JP3557582B2 - ワーク切断装置およびワーク切断方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はワーク切断装置およびワーク切断方法に関し、特にたとえば磁石などの磁性部材を切断するために用いられる、ワーク切断装置およびワーク切断方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ボイスコイルモータなどに使用される磁石を得るための従来のワーク切断装置1は、図17に示すように、レール2に摺動可能に装着されたXスライダ3を含む。Xスライダ3上には、チャックテーブル4、その上に貼付板5が取り付けられ、貼付板5には接着剤によってたとえば複数のワーク6が固定される。そして、Xスライダ3を矢印A方向(X軸方向)に摺動させ、ワーク6を、矢印B方向に回転している切断刃7に向かって一定速度で相対移動させることによって、ワーク6を所定の厚みに切断していた。このとき、ワーク6は複数の切断刃7によって切断されるので、一度の作業で複数枚の磁石が得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ワーク切断装置1では、切断刃7が回転軸8に完全に直角になるよう取り付けられるのが理想的であり、この場合には切断反力は切断刃面内に発生し、切断刃7をその面に垂直に変形させる力は発生しない。しかし、現実的には、図18に示すように、切断刃取り付け誤差θ(θ=0.02〜0.04度程度)が発生し、切断反力fの接線分力f1の取り付け誤差分の分力f2(=f1×sinθ)が切断刃7を変形させようとする力として作用し、切断刃7が変形し、切断精度が悪くなる。
また、図19に示すように、切断に要する切断刃7のストロークが長くなるので、切断時間が長くなり、作業性が悪いという問題点があった。
それゆえに、この発明の主たる目的は、切断精度および生産性を向上できる、ワーク切断装置およびワーク切断方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載のワーク切断装置は、複数の切断刃を回転させてワークを切断するワーク切断装置であって、複数のワークが切断刃の回転方向上流側および下流側に配置される凹部を有するワーク配置部、切断時の切断刃に対するワークの相対的運動方向が切断刃の軸方向と垂直になるように、ワークおよび切断刃の少なくともいずれか一方を移動させるための駆動手段、切断刃の回転方向上流側のワークの近傍に形成される第1供給口と第1供給口よりも切断刃の回転方向上流側に形成される第2供給口とを有する第1クーラント供給部、ならびにワーク配置部の凹部に形成される第3供給口を有する第2クーラント供給部を備え、第1供給口からのクーラントは切断刃の回転方向上流側のワークと切断刃とが接触する切断部へ供給され、第2供給口からのクーラントは切断刃の回転方向下流側のワークに向けて供給され、第3供給口からのクーラントは凹部に配置されたワークに供給されることを特徴とする。
請求項2に記載のワーク切断装置は、請求項1に記載のワーク切断装置において、凹部はV字状の断面を有し、断面は切断刃を含む面内およびその面に平行な面内の少なくともいずれか一方に含まれるものである。
【0005】
請求項3に記載のワーク切断装置は、請求項1または2に記載のワーク切断装置において、切断刃は、ヤング率が441,315N/mm〜686,490N/mmの円板状の基板と基板の外周縁に形成される刃先とを含むものである。
請求項4に記載のワーク切断装置は、請求項1ないし3のいずれかに記載のワーク切断装置において、凹部にワークを固定するための固定部材をさらに含み、固定部材は、ワークのうち切断刃に対向する面に圧接される櫛状部を有するものである。
【0006】
請求項5に記載のワーク切断装置は、請求項1ないし4のいずれかに記載のワーク切断装置において、複数の切断刃のうち両端の切断刃の厚みが他の切断刃の厚みより大きく設定されるものである。
請求項6に記載のワーク切断装置は、請求項1ないし5のいずれかに記載のワーク切断装置において、複数の切断刃がブロック化されて切断刃ブロックが形成され、複数の切断刃ブロックがその軸方向に並列配置されるものである。
【0008】
請求項7に記載のワーク切断装置は、請求項1ないし6のいずれかに記載のワーク切断装置において、凹部を囲む囲み部材をさらに含むものである。
請求項8に記載のワーク切断装置は、請求項1ないし7のいずれかに記載のワーク切断装置において、切断刃がレジン系ダイヤモンド切断刃を含むものである。
請求項9に記載のワーク切断装置は、請求項1ないし8のいずれかに記載のワーク切断装置において、クーラントの吐出圧力が196,140Pa〜1,471,050Paであるものである。
【0009】
請求項10に記載のワーク切断方法は、複数の切断刃を回転させてワークを切断するワーク切断方法であって、複数のワークをワーク配置部の凹部に配置する第1ステップ、ならびに切断刃に対するワークの相対的運動方向が切断刃の軸方向と垂直になるように、ワークおよび切断刃の少なくともいずれか一方を移動させてワークを切断する第2ステップを備え、第1ステップでは、複数のワークが凹部において切断刃の回転方向上流側および下流側に配置され、第2ステップでは、切断刃の回転方向上流側のワークの近傍の第1箇所からクーラントが切断刃の回転方向上流側のワークと切断刃とが接触する切断部へ供給され、切断刃に対して第1箇所と同じ側の第2箇所からクーラントが切断刃の回転方向下流側のワークに向けて供給され、さらに、凹部からクーラントが凹部に配置されたワークに供給されることを特徴とする。
請求項11に記載のワーク切断方法は、請求項10に記載のワーク切断方法において、凹部はV字状の断面を有し、断面は切断刃を含む面内およびその面に平行な面内の少なくともいずれか一方に含まれるものである。
【0010】
請求項12に記載のワーク切断方法は、請求項10または11に記載のワーク切断方法において、切断刃は、ヤング率が441,315N/mm2〜686,490N/mm2の円板状の基板と基板の外周縁に形成される刃先とを含むものである。
請求項13に記載のワーク切断方法は、請求項10ないし12のいずれかに記載のワーク切断方法において、第1ステップでは、ワークのうち切断刃に対向する面を固定部材の櫛状部によって圧接して凹部にワークが固定されるものである。
【0011】
請求項14に記載のワーク切断方法は、請求項10ないし13のいずれかに記載のワーク切断方法において、複数の切断刃のうち両端の切断刃の厚みが他の切断刃の厚みより大きく設定されるものである。
請求項15に記載のワーク切断方法は、請求項10ないし14のいずれかに記載のワーク切断方法において、複数の切断刃がブロック化された切断刃ブロックが複数その軸方向に並列配置されており、第1ステップでは、ワーク配置部の凹部に各切断刃ブロックに対応してワークが配置されるものである。
【0013】
請求項16に記載のワーク切断方法は、請求項10ないし15のいずれかに記載のワーク切断方法において、第2ステップでは、ワーククーラントに浸漬された状態で切断されるものである。
請求項17に記載のワーク切断方法は、請求項10ないし16のいずれかに記載のワーク切断方法において、切断刃がレジン系ダイヤモンド切断刃を含むものである。
請求項18に記載のワーク切断方法は、請求項10ないし17のいずれかに記載のワーク切断方法において、クーラントの吐出圧力が196,140Pa〜1,471,050Paであるものである。
【0014】
請求項1に記載のワーク切断装置では、ワーク配置部の凹部に複数のワークを配置し、そのワークに対してたとえば複数の切断刃を回転させながら降下させることによって、ワークに対して切断刃を切り込むことができる。この場合、切断刃を変形させようとする力を従来技術より小さくできるので、切断刃の変形も小さくなり、切断面の精度が向上する。また、切断に要する切断刃のストロークも短くできるので、切断時間を短縮でき、生産性が向上する。さらに、ワーク配置部の凹部に複数のワークを配置するので、一度に多くのワークを切断できる。
また、請求項1に記載のワーク切断装置では、位置が異なる複数の箇所からワークにクーラントを供給することによって、凹部を有するワーク配置部を使用し切断刃とワークとの接触面積が大きくなる場合においても、確実にクーラントを供給できる。したがって、切断刃が効率的に摩耗され、ワークを生産性よく切断できる。さらに、切断刃およびワークに対して同じ側の複数の箇所からクーラントを供給できるので、スラッジを円滑に排出できる。
さらに、請求項1に記載のワーク切断装置では、切断刃の回転方向下流側のワークにもクーラントを供給できる。また、切断刃の回転によって発生する空気の連れまわり流を遮断する。したがって、クーラントに対する空気の連れまわり流の影響が少なくなり、クーラントをワークにより確実に与えることができる。また、ワーク配置部の凹部からワークに対してクーラントを供給する。したがって、ワークの側面などのクーラントを供給し難い部分にも、クーラントを供給できるので、ワークの切断精度がさらに向上する。特に、ワークの厚みが大きい場合に有効となる。
請求項10に記載のワーク切断方法においても同様である。
【0015】
請求項2に記載のワーク切断装置のように、凹部を断面V字状にすれば、ワーク配置部の加工コストを安くでき、様々な種類のワークに適用できる。特に、平面状のワークを配置するときに、ばたつきなく安定的に配置できる。請求項11に記載のワーク切断方法においても同様である。
請求項3に記載のワーク切断装置では、切断刃の基板に、ヤング率が441,315N/mm2〜686,490N/mm2のたとえば超硬合金を用いることによって、薄くて硬く切断性のよい切断刃が得られる。したがって、削り代を小さくでき、製品の歩留まりを向上でき、生産性を向上できる。請求項12に記載のワーク切断方法においても同様である。
【0016】
請求項4に記載のワーク切断装置では、ワークのうち切断刃に対向する面に櫛状部を圧接させてワークを固定するので、従来とは異なり、ワークを接着剤等で固定する作業およびワークの切断後に接着剤を剥がすという作業が不要となり、作業時間を短縮でき、生産性が向上する。請求項13に記載のワーク切断方法においても同様である。
請求項5に記載のワーク切断装置では、両端の切断刃の厚みを大きくすることによって、切断するワークの両端に生じうる寸法はずれの部分を粉状にすることができるので、不良品の混入を防ぐことができる。請求項14に記載のワーク切断方法においても同様である。
【0017】
請求項6に記載のワーク切断装置では、所定枚数の切断刃をブロック化して切断刃ブロックを形成し、複数の切断刃ブロックをその軸方向に並列的に配置する。このとき、切断刃の取り付け誤差の影響は、隣り合う切断刃ブロックには及ばず、取り付け誤差は累積しないので、複数の切断刃ブロックを並列配置することができ、その結果、1度の切断作業で多くのワークを切断できる。また、各ワーク毎に切断刃ブロックをセットできるので、切断刃の取り付け精度を向上でき、寸法はずれの製品の混入を抑制できる。したがって、歩留まりが向上し、生産性が向上する。請求項15に記載のワーク切断方法においても同様である。
【0020】
請求項7に記載のワーク切断装置では、凹部にクーラントを溜めることができるので、ワークをクーラントに浸漬した状態で、ワークを切断できる。したがって、ワークの切断精度がさらに向上する。請求項16に記載のワーク切断方法においても同様である。
また、切断刃がレジン系ダイヤモンド切断刃を含む場合には、クーラントの供給量が不足すると切断刃の異常摩擦を引き起こし、切断精度が悪化するので、請求項8に記載のワーク切断装置は特に有効となる。請求項17に記載のワーク切断方法においても同様である。
請求項9に記載のワーク切断装置では、クーラントの吐出圧力が196,140Pa〜1,471,050Paであるので、レジン系ダイヤモンド切断刃を含む切断刃がほどよく摩耗し、ワークを円滑に切断できる。請求項18に記載のワーク切断方法においても同様である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。
図1を参照して、この発明の実施の形態のワーク切断装置10は薄刃切断機の一種であり、ベッド12を含み、ベッド12上には横断面略コ字状のコラム14が立設される。コラム14の前面には鉛直方向に平行する2本のレール16aおよび16bが形成され、レール16aおよび16bには上下方向(Z軸方向)に摺動可能なスライダ18が装着される。スライダ18の背面には、鉛直方向のねじ孔を有するスライダ支持部20が取り付けられ、スライダ支持部20のねじ孔には切込軸として機能するねじ22が螺入される。ねじ22はコラム14上に配設される昇降モータ24によって回転される。したがって、昇降モータ24の制御によってねじ22が回転し、スライダ支持部20を介してスライダ18が上下動可能とされ、切断時には、後述する切断刃ブロック28が矢印C方向(下方向)に送られる。
【0022】
スライダ18の前面には所定間隔を有しかつ同一高さに支持部26aおよび26bが設けられ、支持部26aおよび26bによって、複数の切断刃ブロック28が取り付けられた回転軸30が回転可能に支持される。回転軸30の一端にはプーリ32を介してベルト34が装着され、ベルト34を図示しないモータで回転させることによって、回転軸30、切断刃ブロック28がたとえば矢印D方向に回転される。なお、支持部26bは、スライダ18に取り付けられたレール36aおよび36bを摺動してスライダ18の前面に着脱可能に装着される。
【0023】
図2に示すように、回転軸30の外周面には複数(この実施の形態では5個)のセグメントフランジ38が装着され、各セグメントフランジ38内に切断刃ブロック28が装着される。切断刃ブロック28は、図2および図3に示すように、複数の切断刃40とその両端の厚手の切断刃42とを含み、各切断刃間にはスペーサ44が介挿される。すなわち、切断刃40とスぺーサ44とが交互に配置され、その両端に切断刃42が取り付けられる。各切断刃ブロック28およびセグメントフランジ38の寸法は、切断するワーク54(後述)の寸法に合わせて設定される。
【0024】
切断刃40および42は、それぞれ円板状の基板40aおよび42aを含み、基板40aおよび42aの外周縁にはそれぞれ刃先40bおよび42bが装着されている。基板40aおよび42aは、それぞれヤング率が441,315N/mm〜686,490N/mmの超硬合金、たとえばタングステンカーバイドによって構成されることが望ましく、この場合、図1のワーク54を切断する際、刃ぶれが生じにくくなるので削り代を小さくできる。ヤング率が441,315N/mm未満の場合、超硬合金といえども切断時の抵抗で曲がりやうねりが生じ、結果として基板40aを薄くできず超硬合金のメリットがなくなる。また、ヤング率が686,490N/mmを越えると曲がりやうねりの点では問題ないものの硬く脆くなるため、使用時に破損し易くなり危険である。したがって、ヤング率を441,315N/mm〜686,490N/mmの範囲内に限定した。刃先40b、42bとしては、たとえばダイヤモンド系砥粒をレジンで固めたレジン系ダイヤモンドが用いられる。
【0025】
この実施の形態では、たとえば、基板40aの厚みは0.6mm、スペーサ44の厚みは2.5mm、厚手の基板42aの厚みは3mmに設定される。このように両端の切断刃42の厚みを大きくすることによって、ワーク54の両端の寸法はずれの部分を粉状にすることができる。
また、切断刃40および42の外径(半径)を、スペーサ44の外径(半径)より(ワーク54の厚み+櫛状部62の厚み)の分だけ長くなるように設定することが望ましい。
【0026】
図1に戻って、ベッド12上の切断刃ブロック28の真下には、ワーク配置部45が設けられる。ワーク配置部45は、断面略V字状の凹部46を有するたとえばカーボン製のテーブル47を含み、テーブル47の斜面48aおよび48bには、それぞれ配置板50aおよび50bが装着される。図4に示すように、配置板50aおよび50bのそれぞれの上面には、さらに樹脂等からなる摩擦係数の高いコート材52aおよび52bが形成される。したがって、コート材52aと52bとはV字状に配置される。切断作業時には、コート材52aおよび52b上の各切断刃ブロック28に対応する位置に、それぞれワーク54が配置される。この実施の形態では、コート材52aおよび52b上にそれぞれ5個ずつ、計10個のワーク54が配置される。ワーク54としては、たとえば円弧状の断面を有する磁石等の磁性部材が用いられる。
【0027】
さらに、図4に示すように、テーブル47の斜面48aおよび48b上の各切断刃ブロック28に対応する位置には、それぞれワーク54を固定するためのクランプ状の固定部材56が設けられる。この実施の形態では、各ワーク54に対応して10個の固定部材56が配置される。固定部材56は、斜面48a、48bから立設される基部58を含む。基部58は、下部58aと、下部58aに支軸58bを介して回動可能に接続される上部58cとを含む。基部58上には調整部60が接続され、さらに、L字状になるように櫛状部62の端部が位置決めされ、板部材64上からねじ66を螺入することによって、櫛状部62が取り付けられる。櫛状部62は、たとえばばねなどの弾性体によって構成されるのが望ましい。
【0028】
調整部60として高さやその上面傾斜角の異なるものを用いることによって、櫛状部62の取り付け角度を変更でき、ワーク54への押圧力を変更できる。また、固定部材56の櫛状部62の湾曲度を調整することによって、ワーク54への押圧力、ひいてはワーク54とコート材52a、52bとの摩擦力を調整できる。櫛状部62は、切断時にその隙間62aに切断刃40の刃先40bが入るように設定される。
【0029】
固定部材56によるワーク固定時には、ワーク54のうち切断刃40、42と対向する面すなわち上面を櫛状部62でテーブル47方向に押圧し、これによって、切断時にワーク54を固定できる。固定部材56による押圧は、基部58の上部58cを外側へ倒すことによって解除できる。固定部材56によれば、ワークに加わる押圧力の調整も難しくないので、ワークがたとえば薄い部材、欠けやすい部材であっても、固定作業時にワークが欠損するようなことはない。
【0030】
また、図5(a)および(b)に示すように、テーブル47内には、クーラント供給部となるクーラント供給路68が形成される。テーブル47の側面に設けられた孔70からクーラント72がクーラント供給路68内へ与えられ、テーブル47の凹部46の底部に設けられた複数の孔型の供給口74からクーラント72が上方向へ吐出される。クーラント72の吐出圧力は、196,140Pa〜1,471,050Paであり、より好ましくは、294,210Pa〜686,490Paである。
凹部46を囲むようにテーブル47の側面には板状の囲み部材76が取り付けられ、凹部46にクーラント72を溜めることが可能となる。囲み部材76を設けているときは、クーラント72の吐出圧力は、294,210Pa以下であってもよい。なお、凹部46の底部には、配置板88aおよび88bの位置決めピン78が形成される。
【0031】
さらに、図1および図6に示すように、スライダ18の側面には、切断刃ブロック28と対向するようにクーラント供給部80が取り付けられる。図10(a)および(b)にも示すように、クーラント供給部80は、クーラント供給路82と滞留部84とを含む。滞留部84の前面には、それぞれスリット状の供給口86aおよび86bが、上下方向に間隔をあけて形成される。すなわち、供給口86aがワーク54の近傍に形成され、供給口86bが供給口86aよりも切断刃40、42の回転方向上流側に形成される。供給口86aおよび供給口86bのスリット幅Wはたとえば1mm〜2mmである。
図10(a)および(b)からわかるように、滞留部84内には、吐出するクーラント72の圧力を一定にするために略L字状の邪魔板88が設けられる。クーラント供給路82を介してクーラント72が滞留部84に与えられ、供給口86aおよび86bから吐出される。
【0032】
ここで、クーラント72の吐出圧力は、196,140Pa〜1,471,050Paである。この範囲内であれば、レジン系ダイヤモンド切断刃を含む切断刃40および42がほどよく摩耗し、ワーク54を円滑に切断できる。
クーラント72の吐出圧力は、より好ましくは、294,210Pa〜686,490Paである。この範囲内であれば、吐出圧力による切断刃40および42の変形もなく、ワーク54を精度良く切断できる。
下側の供給口86aからは、ワーク54と切断刃40、42とが接触する切断部90へクーラント72が供給される。上側の供給口86bからは、切断刃40、42の回転方向下流側、すなわち図10(a)および(b)に示す左側のワーク54に向けて、クーラント72が供給される。
【0033】
ワーク切断装置10の主要な動作について、図7を参照して説明する。
まず、図7(a)に示すように、基部58の上部58cを外側へ倒して、ワーク54の配置可能な状態にする。ついで、図7(b)に示すように、コート材52aおよび52b上にそれぞれワーク54を配置し、図7(c)に示すように、基部58の上部58cを元の位置に戻して、櫛状部62でワーク54の上面を上方向から押圧してワーク54を固定する。その後、図示しないスタートボタンをオンすると、切断刃40および42が回転しながらワーク54に向かって降下し、やがて同一速度で回転して、図7(d)に示すようにワーク54を切断していく。このとき、ワーク54には切断反力が働くが、固定部材56によってワーク54を固定するので、切断終了までワーク54を確実に保持することができ、切断時におけるワーク54のばたつきを抑えることができる。したがって、切断終了後にワーク54が倒れて回転する切断刃40または42に接触し切断後のワーク54が破損するということはない。ワーク54の切断が終了し切断刃40、42の刃先40b、42bが配置板50a、50bに達した時点で切断刃40、42の回転は自動停止され、その後、切断刃40、42は上昇してワーク54から離れる。なお、ワーク54の切断作業中には、クーラント供給部80の供給口86aおよび86b、クーラント供給路68の供給口74から、クーラント72が吐出される。
【0034】
このようなワーク切断装置10によれば、図8に示すように、従来と同様の切断刃取り付け誤差θがあっても、切断反力Fが回転軸30の略中心方向になるので、接線分力F1は小さくなり、切断刃40を変形させようとする分力F2(=F1×sinθ)は必然的に、図18に示す従来技術の場合よりも小さくなる。その結果、切断刃40の変形を小さくでき、切断精度が向上する。さらに、従来とは異なり、ワーク54をV字状に配置し横方向ではなく上方向から切断するので、切断時の押圧力によってワーク54がずれるということはない。したがって、ワーク54の切断寸法精度や切断面が良好となる。また、凹部46において、切断刃40を含む面と交差するように複数のワーク54のそれぞれを配置することによって、一度に多くのワーク54を切断できる。
【0035】
切断刃40の基板40aとして超硬合金であるたとえばタングステンカーバイドを用いるが、上述のように切断刃40の変形を小さくでき刃ぶれが生じにくくなるので、さらに基板40aの厚みを小さくでき、1個のワーク54からとり出せる部材96(後述)の数を多くできる。
また、各ワーク54ごとに切断刃ブロック28を対応づけてセットでき、かつ切断刃40および42の取り付け精度が良いため、特にワーク54の寸法ばらつき等があっても、寸法はずれの製品の混入を抑制することができる。
さらに、切断刃ブロック28の両端の切断刃42の厚みを切断刃40の厚みより大きく設定することによって、寸法はずれの製品となりうるワーク54の両端を粉状にすることができるので、不良品の混入を阻止することができる。したがって、歩留まりが向上し、生産性が向上する。
【0036】
また、図9に示すように、ワーク切断装置10による切断開始から切断終了までの切断刃40のストロークは29.54mmであり、図19に示す従来技術(186.25mm)と比較して短縮できる。すなわち、図1に示すように、テーブル47の上面の凹部46をV字状に形成しかつ上方向から切断することによって、切断ストロークを短くでき、ワーク切断時間を大幅に短縮できる。このとき、回転軸30からの距離が等しくなるようにワーク54を配置することによって、切断ストロークを一層短くできる。さらには、テーブル47の斜面48aと48bとがなす角度すなわちコート材52aと52bとのなす角度(V字の角度)を、図9に示すように、2つのワーク54の底部のX1、X2、X3、X4の4点を同時に切断刃40の刃先40bが通過するように設定することによって、ワーク54の切断ストロークをさらに短くでき、切断加工時間を短縮でき、生産性が向上する。
【0037】
また、たとえば、切断刃40および42の外径を、スペーサ44の外径にさらに(ワーク54の厚み+櫛状部62の厚み)分を加えた寸法に設定すれば、切断刃40、42の半径を小さくできる。この場合、ワーク切断の際に切断刃40、42にかかる負荷の変化が小さくなるので、切断刃40、42の回転数を安定化でき、また、切断刃40、42のブレも抑制でき、ワーク54の切断面が良好となる。
【0038】
また、図2に示すように、一定枚数の切断刃40および42をブロック化して切断刃ブロック28を形成し、回転軸30に複数個の切断刃ブロック28を装着するので、各切断刃40、42、スぺーサ44の厚み方向の取り付け誤差が隣接する切断刃ブロック28に影響せず、取り付け誤差が累積しない。したがって、切断精度は悪化せず、寸法はずれの製品の混入を抑制できる。その結果、回転軸30に取り付けられる切断刃40の数を多くしても良品が多くとれるので、生産性を向上できる。一実験例では、従来のワーク切断装置1の場合、取り付け可能な切断刃の枚数は50枚が限界であったが、ワーク切断装置10の場合100枚まで取り付け可能となった。
【0039】
ワーク54を上部から固定部材56で固定した後、切断することによって、接着剤でワーク54を固定することなく切断できるので、接着や、その剥離にかかる作業が不要となり、生産性が向上する。一実験例では、たとえば、20mm×40mm×60mmのワークを従来のワーク切断装置1によって切断した場合には、接着と剥離とに55分必要であったが、ワーク切断装置10によれば、それらの作業は不要となるので、その分の工程を削減できた。切断時間については、ワーク切断装置1では18.5分必要であったが、ワーク切断装置10によればそれを10分に短縮することができた。したがって、生産性を向上できる。
【0040】
なお、凹部46を断面V字状にすることによって、加工コストを安くでき、様々な種類のワークに適用できる。特に、平面状のワークを配置するときに、ばたつきなく安定的に配置できる。
また、凹部46の断面形状であるV字の角度は、ワークの形状等に応じて設定でき、また、ワーク54のように下面が凹面状のものを配置する場合には、それに応じた膨らみをコート材52aおよび52bに形成してもよい。さらに、凹部46の断面形状は、円弧状でもよく、特に、切断刃40と同じ曲率を有する円弧状であれば、切断時間を短縮する上でより好ましい。
【0041】
さらに、ワーク切断装置10によれば、形成箇所が異なる供給口86aおよび86bをクーラント供給部80に設け、ワーク54に複数の箇所からクーラント72を供給することによって、図10(b)に示すように、切断刃40、42とワーク54との接触面積が大きくなる場合においても、確実にクーラント72を供給できる。したがって、切断刃40、42が効果的に摩耗され、精度および生産性よくワーク54を切断できる。
また、切断刃40、42およびワーク54に対して同じ側の複数の箇所からクーラント72を供給できるので、スラッジを円滑に排出できる。
【0042】
さらに、供給口86bからのクーラント72の吐出によって、切断刃40、42の回転方向下流側のワーク54にもクーラント72を供給できる。このとき、スペーサ44に衝突するクーラント72は、スペーサ44から振り落とされるようにして下流側のワーク54に供給される。また、供給口86bからのクーラント72によって、切断刃40、42の回転によって発生する空気の連れまわり流を遮断する。したがって、供給口86aからのクーラント72に対する空気の連れまわり流の影響が少なくなり、供給口86aからのクーラント72をワーク54により確実に与えることができる。
【0043】
また、切断刃40、42がレジン系ダイヤモンド切断刃を含む場合には、クーラント72の供給量が不足すると切断刃40、42の異常摩擦を引き起こし、切断精度が悪化するので、この発明は特に有効となる。
さらに、ワーク54が磁石部材のような焼結体のとき切断精度が悪いと割れや欠けを発生させるので、この発明は特に有効となる。
また、凹部46にクーラント72の供給口74を形成することによって、ワーク54の側面など、クーラント供給部80ではクーラント72を供給し難い部分にも、クーラント72を供給できるので、ワーク54の切断精度がさらに向上する。特に、ワーク54の厚みが大きい場合に有効となる。
【0044】
さらに、凹部46を囲み部材76で囲むことによって、凹部46にクーラント72を溜めることができる。したがって、ワーク54をクーラント72に浸漬した状態で、ワーク54を切断できる。また、供給口74からの吐出圧力が供給口86aおよび86bからの吐出圧力より低くても、切断刃40、42にクーラント72を供給できる。したがって、ワーク54の切断精度がさらに向上する。特に、切断刃40、42の回転方向下流側のワーク54にクーラント72を十分に供給でき、スラッジの滞留も防ぐことができ、精度良くワーク54を切断できる。
【0045】
ここで、ワーク切断装置10の実験例について説明する。
実験条件を表1に示す。
【0046】
【表1】
Figure 0003557582
【0047】
図10(a)および(b)に示す場合と、図11(a)および(b)に示す場合とについて、それぞれ、「寸法ばらつき」、「平行度」、「摩耗レート」を求めた。
図10(a)および(b)はそれぞれ、クーラント供給部80およびクーラント供給路68を有するワーク切断装置10を用いた場合の、切断開始時および切断中(後半)のクーラント供給状態を示す。
図11(a)および(b)はそれぞれ、クーラント供給部として、供給口92が1つのクーラント供給部94だけを用いた場合の、切断開始時および切断中(後半)のクーラント供給状態を示す。図11(a)および(b)に示す場合に用いる装置のその他の構成はワーク切断装置10と同様である。
【0048】
ここで、「寸法ばらつき」とは、図12(a)に示すように、ワーク54を切断して得られた部材96の5点の厚みを測定し、その厚みの最大値と最小値との差をいう。「平行度」は次のように求められる。図12(b)に示すように、部材96のうち、平行な矢印V1およびV2方向、それに直交する矢印H方向のそれぞれについて、部材96の厚みを測定する。そして、矢印V1、V2、H方向のそれぞれについて最大値と最小値との差を求め、その平均値をとり、「平行度」とする。実験では、「寸法ばらつき」および「平行度」はそれぞれ、1回の切断(pass)で得られるすべての部材96について測定され、その測定は10passごとに行われた。そして、100passの切断終了時点で得られた「寸法ばらつき」および「平行度」がそれぞれ平均され、図13(a)に示すような値が得られた。「摩耗レート」とは、100passの切断終了時点での各切断刃40、42の径方向のすり減り量を測定し、その平均値をとったものをいう。
【0049】
実験では、ワーク切断装置10については、クーラント72を良好に供給できた。一方、クーラント供給部としてクーラント供給部94だけを用いた場合、図11(a)に示す切断開始時には、切断部90にクーラント72を供給できたが、図11(b)に示す切断中(後半)には、クーラント72を切断部90に供給できずかつ下流側のワーク54には供給不足となった。
図13(a)〜(c)に示す実験結果より、図10(a)および(b)のワーク切断装置10の方が寸法ばらつきが小さく、切断精度が高くなることがわかる。
また、図14(a)および(b)に示す実験結果より、図10(a)および(b)のワーク切断装置10の方が摩耗レートが低くなり、切断刃40、42の寿命を長くでき、ワーク54を効率よく切断できることがわかる。
【0050】
因みに、ワーク切断装置10において、クーラント供給部として、クーラント供給部80のみを用いた場合と、クーラント供給部80およびクーラント供給路68を用いた場合とを比較すると、切断作業の回数が増えれば、クーラント供給部80のみを用いる場合の方が摩耗レートが大きくなる。
【0051】
なお、ワーク切断装置10において、図15に示すようなテーブル47aが用いられてもよい。テーブル47aの凹部46の底部には、スリット型の供給口74aが形成される。その他の構成についてはテーブル47と同様である。スリット型の供給口74aを用いれば、各切断刃40、42にクーラント72をより均一に吐出できる。
また、図16に示すようなクーラント供給部80aが用いられてもよい。クーラント供給部80aでは、スリット状の供給口98aおよび98bに、それぞれノズル100aおよび100bが取り付けられる。ノズル100aおよび100bはクーラント72の吐出方向を調整できるように回動可能に構成される。したがって、クーラント供給部80aを用いれば、テーブル47の形状や大きさ、ワーク54の形状、大きさおよび配置等に応じてクーラント72を所望の方向に供給することができる。
【0052】
上述の実施の形態では、ワーク54に向けて切断刃40、42を移動させる場合について説明したが、これに限定されず、たとえば、切断刃40、42に向けてワーク54を移動させてもよく、さらに、切断刃40、42およびワーク54をともに移動させてもよい。さらには、切断時における切断刃40、42に対するワーク54の相対的運動方向が切断刃40、42の軸方向と垂直になるように、ワーク54および切断刃40、42の少なくともいずれか一方を移動させる任意の手段を用いることができる。
【0053】
【発明の効果】
この発明によれば、切断刃を変形させようとする力を従来より小さくできるので、切断刃の変形も小さくなり、切断精度が向上する。また、切断に要する切断刃のストロークも短くできるので、切断時間を短縮でき、生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態の要部を示す斜視図である。
【図2】回転軸に切断刃ブロックを取り付けた状態を示す断面図である。
【図3】切断刃ブロックを示す分解斜視図である。
【図4】固定部材を示す斜視図である。
【図5】(a)および(b)は、それぞれテーブルに設けられるクーラント供給部および囲み部材の一例を示す斜視図および図解図である。
【図6】スライダに取り付けられるクーラント供給部の一例を示す斜視図である。
【図7】(a)ないし(d)は、図1の実施形態の動作を模式的に示す図解図である。
【図8】図1の実施形態による切断時に切断刃にかかる加工反力の関係を示す図解図でる。
【図9】図1の実施形態の切断ストロークを示す図解図である。
【図10】図1に示す実施形態によるクーラント供給状態を示す図解図であり、(a)は切断開始時、(b)は切断中(後半)を示す。
【図11】供給口が1つのクーラント供給部を用いた場合のクーラント供給状態を示す図解図であり、(a)は切断開始時、(b)は切断中(後半)を示す。
【図12】(a)および(b)は、それぞれ寸法ばらつきおよび平行度を説明するための図解図である。
【図13】(a)は切断精度に関する実験結果を示すテーブル、(b)および(c)はそのグラフである。
【図14】(a)は摩耗レートに関する実験結果を示すテーブル、(b)はそのグラフである。
【図15】テーブルに設けられるクーラント供給部の他の例を示す斜視図である。
【図16】スライダに取り付けられるクーラント供給部の他の例を示す図解図である。
【図17】従来技術の一例を示す斜視図である。
【図18】図17に示す従来技術による切断時に切断刃にかかる加工反力の関係を示す図解図である。
【図19】図17に示す従来技術の切断ストロークを示す図解図である。
【符号の説明】
10 ワーク切断装置
16a、16b、36a、36b レール
18 スライダ
20 スライダ支持部
22 ねじ
24 昇降モータ
28 切断刃ブロック
30 回転軸
38 セグメントフランジ
40、42 切断刃
40a、42a 基板
40b、42b 刃先
44 スペーサ
45 ワーク配置部
46 凹部
47、47a テーブル
48a、48b 斜面
54 ワーク
56 固定部材
62 櫛状部
68、82 クーラント供給路
72 クーラント
74、74a、86a、86b、92、98a、98b 供給口
76 囲み部材
80、80a、94 クーラント供給部

Claims (18)

  1. 複数の切断刃を回転させてワークを切断するワーク切断装置であって、
    複数の前記ワークが前記切断刃の回転方向上流側および下流側に配置される凹部を有するワーク配置部、
    切断時の前記切断刃に対する前記ワークの相対的運動方向が前記切断刃の軸方向と垂直になるように、前記ワークおよび前記切断刃の少なくともいずれか一方を移動させるための駆動手段、
    前記切断刃の回転方向上流側のワークの近傍に形成される第1供給口と前記第1供給口よりも前記切断刃の回転方向上流側に形成される第2供給口とを有する第1クーラント供給部、ならびに
    前記ワーク配置部の前記凹部に形成される第3供給口を有する第2クーラント供給部を備え、
    前記第1供給口からのクーラントは前記切断刃の回転方向上流側のワークと前記切断刃とが接触する切断部へ供給され、前記第2供給口からのクーラントは前記切断刃の回転方向下流側のワークに向けて供給され、前記第3供給口からのクーラントは前記凹部に配置されたワークに供給される、ワーク切断装置。
  2. 前記凹部はV字状の断面を有し、前記断面は前記切断刃を含む面内およびその面に平行な面内の少なくともいずれか一方に含まれる、請求項1に記載のワーク切断装置。
  3. 前記切断刃は、ヤング率が441,315N/mm2〜686,490N/mm2の円板状の基板と前記基板の外周縁に形成される刃先とを含む、請求項1または2に記載のワーク切断装置。
  4. 前記凹部に前記ワークを固定するための固定部材をさらに含み、前記固定部材は、前記ワークのうち前記切断刃に対向する面に圧接される櫛状部を有する、請求項1ないし3のいずれかに記載のワーク切断装置。
  5. 前記複数の切断刃のうち両端の切断刃の厚みが他の切断刃の厚みより大きく設定される、請求項1ないし4のいずれかに記載のワーク切断装置。
  6. 前記複数の切断刃がブロック化されて切断刃ブロックが形成され、複数の前記切断刃ブロックがその軸方向に並列配置される、請求項1ないし5のいずれかに記載のワーク切断装置。
  7. 前記凹部を囲む囲み部材をさらに含む、請求項1ないし6のいずれかに記載のワーク切断装置。
  8. 前記切断刃がレジン系ダイヤモンド切断刃を含む、請求項1ないし7のいずれかに記載のワーク切断装置。
  9. 前記クーラントの吐出圧力が196,140Pa〜1,471,050Paである、請求項1ないし8のいずれかに記載のワーク切断装置。
  10. 複数の切断刃を回転させてワークを切断するワーク切断方法であって、
    複数の前記ワークをワーク配置部の凹部に配置する第1ステップ、ならびに
    前記切断刃に対する前記ワークの相対的運動方向が前記切断刃の軸方向と垂直になるように、前記ワークおよび前記切断刃の少なくともいずれか一方を移動させて前記ワークを切断する第2ステップを備え
    前記第1ステップでは、複数の前記ワークが前記凹部において前記切断刃の回転方向上流側および下流側に配置され、
    前記第2ステップでは、前記切断刃の回転方向上流側のワークの近傍の第1箇所からクーラントが前記切断刃の回転方向上流側のワークと前記切断刃とが接触する切断部へ供給され、前記切断刃に対して前記第1箇所と同じ側の第2箇所からクーラントが前記切断刃の回転方向下流側のワークに向けて供給され、さらに、前記凹部からクーラントが前記凹部に配置されたワークに供給される、ワーク切断方法。
  11. 前記凹部はV字状の断面を有し、前記断面は前記切断刃を含む面内およびその面に平行な面内の少なくともいずれか一方に含まれる、請求項10に記載のワーク切断方法。
  12. 前記切断刃は、ヤング率が441,315N/mm2〜686,490N/mm2の円板状の基板と前記基板の外周縁に形成される刃先とを含む、請求項10または11に記載のワーク切断方法。
  13. 前記第1ステップでは、前記ワークのうち前記切断刃に対向する面を固定部材の櫛状部によって圧接して前記凹部に前記ワークが固定される、請求項10ないし12のいずれかに記載のワーク切断方法。
  14. 前記複数の切断刃のうち両端の切断刃の厚みが他の切断刃の厚みより大きく設定される、請求項10ないし13のいずれかに記載のワーク切断方法。
  15. 前記複数の切断刃がブロック化された切断刃ブロックが複数その軸方向に並列配置されており、前記第1ステップでは、前記ワーク配置部の凹部に前記各切断刃ブロックに対応して前記ワークが配置される、請求項10ないし14のいずれかに記載のワーク切断方法。
  16. 前記第2ステップでは、前記ワーク前記クーラントに浸漬された状態で切断される、請求項10ないし15のいずれかに記載のワーク切断方法。
  17. 前記切断刃がレジン系ダイヤモンド切断刃を含む、請求項10ないし16のいずれかに記載のワーク切断方法。
  18. 前記クーラントの吐出圧力が196,140Pa〜1,471,050Paである、請求項10ないし17のいずれかに記載のワーク切断方法。
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