JP3557822B2 - 記録及び/又は再生装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録、再生、停止等の各状態により磁気ヘッド等の動作位置を移動させるテープカセットの記録及び/又は再生装置に関し、特にカムギヤ等のモード切換機構を介してこの磁気ヘッドを移動させるモード切換モータを有するテープカセットの記録及び/又は再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、テープカセットを使用して音声信号等の記録及び再生を行うテープカセットの記録及び/又は再生装置が提案されている。
【0003】
例えば、磁気テープを記録媒体として用いるテープカセットの記録及び/又は再生装置300は、図25に示すように、テープカセットに収納された磁気テープに音声信号の記録及び/又は再生をする記録再生部303を有する本体301と、本体301に取り付けられ開閉自在に回動する蓋体302とから構成される。上記テープカセットは、カセット内の一対の回転可能なテープリールに磁気テープが巻装されている。そして、このテープカセットは、テープリールが回転することにより磁気テープが走行するように構成されている。
【0004】
本体301には、装置の操作入力を行う操作入力ボタン305が設けられている。また、本体301に有する記録再生部303は、一対のテープリールに係合されるリール軸と、上記磁気テープを定速走行させるキャプスタン軸及びピンチローラと、この磁気テープに音声信号の記録及び再生をする磁気ヘッド等を有している。蓋体302は、この記録再生部303を閉塞するように取り付けられ、内側にテープカセットを保持するカセットホルダ304が設けられている。
【0005】
このテープカセットの記録及び/又は再生装置300は、蓋体302が開いている状態で、テープカセットが蓋体302の内側に設けられたカセットホルダ304に挿入される。このテープカセットは、長辺方向の背面側を挿入端としている。このカセットホルダ304は、テープカセットが挿入された状態でこのテープカセットを保持する。また、蓋体302は、テープカセットがカセットホルダ304に挿入された状態から、閉じられることでテープカセットを本体301の記録再生部303に装填する。そして、テープカセットの記録及び/又は再生装置300は、テープカセットが記録再生部303に装填されて、本体301に設けられた操作入力ボタン305が押圧されると記録再生等の動作を開始する。例えば、再生ボタンが押圧されると、磁気ヘッドがテープカセットの磁気テープの記録面に接触し、さらに、この磁気テープが走行することにより音声信号が再生される。
【0006】
このテープカセットの記録及び/又は再生装置300は、フォワード再生(記録)モード、リバース再生(記録)モード、停止モード等の各モードの切り換えを行い、この各モードに対応してテープカセットのフォワード又はリバース方向の記録再生やテープカセットの停止等の動作の制御を行う。テープカセットの記録及び/又は再生装置300は、この各モードでの記録又は再生等の動作をするにあたり、まず、記録再生部303の磁気ヘッドやピンチローラ等の動作位置を変更するモード切換動作を行う。
【0007】
ここで、テープカセットの記録及び/又は再生装置300がこのモード切換動作をしたときの磁気ヘッドとピンチローラの動作位置を、図26〜図28のテープカセットと磁気ヘッド及びピンチローラの関係を示す模式図を用いて説明する。なお、ここで説明するテープカセットの記録及び/又は再生装置300は、フォワード再生(記録)磁気ヘッド311及びリバース再生(記録)磁気ヘッド312と、この2つの磁気ヘッド311,312の中心の位置にキャプスタン軸314及びピンチローラ213を有するものである。また、テープカセットには、一対のテープリールに磁気テープ315が収納され、長辺部分の側面部にこの2つの磁気ヘッド311,312とピンチローラ313を外方に臨んだ開口部が対応して形成されている。
【0008】
フォワード再生(記録)モードでは、図26に示すように、フォワード再生(記録)磁気ヘッド311が図26中の矢印Aの方向にテープカセットの開口部から進入して磁気テープ315と接触している。また、リバース再生(記録)磁気ヘッド312は、図26中の矢印Bの方向にテープカセットの開口部から退出して磁気テープ315から離脱している。また、ピンチローラ313は、対応する開口部から進入して磁気テープ315を介して上記キャプスタン軸314と圧接している。
【0009】
そして、このフォワード再生(記録)モードでは、キャプスタン軸314とピンチローラにより図26中の矢印Cの方向に磁気テープ315を定速走行させて、上記フォワード再生(記録)磁気ヘッド311を介して音声信号の記録又は再生を行う。
【0010】
また、リバース再生(記録)モードでは、図27に示すように、リバース再生(記録)磁気ヘッド312が図27中の矢印Dの方向にテープカセットの開口部から進入して磁気テープ315と接触している。また、フォワード再生(記録)磁気ヘッド311は、図27中の矢印Eの方向にテープカセットの開口部から退出して磁気テープ315から離脱している。また、ピンチローラ313は、対応する開口部から進入して磁気テープ315を介して上記キャプスタン軸314と圧接している。
【0011】
そして、このフォワード再生(記録)モードでは、キャプスタン軸314とピンチローラにより図27中の矢印Fの方向に磁気テープ315を定速走行させて、上記リバース再生(記録)磁気ヘッド312を介して音声信号の記録又は再生を行う。
【0012】
また、停止モードでは、図28に示すように、フォワード再生(記録)磁気ヘッド311及びリバース再生(記録)磁気ヘッド312は、図28中の矢印G,Hの方向に両者とともにテープカセットの開口部から退出して磁気テープ315から離脱している。また、ピンチローラ313もテープカセットの開口部から退出してキャプスタン軸314と圧接していない。
【0013】
この停止モードにおいては、磁気テープ315をテープリールに高速で巻き取る早送り及び巻き戻しを行う。また、テープカセットの記録及び/又は再生装置300は、この停止モードにおいてテープカセットの装填及び取出しを行う。
【0014】
従って、このテープカセットの記録及び/又は再生装置300では、各モードの切り換えをすることにより、フォワード再生(記録)及びリバース再生(記録)をすることができ、また、停止モードにおいてテープカセットの装填および取出しをすることができる。
【0015】
また、このようなテープカセットの記録及び/又は再生装置300では、上述したモードの切り換えを、リール軸を駆動して磁気テープ315を走行させる為の駆動モータとは別にモード切換モータにより行う。つまり、テープカセットの記録及び/又は再生装置300は、操作入力ボタン305からの操作入力等がされると、このモード切換モータがカムギヤ等のモード切換機構を介して2つの磁気ヘッド311,312及びピンチローラ314等を移動させる。
【0016】
従って、テープカセットの記録及び/又は再生装置300は、このモード切換モータを有することにより、電気的にモード切換を行うことができる。
【0017】
ここで、このモード切換モータの制御を、モータの回転数を検出するFG(frepuency generater)や、モータの逆起電力検出回路等を利用したサーボ制御回路を用いて行うものが知られている。このサーボ制御回路を用いることにより、フィードバック制御がされモータの駆動スピードが定速化し安定的な制御を行える。
【0018】
しかしながら、装置の小型化やコストの問題からこのモード切換モータの制御をサーボ制御回路を用いて行えない場合がある。特に携帯用のテープカセットの記録及び/又は再生装置では、装置の小型化や低コストの要求が大きい。
【0019】
このため、このようなモード切換モータの制御にサーボ制御回路を用いないテープカセットの記録及び/又は再生装置では、一般に電池の電圧で一定のパルス幅の信号で制御するシーケンシャル制御で、モード切換モータの制御が行われる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述のようにモード切換モータの制御をシーケンシャル制御で行う場合、電池の電圧の変動によりモータの回転スピードが変化してしまう。そのため、過電圧を生じた場合に正確にモードの制御を行えない。また、過電圧等によりノイズが生じ、このノイズを低減することができない。さらに、電池の電圧が変動することで、モードの切り換え時間を一定にすることができない。
【0021】
本発明は、このような実情を鑑みてなされたものであり、サーボ制御を行わずに、モード切換モータにより磁気ヘッド等のモードを切り換えを安定的に行うことのできるテープカセットの記録及び/又は再生装置を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために、本発明に係る記録及び/又は再生装置は、記録媒体の駆動機構並びに記録媒体に信号の記録及び/又は再生をする記録再生部の動作位置を移動させて動作モードを切り換えるモード切換機構を有する記録及び/又は再生装置であって、上記モード切換機構を駆動するモード切換モータと、バッテリから供給されるバッテリ電圧により上記モード切換モータを駆動するモード切換モータ駆動部と、上記バッテリ電圧を検出するバッテリ電圧検出部と、上記モード切換モータ駆動部に制御信号を供給して、記録媒体の駆動機構並びに記録媒体に信号の記録及び/又は再生を記録再生部を上記動作モードに対応した動作位置に移動させる制御を行う制御部とを備え、上記制御部は、バッテリ電圧検出部が検出したバッテリ電圧に基づき、制御信号としてPWM信号をモード切換モータに供給して、上記モード切換モータ駆動部からモード切換モータを駆動する駆動電圧を一定にすることを特徴とする。
【0023】
本発明に係る記録及び/又は再生装置では、検出したバッテリ電圧に基づき、制御信号としてPWM信号をモード切換モータに供給して、モード切換モータに供給する電圧を一定にする。
【0024】
また、本発明に係る記録及び/又は再生装置では、モード切換モータに供給するPWM信号のデューティをモード切換機構の動作量に基づき変化させて、モード毎の切り換え時間を安定化させる。
【0025】
また、本発明に係る記録及び/又は再生装置では、テープカセットに信号の記録及び/又は再生をするものであって、検出したバッテリ部の電圧に基づき、制御信号としてPWM信号をモード切換モータに供給して、モード切換モータに供給する電圧を一定にする。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る記録及び/又は再生装置が適用されたテープカセットレコーダについて図面を用いて詳細に説明する。このテープカセットレコーダは、通常のテープカセットの約4分の1程度の大きさを有する小型のテープカセットに音声信号を記録し、又は、このテープカセットから音声信号を再生するものである。
【0027】
本発明に係るテープカセットレコーダ30は、例えば図1及び図2に示すように、テープカセットの記録再生ユニット31と、この記録再生ユニット31に対し着脱自在に取り付けられるスピーカユニット32とから構成される。
【0028】
記録再生ユニット31は、外筐体が例えばアルミニウム(Al)等の金属材料により形成され、全体としてテープカセットの外形形状よりやや大きい直方体形となっている。
【0029】
記録再生ユニット31は、テープカセットに収納された磁気テープに音声信号の記録及び/又は再生をする記録再生部35を有する本体33と、本体33に取り付けられ開閉自在に回動する蓋体34とから構成される。この記録再生部35にはテープカセットが装填され、テープカセットに収納された磁気テープを走行させるリール軸、キャプスタン軸、ピンチローラ等や、磁気テープから音声信号の記録又は再生をする磁気ヘッド等を有している。また、蓋体34は、本体33にこの記録再生部35を閉塞するように取り付けられ、内側にはテープカセットを保持するカセットホルダ36が設けられている。
【0030】
本体33には、その前面側に、テープカセットの磁気テープに音声信号を記録する操作を行うための操作入力ボタンである録音ボタン41と、録音又は再生動作を一時停止させるための操作入力ボタンである一時停止ボタン42とが設けられている。これらの操作入力ボタンは、押圧操作されると、本体33内に設けられた詳細は後述するマイクロコントローラにオン信号を供給する。
【0031】
また、本体33には、一方の側面部に、テープスピード切換えつまみ43、音量つまみ44、イヤホン/マイクジャック45が設けられている。そして、この側面部には、録音状態時に限って点灯される動作識別ランプも設けられている。
【0032】
また、本体33には、蓋体34を回動させて記録再生部35を開放した状態にするための蓋体34のロック解除つまみ46が設けられている。このロック解除つまみ46は、例えばスプリングにより付勢され、本体33の図示しないロック爪が蓋体34の係合部に係合することにより、蓋体34が閉じた状態で保持する。また、ロック解除つまみ46は、この本体33のロック爪と蓋体34の係合部との係合を解除させることにより、上記スプリングの弾性力で蓋体34を開き記録再生部35を開放した状態にさせる。
【0033】
一方、蓋体34には、テープカセットの磁気テープの巻き戻し操作を行うための巻戻しボタン51と、早送りボタン52と、再生,録音等の動作を停止させる停止ボタン53と、再生動作を開始させる再生ボタン54とが設けられている。これら各操作入力ボタン51〜54は、上述した本体33の前面側に設けられた操作入力ボタンと同様に、押圧操作されると本体33内に設けられたマイクロコントローラにオン信号を供給する。
【0034】
また、蓋体34には、液晶表示パネル55が設けられている。この液晶表示パネル55には、装置の現状を示す例えば再生、録音状態を示すマーク、また、電源となる電池の残量表示を示すマークが表示されると共に、磁気テープの走行量を表示するテープカウンタが表示される。この液晶表示パネル55の電池の残量表示は、マイクロコントローラにより制御がされる。また、蓋体34には、装置の操作をホールドするためのホールドつまみと、磁気テープの進行状況を表示するカウンタのリセット操作を行うカウンタボタンが設けられている。
【0035】
スピーカユニット32は、記録再生ユニット31のイヤホン/マイクジャック45等が設けられていない反対側の側面に着脱自在に取り付けられる。このスピーカユニット32は、その内部にスピーカが備えられている。そして、スピーカユニット32は、記録再生ユニット31に取り付けられた場合に限って音声出力をする。
【0036】
記録再生ユニット31とスピーカユニット32は、それぞれ電源部を備えている。それぞれの電源部には、いわゆる市販の1次電池が1本ずつ装填できるように構成されている。この電源部からテープカセットレコーダ30の各電子回路に1.5ボルトの電源が供給される。
【0037】
つぎに、上述したテープカセットレコーダ30の制御回路について説明する。図3は、テープカセットレコーダ30の駆動制御回路を示すブロック図である。
【0038】
テープカセットレコーダ30は、内部にアナログ/デジタル変換器1aを有するマイクロコントローラ1と、このマイクロコントローラ1等に電源電圧を供給するシステム電源回路2と、装置のバッテリ電圧を供給する電池3と、装置の各電子回路にシステム電源回路2からの電源電圧を供給する電源供給回路4と、各操作入力スイッチが接続されるKEY入力回路5とを備える。また、テープカセットレコーダ30は、テープカセットのリール軸等を回転させ磁気テープを走行させる駆動モータを駆動するモータ駆動回路7と、モード切換モータ10を駆動するモード切換モータ駆動回路8及びモード切換モータブレーキ回路9と、モードポジションスイッチ11とを備える。
【0039】
マイクロコントローラ1は、例えばいわゆる中央処理装置(CPU)からなり、市販のIC(Integrated Circuit)により実現できる。また、このマイクロコントローラ1は、所定の処理プログラムを記憶するメモリを有する。マイクロコントローラ1は、この処理プログラムに基づいて、テープカセットレコーダ30に備える各電子回路を制御する。
【0040】
また、このマイクロコントローラ1は、アナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換器1aを備える。このアナログ/デジタル変換器1aには、後述するKEY入力回路5から出力されるアナログ信号と電池3からのバッテリ電圧が入力される。アナログ/デジタル変換器1aは、このKEY入力回路5から出力されるアナログ信号と電池3からのバッテリ電圧をデジタルデータに変換する。マイクロコントローラ1は、このデータに基づき処理及び制御を行う。なお、アナログ/デジタル変換器1aは、入力段に例えばデマルチプレクサを有し、KEY入力回路5から出力されるアナログ信号と電池3からのバッテリ電圧を選択的に検出する。
【0041】
システム電源回路2は、直流電圧の電圧変換をするいわゆるDC−DCコンバータである。このシステム電源回路2には、いわゆる市販の1次電池である電池3の1.5ボルトのバッテリ電圧が入力され、この1.5ボルトのバッテリ電圧を3ボルトの電源電圧に変換する。また、システム電源回路2は、例えばスイッチングレギュレータにより構成されることにより、電池3のバッテリ電圧が変動しても安定した3ボルトの電源電圧を出力することができる。このシステム電源回路2から出力される3ボルトの電源電圧は、マイクロコントローラ1に供給される。また、システム電源回路2は、電源供給回路4を介してテープカセットレコーダ30に備える各電子回路に3ボルトの電源電圧を供給する。
【0042】
電源供給回路4は、システム電源回路2から供給される3ボルトの電源電圧をテープカセットレコーダ30に備える各電子回路に供給する。この電源供給回路4は、マイクロコントローラ1によるパワーダウン制御信号に基づき各電子回路への電源電圧の供給を制御する。例えば、このテープカセットレコーダ30が所定時間の間何等動作せずまた何等操作入力が無い場合、各電子回路への電源電圧の供給を停止する。そして、この電源電圧の供給の停止中に操作入力等があった場合、各電子回路に電源電圧の供給をする。テープカセットレコーダ30は、この電源供給回路4が電源電圧の供給を制御することにより、消費電力の節約が図られる。
【0043】
KEY入力回路5は、本体33及び蓋体34に設けられた各操作入力ボタンである録音ボタン41,一時停止ボタン42,巻戻しボタン51,早送りボタン52,停止ボタン53,再生ボタン54からの信号が供給される。これらの各操作入力ボタンが押圧されるとON信号がこのKEY入力回路5に供給される。このKEY入力回路5は、各操作入力ボタンからのON信号をそれぞれ重みを変えたアナログ信号に変換してマイクロコントローラ1のアナログ/デジタル変換器1aに供給する。つまり、KEY入力回路5は、例えば抵抗のR−2Rラダー回路等により各スイッチに対応して所定ステップ単位の電流値を出力させ、その電流値を電圧値に変換してアナログ/デジタル変換器1aに供給するといったものである。
【0044】
なお、各操作入力ボタンからの信号は、このようなKEY入力回路5を用いずに直接マイクロコントローラ1のデジタル入力端子に供給するものであっても良い。
【0045】
モータ駆動回路7は、テープカセットに収納された磁気テープを走行させるためのリール軸及びキャプスタン軸等を回転させる駆動モータに駆動電流を供給する回路である。このモータ駆動回路7は、マイクロコントローラ1により制御される。このマイクロコントローラ1は、モータ駆動回路7に対して、例えばモータのON/OFFのコントロール信号、モータの回転方向のコントロール信号、モータのスピードのコントロール信号等を供給する。モータ駆動回路7は、これらの制御信号に対応して、モータのON/OFFをし、早送り,再生等で異なるモータの回転速度を可変し、また、再生方向で異なるモータの回転方向の切換をする。
【0046】
モード切換モータ駆動回路8は、テープカセットの磁気テープに信号の記録又は再生をする磁気ヘッドやピンチローラのモード切換をするモード切換モータ10に駆動電流を供給する回路である。このモード切換モータ駆動回路8は、マイクロコントローラ1からのPWM(Palse width moduration)信号により制御される。例えば、モード切換モータ駆動回路8は、テープカセットレコーダ30の蓋体34に設ける再生ボタン54が押圧されると、このマイクロコントローラ1からPWM制御信号が供給され、この制御信号に基づいてモード切換モータ10を駆動する。なお、このモード切換についての詳細は後述する。
【0047】
モード切換モータブレーキ回路9は、モード切換モータ10が駆動していないとき、つまり、モード切換モータ駆動回路8からモード切換モータ10に駆動電流が供給されていないときに、モード切換モータ10のコイルの両端を短絡する回路である。例えば、モード切換モータ10が駆動状態から駆動を停止する際に、モード切換モータブレーキ回路9がコイルの両端を短絡することにより、急峻に動作を停止することができる。
【0048】
モード切換モータ10は、上述したようにモード切換モータ駆動回路8及びモード切換モータブレーキ回路9に駆動制御される。このモード切換モータ10は、磁気ヘッドやピンチローラ等の動作位置の移動をさせる。この磁気ヘッドやピンチローラ等の動作位置の移動は、このモード切換モータ10から所定の伝達ギヤ、カムギヤ、スライダ等のモード切換機構を介して行われる。
【0049】
モードポジションスイッチ11は、後述する各モードを検出するスイッチである。例えば、モードポジションスイッチ11は、上述したモード切換モータ10により駆動されるカムギヤの回転位置を検出し、この検出信号をマイクロコントローラ1に供給する。このテープカセットレコーダ30は、モード1〜モード4までの4つのモードを有して磁気ヘッド等の位置を移動させている。モードポジションスイッチ11は、上述した磁気ヘッド等がモード1〜モード4のいずれのポジションにあるか検出し、マイクロコントローラ1にこの検出信号を供給する。
【0050】
このテープカセットレコーダ30は、モード1〜モード4までの4つのモードを有して磁気ヘッド等の位置を移動させている。モードポジションスイッチ11は、上述した磁気ヘッド等がモード1〜モード4のいずれのポジションにあるか検出し、マイクロコントローラ1にこの検出信号を供給する。
【0051】
ここで、モード切換によって移動される磁気ヘッド等の動作位置を、図4に示すテープカセットと磁気ヘッド及びピンチローラの関係を示す模式図を用いて説明する。テープカセットレコーダ30は、モード切換モータ10を駆動して磁気ヘッド等の位置をモード1からモード4までの4つのモード位置に切り換えている。このテープカセットレコーダ30は、図4に示すように、フォワード再生(記録)磁気ヘッド62及びリバース再生(記録)磁気ヘッド61の2つの磁気ヘッドと、この2つの磁気ヘッドの中心にキャプスタン軸59とピンチローラ63を有するものである。また、テープカセットには、長辺部分の側面部にこの2つの磁気ヘッド61,62とピンチローラ63を外方に臨んだ開口部が、2つの磁気ヘッド61,62とピンチローラ63に対応して形成されている。
【0052】
モード1では、図4(a)に示すように、リバース再生(記録)磁気ヘッド61がテープカセットの開口部から進入して磁気テープと接触している。また、フォワード再生(記録)磁気ヘッド62は、テープカセットの開口部から退出して磁気テープから離脱している。また、ピンチローラ63は、対応する開口部から進入して上記キャプスタン軸59と磁気テープを介して圧接している。このモード1においては、キャプスタン軸59とピンチローラ63により磁気テープを定速走行させて、上記リバース再生(記録)磁気ヘッド61を介して磁気テープにリバース方向の音声信号の記録又は再生を行う。
【0053】
また、モード2及びモード3では、図4(b)及び図4(c)に示すように、フォワード再生(記録)磁気ヘッド62及びリバース再生(記録)磁気ヘッド61は、両者とともにテープカセットの開口部から退出して磁気テープから離脱している。また、ピンチローラ63も、また、テープカセットの開口部から離脱してキャプスタン軸59と圧接していない。このモード2及びモード3においては、磁気テープをテープリールに高速で巻き取る早送り及び巻き戻しを行う。また、このモード2及びモード3はいわゆる停止モードの状態であり、このモードでテープカセットの装填及び取出しが行える。
【0054】
モード4では、図4(d)に示すように、フォワード再生(記録)磁気ヘッド62がテープカセットの開口部から進入して磁気テープと接触している。また、リバース再生(記録)磁気ヘッド61は、テープカセットの開口部から退出して磁気テープから離脱している。また、ピンチローラ63は、対応する開口部から進入して上記キャプスタン軸59と磁気テープを介して圧接している。このモード4においては、キャプスタン軸59とピンチローラ63により磁気テープを定速走行させて、上記フォワード再生(記録)磁気ヘッド61を介して磁気テープにフォワード方向の記録及び再生を行う。
【0055】
このテープカセットレコーダ30は、モード1〜モード4の各モードをモード切換モータ10により、モード1、モード2、モード4、モード3、モード1、モード2、モード4・・・の順で切り換えている。なお、このモード切換モータ10の回転方向は反転はしない。例えば、フォワード方向の再生を行っている状態からリバース方向の再生をする場合は、モード4からモード1に切り換える。また、モード3の停止状態からフォワード方向の再生をする場合は、モード3からモード1及びモード2を通過してモード4に切り換える。
【0056】
なお、このモード切換モータ10が行うモード切換は、磁気ヘッド61,62及びピンチローラ63のモード切換のみではなく、駆動モータの回転動作をリール軸及びキャプスタン軸等に伝達する伝達ギアの位置等のモードの切換も行う。
【0057】
つぎに、上述したマイクロコントローラ1の制御内容を図5に示すフローチャートを用いて以下に説明する。
【0058】
テープカセットレコーダ30は、各操作入力ボタンが押圧されると、その押圧操作された内容に基づいて上述したモードの切り換えを行う。このモードの切り換えは、モード切換モータ駆動回路8が、電池3のバッテリ電圧により駆動されるモード切換モータ10を制御することにより行われる。このとき、マイクロコントローラ1は、モード切換モータ駆動回路8にPWM信号を供給してモード切換モータ10のスピードコントロールをする。マイクロコントローラ1は、電池3のバッテリ電圧を検出してPWM信号を制御し、モード切換モータ10のスピードをコントロールする。このことにより、例えば、電池3の電圧が減電したり、過電圧を生じたりしたときであってもモード切換の時間を一定化することができる。以下、この制御内容について説明する。
【0059】
マイクロコントローラ1は、各操作入力ボタンが押圧されると、図5に示すステップS1からの処理を開始する。
【0060】
ステップS1において、マイクロコントローラ1は、モード切換モータ10が駆動されている電池3のバッテリ電圧を、アナログ/デジタル変換器1aにより検出する。
【0061】
ステップS2において、このアナログ/デジタル変換器1aにより検出した電池3のバッテリ電圧が所定電圧以下であるか、かつ、停止ボタンが押圧されたかを判断する。所定電圧以下であるか、かつ、停止ボタンが押圧されたと判断しない場合は、処理を終了して操作入力を受けつけなくなる。
【0062】
ここで、所定電圧以下であるかどうかを判断するのは、電池3からのバッテリ電圧が異常上昇している場合などがあるからである。例えば、このテープカセットレコーダ30は市販の1次電池等が装填され標準1.5ボルトの電圧で駆動されるのであるが、使用者が誤って違う規格の電池を装填した場合や複数の電池を直列接続した場合などがあるからである。このような場合は、操作入力を受けつけずモード切換をしないようにしている。特に、このテープカセットレコーダ30では、電池3のバッテリ電圧が1.9ボルト以上のときに操作入力を受けつけないようにしている。
【0063】
また、このような場合であっても、停止ボタンが押圧された場合は、処理を終了せずモードの切り換えを行う。これは、電池3からのバッテリ電圧が異常上昇している場合であっても、停止処理を受けつけなければ、記録又は再生等の動作が継続してしまいテープカセットレコーダ30の動作異常や破壊につながるからである。
【0064】
ステップS2において、電圧が所定電圧以下であるか、かつ、停止ボタンが押圧されたと判断した場合は、ステップS3に進む。
【0065】
ステップS3において、モード切換の動作を高速動作で行うかを判断する。このテープカセットレコーダ30では、モード切換モータ10が行うモード切換の動作を高速動作と通常動作に分けて行っている。このテープカセットレコーダ30がモードの切り換えを高速動作と通常動作に分けて行っているのは、以下に示す理由からである。
【0066】
テープカセットレコーダ30では、上述したようにモード1からモード4までの4つのモードを切り換えてモードの切り換えを行っている。モード1からモード2、或いは、モード2からモード3に切り換える場合は、移動距離が比較的に短いため、モードの切り換え時間はあまり問題にならない。ところが、モード2からモード1に切り換える場合やモード3からモード4に切り換える場合などは移動距離が多く、そのモードの切り換え時間が長くなり問題となる。従って、モード1からモード2、或いは、モード2からモード3に切り換えるといったモード移動が1つ分或いは2つ分のモード切換の場合と、モード2からモード1に切り換えをする場合やモード3からモード4に切り換えをするといったモード移動が3つ分のモード切換の場合とで通常動作と高速動作とを分けてスピード制御を行っている。
【0067】
そして、ステップS3で高速動作をすると判断する場合はステップS4に進み、通常動作をすると判断する場合はステップS5に進む。
【0068】
ステップS4及びステップS5では、図6及び図7に示す変換パレットを用いて、モード切換モータ駆動回路8に供給するPWM信号を求める。この変換パレットは、マイクロコントローラ1のメモリ内に予め設定してある。
【0069】
ステップS4において、ステップS1で求めた電池3のバッテリ電圧から高速動作時のモード切換モータ駆動回路8に供給するPWM信号のPWM値を求める。この変換は、図6に示すように、電池3の電圧に対応したPWM値を予め変換パレットとして設定しておき、この変換パレットからPWM値を求める。ここで、この図6に示す変換パレットの縦軸のPWM値とは、PWM信号でオン信号が供給されるカウント値を示している。具体的には、マイクロコントローラ1からモード切換モータ駆動回路8に供給されるPWM信号は、図8に示すように、デューティが15カウントで分割されており、上述したPWM値がオンのカウント数に対応するようになっている。例えば、PWM値が10であれば、図8(a)に示すように、オン信号のカウントが10となりオフ信号のカウントが5となり、1周期のカウントが15のPWM信号となる。また、PWM値が5であれば、図8(b)に示すように、オン信号のカウントが5となりオフ信号のカウントが10となり、1周期のカウントが15のPWM信号となる。なお、PWM信号の発信器は、マイクロコントローラ1の内部に有している。
【0070】
また、ステップS5においても、ステップS4と同様に通常動作時のPWM信号のPWM値を求める。この変換パレットは、図7に示すように、上述した高速動作時のものと比較し、電池3に対応するPWM値が低い値になっている。このため、電池3の電圧が同じであっても、高速動作と通常動作ではモード切換モータ10のモード切換の時間は異なったものとなる。なお、この変換パレットより求められるPWM値は、モード切換機構やモード切換モータ10の特性等により異なるもので、実験的に最適値を求めるものである。
【0071】
ステップS4及びステップS5でPWM値を求めると、ステップS6において、このPWM値に対応したPWM信号をマイクロコントローラ1のPWM発信器から、モード切換モータ駆動回路8に供給する。モード切換モータ駆動回路8は、このPWM信号に基づいて供給する電池3のバッテリ電圧を制御し、駆動電流モード切換モータ10に供給する。そして、モード切換モータ10がモード切換を終え、磁気ヘッド等のセットアップをすると処理を終了する。
【0072】
従って、ステップS1からステップS6までの処理を行うことにより、モード切換モータ10を駆動する電池3のバッテリ電圧が変動しても、モード切り換えモータ駆動回路8の駆動電圧は定電圧となり、モード切換の時間を安定化することができる。また、高速動作と通常動作を分けてモード切換モータ10の駆動をすることにより、モード毎の切り換え時間が一定にすることができる。
【0073】
以上のように、このテープカセットレコーダ30では、モード切換モータ10を駆動する電池3のバッテリ電圧が変動しても、モード切換の時間を安定化することができる。また、高速動作と通常動作を分けてモード切換モータ10の駆動をすることにより、モード毎の切り換え時間が一定にすることができ、操作性の向上を図ることができる。
【0074】
また、このテープカセットレコーダ30では、モード切換モータに供給するPWM信号のデューティをモード切換機構の動作量に基づき変化させて、モード毎の切り換え時間を安定化させることができる。
【0075】
以上、通常のテープカセットの約4分の1の大きさを有するテープカセットのテープカセットレコーダ30について詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば光ディスク、光磁気ディスク等の円盤状記録媒体が回転自在に収納されたディスクカートリッジの記録及び/又は再生装置に適用してもよい。また、小型の記録及び/又は再生装置のみならず通常の大きさを有した記録及び/又は再生装置に適用してもよいのは勿論である。
【0076】
つぎに、上述したテープカセットレコーダ30のモードポジションスイッチ11及びモード切換機構等の具体的な実施例について、図面を用いて以下に説明する。
【0077】
テープカセットレコーダ30のモード切換え機構は、図9に示すように、メカシャーシ64上に、モード切換モータ10と、この切換モータ10の駆動軸に取り付けられるピンオンギヤ66と、このピンオンギヤ66に噛合される伝達ギヤ67と、この伝達ギヤ67に噛合されるウォームギヤ68とを有する。そして、このウォームギヤ68には、大径のギヤ部69aと小径のギヤ部69bが構成された第1の中間ギヤ69の大径の歯部69aが噛合される。小径の歯部69bには、第2の中間ギヤ70が噛合され、この第2の中間ギヤ70は、第3の中間ギヤ71に噛合される。この第3の中間ギヤ71は、第4の中間ギヤ72に一体に設けられた大径のギヤ部72aに噛合される。そして、第4の中間ギヤ72に一体に設けられた小径のギヤ部72bには、カムギヤ73が噛合される。
【0078】
このカムギヤ73は、図9及び図10に示すように、メカシャーシ64に植立された支軸74により軸支され、第4の中間ギヤ72により回転される。このカムギヤ73には、一方の主面に磁気ヘッド61、62の操作を行う第1のカム溝75が設けられ、他方の主面には、磁気テープが高速走行されるモード2又はモード3時にリール軸55、56を回転させるリール軸回転ギヤ107、108を選択するための第2のカム溝76が設けられている。第1のカム溝75には、連結レバー135の凸部136が填め込まれる。そして、ここで、凸部136は、図10で示す第1のカム溝75の斜線で示す各モードの位置において、カムギヤ73が停止する。また、第2のカム溝76には、モード切換スライダ101の支持ピン104が填め込まれる。そして、この支持ピン104は、図10に示す第2のカム溝76の斜線で示す各モードの位置でカムギヤ73が停止する。また、カムギヤ73には、穴部79が設けられている。この穴部79には、図11に示すように、上記モード1、モード2、モード3、モード4の各状態をカムギヤ73の回転角により検出する位置検出スイッチ81が取り付けられる。なお、この位置検出スイッチ81は、上述したモードポジションスイッチ11を具体的に実現したスイッチである。
【0079】
この位置検出スイッチ81は、図11に示すように、プリント基板82に取り付けられる。この位置検出スイッチ81は、図12乃至図14に示すように、プリント基板82に固定される円盤状の基台83と、この基台83に回転自在に取り付けられる回転体84とから構成される。基台83には、図12に示すように、円周方向に、モード1に対応したモード1用固定接点部85と、モード2に対応したモード2用固定接点部86と、モード3に対応したモード3用固定接点部87と、モード4に対応したモード4用固定接点部88とが形成されてる。また、基台83の一側縁には、並列してプリント基板82へ電気的接続を図るための端子89〜93が設けられている。そして、モード1用固定接点部85は、周回りに形成されたパターンにより外側の端子89に接続され、モード2用固定接点部86は、同じく周回りに形成されたパターンにより外側の端子90に接続される。また、モード3用固定接点部87は、パターンにより端子91に接続され、モード4用固定接点部88は、パターンにより端子92に接続されている。さらには、基台83には、各固定接点85〜88の内周側に円環状のGND用の固定接点部94が設けられ、この固定接点部94は、端子93にパターンを介して接続されている。また、固定接点部94の内周側の中央部には、回転体84を支持する支軸95が設けられている。なお、基台83には、これら固定接点部85〜88、94が設けられない領域は絶縁領域が形成されている。
【0080】
また、回転体84は、図13に示すように、基台83に設けられた支軸95が挿通される軸穴95が設けられている。これにより、回転体84は、回転自在に支持される。また、回転体84の裏面には、金属板98よりなる端子96、97が設けられている。端子96は、回転体84の外周側に設けられ、上記モード1〜4用の固定接点部85〜88に接触される。端子97は、回転体84の内周側に設けられ、GND用の固定接点部94に接触される。また、この回転体84は、図14に示すように、表面に凸部99が設けられている。この凸部99は、上述したカムギヤ73の穴部79に嵌合される。
【0081】
このような検出スイッチ81は、カムギヤ73が回転されることにより、回転体84が図14中矢印X1方向に回転することにより、端子96が順次モード1〜4用の固定接点部85〜88に接触し導通が図られることにより各モードの状態が検出される。
【0082】
また、メカシャーシ64には、上記図9に示すように、各モードを切り換えるモード切換スライダ101が取り付けられている。このモード切換スライダ101は、メカシャーシ64の前面側の長手方向に亘ってスライド自在に取り付けられている(図9中矢印X3方向、X4方向)。具体的には、このモード切換スライダ101には、2カ所にスリット102a、102bが設けられている。そして、スリット102a、102bには、ガイドピン103a、103bが挿通されることにより、モード切換スライダ101をメカシャーシ64の長手方向のスライドをガイドする。そして、モード切換スライダ101は、これに一体に設けられた支持ピン104がカムギヤ73に設けられた上述の第1のカム溝75に填め込まれる。したがって、モード切換スライダ101は、モード切換モータ10が駆動されカムギヤ73が図9中矢印X3方向に回転されると、各モードに対応して矢印X3方向、X4方向にスライドすることになる。
【0083】
また、モード切換スライダ101には、カムギヤ73の下側に対応する場所に支軸105が設けられている。この支軸105には、モード1又はモード4時の磁気テープの定速走行を行う際リール軸を回転させるリール軸回転ギヤ107、108を選択するための連結部材106が図9中矢印X5方向又は矢印X6方向に回動自在に取り付けられている。また、この連結部材106は、リール軸回転ギヤ107と同軸にして取り付けられている。このような連結部材106は、モード切換スライダ101が矢印X3方向、X4方向にスライドすることにより矢印X5方向又は矢印X6方向に回動する。そして、連結部材106には、リール軸回転ギヤ107近傍に所定の間隔離間して設けられた一対のストッパ片109a、109bが設けられている。これらストッパ片109a、109bの間には、リール軸回転ギヤ107、108の何れかを選択する回動基台111に設けられた係止片112が配置される。
【0084】
この回動基台111は、支軸113に軸支され、図9中矢印X7方向、矢印X8方向に回動可能にされている。そして、この回動基台111には、支軸113を回転軸とする主動ギヤ114が取り付けられている。この主動ギヤ114は、第1のギヤ部114aと第2のギヤ部114bとが一体に形成されている。第1のギヤ部114aは、磁気テープを高速走行させるモード2又はモード4時にリール軸回転ギヤ107、108の何れか一つを回転させるメインギヤ117の第2のギヤ部117bと噛合される。また、第2のギヤ部114bには、主動ギヤ114の両隣に取り付けられる従動ギヤ115、116と噛合される。
【0085】
このような主動ギヤ114及び従動ギヤ115、116が取り付けられた回動基台111は、連結部材106が矢印X6方向に回動されると、ストッパ片109aにより係止片112押されて矢印X8方向に回動され、リール軸回転ギヤ107と従動ギヤ115が噛合される。この状態は、磁気テープの逆転方向の定速走行させるモード1の状態とされる。
【0086】
また、回動基台111は、連結部材106が矢印X5方向に回動されると、ストッパ片109bにより係止片112が押されて矢印X7方向に回動され、リール軸回転ギヤ108と従動ギヤ116が噛合される。この状態は、磁気テープの正転方向の定速走行させるモード4の状態とされる。
【0087】
さらには、この回動基台111は、係止片112が連結部材106が回動されストッパ片109a、109bの何れにも押されない状態においては、回動基台111が連動して回動し従動ギヤ115、116がリール軸回転ギヤ107、108の何れにも噛合されない状態とされる。この状態は、磁気テープが高速走行されるモード2及びモード3の状態とされる。すなわち、主動ギヤ114の第1のギヤ部114aのみが、磁気テープを高速走行させるモード2又はモード4時にリール軸回転ギヤ107、108の何れか一つを回転させるメインギヤ117の第2のギヤ部117bと噛合される。
【0088】
また、カムギヤ73には、図9に示すように、第2のカム溝76に、磁気テープを高速走行させるモード2及びモード3においてリール軸回転ギヤ107、108を何れかを選択する第2の選択手段を構成する連結レバー135が取り付けられている。この連結レバー135は、一方の端部に設けられた凸部136が第2のカム溝76に填め込まれ、中央部がフライホイールギヤ110を支持する支軸120に軸支される。したがって、このような連結レバー135は、図9中矢印X9方向、矢印X10方向に回動されることになる。他方の端部は、ギヤの取付け面として構成され、メインギヤ117が軸支される。このメインギヤ117は、大径の第1のギヤ部117aと小径の第2のギヤ部117bが一体に形成されている。第1のギヤ部117aは、X9方向、X10方向の回動動作する場合においても、常時、フライホイールギヤ110に噛合されてる。また、第1のギヤ部117aは、カムギヤ73がX2方向に回転されることにより、連結レバー135がX8方向に回動された際には、リール軸回転ギヤ107に噛合され、連結レバー135がX10方向に回動された際には、リール軸回転ギヤ108に噛合され、リール軸回転ギヤ107、108をそれぞれ回転させ、磁気テープを高速走行させる。第2のギヤ部117bは、主動ギヤ114の第1のギヤ部114aに常時噛合されている。このフライホイールギヤ110は、図9に示すように、連結レバー135を支持する支軸120と共に回転自在に軸支されている。そして、このフライホイールギヤ110の上側には、同軸にしてフライホイール130が固定して取り付けられている。フライホイール130は、無端ベルト131を介して駆動モータ132に接続されている。さらには、この支軸120は、キャプスタン軸59となる。
【0089】
また、メカシャーシ64の前面側には、その両側に磁気ヘッド61、62が取り付けられている。なお、二つの磁気ヘッドは、支持方法を同じくするため、以下、磁気ヘッド61について図15乃至図17を用いて詳細に説明する。
【0090】
磁気ヘッド61は、図15に示すように、メカシャーシ64上に植立された支軸118を回動支点として回動される磁気ヘッド用支持アーム119により支持される。そして、この磁気ヘッド用支持アーム119には、一方の面側に磁気ヘッド61が取り付けられた磁気ヘッド支持部材121がネジ止めされて固定されている。また、磁気ヘッド用支持アーム119には、磁気ヘッド61が取り付けられない側の他方の面の三カ所にボス122a、122b、122cが設けられている。これらボス122a、122b、122cは、図15に示すように、様々な段差を有する磁気ヘッド用支持アーム119の面から基準面となるメカシャーシ64までの間隔に対応した高さを有して設けられている。
【0091】
このように磁気ヘッド61が支持された磁気ヘッド用支持アーム119は、図16及び図17に示すように、支軸118に支持される。すなわち、メカシャーシ64には、図17に示すように、軸径を最も大きくする第1の基台118aと、この基台118a上にこの第1の基台118aの軸径よりやや小さな軸径を有する第2の基台118bと、この基台118上に最も軸径を小さくする軸部118cとから構成される。一方、磁気ヘッド用支持アーム119には、この支軸118が挿入される円筒状のスリーブ123が設けられている。このスリーブ123は、その穴径が軸部118cとほぼ同じくして開口され、支軸118の根本部に対応する側の側縁部は、第1の基台118aと第2の基台118bにより構成される段差に対応して段差を有して形成される。そして、磁気ヘッド用支持アーム119が支軸118に挿入されると、スリーブ123の外周側に捻りコイルバネ124が取り付けられる。この捻りコイルバネ124は、一方の端部がメカシャーシ64の側縁に立ち上がって設けられた立上がり壁125に設けられた係止部126に係止され、他方の端部が磁気ヘッド用支持アーム119に植立して形成された支持ピン127に係止される。そして、この捻りコイルバネ124は、その上端がワッシャ128により収縮された状態で止められ取り付けられる。
【0092】
したがって、磁気ヘッド用支持アーム119は、支軸118に軸支されることで縦方向及び横方向の位置決めがされ、捻りコイルバネ124の弾性力により下方向に押圧されることで高さ方向の位置決めをしている。捻りコイルバネ124による高さ方向の位置決めは、上述した磁気ヘッド61が取り付けられない側の他方の面に設けられたボス122a、122b、122cを介して磁気ヘッド用支持アーム119が着実に基準面となるメカシャーシ64に押圧されることにより着実に行われる。また、ボス122a、122b、122cは、支軸118を中心にして分散して設けられていることから、均等に押圧力が加わり磁気ヘッド用支持アーム119をメカシャーシ64に対し平行な状態で支持することができる。すなわち、磁気ヘッド用支持アーム119の取り付けは、縦横方向の位置決めが支軸118により行われ、高さ方向の位置決めが捻りコイルバネ124により行われることになる。また、この捻りコイルバネ124は、図14に示すように、一方の端部が立上がり壁125に設けられた係止部126に係止され、他方の端部が磁気ヘッド用支持アーム119に植立して形成された支持ピン127に係止されることから、磁気ヘッド用支持アーム119に支持された磁気ヘッド61を図13中矢印X11方向に付勢する。
【0093】
さらには、磁気ヘッド用支持アーム119には、図15に示すように、ボス122a、122b、122cの設けられる面に支持ピン129が植立されている。この支持ピン129は、モード切換スライダ101に設けられたカム面に押圧され磁気ヘッド用支持アーム119を図15中矢印X12方向に回動させる。
【0094】
このように支持される磁気ヘッド61、62は、各モードにおいて次のような状態にされる。先ず、モード1においては、図18に示すように、磁気テープの逆転方向の走行時に用いられる逆転用磁気ヘッド61がテープカセットの記録再生用開口部よりカセット本体内に進入した状態にある。すなわち、図18に示すように、主動ギヤ114及び従動ギヤ115、116が取り付けられた回動基台111は、連結部材106が矢印X6方向に回動されると、ストッパ片109aにより係止片112押されて矢印X8方向に回動され、リール軸回転ギヤ107と従動ギヤ115が噛合される。一方、カムギヤ73の第1のカム溝75と接続された連結レバー135に取り付けられたメインギヤ117の第1のギヤ部117aは、リール軸回転ギヤ107、108の何れにも噛合されず、フライホイールギヤ110にのみ噛合された状態にある。メインギヤ117の第2のギヤ部117bは、主動ギヤ114の第1のギヤ部114aに噛合されている。したがって、リール軸回転ギヤ107は、駆動モータ132が駆動されることにより、無端ベルト130、フライホイール130を介して回転されるフライホイール130が回転され、これによりメインギヤ117を介して主動ギヤ114が回転され、従動ギヤ115が回転されることにより回転される。これにより、テープカセットの磁気テープの記録及び/又は再生が行われる記録再生部53内のリール軸55、56が回転されることになる。
【0095】
この時、磁気ヘッド61、62は、図18に示すような状態とされる。すなわち、モード切換スライダ101には、三段の段差を有して構成されたカム面133、134が設けられている。このカム面133、134には、磁気ヘッド用支持アーム119の他方の面に設けられた支持ピン129、129が当接されている。そして、このカム面133、134の当接された支持ピン129、129は、モード切換スライダ101が矢印X3方向又はX4方向にスライドされることにより、第1の位置と、これより一段上がった第2の位置とさらにこれより一段上がった第3の位置に亘って移動することにより、磁気ヘッド61、62が矢印X11又は矢印X12方向に回動されることになる。ここで、支持ピン129が第1の位置にある時磁気ヘッド61、62は、カセット本体内に進入した状態とされ、第2及び第3の位置にある時は、カセット本体から待避した位置にされている。したがって、モード1の状態においては、磁気ヘッド61側の支持ピン129は、第1の位置にあり、磁気ヘッド61を矢印X11方向に回動させ記録再生部53のカセット本体内に進入した状態にされる。一方、磁気ヘッド62側の支持ピン129は、第3の位置にあり、磁気ヘッド62を矢印X12方向に回動されカセット本体内より待避した状態にある。
【0096】
次に、モード2においては、図19に示すように、磁気ヘッド61、62及びピンチローラ63がカセット本体内から待避した状態にある。すなわち、回動基台111は、連結部材106が矢印X6方向に回動されると、ストッパ片109a、109bの何れにも押されない状態になり、これに併せて従動ギヤ115、116がリール軸回転ギヤ107、108の何れにも噛合されない状態とされる。一方、カムギヤ73の第1のカム溝75と接続された連結レバー135に取り付けられたメインギヤ117の第1のギヤ部117aは、フライホイールギヤ110に噛合されると共に、矢印X10方向に回動されることにより、リール軸回転ギヤ108に噛合された状態にある。メインギヤ117の第2のギヤ部117bは、主動ギヤ114の第1のギヤ部114aに噛合されている。すなわち、リール軸回転ギヤ108は、従動ギヤ116により回転されるのではなく、メインギヤ117の第1のギヤ部117aにより回転されることになる。
【0097】
この際、磁気ヘッド61、62は、図19に示すような状態とされる。すなわち、磁気ヘッド61側の支持ピン129は、モード切換スライダ101が矢印X4方向にスライドされることにより、第1の位置から第2の位置に移動し、磁気ヘッド61がカセット本体から待避された状態にされる。一方、磁気ヘッド62側の支持ピン129は、第3の位置から第2の位置に近い第3の位置に移動される。したがって、磁気ヘッド61、62共にカセット本体から待避した状態とされる。
【0098】
次に、モード4においては、図20に示すように、磁気テープの正転方向の走行時に用いられる正転用磁気ヘッド62がテープカセットの記録再生用開口部よりカセット本体内に進入した状態にある。すなわち、回動基台111は、連結部材106が矢印X6方向に回動されると、ストッパ片109bにより係止片112が押されて矢印X7方向に回動され、リール軸回転ギヤ108と従動ギヤ116が噛合される。一方、カムギヤ73の第1のカム溝75と接続された連結レバー135に取り付けられたメインギヤ117の第1のギヤ部117aは、矢印X6方向に回動され、リール軸回転ギヤ107、108の何れにも噛合されず、フライホイールギヤ110にのみ噛合された状態にある。メインギヤ117の第2のギヤ部117bは、主動ギヤ114の第1のギヤ部114aに噛合されている。したがって、リール軸回転ギヤ107は、駆動モータ132が駆動されることにより、無端ベルト130、フライホイール130を介して回転されるフライホイール130が回転され、これによりメインギヤ117を介して主動ギヤ114が回転され、従動ギヤ116が回転されることにより回転される。
【0099】
この時、磁気ヘッド61、62は、図20に示すような状態とされる。すなわち、モード切換スライダ101が矢印X4方向にスライドされることにより、磁気ヘッド61側の支持ピン129は、第2の位置から第3の位置に移動し、磁気ヘッド61がカセット本体から待避された状態にされる。一方、磁気ヘッド62側の支持ピン129は、第3の位置から第1の位置、すなわち、カセット本体内に進入する位置に移動される。したがって、磁気ヘッド62は、矢印X11方向に回動され、記録再生部53のカセット本体内に進入した状態にされる。
【0100】
次に、モード3においては、図20に示すように、磁気ヘッド61、62がカセット本体内から待避した状態にある。すなわち、回動基台111は、連結部材106が矢印X5方向に回動されると、ストッパ片109a、109bの何れにも押されない状態になり、これに併せて従動ギヤ115、116がリール軸回転ギヤ107、108の何れにも噛合されない状態とされる。一方、カムギヤ73の第1のカム溝75と接続された連結レバー135に取り付けられたメインギヤ117の第1のギヤ部117aは、フライホイールギヤ110に噛合されると共に、矢印X9方向に回動されることにより、リール軸回転ギヤ107に噛合された状態にある。メインギヤ117の第2のギヤ部117bは、主動ギヤ114の第1のギヤ部114aに噛合されている。すなわち、リール軸回転ギヤ107は、従動ギヤ115により回転されるのではなく、メインギヤ117の第1のギヤ部117aにより回転されることになる。
【0101】
この時、磁気ヘッド61、62は、図21に示すような状態とされる。すなわち、モード切換スライダ101が矢印X3方向にスライドされることにより、磁気ヘッド61側の支持ピン129は、第3の位置でも第2の位置側に移動し、磁気ヘッド61がカセット本体から待避された状態にされる。一方、磁気ヘッド62側の支持ピン129は、第1の位置から第2の位置、すなわち、カセット本体から磁気ヘッド62が待避した状態にされる。
【0102】
次に、メカシャーシ64の前面中央に設けられるピンチローラ63の支持機構について詳細に説明する。
【0103】
このピンチローラ63は、図22に示すように、一方の端部がメカシャーシ64の前面側コーナ部に植立された支軸141に図22中矢印X13方向、矢印X14方向に回動可能に支持される支持アーム142により支持される。すなわち、ピンチローラ63は、支持アーム142の他方の端部に設けられた支軸143に回転自在に支持される。また、この支持アーム142は、メカシャーシ64に図22中矢印X15方向、矢印X16方向に回動自在に取り付けられた回動アーム144より回動される。この回動アーム144は、支軸146を中心に回動される。この回動アーム144には、一方の端部に被押圧部147が設けられている。この被押圧部147は、回動アーム144に平行して位置するモード切換スライダ101に設けられた一対のカム片148、149に押圧され、矢印X15方向へ回動される。また、支持アーム142と回動アーム144とは、メカシャーシ64に植立された支軸141に取り付けられるトーションスプリング151により関係付けられている。すなわち、このトーションスプリング151は、一方の端部が回動アーム144に設けられたボス152に係止され、他方の端部が支持アーム142に設けられた係止部153に係止される。このようにトーションスプリング151は、回動アーム144を矢印X16方向に付勢すると共に支持アーム142をX13方向に付勢する。
【0104】
このように支持されるピンチローラ63は、モード1の状態においては、図22に示す状態にされる。このモード1では、磁気テープを逆転方向に定速走行がされ、記録又は再生が行われることから図4に示すように、磁気ヘッド61がカセット本体内に進入した状態にある。そして、モード1では、ピンチローラ63は、フライホイール130と同軸のキャプスタン軸59とにより磁気テープを狭持して磁気テープを逆転定速走行させる。ここで、モード切換スライダ101のカム片148は、トーションスプリング151により矢印X16方向に付勢されている回動アーム144の被押圧部147を押圧して矢印X15方向に回動させている。そして、これに伴い、支持アーム142は、トーションスプリング151により矢印X13方向に回動し、カセット本体内に進入した状態にされる。
【0105】
次に、ピンチローラ63は、モード2の状態において、図23に示すような状態にされる。このモード2は、図4及び図19に示すように、磁気テープの正転方向に走行する際の停止状態及び磁気テープの正転又は逆転方向の高速走行の状態である。したがって、ピンチローラ63は、磁気ヘッド61、62と共にピンチローラ63がカセット本体内から待避された状態にある。したがって、モード2では、モード切換スライダ101が図中矢印X4方向にスライドされ、被押圧部147がカム片148、149の間に位置し、これらに押圧されていない状態にある。これにより、回動アーム144は、トーションスプリング151により矢印X16方向に回動された状態にされる。これにより、支持アーム142は、トーションスプリング151により図中X14方向に回動されカセット本体内から待避された状態にされる。
【0106】
次に、このように支持されるピンチローラ63は、モード4の状態において、図24に示すような状態にされる。このモード4は、図4及び図20に示すように、磁気テープを正転方向に定速走行がされ、記録又は再生が行われることから磁気ヘッド62がカセット本体内に進入した状態にある。そして、モード4では、ピンチローラ63は、フライホイール130と同軸のキャプスタン軸59とにより磁気テープを狭持して磁気テープを正転定速走行させる。ここで、このモード4では、モード切換スライダ101が図中矢印X4方向にスライドされ、被押圧部147がカム片149により押圧され、回動アーム144が矢印X15方向に回動させている。そして、これに伴い、支持アーム142は、トーションスプリング151により矢印X13方向に回動し、カセット本体内に進入した状態にされる。
【0107】
なおモード3は、上述したモード2状態と同様に、磁気テープの逆転方向に走行する際の停止状態及び磁気テープの正転又は逆転方向の高速走行の状態であり、ピンチローラ63が磁気ヘッド61、62と共にピンチローラ63がカセット本体内から待避された状態にある。すなわち、この状態は、モード4の状態からモード切換スライダ101が図24中矢印X3方向にスライドされることにより上記モード2で説明した被押圧部147がカム片148、149の間に位置し、これらに押圧されていない状態になる。回動アーム144は、トーションスプリング151により矢印X16方向に回動された状態にされる。これにより、支持アーム142は、トーションスプリング151により図中X14方向に回動されカセット本体内から待避された状態にされる。
【0108】
このようなテープカセットレコーダ30は、磁気テープを駆動させる駆動モータ132の他に別途モード切換えモータ10を設けている。そして、このモード切換えモータ10は、カムギヤ73を回転させることにより、モード切換え機構を動作させ磁気ヘッド61、62及びピンチローラ63の昇降をさせると共にリール軸回転ギヤ107、108の選択を行うことによりモード1〜モード4への切り換えを行う。このように、テープカセットレコーダ30は、駆動モータ132とモード切換えモータ10の2つのモータを設け、それぞれ磁気テープの走行のためとモードを切り換えるためとで役割を分担している。したがって、テープカセットレコーダ30は、モード切換え機構の構成の簡素化を図ると共に装置全体の小型化を図ることができる。
【0109】
さらには、テープカセットレコーダ30は、各モードにおける磁気ヘッド61、62及びピンチローラ63の位置を位置検出スイッチ81により検出を行っている。この位置検出スイッチ81は、上述の通りカムギヤ73に直接取り付けられ薄型に構成されていることから、装置のスペース効率の向上が図られ、装置全体の小型化を図ることができる。また、位置検出スイッチ81は、直接カムギヤ73に取り付けられていることから、各モードの磁気ヘッド61、62及びピンチローラ63の位置を正確に検出することができる。
【0110】
【発明の効果】
本発明に係る記録及び/又は再生装置では、検出したバッテリ電圧に基づき、制御信号としてPWM信号をモード切換モータに供給して、モード切換モータに供給する電圧を一定にすることにより、このバッテリ電圧に関わらず動作モードの切り換え時間を一定化することができ、操作性の向上を図ることができる。
【0111】
また、本発明に係る記録及び/又は再生装置では、モード切換モータに供給するPWM信号のデューティをモード切換機構の動作量に基づき変化させることにより、モード毎の切り換え時間を安定化させることができる。
【0112】
また、本発明に係る記録及び/又は再生装置では、テープカセットに信号の記録及び/又は再生をするものであって、検出したバッテリ部の電圧に基づき、制御信号としてPWM信号をモード切換モータに供給して、モード切換モータに供給する電圧を一定にすることにより、バッテリ電圧に関わらず動作モードの切り換え時間を安定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態で説明するテープカセットレコーダの全体斜視図である。
【図2】実施の形態で説明するテープカセットレコーダの全体斜視図である。
【図3】実施の形態で説明するテープカセットレコーダの制御回路のブロック構成図である。
【図4】テープカセットと、実施の形態で説明するテープカセットレコーダの磁気ヘッド及びピンチローラの関係を示す模式図である。
【図5】マイクロコントローラの制御内容を示すフローチャートである。
【図6】電池のバッテリ電圧に対するPWM値を示す図である。
【図7】電池のバッテリ電圧に対するPWM値を示す図である。
【図8】マイクロコントローラから出力するPWM信号の波形図である。
【図9】メカシャーシに設けられた駆動系を説明するための平面図である。
【図10】カムギヤに設けられた第1のカム溝、第2のカム溝を説明するための平面図である。
【図11】カムギヤ上に取り付けられる検出スイッチの取り付け状態を説明するための断面図である。
【図12】検出スイッチの基台に設けられた固定接点部を説明するための平面図である。
【図13】検出スイッチの回転体に設けられた端子を説明するための斜視図である。
【図14】検出スイッチの平面図である。
【図15】磁気ヘッドの取り付け状態を説明するための平面図である。
【図16】磁気ヘッドの取り付け状態を説明するための側面図である。
【図17】磁気ヘッド用支持アームがメカシャーシに支持される状態を説明するための要部側面図である。
【図18】モード1における磁気ヘッドとその駆動系との関係を説明するための平面図である。
【図19】モード2における磁気ヘッドとその駆動系との関係を説明するための平面図である。
【図20】モード4における磁気ヘッドとその駆動系との関係を説明するための平面図である。
【図21】モード3における磁気ヘッドとその駆動系との関係を説明するための平面図である。
【図22】ピンチローラの支持機構を説明するための平面図である。
【図23】モード2の状態におけるピンチローラの位置を説明するための平面図である。
【図24】モード4の状態におけるピンチローラの位置を説明するための平面図である。
【図25】従来の記録及び/又は再生装置の全体斜視図である。
【図26】テープカセットと磁気ヘッド及びピンチローラの関係を示す模式図である。
【図27】テープカセットと磁気ヘッド及びピンチローラの関係を示す模式図である。
【図28】テープカセットと磁気ヘッド及びピンチローラの関係を示す模式図である。
【符号の説明】
1 マイクロコントローラ、1a アナログ/デジタル変換器、2 システム電源回路、3 電池、4 電源供給回路、5 KEY入力回路、7 モータ駆動回路、8 モード切換モータ駆動回路、9 モード切換モータブレーキ回路、10 モード切換モータ、11 モードポジションスイッチ、30 テープカセットレコーダ
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録、再生、停止等の各状態により磁気ヘッド等の動作位置を移動させるテープカセットの記録及び/又は再生装置に関し、特にカムギヤ等のモード切換機構を介してこの磁気ヘッドを移動させるモード切換モータを有するテープカセットの記録及び/又は再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、テープカセットを使用して音声信号等の記録及び再生を行うテープカセットの記録及び/又は再生装置が提案されている。
【0003】
例えば、磁気テープを記録媒体として用いるテープカセットの記録及び/又は再生装置300は、図25に示すように、テープカセットに収納された磁気テープに音声信号の記録及び/又は再生をする記録再生部303を有する本体301と、本体301に取り付けられ開閉自在に回動する蓋体302とから構成される。上記テープカセットは、カセット内の一対の回転可能なテープリールに磁気テープが巻装されている。そして、このテープカセットは、テープリールが回転することにより磁気テープが走行するように構成されている。
【0004】
本体301には、装置の操作入力を行う操作入力ボタン305が設けられている。また、本体301に有する記録再生部303は、一対のテープリールに係合されるリール軸と、上記磁気テープを定速走行させるキャプスタン軸及びピンチローラと、この磁気テープに音声信号の記録及び再生をする磁気ヘッド等を有している。蓋体302は、この記録再生部303を閉塞するように取り付けられ、内側にテープカセットを保持するカセットホルダ304が設けられている。
【0005】
このテープカセットの記録及び/又は再生装置300は、蓋体302が開いている状態で、テープカセットが蓋体302の内側に設けられたカセットホルダ304に挿入される。このテープカセットは、長辺方向の背面側を挿入端としている。このカセットホルダ304は、テープカセットが挿入された状態でこのテープカセットを保持する。また、蓋体302は、テープカセットがカセットホルダ304に挿入された状態から、閉じられることでテープカセットを本体301の記録再生部303に装填する。そして、テープカセットの記録及び/又は再生装置300は、テープカセットが記録再生部303に装填されて、本体301に設けられた操作入力ボタン305が押圧されると記録再生等の動作を開始する。例えば、再生ボタンが押圧されると、磁気ヘッドがテープカセットの磁気テープの記録面に接触し、さらに、この磁気テープが走行することにより音声信号が再生される。
【0006】
このテープカセットの記録及び/又は再生装置300は、フォワード再生(記録)モード、リバース再生(記録)モード、停止モード等の各モードの切り換えを行い、この各モードに対応してテープカセットのフォワード又はリバース方向の記録再生やテープカセットの停止等の動作の制御を行う。テープカセットの記録及び/又は再生装置300は、この各モードでの記録又は再生等の動作をするにあたり、まず、記録再生部303の磁気ヘッドやピンチローラ等の動作位置を変更するモード切換動作を行う。
【0007】
ここで、テープカセットの記録及び/又は再生装置300がこのモード切換動作をしたときの磁気ヘッドとピンチローラの動作位置を、図26〜図28のテープカセットと磁気ヘッド及びピンチローラの関係を示す模式図を用いて説明する。なお、ここで説明するテープカセットの記録及び/又は再生装置300は、フォワード再生(記録)磁気ヘッド311及びリバース再生(記録)磁気ヘッド312と、この2つの磁気ヘッド311,312の中心の位置にキャプスタン軸314及びピンチローラ213を有するものである。また、テープカセットには、一対のテープリールに磁気テープ315が収納され、長辺部分の側面部にこの2つの磁気ヘッド311,312とピンチローラ313を外方に臨んだ開口部が対応して形成されている。
【0008】
フォワード再生(記録)モードでは、図26に示すように、フォワード再生(記録)磁気ヘッド311が図26中の矢印Aの方向にテープカセットの開口部から進入して磁気テープ315と接触している。また、リバース再生(記録)磁気ヘッド312は、図26中の矢印Bの方向にテープカセットの開口部から退出して磁気テープ315から離脱している。また、ピンチローラ313は、対応する開口部から進入して磁気テープ315を介して上記キャプスタン軸314と圧接している。
【0009】
そして、このフォワード再生(記録)モードでは、キャプスタン軸314とピンチローラにより図26中の矢印Cの方向に磁気テープ315を定速走行させて、上記フォワード再生(記録)磁気ヘッド311を介して音声信号の記録又は再生を行う。
【0010】
また、リバース再生(記録)モードでは、図27に示すように、リバース再生(記録)磁気ヘッド312が図27中の矢印Dの方向にテープカセットの開口部から進入して磁気テープ315と接触している。また、フォワード再生(記録)磁気ヘッド311は、図27中の矢印Eの方向にテープカセットの開口部から退出して磁気テープ315から離脱している。また、ピンチローラ313は、対応する開口部から進入して磁気テープ315を介して上記キャプスタン軸314と圧接している。
【0011】
そして、このフォワード再生(記録)モードでは、キャプスタン軸314とピンチローラにより図27中の矢印Fの方向に磁気テープ315を定速走行させて、上記リバース再生(記録)磁気ヘッド312を介して音声信号の記録又は再生を行う。
【0012】
また、停止モードでは、図28に示すように、フォワード再生(記録)磁気ヘッド311及びリバース再生(記録)磁気ヘッド312は、図28中の矢印G,Hの方向に両者とともにテープカセットの開口部から退出して磁気テープ315から離脱している。また、ピンチローラ313もテープカセットの開口部から退出してキャプスタン軸314と圧接していない。
【0013】
この停止モードにおいては、磁気テープ315をテープリールに高速で巻き取る早送り及び巻き戻しを行う。また、テープカセットの記録及び/又は再生装置300は、この停止モードにおいてテープカセットの装填及び取出しを行う。
【0014】
従って、このテープカセットの記録及び/又は再生装置300では、各モードの切り換えをすることにより、フォワード再生(記録)及びリバース再生(記録)をすることができ、また、停止モードにおいてテープカセットの装填および取出しをすることができる。
【0015】
また、このようなテープカセットの記録及び/又は再生装置300では、上述したモードの切り換えを、リール軸を駆動して磁気テープ315を走行させる為の駆動モータとは別にモード切換モータにより行う。つまり、テープカセットの記録及び/又は再生装置300は、操作入力ボタン305からの操作入力等がされると、このモード切換モータがカムギヤ等のモード切換機構を介して2つの磁気ヘッド311,312及びピンチローラ314等を移動させる。
【0016】
従って、テープカセットの記録及び/又は再生装置300は、このモード切換モータを有することにより、電気的にモード切換を行うことができる。
【0017】
ここで、このモード切換モータの制御を、モータの回転数を検出するFG(frepuency generater)や、モータの逆起電力検出回路等を利用したサーボ制御回路を用いて行うものが知られている。このサーボ制御回路を用いることにより、フィードバック制御がされモータの駆動スピードが定速化し安定的な制御を行える。
【0018】
しかしながら、装置の小型化やコストの問題からこのモード切換モータの制御をサーボ制御回路を用いて行えない場合がある。特に携帯用のテープカセットの記録及び/又は再生装置では、装置の小型化や低コストの要求が大きい。
【0019】
このため、このようなモード切換モータの制御にサーボ制御回路を用いないテープカセットの記録及び/又は再生装置では、一般に電池の電圧で一定のパルス幅の信号で制御するシーケンシャル制御で、モード切換モータの制御が行われる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述のようにモード切換モータの制御をシーケンシャル制御で行う場合、電池の電圧の変動によりモータの回転スピードが変化してしまう。そのため、過電圧を生じた場合に正確にモードの制御を行えない。また、過電圧等によりノイズが生じ、このノイズを低減することができない。さらに、電池の電圧が変動することで、モードの切り換え時間を一定にすることができない。
【0021】
本発明は、このような実情を鑑みてなされたものであり、サーボ制御を行わずに、モード切換モータにより磁気ヘッド等のモードを切り換えを安定的に行うことのできるテープカセットの記録及び/又は再生装置を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために、本発明に係る記録及び/又は再生装置は、記録媒体の駆動機構並びに記録媒体に信号の記録及び/又は再生をする記録再生部の動作位置を移動させて動作モードを切り換えるモード切換機構を有する記録及び/又は再生装置であって、上記モード切換機構を駆動するモード切換モータと、バッテリから供給されるバッテリ電圧により上記モード切換モータを駆動するモード切換モータ駆動部と、上記バッテリ電圧を検出するバッテリ電圧検出部と、上記モード切換モータ駆動部に制御信号を供給して、記録媒体の駆動機構並びに記録媒体に信号の記録及び/又は再生を記録再生部を上記動作モードに対応した動作位置に移動させる制御を行う制御部とを備え、上記制御部は、バッテリ電圧検出部が検出したバッテリ電圧に基づき、制御信号としてPWM信号をモード切換モータに供給して、上記モード切換モータ駆動部からモード切換モータを駆動する駆動電圧を一定にすることを特徴とする。
【0023】
本発明に係る記録及び/又は再生装置では、検出したバッテリ電圧に基づき、制御信号としてPWM信号をモード切換モータに供給して、モード切換モータに供給する電圧を一定にする。
【0024】
また、本発明に係る記録及び/又は再生装置では、モード切換モータに供給するPWM信号のデューティをモード切換機構の動作量に基づき変化させて、モード毎の切り換え時間を安定化させる。
【0025】
また、本発明に係る記録及び/又は再生装置では、テープカセットに信号の記録及び/又は再生をするものであって、検出したバッテリ部の電圧に基づき、制御信号としてPWM信号をモード切換モータに供給して、モード切換モータに供給する電圧を一定にする。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る記録及び/又は再生装置が適用されたテープカセットレコーダについて図面を用いて詳細に説明する。このテープカセットレコーダは、通常のテープカセットの約4分の1程度の大きさを有する小型のテープカセットに音声信号を記録し、又は、このテープカセットから音声信号を再生するものである。
【0027】
本発明に係るテープカセットレコーダ30は、例えば図1及び図2に示すように、テープカセットの記録再生ユニット31と、この記録再生ユニット31に対し着脱自在に取り付けられるスピーカユニット32とから構成される。
【0028】
記録再生ユニット31は、外筐体が例えばアルミニウム(Al)等の金属材料により形成され、全体としてテープカセットの外形形状よりやや大きい直方体形となっている。
【0029】
記録再生ユニット31は、テープカセットに収納された磁気テープに音声信号の記録及び/又は再生をする記録再生部35を有する本体33と、本体33に取り付けられ開閉自在に回動する蓋体34とから構成される。この記録再生部35にはテープカセットが装填され、テープカセットに収納された磁気テープを走行させるリール軸、キャプスタン軸、ピンチローラ等や、磁気テープから音声信号の記録又は再生をする磁気ヘッド等を有している。また、蓋体34は、本体33にこの記録再生部35を閉塞するように取り付けられ、内側にはテープカセットを保持するカセットホルダ36が設けられている。
【0030】
本体33には、その前面側に、テープカセットの磁気テープに音声信号を記録する操作を行うための操作入力ボタンである録音ボタン41と、録音又は再生動作を一時停止させるための操作入力ボタンである一時停止ボタン42とが設けられている。これらの操作入力ボタンは、押圧操作されると、本体33内に設けられた詳細は後述するマイクロコントローラにオン信号を供給する。
【0031】
また、本体33には、一方の側面部に、テープスピード切換えつまみ43、音量つまみ44、イヤホン/マイクジャック45が設けられている。そして、この側面部には、録音状態時に限って点灯される動作識別ランプも設けられている。
【0032】
また、本体33には、蓋体34を回動させて記録再生部35を開放した状態にするための蓋体34のロック解除つまみ46が設けられている。このロック解除つまみ46は、例えばスプリングにより付勢され、本体33の図示しないロック爪が蓋体34の係合部に係合することにより、蓋体34が閉じた状態で保持する。また、ロック解除つまみ46は、この本体33のロック爪と蓋体34の係合部との係合を解除させることにより、上記スプリングの弾性力で蓋体34を開き記録再生部35を開放した状態にさせる。
【0033】
一方、蓋体34には、テープカセットの磁気テープの巻き戻し操作を行うための巻戻しボタン51と、早送りボタン52と、再生,録音等の動作を停止させる停止ボタン53と、再生動作を開始させる再生ボタン54とが設けられている。これら各操作入力ボタン51〜54は、上述した本体33の前面側に設けられた操作入力ボタンと同様に、押圧操作されると本体33内に設けられたマイクロコントローラにオン信号を供給する。
【0034】
また、蓋体34には、液晶表示パネル55が設けられている。この液晶表示パネル55には、装置の現状を示す例えば再生、録音状態を示すマーク、また、電源となる電池の残量表示を示すマークが表示されると共に、磁気テープの走行量を表示するテープカウンタが表示される。この液晶表示パネル55の電池の残量表示は、マイクロコントローラにより制御がされる。また、蓋体34には、装置の操作をホールドするためのホールドつまみと、磁気テープの進行状況を表示するカウンタのリセット操作を行うカウンタボタンが設けられている。
【0035】
スピーカユニット32は、記録再生ユニット31のイヤホン/マイクジャック45等が設けられていない反対側の側面に着脱自在に取り付けられる。このスピーカユニット32は、その内部にスピーカが備えられている。そして、スピーカユニット32は、記録再生ユニット31に取り付けられた場合に限って音声出力をする。
【0036】
記録再生ユニット31とスピーカユニット32は、それぞれ電源部を備えている。それぞれの電源部には、いわゆる市販の1次電池が1本ずつ装填できるように構成されている。この電源部からテープカセットレコーダ30の各電子回路に1.5ボルトの電源が供給される。
【0037】
つぎに、上述したテープカセットレコーダ30の制御回路について説明する。図3は、テープカセットレコーダ30の駆動制御回路を示すブロック図である。
【0038】
テープカセットレコーダ30は、内部にアナログ/デジタル変換器1aを有するマイクロコントローラ1と、このマイクロコントローラ1等に電源電圧を供給するシステム電源回路2と、装置のバッテリ電圧を供給する電池3と、装置の各電子回路にシステム電源回路2からの電源電圧を供給する電源供給回路4と、各操作入力スイッチが接続されるKEY入力回路5とを備える。また、テープカセットレコーダ30は、テープカセットのリール軸等を回転させ磁気テープを走行させる駆動モータを駆動するモータ駆動回路7と、モード切換モータ10を駆動するモード切換モータ駆動回路8及びモード切換モータブレーキ回路9と、モードポジションスイッチ11とを備える。
【0039】
マイクロコントローラ1は、例えばいわゆる中央処理装置(CPU)からなり、市販のIC(Integrated Circuit)により実現できる。また、このマイクロコントローラ1は、所定の処理プログラムを記憶するメモリを有する。マイクロコントローラ1は、この処理プログラムに基づいて、テープカセットレコーダ30に備える各電子回路を制御する。
【0040】
また、このマイクロコントローラ1は、アナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換器1aを備える。このアナログ/デジタル変換器1aには、後述するKEY入力回路5から出力されるアナログ信号と電池3からのバッテリ電圧が入力される。アナログ/デジタル変換器1aは、このKEY入力回路5から出力されるアナログ信号と電池3からのバッテリ電圧をデジタルデータに変換する。マイクロコントローラ1は、このデータに基づき処理及び制御を行う。なお、アナログ/デジタル変換器1aは、入力段に例えばデマルチプレクサを有し、KEY入力回路5から出力されるアナログ信号と電池3からのバッテリ電圧を選択的に検出する。
【0041】
システム電源回路2は、直流電圧の電圧変換をするいわゆるDC−DCコンバータである。このシステム電源回路2には、いわゆる市販の1次電池である電池3の1.5ボルトのバッテリ電圧が入力され、この1.5ボルトのバッテリ電圧を3ボルトの電源電圧に変換する。また、システム電源回路2は、例えばスイッチングレギュレータにより構成されることにより、電池3のバッテリ電圧が変動しても安定した3ボルトの電源電圧を出力することができる。このシステム電源回路2から出力される3ボルトの電源電圧は、マイクロコントローラ1に供給される。また、システム電源回路2は、電源供給回路4を介してテープカセットレコーダ30に備える各電子回路に3ボルトの電源電圧を供給する。
【0042】
電源供給回路4は、システム電源回路2から供給される3ボルトの電源電圧をテープカセットレコーダ30に備える各電子回路に供給する。この電源供給回路4は、マイクロコントローラ1によるパワーダウン制御信号に基づき各電子回路への電源電圧の供給を制御する。例えば、このテープカセットレコーダ30が所定時間の間何等動作せずまた何等操作入力が無い場合、各電子回路への電源電圧の供給を停止する。そして、この電源電圧の供給の停止中に操作入力等があった場合、各電子回路に電源電圧の供給をする。テープカセットレコーダ30は、この電源供給回路4が電源電圧の供給を制御することにより、消費電力の節約が図られる。
【0043】
KEY入力回路5は、本体33及び蓋体34に設けられた各操作入力ボタンである録音ボタン41,一時停止ボタン42,巻戻しボタン51,早送りボタン52,停止ボタン53,再生ボタン54からの信号が供給される。これらの各操作入力ボタンが押圧されるとON信号がこのKEY入力回路5に供給される。このKEY入力回路5は、各操作入力ボタンからのON信号をそれぞれ重みを変えたアナログ信号に変換してマイクロコントローラ1のアナログ/デジタル変換器1aに供給する。つまり、KEY入力回路5は、例えば抵抗のR−2Rラダー回路等により各スイッチに対応して所定ステップ単位の電流値を出力させ、その電流値を電圧値に変換してアナログ/デジタル変換器1aに供給するといったものである。
【0044】
なお、各操作入力ボタンからの信号は、このようなKEY入力回路5を用いずに直接マイクロコントローラ1のデジタル入力端子に供給するものであっても良い。
【0045】
モータ駆動回路7は、テープカセットに収納された磁気テープを走行させるためのリール軸及びキャプスタン軸等を回転させる駆動モータに駆動電流を供給する回路である。このモータ駆動回路7は、マイクロコントローラ1により制御される。このマイクロコントローラ1は、モータ駆動回路7に対して、例えばモータのON/OFFのコントロール信号、モータの回転方向のコントロール信号、モータのスピードのコントロール信号等を供給する。モータ駆動回路7は、これらの制御信号に対応して、モータのON/OFFをし、早送り,再生等で異なるモータの回転速度を可変し、また、再生方向で異なるモータの回転方向の切換をする。
【0046】
モード切換モータ駆動回路8は、テープカセットの磁気テープに信号の記録又は再生をする磁気ヘッドやピンチローラのモード切換をするモード切換モータ10に駆動電流を供給する回路である。このモード切換モータ駆動回路8は、マイクロコントローラ1からのPWM(Palse width moduration)信号により制御される。例えば、モード切換モータ駆動回路8は、テープカセットレコーダ30の蓋体34に設ける再生ボタン54が押圧されると、このマイクロコントローラ1からPWM制御信号が供給され、この制御信号に基づいてモード切換モータ10を駆動する。なお、このモード切換についての詳細は後述する。
【0047】
モード切換モータブレーキ回路9は、モード切換モータ10が駆動していないとき、つまり、モード切換モータ駆動回路8からモード切換モータ10に駆動電流が供給されていないときに、モード切換モータ10のコイルの両端を短絡する回路である。例えば、モード切換モータ10が駆動状態から駆動を停止する際に、モード切換モータブレーキ回路9がコイルの両端を短絡することにより、急峻に動作を停止することができる。
【0048】
モード切換モータ10は、上述したようにモード切換モータ駆動回路8及びモード切換モータブレーキ回路9に駆動制御される。このモード切換モータ10は、磁気ヘッドやピンチローラ等の動作位置の移動をさせる。この磁気ヘッドやピンチローラ等の動作位置の移動は、このモード切換モータ10から所定の伝達ギヤ、カムギヤ、スライダ等のモード切換機構を介して行われる。
【0049】
モードポジションスイッチ11は、後述する各モードを検出するスイッチである。例えば、モードポジションスイッチ11は、上述したモード切換モータ10により駆動されるカムギヤの回転位置を検出し、この検出信号をマイクロコントローラ1に供給する。このテープカセットレコーダ30は、モード1〜モード4までの4つのモードを有して磁気ヘッド等の位置を移動させている。モードポジションスイッチ11は、上述した磁気ヘッド等がモード1〜モード4のいずれのポジションにあるか検出し、マイクロコントローラ1にこの検出信号を供給する。
【0050】
このテープカセットレコーダ30は、モード1〜モード4までの4つのモードを有して磁気ヘッド等の位置を移動させている。モードポジションスイッチ11は、上述した磁気ヘッド等がモード1〜モード4のいずれのポジションにあるか検出し、マイクロコントローラ1にこの検出信号を供給する。
【0051】
ここで、モード切換によって移動される磁気ヘッド等の動作位置を、図4に示すテープカセットと磁気ヘッド及びピンチローラの関係を示す模式図を用いて説明する。テープカセットレコーダ30は、モード切換モータ10を駆動して磁気ヘッド等の位置をモード1からモード4までの4つのモード位置に切り換えている。このテープカセットレコーダ30は、図4に示すように、フォワード再生(記録)磁気ヘッド62及びリバース再生(記録)磁気ヘッド61の2つの磁気ヘッドと、この2つの磁気ヘッドの中心にキャプスタン軸59とピンチローラ63を有するものである。また、テープカセットには、長辺部分の側面部にこの2つの磁気ヘッド61,62とピンチローラ63を外方に臨んだ開口部が、2つの磁気ヘッド61,62とピンチローラ63に対応して形成されている。
【0052】
モード1では、図4(a)に示すように、リバース再生(記録)磁気ヘッド61がテープカセットの開口部から進入して磁気テープと接触している。また、フォワード再生(記録)磁気ヘッド62は、テープカセットの開口部から退出して磁気テープから離脱している。また、ピンチローラ63は、対応する開口部から進入して上記キャプスタン軸59と磁気テープを介して圧接している。このモード1においては、キャプスタン軸59とピンチローラ63により磁気テープを定速走行させて、上記リバース再生(記録)磁気ヘッド61を介して磁気テープにリバース方向の音声信号の記録又は再生を行う。
【0053】
また、モード2及びモード3では、図4(b)及び図4(c)に示すように、フォワード再生(記録)磁気ヘッド62及びリバース再生(記録)磁気ヘッド61は、両者とともにテープカセットの開口部から退出して磁気テープから離脱している。また、ピンチローラ63も、また、テープカセットの開口部から離脱してキャプスタン軸59と圧接していない。このモード2及びモード3においては、磁気テープをテープリールに高速で巻き取る早送り及び巻き戻しを行う。また、このモード2及びモード3はいわゆる停止モードの状態であり、このモードでテープカセットの装填及び取出しが行える。
【0054】
モード4では、図4(d)に示すように、フォワード再生(記録)磁気ヘッド62がテープカセットの開口部から進入して磁気テープと接触している。また、リバース再生(記録)磁気ヘッド61は、テープカセットの開口部から退出して磁気テープから離脱している。また、ピンチローラ63は、対応する開口部から進入して上記キャプスタン軸59と磁気テープを介して圧接している。このモード4においては、キャプスタン軸59とピンチローラ63により磁気テープを定速走行させて、上記フォワード再生(記録)磁気ヘッド61を介して磁気テープにフォワード方向の記録及び再生を行う。
【0055】
このテープカセットレコーダ30は、モード1〜モード4の各モードをモード切換モータ10により、モード1、モード2、モード4、モード3、モード1、モード2、モード4・・・の順で切り換えている。なお、このモード切換モータ10の回転方向は反転はしない。例えば、フォワード方向の再生を行っている状態からリバース方向の再生をする場合は、モード4からモード1に切り換える。また、モード3の停止状態からフォワード方向の再生をする場合は、モード3からモード1及びモード2を通過してモード4に切り換える。
【0056】
なお、このモード切換モータ10が行うモード切換は、磁気ヘッド61,62及びピンチローラ63のモード切換のみではなく、駆動モータの回転動作をリール軸及びキャプスタン軸等に伝達する伝達ギアの位置等のモードの切換も行う。
【0057】
つぎに、上述したマイクロコントローラ1の制御内容を図5に示すフローチャートを用いて以下に説明する。
【0058】
テープカセットレコーダ30は、各操作入力ボタンが押圧されると、その押圧操作された内容に基づいて上述したモードの切り換えを行う。このモードの切り換えは、モード切換モータ駆動回路8が、電池3のバッテリ電圧により駆動されるモード切換モータ10を制御することにより行われる。このとき、マイクロコントローラ1は、モード切換モータ駆動回路8にPWM信号を供給してモード切換モータ10のスピードコントロールをする。マイクロコントローラ1は、電池3のバッテリ電圧を検出してPWM信号を制御し、モード切換モータ10のスピードをコントロールする。このことにより、例えば、電池3の電圧が減電したり、過電圧を生じたりしたときであってもモード切換の時間を一定化することができる。以下、この制御内容について説明する。
【0059】
マイクロコントローラ1は、各操作入力ボタンが押圧されると、図5に示すステップS1からの処理を開始する。
【0060】
ステップS1において、マイクロコントローラ1は、モード切換モータ10が駆動されている電池3のバッテリ電圧を、アナログ/デジタル変換器1aにより検出する。
【0061】
ステップS2において、このアナログ/デジタル変換器1aにより検出した電池3のバッテリ電圧が所定電圧以下であるか、かつ、停止ボタンが押圧されたかを判断する。所定電圧以下であるか、かつ、停止ボタンが押圧されたと判断しない場合は、処理を終了して操作入力を受けつけなくなる。
【0062】
ここで、所定電圧以下であるかどうかを判断するのは、電池3からのバッテリ電圧が異常上昇している場合などがあるからである。例えば、このテープカセットレコーダ30は市販の1次電池等が装填され標準1.5ボルトの電圧で駆動されるのであるが、使用者が誤って違う規格の電池を装填した場合や複数の電池を直列接続した場合などがあるからである。このような場合は、操作入力を受けつけずモード切換をしないようにしている。特に、このテープカセットレコーダ30では、電池3のバッテリ電圧が1.9ボルト以上のときに操作入力を受けつけないようにしている。
【0063】
また、このような場合であっても、停止ボタンが押圧された場合は、処理を終了せずモードの切り換えを行う。これは、電池3からのバッテリ電圧が異常上昇している場合であっても、停止処理を受けつけなければ、記録又は再生等の動作が継続してしまいテープカセットレコーダ30の動作異常や破壊につながるからである。
【0064】
ステップS2において、電圧が所定電圧以下であるか、かつ、停止ボタンが押圧されたと判断した場合は、ステップS3に進む。
【0065】
ステップS3において、モード切換の動作を高速動作で行うかを判断する。このテープカセットレコーダ30では、モード切換モータ10が行うモード切換の動作を高速動作と通常動作に分けて行っている。このテープカセットレコーダ30がモードの切り換えを高速動作と通常動作に分けて行っているのは、以下に示す理由からである。
【0066】
テープカセットレコーダ30では、上述したようにモード1からモード4までの4つのモードを切り換えてモードの切り換えを行っている。モード1からモード2、或いは、モード2からモード3に切り換える場合は、移動距離が比較的に短いため、モードの切り換え時間はあまり問題にならない。ところが、モード2からモード1に切り換える場合やモード3からモード4に切り換える場合などは移動距離が多く、そのモードの切り換え時間が長くなり問題となる。従って、モード1からモード2、或いは、モード2からモード3に切り換えるといったモード移動が1つ分或いは2つ分のモード切換の場合と、モード2からモード1に切り換えをする場合やモード3からモード4に切り換えをするといったモード移動が3つ分のモード切換の場合とで通常動作と高速動作とを分けてスピード制御を行っている。
【0067】
そして、ステップS3で高速動作をすると判断する場合はステップS4に進み、通常動作をすると判断する場合はステップS5に進む。
【0068】
ステップS4及びステップS5では、図6及び図7に示す変換パレットを用いて、モード切換モータ駆動回路8に供給するPWM信号を求める。この変換パレットは、マイクロコントローラ1のメモリ内に予め設定してある。
【0069】
ステップS4において、ステップS1で求めた電池3のバッテリ電圧から高速動作時のモード切換モータ駆動回路8に供給するPWM信号のPWM値を求める。この変換は、図6に示すように、電池3の電圧に対応したPWM値を予め変換パレットとして設定しておき、この変換パレットからPWM値を求める。ここで、この図6に示す変換パレットの縦軸のPWM値とは、PWM信号でオン信号が供給されるカウント値を示している。具体的には、マイクロコントローラ1からモード切換モータ駆動回路8に供給されるPWM信号は、図8に示すように、デューティが15カウントで分割されており、上述したPWM値がオンのカウント数に対応するようになっている。例えば、PWM値が10であれば、図8(a)に示すように、オン信号のカウントが10となりオフ信号のカウントが5となり、1周期のカウントが15のPWM信号となる。また、PWM値が5であれば、図8(b)に示すように、オン信号のカウントが5となりオフ信号のカウントが10となり、1周期のカウントが15のPWM信号となる。なお、PWM信号の発信器は、マイクロコントローラ1の内部に有している。
【0070】
また、ステップS5においても、ステップS4と同様に通常動作時のPWM信号のPWM値を求める。この変換パレットは、図7に示すように、上述した高速動作時のものと比較し、電池3に対応するPWM値が低い値になっている。このため、電池3の電圧が同じであっても、高速動作と通常動作ではモード切換モータ10のモード切換の時間は異なったものとなる。なお、この変換パレットより求められるPWM値は、モード切換機構やモード切換モータ10の特性等により異なるもので、実験的に最適値を求めるものである。
【0071】
ステップS4及びステップS5でPWM値を求めると、ステップS6において、このPWM値に対応したPWM信号をマイクロコントローラ1のPWM発信器から、モード切換モータ駆動回路8に供給する。モード切換モータ駆動回路8は、このPWM信号に基づいて供給する電池3のバッテリ電圧を制御し、駆動電流モード切換モータ10に供給する。そして、モード切換モータ10がモード切換を終え、磁気ヘッド等のセットアップをすると処理を終了する。
【0072】
従って、ステップS1からステップS6までの処理を行うことにより、モード切換モータ10を駆動する電池3のバッテリ電圧が変動しても、モード切り換えモータ駆動回路8の駆動電圧は定電圧となり、モード切換の時間を安定化することができる。また、高速動作と通常動作を分けてモード切換モータ10の駆動をすることにより、モード毎の切り換え時間が一定にすることができる。
【0073】
以上のように、このテープカセットレコーダ30では、モード切換モータ10を駆動する電池3のバッテリ電圧が変動しても、モード切換の時間を安定化することができる。また、高速動作と通常動作を分けてモード切換モータ10の駆動をすることにより、モード毎の切り換え時間が一定にすることができ、操作性の向上を図ることができる。
【0074】
また、このテープカセットレコーダ30では、モード切換モータに供給するPWM信号のデューティをモード切換機構の動作量に基づき変化させて、モード毎の切り換え時間を安定化させることができる。
【0075】
以上、通常のテープカセットの約4分の1の大きさを有するテープカセットのテープカセットレコーダ30について詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば光ディスク、光磁気ディスク等の円盤状記録媒体が回転自在に収納されたディスクカートリッジの記録及び/又は再生装置に適用してもよい。また、小型の記録及び/又は再生装置のみならず通常の大きさを有した記録及び/又は再生装置に適用してもよいのは勿論である。
【0076】
つぎに、上述したテープカセットレコーダ30のモードポジションスイッチ11及びモード切換機構等の具体的な実施例について、図面を用いて以下に説明する。
【0077】
テープカセットレコーダ30のモード切換え機構は、図9に示すように、メカシャーシ64上に、モード切換モータ10と、この切換モータ10の駆動軸に取り付けられるピンオンギヤ66と、このピンオンギヤ66に噛合される伝達ギヤ67と、この伝達ギヤ67に噛合されるウォームギヤ68とを有する。そして、このウォームギヤ68には、大径のギヤ部69aと小径のギヤ部69bが構成された第1の中間ギヤ69の大径の歯部69aが噛合される。小径の歯部69bには、第2の中間ギヤ70が噛合され、この第2の中間ギヤ70は、第3の中間ギヤ71に噛合される。この第3の中間ギヤ71は、第4の中間ギヤ72に一体に設けられた大径のギヤ部72aに噛合される。そして、第4の中間ギヤ72に一体に設けられた小径のギヤ部72bには、カムギヤ73が噛合される。
【0078】
このカムギヤ73は、図9及び図10に示すように、メカシャーシ64に植立された支軸74により軸支され、第4の中間ギヤ72により回転される。このカムギヤ73には、一方の主面に磁気ヘッド61、62の操作を行う第1のカム溝75が設けられ、他方の主面には、磁気テープが高速走行されるモード2又はモード3時にリール軸55、56を回転させるリール軸回転ギヤ107、108を選択するための第2のカム溝76が設けられている。第1のカム溝75には、連結レバー135の凸部136が填め込まれる。そして、ここで、凸部136は、図10で示す第1のカム溝75の斜線で示す各モードの位置において、カムギヤ73が停止する。また、第2のカム溝76には、モード切換スライダ101の支持ピン104が填め込まれる。そして、この支持ピン104は、図10に示す第2のカム溝76の斜線で示す各モードの位置でカムギヤ73が停止する。また、カムギヤ73には、穴部79が設けられている。この穴部79には、図11に示すように、上記モード1、モード2、モード3、モード4の各状態をカムギヤ73の回転角により検出する位置検出スイッチ81が取り付けられる。なお、この位置検出スイッチ81は、上述したモードポジションスイッチ11を具体的に実現したスイッチである。
【0079】
この位置検出スイッチ81は、図11に示すように、プリント基板82に取り付けられる。この位置検出スイッチ81は、図12乃至図14に示すように、プリント基板82に固定される円盤状の基台83と、この基台83に回転自在に取り付けられる回転体84とから構成される。基台83には、図12に示すように、円周方向に、モード1に対応したモード1用固定接点部85と、モード2に対応したモード2用固定接点部86と、モード3に対応したモード3用固定接点部87と、モード4に対応したモード4用固定接点部88とが形成されてる。また、基台83の一側縁には、並列してプリント基板82へ電気的接続を図るための端子89〜93が設けられている。そして、モード1用固定接点部85は、周回りに形成されたパターンにより外側の端子89に接続され、モード2用固定接点部86は、同じく周回りに形成されたパターンにより外側の端子90に接続される。また、モード3用固定接点部87は、パターンにより端子91に接続され、モード4用固定接点部88は、パターンにより端子92に接続されている。さらには、基台83には、各固定接点85〜88の内周側に円環状のGND用の固定接点部94が設けられ、この固定接点部94は、端子93にパターンを介して接続されている。また、固定接点部94の内周側の中央部には、回転体84を支持する支軸95が設けられている。なお、基台83には、これら固定接点部85〜88、94が設けられない領域は絶縁領域が形成されている。
【0080】
また、回転体84は、図13に示すように、基台83に設けられた支軸95が挿通される軸穴95が設けられている。これにより、回転体84は、回転自在に支持される。また、回転体84の裏面には、金属板98よりなる端子96、97が設けられている。端子96は、回転体84の外周側に設けられ、上記モード1〜4用の固定接点部85〜88に接触される。端子97は、回転体84の内周側に設けられ、GND用の固定接点部94に接触される。また、この回転体84は、図14に示すように、表面に凸部99が設けられている。この凸部99は、上述したカムギヤ73の穴部79に嵌合される。
【0081】
このような検出スイッチ81は、カムギヤ73が回転されることにより、回転体84が図14中矢印X1方向に回転することにより、端子96が順次モード1〜4用の固定接点部85〜88に接触し導通が図られることにより各モードの状態が検出される。
【0082】
また、メカシャーシ64には、上記図9に示すように、各モードを切り換えるモード切換スライダ101が取り付けられている。このモード切換スライダ101は、メカシャーシ64の前面側の長手方向に亘ってスライド自在に取り付けられている(図9中矢印X3方向、X4方向)。具体的には、このモード切換スライダ101には、2カ所にスリット102a、102bが設けられている。そして、スリット102a、102bには、ガイドピン103a、103bが挿通されることにより、モード切換スライダ101をメカシャーシ64の長手方向のスライドをガイドする。そして、モード切換スライダ101は、これに一体に設けられた支持ピン104がカムギヤ73に設けられた上述の第1のカム溝75に填め込まれる。したがって、モード切換スライダ101は、モード切換モータ10が駆動されカムギヤ73が図9中矢印X3方向に回転されると、各モードに対応して矢印X3方向、X4方向にスライドすることになる。
【0083】
また、モード切換スライダ101には、カムギヤ73の下側に対応する場所に支軸105が設けられている。この支軸105には、モード1又はモード4時の磁気テープの定速走行を行う際リール軸を回転させるリール軸回転ギヤ107、108を選択するための連結部材106が図9中矢印X5方向又は矢印X6方向に回動自在に取り付けられている。また、この連結部材106は、リール軸回転ギヤ107と同軸にして取り付けられている。このような連結部材106は、モード切換スライダ101が矢印X3方向、X4方向にスライドすることにより矢印X5方向又は矢印X6方向に回動する。そして、連結部材106には、リール軸回転ギヤ107近傍に所定の間隔離間して設けられた一対のストッパ片109a、109bが設けられている。これらストッパ片109a、109bの間には、リール軸回転ギヤ107、108の何れかを選択する回動基台111に設けられた係止片112が配置される。
【0084】
この回動基台111は、支軸113に軸支され、図9中矢印X7方向、矢印X8方向に回動可能にされている。そして、この回動基台111には、支軸113を回転軸とする主動ギヤ114が取り付けられている。この主動ギヤ114は、第1のギヤ部114aと第2のギヤ部114bとが一体に形成されている。第1のギヤ部114aは、磁気テープを高速走行させるモード2又はモード4時にリール軸回転ギヤ107、108の何れか一つを回転させるメインギヤ117の第2のギヤ部117bと噛合される。また、第2のギヤ部114bには、主動ギヤ114の両隣に取り付けられる従動ギヤ115、116と噛合される。
【0085】
このような主動ギヤ114及び従動ギヤ115、116が取り付けられた回動基台111は、連結部材106が矢印X6方向に回動されると、ストッパ片109aにより係止片112押されて矢印X8方向に回動され、リール軸回転ギヤ107と従動ギヤ115が噛合される。この状態は、磁気テープの逆転方向の定速走行させるモード1の状態とされる。
【0086】
また、回動基台111は、連結部材106が矢印X5方向に回動されると、ストッパ片109bにより係止片112が押されて矢印X7方向に回動され、リール軸回転ギヤ108と従動ギヤ116が噛合される。この状態は、磁気テープの正転方向の定速走行させるモード4の状態とされる。
【0087】
さらには、この回動基台111は、係止片112が連結部材106が回動されストッパ片109a、109bの何れにも押されない状態においては、回動基台111が連動して回動し従動ギヤ115、116がリール軸回転ギヤ107、108の何れにも噛合されない状態とされる。この状態は、磁気テープが高速走行されるモード2及びモード3の状態とされる。すなわち、主動ギヤ114の第1のギヤ部114aのみが、磁気テープを高速走行させるモード2又はモード4時にリール軸回転ギヤ107、108の何れか一つを回転させるメインギヤ117の第2のギヤ部117bと噛合される。
【0088】
また、カムギヤ73には、図9に示すように、第2のカム溝76に、磁気テープを高速走行させるモード2及びモード3においてリール軸回転ギヤ107、108を何れかを選択する第2の選択手段を構成する連結レバー135が取り付けられている。この連結レバー135は、一方の端部に設けられた凸部136が第2のカム溝76に填め込まれ、中央部がフライホイールギヤ110を支持する支軸120に軸支される。したがって、このような連結レバー135は、図9中矢印X9方向、矢印X10方向に回動されることになる。他方の端部は、ギヤの取付け面として構成され、メインギヤ117が軸支される。このメインギヤ117は、大径の第1のギヤ部117aと小径の第2のギヤ部117bが一体に形成されている。第1のギヤ部117aは、X9方向、X10方向の回動動作する場合においても、常時、フライホイールギヤ110に噛合されてる。また、第1のギヤ部117aは、カムギヤ73がX2方向に回転されることにより、連結レバー135がX8方向に回動された際には、リール軸回転ギヤ107に噛合され、連結レバー135がX10方向に回動された際には、リール軸回転ギヤ108に噛合され、リール軸回転ギヤ107、108をそれぞれ回転させ、磁気テープを高速走行させる。第2のギヤ部117bは、主動ギヤ114の第1のギヤ部114aに常時噛合されている。このフライホイールギヤ110は、図9に示すように、連結レバー135を支持する支軸120と共に回転自在に軸支されている。そして、このフライホイールギヤ110の上側には、同軸にしてフライホイール130が固定して取り付けられている。フライホイール130は、無端ベルト131を介して駆動モータ132に接続されている。さらには、この支軸120は、キャプスタン軸59となる。
【0089】
また、メカシャーシ64の前面側には、その両側に磁気ヘッド61、62が取り付けられている。なお、二つの磁気ヘッドは、支持方法を同じくするため、以下、磁気ヘッド61について図15乃至図17を用いて詳細に説明する。
【0090】
磁気ヘッド61は、図15に示すように、メカシャーシ64上に植立された支軸118を回動支点として回動される磁気ヘッド用支持アーム119により支持される。そして、この磁気ヘッド用支持アーム119には、一方の面側に磁気ヘッド61が取り付けられた磁気ヘッド支持部材121がネジ止めされて固定されている。また、磁気ヘッド用支持アーム119には、磁気ヘッド61が取り付けられない側の他方の面の三カ所にボス122a、122b、122cが設けられている。これらボス122a、122b、122cは、図15に示すように、様々な段差を有する磁気ヘッド用支持アーム119の面から基準面となるメカシャーシ64までの間隔に対応した高さを有して設けられている。
【0091】
このように磁気ヘッド61が支持された磁気ヘッド用支持アーム119は、図16及び図17に示すように、支軸118に支持される。すなわち、メカシャーシ64には、図17に示すように、軸径を最も大きくする第1の基台118aと、この基台118a上にこの第1の基台118aの軸径よりやや小さな軸径を有する第2の基台118bと、この基台118上に最も軸径を小さくする軸部118cとから構成される。一方、磁気ヘッド用支持アーム119には、この支軸118が挿入される円筒状のスリーブ123が設けられている。このスリーブ123は、その穴径が軸部118cとほぼ同じくして開口され、支軸118の根本部に対応する側の側縁部は、第1の基台118aと第2の基台118bにより構成される段差に対応して段差を有して形成される。そして、磁気ヘッド用支持アーム119が支軸118に挿入されると、スリーブ123の外周側に捻りコイルバネ124が取り付けられる。この捻りコイルバネ124は、一方の端部がメカシャーシ64の側縁に立ち上がって設けられた立上がり壁125に設けられた係止部126に係止され、他方の端部が磁気ヘッド用支持アーム119に植立して形成された支持ピン127に係止される。そして、この捻りコイルバネ124は、その上端がワッシャ128により収縮された状態で止められ取り付けられる。
【0092】
したがって、磁気ヘッド用支持アーム119は、支軸118に軸支されることで縦方向及び横方向の位置決めがされ、捻りコイルバネ124の弾性力により下方向に押圧されることで高さ方向の位置決めをしている。捻りコイルバネ124による高さ方向の位置決めは、上述した磁気ヘッド61が取り付けられない側の他方の面に設けられたボス122a、122b、122cを介して磁気ヘッド用支持アーム119が着実に基準面となるメカシャーシ64に押圧されることにより着実に行われる。また、ボス122a、122b、122cは、支軸118を中心にして分散して設けられていることから、均等に押圧力が加わり磁気ヘッド用支持アーム119をメカシャーシ64に対し平行な状態で支持することができる。すなわち、磁気ヘッド用支持アーム119の取り付けは、縦横方向の位置決めが支軸118により行われ、高さ方向の位置決めが捻りコイルバネ124により行われることになる。また、この捻りコイルバネ124は、図14に示すように、一方の端部が立上がり壁125に設けられた係止部126に係止され、他方の端部が磁気ヘッド用支持アーム119に植立して形成された支持ピン127に係止されることから、磁気ヘッド用支持アーム119に支持された磁気ヘッド61を図13中矢印X11方向に付勢する。
【0093】
さらには、磁気ヘッド用支持アーム119には、図15に示すように、ボス122a、122b、122cの設けられる面に支持ピン129が植立されている。この支持ピン129は、モード切換スライダ101に設けられたカム面に押圧され磁気ヘッド用支持アーム119を図15中矢印X12方向に回動させる。
【0094】
このように支持される磁気ヘッド61、62は、各モードにおいて次のような状態にされる。先ず、モード1においては、図18に示すように、磁気テープの逆転方向の走行時に用いられる逆転用磁気ヘッド61がテープカセットの記録再生用開口部よりカセット本体内に進入した状態にある。すなわち、図18に示すように、主動ギヤ114及び従動ギヤ115、116が取り付けられた回動基台111は、連結部材106が矢印X6方向に回動されると、ストッパ片109aにより係止片112押されて矢印X8方向に回動され、リール軸回転ギヤ107と従動ギヤ115が噛合される。一方、カムギヤ73の第1のカム溝75と接続された連結レバー135に取り付けられたメインギヤ117の第1のギヤ部117aは、リール軸回転ギヤ107、108の何れにも噛合されず、フライホイールギヤ110にのみ噛合された状態にある。メインギヤ117の第2のギヤ部117bは、主動ギヤ114の第1のギヤ部114aに噛合されている。したがって、リール軸回転ギヤ107は、駆動モータ132が駆動されることにより、無端ベルト130、フライホイール130を介して回転されるフライホイール130が回転され、これによりメインギヤ117を介して主動ギヤ114が回転され、従動ギヤ115が回転されることにより回転される。これにより、テープカセットの磁気テープの記録及び/又は再生が行われる記録再生部53内のリール軸55、56が回転されることになる。
【0095】
この時、磁気ヘッド61、62は、図18に示すような状態とされる。すなわち、モード切換スライダ101には、三段の段差を有して構成されたカム面133、134が設けられている。このカム面133、134には、磁気ヘッド用支持アーム119の他方の面に設けられた支持ピン129、129が当接されている。そして、このカム面133、134の当接された支持ピン129、129は、モード切換スライダ101が矢印X3方向又はX4方向にスライドされることにより、第1の位置と、これより一段上がった第2の位置とさらにこれより一段上がった第3の位置に亘って移動することにより、磁気ヘッド61、62が矢印X11又は矢印X12方向に回動されることになる。ここで、支持ピン129が第1の位置にある時磁気ヘッド61、62は、カセット本体内に進入した状態とされ、第2及び第3の位置にある時は、カセット本体から待避した位置にされている。したがって、モード1の状態においては、磁気ヘッド61側の支持ピン129は、第1の位置にあり、磁気ヘッド61を矢印X11方向に回動させ記録再生部53のカセット本体内に進入した状態にされる。一方、磁気ヘッド62側の支持ピン129は、第3の位置にあり、磁気ヘッド62を矢印X12方向に回動されカセット本体内より待避した状態にある。
【0096】
次に、モード2においては、図19に示すように、磁気ヘッド61、62及びピンチローラ63がカセット本体内から待避した状態にある。すなわち、回動基台111は、連結部材106が矢印X6方向に回動されると、ストッパ片109a、109bの何れにも押されない状態になり、これに併せて従動ギヤ115、116がリール軸回転ギヤ107、108の何れにも噛合されない状態とされる。一方、カムギヤ73の第1のカム溝75と接続された連結レバー135に取り付けられたメインギヤ117の第1のギヤ部117aは、フライホイールギヤ110に噛合されると共に、矢印X10方向に回動されることにより、リール軸回転ギヤ108に噛合された状態にある。メインギヤ117の第2のギヤ部117bは、主動ギヤ114の第1のギヤ部114aに噛合されている。すなわち、リール軸回転ギヤ108は、従動ギヤ116により回転されるのではなく、メインギヤ117の第1のギヤ部117aにより回転されることになる。
【0097】
この際、磁気ヘッド61、62は、図19に示すような状態とされる。すなわち、磁気ヘッド61側の支持ピン129は、モード切換スライダ101が矢印X4方向にスライドされることにより、第1の位置から第2の位置に移動し、磁気ヘッド61がカセット本体から待避された状態にされる。一方、磁気ヘッド62側の支持ピン129は、第3の位置から第2の位置に近い第3の位置に移動される。したがって、磁気ヘッド61、62共にカセット本体から待避した状態とされる。
【0098】
次に、モード4においては、図20に示すように、磁気テープの正転方向の走行時に用いられる正転用磁気ヘッド62がテープカセットの記録再生用開口部よりカセット本体内に進入した状態にある。すなわち、回動基台111は、連結部材106が矢印X6方向に回動されると、ストッパ片109bにより係止片112が押されて矢印X7方向に回動され、リール軸回転ギヤ108と従動ギヤ116が噛合される。一方、カムギヤ73の第1のカム溝75と接続された連結レバー135に取り付けられたメインギヤ117の第1のギヤ部117aは、矢印X6方向に回動され、リール軸回転ギヤ107、108の何れにも噛合されず、フライホイールギヤ110にのみ噛合された状態にある。メインギヤ117の第2のギヤ部117bは、主動ギヤ114の第1のギヤ部114aに噛合されている。したがって、リール軸回転ギヤ107は、駆動モータ132が駆動されることにより、無端ベルト130、フライホイール130を介して回転されるフライホイール130が回転され、これによりメインギヤ117を介して主動ギヤ114が回転され、従動ギヤ116が回転されることにより回転される。
【0099】
この時、磁気ヘッド61、62は、図20に示すような状態とされる。すなわち、モード切換スライダ101が矢印X4方向にスライドされることにより、磁気ヘッド61側の支持ピン129は、第2の位置から第3の位置に移動し、磁気ヘッド61がカセット本体から待避された状態にされる。一方、磁気ヘッド62側の支持ピン129は、第3の位置から第1の位置、すなわち、カセット本体内に進入する位置に移動される。したがって、磁気ヘッド62は、矢印X11方向に回動され、記録再生部53のカセット本体内に進入した状態にされる。
【0100】
次に、モード3においては、図20に示すように、磁気ヘッド61、62がカセット本体内から待避した状態にある。すなわち、回動基台111は、連結部材106が矢印X5方向に回動されると、ストッパ片109a、109bの何れにも押されない状態になり、これに併せて従動ギヤ115、116がリール軸回転ギヤ107、108の何れにも噛合されない状態とされる。一方、カムギヤ73の第1のカム溝75と接続された連結レバー135に取り付けられたメインギヤ117の第1のギヤ部117aは、フライホイールギヤ110に噛合されると共に、矢印X9方向に回動されることにより、リール軸回転ギヤ107に噛合された状態にある。メインギヤ117の第2のギヤ部117bは、主動ギヤ114の第1のギヤ部114aに噛合されている。すなわち、リール軸回転ギヤ107は、従動ギヤ115により回転されるのではなく、メインギヤ117の第1のギヤ部117aにより回転されることになる。
【0101】
この時、磁気ヘッド61、62は、図21に示すような状態とされる。すなわち、モード切換スライダ101が矢印X3方向にスライドされることにより、磁気ヘッド61側の支持ピン129は、第3の位置でも第2の位置側に移動し、磁気ヘッド61がカセット本体から待避された状態にされる。一方、磁気ヘッド62側の支持ピン129は、第1の位置から第2の位置、すなわち、カセット本体から磁気ヘッド62が待避した状態にされる。
【0102】
次に、メカシャーシ64の前面中央に設けられるピンチローラ63の支持機構について詳細に説明する。
【0103】
このピンチローラ63は、図22に示すように、一方の端部がメカシャーシ64の前面側コーナ部に植立された支軸141に図22中矢印X13方向、矢印X14方向に回動可能に支持される支持アーム142により支持される。すなわち、ピンチローラ63は、支持アーム142の他方の端部に設けられた支軸143に回転自在に支持される。また、この支持アーム142は、メカシャーシ64に図22中矢印X15方向、矢印X16方向に回動自在に取り付けられた回動アーム144より回動される。この回動アーム144は、支軸146を中心に回動される。この回動アーム144には、一方の端部に被押圧部147が設けられている。この被押圧部147は、回動アーム144に平行して位置するモード切換スライダ101に設けられた一対のカム片148、149に押圧され、矢印X15方向へ回動される。また、支持アーム142と回動アーム144とは、メカシャーシ64に植立された支軸141に取り付けられるトーションスプリング151により関係付けられている。すなわち、このトーションスプリング151は、一方の端部が回動アーム144に設けられたボス152に係止され、他方の端部が支持アーム142に設けられた係止部153に係止される。このようにトーションスプリング151は、回動アーム144を矢印X16方向に付勢すると共に支持アーム142をX13方向に付勢する。
【0104】
このように支持されるピンチローラ63は、モード1の状態においては、図22に示す状態にされる。このモード1では、磁気テープを逆転方向に定速走行がされ、記録又は再生が行われることから図4に示すように、磁気ヘッド61がカセット本体内に進入した状態にある。そして、モード1では、ピンチローラ63は、フライホイール130と同軸のキャプスタン軸59とにより磁気テープを狭持して磁気テープを逆転定速走行させる。ここで、モード切換スライダ101のカム片148は、トーションスプリング151により矢印X16方向に付勢されている回動アーム144の被押圧部147を押圧して矢印X15方向に回動させている。そして、これに伴い、支持アーム142は、トーションスプリング151により矢印X13方向に回動し、カセット本体内に進入した状態にされる。
【0105】
次に、ピンチローラ63は、モード2の状態において、図23に示すような状態にされる。このモード2は、図4及び図19に示すように、磁気テープの正転方向に走行する際の停止状態及び磁気テープの正転又は逆転方向の高速走行の状態である。したがって、ピンチローラ63は、磁気ヘッド61、62と共にピンチローラ63がカセット本体内から待避された状態にある。したがって、モード2では、モード切換スライダ101が図中矢印X4方向にスライドされ、被押圧部147がカム片148、149の間に位置し、これらに押圧されていない状態にある。これにより、回動アーム144は、トーションスプリング151により矢印X16方向に回動された状態にされる。これにより、支持アーム142は、トーションスプリング151により図中X14方向に回動されカセット本体内から待避された状態にされる。
【0106】
次に、このように支持されるピンチローラ63は、モード4の状態において、図24に示すような状態にされる。このモード4は、図4及び図20に示すように、磁気テープを正転方向に定速走行がされ、記録又は再生が行われることから磁気ヘッド62がカセット本体内に進入した状態にある。そして、モード4では、ピンチローラ63は、フライホイール130と同軸のキャプスタン軸59とにより磁気テープを狭持して磁気テープを正転定速走行させる。ここで、このモード4では、モード切換スライダ101が図中矢印X4方向にスライドされ、被押圧部147がカム片149により押圧され、回動アーム144が矢印X15方向に回動させている。そして、これに伴い、支持アーム142は、トーションスプリング151により矢印X13方向に回動し、カセット本体内に進入した状態にされる。
【0107】
なおモード3は、上述したモード2状態と同様に、磁気テープの逆転方向に走行する際の停止状態及び磁気テープの正転又は逆転方向の高速走行の状態であり、ピンチローラ63が磁気ヘッド61、62と共にピンチローラ63がカセット本体内から待避された状態にある。すなわち、この状態は、モード4の状態からモード切換スライダ101が図24中矢印X3方向にスライドされることにより上記モード2で説明した被押圧部147がカム片148、149の間に位置し、これらに押圧されていない状態になる。回動アーム144は、トーションスプリング151により矢印X16方向に回動された状態にされる。これにより、支持アーム142は、トーションスプリング151により図中X14方向に回動されカセット本体内から待避された状態にされる。
【0108】
このようなテープカセットレコーダ30は、磁気テープを駆動させる駆動モータ132の他に別途モード切換えモータ10を設けている。そして、このモード切換えモータ10は、カムギヤ73を回転させることにより、モード切換え機構を動作させ磁気ヘッド61、62及びピンチローラ63の昇降をさせると共にリール軸回転ギヤ107、108の選択を行うことによりモード1〜モード4への切り換えを行う。このように、テープカセットレコーダ30は、駆動モータ132とモード切換えモータ10の2つのモータを設け、それぞれ磁気テープの走行のためとモードを切り換えるためとで役割を分担している。したがって、テープカセットレコーダ30は、モード切換え機構の構成の簡素化を図ると共に装置全体の小型化を図ることができる。
【0109】
さらには、テープカセットレコーダ30は、各モードにおける磁気ヘッド61、62及びピンチローラ63の位置を位置検出スイッチ81により検出を行っている。この位置検出スイッチ81は、上述の通りカムギヤ73に直接取り付けられ薄型に構成されていることから、装置のスペース効率の向上が図られ、装置全体の小型化を図ることができる。また、位置検出スイッチ81は、直接カムギヤ73に取り付けられていることから、各モードの磁気ヘッド61、62及びピンチローラ63の位置を正確に検出することができる。
【0110】
【発明の効果】
本発明に係る記録及び/又は再生装置では、検出したバッテリ電圧に基づき、制御信号としてPWM信号をモード切換モータに供給して、モード切換モータに供給する電圧を一定にすることにより、このバッテリ電圧に関わらず動作モードの切り換え時間を一定化することができ、操作性の向上を図ることができる。
【0111】
また、本発明に係る記録及び/又は再生装置では、モード切換モータに供給するPWM信号のデューティをモード切換機構の動作量に基づき変化させることにより、モード毎の切り換え時間を安定化させることができる。
【0112】
また、本発明に係る記録及び/又は再生装置では、テープカセットに信号の記録及び/又は再生をするものであって、検出したバッテリ部の電圧に基づき、制御信号としてPWM信号をモード切換モータに供給して、モード切換モータに供給する電圧を一定にすることにより、バッテリ電圧に関わらず動作モードの切り換え時間を安定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態で説明するテープカセットレコーダの全体斜視図である。
【図2】実施の形態で説明するテープカセットレコーダの全体斜視図である。
【図3】実施の形態で説明するテープカセットレコーダの制御回路のブロック構成図である。
【図4】テープカセットと、実施の形態で説明するテープカセットレコーダの磁気ヘッド及びピンチローラの関係を示す模式図である。
【図5】マイクロコントローラの制御内容を示すフローチャートである。
【図6】電池のバッテリ電圧に対するPWM値を示す図である。
【図7】電池のバッテリ電圧に対するPWM値を示す図である。
【図8】マイクロコントローラから出力するPWM信号の波形図である。
【図9】メカシャーシに設けられた駆動系を説明するための平面図である。
【図10】カムギヤに設けられた第1のカム溝、第2のカム溝を説明するための平面図である。
【図11】カムギヤ上に取り付けられる検出スイッチの取り付け状態を説明するための断面図である。
【図12】検出スイッチの基台に設けられた固定接点部を説明するための平面図である。
【図13】検出スイッチの回転体に設けられた端子を説明するための斜視図である。
【図14】検出スイッチの平面図である。
【図15】磁気ヘッドの取り付け状態を説明するための平面図である。
【図16】磁気ヘッドの取り付け状態を説明するための側面図である。
【図17】磁気ヘッド用支持アームがメカシャーシに支持される状態を説明するための要部側面図である。
【図18】モード1における磁気ヘッドとその駆動系との関係を説明するための平面図である。
【図19】モード2における磁気ヘッドとその駆動系との関係を説明するための平面図である。
【図20】モード4における磁気ヘッドとその駆動系との関係を説明するための平面図である。
【図21】モード3における磁気ヘッドとその駆動系との関係を説明するための平面図である。
【図22】ピンチローラの支持機構を説明するための平面図である。
【図23】モード2の状態におけるピンチローラの位置を説明するための平面図である。
【図24】モード4の状態におけるピンチローラの位置を説明するための平面図である。
【図25】従来の記録及び/又は再生装置の全体斜視図である。
【図26】テープカセットと磁気ヘッド及びピンチローラの関係を示す模式図である。
【図27】テープカセットと磁気ヘッド及びピンチローラの関係を示す模式図である。
【図28】テープカセットと磁気ヘッド及びピンチローラの関係を示す模式図である。
【符号の説明】
1 マイクロコントローラ、1a アナログ/デジタル変換器、2 システム電源回路、3 電池、4 電源供給回路、5 KEY入力回路、7 モータ駆動回路、8 モード切換モータ駆動回路、9 モード切換モータブレーキ回路、10 モード切換モータ、11 モードポジションスイッチ、30 テープカセットレコーダ
Claims (3)
- 記録媒体の駆動機構並びに記録媒体に信号の記録及び/又は再生をする記録再生部の動作位置を移動させて動作モードを切り換えるモード切換機構を有する記録及び/又は再生装置において、
上記モード切換機構を駆動するモード切換モータと、
バッテリから供給されるバッテリ電圧により上記モード切換モータを駆動するモード切換モータ駆動部と、
上記バッテリ電圧を検出するバッテリ電圧検出部と、
上記モード切換モータ駆動部に制御信号を供給して、記録媒体の駆動機構並びに記録媒体に信号の記録及び/又は再生を記録再生部を上記動作モードに対応した動作位置に移動させる制御を行う制御部とを備え、
上記制御部は、バッテリ電圧検出部が検出したバッテリ電圧に基づき、制御信号としてPWM信号をモード切換モータに供給して、上記モード切換モータ駆動部からモード切換モータを駆動する駆動電圧を一定にすることを特徴とする記録及び/又は再生装置。 - 上記制御部は、モード切換モータに供給するPWM信号のデューティをモード切換機構の動作量に基づき変化させることを特徴とする請求項1に記載の記録及び/又は再生装置。
- 上記記録媒体はテープカセットであり、また、上記記録再生部は磁気ヘッドであることを特徴とする請求項1に記載の記録及び/又は再生装置。
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