および時計を提供することにある。
本発明の時計用外装部品は、金属製の基材と、前記基材の表面の少なくとも一部に被覆された多層反射層と、を有し、前記多層反射層は、第1屈折率を有する第1無機材料層と、前記第1屈折率より高い第2屈折率を有する第2無機材料層とが、交互に積層された構造を有し、前記第1無機材料層は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、および酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種を含み、前記第2無機材料層は、窒化ケイ素、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化イットリウム、および酸化ニオブからなる群から選択される少なくとも1種を含み、前記第1無機材料層および前記第2無機材料層は、ニッケル、クロム、コバルト、亜鉛、水銀、スズ、パラジウム、プラチナ、銅、金、カドミウム、マンガン、およびアンチモンを含まないことを特徴とする。
本発明によれば、基材表面の少なくとも一部に、第1無機材料層と第2無機材料層とが交互に積層されるため、多層反射層が増反射膜として機能する。これにより、基材表面の少なくとも一部に、第1無機材料層のみを積層させた場合、または、第2無機材料層のみを積層させた場合に比べ、反射率を向上させることができる。
また、第1無機材料層および第2無機材料層は、金属アレルギーを起こしにくい無機材料を含んで構成され、かつ金属アレルギーを起こし易い金属、具体的にはニッケル、クロム、コバルト、亜鉛、水銀、スズ、パラジウム、プラチナ、銅、金、カドミウム、マンガン、およびアンチモン(以下、「特定の金属」とも称する)を含まない。
したがって、本発明によれば、金属光沢に優れ、明るさが向上し、かつ金属アレルギーを起こしにくい時計用外装部品が実現される。
本発明の時計用外装部品において、前記基材は、チタン製、または、コバルト合金に対するニッケルの含有量が0.01質量%以下であるコバルト合金製であることが好ましい。
本発明によれば、第1無機材料層および第2無機材料層だけでなく、基材も金属アレルギーを起こしにくい材料で構成されるため、金属アレルギーがより起こりにくくなる。
詳細には、基材として、金属アレルギーを起こしにくいチタン製、または上記コバルト合金製を用いることで、例えば表面に傷がついたとき、または長期使用により屈折率層が摩耗したときにおいても、金属アレルギーが起こりにくくなる。これにより、長期にわたって、耐アレルギー性が保持される。
本発明の時計用外装部品において、前記第1屈折率に対する前記第2屈折率の比は、1.4以上であることが好ましい。
本発明によれば、第2無機材料層の屈折率と第1無機材料層の屈折率との比が確実に大きくなるため、金属光沢および明るさがより向上した時計用外装部品が実現される。
本発明の時計用外装部品において、前記第1無機材料層の1層あたりの膜厚が、50nm以上150nm以下であり、前記第2無機材料層の1層あたりの膜厚が、50nm以上150nm以下であることが好ましい。
本発明によれば、各無機材料層の光学膜厚(n×d)が、波長550nmの光に対するλ/4に近い値となるため、多層反射層の増反射膜としての機能がより発現される。これにより、金属光沢および明るさがより向上した時計用外装部品が実現される。
光学膜厚(d×n)とは、各無機材料層の物理的な膜厚dに、各無機材料層の屈折率nを乗じた値をいう。
本発明の時計用外装部品において、前記第1無機材料層および前記第2無機材料層の合計層数が2層以上10層以下であることが好ましい。
本発明によれば、多層反射層の増反射膜としての機能が発現され易くなり、かつ多層反射層の剥離が抑制される。これにより、長期にわたって金属光沢および明るさを保持できる時計用外装部品が実現される。
本発明の時計用外装部品において、前記多層反射層の膜厚が、100nm以上1000nm以下であることが好ましい。
本発明によれば、多層反射層の増反射膜としての機能が発現され易くなり、かつ基材と多層反射層との密着性が確保される。これにより、多層反射層の剥離を抑制することができ、その結果、長期にわたって金属光沢および明るさを保持できる時計用外装部品が実現される。
本発明の時計用外装部品において、波長550nmにおける反射率が70%以上であることが好ましい。
本発明によれば、金属光沢および明るさが確実に向上した時計用外装部品が実現される。
本発明の時計用外装部品において、さらに最表層として防汚層を有することが好ましい。
本発明によれば、表面に汚れが付着しにくくなる。これにより、長期にわたって金属光沢および明るさを保持できる時計用外装部品が実現される。特に防汚層が撥水性の材料を含む場合には、表面に撥水性とともに滑り性も付与されるため、時計用外装部品に外部からの衝撃が加わっても、その衝撃を緩和することができる。その結果、時計用外装部品の耐擦傷性も向上する。
また、防汚層は、通常金属アレルギーを起こし易い金属(上記特定の金属)を含まないで構成される。このため、本発明の時計用外装部品が防汚層を有していても、金属アレルギーの発生が抑制されるという効果が得られる。
本発明の時計用外装部品は、時計ケース、ガラス縁、裏蓋、竜頭、および時計バンドからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明によれば、上記時計用外装部品の金属光沢および明るさを向上させることができる。特に上記外装部品は、時計全体の美的外観に影響を及ぼし得る部品であり、かつ人体の皮膚に接触して用いられることが多い。
したがって、上記外装部品を時計に適用することにより、時計全体の美的外観を保持し易くなり、金属アレルギーの発生を効果的に抑制することができる。
本発明の時計は、上記時計用外装部品を備えることを特徴とする。
本発明によれば、金属光沢に優れ、明るさが向上し、かつ金属アレルギーを起こしにくい時計が実現される。
本発明の一実施形態に係る腕時計の正面図。 本発明の第1実施形態に係る外装ケースの部分断面図。 本発明の第2実施形態に係る外装ケースの部分断面図。 本発明の第3実施形態に係る外装ケースの部分断面図。 実施例5および比較例1における波長と反射率との関係を示すグラフ。
本願明細書において、「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本願明細書において、第1屈折率と第2屈折率との関係は、第1屈折率<第2屈折率である。このため、以下の説明では「第1屈折率を有する第1無機材料層」を「低屈折率層」と称し、「第2屈折率を有する第2無機材料層」を「高屈折率層」と称することがある。
本願明細書において、第1無機材料層および第2無機材料層を特に区別しない場合は、「無機材料層」または「屈折率層」と称することがある。
[時計]
以下、本発明の時計の一実施形態について図面を参照して説明する。以下の実施形態では、時計の一例として腕時計を取り上げる。この腕時計は、本発明の時計用外装部品の一例である外装ケースを備えている。
なお、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材について実際とは異なる尺度で示している場合がある。
はじめに、本発明の時計の一実施形態である腕時計1について説明する。
図1は、腕時計1の正面図である。
腕時計1は、円筒状の外装ケース2(時計用外装部品の一例)と、時計バンド3とを備えている。外装ケース2の6時方向および12時方向には、カン8がそれぞれ一体に設けられている。時計バンド3は、カン8にそれぞれ連結される6時側の第1バンド3Aと、12時側の第2バンド3Bとを有している。第1バンド3Aおよび第2バンド3Bは、複数のバンド駒7を図示略のピンで連結して構成されている。
外装ケース2の内周側には、円盤状の文字板6が配置され、文字板6の表面側には、時刻情報を表示する秒針14、分針15、および時針16が配置されている。
外装ケース2の側面には、文字板6の平面中心より、2時方向の位置と4時方向の位置に2つのボタン5が設けられ、3時方向の位置にリューズ4が設けられている。ボタン5およびリューズ4の操作により、腕時計1は、操作に応じた動作(例えば針表示の修正など)を行えるように構成されている。
次に、本発明の時計用外装部品の一例である外装ケース2について、第1実施形態〜第3実施形態を例に挙げて説明する。
<第1実施形態>
図2は、外装ケース2の部分断面図である。
外装ケース2は、金属製の基材10と、基材10の表面の少なくとも一部、具体的には、基材10において外部に露出して人体の皮膚と直接接触する部分もしくは直接接触し得る部分(好ましくは基材10の表面全体)に被覆された多層反射層20と、を有する。
多層反射層20は、第1屈折率を有する第1無機材料層11(低屈折率層)と、第1屈折率より高い第2屈折率を有する第2無機材料層12(高屈折率層)とが、交互に積層された構造を有する。
ここで、「交互に積層された構造」とは、第1無機材料層11と第2無機材料層12とが周期的に積層された構造だけでなく、図2に示すように、第1無機材料層11と第2無機材料層12とが1層ずつ積層された構造も含む概念である。
また、第1無機材料層11は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、および酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種を含み、第2無機材料層12は、窒化ケイ素、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化イットリウム、および酸化ニオブからなる群から選択される少なくとも1種を含む。
すなわち、第1無機材料層11および第2無機材料層12は、金属アレルギーを起こしにくい材料を含んで構成される。
さらに、第1無機材料層11および第2無機材料層12は、金属アレルギーを起こし易い金属であるニッケル(Ni)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、水銀(Hg)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、カドミウム(Cd)、マンガン(Mn)、およびアンチモン(Sb)(上記特定の金属)を含まない。ここで、「含まない」とは、特定の金属を全く含まない、もしくは金属アレルギーの発生を抑制できる程度の量(少量)を含むことをいう。具体的に少量とは、各無機材料層中における特定の金属の含有量が、好ましくは0.3質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。
[作用]
第1実施形態の外装ケース2によれば、基材10の表面全体に、低屈折率層と高屈折率層とが1層ずつ積層されるため、多層反射層20は増反射膜として機能する。これにより、反射率を向上させることができる。
さらに第1無機材料層11および第2無機材料層12は、金属アレルギーを起こしにくい無機材料を含んで構成され、かつ金属アレルギーを起こし易い金属(上記特定の金属)を含まないので、外装ケース2が人体の皮膚に接触しても金属アレルギーの発生が抑制される。
したがって、第1実施形態によれば、金属光沢に優れ、明るさが向上し、かつ金属アレルギーを起こしにくい外装ケース2が実現される。
また、第1実施形態の外装ケース2は、多層反射層20が2層のみからなるため軽量化を図る点で有利である。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る外装ケース2Aについて説明する。なお、前述した第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図3は、外装ケース2Aの部分断面図である。
外装ケース2Aは、金属製の基材10と、基材10の表面の少なくとも一部に被覆された多層反射層20Aと、を有する。
多層反射層20Aは、第1屈折率を有する第1無機材料層(低屈折率層)と、第2屈折率を有する第2無機材料層(高屈折率層)とが、交互に3層ずつ積層された構造を有する。具体的に多層反射層20Aは、基材10の側から、第1無機材料層11Aと、第2無機材料層12Aと、第1無機材料層11Bと、第2無機材料層12Bと、第1無機材料層11Cと、第2無機材料層12Cと、がこの順に積層された構造を有する。
なお、それぞれの第1無機材料層11A,11B,11Cは、同一の層であっても、異なる層であってもよい。第2無機材料層12A,12B,12Cについても同様である。
[作用]
第2実施形態の外装ケース2Aによれば、基材10の表面全体に、低屈折率層と高屈折率層とが交互に3層ずつ積層されるため、多層反射層20Aの増反射膜として機能がより発現される。これにより、反射率をより向上させることができる。
さらに第2実施形態の外装ケース2Aによれば、第1実施形態と同様の理由により、金属アレルギーの発生が抑制されるという効果が発現される。
したがって、第2実施形態によれば、金属光沢および明るさがより向上し、かつ金属アレルギーを起こしにくい外装ケース2Aが実現される。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る外装ケース2Bについて説明する。なお、前述した第1実施形態および第2実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図4は、外装ケース2Bの部分断面図である。
外装ケース2Bは、金属製の基材10と、基材10の表面の少なくとも一部に被覆された多層反射層20と、さらに最表層として防汚層13とをこの順に有する。外装ケース2Bは、は、第1実施形態の外装ケース2と同様に、第1無機材料層11(低屈折率層)と、第2無機材料層12(高屈折率層)とが、1層ずつ積層された構造を有する。
すなわち、第3実施形態に係る外装ケース2Bは、最表層に防汚層13を設けたこと以外は第1実施形態に係る外装ケース2の構成と同様である。
[作用]
第3実施形態の外装ケース2Bによれば、最表層として防汚層13が設けられているので、表面に汚れが付着しにくくなる。特に防汚層13が撥水性の材料を含む場合には、表面に撥水性とともに滑り性も付与されるため、外装ケース2Bに外部からの衝撃が加わっても、その衝撃を緩和することができ、これにより、外装ケース2Bの耐擦傷性が向上する。
また、防汚層13は、金属アレルギーを起こし易い金属(上記特定の金属)を含まないで構成される。このため、外装ケース2Bが防汚層13を有していても、金属アレルギーの発生が抑制されるという効果が発現される。
したがって、第3実施形態によれば、長期にわたって金属光沢および明るさを保持でき、かつ金属アレルギーを起こしにくい外装ケース2Bが実現される。
<他の実施形態>
本発明の時計用外装部品は、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
例えば上記実施形態では、時計用外装部品として、外装ケース2、2A、2Bを例示したがこれに限定されない。本発明の時計用外装部品としては、例えば、時計ケース(上記以外の外装ケース、裏蓋、外装ケースと裏蓋とが一体化されたワンピースケースなど)、竜頭、時計バンド(バンド中留、バンド・バングル着脱機構などを含む)、文字盤、時計用針、ベゼル(例えば回転ベゼルなど)、リューズ(例えばネジロック式リューズなど)、ボタン、ガラス縁、ダイヤルリング、および見切板などから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
これらの時計用外装部品は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて、各種時計に適用することができる。
また、第3実施形態では、最表層として防汚層13を設けた形態について説明したが、本発明の時計用外装部品は、防汚層13に替えて、帯電防止層を設けた形態であってもよい。これにより、外装ケース2Bの表面に帯電防止機能が付与される。帯電防止層としては、例えば無機材料層(例えば、SiO層、TiO層など)が挙げられる。
また、本発明の時計用外装部品は、屈折率を調整し易くする観点および耐傷性向上の観点から、第1無機材料層および第2無機材料層の少なくとも一方が、無機粒子(無機フィラー)を含んでいてもよい。無機粒子としては、公知のもの(例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウムなど)が挙げられる。
次に、本発明の一実施形態の時計用外装部品の構成について説明する。なお、以下の説明では符号を省略する。
<基材>
基材は金属製である。金属製とは、金属元素の単体や、合金だけでなく、これらの混合物も含む概念である。このため、本明細書でいう金属製には、表面全体が金属で覆われているものも含まれる。
金属元素の単体および合金としては、例えば、Fe、Cu、Zn、Ni、Ti、Mg、Cr、Mn、Mo、Nb、Al、V、Zr、Sn、Au、Pd、Pt、Ag、Inなどの各種金属、これらのうち少なくとも1種を含む合金(例えば、ステンレス鋼、青銅、真鍮、洋白、コバルト合金に対するニッケルの含有量が0.01質量%以下であるコバルト合金(以下、「特定のコバルト合金」とも称する))などが挙げられる。なお、特定のコバルト合金としては、例えばコバリオン(登録商標)が挙げられる。
中でも、金属元素の単体および合金としては、金属アレルギーを起こしにくくする観点から、チタン(Ti)、または特定のコバルト合金が好ましい。
これにより、第1無機材料層および第2無機材料層だけでなく、基材も金属アレルギーを起こしにくい材料で構成されるため、時計用外装部品を身につけたときに、金属アレルギーの発生が抑制され易い。
詳細には、基材として、金属アレルギーを起こしにくいチタンまたは特定のコバルト合金を用いることで、例えば表面に傷がついたとき、または長期使用により屈折率層が摩耗したときにおいても、金属アレルギーが起こりにくくなる。これにより、長期にわたって、耐アレルギー性が保持される。
基材の形状は特に限定されない。基材としては、多層反射層を形成する前の状態の各種形状の時計用外装部品を用いることができる。
(第1無機材料層)
第1無機材料層(低屈折率層)は第1屈折率を有する。
第1無機材料層に含まれる無機材料は、低屈折率層を得る観点から、酸化ケイ素(SiO、n=1.45)、酸化アルミニウム(Al、n=1.6)、酸窒化アルミニウム(AlON、n=1.65〜1.83)、および酸化マグネシウム(MgO、n=1.7)からなる群から選択される少なくとも1種(以下、「第1無機材料」とも称する)である。
すなわち、第1無機材料は、素材(無機材料)の屈折率nが比較的小さいもの(2.0未満)である。これらの無機材料は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、かっこ内の数値nは、波長550nmに対する屈折率の値である。
ただし、第1無機材料層は、金属アレルギーを起こしにくくする観点から、特定の金属を含まない。
第1無機材料層は、金属アレルギーをより起こしにくくする観点から、第1無機材料からなる層であることが好ましい。
第1屈折率は、時計用外装部品の反射率を向上させる観点から、好ましくは2.0未満、より好ましくは1.6以下、さらに好ましくは1.4以下である。
なお、本明細書における第1屈折率とは、第1無機材料層の単体(1層)の屈折率とする。
多層膜を有する時計用外装部品において、第1無機材料層(1層)の屈折率および膜厚は、分光エリプソメーター(仏SOPRA社製 GES5E)を用いて測定することができる。なお、第1無機材料層および基材の組成は、X線光電子分光分析装置(XPS装置、アルバックファイ社製:PHI Quantera)にて特定することができる。
第1無機材料層の1層あたりの膜厚は、好ましくは50nm以上150nm以下、より好ましくは90nm以上110nm以下である。
第1無機材料層の1層あたりの膜厚が50nm以上150nm以下であると、第1無機材料層の光学膜厚(n×d)が、波長550nmの光に対するλ/4に近い値となるため、多層反射層の増反射膜としての機能がより発現される。その結果、金属光沢および明るさがより向上した時計用外装部品が得られる。
(第2無機材料層)
第2無機材料層(高屈折率層)は第2屈折率を有する。
第2無機材料層に含まれる無機材料は、高屈折率層を得る観点から、窒化ケイ素(Si、n=2.06)、酸化ジルコニウム(ZrO、n=2.1)、窒化ホウ素(BN、n=2.0〜2.5)、酸化チタン(TiO、n=2.45)、酸化ハフニウム(HfO、n=2.0)、酸化タンタル(Ta、n=2.1)、酸化イットリウム(Y、n=2.06)、および酸化ニオブ(Nb、n=2.3)からなる群から選択される少なくとも1種(以下、「第2無機材料」とも称する)である。
すなわち、第2無機材料は、素材(無機材料)の屈折率が比較的大きいもの(2.0未満)である。なお、かっこ内の数値は、波長550nmの光に対する屈折率の値である。これらの無機材料は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ただし、第2無機材料層は、金属アレルギーを起こしにくくする観点から、特定の金属を含まない。
また、第2無機材料層は、金属アレルギーをより起こしにくくする観点から、第2無機材料からなる層であることが好ましい。
第2屈折率は、時計用外装部品の反射率を向上させる観点から、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.2以上、さらに好ましくは2.4以上である。
なお、本明細書における第2屈折率とは、第2無機材料層の単体(1層)の屈折率とする。
第2無機材料層(1層)の屈折率および膜厚は、第1無機材料層の屈折率および膜厚と同様の方法で測定することができる。
本実施形態の時計用外装部品において、第2無機材料層の1層あたりの膜厚は、好ましくは50nm以上150nm以下、より好ましくは50nm以上70nm以下である。
第2無機材料層の1層あたりの膜厚が50nm以上150nm以下であると、第2無機材料層の光学膜厚(n×d)が、波長550nmの光に対するλ/4に近い値となるため、多層反射層の増反射膜としての機能がより発現される。その結果、金属光沢および明るさがより向上した時計用外装部品が得られる。
本実施形態の時計用外装部品において、第1屈折率に対する第2屈折率の比(第2屈折率/第1屈折率)は、1.0超えであるが、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.4以上、さらに好ましくは1.6以上である。
これにより、第2無機材料層の屈折率と第1無機材料層の屈折率との比が確実に大きくなるため、金属光沢および明るさがより向上した時計用外装部品が得られる。
(多層反射層)
本実施形態の時計用外装部品において、第1無機材料層および第2無機材料層(低屈折率層および高屈折率層)の合計層数は、好ましくは2層以上10層以下、より好ましくは2層以上6層以下である。
上記合計層数が2層以上であると、多層反射層の増反射膜としての機能が発現される。
上記合計層数が10層以下であると、多層反射層の剥離が抑制される。
したがって、上記合計層数が2層以上10層以下であると、長期にわたって金属光沢および明るさを保持できる時計用外装部品が得られる。
なお、低屈折率層および高屈折率層の合計層数は偶数であっても奇数であってもよい。具体的には、多層反射層は、低屈折率層と高屈折率層との屈折率層(以下、「1ユニットの屈折率層」とも称する)で構成されていても、1ユニットの屈折率層と、低屈折率層もしくは高屈折率層とで構成されていてもよいし、2ユニットの屈折率層と、低屈折率層もしくは高屈折率層とで構成されていてもよい。ただし、時計用外装部品の反射率を向上させる観点から、上記合計層数は偶数であることが好ましい。
また、屈折率層は、基材の側が低屈折率層であってもよいし(図2〜図4参照)、基材の側が高屈折率層であってもよいが、時計用外装部品の反射率を向上させる観点から、基材の側が低屈折率層であることが好ましい。
本実施形態の時計用外装部品において、多層反射層の膜厚は、好ましくは100nm以上1000nm以下である。
多層反射層の膜厚が100nm以上であると、増反射膜としての機能が発現される。
多層反射層の膜厚が1000nm以下であると、基材と多層反射層との密着性が確保される。
したがって、多層反射層の膜厚が上記範囲であると、長期にわたって金属光沢および明るさを保持できる時計用外装部品が得られる。
本実施形態の時計用外装部品において、波長550nmにおける反射率は、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上である。
反射率の測定方法は、実施例の項で記載する。
これにより、金属光沢および明るさが確実に向上した時計用外装部品が得られる。
(防汚層)
本実施形態の時計用外装部品が最表層として防汚層を有する場合、防汚層は、撥水性の材料を含むことが好ましい。また、防汚層は、金属アレルギーを起こし易い金属(上記特定の金属)を含まない。「含まない」は、前述の定義と同様である。
撥水性の材料としては特に限定されないが、フッ素系樹脂またはシリコン系樹脂が好ましく、中でもフッ素原子を含有する有機ケイ素化合物(以下、「フッ素含有有機ケイ素化合物」とも称する)が好ましい。
フッ素含有有機ケイ素化合物としては、例えば、CF−CHCH−Si(OCH、CF(CF−CHCH−Si(OCH、CF(CF−CHCH−Si(OCH、CF(CF−CHCH−Si(OC、CF(CF−CHCH−Si(OCH、CF(CF11−CHCH−Si(OC、CF(CF−CHCH−Si(CH)(OCH、CF(CF−CHCH−Si(CH)(OCH、CF(CF−CHCH−Si(CH)(OC、CF(CFSi(OCH、CF(CFSi(OCH、CF(CFSi(OCH、CF(CFSi(OCH、CF(CF10Si(OCH、CF(CF12Si(OCH、CF(CF14Si(OCH、CF(CF16Si(OCH、CF(CF17Si(OCH、CF(CF18Si(OCH、CF(CFSi(OC、CF(CFSi(OC、CF(CFSi(OCH、CF(CFSi(OCH、CF(CFSi(OC、CF(CFSi(OC、CF(CFSi(OCH、CF(CFSi(OCH、CF(CFSi(OC、CF(CFSi(OC、CF(CFSi(CH)(OCH、CF(CFSi(CH)(OCH、CF(CFSi(C)(OC、およびCF(CFSi(C)(OCなどが挙げられる。
また、フッ素含有有機ケイ素化合物としては、例えば、特開2005−301208号公報や特開2006−126782号公報に記載されている含フッ素シラン化合物を用いてもよい。
フッ素含有有機ケイ素化合物は、有機溶剤に溶解し、所定濃度に調整した撥水処理液を用いて多層反射層上に塗布する方法を採用することができる。塗布方法としては、ディッピング法、スピンコート法等を用いることができる。
防汚層の膜厚は、特に限定されないが、反射率を低減しにくくする観点から、好ましくは0.001μm以上0.5μm以下、より好ましくは0.001μm以上0.03μm以下である。
防汚層の膜厚が0.001μm以上であると、表面における撥水性能が発現されやすくなる。防汚層13の膜厚が0.5μm以下であると、表面のべたつきが抑制される。
以下、本発明の一実施形態に係る時計用外装部品の製造方法について説明する。
[時計用外装部品の製造方法]
本実施形態に係る時計用外装部品(例えば外装ケース2、2A、2Bなど)の製造方法は、例えば、金属製の基材を準備する工程(以下、「準備工程」とも称する)と、基材の表面の少なくとも一部に、多層反射層を形成する工程(以下、「多層反射層形成工程」とも称する)と、とを有する。
以上の工程を経て、本実施形態に係る時計用外装部品が得られる。すなわち、金属光沢に優れ、明るさが向上し、かつ金属アレルギーを起こしにくい時計用外装部品が得られる。
また、本実施形態に係る時計用外装部品の製造方法は、必要に応じて、防汚層を形成する工程(以下、「防汚層形成工程」とも称する)や、帯電防止層を形成する工程(以下、「帯電防止層形成工程」とも称する)を有してもよい。
これにより、時計用外装部品に防汚機能や帯電防止機能が付与される。なお、防汚層や帯電防止層は、最表層として形成することが好ましい。このため、防汚層形成工程または帯電防止層形成工程は、多層反射層形成工程の後に実施することがよい。
(準備工程)
準備工程は、金属製の基材を準備する工程である。準備工程は便宜上の工程である。すなわち、金属製の基材(多層反射層を形成する前の状態の基材)は製造したものであってもよいし、入手したものであってもよい。
(多層反射層形成工程)
多層反射層形成工程は、基材の表面の少なくとも一部に、多層反射層を形成する工程である。具体的には、第1無機材料層(低屈折率層)と第2無機材料層(高屈折率層)とを交互に積層することにより多層反射層を形成する工程である。
無機材料層(屈折率層)の形成方法としては、例えば、物理気相成長法(PVD法)、化学気相成長法(CVD法)、塗布法、これらを組み合わせた方法などが挙げられる。
物理気相成長法(PVD法)としては、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法などが挙げられる。化学気相成長法(CVD法)としては、例えば、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法などが挙げられる。塗布法としては、例えば、浸漬法、スプレー塗布、スピンコート法などが挙げられる。
中でも、無機材料層(屈折率層)の形成方法としては、基材および屈折率層間、並びに、屈折率層間のみ密着性を高める観点から、PVD法が好ましく、スパッタリング法がより好ましい。また、生産性の観点からもスパッタリング法が好ましい。
屈折率層の形成条件は、基材の形状、目的とする膜厚に応じて適宜調整することが好ましい。
ただし、屈折率層が無機粒子を含む態様である場合、屈折率層の形成方法は塗布法であることが好ましい。この場合、まず屈折率層を構成する材料(例えば無機材料、無機粒子など)と、溶媒とを混合して、屈折率層形成用組成物を得た後、屈折率層形成用組成物を、例えば基材上に付与する。これにより、屈折率層を形成することができる。
(防汚層形成工程)
本実施形態に係る時計用外装部品の製造方法が、防汚層形成工程を有する場合、防汚層の形成方法としては特に限定されないが、例えば、浸漬法、スプレー塗布、スピンコート法などの塗布法が挙げられる。
具体的には、まず、防汚層を構成する材料(例えばフッ素含有有機ケイ素化合物などの撥水性の材料)と、溶媒とを混合して、防汚層形成用組成物を得た後、防汚層形成用組成物を、例えば屈折率層上に付与する。これにより、防汚層を形成することができる。
溶媒は特に限定されない。
(帯電防止層形成工程)
本実施形態に係る時計用外装部品の製造方法が、帯電防止層形成工程を有する場合、帯電防止層の形成方法としては特に限定されないが、帯電防止層が例えば無機材料層(SiO層やTiO層など)で構成される場合には、上記無機材料層(屈折率層)の形成方法と同様の方法で形成することができる。
以上の工程を経て、本実施形態に係る時計用外装部品が得られる。
なお、本実施形態に係る時計用外装部品の製造方法は、上記以外の工程を有してもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその主旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
ステンレス(SUS304)製の基材(20mm×40mm、厚さ2mm)を準備し、基材の一方の面に、スパッタリング法により、低屈折率層L1として膜厚95nmの酸化シリコン層(SiO層)を形成した。
次いで、低屈折率層L1の上に、スパッタリング法により、高屈折率層H1として膜厚56nmの酸化チタン層(TiO層)を形成した。
以上のようにして、時計用外装部品の試験片を作製した。
<実施例2>
高屈折率層H1として膜厚67nmの窒化シリコン層(Si層)を形成したこと以外は実施例1と同様の方法で試験片を作製した。
<実施例3>
実施例2で得た試験片の上に、さらにスパッタリング法により、低屈折率層L2として膜厚95nmのSiO層と、高屈折率層H2として膜厚67nmのSi層とを順に形成し、これを実施例3の試験片とした。
<実施例4>
実施例3で得た試験片の上に、さらにスパッタリング法により、低屈折率層L3として膜厚95nmのSiO層と、高屈折率層H3として膜厚67nmのSi層とを順に形成し、これを実施例4の試験片とした。
<実施例5>
チタン製の基材を用いたこと以外は実施例1と同様にして試験片を作製した。
<実施例6>
アルミニウム製の基材を用いたこと以外は実施例2と同様にして試験片を作製した。
<実施例7>
実施例1で得た試験片の上に、さらに、防汚層を形成し、これを実施例7の試験片とした。防汚層の形成は以下のように行った。
まず、フッ素含有有機ケイ素化合物(信越化学工業社製:KY185(固形分濃度20質量%))を、フッ素系溶剤(3M社製:Novec7200)を用いて、固形分濃度が0.1質量%になるように希釈し、防汚層形成用組成物を調製した。
次いで、実施例1で得た試験片の高屈折率層H1(TiO層)の側を、防汚層形成用組成物中に浸漬させた後、試験片をオーブンに投入して乾燥させた。これにより、最表層として、フッ素含有有機ケイ素化合物からなる防汚層を有する試験片を得た。
なお、防汚層の膜厚を分光エリプソメーターにより測定したところ、3nmであった。極薄いフッ素化合物の膜厚をSEM観察することは現実的でないので、ここも、分光エリプソメーターとしてください。
<比較例1>
実施例5と同様のチタン製の基材を準備し、これを比較例1の試験片とした。
<参考例1>
銀製の基材(20mm×40mm、厚さ2mm)を準備し、これを参考例1の試験片とした。
<参考例2>
白金製の基材(20mm×40mm、厚さ2mm)を準備し、これを参考例2の試験片とした。
表1に、実施例1〜7、比較例1および参考例1〜2の試験片の詳細を示す。
なお、表1に示す各屈折率層の屈折率の値は素材(無機材料)の屈折率である。
[評価]
<反射率>
分光反射率測定機(オリンパス社製:型番USPM-RUIII)を用いて、実施例1〜7、比較例1および参考例1〜2の試験片の反射率を測定した。なお、実施例1〜7については、屈折率層を形成する前の基材の屈折率も測定した。
具体的には、実施例1〜7の試験片に、屈折率層の側から波長200nm〜1000nmの波長領域において垂直入射で光を入射した際の反射率を測定し、550nmにおける反射率を、各例の反射率とした。
比較例1および参考例1〜2の試験片、並びに、実施例1〜7の基材についても、基材の一方の面から垂直入射で光を入射し、実施例1〜7の試験片と同様にして反射率を測定した。
結果を表1に示す。
図5に、実施例5および比較例1における波長と反射率との関係を示すグラフを示す。
なお、表1に示す「反射率の増加分」は、実施例1〜7における「試験片の反射率」から「基材の反射率」を減じた値である。
<耐アレルギー性>
欧州規格EN1811に準拠するニッケル溶出試験を行うことにより、耐アレルギー性を評価した。
まず、塩化ナトリウム0.5質量%、尿素0.1質量%、および乳酸0.1質量%と水とを混合してpH6.5の溶出溶液(人工汗)を単位面積あたり0.5mL/cmとなるように調製した。
次いで、溶出溶液を30℃に保持し、この溶出溶液中に各例の試験片を7日間浸漬させた。次いで、溶出溶液を2mL回収し、純水で50倍に希釈して、ICP発光分析装置(堀場製作所社製:ULTIMA2000(型番))を用いて、試験片からのニッケルの溶出量(μg/cm/week)を測定した。
耐アレルギー性の評価は、ニッケルの溶出量(μg/mL)から換算した単位表面積当たりの溶出量(μg/cm/week)に基づき、以下の基準で行った。なお、許容範囲は、0.25μg/cm/week以下である。
Figure 2019060715
−表1の説明−
「F含有Si化合物」とは、フッ素含有有機ケイ素化合物をいう。
−反射率−
表1および図5に示すように、実施例1〜7の試験片の反射率は、基材のみの反射率に対して、いずれも反射率が増加していることがわかる。
また、基材上に、低屈折率層と高屈折率層とを交互に3層ずつ積層した実施例4は、1層ずつ積層した実施例2の試験片および交互に2層ずつ積層した実施例3と比べて、反射率が向上していることがわかる。
また、アルミニウム製の基材を用いた実施例6は、低屈折率層と高屈折率層とを1層ずつ積層させるだけで、銀製の基材(参考例1の試験片)と同等の高い反射率が得られることがわかる。
また、最表層に防汚層を有する実施例7は、防汚層を有しない実施例1に対して、反射率の低下分は1%未満であった。
−耐アレルギー性−
表1に示すように、実施例1〜7は、ニッケルの溶出量が少なく、耐アレルギー性を有することがわかる。
特に、実施例5は、低屈折率層および高屈折率層だけでなく、基材も金属アレルギーを起こしにくい材料で構成されているので、実施例5の構成を有する時計用外装部品は、例えば表面に傷がついたとき、または長期使用により屈折率層が摩耗したときにおいても、金属アレルギーを起こしにくくなる。したがって、低屈折率層と高屈折率層とを1層ずつ積層した実施例5と実施例1、2、6、7とを比較すると、チタン製の基材を用いた実施例5は、SUS製の基材を用いた実施例1、2、7およびアルミニウム製の基材を用いた実施例6に比べ、長期にわたって、耐アレルギー性が保持されると考えられる。
以上の結果から、本実施例によれば、金属光沢に優れ、明るさが向上し、かつ金属アレルギーを起こしにくい時計用外装部品が得られることがわかった。
1…腕時計、2,2A,2B…外装ケース、3…時計バンド、3A…第1バンド、3B…第2バンド、4…リューズ、5…ボタン、6…文字板、7…バンド駒、8…カン、10…基材、11,11A,11B,11C…第1無機材料層(低屈折率層)、12,12A,12B,12C…第2無機材料層(高屈折率層)、13…防汚層、14…秒針、15…分針、16…時針、20,20A…多層反射層。

Claims (10)

  1. 金属製の基材と、
    前記基材の表面の少なくとも一部に被覆された多層反射層と、を有し、
    前記多層反射層は、第1屈折率を有する第1無機材料層と、前記第1屈折率より高い第2屈折率を有する第2無機材料層とが、交互に積層された構造を有し、
    前記第1無機材料層は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、および酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種を含み、
    前記第2無機材料層は、窒化ケイ素、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化イットリウム、および酸化ニオブからなる群から選択される少なくとも1種を含み、
    前記第1無機材料層および前記第2無機材料層は、ニッケル、クロム、コバルト、亜鉛、水銀、スズ、パラジウム、プラチナ、銅、金、カドミウム、マンガン、およびアンチモンを含まないことを特徴とする時計用外装部品。
  2. 請求項1に記載の時計用外装部品において、
    前記基材は、チタン製、または、コバルト合金に対するニッケルの含有量が0.01質量%以下であるコバルト合金製であることを特徴とする時計用外装部品。
  3. 請求項1または請求項2に記載の時計用外装部品において、
    前記第1屈折率に対する前記第2屈折率の比は、1.4以上であることを特徴とする時計用外装部品。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の時計用外装部品において、
    前記第1無機材料層の1層あたりの膜厚が、50nm以上150nm以下であり、
    前記第2無機材料層の1層あたりの膜厚が、50nm以上150nm以下であることを特徴とする時計用外装部品。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の時計用外装部品において、
    前記第1無機材料層および前記第2無機材料層の合計層数が2層以上10層以下であることを特徴とする時計用外装部品。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の時計用外装部品において、
    前記多層反射層の膜厚が、100nm以上1000nm以下であることを特徴とする時計用外装部品。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の時計用外装部品において、
    波長550nmにおける反射率が70%以上であることを特徴とする時計用外装部品。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の時計用外装部品において、
    さらに最表層として防汚層を有することを特徴とする時計用外装部品。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の時計用外装部品は、時計ケース、ガラス縁、裏蓋、竜頭、および時計バンドからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする時計用外装部品。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の時計用外装部品を備えることを特徴とする時計。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113031427A (zh) * 2019-12-25 2021-06-25 西铁城时计株式会社 钟表和钟表的风挡的制造方法

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