JP3385106B2 - 樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

樹脂組成物およびその製造方法

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JP3385106B2 JP16994694A JP16994694A JP3385106B2 JP 3385106 B2 JP3385106 B2 JP 3385106B2 JP 16994694 A JP16994694 A JP 16994694A JP 16994694 A JP16994694 A JP 16994694A JP 3385106 B2 JP3385106 B2 JP 3385106B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機械的性質、耐熱性な
らびに、吸水性などの耐水性に優れたポリアミドと変性
ポリプロピレンを主体とする樹脂組成物に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】ポリアミドはエンジニアリングプラスチ
ックとして優れた機械的性質、耐熱性および耐薬品性を
有する反面、吸水率が大きく、吸水時に剛性の低下を引
き起こすという欠点がある。このようなポリアミドの物
性を補完するために、耐水性、成形加工性に優れる反
面、剛性や耐熱性などに問題を有するポリプロピレンと
を組み合わせた樹脂組成物が従来より多数提案されてい
る。
【0003】たとえば、特開昭60−170665号公
報および特開昭62−91557号公報には、ポリアミ
ドと、無水マレイン酸で代表されるα,β−不飽和カル
ボン酸化合物により変性されたポリプロピレンとからな
る樹脂組成物が開示されている。また、特公昭60−3
4986号公報にはポリアミドとポリプロピレン、およ
びアイオノマーからなる樹脂組成物が開示されている。
しかしながら、これらの樹脂組成物では、耐衝撃性を損
なうことなく、ポリアミドの吸水率や吸水時の機械的性
質の低下は改善されているものの、その程度は十分では
なく、耐熱性に関しては全く満足のいくものではなかっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題を
解決しようとするものであり、剛性などの機械的性質、
耐熱性に優れ、かつ、吸水時の機械的性質の低下が改善
されたポリアミドと変性ポリプロピレンを主体とする樹
脂組成物を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、膨潤性
のフッ素雲母系鉱物の共存下で、ポリアミドモノマーを
重合することによって製造したポリアミドと、変性ポリ
プロピレンの溶融混合物が優れた性質を有すること、な
らびに、前記ポリアミド、ポリプロピレン、不飽和化合
物およびラジカル発生剤を溶融混練することによって、
本発明の樹脂組成物を簡便に製造できることを見いだし
本発明に到達した。
【0006】すなわち本発明の要旨は、次のとおりであ
る。 1.(1)膨潤性フッ素雲母系鉱物の共存下にモノマー
を重合して得られた膨潤性フッ素雲母系鉱物を0.01
〜30重量%含むポリアミドを90〜50重量部と、
(2)ポリプロピレンに、不飽和カルボン酸化合物およ
び/または不飽和エポキシ化合物をグラフト反応させる
ことにより得られた変性ポリプロピレン10〜50重量
部とからなる樹脂組成物。 2.(1)膨潤性フッ素雲母系鉱物の共存下にモノマー
を重合して得られた膨潤性フッ素雲母系鉱物を0.01
〜30重量%含むポリアミドを90〜50重量部と、
(2)ポリプロピレン10〜50重量部と、(3)不飽
和カルボン酸化合物および/または不飽和エポキシ化合
物0.05〜5重量部と、(4)ラジカル発生剤0.0
1〜5重量部とを溶融混練することを特徴とする樹脂組
成物の製造方法。
【0007】本発明に用いるポリアミドとして好ましい
ものとしては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリ
テトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキ
サメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメ
チレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチ
レンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチ
レンアジパミド(ナイロン116)、ポリウンデカンア
ミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン
12)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミ
ド(ナイロンTMDT)、ポリヘキサメチレンテレフタ
ルアミド(ナイロン6T)、ポリヘキサメチレンイソフ
タルアミド(ナイロン6I)、ポリビス(4−アミノシ
クロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンPACM1
2)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシ
ル)メタンドデカミド(ナイロンジメチルPACM1
2)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD
6)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ナイロ
ン11T)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフ
タルアミド(ナイロン11T(H))およびこれらの共
重合ポリアミド、混合ポリアミドなどがある。中でもと
くに好ましくはナイロン6、ナイロン46、ナイロン6
6、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12およ
びこれらの共重合ポリアミド、混合ポリアミドである。
【0008】本発明に用いられるポリアミドの相対粘度
は特に制限されないが、溶媒としてフェノール/テトラ
クロルエタン=60/40(重量比)を用い、温度25
℃、濃度1g/dlの条件で測定された相対粘度が1.
5〜5.0の範囲であることが好ましい。相対粘度が
1.5未満である場合には樹脂組成物の機械的性能が低
下するので好ましくない。また、5.0を超える場合に
は樹脂組成物の成形性が急速に低下するので好ましくな
い。
【0009】また、本発明に用いられるポリプロピレン
としては、特に制限はなく、アイソタクティック、アタ
クティック、シンジオタクティックなどいずれも使用す
ることができる。またホモポリマー以外にプロピレン成
分を70重量%以上含む他のオレフィン成分とのブロッ
ク、またはランダム共重合体を使用することもできる。
【0010】ポリプロピレンは、ASTM−D−62T
(230℃、荷重2.16kg)で求めたメルトインデ
ックスが0.5〜30g/10min、さらには1〜1
0g/10minのものが好ましい。
【0011】ポリプロピレンの配合量は、膨潤性フッ素
雲母系鉱物を含むポリアミド90〜50重量部に対し
て、10〜50重量部である。ポリプロピレンが10重
量部未満では、吸水率や吸水時における機械的性質の低
下防止などの耐水性改善効果が小さく、50重量部を超
える場合には、耐水性は改善されるものの、機械的性質
や耐熱性が著しく低下するので好ましくない。
【0012】本発明で用いられる不飽和カルボン酸化合
物の具体例としては、アクリル酸、α−エチルアクリル
酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、ハロゲン
化マレイン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、
メチルテトラヒドロフタル酸、ハロゲン化シトラコン
酸、クロトン酸、ハロゲン化クロトン酸、イタコン酸、
ハロゲン化イタコン酸、シス−4−シクロヘキセン−
1,2−ジカルボン酸、エンド−ビシクロ−[2,2,
1]−5−ヘプテン−2,3- ジカルボン酸、メチル−
エンド−シス−ビシクロ−[2,2,1]−5−ヘプテ
ン−2,3−ジカルボン酸、エンド−ビシクロ−[2,
2,1]−1,2,2,2,7,7−ヘキサクロロ−2
−ヘプテン−5,6−ジカルボン酸などの不飽和カルボ
ン酸や、それらの無水物、エステル、アミド、イミド、
金属塩などを挙げることができる。
【0013】また、本発明で用いられる不飽和エポキシ
化合物の具体例としては、グリシジルアクリレート、グ
リシジルメタクリレート、イタコン酸モノグリシジルエ
ステル、イタコン酸ジグリシジルエステル、ブテントリ
カルボン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカルボ
ン酸ジグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸トリ
グリシジルエステル、p−スチレンカルボン酸グリシジ
ルエステル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルア
リルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエ
ーテル、p−グリシジルスチレン、3,4−エポキシ−
1−ブテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ブテ
ン、3,4−エポキシ−1−ペンテン、3,4−エポキ
シ−3−メチル−1−ペンテン、5,6−エポキシ−1
−ヘキセンおよびビニルシクロヘキセンモノオキシドな
どを挙げることができる。
【0014】本発明で最も好ましく用いられる不飽和カ
ルボン酸化合物、および不飽和エポキシ化合物の例とし
ては、無水マレイン酸、エンド−ビシクロ−[2,2,
1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物、グ
リシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなど
を挙げることができる。
【0015】これらの不飽和カルボン酸化合物および不
飽和エポキシ化合物の少なくとも1種の化合物の配合量
は、フッ素雲母配合ポリアミド樹脂とポリプロピレンの
総和100重量部に対して0.05〜5重量部が好まし
い。0.05重量部未満では樹脂組成物の衝撃強度等の
靭性が著しく低下し、5重量部を超える場合には機械的
強度が低下し、また、樹脂組成物の着色が著しくなり好
ましくない。
【0016】また本発明において用いられるラジカル発
生剤としては、ケトンオキサイド類、ジアシルパーオキ
サイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパー
オキサイド類、パーオキシケタール類などの有機過酸化
物、たとえばパラクロロベンゾイルパーオキサイド、
2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ターシャ
リーブチルクミルパーオキサイド、ジターシャリーブチ
ルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイ
ルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5ジ(ター
シャリーブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジ
メチル−2,5−ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)
ヘキサン、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイ
ド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル
ヘキサ−2,5−ジハイドロパーオキサイド、アセチル
パーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、3,
5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイドなどが
挙げられ、またアゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ
化合物が挙げられる。これらのラジカル発生剤の配合量
は、膨潤性フッ素雲母系鉱物含有ポリアミド樹脂組成物
と結晶性ポリプロピレンの混合物100重量部に対して
0.01〜5重量部が好ましく、さらには0.05〜3
重量部がより好ましい。
【0017】本発明で用いられる膨潤性フッ素雲母系鉱
物は次式(1)で表される。 α(MF)・β(aMgF2 ・bMgO)・γSiO2 (1) (ただし、Mはナトリウムまたはリチウムを表し、α、
β、γ、aおよびbはそれぞれ係数を表し、0.1≦α
≦2、2≦β≦3.5、3≦γ≦4、0≦a≦1、0≦
b≦1、a+b=1である。)
【0018】このようなフッ素雲母系鉱物の製造法とし
ては、たとえば酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化アル
ミニウムなどの酸化物と各種フッ素化合物を混合し、そ
の混合物を電気炉あるいはガス炉中で1400〜150
0℃の温度範囲で完全に溶融し、その冷却過程で反応容
器内にフッ素雲母を結晶成長させる、いわゆる溶融法が
ある。
【0019】また、他の方法としては特開平2−149
415号公報に開示された方法がある。すなわち、タル
クを出発物質として用い、これにアルカリ金属イオンを
インターカレーションしてフッ素雲母を得る方法であ
る。この方法ではタルクに珪フッ化アルカリあるいはフ
ッ化アルカリを混合し、磁性ルツボ内で約700〜12
00℃で短時間加熱処理することによってフッ素雲母が
得られる。本発明で用いる膨潤性のフッ素雲母系鉱物は
特にこの方法で製造されたものが好ましい。
【0020】膨潤性のフッ素雲母系鉱物を得るにために
は、珪フッ化アルカリあるいはフッ化アルカリのアルカ
リ金属は、ナトリウムあるいはリチウムとすることが必
要である。これらのアルカリ金属は単独で用いてもよい
し、併用してもよい。アルカリ金属のうち、カリウムの
場合には膨潤性のフッ素雲母を与えないので好ましくな
いが、ナトリウムあるいはリチウムと併用し、かつ限定
された量であれば膨潤性を調節する目的で用いることも
可能である。
【0021】本発明でいう膨潤性とは、フッ素雲母がア
ミノ酸、ナイロン塩、水分子などの極性分子あるいは陽
イオンを層間に吸収することにより、層間距離が広が
り、あるいはさらに膨潤へき開して、超微細粒子となる
特性である。式(1)で表されるフッ素雲母はそのよう
な膨潤性を示す。
【0022】本発明で用いる膨潤性フッ素雲母系鉱物の
好ましい粒径は15μm以下、さらに好ましくは10μ
m以下であり、また、X線粉末法で測定したC軸方向の
層厚みは9〜20Åである。
【0023】また本発明で用いる膨潤性フッ素雲母系鉱
物を製造する工程において、アルミナを少量配合し、生
成する膨潤性フッ素雲母系鉱物の膨潤性を調整すること
も可能である。
【0024】膨潤性フッ素雲母系鉱物の配合量は、生成
するポリアミド100重量部に対して0.01〜30重
量部の範囲になるようにポリアミドの重合時に配合され
る。0.01重量部未満では本発明の目的とする機械的
強度、耐熱性などの改良効果が得られず、30重量部を
超える場合には衝撃強度などの靭性の低下が大きくなる
ので好ましくない。
【0025】膨潤性フッ素雲母系鉱物配合ポリアミドの
製造法としては、一般的な押出機を用いて、ポリアミド
と膨潤性フッ素雲母系鉱物とを溶融混練する方法もある
が、本発明のように、ポリアミドを形成するモノマーに
対して、膨潤性フッ素雲母系鉱物を所定量存在させた状
態でモノマーを重合することにより、膨潤性フッ素雲母
系鉱物がポリアミド中に十分細かく分散し、本発明の効
果が最も顕著に現れる。
【0026】本発明の樹脂組成物は、本発明におけるポ
リアミドに、ポリプロピレンと不飽和化合物を溶融混練
することによって最も簡便に製造されるが、あらかじ
め、ポリプロピレンと不飽和化合物を反応させて変性ポ
リプロピレンを合成し、得られた変性ポリプロピレンと
ポリアミドを溶融混練することによって製造することも
できる。
【0027】溶融混練過程で生成する変性ポリプロピレ
ンは、不飽和カルボン酸化合物および/または不飽和エ
ポキシ化合物が、ポリプロピレンに対し0.01〜10
重量%グラフト反応したものとなるようにすることが好
ましい。
【0028】不飽和カルボン酸化合物および/または不
飽和エポキシ化合物のグラフト量が、ポリプロピレンに
対し0.01重量%未満では、ポリアミドと変性された
ポリプロピレンの相溶性が不十分なため、衝撃強度など
の靭性が低下し、また、グラフト量が10重量%を超え
ると、生成する樹脂組成物の着色や物性が低下するので
望ましくない。
【0029】本発明においては、構成成分を溶融混練す
ることによって樹脂組成物が製造されるが、その際の溶
融混練温度は主にポリアミドの種類とポリアミドとポリ
プロピレンとの組成比に依存する。溶融混練時間は、温
度および溶融混練装置にもよるが、通常1〜30分の範
囲である。本発明の樹脂組成物を製造するために用いら
れる溶融混練装置としては、バンバリミキサー、ロール
ミキサー、ニーダー、単軸押出機、多軸押出機などを使
用することができる。
【0030】また、本発明の樹脂組成物を構成する成分
を溶融混練装置に供給する方法としては、すべての構成
成分を一度に供給してもよいし、各成分を、それぞれ異
なる供給口から供給する多段階方式を用いることもでき
る。たとえば、まずポリプロピレンと不飽和カルボン酸
化合物および/または不飽和エポキシ化合物とラジカル
発生剤を押出機の先端部からみて遠い側の供給口から供
給し、先端部に近い側の供給口からポリアミドを供給す
る方法がある。この方法を用いれば、より優れた性能を
有する樹脂組成物を得ることができる。
【0031】本発明の樹脂組成物にはその特性を大きく
損なわない限り、必要に応じてさらに他の重合体を配合
してもよい。この場合、その配合量は樹脂組成物に対し
て30重量%以下であることが望ましい。このような重
合体としては、スチレン系重合体、ポリカーボネート、
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルス
ルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケ
トン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィ
ド、ABS,PMMA、ポリ塩化ビニル、フェノキシ樹
脂、液晶ポリマー、ポリプロピレン以外のポリオレフィ
ン、各種エラストマーなどが挙げられる。
【0032】これらの重合体の中で、エラストマーは樹
脂組成物の強靭性を向上させるために有効であり、その
具体例としては、エチレン−プロピレン共重合体、エチ
レン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ジ
エン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体およびそ
の水素化物、スチレン−イソプレン共重合体およびその
水素化物などを挙げることができる。
【0033】本発明の樹脂組成物にはその特性を大きく
損なわない限りにおいて顔料、熱安定剤、酸化防止剤、
耐候剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、他の強化材などを添
加することもできる。このような熱安定剤や酸化防止剤
としてはヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダ
ードアミン類、イオウ化合物、銅化合物がある。耐候剤
としては一般的なベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾー
ル類が用いられる。難燃剤としては一般のリン系難燃剤
やハロゲン系難燃剤が用いられる。強化材としてはたと
えばクレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラ
ストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケ
イ酸カルシウム、アスベスト、アルミン酸ナトリウム、
アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸
マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウ
ム、硫酸バリウム、カリウム明バン、ナトリウム明バ
ン、鉄明バン、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸
化亜鉛、三酸化アンチモン、ほう酸、ほう砂、ほう酸亜
鉛、ゼオライト、ハイドロタルサイド、金属繊維、金属
ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム
ウィスカー、チッ化ホウ素、マイカ、グラファイト、ガ
ラス繊維、炭素繊維などが挙げられる。
【0034】本発明によれば、剛性などの機械的性質、
耐熱性に優れ、かつ、吸水時の機械的性質の低下が改善
された樹脂組成物が得られる。しかも経済性にも優れて
いるので電機、自動車、機械、雑貨その他の分野で従来
のものよりも有用な成形体として応用される。
【0035】
【作用】本発明においては、膨潤性フッ素雲母系鉱物配
合ポリアミドとして、膨潤性フッ素雲母系鉱物をモノマ
ー中に配合した後に重合したものを用いるため、膨潤性
フッ素雲母系鉱物がポリアミド中に十分細かく分散し、
その結果、変性ポリプロピレンとの溶融混練物は、相互
により微細に分散しており、優れた物性が得られる。
【0036】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに具体的に説
明する。なお、実施例および比較例の評価に用いた原料
および測定法は次のとおりである。
【0037】1.原料 (1)フッ素雲母 ボールミルにより平均粒径が2μmとなるように粉砕し
たタルクに対し、平均粒径が同じく2μmの珪フッ化ナ
トリウムを全量の20重量%となるように混合し、これ
を磁性ルツボに入れ、電気炉で1時間800℃に保持し
てフッ素雲母(以下、M−1と記載する)を合成した。
生成したフッ素雲母の平均粒径は1.8μmであった。
また、X線粉末法測定した結果、原料タルクのC軸方向
の厚み9.2Åに対応するピークは消失し、膨潤性フッ
素雲母系鉱物の生成を示す12〜16Åに対応するピー
クが認められた。
【0038】(2)ポリプロピレン:東燃ポリプロピレ
ン Y−203〔東燃石油化学社製〕 (3)不飽和カルボン酸化合物:無水マレイン酸(試薬
特級) エンド−ビシクロ−〔2,2,1〕−5−ヘプテン−
2,3−ジカルボン酸無水物(試薬特級、無水NDCA
と略称する) (4)不飽和エポキシ化合物:グリシジルメタクリレー
ト(試薬特級) (5)変性ポリプロピレン: P−1:メルトインデックスが3g/10min のポリプ
ロピレン(東燃石油化学社製Y−203)とポリプロピ
レンに対して0.5重量%の無水マレイン酸および0.
05重量%のベンゾイルパーオキサイドをヘンシェルミ
キサーで混合した後、単軸押出機(PCM−30、池貝
鉄工製)を用い、温度210℃で溶融混練し、ペレット
を得た。得られた変性ポリプロピレンをアセトンで抽出
した後、溶融プレスし、赤外線吸収スペクトルを測定し
たところ、1790cm-1付近に酸無水物の吸収が確認さ
れた。 P−2:無水マレイン酸の代わりに、無水NDCAを
0.7重量%混合する他は、P−1と同様の方法で変性
ポリプロピレンを得た。 P−3:無水マレイン酸の代わりに、グリシジルメタク
リレートを0.6重量%混合する他は、P−1と同様の
方法で変性ポリプロピレンを得た。
【0039】2.測定法 (1)曲げ弾性率 3.2mm厚みの曲げ試験片を用い、ASTM D79
0に基づいて測定した。 (2)熱変形温度(HDT) ASTM D648に基づき、荷重18.6kg/cm
2 で測定した。 (3)吸水率 3.2mm厚みの曲げ試験片を、50℃、65%RHの
条件で40時間処理した後、試験片の重量変化から吸水
率を求めた。 (4)吸水時の曲げ弾性率 3.上記(3)と同様に吸水処理した後、(1)と同様
の測定を行った。
【0040】実施例1〜3 ε−カプロラクタム10kgに対して,2kgの水とM
−1を172g配合し、これを内容量30リットルの反
応缶に入れ、M−1の存在下でε−カプロラクタムを重
合し、強化ナイロン6樹脂組成物を得た(N−1とす
る)。重合反応は次のように行った。すなわち攪拌しな
がら250℃に加熱し、徐々に水蒸気を放出しつつ、4
kg/cm2 から15kg/cm2 の圧力まで昇圧し
た。その後2kg/cm2 の圧力まで放圧し、260℃
で3時間重合した。重合の終了した時点で反応缶から強
化ナイロン6樹脂組成物を払い出し、これを切断してペ
レットとした。得られた強化ナイロン6樹脂組成物のペ
レットを95℃の熱水で処理し、精練を行い、乾燥して
試験に供した。得られたポリアミドの相対粘度は2.6
3であった。またアミノ基とカルボキシル基の濃度は、
それぞれ56当量/トン、57当量/トンであった。表
1に示した配合比で原料を混合した後、2軸押出機(P
CM−45、池貝鉄工製)で溶融混練し、ペレット化し
た。押出温度は260℃で行った。得られたペレットを
乾燥した後、射出成形機を用い、シリンダー温度260
℃、金型温度80℃で試験片を成形した。得られた試験
片を用いて各種の性能評価を行った。その結果を表1に
掲げた。
【0041】実施例4〜9 膨潤性フッ素雲母M−1の配合量を345g、862g
とした以外は、実施例1と全く同様の方法で強化ナイロ
ン6樹脂組成物を得た(それぞれN−2、N−3とす
る)。得られたポリアミドの相対粘度はそれぞれ2.6
6、2.65であった。またアミノ基とカルボキシル基
の濃度は、N−2はそれぞれ56当量/トン、57当量
/トンであり、N−3はそれぞれ、57当量/トン、5
8当量/トンであった。表1、表2に示した配合比で原
料を混合した後、実施例1と同様の方法で試験片を成形
し、各種の性能評価を行った。その結果を表1、表2に
掲げた。
【0042】
【表1】
【0043】実施例10〜12 ナイロン66塩10kgに対して、3kgの水と345
gの膨潤性フッ素雲母M−1を配合し、これを内容量3
0リットルの反応缶に入れ、M−1の存在下でナイロン
66塩の重合を行い、強化ナイロン66樹脂組成物を得
た(N−4とする)。 重合反応は次のように行った。
すなわち230℃で攪拌しながら、内圧が18kg/c
2 になるまで加熱した。その圧力に到達後、徐々に水
蒸気を放出しつつ、加熱しその圧力を保持した。280
℃に達した時点で常圧まで放圧し、さらに2時間重合を
行った。重合が終了した時点で強化ナイロン66樹脂組
成物を払い出し、これを切断してペレットとした。ペレ
ットは乾燥して試験に供した。得られたポリアミドの相
対粘度は2.70であった。またアミノ基とカルボキシ
ル基の濃度はそれぞれ50当量/トン、60当量/トン
であった。2軸押出機(PCM−45、池貝鉄工製)を
用いて、表2に示した配合比で原料を溶融混練し、ペレ
ット化した。押出温度は280℃で行った。得られたペ
レットを乾燥した後、射出成形機を用い、シリンダー温
度280℃、金型温度90℃で試験片を成形した。得ら
れた試験片を用いて各種の性能評価を行った。その結果
を表2に掲げた。
【0044】
【表2】
【0045】実施例13〜18 2軸押出機(PCM−45、池貝鉄工製)を用いて、表
3に示した配合比で原料を溶融混練し、ペレット化し
た。得られたペレットを乾燥した後、射出成形機を用
い、試験片を成形した。N−2、N−4の押出温度およ
びシリンダー温度は、それぞれ260℃、280℃で行
った。また、金型温度は、N−2は80℃、N−4は9
0℃とした。得られた試験片を用いて各種の性能評価を
行った。その結果を表3に掲げた。
【0046】
【表3】
【0047】比較例1〜6 表4に掲げた組成で原料を混合し、これを2軸押出機
(PCM45、池貝鉄工製)に供給し、溶融混練を行
い、ペレットとした。押出温度はナイロン6の場合は2
60℃、ナイロン66の場合は280℃とした。得られ
たペレットをナイロン6の場合は精練後に、ナイロン6
6はそのまま乾燥して試験片の成形に供した。試験片の
成形は射出成形機を用い、ナイロン6の場合はシリンダ
ー温度260℃、ナイロン66の場合は280℃で行っ
た。金型温度はナイロン6の場合は80℃、ナイロン6
6の場合は90℃で行った。得られた試験片を用いて各
種の性能評価を行った。その結果を表4に掲げた。
【0048】
【表4】
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、従来のポリアミドと変
性ポリプロピレンとからなる樹脂組成物に比べて、機械
的性質と耐熱性が改良され、吸水による機械的性質の低
下が改良された優れた性能を有する樹脂組成物が提供さ
れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 美緒子 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ 株式会社中央研究所内 (56)参考文献 特開 平6−80820(JP,A) 特開 平3−217432(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 77/00 - 77/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)膨潤性フッ素雲母系鉱物の共存下
    にモノマーを重合して得られた膨潤性フッ素雲母系鉱物
    を0.01〜30重量%含むポリアミドを90〜50重
    量部と、(2)ポリプロピレンに、不飽和カルボン酸化
    合物および/または不飽和エポキシ化合物をグラフト反
    応させることにより得られた変性ポリプロピレン10〜
    50重量部とからなる樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (1)膨潤性フッ素雲母系鉱物の共存下
    にモノマーを重合して得られた膨潤性フッ素雲母系鉱物
    を0.01〜30重量%含むポリアミドを90〜50重
    量部と、(2)ポリプロピレン10〜50重量部と、
    (3)不飽和カルボン酸化合物および/または不飽和エ
    ポキシ化合物0.05〜5重量部と、(4)ラジカル発
    生剤0.01〜5重量部とを溶融混練することを特徴と
    する樹脂組成物の製造方法。
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