JP2000355014A - 磁石部材切断方法 - Google Patents

磁石部材切断方法

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JP2000355014A
JP2000355014A JP2000113430A JP2000113430A JP2000355014A JP 2000355014 A JP2000355014 A JP 2000355014A JP 2000113430 A JP2000113430 A JP 2000113430A JP 2000113430 A JP2000113430 A JP 2000113430A JP 2000355014 A JP2000355014 A JP 2000355014A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 切断刃を長寿命化し、かつ切断精度を向上す
る。 【解決手段】 台板38aとその外周縁に形成され超砥
粒からなる刃先38bとを含む切断刃38によって、希
土類磁石部材からなるワーク52を切断する際、吐出圧
力を2αPa〜15αPa(α=9.80665×10
4)に設定しクーラント吐出装置54によってクーラン
ト60を切断部63に吐出する。台板38aを超硬合金
によって構成する場合、突き出し比率を30〜50、超
硬合金のヤング率を45,000βN/m2〜70,0
00βN/m2(β=9.80665×106)に設定す
る。台板38aを高速度鋼によって構成する場合、突き
出し比率を20〜50、高速度鋼のヤング率を20,0
00βN/m2〜25,000βN/m2に設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は磁石部材切断方法
に関し、より特定的には、台板と台板の外周に形成され
超砥粒からなる刃先とを含む切断刃によって希土類磁石
部材を切断する磁石部材切断方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ダイヤモンド系砥粒を被着させた切断刃
によって切削抵抗の大きい希土類磁石部材を精度よく切
断するためには、切断速度を小さくしかつ切断刃の周速
を上げる必要があるが、切断により発生する熱によって
切断部の温度が上昇する。この切断部の温度が所定温度
まで上昇すると、ダイヤモンド砥粒の炭化、脱落、異常
摩耗などを生じ、切断刃が使用不能になってしまう。そ
こで、ノズルからクーラントを切断部に吐出して、切断
部を冷却する方法が採用されている。このとき、クーラ
ントを切断部に十分に供給できるように、台板の厚みを
切断刃の厚みより小さくして、切断時に台板とワークの
切削溝との間にクリアランスすなわち隙間が形成され
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、切断刃の周速
が1,200m/minを超えると切断刃の周りに強い
連れまわり流が発生する。したがって、クーラントの吐
出圧力が低いとクーラントは連れまわり流によって押し
返されて所望の箇所に十分に供給されないため、切断部
が高温化し、切断刃の焼き付きや研削ムラを生じてしま
う。その結果、切断刃の寿命は短く、切断精度も悪くな
るという問題点があった。一方、高速回転する切断刃に
クーラントを吐出する際、吐出圧力が高圧になりすぎる
と切断刃が変形する。歩留まり向上のために切断刃を
1.0mm以下と薄くする場合や、切断するワークの高
さが20mm以上となり切断刃の突き出し量を多くしな
ければならない場合には、特に、切断刃が曲がりやすく
なる。さらに、切断刃の台板とワークの研削溝との間に
クリアランスが形成されることによって、台板は両側か
ら支持されず変形しやすくなる。また、吐出にポンプを
用いるためクーラントの吐出が脈動するので切断刃を含
めた切断部が振動する。したがって、得られる製品の面
精度はよくなかった。
【0004】また、回転するダイヤモンド砥石にクーラ
ントをかけながら難削材を研削する従来技術が、特開平
3−294179号において開示されている。この技術
では、砥石周囲の空気膜を破ってクーラントが砥石表面
に達することができるように、たとえばクーラントの吐
出圧力が50αPa〜70αPaの高圧に設定される。
しかし、このような高い吐出圧力では、砥石が変形した
り切断部が振動して、切断精度が悪くなると考えられ
る。それゆえに、この発明の主たる目的は、切断刃の長
寿命化が図れ、切断精度が向上する、磁石部材切断方法
を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の磁石部材切断方法は、台板と台板
の外周に形成され超砥粒からなる刃先とを含む切断刃に
よって希土類磁石部材を切断する磁石部材切断方法にお
いて、希土類磁石部材を切断する際、切断部に吐出され
るクーラントの吐出圧力が2αPa〜15αPa(α=
9.80665×104)であることを特徴とする。請
求項2に記載の磁石部材切断方法は、請求項1に記載の
磁石部材切断方法において、クーラントの吐出圧力が3
αPa〜7αPaであるものである。請求項3に記載の
磁石部材切断方法は、請求項1または2に記載の磁石部
材切断方法において、台板が超硬合金によって構成され
る場合、刃厚Aと刃先突き出し量Bとの比である突き出
し比率B/Aが30〜50であるものである。
【0006】請求項4に記載の磁石部材切断方法は、請
求項3に記載の磁石部材切断方法において、超硬合金の
ヤング率が45,000βN/m2〜70,000βN
/m2(β=9.80665×106)であるものであ
る。請求項5に記載の磁石部材切断方法は、請求項1ま
たは2に記載の磁石部材切断方法において、台板が高速
度鋼によって構成される場合、刃厚Aと刃先突き出し量
Bとの比である突き出し比率B/Aが20〜50である
ものである。請求項6に記載の磁石部材切断方法は、請
求項5に記載の磁石部材切断方法において、高速度鋼の
ヤング率が20,000βN/m2〜25,000βN
/m2(β=9.80665×106)であるものであ
る。
【0007】請求項1に記載の磁石部材切断方法のよう
に、クーラントの吐出圧力を2α(=196,133)
Pa〜15α(=1,470,997.5)Paに設定
すれば、回転する切断刃の周りに発生する連れまわり流
を破って、所望の箇所にクーラントを十分に供給するこ
とができる。したがって、切断部を冷却でき、切断刃の
焼き付きおよび研削ムラを防ぐことができ、切断刃の長
寿命化を図れる。また、クーラントを高圧吐出する場合
とは異なり、切断刃が変形しにくいので、磁石部材を切
断して得られる製品間の寸法ばらつき、平行度、面うね
りなどを抑えることができ、切断精度が向上する。請求
項2に記載するように、クーラントの吐出圧力を3α
(=294,199.5)Pa〜7α(=686,46
5.5)Paに設定すれば、適量のクーラントを切断部
に供給できるので、切断刃の長寿命化および切断精度の
向上がより一層顕著となる。
【0008】請求項3、請求項4に示すように、切断刃
の台板を超硬合金によって構成する場合には、突き出し
比率B/Aを30〜50、ヤング率を45,000β
(=44,129,925×104)N/m2〜70,0
00β(=68,646,550×104)N/m2に設
定するのが望ましい。また、請求項5、請求項6に記載
するように、切断刃の台板を高速度鋼によって構成する
場合には、突き出し比率B/Aを20〜50、ヤング率
を20,000β(=19,613,300×104
N/m2〜25,000β(=24,516,625×
104)N/m2に設定するのが望ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明
の実施形態について説明する。なお、本件明細書および
図面では、α=9.80665×104、β=9.80
665×106とする。この発明は、図1に示すワーク
切断装置10を用いてワーク52(後述)を切断する場
合に適用できる。
【0010】ワーク切断装置10は、Zフィード切断機
の一種であり、ベッド12を含み、ベッド12上には横
断面略コ字状のコラム14が立設される。コラム14の
前面には鉛直方向に平行する2本のレール16aおよび
16bが形成され、レール16aおよび16bには上下
方向(Z軸方向)に摺動可能なスライダ18が装着され
る。スライダ18の背面には、鉛直方向のねじ孔を有す
るスライダ支持部20が取り付けられ、スライダ支持部
20のねじ孔にはねじ22が螺入される。ねじ22はコ
ラム14上に配設される昇降モータ24によって回転さ
れる。したがって、昇降モータ24の制御によってねじ
22が回転し、スライダ支持部20を介してスライダ1
8が上下動可能とされ、切断時には、後述する切断刃ブ
ロック28が矢印C方向(下方向)に送られる。
【0011】スライダ18の前面には所定間隔を有しか
つ同一高さに支持部26aおよび26bが設けられ、支
持部26aおよび26bによって、切断刃ブロック28
が取り付けられた回転軸30が回転可能に支持される。
回転軸30の一端にはプーリ32を介してベルト34が
装着され、ベルト34を図示しないモータで回転させる
ことによって、回転軸30、切断刃ブロック28がたと
えば矢印D方向に回転される。なお、支持部26bは、
スライダ18に取り付けられたレール36aおよび36
bを摺動してスライダ18の前面に着脱可能に装着され
る。
【0012】図2(a)に示すように、切断刃ブロック
28は、複数の切断刃38と各切断刃38間に介挿され
る環状のスペーサ40とを含む。切断刃38は、中空円
板状の台板38aを含み、台板38aの外周縁には超砥
粒からなる刃先38bが装着される。図2(a)に示す
ように、刃厚Aは台板38aの厚みを表し、刃先突き出
し量Bは、スペーサ40の外周縁から刃先38bの外周
縁までの突き出し部分の長さをいう。また、図2(b)
に示すように、刃先38bにクーラント60(後述)を
十分に供給するために、台板38aとワーク52の切削
溝52aとの間にクリアランスEを形成できるように、
刃厚Aを刃先38bの厚みより小さくする。クリアラン
スEは刃厚Aに対して、5/100〜20/100の範
囲が望ましい。それは、クリアランスEが刃厚Aに対し
て5/100以下であればクーラント60を十分に供給
できず、20/100以上であればワーク52の切削溝
52aが大きくなりすぎてワーク52の削り代が大きく
なり、歩留まりが悪くなるからである。
【0013】台板38aは、ヤング率が45,000β
N/m2〜70,000βN/m2の超硬合金たとえばタ
ングステンカーバイドによって構成されることが望まし
い。この場合、刃ぶれが生じにくくなるので削り代を小
さくでき、ワーク52を薄く切断できる。ヤング率が4
5,000βN/m2未満の場合、超硬合金といえども
切断時の抵抗で曲がりやうねりが生じ、結果として台板
38aを薄くできず超硬合金のメリットがなくなる。ま
た、ヤング率が70,000βN/m2を越えると曲が
りやうねりの点では問題ないものの硬く脆くなるため、
使用時に破損し易くなり危険である。したがって、超硬
合金のヤング率を、45,000βN/m2〜70,0
00βN/m2の範囲内に限定した。
【0014】台板38aは、ヤング率が20,000β
N/m2〜25,000βN/m2の高速度鋼によって構
成されてもよい。高速度鋼のヤング率がこの範囲内であ
れば、靭性が高いので、希土類磁石のような研削抵抗の
高い被研削物でも長期間高速研削できる。また、台板3
8aとしては、特開平8−109431号や特開平8−
109432号に示すような、ダイヤモンドまたはcB
N(立方晶窒化ホウ素)等と超硬合金とを焼結処理した
ダイヤモンド焼結体合金製の台板も使用できる。ダイヤ
モンド焼結体合金は超硬合金と同様のヤング率を示す。
【0015】また、刃先38bを構成する超砥粒として
は、天然または合成工業用ダイヤモンド粉末や、cBN
(立方晶窒化ホウ素)粉末や、天然または合成工業用ダ
イヤモンド粉末−cBN粉末の混合物などが用いられ
る。cBNはダイヤモンドに次いで硬い物質であり、熱
に対してはダイヤモンドより安定し、さらに鋼鉄に対す
る反応性が非常に少ないという特徴を有している。ダイ
ヤモンド粉末の一部または全てをこのcBN粉末に置き
換えても、刃先38bにダイヤモンド砥粒を用いた場合
と同じ性能を示すことが確認されている。
【0016】図1に戻って、ベッド12上の切断刃ブロ
ック28の真下には、ワーク配置部42が設けられる。
ワーク配置部42は、断面略V字状の凹部44を有する
たとえばステンレス製のテーブル46を含み、テーブル
46の斜面48aおよび48bには、それぞれカーボン
製の配置板50aおよび50bが装着される。したがっ
て、配置板50aと50bとはV字状に配置される。切
断作業時には、配置板50aおよび50b上に複数のワ
ーク52が配置され、各ワーク52は任意の手段で固定
される。この実施の形態では、配置板50aおよび50
b上にそれぞれ4個ずつ、計8個のワーク52が配置さ
れる。ワーク52としては、たとえば、円弧状の表面を
有し米国特許第4,770,723号や第4,792,
368号に開示されたNd−Fe−B系焼結磁石等の希
土類磁石部材が用いられる。希土類磁石部材は、硬い主
相(Nd2Fe14B)と粘りのある粒界相(Ndリッ
チ相)とからなり、研削抵抗の高い材料である。
【0017】さらに、スライダ18のうち切断刃ブロッ
ク28に対向する面には、クーラント吐出装置54が設
けられる。図3(a)および(b)にも示すように、ク
ーラント吐出装置54は、クーラント供給路56が接続
される滞留部58を含み、滞留部58には、クーラント
供給路56からのクーラント60が貯蔵される。そし
て、滞留部58の幅方向に細長く形成される吐出口62
から切断部63に向けてクーラント60が吐出される。
クーラント吐出装置54は、スライダ18に設けられる
ので、切断刃38の移動に伴って上下動できる。
【0018】このようなワーク切断装置10の動作につ
いて簡単に説明する。まず、配置板50aおよび50b
上にそれぞれワーク52を配置し、図示しない任意の手
段でワーク52を固定する。その後、図示しないスター
トボタンをオンすると、切断刃38が回転しながらワー
ク52に向かって降下し、やがて同一速度で回転して、
ワーク52を切断していく。ワーク52の切断時には、
クーラント吐出装置54からクーラント60が切断部6
3に向けて吐出される。ワーク52を完全に切断し切断
刃38の刃先38bが配置板50a、50bに達した時
点で切断刃38の回転は自動停止し、その後、切断刃3
8は上昇してワーク52から離れる。このようなワーク
切断装置10を用いて希土類磁石材料であるワーク52
を切断した実験例について説明する。加工条件を表1に
示す。
【0019】
【表1】
【0020】表1に示すようにこの実験例では、刃先3
8bの砥粒材質はダイヤモンド(人造)、ボンド材質は
レジン(フェノール系:無気孔)、集中度は100(2
5vol%)である。台板38aには高速度鋼が用いら
れる。刃先38bの厚みは0.6mm、刃厚Aは0.5
mmであり、台板38aの両側にそれぞれ0.05mm
のクリアランスEが形成される。また、切断刃38の周
速は3000rpm、切断速度は3mm/minであ
る。クーラント60には、たとえばカストロール社製の
JP−0497Nを水で2%(重量%)希釈したものが
用いられる。加工材は希土類磁石であり、住友特殊金属
株式会社製のネオマックス44Hが用いられる。
【0021】台板38aに高速度鋼を用いた場合の実験
により、図4に示す結果および図5、図6に示すグラフ
が得られた。ここで、「寸法ばらつき」は次のように算
出される。ワーク52を切断して得られる製品につい
て、所定の5箇所の厚みを測定しその平均値を求める。
この処理を、切り出された各製品毎に行い、各製品毎に
求められた平均値のうち、最大値と最小値との差を寸法
ばらつきとする。「平行度」は次のように算出される。
ワーク52を切断して得られる製品について、所定の5
箇所の厚みを測定しその最大値と最小値との差を求め
る。この処理を、切り出された各製品毎に行い、各製品
毎に求められた最大値と最小値との差の平均値を平行度
とする。
【0022】「面うねり」は次のように算出される。ワ
ーク52を切断して得られる製品について、その表面高
さを測定する。すなわち、製品表面のX方向について、
表面高さの最大値および最小値を測定しその差を求め
る。同様に、製品表面のY方向について、表面高さの最
大値および最小値を測定しその差を求める。そして、X
方向の差とY方向の差とを加算し2で割る。この処理
を、切り出された各製品毎に行い、得られた値の平均値
を面うねりとする。寸法ばらつき、平行度、面うねり
は、その値が小さいほど切断精度が高いことを示す。
【0023】まず、クーラント60の吐出圧力が2αP
a未満になると、切断部63へクーラント60を十分に
供給することができず、図5に示すように、切断抵抗F
x、Fzが急激に大きくなり、研削焼けや切断刃38の
焼き付きが発生する。また、図6に示すように、寸法ば
らつき、平行度、面うねりも急激に大きくなり、切断精
度が劣化してしまう。一方、クーラント60の吐出圧力
が15αPaを超えると、切断刃38がクーラント60
の吐出によって強い圧力を受け、また、吐出時のクーラ
ント60の脈動によって切断刃38が振動する結果、切
断刃38が曲がる。また、吐出圧力が高いため、切断刃
38に働く復元力を妨げているのではないかと考えられ
る。したがって、図6に示すように、寸法ばらつき、平
行度、面うねりが増加し、切断精度が悪化してしまう。
その結果、加工工程が増え、生産効率が悪化する。
【0024】したがって、クーラント60の吐出圧力は
2αPa〜15αPaの範囲に設定されるのが好まし
い。この範囲内であれば、回転する切断刃38の周りに
発生する連れまわり流を破り、切断部63にクーラント
60を十分に供給することができ、切断刃38の焼き付
きおよび研削ムラを防ぐことができ、切断刃38の長寿
命化を図れる。また、クーラント60の吐出圧力が高圧
の場合に発生する切断刃38の変形も起きにくく、切断
精度も向上する。さらに、クーラント60の吐出圧力が
3αPa〜7αPaの範囲内であれば、クーラント60
の供給量を最適化でき、図5および図6に示すように、
切断抵抗Fx、Fz、寸法ばらつき、平行度、面うねり
を小さく抑えることができるので、効果が顕著になる。
【0025】ついで、台板38aに超硬合金を用い、そ
の他の条件を表1と同様にした場合の実験により、図7
に示す結果および図8、図9に示すグラフが得られた。
この場合も、図8および図9からわかるように、台板3
8aに高速度鋼を用いた場合と同様の理由で、クーラン
ト60の吐出圧力は2αPa〜15αPaの範囲に設定
されるのが好ましく、この範囲内であれば、上述の台板
38aに高速度鋼を用いた場合と同様の効果が得られ
る。さらに、この場合も、クーラント60の吐出圧力が
3αPa〜7αPaの範囲内であれば、切断抵抗Fx、
Fz、寸法ばらつき、平行度、面うねりを小さく抑える
ことができるので、効果が顕著になる。
【0026】なお、図4および図7にそれぞれ示す切断
精度(寸法ばらつき、平行度、面うねり)の値を比較す
ると、台板38aに超硬合金を用いた場合は、台板38
aに高速度鋼を用いた場合よりも、切断精度が全体的に
向上するといえる。これは、超硬合金の方が高速度鋼よ
り撓みにくいからであろう。また、刃厚Aと刃先突き出
し量Bとの比である突き出し比率B/Aをパラメーター
として、各吐出圧力毎の寸法ばらつきを検出する実験を
行った。実験条件は、表1に示す条件と同様であり、刃
先突き出し量Bを一定に保ち刃厚Aの寸法のみを変える
ことによって突き出し比率B/Aを変化させた。この実
験を、台板38aとして、超硬合金を用いた場合と高速
度鋼を用いた場合のそれぞれについて行った。
【0027】台板38aに超硬合金を用いた場合の寸法
ばらつきについて、図10(a)に示す結果が得られ、
図11に示すグラフが得られた。同様に、台板38aに
高速度鋼を用いた場合の寸法ばらつきについて、図10
(b)に示す結果が得られ、図12に示すグラフが得ら
れた。まず、図11および図12より、クーラント60
の吐出圧力が2αPa〜15αPaの範囲内であれば寸
法ばらつきを抑え得ることがわかる。特に、クーラント
60の吐出圧力が3αPa〜7αPaの場合には適量の
クーラント60を吐出でき、寸法ばらつきをさらに抑え
得ることができる。
【0028】さらに、図11を参照して、台板38aに
超硬合金を用いた場合について説明する。この場合、突
き出し比率B/Aが30未満であれば、切断刃38自体
の剛性が高いためにクーラント60の吐出圧力が異なっ
ても寸法ばらつきの差は小さくかつ削り代が多くなり、
一方、突き出し比率B/Aが50を超えれば、寸法ばら
つきの値自体が大きくなるので、それぞれ効果的ではな
い。したがって、突き出し比率B/Aは、30〜50の
範囲が望ましく、この範囲内であれば、寸法ばらつきを
より効果的に抑えることができ、切断精度を向上でき
る。
【0029】ついで、図12を参照して、台板38aに
高速度鋼を用いた場合について説明する。この場合、突
き出し比率B/Aが20未満であれば、クーラント60
の吐出圧力が異なっても寸法ばらつきの差は小さくかつ
削り代が多くなり、一方、突き出し比率B/Aが50を
超えれば、寸法ばらつきの値自体が大きくなるので、そ
れぞれ効果的ではない。したがって、この場合には、突
き出し比率B/Aは、20〜50の範囲が望ましく、こ
の範囲内であれば、寸法ばらつきをより効果的に抑える
ことができ、切断精度を向上できる。なお、高速度鋼
は、超硬合金に比べヤング率が低く曲がりやすいので、
クーラント60の吐出圧力の影響を受けやすい。したが
って、台板38aに高速度鋼を用いた場合、刃先突き出
し量Bが少なくても、クーラント60の吐出圧力を所定
範囲内に限定することによる効果が得られるので、この
場合の突き出し比率B/Aの下限は「20」であり、超
硬合金を用いる場合より小さくできる。
【0030】なお、刃厚Aが変化しても突き出し比率B
/Aが変化しない限り、図11および図12と同様の結
果が得られる。また、この発明は、上述のようにZフィ
ードを行うワーク切断装置10に適用されるだけではな
く、図13に示すようにワーク52を水平方向に移動さ
せるXフィードによってワーク52を切断するワーク切
断装置10aにも適用できる。
【0031】ワーク切断装置10aは、レール64に摺
動可能に装着されたXスライダ66を含む。Xスライダ
66上には、チャックテーブル68、その上に貼付板7
0が取り付けられ、貼付板70には接着剤によってたと
えば複数のワーク52が固定される。そして、Xスライ
ダ66を矢印G方向(X軸方向)に摺動させ、ワーク5
2を、矢印H方向に回転している切断刃72に向かって
一定速度で相対移動させることによって、ワーク52を
所定の厚みに切断できる。ワーク52の切断時には、切
断刃72の近傍に配置されるクーラント吐出装置74か
らクーラント60が切断部82(後述)に供給される。
【0032】クーラント吐出装置74は、図14に示す
ように、クーラント供給路76に接続される滞留部78
を含み、滞留部78には、クーラント供給路76からの
クーラント60が貯蔵される。クーラント60は、滞留
部78の先端に形成される吐出口80から切断部82に
吐出される。なお、滞留部78は、切断刃72の大きさ
に応じてその角度を調整することができる。この発明を
ワーク切断装置10aに適用した場合も、ワーク切断装
置10に適用した場合と同様の効果が得られ、切断刃7
2の長寿命化が図れ、切断精度を向上できる。
【0033】
【発明の効果】この発明によれば、切断刃の焼き付きや
切削ムラを防止できるので、切断刃の長寿命化が図れ
る。また、希土類磁石材料を切断して得られる製品間の
寸法ばらつきや、切断面の平行度、切断面のうねりなど
を抑えることができ、切断精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明が用いられるワーク切断装置の要部を
示す斜視図である。
【図2】(a)は切断刃ブロックを示す断面図であり、
(b)はクリアランスを示す図解図である。
【図3】(a)は切断刃の近傍に配置されたクーラント
吐出装置を示す側面図解図であり、(b)はクーラント
吐出装置を示す正面図解図である。
【図4】この発明による実験結果の一例を示すテーブル
である。
【図5】図4の実験結果に基づくクーラント吐出圧力と
切断抵抗との関係を示すグラフである。
【図6】図4の実験結果に基づくクーラント吐出圧力と
切断精度との関係を示すグラフである。
【図7】この発明による実験結果の他の例を示すテーブ
ルである。
【図8】図7の実験結果に基づくクーラント吐出圧力と
切断抵抗との関係を示すグラフである。
【図9】図7の実験結果に基づくクーラント吐出圧力と
切断精度との関係を示すグラフである。
【図10】(a)は台板に超硬合金を用いた場合の寸法
ばらつきを示す実験結果であり、(b)は台板に高速度
鋼を用いた場合の寸法ばらつきを示す実験結果である。
【図11】台板に超硬合金を用いたときの、突き出し比
率と切断精度との関係を示すグラフである。
【図12】台板に高速度鋼を用いたときの、突き出し比
率と切断精度との関係を示すグラフである。
【図13】この発明が用いられる他のワーク切断装置の
要部を示す斜視図である。
【図14】切断刃の近傍に配置されたクーラント吐出装
置を示す側面図解図である。
【符号の説明】
10、10a ワーク切断装置 28 切断刃ブロック 38、72 切断刃 38a 台板 38b 刃先 40 スペーサ 52 ワーク 54、74 クーラント吐出装置 58、78 滞留部 60 クーラント 62、80 吐出口 63、82 切断部 A 刃厚 B 刃先突き出し量

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 台板と前記台板の外周に形成され超砥粒
    からなる刃先とを含む切断刃によって希土類磁石部材を
    切断する磁石部材切断方法において、 前記希土類磁石部材を切断する際、切断部に吐出される
    クーラントの吐出圧力が2αPa〜15αPa(α=
    9.80665×104)であることを特徴とする、磁
    石部材切断方法。
  2. 【請求項2】 前記クーラントの吐出圧力が3αPa〜
    7αPaである、請求項1に記載の磁石部材切断方法。
  3. 【請求項3】 前記台板が超硬合金によって構成される
    場合、刃厚Aと刃先突き出し量Bとの比である突き出し
    比率B/Aが30〜50である、請求項1または2に記
    載の磁石部材切断方法。
  4. 【請求項4】 前記超硬合金のヤング率が45,000
    βN/m2〜70,000βN/m2(β=9.8066
    5×106)である、請求項3に記載の磁石部材切断方
    法。
  5. 【請求項5】 前記台板が高速度鋼によって構成される
    場合、刃厚Aと刃先突き出し量Bとの比である突き出し
    比率B/Aが20〜50である、請求項1または2に記
    載の磁石部材切断方法。
  6. 【請求項6】 前記高速度鋼のヤング率が20,000
    βN/m2〜25,000βN/m2(β=9.8066
    5×106)である、請求項5に記載の磁石部材切断方
    法。
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