JP3556816B2 - 枚葉印刷機のシート案内装置 - Google Patents

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  • Separation, Sorting, Adjustment, Or Bending Of Sheets To Be Conveyed (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、枚葉印刷機の排紙部に設備し、シートを安定的に移送するシート案内装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の枚葉印刷機のシート案内装置としては、例えば図9〜図11に示すものが提案されている。すなわち、図9及び図10は枚葉印刷機に設備されたシート案内装置の構成、機能を示す説明図、図11は一般的な枚葉印刷機における排紙部の構成を示す説明図である。
【0003】
多色印刷を施す枚葉印刷機は、図11に示す如く、主なユニット(構成要素)として給紙部(図示せず)、複数組の印刷装置16〜16n及び排紙部R等によって構成されている。
このような枚葉印刷機において、給紙部から一枚ずつ送り出されたシート2は、複数組の印刷装置16〜16nを順次経由する過程で所定色の印刷が施され、図11に示す如く、中間胴17を介して最終印刷装置16nのブランケット胴18と圧胴19の中間へ送り込まれて全ての印刷が完了する。なお、図11において、40はブランケット胴18の上方に配設され、これと係合する版胴である。
【0004】
上記印刷を終えたシート2は、圧胴19から排紙軸13の部分(排紙部R側)へ受け渡される。つまり、このシート2は、排紙軸13を巻回して走行するエンドレスチェン20のチェングリッパ21へ引き渡され、該チェングリッパ21によって前端が把持された状態で排紙部Rにおいて前方へ移送され、その後、順次排紙部Rの積重テーブル22上に積重されることになる。また、排紙部Rには、チェングリッパ21から落下投入するシート2の走行速度を制動すべく機能する真空車23が配設されている。
【0005】
ところで、通常、枚葉印刷機において印刷を施すシート2には、厚さ0.04mm位の薄紙から1.0mm程度の厚紙があり、また金属板で形成された剛性の高いシート等、仕様として種々多様なものがある。
このため、シート2の移送に際して、一般的に、薄紙等の剛性の低いシート2では、移送方向の後端でばたつきが発生し、また厚紙等の剛性の高いシート2では、シートガイド24(図9参照)の湾曲部での移送に伴う遠心力とシート自身の曲げに対する復元力によって、当該シート2の後端がシートガイド24から離れ、エンドレスチェン20等の移送手段やその他の周辺部へ激突することが起こる。つまり、紙はねが発生する傾向がある。
【0006】
前記紙のばたつきや紙はねは、シート2の印刷施行面の汚れ、シート2の折れ変形や傷を発生させるものであり、印刷シート2の品質を著しく低下させる要因となっている。
その他、最終印刷が完了した直後のシート2は、インキの乾燥状態が不完全であるため、積重テーブル22上に積み重ねられた場合、シート2とシート2との積重、或いは相対的ズレによって裏移りが発生し、印刷面の品質を低下させるという問題がある。
【0007】
この問題に対処すべく、従来より、例えば図9に示す如く、排紙軸13の下流側においてパウダースプレーノズル12を配置し、該ノズル12からシート2の印刷面へパウダー(粉)41を噴射することによって、シート2の裏側と印刷されたインキの貼着を防止する方法が採られている。
【0008】
ところで、シート2の搬送状態を安定させる手段、つまりシート案内装置として、今日、種々の形式のものが提案されている。
まず、図9に例示したシート案内装置では、シート2を把持して移送するチェングリッパ21の走行経路下方において、排紙軸13の部分からシート積重装置の入口に配設した真空車23へ至る間の立ち上がり部にプレート状のシートガイド24が配設されている。なお、上記排紙軸13の直下部のシートガイド24には複数個の空気吸入孔25が穿設され、該空気吸入孔25を穿設したシートガイド24の下面には真空吸引ボックス26が配設されている。
【0009】
一方、上記シート案内装置には、走行するシート2の上方に位置して複数組の送風ファン27が配置されていると共に、排紙軸13の近傍にパウダースプレーノズル12と集塵ノズル28が互いに近接して並設されている。
また、上記真空吸引ボックス26及び上記集塵ノズル28は、配管29a,29bを介して配管29に合流させた後、重力降下式フィルタ9に連結され、更にフィルタ10を経由してエアポンプ11に接続されている。
【0010】
上記構成のもと、最終印刷装置16nの圧胴19からエンドレスチェン20のチェングリッパ21へ受け渡されたシート2は移送の途上で、送風ファン27群からの空気吹き付けによって、遠心力や曲げに対するシート2の復元力等に起因したシート2の浮き上がりが規制されると共に、パウダースプレーノズル12からパウダー41がシート2の印刷面に噴射される。
【0011】
なお、上記パウダースプレーノズル12から吹き付けられたパウダー41の一部は、図9の矢印で示す如く、並設した集塵ノズル28によって回収される。また、回収されなかったパウダー41の一部はシートガイド24に沿って下方へ落下し、空気吸入孔25から真空吸引ボックス26内へ回収された後、集塵機、つまり重力降下式フィルタ9とフィルタ10へ順次送られ、浄化された空気となってエアポンプ11を介して大気中へ放出されることになる。
【0012】
このように構成された枚葉印刷機のシート案内装置においては、前述の如く、排紙部Rの立ち上がり部にて発生するシート2のばたつきと遠心力等によるシート2の浮き上がりを規制しコントロールする手段として、送風ファン27によるエアの吹き付け力を利用したものであるから、次のような種々の問題があった。
(1) 送風ファン27による空気流が安定化しない状態(乱気流)の下でパウダー41を噴出させているため、シート2の面へのパウダー41の付着効率が悪く、一旦付着したパウダー41も送風ファン27からのエアで吹き飛ばされ、パウダー41の消費量が増大してしまうという欠点がある。また、飛散したパウダー41は不安定な空気流により散乱して集塵効率も悪くなり、この結果、装置周辺に飛散することになる。
(2) 上記により、装置周辺に飛散するパウダー41の量が多くなるため、印刷現場の作業環境が著しく悪化するという欠点がある。
【0013】
次に、図10に例示したシート案内装置では、シート2を把持して移送するチェングリッパ21の走行経路下方において、排紙軸13の部分からシート積重装置の入口に配設した真空車23へ至る間、つまり立ち上がり部にボックス状のシートガイド30が配設されている。このシートガイド30の内部へは、エアポンプ11から配管31を介して圧縮空気Aが吹き込めるようになっている。
【0014】
一方、上記シート2の移送経路に沿ったシートガイド30の上面(ガイド面)には、複数個の空気吐出ノズル3が配設されている。空気吐出ノズル3は、高速の空気流がシートガイド30のガイド面に沿って排紙軸13側へ、或いは当該シートガイド30のガイド面に沿って真空車23側へ流れるように方向が設定されている。また、移送するシート2の上方に位置し、かつ排紙軸13に近接した箇所には、パウダースプレーノズル12が配置されている。
【0015】
上記構成のもと、最終印刷装置16nの圧胴19からエンドレスチェン20のチェングリッパ21へ受け渡されたシート2は、移送の途上で、パウダースプレーノズル12からパウダー41が噴射されると共に、シートガイド30のガイド面における空気吐出ノズル3から吐出する高速空気流によって、上記ガイド面側へ引き付けられ、遠心力や曲げに対するシート2の復元力等に起因したシート2の浮き上がりが規制される。
【0016】
なお、シート2の引き付け力及びシートガイド30のガイド面に接近しすぎた場合の押出し力は、吐出する空気Aの流速を変え、走行するシート2とシートガイド30のガイド面に発生する圧力を上下させることにより、ある程度任意に調整し得るものであり、これによって種々の剛性のシート2に対応できるようになっている。
【0017】
このように構成された枚葉印刷機のシート案内装置においては、前述の如く、排紙部Rの立ち上がり部にて発生する遠心力等による浮き上がり等を規制しコントロールする手段として、シート2の下面に発生する空気流の流速差に伴う圧力(負圧)、すなわちシート2の引き付け力を利用したものであるから、シート2の走行安定性において、所定の機能を得ることができる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のシート案内装置では、次のような問題を有している。
(1) パウダースプレーノズル12から噴射したパウダー41の多くは、シートガイド30からのガイド用空気噴流によって、機械の周辺に飛散し、印刷現場の環境を著しく低下させることになる。このため、機械に集塵機を取付けて、パウダー41や紙粉等の回収を図る必要性があり、構造上2台のポンプが必要となることから設備費が高騰するおそれがある。
(2) しかも、広範囲に飛散するパウダー41等を回収するに当たっては、取付けた集塵機が十分に機能せず、印刷現場の作業環境を良好に改善することが困難である。
【0019】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、排紙部におけるシートのばたつきや浮き上がりを防止し、印刷品質向上のために必要なパウダーなどの粉塵を確実に回収することができ、かつ設備費の高騰を招来することがない枚葉印刷機のシート案内装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明は、排紙部に搬送されてくるシートをガイドするためのシートガイドを備えた枚葉印刷機のシート案内装置において、
前記シートガイドは、上面がシート案内面であるボックス状に形成され、装置横幅方向で3個の区域に分かれた空気ダクトであり、
前記幅方向の中央に位置する空気ダクトの上側表面には、幅方向の中央から幅方向の各端側へ向かって空気を吐出する空気吐出ノズルが設けられ、前記空気吐出ノズルは略三角錐形状の凹部であって、中央側の壁面およびシート走行方向の前後に位置する壁面によって形成されており、中央側の壁面に圧縮空気の通過する開口部が設けられていると共に、シート走行方向の前後に位置する壁面が中央から幅端側へ向かって徐々に立ち上がる傾斜面で、かつ幅端側先端が鋭角の平面三角形状に形成され、
前記幅方向の両端に位置する空気ダクトの上側表面には、複数の孔または複数のスリットで構成され、幅方向の中央から幅方向の各端側に流れてくる空気を吸引する空気吸引ノズルが設けられ、
前記空気ダクトに接続され、前記空気吸引ノズルで吸引した空気を前記空気吐出ノズルが設けられた空気ダクトへ循環させる空気循環装置が配設されている。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。ただし、従来例で示した構成要素と共通する要素には同一の符号を付して、その説明を簡略化する。ここで、図1〜図5は枚葉印刷機に設備された本発明の第1実施形態に係るシート案内装置を説明するものであり、図1はその斜視図、図2はその概略構成図、図3及び図4は要部の詳細図、図5はその側面図を示している。
【0022】
第1実施形態に係る枚葉印刷機のシート案内装置は、図1及び図2に示す如く、排紙部Rに順次搬送されてくるシート2をガイドするためのシートガイド100を備えたものであって、シートガイド100には、これを装置横幅方向(シート2の搬送方向に対して左右の幅方向)で3個の区域に分割した独立の空気ダクトが設けられ、つまり幅方向の中央部に位置する空気吐出ダクト1と、幅方向の両端部に位置する空気吸入ダクト4a,4bとを有しており、空気吐出ダクト1の上側表面には、幅方向の中央部から幅方向の各端部側へ向かって空気を吐出する空気吐出ノズル3が設けられており、空気吸入ダクト4a,4bには、幅方向の中央部から幅方向の各端部側に流れてくる空気を吸引する空気吸引ノズル(孔5或いはスリット6)が設けられており、孔5或いはスリット6で吸引した空気を空気吐出ノズル3が設けられた空気吐出ダクト1へ循環させる空気循環装置Pが配設されている。
【0023】
すなわち、本実施形態の枚葉印刷機のシート案内装置は、枚葉印刷機の排紙部Rにおいて、搬送するシート2のシートガイド100を機械横幅方向(図2においてシート2の左右方向、又は図11において紙面に直交する方向)で3個の区域に分割し、各々が独立した空気ダクト、つまり空気吐出ダクト1、空気吸入ダクト4a,4bとして構成されている。
【0024】
上記中央部に位置する空気吐出ダクト1は、図2に示す如く、搬送するシート2の最大横幅に対応する横幅を有し、当該空気吐出ダクト1の上側表面には、図3に示す如く、機械中心Cを境にして両幅端側へ向かって圧縮空気Aを吐出させることが可能な複数個の空気吐出ノズル3が間隔を置いて2個ずつ対に並べて配設されている。すなわち、空気吐出ノズル3は、機械中心Cに対して直交する方向へ圧縮空気Aを吐出するようになっている。このため、空気吐出ノズル3は、図1及び図2に示す如く、略三角錐形状の凹部であって、中央側の壁面およびシート走行方向の前後に位置する壁面によって形成されており、中央側の壁面に圧縮空気Aの通過する開口部3aが設けられていると共に、シート走行方向の前後に位置する壁面が中央から幅端側へ向かって徐々に立ち上がる傾斜面で、かつ幅端側先端が鋭角の平面三角形状に形成されている。
【0025】
また、上記両幅端に位置する空気吸入ダクト4a,4bの上側表面には、一例として図4(a)に示す如き複数個の孔5、或いは図4(b)に示す如き複数本のスリット6が穿設されており、これら孔5又はスリット6を介して幅端部側へ流れてくる圧縮空気Aを吸引するようになっている。また、両幅端の各空気吸入ダクト4a,4bの底部には、管継手7a,7bがそれぞれ対応して形成されている。そして、これら管継手7a,7bは、それぞれ吸入管8a,8bを介して吸入管8に合流させた後、重力降下式フィルタ9に接続され、更にフィルタ10及びエアポンプ11を経て前記中央に位置する空気吐出ダクト1の底部に形成した管継手7に吐出管31を介して連結され、これによって空気循環系統(空気循環装置)Pが構成されている。なお、図5において、12はシート案内装置である空気吐出ダクト1の上方で、かつ排紙軸13に近接した位置に設備されているパウダースプレーノズルであり、該ノズル12からパウダー41が噴射されるようになっている。
【0026】
上記のように構成された本実施形態の枚葉印刷機のシート案内装置において、エアポンプ11を作動させると、図2及び図3の矢印で示す如く、空気吐出ダクト1の空気吐出ノズル3群より圧縮空気Aが横方向に吐き出され、搬送するシート2の走行方向と直角方向の両側へ流出する。
その後、流出した上記圧縮空気Aは、両幅端に配設した空気吸入ダクト4a,4bの上側表面に形成した孔5或いはスリット6から吸入され、さらに重力降下式フィルタ9、フィルタ10を経て元のエアポンプ11へ送り返され、再度中央の空気吐出ダクト1へと循環される。
【0027】
上記重力降下式フィルタ9では、空気吸入ダクト4a,4bによって回収した粉塵のうち、重量の重いものだけが下降して除去されるようになっている。また、重力降下式フィルタ9において回収しきれなかった微細な粒子は、次工程のフィルタ10によって除去されるようになっている。
上記フィルタ9,10の機能により、エアポンプ11からは浄化された状態の空気が送り出されることになる。
【0028】
本第1実施形態に係る枚葉印刷機のシート案内装置は、以上の如く構成され、かつ機能するものであるから、次のような種々の効果を得ることができるようになった。
(1) 排紙部R内において、空気の循環流を形成するため、空気の乱れが少なく、安定したシート2の搬送を行うことができる。
(2) 上記空気流の安定化により、シート2の上面におけるパウダー41の付着状態のコントロールが可能となる。
(3) 排紙部R内に空気の循環流を形成するため、当該排紙部R内へ飛散するパウダー41を効率的に回収できる。
(4) 外部からシートガイドに空気を供給するような従来の方式と比較してエネルギー効率が高く、電気代の節約が図れる。
(5) 本実施形態のシートガイド100がエアによるシート2のガイドと集塵機とを一体化した構造となっているため、初期の製造原価(設備費)を低減させることができる。
(6) パウダー41、紙粉等の散乱量が減少し、印刷現場の作業環境が良好になる。
【0029】
また、図6及び図7は枚葉印刷機に設備された本発明の第2実施形態に係るシート案内装置を説明するものであり、図6はその要部断面図、図7はその要部斜視図を示している。ただし、従来例及び第1実施形態で示す構成要素と共通する要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0030】
第2実施形態に係る枚葉印刷機のシート案内装置では、図6に示す如く、シートガイド100が装置横幅方向において3個の区域に分割され、各々独立した空気吐出ダクト1及び空気吸入ダクト4a,4bとして構成されており、空気循環装置Pを介して中央部に位置する空気吐出ダクト1の空気吐出ノズル3から圧縮空気Aを吐出させ、両幅端部に配置した空気吸入ダクト4a,4bの孔5或いはスリット6から空気Aを吸入して循環させるといった一連の構成及び機能は前記第1実施形態と同様である。
【0031】
本実施形態の枚葉印刷機のシート案内装置においては、機械横方向側端部に設置した空気吸入ダクト4a,4bの形状が変更されており、図7に示す如く、吸引口として設けた空気吸入ダクト4a,4bの上側表面に穿設する孔5或いはスリット6等に追加して、各空気吸入ダクト4a,4bの上側表面にこれと所定の間隔をおいて突出させた空気吸引用補助ダクト14が設けられ、該空気吸引用補助ダクト14によって各幅端部側に流れてきた空気Aを集めて孔5或いはスリット6に案内するよう構成されている。
例示した空気吸引用補助ダクト14は、機械中心Cに向かう側板を開口した箱形として形成されている。
【0032】
上記のように構成された本実施形態の枚葉印刷機のシート案内装置において、空気循環装置Pを介して空気吐出ダクト1の空気吐出ノズル3より吐出した空気Aを両幅端部に配設した空気吸入ダクト4a,4b内へ吸引するに際して、高速度の境界層流をより効率的に吸入させることができる。
したがって、機械中心Cから両幅端部に流れてくる空気Aの全体を空気吸引用補助ダクト14によって集めて、各空気吸入ダクト4a,4bに導くことが可能となるので、極めて効率良く集塵することができる。
【0033】
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形及び変更を加え得るものである。例えば、第2実施形態で示した空気吸引用補助ダクト14を図8に示す空気吸引用補助ダクト15に置き換えることができる。この空気吸引用補助ダクト15は、各空気吸入ダクト4a,4bの上側表面に突出する部分が機械中心Cへ向かって斜め上方に傾いており、より広い範囲の空気Aを効率良く集めることができるとともに、ダクトを構成する材料費の軽減及びコンパクト化に寄与し得るようになっている。
【0034】
【発明の効果】
上述の如く、本発明に係る枚葉印刷機のシート案内装置は、排紙部に搬送されてくるシートをガイドするためのシートガイドを備えたものであって、前記シートガイドは、上面がシート案内面であるボックス状に形成され、装置横幅方向で3個の区域に分かれた空気ダクトであり、前記幅方向の中央に位置する空気ダクトの上側表面には、幅方向の中央から幅方向の各端側へ向かって空気を吐出する空気吐出ノズルが設けられ、前記空気吐出ノズルは略三角錐形状の凹部であって、中央側の壁面およびシート走行方向の前後に位置する壁面によって形成されており、中央側の壁面に圧縮空気の通過する開口部が設けられていると共に、シート走行方向の前後に位置する壁面が中央から幅端側へ向かって徐々に立ち上がる傾斜面で、かつ幅端側先端が鋭角の平面三角形状に形成され、前記幅方向の両端に位置する空気ダクトの上側表面には、複数の孔または複数のスリットで構成され、幅方向の中央から幅方向の各端側に流れてくる空気を吸引する空気吸引ノズルが設けられ、前記空気ダクトに接続され、前記空気吸引ノズルで吸引した空気を前記空気吐出ノズルが設けられた空気ダクトへ循環させる空気循環装置が配設されているので、以下のような効果が得られる。
すなわち、本発明によれば、空気が幅方向の中央に位置する空気ダクトの中央側から幅方向の両端へ向けて安定的に流れるから、排紙部におけるシートのばたつきや浮き上がりを防止することができ、シートの搬送の安定化を図ることができる。
また、幅方向の両端側に移動した空気は、幅方向の両端に位置する空気ダクトに設けられた空気吸引ノズルによって、周囲の空気の流れを乱すことなく即座に吸引することができるから、例えば印刷品質向上のためにシートにパウダーを噴射させた場合でも、このパウダーや紙粉などの粉塵を周囲に飛散させることなく確実に回収することができる。したがって、印刷現場の作業環境を良好に改善することができる。
【0035】
そして、上記のようにシートの搬送が安定化するから、シートの上面におけるパウダー付着状態を簡単にコントロールすることができるようになる。
また、シートガイドがエアによるシートのガイドと集塵機とを一体化したもので構成されているから、設備費の低減を図ることができる。
しかも、空気循環装置によって、空気吸ノズルで吸引した空気を空気吐出ノズルへ再び供給することができるから、空気循環装置に設けるポンプとしては一つで済むことになる。したがって、吸入ポンプと、吐出ポンプの2つのポンプを設ける必要がないから、設備費の高騰を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る枚葉印刷機のシート案内装置を説明するものであって、シートガイドを示す斜視図である。
【図2】上記枚葉印刷機のシート案内装置の概略構成を説明するものであって、図1におけるA−A線に沿う断面で表したシートガイド及び空気循環装置を示す概念図である。
【図3】上記枚葉印刷機のシート案内装置を説明するものであって、シートガイドの要部を示す断面図である。
【図4】上記枚葉印刷機のシート案内装置を説明するものであって、(a)は空気吸入ダクトに設けられた空気吸ノズルの一例として示す孔の平面図であり、(b)は同空気吸ノズルの一例として示すスリットの平面図である。
【図5】上記枚葉印刷機のシート案内装置を示す側面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る枚葉印刷機のシート案内装置を説明するものであって、シートガイドの一部を示す断面図である。
【図7】上記枚葉印刷機のシート案内装置を説明するものであって、シートガイドの一部を示す斜視図である。
【図8】上記枚葉印刷機のシート案内装置におけるシートガイドの変形例を示す断面図である。
【図9】従来の枚葉印刷機のシート案内装置を示す側面図である。
【図10】他の従来の枚葉印刷機のシート案内装置を示す側面図である。
【図11】従来の一般的な枚葉印刷機のシート案内装置を示す要部側面図である。
【符号の説明】
1 空気吐出ダクト
2 シート
3 空気吐出ノズル
4a,4b 空気吸入ダクト
5 空気吸引ノズル(孔)
6 空気吸引ノズル(スリット)
7 管継手
8 吸入管
9 重力降下式フィルタ
10 フィルタ
11 エアポンプ
12 パウダースプレーノズル
13 排紙軸
14,15 空気吸引用補助ダクト
41 パウダー
100 シートガイド
C 機械中心
P 空気循環装置
R 排紙部

Claims (1)

  1. 排紙部に搬送されてくるシートをガイドするためのシートガイドを備えた枚葉印刷機のシート案内装置において、
    前記シートガイドは、上面がシート案内面であるボックス状に形成され、装置横幅方向で3個の区域に分かれた空気ダクトであり、
    前記幅方向の中央に位置する空気ダクトの上側表面には、幅方向の中央から幅方向の各端側へ向かって空気を吐出する空気吐出ノズルが設けられ、前記空気吐出ノズルは略三角錐形状の凹部であって、中央側の壁面およびシート走行方向の前後に位置する壁面によって形成されており、中央側の壁面に圧縮空気の通過する開口部が設けられていると共に、シート走行方向の前後に位置する壁面が中央から幅端側へ向かって徐々に立ち上がる傾斜面で、かつ幅端側先端が鋭角の平面三角形状に形成され、
    前記幅方向の両端に位置する空気ダクトの上側表面には、複数の孔または複数のスリットで構成され、幅方向の中央から幅方向の各端側に流れてくる空気を吸引する空気吸引ノズルが設けられ、
    前記空気ダクトに接続され、前記空気吸引ノズルで吸引した空気を前記空気吐出ノズルが設けられた空気ダクトへ循環させる空気循環装置が配設されていることを特徴とする枚葉印刷機のシート案内装置。
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