JP3557767B2 - 自立屋根付きタンクの解体法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自立屋根付きタンクを能率よく解体するための解体法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
使用済みとなった自立屋根付きタンクを解体する場合、これまでは、先ずガス切断機やグラインダー等を用いて屋根を順次細かく切断して行き、細かく切断した屋根の部分をクレーンにより地上に吊り降ろす作業を何回も繰り返すことによって、屋根を解体するようにし、しかる後、屋根を撤去した後に残っている胴板の部分を、ガス切断機やグラインダー等を用いて適宜解体するようにしているのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来における自立屋根付きタンクの解体法では、屋根を高所にて細かく切り刻んだものをその都度クレーンで吊り降ろすようにしているため、非常に手間が掛かって解体作業全体に要する期間が長くなる問題があり、又、クレーンを長期間にわたって拘束しなければならない問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、クレーンを用いることなく屋根を下降させるようにして、能率よく解体を行うことができるようにしようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、円筒状の胴板の上端に屋根が接合されて一体構築してある自立屋根付きタンクの該胴板と屋根の接合部を円周方向に切断すると共に、2つの切断機を平行に上下動できるように備え且つ前後方向に移動できるように楔を備えた切断ユニットを、円周方向に所要間隔を隔てて配置して、上端部を屋根の周辺部にそれぞれ固定し、次に、上記各切断ユニットの切断機にて、胴板の上端部に縦方向に延びる所要長さのスリットを2本宛設けて、該2本のスリット間に狭幅胴板片を形成し、続いて、上記各狭幅胴板片の上端部に、切断ユニットに備えた楔を打ち込んで狭幅胴板片を内側に曲げてその上に該楔を載せると共に該楔を切断ユニットに固定して屋根の自重を切断ユニットを介して上記内側へ曲げた狭幅胴板片で受けるようにし、次いで、各狭幅胴板片の間に形成された広幅胴板片を外側へ曲げるための楔を外側から打ち込んで該楔を屋根の下端部に固定し、以後、上記切断ユニットの切断機にて胴板を切断して上記スリットを順次延長して行きながら、屋根の自重によって狭幅胴板片を内側へ押し曲げ且つ広幅胴板片を外側に押し曲げて展開させつつ、屋根を低所まで徐々に下降させ、低所にて、屋根及び胴板を細かく切断して解体する自立屋根付きタンクの解体法とする。
【0006】
切り離した屋根の重量を利用して胴板を縦割りしながら屋根を下降させることから、屋根を低所で解体でき、高所でのクレーンによる作業がなくなる。
【0007】
又、狭幅胴板片や広幅胴板片の上端部に打ち込む楔を、ジャッキで押し込むようにすると、作業能率を更によくすることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0009】
図1(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)乃至図7は本発明の実施の一形態を示すもので、底板2上に立設した円筒状の胴板3の上端部に、ドーム型の屋根4が接合されて一体構築されている自立屋根付きタンク1において、胴板3を唐竹割りする如く切断する複数の切断ユニット5を屋根4に固定して用い、且つ上記屋根4を、自重を利用して下降させ、低所で、屋根4及び胴板3を細かく切り刻むようにする。
【0010】
上記切断ユニット5は、図2及び図3にその一例の詳細を示す如く、上下方向に延びる狭幅のフレーム6の前面上部位置に、屋根4の外周部の湾曲形状に沿うように張り出させた屋根4への取付部7を設け、又、上記フレーム6内に、スクリューロッド8を上下方向に配置して、該スクリューロッド8の上端を、上段部の支持プレート9上に設置したモータ10の軸に連結すると共に、スクリューロッド8の下端部を軸受11により回転自在に支持させ、且つ上記スクリューロッド8に、スクリューロッド8の回転によって上下方向へのみ変位できるように昇降ブロック12を螺着し、該昇降ブロック12に、切断機として、前方へ向けて突出する2本の切断トーチ13を左右方向へ所要の幅間隔が形成されるように保持させ、更に、上記フレーム6内に、先端部を上向きの楔部15とし且つ中央部に前後方向(矢印X方向)に延びる長孔16を上下方向に貫通させた楔ブロック17を、上記昇降ブロック12よりも上方位置に前後方向へ移動自在に配置して長孔16内にスクリューロッド8を挿通させて組み入れた構成としてある。18は切断トーチ13のガスホースを示す。
【0011】
タンク1を解体する手順を具体的に説明すると、先ず、図1(イ)に示す如く胴板3と屋根4の接合部19に、図示しない高所作業車を使用して円周方向の切断線20を入れて屋根4を切り離し、次いで、図1(ロ)に示す如く、切断ユニット5を、切断線20の位置に対応させて、たとえば、円周方向に等間隔にて8個所取り付ける。この切断ユニット5は、図2及び図3に詳細を示す如く、胴板3との間に所要の隙間が形成されるように、フレーム6の前面上部位置に設けてある取付部7を屋根4の下端部に溶接により取り付けるようにする。なお、図1(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)においては、図面を理解し易くするために、切断ユニット5は左右2個所のみ描いてある。
【0012】
次に、モータ10の駆動でスクリューロッド8を回転させることにより、昇降ブロック12の昇降変位を介し左右の切断トーチ13の高さ位置調整を行って、左右の切断トーチ13を切断線20の位置に一旦合わせるようにし、かかる状態において、図1(ロ)及び図4に示す如く、切断トーチ13を下降させながら、縦方向に延びる2本のスリット21を、胴板3の上端部に所要の長さだけ形成させて、胴板3の上端部にコの字型の狭幅胴板片3aと広幅胴板片3bを周方向に交互に形成させるようにする。
【0013】
しかる後、図4及び図5に示す如く、後方に退避させておいた楔ブロック17を前進させることにより先端の楔部15を狭幅胴板片3aの上端部に打ち込み、狭幅胴板片3aの上端部をタンク1の内方へ湾曲させた後、上記楔ブロック17をフレーム6に溶接等によって固定させるようにする。これにより、屋根4の自重を切断ユニット5の楔ブロック17を介して上記狭幅胴板片3aで受けさせるようにする。なお、狭幅胴板片3aの上端部への楔ブロック17の打ち込みに際しては、図4において二点鎖線で示す如く、たとえば、高所作業車やフレーム6等に支持をとらせたジャッキ22を用いるようにすると、能率よく行うことができる。続いて、図1(ハ)及び図6に示す如く、狭幅胴板片3aの間に形成された広幅胴板片3bの上端部に、適数個の楔14を外側から斜め下向きに打ち込んで広幅胴板片3bをタンク1の外方へ湾曲させた後、上記各楔14を屋根4の下端部に溶接して固定させるようにする。なお、楔14の打ち込みに際しても、図4に示したようなジャッキ22を用いると効率的である。
【0014】
上記の状態において、各切断ユニット5の切断トーチ13を更に下降させながら該切断トーチ13によってスリット21を下方へ延長形成させるようにすると、スリット21が延長形成された分だけ狭幅胴板片3a及び広幅胴板片3bは曲り易くなるので、屋根4の重量と、楔ブロック17及び楔14の傾斜面の作用により、図1(ニ)に示す如く、狭幅胴板片3a及び広幅胴板片3bが更に押し曲げられることになって屋根4が自重で下降することになる。したがって、同様に、各切断トーチ13を用いて図1(ニ)において二点鎖線で示す如くスリット21を胴板3の下端部付近まで順次延長して行くことにより、図1(ホ)に示す如く、屋根4を底板2の近くまで徐々に下降させて行くようにする。屋根4が底板2の近くまで下降すると、図7に示す如く、狭幅胴板片3aはすべて内側に、又、広幅胴板片3bはすべて外側に展開されたような状態にさせられる。
【0015】
このように、胴板3を唐竹割りを行う如く切断して行くことにより、クレーンやエア浮上等の動力を用いることなく屋根4を降下させることができるので、屋根4及び胴板3を細かく切断する作業をすべて低所にて能率よく行うことができる。
【0016】
なお、上記実施の形態では、フレーム6に搭載した切断機としてはガス切断トーチの場合を示したが、グラインダーやウォータージェット切断機等を用いるようにしてもよいこと、又、実施の形態では、狭幅胴板片3a(広幅胴板片3b)を周方向に8個所形成するようにした場合を示したが、この数は、タンク1の径、材質及び厚さと屋根4の重量等の兼ね合いで、狭幅胴板片3aと広幅胴板片3bを押し曲げて展開させるのに適した数を選定すればよいこと、更に、切断ユニット5に備える楔として、中央部に長孔16を設けてスクリューロッド8と干渉することなく前後方向に移動できるようにした楔ブロック17を示したが、先端部の楔部15のみとして、該楔ブロック17をフレーム6に支持させるようにしてもよいこと、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0017】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明の自立屋根付きタンクの解体法によれば、胴板と屋根の接合部を切断し、切断ユニットの切断機にて、胴板の上端部の円周方向所要間隔位置にスリットを2本宛入れて狭幅胴板片と広幅胴板片を交互に形成し、該狭幅胴板片の上端部に楔を打ち込んで狭幅胴板片を内側に曲げて、屋根の自重を上記楔を介して狭幅胴板片に受けもたさせた後、狭幅胴板片間に形成された広幅胴板片の上端部に楔を打ち込んで広幅胴板片を外側に曲げた状態として、上記スリットを延長して行くことにより、屋根の自重を、狭幅胴板片と広幅胴板片の押し曲げ力として作用させて、屋根を自重にて徐々に下降させた後、屋根と胴板を細かく切断する作業を低所にて行うようにするので、高所で屋根を細かく切断する作業やクレーンによる屋根の吊り降ろし作業を不要とすることができ、これにより、タンクの解体を能率よく行うことができて、クレーンを用いる場合に比して工期を大幅に短縮することができ、又、狭幅胴板片又は広幅胴板片の上端部に打ち込む楔を、ジャッキで押し込むようにすることによって、作業性を更に向上することができる、等の優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自立屋根付きタンクの解体法の実施の一形態を示すもので、(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)は解体作業の手順に沿って示した概略側面図である。
【図2】切断ユニットの一例を示す拡大側面図である。
【図3】図2のD−D矢視図である。
【図4】作業途中における切断ユニットの状態を示すもので、図1(ロ)のA部拡大図である。
【図5】図4のE−E矢視図である。
【図6】図1(ハ)のB部拡大断面図である。
【図7】図1(ホ)のC−C矢視図である。
【符号の説明】
1 タンク
3 胴板
3a 狭幅胴板片
3b 広幅胴板片
4 屋根
5 切断ユニット
13 切断トーチ(切断機)
14 楔
17 楔ブロック(楔)
19 接合部
20 切断線
21 スリット
22 ジャッキ
【発明の属する技術分野】
本発明は自立屋根付きタンクを能率よく解体するための解体法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
使用済みとなった自立屋根付きタンクを解体する場合、これまでは、先ずガス切断機やグラインダー等を用いて屋根を順次細かく切断して行き、細かく切断した屋根の部分をクレーンにより地上に吊り降ろす作業を何回も繰り返すことによって、屋根を解体するようにし、しかる後、屋根を撤去した後に残っている胴板の部分を、ガス切断機やグラインダー等を用いて適宜解体するようにしているのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来における自立屋根付きタンクの解体法では、屋根を高所にて細かく切り刻んだものをその都度クレーンで吊り降ろすようにしているため、非常に手間が掛かって解体作業全体に要する期間が長くなる問題があり、又、クレーンを長期間にわたって拘束しなければならない問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、クレーンを用いることなく屋根を下降させるようにして、能率よく解体を行うことができるようにしようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、円筒状の胴板の上端に屋根が接合されて一体構築してある自立屋根付きタンクの該胴板と屋根の接合部を円周方向に切断すると共に、2つの切断機を平行に上下動できるように備え且つ前後方向に移動できるように楔を備えた切断ユニットを、円周方向に所要間隔を隔てて配置して、上端部を屋根の周辺部にそれぞれ固定し、次に、上記各切断ユニットの切断機にて、胴板の上端部に縦方向に延びる所要長さのスリットを2本宛設けて、該2本のスリット間に狭幅胴板片を形成し、続いて、上記各狭幅胴板片の上端部に、切断ユニットに備えた楔を打ち込んで狭幅胴板片を内側に曲げてその上に該楔を載せると共に該楔を切断ユニットに固定して屋根の自重を切断ユニットを介して上記内側へ曲げた狭幅胴板片で受けるようにし、次いで、各狭幅胴板片の間に形成された広幅胴板片を外側へ曲げるための楔を外側から打ち込んで該楔を屋根の下端部に固定し、以後、上記切断ユニットの切断機にて胴板を切断して上記スリットを順次延長して行きながら、屋根の自重によって狭幅胴板片を内側へ押し曲げ且つ広幅胴板片を外側に押し曲げて展開させつつ、屋根を低所まで徐々に下降させ、低所にて、屋根及び胴板を細かく切断して解体する自立屋根付きタンクの解体法とする。
【0006】
切り離した屋根の重量を利用して胴板を縦割りしながら屋根を下降させることから、屋根を低所で解体でき、高所でのクレーンによる作業がなくなる。
【0007】
又、狭幅胴板片や広幅胴板片の上端部に打ち込む楔を、ジャッキで押し込むようにすると、作業能率を更によくすることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0009】
図1(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)乃至図7は本発明の実施の一形態を示すもので、底板2上に立設した円筒状の胴板3の上端部に、ドーム型の屋根4が接合されて一体構築されている自立屋根付きタンク1において、胴板3を唐竹割りする如く切断する複数の切断ユニット5を屋根4に固定して用い、且つ上記屋根4を、自重を利用して下降させ、低所で、屋根4及び胴板3を細かく切り刻むようにする。
【0010】
上記切断ユニット5は、図2及び図3にその一例の詳細を示す如く、上下方向に延びる狭幅のフレーム6の前面上部位置に、屋根4の外周部の湾曲形状に沿うように張り出させた屋根4への取付部7を設け、又、上記フレーム6内に、スクリューロッド8を上下方向に配置して、該スクリューロッド8の上端を、上段部の支持プレート9上に設置したモータ10の軸に連結すると共に、スクリューロッド8の下端部を軸受11により回転自在に支持させ、且つ上記スクリューロッド8に、スクリューロッド8の回転によって上下方向へのみ変位できるように昇降ブロック12を螺着し、該昇降ブロック12に、切断機として、前方へ向けて突出する2本の切断トーチ13を左右方向へ所要の幅間隔が形成されるように保持させ、更に、上記フレーム6内に、先端部を上向きの楔部15とし且つ中央部に前後方向(矢印X方向)に延びる長孔16を上下方向に貫通させた楔ブロック17を、上記昇降ブロック12よりも上方位置に前後方向へ移動自在に配置して長孔16内にスクリューロッド8を挿通させて組み入れた構成としてある。18は切断トーチ13のガスホースを示す。
【0011】
タンク1を解体する手順を具体的に説明すると、先ず、図1(イ)に示す如く胴板3と屋根4の接合部19に、図示しない高所作業車を使用して円周方向の切断線20を入れて屋根4を切り離し、次いで、図1(ロ)に示す如く、切断ユニット5を、切断線20の位置に対応させて、たとえば、円周方向に等間隔にて8個所取り付ける。この切断ユニット5は、図2及び図3に詳細を示す如く、胴板3との間に所要の隙間が形成されるように、フレーム6の前面上部位置に設けてある取付部7を屋根4の下端部に溶接により取り付けるようにする。なお、図1(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)においては、図面を理解し易くするために、切断ユニット5は左右2個所のみ描いてある。
【0012】
次に、モータ10の駆動でスクリューロッド8を回転させることにより、昇降ブロック12の昇降変位を介し左右の切断トーチ13の高さ位置調整を行って、左右の切断トーチ13を切断線20の位置に一旦合わせるようにし、かかる状態において、図1(ロ)及び図4に示す如く、切断トーチ13を下降させながら、縦方向に延びる2本のスリット21を、胴板3の上端部に所要の長さだけ形成させて、胴板3の上端部にコの字型の狭幅胴板片3aと広幅胴板片3bを周方向に交互に形成させるようにする。
【0013】
しかる後、図4及び図5に示す如く、後方に退避させておいた楔ブロック17を前進させることにより先端の楔部15を狭幅胴板片3aの上端部に打ち込み、狭幅胴板片3aの上端部をタンク1の内方へ湾曲させた後、上記楔ブロック17をフレーム6に溶接等によって固定させるようにする。これにより、屋根4の自重を切断ユニット5の楔ブロック17を介して上記狭幅胴板片3aで受けさせるようにする。なお、狭幅胴板片3aの上端部への楔ブロック17の打ち込みに際しては、図4において二点鎖線で示す如く、たとえば、高所作業車やフレーム6等に支持をとらせたジャッキ22を用いるようにすると、能率よく行うことができる。続いて、図1(ハ)及び図6に示す如く、狭幅胴板片3aの間に形成された広幅胴板片3bの上端部に、適数個の楔14を外側から斜め下向きに打ち込んで広幅胴板片3bをタンク1の外方へ湾曲させた後、上記各楔14を屋根4の下端部に溶接して固定させるようにする。なお、楔14の打ち込みに際しても、図4に示したようなジャッキ22を用いると効率的である。
【0014】
上記の状態において、各切断ユニット5の切断トーチ13を更に下降させながら該切断トーチ13によってスリット21を下方へ延長形成させるようにすると、スリット21が延長形成された分だけ狭幅胴板片3a及び広幅胴板片3bは曲り易くなるので、屋根4の重量と、楔ブロック17及び楔14の傾斜面の作用により、図1(ニ)に示す如く、狭幅胴板片3a及び広幅胴板片3bが更に押し曲げられることになって屋根4が自重で下降することになる。したがって、同様に、各切断トーチ13を用いて図1(ニ)において二点鎖線で示す如くスリット21を胴板3の下端部付近まで順次延長して行くことにより、図1(ホ)に示す如く、屋根4を底板2の近くまで徐々に下降させて行くようにする。屋根4が底板2の近くまで下降すると、図7に示す如く、狭幅胴板片3aはすべて内側に、又、広幅胴板片3bはすべて外側に展開されたような状態にさせられる。
【0015】
このように、胴板3を唐竹割りを行う如く切断して行くことにより、クレーンやエア浮上等の動力を用いることなく屋根4を降下させることができるので、屋根4及び胴板3を細かく切断する作業をすべて低所にて能率よく行うことができる。
【0016】
なお、上記実施の形態では、フレーム6に搭載した切断機としてはガス切断トーチの場合を示したが、グラインダーやウォータージェット切断機等を用いるようにしてもよいこと、又、実施の形態では、狭幅胴板片3a(広幅胴板片3b)を周方向に8個所形成するようにした場合を示したが、この数は、タンク1の径、材質及び厚さと屋根4の重量等の兼ね合いで、狭幅胴板片3aと広幅胴板片3bを押し曲げて展開させるのに適した数を選定すればよいこと、更に、切断ユニット5に備える楔として、中央部に長孔16を設けてスクリューロッド8と干渉することなく前後方向に移動できるようにした楔ブロック17を示したが、先端部の楔部15のみとして、該楔ブロック17をフレーム6に支持させるようにしてもよいこと、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0017】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明の自立屋根付きタンクの解体法によれば、胴板と屋根の接合部を切断し、切断ユニットの切断機にて、胴板の上端部の円周方向所要間隔位置にスリットを2本宛入れて狭幅胴板片と広幅胴板片を交互に形成し、該狭幅胴板片の上端部に楔を打ち込んで狭幅胴板片を内側に曲げて、屋根の自重を上記楔を介して狭幅胴板片に受けもたさせた後、狭幅胴板片間に形成された広幅胴板片の上端部に楔を打ち込んで広幅胴板片を外側に曲げた状態として、上記スリットを延長して行くことにより、屋根の自重を、狭幅胴板片と広幅胴板片の押し曲げ力として作用させて、屋根を自重にて徐々に下降させた後、屋根と胴板を細かく切断する作業を低所にて行うようにするので、高所で屋根を細かく切断する作業やクレーンによる屋根の吊り降ろし作業を不要とすることができ、これにより、タンクの解体を能率よく行うことができて、クレーンを用いる場合に比して工期を大幅に短縮することができ、又、狭幅胴板片又は広幅胴板片の上端部に打ち込む楔を、ジャッキで押し込むようにすることによって、作業性を更に向上することができる、等の優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自立屋根付きタンクの解体法の実施の一形態を示すもので、(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)は解体作業の手順に沿って示した概略側面図である。
【図2】切断ユニットの一例を示す拡大側面図である。
【図3】図2のD−D矢視図である。
【図4】作業途中における切断ユニットの状態を示すもので、図1(ロ)のA部拡大図である。
【図5】図4のE−E矢視図である。
【図6】図1(ハ)のB部拡大断面図である。
【図7】図1(ホ)のC−C矢視図である。
【符号の説明】
1 タンク
3 胴板
3a 狭幅胴板片
3b 広幅胴板片
4 屋根
5 切断ユニット
13 切断トーチ(切断機)
14 楔
17 楔ブロック(楔)
19 接合部
20 切断線
21 スリット
22 ジャッキ
Claims (2)
- 円筒状の胴板の上端に屋根が接合されて一体構築してある自立屋根付きタンクの該胴板と屋根の接合部を円周方向に切断すると共に、2つの切断機を平行に上下動できるように備え且つ前後方向に移動できるように楔を備えた切断ユニットを、円周方向に所要間隔を隔てて配置して、上端部を屋根の周辺部にそれぞれ固定し、次に、上記各切断ユニットの切断機にて、胴板の上端部に縦方向に延びる所要長さのスリットを2本宛設けて、該2本のスリット間に狭幅胴板片を形成し、続いて、上記各狭幅胴板片の上端部に、切断ユニットに備えた楔を打ち込んで狭幅胴板片を内側に曲げてその上に該楔を載せると共に該楔を切断ユニットに固定して屋根の自重を切断ユニットを介して上記内側へ曲げた狭幅胴板片で受けるようにし、次いで、各狭幅胴板片の間に形成された広幅胴板片を外側へ曲げるための楔を外側から打ち込んで該楔を屋根の下端部に固定し、以後、上記切断ユニットの切断機にて胴板を切断して上記スリットを順次延長して行きながら、屋根の自重によって狭幅胴板片を内側へ押し曲げ且つ広幅胴板片を外側に押し曲げて展開させつつ、屋根を低所まで徐々に下降させ、低所にて、屋根及び胴板を細かく切断して解体することを特徴とする自立屋根付きタンクの解体法。
- 狭幅胴板片又は広幅胴板片の上端部に打ち込む楔を、ジャッキで押し込むようにする請求項1記載の自立屋根付きタンクの解体法。
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JP03012896A JP3557767B2 (ja) | 1996-01-25 | 1996-01-25 | 自立屋根付きタンクの解体法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03012896A JP3557767B2 (ja) | 1996-01-25 | 1996-01-25 | 自立屋根付きタンクの解体法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH09203224A JPH09203224A (ja) | 1997-08-05 |
JP3557767B2 true JP3557767B2 (ja) | 2004-08-25 |
Family
ID=12295147
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP03012896A Expired - Fee Related JP3557767B2 (ja) | 1996-01-25 | 1996-01-25 | 自立屋根付きタンクの解体法 |
Country Status (1)
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JP5123120B2 (ja) * | 2008-09-11 | 2013-01-16 | ベステラ株式会社 | 大型貯槽の解体方法 |
JP5654419B2 (ja) * | 2011-06-15 | 2015-01-14 | 太平電業株式会社 | タンク解体工法 |
-
1996
- 1996-01-25 JP JP03012896A patent/JP3557767B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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JPH09203224A (ja) | 1997-08-05 |
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