JP3556988B2 - 樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、耐衝撃性などの機械的性質、耐熱性ならびに成形性などに優れた樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリアミドは優れた機械的性質、耐熱性及び耐薬品性を有する反面、吸水時に剛性の低下や寸法変化を引き起こす欠点がある。このようなポリアミドの性質を改良するために、機械的性質、耐熱性及び耐薬品性を有し、かつ、耐水性を有するポリエステルと組み合わせ、ポリアミドの優れた特性を保持しつつ、吸水による寸法や機械的性質の変化を改善した樹脂組成物が提案されている(特公昭51−54658号など)が、ポリアミドとポリエステルとの分散性が悪く、機械的強度が低いという問題があった。
【0003】
また、ポリアミドとポリエステルに強化材や充填剤を添加し、分散性を改良した樹脂組成物が提案されている(特開昭48−56742号、同56−34754号)が、耐水性と機械的強度はある程度改良されるものの、改良効果は不十分であり、成形性は満足のいくものではなかった。
【0004】
特開平3−215557号公報には、ポリアミドとポリエステルと層状珪酸塩からなる樹脂組成物が開示されている。この樹脂組成物は、優れた機械的強度と耐熱性ならびに成形性を有することが認められたが、層状珪酸塩を樹脂組成物中に均一に分散させるために、あらかじめ膨潤化剤と接触させるための前処理工程が必要であり、製造コストが上昇するという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決しようとするものであり、耐衝撃性などの機械的性質、耐熱性ならびに成形性に優れ、かつ吸水による寸法や機械的性質の変化が改善されたポリアミドとポリエステルとを主体とする樹脂組成物を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明の要旨は、次のとおりである。
(1)膨潤性フッ素雲母系鉱物の共存下にモノマーを重合して得られた膨潤性フッ素雲母系鉱物を0.01〜20重量%含有するポリアミド100重量部と、(2)ポリエステル(ポリアリレートを除く)10〜1000重量部と、(3)不飽和カルボン酸化合物および/または不飽和エポキシ化合物0.05〜5重量部とを溶融混練した樹脂組成物。
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0010】
本発明に用いるポリアミドとして好ましいものとしては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロンTMDT)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカアミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカアミド(ナイロンジメチルPACM12)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン11T)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド(ナイロン11T(H))およびこれらの共重合ポリアミド、混合ポリアミドなどがある。中でも特に好ましいものは、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12およびこれらの共重合ポリアミド、混合ポリアミドである。
【0011】
ポリアミドの相対粘度は特に制限されないが、溶媒としてフェノールとテトラクロルエタンとの重量比60/40の混合物を用い、温度25℃、濃度1g/dlの条件で求めた相対粘度で1.5〜5.0の範囲のものが好ましい。相対粘度のあまり小さいものでは樹脂組成物の機械的性能が低下し、大きすぎると樹脂組成物の成形性が低下するので好ましくない。
【0012】
また、ポリアミド中のアミノ基及びカルボキシル基の濃度の好ましい範囲は、共に20〜200当量/トンである。この範囲よりも小さい場合には本発明の効果が小さくなる傾向があり、この範囲よりも大きい場合には、得られる樹脂組成物の溶融粘度が過度に上昇する場合があり好ましくない。
【0013】
本発明においては、上記のようなポリアミドを製造する際に、モノマー、すなわち、アミノカルボン酸又はラクタム、ジアミンとジカルボン酸との塩(ナイロン塩)又はこれらの混合物に、膨潤性のフッ素系雲母鉱物を添加して重合することによって、優れた効果が得られる。
【0014】
本発明で用いられる膨潤性フッ素雲母系鉱物は次式で示される。
α(MF)・β(aMgF2 ・bMgO)・γSiO2
ここで、Mはナトリウムまたはリチウムを表し、α、β、γ、a及びbは各々係数を表し、0.1≦α≦2、2≦β≦3.5、3≦γ≦4、0≦a≦1、0≦b≦1、a+b=1である。
【0015】
このようなフッ素雲母の製造法としては、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムなどの酸化物と各種フッ化物を混合し、その混合物を電気炉あるいはガス炉中で1400〜1500℃の温度範囲で完全に溶融し、その冷却過程で反応容器内にフッ素雲母系鉱物を結晶成長させる、いわゆる溶融法がある。
【0016】
また、他の方法としては特開平2−149415号公報に開示された方法がある。すなわち、タルクを出発物質として用い、これにアルカリ金属イオンをインターカレーションしてフッ素雲母系鉱物を得る方法である。この方法ではタルクに珪フッ化アルカリあるいはフッ化アルカリを混合し、磁性ルツボ内で700〜1200℃で短時間加熱処理することによってフッ素雲母が得られる。本発明で用いる膨潤性のフッ素雲母系鉱物は、この方法で製造されたものが好ましい。
【0017】
膨潤性のフッ素雲母系鉱物を得るためには、珪フッ化アルカリあるいはフッ化アルカリのアルカリ金属はナトリウム又はリチウムとすることが必要である。これらのアルカリ金属は単独で用いてもよいし併用してもよい。アルカリ金属のうち、カリウムの場合には膨潤性のフッ素雲母系鉱物が得られないので好ましくないが、ナトリウムあるいはリチウムと併用し、かつ限定された量であれば膨潤性を調節する目的で用いることも可能である。
【0018】
また、本発明で用いる膨潤性フッ素雲母系鉱物を製造する工程において、アルミナを少量配合し、生成する膨潤性フッ素雲母系鉱物の膨潤性を調節することも可能である。
【0019】
本発明でいう膨潤性とは、フッ素雲母系鉱物がアミノカルボン酸、ナイロン塩、水分子などの極性分子あるいは陽イオンを層間に吸収することにより、層間距離が拡がり、あるいはさらに膨潤へき開して、超微細粒子となる特性を意味し、前記の式で表されるフッ素雲母系鉱物はそのような膨潤性を示すものである。
【0020】
膨潤性フッ素雲母系鉱物は、粒径が15μm以下、特に10μm以下で、X線粉末法で測定したC軸方向の層厚さが9〜20Åのものが好ましい。
【0021】
膨潤性フッ素雲母系鉱物は、生成するポリアミドに対して0.01〜20重量%の範囲になるようにポリアミドの重合時に配合される。この配合量があまり少ないと機械的強度、耐熱性、寸法安定性の改良効果が十分発揮されず、多すぎると靭性の低下が大きくなる。
【0022】
膨潤性フッ素雲母系鉱物含有ポリアミドの製造法としては、一般的な押出機を用いて、ポリアミドと膨潤性フッ素雲母系鉱物とを溶融混練する方法もあるが、ポリアミドを形成するモノマーに対して、膨潤性フッ素雲母系鉱物を所定量共存させた状態でモノマーを重合することにより、膨潤性フッ素雲母系鉱物がポリアミド中に十分細かく分散し、本発明の効果が最も顕著に現れる。
【0023】
本発明におけるポリエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族又は脂環式ジオール成分を主成分とする縮合反応により得られる重合体である。芳香族ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−エタンジカルボン酸などが挙げられる。共重合可能なジカルボン酸としてはアゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などがある。
【0024】
ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなどが挙げられる。
【0025】
好ましいポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートが挙げられる。
【0026】
本発明の樹脂組成物においては、不飽和カルボン酸化合物および/または不飽和エポキシ化合物を同時に溶融混練することにより、衝撃強度などの機械的強度がさらに向上する。
【0027】
本発明で用いられる不飽和カルボン酸化合物としては、アクリル酸、α−エチルアクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、フマール酸、ハロゲン化マレイン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ハロゲン化シトラコン酸、クロトン酸、ハロゲン化クロトン酸、イタコン酸、ハロゲン化イタコン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エンド−ビシクロ−(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸、メチル−エンド−シス−ビシクロ−(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸、エンド−ビシクロ−(2,2,1)−1,2,2,2,7,7−ヘキサクロロ−2−ヘプテン−5,6−ジカルボン酸などの不飽和カルボン酸や、これらの不飽和カルボン酸の無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩などを使用することができる。
【0028】
本発明で用いられる不飽和エポキシ化合物の具体例としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、イタコン酸モノグリシジルエステル、イタコン酸ジグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸ジグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステル、p−スチレンカルボン酸グリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、p−グリシジルスチレン、3,4−エポキシ−1−ブテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ブテン、3,4−エポキシ−1−ペンテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ペンテン、5,6−エポキシ−1−ヘキセンおよびビニルシクロヘキセンモノオキシドなどを挙げることができる。
【0029】
本発明で最も好ましく用いられる不飽和カルボン酸化合物および不飽和エポキシ化合物の例としては、無水マレイン酸、エンド−ビシクロ−(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレートなどが挙げられる。
【0030】
これらの不飽和カルボン酸化合物および不飽和エポキシ化合物の少なくとも1種の化合物の配合量は、膨潤性フッ素雲母系鉱物含有ポリアミド100重量部に対して0.05〜5重量部が好ましい。
【0031】
また、本発明においては不飽和カルボン酸化合物や不飽和エポキシ化合物と共に、溶融混練時に必要に応じてラジカル発生剤を添加することができる。ラジカル発生剤としては、ケトンオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類などの有機過酸化物、たとえば、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ターシャリーブチルクミルパーオキサイド、ジターシャリーブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキサン、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイドや、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物を用いることができる。これらのラジカル発生剤の配合量は、膨潤性フッ素雲母系鉱物配合ポリアミド100重量部に対して3重量部未満が望ましい。
【0032】
本発明の樹脂組成物の構成成分であるポリエステルの配合量は、膨潤性フッ素雲母系鉱物を0.01〜20重量%含有するポリアミド100重量部に対し、10〜1000重量部であり、その量は目的により適宜選ばれる。
【0033】
本発明の樹脂組成物は膨潤性フッ素雲母系鉱物を含有するポリアミドとポリエステルとを所定の割合で溶融混練することによって製造される。
【0034】
溶融混練温度は主に、ポリアミドの種類と組成比に依存する。一般に結晶性ポリアミドを用いる場合、溶融混練温度はその融点から融点プラス80℃の温度範囲で行うことが好ましい。非晶性ポリアミドを用いる場合には樹脂組成物を構成する成分中の最も高いガラス転移温度のポリマーのガラス転移温度より50〜150℃高い温度範囲で溶融混練するのが好ましい。溶融混練時間は温度および用いる溶融混練装置によるが、1〜30分の範囲である。
溶融混練装置としては、バンバリミキサー、ロールミキサー、ニーダー、単軸押出機、多軸押出機などを使用することができる。
【0035】
本発明の樹脂組成物は、ガラス繊維や炭素繊維などの繊維質や炭酸カルシウムなどの無機充填材で強化した樹脂組成物に認められるところの靭性の低下、繊維質で強化した樹脂組成物の成形品のそりの問題、また無機充填材で強化した樹脂組成物ではそれを多量に配合しないと機械的強度や耐熱性が向上しないという問題点などがことごとく解決される。
【0036】
本発明の樹脂組成物にはその特性を大きく損なわない限り、必要に応じてさらに他の重合体を配合してもよい。この場合、その配合量は樹脂組成物に対して30重量%以下であることが望ましい。このような重合体としては、ポリスチレン、変性ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ABS、PMMA、ポリ塩化ビニル、フェノキシ樹脂、液晶ポリマーなどが挙げられる。
【0037】
また、本発明の樹脂組成物にはその特性を大きく損なわない限りにおいて、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、他の強化材などを添加することもできる。このような熱安定剤や酸化防止剤としてはヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン類、イオウ化合物、銅化合物がある。耐候剤としては一般的なベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類が用いられる。難燃剤としては一般のリン系難燃剤やハロゲン系難燃剤が用いられる。強化材としてはたとえばクレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アスベスト、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、硫酸バリウム、カリウム明バン、ナトリウム明バン、鉄明バン、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ほう酸、ほう砂、ほう酸亜鉛、ゼオライト、ハイドロタルサイド、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウムウィスカー、チッ化ホウ素、マイカ、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維などが挙げられる。
【0038】
本発明によれば、耐衝撃性などの機械的性質、耐水性、耐熱性ならびに成形性に優れた樹脂組成物が得られる。そして、その優れた性能を利用して電機、自動車、機械、雑貨、その他の分野で有用な成形体として使用される。
【0039】
【作用】
本発明においては、膨潤性フッ素雲母系鉱物含有ポリアミドとして、膨潤性フッ素雲母系鉱物をポリアミドのモノマーに添加して重合して得られたものを用いるので、膨潤性フッ素雲母系鉱物がポリアミド中に十分細かく分散し、その結果、ポリエステルとの溶融混練物は、相互に、より微細に分散しており、優れた物性が得られる。
【0040】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
なお、実施例および比較例に用いた原料および測定法は次のとおりである。
【0041】
1.原料
(1)フッ素雲母系鉱物
ボールミルにより平均粒径が2μmとなるように粉砕したタルクに対し、平均粒径が同じく2μmの表1に示す珪フッ化物あるいはアルミナを表1に示す割合(重量部)で混合し、これを磁性ルツボに入れ、電気炉で1時間800℃に保持し、M−1からM−3のフッ素雲母系鉱物を合成した。
生成したフッ素雲母系鉱物の平均粒径は1.8μmであり、また、X線粉末法で測定した結果、M−1からM−3は、原料タルクのC軸方向の厚さ9.2Åに対応するピークは消失し、膨潤性フッ素雲母系鉱物の生成を示す12〜16Åに対応するピークが認められた。
【0042】
【表1】
【0043】
(2)ポリエステル
ポリエチレンテレフタレート(PET);MA2103(ユニチカ社製)
ポリブチレンテレフタレート(PBT);1401−X06(東レ社製)
2.測定法
(a)曲げ強度及び曲げ弾性率
厚さ3.2mmの曲げ試験片を用い、ASTM D790に基づいて測定 した。
吸湿処理後の値は、60℃、95%RHの条件で168時間吸湿処理した後、同様にして測定した値である。
【0044】
(b)アイゾット衝撃強度
上記試験片を用い、ASTM D256に基づいて測定した。
【0045】
(c)熱変形温度(HDT)
上記試験片を用い、ASTM D648に基づいて、荷重4.6kg/cm2 で測定した。
【0046】
(d)吸湿率
厚さ2mm、幅50mmの正方形の試験片を用い、60℃、95%RHの条件で168時間吸湿し、重量変化から吸湿率を求めた。
【0047】
(e)寸法変化
上記と同じ試験片を用い、同様に吸湿処理した後、厚さと縦、横の寸法変化を測定し、その平均値を寸法変化とした。
【0048】
実施例1〜4、参考例1〜4
ε−カプロラクタム10kgに対して,2kgの水とM−1、M−2又はM−3をそれぞれ300g 配合し、これを内容量30リットルの反応缶に入れ、攪拌しながら250℃に加熱して徐々に水蒸気を放出しつつ、4kg/cm2から15kg/cm2の圧力まで昇圧した。その後、2kg/cm2の圧力まで放圧し、260℃で3時間重合した。重合の終了した時点で反応生成物をストランド状に払い出し、冷却、固化後、切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で処理して精練し、乾燥した。
得られた膨潤性フッ素雲母系鉱物含有ナイロン6のペレットをそれぞれA−1、A−2、A−3とする。
ペレットA−1、A−2、A−3の相対粘度、アミノ基およびカルボキシル基の末端基濃度(当量/トン)は、表2のとおりであった。
【0049】
【表2】
【0050】
表3および表4に示した配合組成(重量部)で原料を混合した後、2軸押出機(池貝鉄工社製PCM−45)を用い、温度270〜300℃、平均滞留時間2分30秒の条件で溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを乾燥した後、射出成形機を用い、シリンダー温度260〜290℃、金型温度80℃で試験片を成形した。
得られた試験片を用いて各種の性能評価を行った結果を表3および表4に示す。
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
実施例5〜8
ナイロン66塩10kgに対して、3kgの水とM−1、M−2又はM−3をそれぞれ150g配合し、これを内容量30リットルの反応缶に入れ、230℃で攪拌しながら、内圧が18kg/cm2になるまで加熱した。その圧力に到達後、徐々に水蒸気を放出しつつ、加熱しその圧力を保持した。280℃に達した時点で常圧まで放圧し、さらに2時間重合を行った。重合が終了した時点で反応生成物をストランド状に払い出し、冷却、固化後、切断してペレットとし、乾燥した。
得られた膨潤性フッ素系鉱物含有ナイロン66のペレットをそれぞれA−4、A−5、A−6とする。
ペレットA−4、A−5、A−6の相対粘度、アミノ基およびカルボキシル基の末端基濃度(当量/トン)は、表5のとおりであった。
【0054】
【表5】
【0055】
表6に示した配合組成(重量部)で原料を混合して2軸押出機に供給し、温度280〜310℃、平均滞留時間2分40秒の条件で溶融混練してペレット化した。得られたペレットを乾燥した後、射出成形機を用い、シリンダー温度280〜300℃、金型温度90℃で試験片を成形した。
得られた試験片を用いて各種の性能評価を行った結果を表6に示す。
【0056】
【表6】
【0057】
比較例1〜3
表7に示した配合組成(重量部)の原料を押出機に供給し、比較例1〜2では温度280℃、平均滞留時間2分25秒、比較例3では温度285℃、平均滞留時間2分37秒の条件で溶融混練してペレット化した。得られたペレットを乾燥した後、射出成形機を用い、比較例1〜2ではシリンダー温度280℃、金型温度80℃、比較例3ではシリンダー温度285℃、金型温度90℃で試験片を成形した。
得られた試験片を用いて各種の性能評価を行った結果を表7に示す。
【0058】
【表7】
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、従来のポリアミドとポリエステルとからなる樹脂組成物に比べて機械的性質と耐熱性が向上し、また吸水による寸法や機械的性質の変化が低減された優れた性能を有する強化樹脂組成物が提供される。
Claims (1)
- (1)膨潤性フッ素雲母系鉱物の共存下にモノマーを重合して得られた膨潤性フッ素雲母系鉱物を0.01〜20重量%含有するポリアミド100重量部と、(2)ポリエステル(ポリアリレートを除く)10〜1000重量部と、(3)不飽和カルボン酸化合物および/または不飽和エポキシ化合物0.05〜5重量部とを溶融混練した樹脂組成物。
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