JP3557001B2 - マウスパッド - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はコンピューターへの入力装置であるマウスを使用する際に、マウスの下に敷いて使用するマウスパッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
マウスを利用してコンピューターに入力する場合、マウス内のボール(以下、単に「ボール」という)が手の動きと同じように正確に回転しないと、コンピューターに正確に入力することができないため、ボールが回転しやすいように、マウスの下にマウスパッドを敷いている。このマウスパッドとして、ボールと接触する面に、織物を使用したものや、植毛したものが知られているが、微視的に見ると、いずれも不均一な表面であるため摩擦抵抗が不均一で、コンピューターへ正確に入力することができない場合があった。また、従来のマウスパッドはマウスパッドが滑って作業性を悪くしないように、片面に厚いスポンジ状合成樹脂シートを貼り合せているため、マウスパッドが厚く、マウス使用中に腕に引っ掛かってマウスパッドが移動しやすい、作業性の悪いものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題を解決するためになされたもので、第1の目的はボールが正確に回転できるマウスパッドを提供することであり、第2の目的はマウス使用中にマウスパッドが移動せず、作業性に優れたマウスパッドを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のマウスパッドは、少なくとも、繊維径10μm以下の極細繊維を含む不織布に高分子弾性体を含浸し、高分子弾性体を湿式凝固した後に起毛した表面層と、樹脂シートからなる他表面層とを有するものである。不織布が起毛しているため、ボールに対して適度な摩擦抵抗を有し、ボールが正確に回転することができる。また、不織布に高分子弾性体が付与されているため、極細繊維の脱落を防止することができる。なお、極細繊維が異形断面形状を有していると、ボールとの摩擦抵抗がより大きいため、よりボールが正確に回転することができる。
なお、機械的外力により絡合した不織布であるのが好ましい。また、不織布に含まれている極細繊維が分割性繊維を分割して得られたものであるのが好ましい。
【0005】
【作用】
本発明のマウスパッドは、繊維径10μm以下の極細繊維を含む不織布に高分子弾性体を含浸し、高分子弾性体を湿式凝固した後に起毛した表面層を有しているため、この表面層にマウスを接触させて使用すると、極細繊維1本のボールとの接触面積は小さいものの、ボールに接触できる極細繊維の数は非常に多く、ボールと極細繊維との接触面積は広いため、ボールの回転に必要な適度な摩擦抵抗を有し、また、不織布が極細繊維を含んでいるため、微視的に見ても、不織布表面が均一で、不織布全体の摩擦抵抗が均一であるため、ボールが正確に回転でき、正確にコンピューターへ入力できるものである。
【0006】
本発明の不織布は、ボールとの適度な摩擦抵抗を得るため、また、繊維表面を均一にするために、繊維径10μm以下、好ましくは9μm以下、より好ましくは7μm以下で、耐磨耗性に優れるように、繊維径0.1μm以上の極細繊維を含んでいる。この極細繊維の含有量は20重量%以上、好ましくは40重量%以上、より好ましくは60重量%以上、最も好ましくは80重量%以上である。なお、極細繊維の繊維径は円形断面に換算した値をいう。
【0007】
このような極細繊維は、例えば、メルトブロー法や、機械的及び/又は化学的処理により、繊維径10μm以下の極細繊維に分割可能な複合繊維(以下、「分割性繊維」という)を分割して得ることができる。これらの中でも、後者の分割性繊維を分割して得られる極細繊維を含む不織布は、より耐磨耗性に優れたものとすることができるので、より好適に使用できる。この分割性繊維としては、例えば、図1に示すように、一成分A中に他成分Bを島状に配置した断面を有する海島型繊維、図2に示すように、一成分Aと他成分Bとを交互に層状に積層した断面を有する多重バイメタル型繊維、或いは図3に示すように、一成分Aを繊維軸付近から繊維表面に伸びる他成分Bで分割した断面を有する菊花型繊維がある。これらの中でも、多重バイメタル型繊維や菊花型繊維を分割して得られる極細繊維は、略台形形状や扇形状などの異形断面形状を有し、ボールに対してより適度な摩擦抵抗とすることができるので、これらの分割性繊維がより好適に使用できる。
【0008】
この分割性繊維を構成する樹脂成分は2成分以上からなっていれば良く、2成分からなる場合の組み合わせとして、例えば、ポリアミド系樹脂とポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂とポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂とポリアクリロニトリル系樹脂、ポリアミド系樹脂とポリアクリロニトリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂とポリアクリロニトリル系樹脂などの異系の樹脂成分の組み合わせ、或いは、ポリプロピレンとポリエチレンのような同系の樹脂成分同士などがある。
【0009】
不織布を構成する極細繊維以外の繊維としては、例えば、絹、羊毛、綿、麻などの天然繊維、レーヨン繊維などの再生繊維、アセテート繊維などの半合成繊維、ポリアミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリウレタン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、芳香族ポリアミド繊維などの合成繊維を使用できる。また、2成分以上の樹脂成分からなる芯鞘型、サイドバイサイド型、偏芯型などの複合繊維を使用し、接着したり、巻縮を発現させることにより、強度、耐磨耗性、クッション性などの性能を向上させることもできる。
【0010】
この不織布の製造方法としては、例えば、カード法やエアレイ法などの乾式法、湿式法、スパンボンド法やメルトブロー法などの直接法などにより得た繊維ウエブを、水などの流体流やニードルなどの機械的外力で絡合したり、接着剤により接着したり、繊維ウエブ構成繊維を接着したり、或はこれらの方法を組み合わせて不織布を製造することができる。これらの中でも、水などの流体流やニードルなどの機械的外力で絡合すると、マウス使用中に塵埃が発生したりせず、しかも適度な摩擦抵抗をもったものとすることができるので、好適な製造方法である。特に、流体流により絡合すると、不織布表面全体をより均一に絡合できるので、より好適である。なお、前述の機械的に分割可能な分割性繊維を使用した場合、流体流やニードルなどの機械的外力で絡合すると同時に、分割性繊維を分割及び絡合できるという特長がある。また、繊維ウエブは一層である必要はなく、二層以上積層したものであっても良い。二層以上に積層する場合、表面層にメルトブロー法により得た極細繊維からなる繊維ウエブや、分割性繊維、又は分割性繊維を分割して得た極細繊維を含む繊維ウエブを配置し、ボールに対して、より多くの極細繊維が接触できるようにするのが好ましい。
【0011】
なお、極細繊維がボールとより接触しやすいように、不織布を起毛する。この起毛はサンドペーパー、サンドクロス、或は研磨布で行えば良く、特に限定するものではない。なお、この起毛処理によって、極細繊維が脱落しやすくなる可能性があるので、不織布に高分子弾性体を含浸し、湿式凝固させた後に起毛して、極細繊維の脱落を防止する。この高分子弾性体としては、例えば、ポリウレタンエラストマー、アクリロニトリル−ブタジエンラバー、ブタジエンラバー、天然ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリアミドなどを使用できるが、これらの中でもポリウレタンエラストマーは弾性、風合、ソフト感、更には強度的に優れているので、好適に使用できる。
【0012】
このようにして得られる不織布は、マウスパッドを使用する際に引っ掛かって、移動しにくいように、厚さ1mm以下とするのが好ましく、より好ましくは0.5mm以下とする。
【0013】
本発明のマウスパッドは前述のような不織布からなる表面層と、樹脂シートからなる他表面層を有するものである。この他表面層は机などと接触し、マウスを使用する際にマウスパッドが移動しないように、机などとの間に適度な摩擦を生じる。この樹脂シートを構成する樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ポリアセタール樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、ブタジエン系合成ゴムを単独で、又は混合した、発泡又は無発泡のものを使用できる。発泡樹脂シートの中でも、発泡樹脂シートの表面に微孔を有し、吸盤のように密着するものが好ましく、表面のみならず内部にも微孔を有し、この内部の微孔と表面の微孔及び他の内部の微孔とが繋がったものがより好ましく、前記内部の微孔が表面の微孔よりも大きいものが最も好ましい。
【0014】
この発泡樹脂は耐久性に優れるように、厚さ100μm以上であるのが好ましく、マウス作業性に優れるように、厚さ1,000μm以下であるのが好ましい。
【0015】
本発明のマウスパッドは前述のような不織布からなる表面層と、樹脂シートからなる他表面層とを有するものである。マウスパッドは薄ければ薄いほど、より作業性に優れているので、厚さ2mm以下であるのが好ましい。なお、マウスパッドに他の特性、例えば、除電性を必要とする場合には、導電性を有するフィルムや繊維シートなどを、表面層である不織布と他表面層である樹脂シートとの間に挟み込んでも良いし、電子共役系のポリマー、特にポリピロールは、柔軟性、耐磨耗性に優れているため、不織布に直接付着させても良い。また、不織布に各種模様、文字、絵などを印刷しても構わない。これら樹脂シートや不織布との接合方法は、特に限定するものではなく、接着剤や両面テープで接合すれば良い。この本発明のマウスパッドは洗濯機などにより洗浄して、常に清潔な状態で使用できるものである。
【0016】
以下に、本発明の実施例を記載するが、以下の実施例に限定されるものではない。
【0017】
【実施例】
図3(a)に示すような、扇形状のポリエステル成分(A)を、繊維の中心から繊維表面に向かって放射状に伸びるポリアミド成分(B)で8区分に分割した、菊花型の断面形状を有する、繊度2デニール、繊維長38mmの分割性繊維(ポリエステル成分からなる繊維径4.2μmの極細繊維、及びポリアミド成分からなる繊維径6.1μmと繊維径3.1μmの極細繊維に分割可能)100%をカーディングした一方向性繊維ウエブと、この一方向性の繊維ウエブと同じ繊維ウエブをクロスレイヤーにより交差させた交差繊維ウエブとを、1:4の重量比で積層して積層繊維ウエブを得た。この積層繊維ウエブを100メッシュのネット上に載置した後、ネット上方に位置する、径0.15mm、ピッチ0.6mmのノズルプレートから、圧力95kg/cm2の水流を噴出して、分割性繊維を分割すると同時に積層繊維ウエブを絡合し、目付85g/m2、厚さ0.45mmの不織布を得た。次いで、不織布に付着量が30g/m2となるようにDMF系ポリウレタンを含浸し、湿式凝固した後、サンドペーパーで起毛し、目付113g/m2、厚さ0.42mmの起毛不織布を形成した。
【0018】
次いで、この20×30cm角に裁断した起毛不織布の起毛していない面に、両面テープ(大日本インキ化学工業(株)製、ダイタック)を粘着させた後、表面及び内面に微孔を有し、内面の微孔は表面の微孔よりも大きく、しかも内面の微孔は表面の微孔及び他の内面の微孔と繋がった、ウレタン樹脂を主成分とする、密着と剥離とを10回繰り返した後の、常温におけるアクリル塗装板との90゜ピール接着力20g/5cm幅の発泡樹脂シート(厚さ400μm、大日本インキ化学工業(株)製、パピラルB−004L)を貼着して、厚さ850μmのマウスパッドを形成した。このマウスパッドは薄く、机との密着性に優れているため、作業中に移動せず、しかも起毛不織布とボールとの摩擦が適当で、コンピューターへ正確に入力することができるものであった。
【0019】
【発明の効果】
本発明のマウスパッドは、樹脂シートからなる他表面層によって机などに固定できると共に、繊維径10μm以下の極細繊維を含む不織布に高分子弾性体を含浸し、高分子弾性体を湿式凝固した後に起毛した表面層を有しているため、ボールの回転に必要な適度な摩擦抵抗を有しており、また、不織布表面が均一で、不織布全体の摩擦抵抗が均一であるため、ボールが正確に回転でき、正確にコンピューターへ入力できるものである。また、不織布が起毛しているため、ボールとの適度な摩擦抵抗を有し、ボールが正確に回転することができる。なお、極細繊維が異形断面形状を有していると、ボールとの摩擦抵抗がより大きくなるので、ボールが正確に回転することができる。
なお、不織布は起毛しているためボールとの接触面積が広く、適度な摩擦抵抗を有する。特に機械的外力により絡合した不織布はマウス使用中に塵埃が発生したりせず、しかも適度な摩擦抵抗を有する。また、不織布に含まれている極細繊維が分割性繊維を分割して得られたものであると、耐磨耗性に優れている。
また、本発明の不織布は起毛されており、不織布に高分子弾性体が付与されているため、極細繊維の脱落を防止することができる。
【0020】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の極細繊維化可能な複合繊維の断面形状の一例
【図2】本発明の極細繊維化可能な複合繊維の断面形状の他例
【図3】
(a) 本発明の極細繊維化可能な複合繊維の断面形状の他例
(b) 本発明の極細繊維化可能な複合繊維の断面形状の他例
【符号の説明】
A 一成分
B 他成分
【産業上の利用分野】
本発明はコンピューターへの入力装置であるマウスを使用する際に、マウスの下に敷いて使用するマウスパッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
マウスを利用してコンピューターに入力する場合、マウス内のボール(以下、単に「ボール」という)が手の動きと同じように正確に回転しないと、コンピューターに正確に入力することができないため、ボールが回転しやすいように、マウスの下にマウスパッドを敷いている。このマウスパッドとして、ボールと接触する面に、織物を使用したものや、植毛したものが知られているが、微視的に見ると、いずれも不均一な表面であるため摩擦抵抗が不均一で、コンピューターへ正確に入力することができない場合があった。また、従来のマウスパッドはマウスパッドが滑って作業性を悪くしないように、片面に厚いスポンジ状合成樹脂シートを貼り合せているため、マウスパッドが厚く、マウス使用中に腕に引っ掛かってマウスパッドが移動しやすい、作業性の悪いものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題を解決するためになされたもので、第1の目的はボールが正確に回転できるマウスパッドを提供することであり、第2の目的はマウス使用中にマウスパッドが移動せず、作業性に優れたマウスパッドを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のマウスパッドは、少なくとも、繊維径10μm以下の極細繊維を含む不織布に高分子弾性体を含浸し、高分子弾性体を湿式凝固した後に起毛した表面層と、樹脂シートからなる他表面層とを有するものである。不織布が起毛しているため、ボールに対して適度な摩擦抵抗を有し、ボールが正確に回転することができる。また、不織布に高分子弾性体が付与されているため、極細繊維の脱落を防止することができる。なお、極細繊維が異形断面形状を有していると、ボールとの摩擦抵抗がより大きいため、よりボールが正確に回転することができる。
なお、機械的外力により絡合した不織布であるのが好ましい。また、不織布に含まれている極細繊維が分割性繊維を分割して得られたものであるのが好ましい。
【0005】
【作用】
本発明のマウスパッドは、繊維径10μm以下の極細繊維を含む不織布に高分子弾性体を含浸し、高分子弾性体を湿式凝固した後に起毛した表面層を有しているため、この表面層にマウスを接触させて使用すると、極細繊維1本のボールとの接触面積は小さいものの、ボールに接触できる極細繊維の数は非常に多く、ボールと極細繊維との接触面積は広いため、ボールの回転に必要な適度な摩擦抵抗を有し、また、不織布が極細繊維を含んでいるため、微視的に見ても、不織布表面が均一で、不織布全体の摩擦抵抗が均一であるため、ボールが正確に回転でき、正確にコンピューターへ入力できるものである。
【0006】
本発明の不織布は、ボールとの適度な摩擦抵抗を得るため、また、繊維表面を均一にするために、繊維径10μm以下、好ましくは9μm以下、より好ましくは7μm以下で、耐磨耗性に優れるように、繊維径0.1μm以上の極細繊維を含んでいる。この極細繊維の含有量は20重量%以上、好ましくは40重量%以上、より好ましくは60重量%以上、最も好ましくは80重量%以上である。なお、極細繊維の繊維径は円形断面に換算した値をいう。
【0007】
このような極細繊維は、例えば、メルトブロー法や、機械的及び/又は化学的処理により、繊維径10μm以下の極細繊維に分割可能な複合繊維(以下、「分割性繊維」という)を分割して得ることができる。これらの中でも、後者の分割性繊維を分割して得られる極細繊維を含む不織布は、より耐磨耗性に優れたものとすることができるので、より好適に使用できる。この分割性繊維としては、例えば、図1に示すように、一成分A中に他成分Bを島状に配置した断面を有する海島型繊維、図2に示すように、一成分Aと他成分Bとを交互に層状に積層した断面を有する多重バイメタル型繊維、或いは図3に示すように、一成分Aを繊維軸付近から繊維表面に伸びる他成分Bで分割した断面を有する菊花型繊維がある。これらの中でも、多重バイメタル型繊維や菊花型繊維を分割して得られる極細繊維は、略台形形状や扇形状などの異形断面形状を有し、ボールに対してより適度な摩擦抵抗とすることができるので、これらの分割性繊維がより好適に使用できる。
【0008】
この分割性繊維を構成する樹脂成分は2成分以上からなっていれば良く、2成分からなる場合の組み合わせとして、例えば、ポリアミド系樹脂とポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂とポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂とポリアクリロニトリル系樹脂、ポリアミド系樹脂とポリアクリロニトリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂とポリアクリロニトリル系樹脂などの異系の樹脂成分の組み合わせ、或いは、ポリプロピレンとポリエチレンのような同系の樹脂成分同士などがある。
【0009】
不織布を構成する極細繊維以外の繊維としては、例えば、絹、羊毛、綿、麻などの天然繊維、レーヨン繊維などの再生繊維、アセテート繊維などの半合成繊維、ポリアミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリウレタン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、芳香族ポリアミド繊維などの合成繊維を使用できる。また、2成分以上の樹脂成分からなる芯鞘型、サイドバイサイド型、偏芯型などの複合繊維を使用し、接着したり、巻縮を発現させることにより、強度、耐磨耗性、クッション性などの性能を向上させることもできる。
【0010】
この不織布の製造方法としては、例えば、カード法やエアレイ法などの乾式法、湿式法、スパンボンド法やメルトブロー法などの直接法などにより得た繊維ウエブを、水などの流体流やニードルなどの機械的外力で絡合したり、接着剤により接着したり、繊維ウエブ構成繊維を接着したり、或はこれらの方法を組み合わせて不織布を製造することができる。これらの中でも、水などの流体流やニードルなどの機械的外力で絡合すると、マウス使用中に塵埃が発生したりせず、しかも適度な摩擦抵抗をもったものとすることができるので、好適な製造方法である。特に、流体流により絡合すると、不織布表面全体をより均一に絡合できるので、より好適である。なお、前述の機械的に分割可能な分割性繊維を使用した場合、流体流やニードルなどの機械的外力で絡合すると同時に、分割性繊維を分割及び絡合できるという特長がある。また、繊維ウエブは一層である必要はなく、二層以上積層したものであっても良い。二層以上に積層する場合、表面層にメルトブロー法により得た極細繊維からなる繊維ウエブや、分割性繊維、又は分割性繊維を分割して得た極細繊維を含む繊維ウエブを配置し、ボールに対して、より多くの極細繊維が接触できるようにするのが好ましい。
【0011】
なお、極細繊維がボールとより接触しやすいように、不織布を起毛する。この起毛はサンドペーパー、サンドクロス、或は研磨布で行えば良く、特に限定するものではない。なお、この起毛処理によって、極細繊維が脱落しやすくなる可能性があるので、不織布に高分子弾性体を含浸し、湿式凝固させた後に起毛して、極細繊維の脱落を防止する。この高分子弾性体としては、例えば、ポリウレタンエラストマー、アクリロニトリル−ブタジエンラバー、ブタジエンラバー、天然ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリアミドなどを使用できるが、これらの中でもポリウレタンエラストマーは弾性、風合、ソフト感、更には強度的に優れているので、好適に使用できる。
【0012】
このようにして得られる不織布は、マウスパッドを使用する際に引っ掛かって、移動しにくいように、厚さ1mm以下とするのが好ましく、より好ましくは0.5mm以下とする。
【0013】
本発明のマウスパッドは前述のような不織布からなる表面層と、樹脂シートからなる他表面層を有するものである。この他表面層は机などと接触し、マウスを使用する際にマウスパッドが移動しないように、机などとの間に適度な摩擦を生じる。この樹脂シートを構成する樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ポリアセタール樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、ブタジエン系合成ゴムを単独で、又は混合した、発泡又は無発泡のものを使用できる。発泡樹脂シートの中でも、発泡樹脂シートの表面に微孔を有し、吸盤のように密着するものが好ましく、表面のみならず内部にも微孔を有し、この内部の微孔と表面の微孔及び他の内部の微孔とが繋がったものがより好ましく、前記内部の微孔が表面の微孔よりも大きいものが最も好ましい。
【0014】
この発泡樹脂は耐久性に優れるように、厚さ100μm以上であるのが好ましく、マウス作業性に優れるように、厚さ1,000μm以下であるのが好ましい。
【0015】
本発明のマウスパッドは前述のような不織布からなる表面層と、樹脂シートからなる他表面層とを有するものである。マウスパッドは薄ければ薄いほど、より作業性に優れているので、厚さ2mm以下であるのが好ましい。なお、マウスパッドに他の特性、例えば、除電性を必要とする場合には、導電性を有するフィルムや繊維シートなどを、表面層である不織布と他表面層である樹脂シートとの間に挟み込んでも良いし、電子共役系のポリマー、特にポリピロールは、柔軟性、耐磨耗性に優れているため、不織布に直接付着させても良い。また、不織布に各種模様、文字、絵などを印刷しても構わない。これら樹脂シートや不織布との接合方法は、特に限定するものではなく、接着剤や両面テープで接合すれば良い。この本発明のマウスパッドは洗濯機などにより洗浄して、常に清潔な状態で使用できるものである。
【0016】
以下に、本発明の実施例を記載するが、以下の実施例に限定されるものではない。
【0017】
【実施例】
図3(a)に示すような、扇形状のポリエステル成分(A)を、繊維の中心から繊維表面に向かって放射状に伸びるポリアミド成分(B)で8区分に分割した、菊花型の断面形状を有する、繊度2デニール、繊維長38mmの分割性繊維(ポリエステル成分からなる繊維径4.2μmの極細繊維、及びポリアミド成分からなる繊維径6.1μmと繊維径3.1μmの極細繊維に分割可能)100%をカーディングした一方向性繊維ウエブと、この一方向性の繊維ウエブと同じ繊維ウエブをクロスレイヤーにより交差させた交差繊維ウエブとを、1:4の重量比で積層して積層繊維ウエブを得た。この積層繊維ウエブを100メッシュのネット上に載置した後、ネット上方に位置する、径0.15mm、ピッチ0.6mmのノズルプレートから、圧力95kg/cm2の水流を噴出して、分割性繊維を分割すると同時に積層繊維ウエブを絡合し、目付85g/m2、厚さ0.45mmの不織布を得た。次いで、不織布に付着量が30g/m2となるようにDMF系ポリウレタンを含浸し、湿式凝固した後、サンドペーパーで起毛し、目付113g/m2、厚さ0.42mmの起毛不織布を形成した。
【0018】
次いで、この20×30cm角に裁断した起毛不織布の起毛していない面に、両面テープ(大日本インキ化学工業(株)製、ダイタック)を粘着させた後、表面及び内面に微孔を有し、内面の微孔は表面の微孔よりも大きく、しかも内面の微孔は表面の微孔及び他の内面の微孔と繋がった、ウレタン樹脂を主成分とする、密着と剥離とを10回繰り返した後の、常温におけるアクリル塗装板との90゜ピール接着力20g/5cm幅の発泡樹脂シート(厚さ400μm、大日本インキ化学工業(株)製、パピラルB−004L)を貼着して、厚さ850μmのマウスパッドを形成した。このマウスパッドは薄く、机との密着性に優れているため、作業中に移動せず、しかも起毛不織布とボールとの摩擦が適当で、コンピューターへ正確に入力することができるものであった。
【0019】
【発明の効果】
本発明のマウスパッドは、樹脂シートからなる他表面層によって机などに固定できると共に、繊維径10μm以下の極細繊維を含む不織布に高分子弾性体を含浸し、高分子弾性体を湿式凝固した後に起毛した表面層を有しているため、ボールの回転に必要な適度な摩擦抵抗を有しており、また、不織布表面が均一で、不織布全体の摩擦抵抗が均一であるため、ボールが正確に回転でき、正確にコンピューターへ入力できるものである。また、不織布が起毛しているため、ボールとの適度な摩擦抵抗を有し、ボールが正確に回転することができる。なお、極細繊維が異形断面形状を有していると、ボールとの摩擦抵抗がより大きくなるので、ボールが正確に回転することができる。
なお、不織布は起毛しているためボールとの接触面積が広く、適度な摩擦抵抗を有する。特に機械的外力により絡合した不織布はマウス使用中に塵埃が発生したりせず、しかも適度な摩擦抵抗を有する。また、不織布に含まれている極細繊維が分割性繊維を分割して得られたものであると、耐磨耗性に優れている。
また、本発明の不織布は起毛されており、不織布に高分子弾性体が付与されているため、極細繊維の脱落を防止することができる。
【0020】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の極細繊維化可能な複合繊維の断面形状の一例
【図2】本発明の極細繊維化可能な複合繊維の断面形状の他例
【図3】
(a) 本発明の極細繊維化可能な複合繊維の断面形状の他例
(b) 本発明の極細繊維化可能な複合繊維の断面形状の他例
【符号の説明】
A 一成分
B 他成分
Claims (4)
- 少なくとも、繊維径10μm以下の極細繊維を含む不織布に高分子弾性体を含浸し、高分子弾性体を湿式凝固した後に起毛した表面層と、樹脂シートからなる他表面層とを有することを特徴とするマウスパッド。
- 極細繊維が異形断面形状を有することを特徴とする請求項1記載のマウスパッド。
- 不織布が繊維ウエブを機械的外力により絡合したものからなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマウスパッド。
- 不織布に含まれている極細繊維が分割性繊維を分割して得られたものであることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のマウスパッド。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17666595A JP3557001B2 (ja) | 1995-06-19 | 1995-06-19 | マウスパッド |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17666595A JP3557001B2 (ja) | 1995-06-19 | 1995-06-19 | マウスパッド |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH096528A JPH096528A (ja) | 1997-01-10 |
JP3557001B2 true JP3557001B2 (ja) | 2004-08-25 |
Family
ID=16017572
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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-
1995
- 1995-06-19 JP JP17666595A patent/JP3557001B2/ja not_active Expired - Fee Related
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