JP3556396B2 - ディレードタック型粘着剤組成物及び粘着シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、常温では非粘着性であるが加熱により粘着性が発現し、しかも粘着性発現後も粘着性が持続するディレードタック型粘着剤組成物、及びそれを紙やフィルムなどの支持体に塗工してなるディレードタック型粘着性を有する粘着シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ディレードタック型粘着シートにおけるディレードタック型粘着剤組成物は、固体可塑剤及び熱可塑性粘着剤を必須成分とし、これらに粘着付与剤などを混合したもので、これらの混合物を基材に塗工することにより得られる。ディレードタック型粘着シートの粘着層表面、すなわちディレードタック型粘着剤組成物は、常温では粘着性は全く示さないが、加熱することにより粘着性が発現し、その後加熱を施さなくても暫らくの間粘着性を維持するものであり、加熱によりまず固体可塑剤が溶解し、次に熱可塑性粘着剤と粘着付与剤が溶融し合うことにより粘着性が発現すると考えられている。
【0003】
ディレードタック型粘着シートは、ディレードタック型粘着性を示さない従来のタックシートに用いられている剥離紙が不要であり、貼り付け後不要な塵が出ない利点を有し、また剥離紙のない分粘着シートとしてかさばらないばかりか、ヒーターや熱風バーナーなどの熱源に短時間曝すだけで粘着性が発現し、従来のタックシートと同様に使用することができる。更に、貼り付ける対象物に当ててから加熱すれば接着できるため、付着ミスが防止できる。
【0004】
このような利点を有するディレードタック型粘着シートであっても、従来のものには問題点を有するものもあった。その第1の問題点として、ブロッキングが挙げられる。ブロッキングは、粘着を意図しないにも拘わらず粘着性を発現してしまう現象であり、高温雰囲気下に長時間曝された場合などに誘発することがある。ディレードタック型粘着シートは、加熱によりまず固体可塑剤が溶解することで最終的に粘着性が発現すると考えられるため、本来ブロッキングは用いられている固体可塑剤の融点以下の温度では生じないはずであるが、実際にはその融点より20〜30℃低い温度から粘着層組成物が溶解し始める現象が示差熱熱量計(DSC)の測定結果より観察される。
【0005】
従来のディレードタック型粘着シートに用いられている固体可塑剤としては、フタル酸ジエステル及びカテコールジエステルなどの融点が約40〜130℃の範囲の各種エステル系化合物が挙げられるが、従来のディレードタック型粘着シート用固体可塑剤として最も汎用されているフタル酸ジシクロヘキシルを例にとって説明すると、この融点は64℃であるにも拘わらず、この固体可塑剤を用いて作製されたディレードタック型粘着シートは、約45℃の雰囲気下に保存することにより粘着性が発現する現象が観察される。
【0006】
ロール状またはそれを枚葉に裁断して積み重ねた状態のいずれの場合においても、一たびブロッキングが誘発すれば、粘着剤塗工面と外面(粘着剤塗工面と反対面)とが接着し、紙送りに支障をきたすのみならず、外面の印刷にも悪影響を与えることになる。
【0007】
そこで、ブロッキングを防止する手段として、粘着組成物中に滑性のあるワックスを配合することなどが特公昭62−21835号公報に開示されているが、ブロッキング防止効果が不十分であるばかりか、逆に粘着性の低下をもたらす。また、高融点の可塑剤を用いることによりブロッキングは改良されるが、粘着力の著しい低下をもたらすなどの副作用が生じ、実際にはブロッキングが起こらないような低温度条件下で搬送され、保存されているのが現状である。
【0008】
更に、第2の問題点として、チョーキングが挙げられる。チョーキングとは活性化(粘着材層を加熱して粘着性を発現させることを意味する。)させた後経時的に粘着材層中から固体可塑剤が再結晶化してきて、その部分の粘着力が消失してしまう現象であり、粘着シートとしては致命的な問題点となる。チョーキングは固体可塑剤の融点とは別の性質に負うところが大きく、なるべく結晶化し難い化合物を用いることが好ましいが、従来の固体可塑剤を用いる限りは完全な改良はなされなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、第一に少なくとも60℃以下の雰囲気下に長時間曝されてもブロッキングを誘発せず、第二に経時的にチョーキングを生じない、この二点を充分に満足するディレードタック型粘着剤組成物、及びそれを紙やフィルムなどの支持体に塗工してなるディレードタック型粘着性を有する粘着シートを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、少なくとも固体可塑剤と粘着剤を含むディレードタック型粘着剤組成物において、一般式1で示される固体可塑剤を粘着剤100部に対し50〜400部含有するディレードタック型粘着剤組成物を用いることにより達成される。
【0011】
【化2】
【0012】
一般式1において、Rは、水素原子、メチル基、t−ブチル基の何れかを表し、Xは二価の連結基であって、−OCH2CH2O−、−CH2CH2−、−S−の何れかを表す。
【0013】
また、本発明は、一般式1で示される固体可塑剤を粘着剤100部に対し50〜400部含有するディレードタック型粘着剤組成物が支持体上に塗工されたディレードタック型粘着性を有する粘着シートである。
【0014】
本発明に係わる上記化合物をディレードタック型粘着剤組成物の固体可塑剤として用いられることは従来知られておらず、上記化合物を用いることにより、耐ブロッキング性と耐チョーキング性が著しく向上することが見出された。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のディレードタック型粘着剤組成物及び粘着シートについて詳細に説明する。本発明のディレードタック型粘着剤組成物は、少なくとも固体可塑剤と粘着剤を含むディレードタック型粘着剤組成物において、固体可塑剤が上記一般式1で示される化合物であるディレードタック型粘着剤組成物であり、このディレードタック型粘着剤組成物を塗工してなるディレードタック型粘着性を有する粘着シートである。
【0016】
本発明に係わる固体可塑剤である上記一般式1で示される化合物としては、トリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコールビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオールビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオールビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオールビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、チオビス〔エチレン3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、チオビス〔エチレン3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、チオビス〔エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が挙げられる。
【0017】
これらのうち、本発明において特に好ましい固体可塑剤としては、トリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオールビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、チオビス〔エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が挙げられる。これらの化合物は融点が70〜110℃の範囲にあるため、夏場等の高温条件下に曝されても耐ブロッキング性に優れ、しかも比較的活性化し易い融点温度域であること、また一旦加熱溶融した後、再度冷却しても容易には固化しない、即ち溶融粘度が極めて低いために粘着剤組成物の形態にしても加熱後は良好な粘着力を長時間にわたり持続する利点を全て兼ね揃えた化合物である。
【0018】
本発明に係わる固体可塑剤を単独で使用することにより、本発明の充分な効果が発揮されるが、本発明に係わる固体可塑剤には、前記従来より知られている固体可塑剤あるいは下記化合物と併用しても良い。但し、本発明のディレードタック型粘着剤組成物に用いる全固体可塑剤に対する本発明に係わる一般式1で示される固体可塑剤の割合は、60重量%以上が好ましく、更には80重量%が好適である。
【0019】
本発明に係わるその他の固体可塑剤としては、フタル酸ジフェニル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジヒドロアビエチル、イソフタル酸ジメチル、安息香酸スクロース、二安息香酸エチレングリコール、三安息香酸グリセリド、四安息香酸ペンタエリトリット、八酢酸スクロース、クエン酸トリシクロヘキシルなど、カテコールジパルミテート、カテコールジステアレート、カテコールジベンゾエート、ステアリン酸ステアリル、ベヘニル酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライドなどの融点が約40〜130℃の範囲の各種エステル系化合物が挙げられる。
【0020】
更に、1,3,5−トリス(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌル酸、1,3,5−トリス(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4,4−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルプロピオニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−エトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどの化合物を併用しても良い。
【0021】
これらの固体可塑剤及び化合物は、ボールミル、サンドミル、ペイントシェイカー、ダイノミル、アトライター、ヘンチェルミキサーなどの湿式もしくは乾式の粉砕機により微粒化され水分散液として用いられるが、従来公知の方法でマイクロカプセル化して使用することも可能である。固体可塑剤の粒径は10μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以下であるが、実用上からは1〜2μmである。
【0022】
また、上記固体可塑剤の替わりに、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、マレイン酸ジブチルなどの液体可塑剤でも、従来公知の方法でマイクロカプセル化して見掛け上固体可塑剤として使用することも可能である。この場合においても、好ましい粒径は1〜10μmである。
【0023】
本発明に係わる粘着剤はガラス転移点温度(Tg)が20℃以下、好ましくは0℃以下の熱可塑性樹脂エマルジョンが用いられ、例えばアクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリブタジエン、ポリウレタンなどの樹脂が挙げられる。これらは単独または複数を組み合わせて用いられる。
【0024】
本発明における固体可塑剤は、粘着剤100部に対し50〜400部、好ましくは100〜300の範囲で用いられる。粘着剤に対する固体可塑剤がこの範囲未満の混合比率の場合、ブロッキングが生じやすくなり、この範囲を越えると粘着力の低下やチョーキングが生じ易くなる。
【0025】
本発明のディレードタック型粘着剤組成物中には、粘着力を向上するために、粘着付与剤を添加することができる。本発明に用いる粘着付与剤の具体例としては、テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、クマロンインデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン誘導体樹脂などが用いられるが、軟化点が130℃以上のものが好ましい。
【0026】
これら粘着付与剤は、粘着剤100部に対し200部以下、好ましくは50〜150部の範囲で混合して用いられる。この範囲未満の混合比率の場合、チョーキングが生じやすくなり、この範囲を越えると粘着力の低下が生じ易くなる。
【0027】
本発明のディレードタック型粘着剤組成物中には、フィラーなども本発明の目的を妨げない範囲で添加可能であり、例えば酸化チタン、アルミナ、カオリン、タルク、シリカなどの無機物や、パラフィン、天然ワックス、合成ワックスなどが使用可能である。
【0028】
本発明のディレードタック型粘着剤組成物の中には、組成物と支持体の接着または粘着剤塗工層内の凝集力を高める目的で、水性高分子バインダー、例えばポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、アルギン酸ソーダなどを添加することができる。上記水性高分子バインダーの混合比率は、ディレードタック型粘着シートの本来の粘着力を損なわない範囲で添加され、具体的には固体可塑剤100に対し50部以下、好ましくは20部以下の範囲で用いられる。
【0029】
本発明のディレードタック型粘着剤組成物の中には上記成分以外に必要に応じて顔料、硬膜剤、防腐剤、染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、pH調節剤、消泡剤、等の各種添加剤を添加することができる。
【0030】
本発明のディレードタック型粘着剤組成物は通常水性スラリーの状態で得られるが、瓶、缶類、商品ケース、建材等の屈曲した部分に直接塗設して加熱により始めて接着性を発現させることが可能な接着剤としての使用が可能である。
【0031】
本発明のディレードタック型着剤組成物は支持体に塗布又は含浸させて粘着シートにとしても良い。粘着シートに用いる支持体としては、紙、塗工紙、合成紙、不織布、ポリエチレンテレフタレートなどのプラスチックフィルムやシートなどが挙げられるが特に限定はされない。
【0032】
本発明のディレードタック型着剤組成物は、通常紙塗工用に用いられているエアーナイフコーター、ブレードナイフコーター、バーコーター、カーテンコーター等の塗工装置、若しくはフレキソ、凸版、グラビア、オフセット等の各種印刷機を用いて支持体に塗工、印刷される。
【0033】
支持体に塗工若しくは印刷の際の乾燥条件は使用される固体可塑剤が融解しない温度範囲で乾燥されなければならない。乾燥の手段としては熱風乾燥の他に赤外線、マイクロ波、高周波による熱源を利用した乾燥方法が使用できる。
【0034】
塗工重量は、粘着層の塗布量は粘着組成物や粘着の対象となる包材の材質により異なるが、乾燥塗布量で通常1〜30g/m2、好ましくは5〜25g/m2の範囲で塗工される。
【0035】
【実施例】
次に、本発明を実施例を挙げて説明する。尚、実施例に記載の添加部数は、有効成分重量部数を示す。
【0036】
実施例1
固体可塑剤として一般式1で示される化合物中、R=メチル基、X=−OCH2CH2O−を有する化合物であるトリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕(融点77℃)100部に、分散剤としてポリアクリル酸のナトリウム塩(東亞合成株式会社製、アロンT−40)を5部添加し、固体可塑剤の固形分濃度が50重量%になるように水を添加した。この混合物をボールミルタイプの粉砕機を用い、平均粒径が2μmになるまで湿式粉砕処理を施し、固体可塑剤分散液aを得た。
【0037】
この固体可塑剤分散液a180部に、粘着剤として酢酸ビニル−エチレン−アクリル系共重合体エマルジョン(住友化学工業株式会社製、スミカフレックス910)100部と、粘着付与剤としてロジンエステル分散液(荒川化学工業株式会社製、スーパーエステルE−730)100部とを混合して、固形分濃度50重量%のディレードタック型粘着剤組成物の分散液Aを得た。
【0038】
このディレードタック型粘着剤組成物分散液Aを、乾燥塗布量が15g/m2になるように片面アート紙(坪量60g/m2)の非塗工面(非光沢面)に塗布し、40℃で2分間乾燥してディレードタック型粘着シート1を得た。
【0039】
実施例2
固体可塑剤として一般式1で示される化合物中、R=t−ブチル基、X=−CH2CH2−を有する化合物である1,6−ヘキサンジオールビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(融点103℃)を、実施例1と同様にして分散剤を添加し、この混合物をボールミルタイプの粉砕機を用い、平均粒径が2μmになるまで湿式粉砕処理を施し、固体可塑剤分散液bを得た。
【0040】
この固体可塑剤分散液b180部と、実施例1で用いた粘着剤及び粘着付与剤100部を混合して、固形分濃度50重量%のディレードタック型粘着剤組成物の分散液Bを得た。
【0041】
このディレードタック型粘着剤組成物分散液Bを、実施例1と同様に乾燥塗布量が15g/m2になるように片面アート紙の非塗工面に塗布し、40℃で2分間乾燥してディレードタック型粘着シート2を得た。
【0042】
実施例3
実施例1で用いた固体可塑剤に換えて一般式1で示される化合物中、R=t−ブチル基、X=−S−を有する化合物であるチオビス〔エチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(融点71℃)を180部用いた他は、実施例1で用いた粘着剤及び粘着付与剤をそれぞれ100部用い、実施例1と同様にして固形分濃度50重量%のディレードタック型粘着剤組成物の分散液Cを得、この分散液を実施例1と同様に乾燥塗布量が15g/m2になるように片面アート紙の非塗工面に塗布し、40℃で2分間乾燥してディレードタック型粘着シート3を得た。
【0043】
比較例1
実施例1で用いた固体可塑剤に換えてフタル酸ジシクロヘキシル(融点64℃)180部用いた他は、実施例1で用いた粘着剤及び粘着付与剤をそれぞれ100部用い、実施例1と同様にして固形分濃度50重量%のディレードタック型粘着剤組成物の分散液Dを得、この分散液を実施例1と同様に乾燥塗布量が15g/m2になるように片面アート紙の非塗工面に塗布し、40℃で2分間乾燥してディレードタック型粘着シート4を得た。
【0044】
比較例2
実施例1で用いた固体可塑剤に換えてカテコールジベンゾエート180(融点80℃)部用いた他は、実施例1で用いた粘着剤及び粘着付与剤をそれぞれ100部用い、実施例1と同様にして固形分濃度50重量%のディレードタック型粘着剤組成物の分散液Eを得、この分散液Eを実施例1と同様に乾燥塗布量が15g/m2になるように片面アート紙の非塗工面に塗布し、40℃で2分間乾燥してディレードタック型粘着シート5を得た。
【0045】
比較例3
実施例1で用いた固体可塑剤に換えてテトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)〕メタン(融点115℃)180部用いた他は、実施例1で用いた粘着剤及び粘着付与剤をそれぞれ100部用い、実施例1と同様にして固形分濃度50重量%のディレードタック型粘着剤組成物の分散液Fを得、この分散液Fを実施例1と同様に乾燥塗布量が15g/m2になるように片面アート紙の非塗工面に塗布し、40℃で2分間乾燥してディレードタック型粘着シート6を得た。
【0046】
実施例及び比較例で得られたディレードタック型粘着シート1〜6に付き、粘着性、耐ブロッキング性、及び耐チョーキング性を評価した。ディレードタック型粘着シート1〜6の評価結果を表1に示す。
【0047】
加熱後の粘着性
120℃雰囲気内で1分間加熱することにより粘着性を発現させた後、速やかにステンレス鋼板に貼り付け、180度剥離力を測定し、以下の基準で評価した。
◎…300g/10mm以上、または基材破壊
○…100g/10mm以上300g/10mm未満
×…100g/10mm未満
【0048】
耐ブロッキング性
ディレードタック型粘着シートの粘着面と片面アート紙のアート面が対向するように重ね合わせ、500g/cm2の加重をかけ、60℃で24時間保存後の180度剥離力を測定し、以下の基準で評価した。
◎…全く抵抗なく剥がれる。
○…部分的に多少の抵抗があるが楽に剥がれ、実用上問題ないレベル。×…50g/10mm以上のブロッキングが発生する。
【0049】
耐チョーキング性
ディレードタック型粘着シート1〜6のそれぞれを活性化させた状態で室温に保持し、経時的な結晶化(チョーキング)を観察し下記項目で評価した。
◎…1ケ月以上チョーキングが全く発生しない。
○…1週間経過後あたりから次第にチョーキングが発生する。
×…活性化直後から次第にチョーキングが発生する。
【0050】
【表1】
【0051】
表1の結果から明らかなように、本発明で示される固体可塑剤を使用したディレードタック型粘着シートは粘着性、耐ブロッキング性、耐チョーキング性いずれにおいても優れた品質を示すものである。実施例3に挙げた固体可塑剤は、実施例1及び2の固体可塑剤と比較して融点が相対的に低いためか、耐ブロッキング性がやや劣っていたが、実用上は何等問題なかった。
【0052】
これらに反し、比較例1に挙げた固体可塑剤は融点が低く、しかも非常に結晶化しやすい性質を有するため耐ブロッキング性、耐チョーキング性ともに満足できない結果であった。また、比較例2に挙げた固体可塑剤は、融点が実施例1と同等の値であるが、溶融粘度が高いために粘着性がやや劣り、また非常に結晶化しやすいためか、耐チョーキングが劣っていた。また、比較例3に挙げた固体可塑剤は、実施例3で挙げた固体可塑剤と類似の構造を有するものの、このものは溶融粘度が極めて高いためか、加熱直後もほとんど粘着性を示さなかった。
【0053】
【発明の効果】
実施例からも明らかなように、ディレードタック型粘着剤組成物を構成する固体可塑剤として、本発明による特定の化合物を用いることにより、ディレードタック性を有する粘着性はもとより、耐ブロッキング、耐チョーキングに優れるディレードタック型粘着剤であって、この粘着剤組成物を支持体に塗工したディレードタック型粘着シートは、剥離紙の要らないラベル、テープとして利用可能である。
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