JP3555570B2 - 複合モータの駆動回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複合モータの駆動回路に関し、特に断線や回路素子故障時の補償対策に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の複合モータとしては、例えば、特開平11−275826号公報に記載されたものがある。また、上記の複合モータをさらに発展させた例として、本出願人の先願(特願平11−273303号:未公開)がある。これは二つのロータを軸方向に直列に並べたものであり、ステータコイルは二つのロータに共通の1個の場合とそれぞれのロータが独立のステータコイルを有する場合とがある(後記図12で詳細後述)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、ステータコイルとロータをそれぞれ独立に有する複合モータ(1台に組合わせた構造も2台別個の構造も含む)の場合に、二つのステータコイルにおける同極のコイルをそれぞれ並列に接続すれば、一つのインバータ回路から共通の複合電流を流すことにより、二つのロータをそれぞれ自由な回転速度で独立に回転させることができる。しかし、その構成では、二つのコイルを並列に接続していることにより、一方を駆動するための電流成分が他方のコイルにも流れることがあり、そのため無効な電流が大きくなって銅損等が増加するという問題があった。その問題を解決するため、本発明者は、自己のロータと相関のある位相の電流は流れ、相手方は同相で電流が流れない相を一つの中立点としてまとめるように、各ステータのコイルにおける中立点を複数に分割して接続し、両方のステータのコイルの各相をそれぞれ並列に接続することにより、無効な電流を抑制し、全体の効率を向上させた複合モータを既に出願している(特願平11−351613号:未公開)。
【0004】
上記のような複合モータの駆動回路としては、複合モータの相数と同じ相数のインバータ回路を設け、そのインバータ回路の各ゲート(インバータ回路を構成するトランジスタのベース)を例えばPWM信号でオン、オフ制御することによって複合モータの各相の巻線に電流を供給する回路を用いることが出来る。しかし、複合モータの巻線に断線が生じたり、インバータ回路等の回路素子に故障が生じた場合には、トルク変動、ノイズ、振動等が発生するという問題がある。
【0005】
本発明は上記のごとき問題を解決するためになされたものであり、断線や回路素子に故障が生じた場合に、トルク変動、ノイズ、振動等の発生を抑制することの出来る複合モータの駆動回路を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明においては特許請求の範囲に記載するように構成している。すなわち、請求項1に記載の発明においては、自己のロータと相関のある位相の電流は流れ、相手方は同相で電流が流れない相を一つの中立点としてまとめるように、各ステータのコイルにおける中立点を複数に分割して接続し、両方のステータのコイルの各相をそれぞれ並列に接続して電源供給用のインバータ回路の対応する相に接続し、前記インバータ回路から両方のステータのコイルに複合電流を供給して両方のロータを独立に制御し、かつ、前記ステータコイルの各相からそれぞれインピーダンス素子を介して星型結線した点の電位を、前記各ステータコイルの仮想中立点電位として検出する仮想中立点電位検出手段を備え、前記複合モータの駆動電力を送出するインバータ回路の中立点電位を検出し、前記の検出した二つの中立点電位の差に応じて、前記差を小さくする方向に前記インバータ回路を駆動する信号を変化させるように構成している。
上記のように構成したことにより、本発明の駆動回路は負帰還(ネガティブフィードバック)制御系となり、相アンバランスを抑制するように電流が流れるので、断線や回路素子に故障が生じた場合に、トルク変動、ノイズ、振動等の発生を抑制するように動作する。
【0007】
上記の各ステータのコイルの仮想中立点電位検出手段は、それぞれ並列に接続された二つのステータコイルの各相からそれぞれインピーダンス素子を介して星型結線した点の電位を、仮想中立点電位とするように構成したものである。この構成は例えば後記図1または図4に示す実施例に相当する。
【0008】
また、請求項に記載の発明は、インバータ回路の中立点電位を検出する手段の構成例を示すものであり、各相の目標値から、ブリッジ回路を用いて或いは算術計算によって中立点電位を求めるように構成したものである。このように構成することにより、インバータ回路の回路素子に故障が生じた場合にも相アンバランスを抑制するように動作することが出来る。この構成は例えば後記図2、図3または図5、図6に示す実施例に相当する。
【0009】
次に、請求項に記載の発明は、複合モータの具体的な構成例を示すものであり、一方のロータが4極対で他方のロータが3極対であり、ステータコイルの電気的極数が12相であり、前者を3相4極対で駆動し、後者を4相3極対で駆動する場合に、前者は3個おきに3個のコイルを接続して一つの中立点とすることによって合計4個の中立点を有し、後者は2個おきに4個のコイルを接続して一つの中立点とすることよって合計3個の中立点を有するものである。この構成は後記図11の結線に相当する。
【0010】
次に、請求項に記載の発明は、複合モータの具体的な構成の他の例を示すものであり、一方のロータが4極対で他方のロータが3極対であり、ステータコイルの電気的極数が12相であり、前者を3相4極対で駆動し、後者を4相3極対で駆動する場合に、前者は3個おきに3個のコイルを接続して一つの中立点とすることによって合計4個の中立点を有し、後者は5個おきに2個ずつのコイルを接続して一つの中立点とすることよって合計6個の中立点を有するものである。この構成は後記図14の結線に相当する。
【0011】
【発明の効果】
本発明においては、中立点を複数に分割し、自己のロータと相関のある位相の電流は流れ、相手方は同相で電流が流れない相を一つの中立点にまとめるように構成した複合モータにおいて、断線や回路素子に故障が生じた場合に、トルク変動、ノイズ、振動等の発生を抑制することが出来るという効果が得られる。
【0012】
また、上記のように中立点が複数存在し、通常では中立点電位が求められない複合モータにおいても、仮想中立点電位を検出し、断線や回路素子に故障が生じた場合に、トルク変動、ノイズ、振動等の発生を抑制することが出来る。
また、請求項においては、複合モータの巻線の断線時のみならず、インバータ回路の回路素子に故障が生じた場合にも相アンバランスを抑制するように動作することが出来る。
【0013】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の基礎となる複合モータの例として、本出願人が以前に出願した特開平11−275826号公報記載の複合モータの構造、およびその駆動回路について説明する。
図7は、上記公報記載の複合モータの構造を示す図であり、(a)は複合モータ全体の概略断面図、(b)はロータとステータ部分の断面図〔(a)のA−A’断面図、ただし軸や外枠部分は除き、ロータとステータのみを示す〕である。なお、図7は外側ロータの磁極数が4、内側ロータの磁極数が2で、その比である磁極数比が2:1の場合を示している。
【0014】
図7において、中空円筒状のステータ2の外側と内側に所定のギャップをおいて中空円筒状の外側ロータ3と内側ロータ4が配置され、3層構造になっている。また、内側ロータ軸9と外側ロータ軸10とは同一の軸上に並ぶように設けられ、内側ロータ4と外側ロータ3は同軸上でそれぞれ独立に回転出来るようになっている。なお、軸受等は図示を省略している。
【0015】
内側ロータ4は半周をS極、もう半周をN極とした一対の永久磁石で形成され、これに対して、外側ロータ3は内側ロータ4の一極当たり2倍の極数を持つように永久磁石が配置される。つまり、外側ロータ3のS極、N極は各2個であり、90度毎にS極とN極が入れ替わるように構成されている。
このように各ロータ3、4の磁極を配置すると、内側ロータ4の磁石は外側ロータ3の磁石により回転力を与えられることがなく、この逆に外側ロータ3の磁石が内側ロータ4の磁石により回転力を与えられることもない。
【0016】
たとえば、内側ロータ4の磁石が外側ロータ3に及ぼす影響を考えてみる。簡単のため内側ロータ4は固定して考える。まず、内側ロータ4のS極とこれに対峙する外側ロータ3の上側磁石SNとの関係において、図示の状態で仮に内側ロータ4のS極が出す磁力を受けて、外側ロータの上側磁石SNが時計方向に回転しようとしたとすると、内側ロータ4のN極とこれに対峙する外側ロータ3の下側磁石SNとの関係においては、内側ロータ4のN極により外側ロータ3の下側磁石SNが反時計方向に回転しようとする。つまり、内側ロータ4のS極が外側ロータ3の上側磁石に及ぼす磁力と内側ロータ4のN極が外側ロータ3の下側磁石に及ぼす磁力とがちょうど相殺することになり、外側ロータ3は内側ロータ4と関係なく、ステータ2との関係だけで制御可能となるわけである。このことは、後述するようにステータコイルに発生する回転磁場とロータとの間でも同じである。
【0017】
ステータ2のコイルは、外側ロータ3の1磁極当たり3個のコイル6で構成され、合計12個(=3×4)のコイル6が同一の円周上に等分に配置されている。丸で囲んだ数字はそれぞれコイルの巻線を示し、例えば1ととが1つのコイルを形成し、それぞれ電流の方向が逆なことを示している。すなわち、1は紙面方向へ電流の流れる巻線であり、はその逆方向に電流の流れる巻線である。この場合の巻線方法は集中巻である。
また、7はコイルが巻回されるコアで、コイル6と同数のコア7が円周上に等分に所定の間隔(ギャップ)8をおいて配列されている。
なお、後述するように、12個のコイルは番号で区別しており、この場合に6番目のコイルという意味でコイル6が出てくる。上記のコイル6という表現と紛らわしいが、意味するところは異なっている。
【0018】
これら12個のコイルには次のような複合電流I〜I12を流す。
まず内側ロータ4に対する回転磁場を発生させる電流(三相交流)を流すため、[1,2]=[]、[]=[9,10]、[5,6]=[1112]の3組のコイルに120度ずつ位相のずれた電流Id、If、Ieを設定する。
ここで、番号の下に付けたアンダーラインは反対方向に電流を流すことを意味させている。たとえば、1組のコイル[1,2]=[]に電流Idを流すとは、コイル1からコイルに向けてIdの半分の電流を、かつコイル2からコイルに向けてIdのもう半分の電流を流すことに相当する。1と2、が円周上でそれぞれ近い位置にあるので、この電流供給により、内側ロータ4の磁極と同数(2極)の回転磁場を生じさせることが可能となる。
【0019】
次に、外側ロータ3に対する回転磁場を発生させる電流(三相交流)を流すため、[1]=[]=[7]=[10]、[2]=[5]=[]=[11]、[3]=[]=[9]=[12]の3組のコイルに120度ずつ位相がずれた電流Ia、Ic、Ibを設定する。
たとえば、1組のコイル[1]=[]=[7]=[10]に電流Iaを流すとは、コイル1からコイルにIaの電流をかつコイル7からコイル10に向けてもIaの電流を流すことに相当する。コイル1と7、コイル10がそれぞれ円周上の180度ずつ離れた位置にあるため、この電流供給により、外側ロータ3の磁極数と同数(4極)の回転磁場を生じさせることができる。
【0020】
この結果、12個のコイルには次の各複合電流I〜I12を流せばよいことになる。
=(1/2)Id+Ia
=(1/2)Id+Ic
=(1/2)If+Ib
=(1/2)IfIa
=(1/2)Ie+Ic
=(1/2)Ie+Ib
=(1/2)Id+Ia
=(1/2)IdIc
=(1/2)If+Ib
10=(1/2)If+Ia
11=(1/2)IeIc
12=(1/2)Ie+Ib
ただし、電流記号の下につけたアンダーラインは逆向きの電流であることを表している。
【0021】
さらに図8を参照して複合電流の設定を説明すると、図8は、図7との比較のため、ステータ2の内周側と外周側に各ロータに対して別々の回転磁場を発生させる専用のコイルを配置したものである。つまり、内周側コイルd、f、eの配列が内側ロータに対する回転磁場を、また外周側コイルa、c、bの配列が外側ロータに対する回転磁場を発生する。この場合に、二つの専用コイルを共通化して、図7に示した共通のコイルに再構成するには、内周側コイルのうち、コイルdに流す電流の半分ずつをコイルdの近くにあるコイルaとcに負担させ、同様にして、コイルfに流す電流の半分ずつをコイルfの近くにあるコイルbとaに、またコイルeに流す電流の半分ずつをコイルeの近くにあるコイルcとbに負担させればよいわけである。上記複合電流I〜I12の式はこのような考え方を数式に表したものある。なお、電流設定の方法はこれに限られるものでなく、前記特開平11−275826号公報に記載のように、他の電流設定方法でもかまわない。
【0022】
このように電流設定を行うと、共通のコイルでありながら、内側ロータ4に対する回転磁場と外側ロータ3に対する回転磁場との二つの磁場が同時に発生するが、内側ロータ4の磁石は外側ロータ3に対する回転磁場により回転力を与えられることがなく、また外側ロータ3の磁石が内側ロータ4に対する回転磁場により回転力を与えられることもない。この点は前記特開平11−275826号公報に記載のように、理論解析で証明されている。
【0023】
上記Id、If、Ieの電流設定は内側ロータ4の回転に同期して、また上記Ia、Ic、Ibの電流設定は外側ロータ3の回転に同期してそれぞれ行う。トルクの方向に対して位相の進み遅れを設定するが、これは同期モータに対する場合と同じである。
【0024】
図9は上記複合モータを制御するための回路のブロック図である。
上記複合電流I〜I12をステータコイルに供給するため、バッテリなどの電源11からの直流電流を交流電流に変換するインバータ回路12を備える。瞬時電流の全ての和は0になるためこのインバータ回路12は、図10に詳細を示したように、通常の3相ブリッジ型インバータ回路を12相にしたものと同じで、24(=12×2)個のトランジスタTr1〜Tr24とこのトランジスタと同数のダイオードから構成される。
インバータ回路12の各ゲート(トランジスタのベース)に与えるON、OFF信号はPWM信号である。
【0025】
各ロータ3、4を同期回転させるため、各ロータ3、4の位相を検出する回転角センサ13、14が設けられ、これらセンサ13、14からの信号が入力される制御回路15では、外側ロータ3、内側ロータ4に対する必要トルク(正負あり)のデータ(必要トルク指令)に基づいてPWM信号を発生させる。
【0026】
このように、前記特開平11−275826号公報に記載の複合モータにおいては、二つのロータ3、4と1つのステータ2を三層構造かつ同一の軸上に構成すると共に、ステータ2に共通のコイル6を形成し、この共通のコイル6にロータの数と同数の回転磁場が発生するように複合電流を流すようにしたことから、ロータの一方をモータとして、残りをジェネレータとして運転する場合に、モータ駆動電力と発電電力の差の分の電流を共通のコイルに流すだけでよいので、効率を大幅に向上させることができる。
【0027】
また、二つのロータに対してインバータ回路が1つでよくなり、さらにロータの一方をモータとして、残りをジェネレータとして運転する場合には、上記のように、モータ駆動電力と発電電力の差の分の電流を共通のコイルに流すだけでよくなることから、インバータ回路の電力スイッチングトランジスタのキャパシタンスを減らすことができ、これによってスイッチング効率が向上し、より全体効率が向上する。
【0028】
上記の構成においては、二つのロータを内側と外側に設けているが、二つのロータを直列方向に設けることも出来る。図12(a)は直列方向に設けた場合の概略図であり、本出願人の先願(特願平11−273303号:未公開)の図3に相当する。また、図12(b)は上記の構造をさらに発展させたものであり、図12(a)の構造を二つに分割し、一つのロータと一つのステータコイルを持つモータを2個設けたものである。このようにロータとステータコイルとの組が二つ別々に存在する構成でも、両方のステータコイルを並列接続して前記のごとき複合電流を流すことにより、二つのロータを一つのインバータ回路を用いて独立に制御することが出来る。ただし、ロータの極対数(磁極対の数:NとSで1対)とステータコイルの相数が二つのモータで同じであれば、両モータに同じ電流が流れることになり、各ロータを独立に制御することは出来ない。したがって上記のような構成では、二つのロータは極対数の数が異なっていることが必要であり、かつ並列接続するためにはステータコイルの電気的極数(極対数×相数)が同じである必要がある。例えば一方のモータが3相4極対で他方のモータが4相3極対であれば電気的極数は双方とも3×4=4×3=12相となり、並列接続することが出来る。
【0029】
上記の構成では、ステータコイルの各コイルの一端をインバータ回路のそれぞれの相の出力端子に接続し、他の一端は共通に接続して中立点とする。そして二つのモータを並列接続する場合には、二つのモータの各コイルの一端をインバータ回路の同じ相の出力端子に共通に接続する(例えば前記特願平11−273303号の図4)。
【0030】
上記のように二つのモータのステータコイルを並列にインバータ回路の出力に接続した場合には、一方のロータを駆動すべき電流が他方のステータコイルにも流れる。この電流はロータの回転と相関がないので、当該モータの駆動力発生には寄与しない。そしてこのような無効な電流が流れると銅損等の損失が発生するので、モータ全体の効率が低下し、かつ発熱の増大等の悪影響が生じる。
【0031】
上記の問題を解決するため、中立点の接続を変えた構成について説明する。 図11はステータコイルの結線図、図12は複合モータの概略断面図、図13は駆動回路の全体の構成を示すブロック図である。
まず、図12に基づいて構造の概略を説明する。図12(a)は二つのステータと二つのロータが一体のモータとして組み合わされた場合、図12(b)はそれぞれ一つのステータと一つのロータを有するモータを2台用いる場合を示す。
【0032】
図12(a)に示す構造は、一つのケース内に左モータと右モータとの二つのモータが組み込まれたものであり、左モータは左ロータ21、左ステータコイル22、左モータ軸23からなり、右モータは右ロータ24、右ステータコイル25、右モータ軸26からなる。左モータ軸23と右モータ軸26とは同軸上に並んでいる。なお、軸方向から見た正面図は前記図7(b)から外側ロータ3を除いたものと同じである。また、ステータコイル内にはステータコアがあり、ロータには磁極(例えば永久磁石)が設けられているが、図示を省略している。
【0033】
図12(b)は図12(a)の構造を二つに分けたものと同じであり、ロータ27、ステータコイル28、モータ軸29からなるモータを2台用いるものである。ただし、前記のように両モータは極対数(磁極対の数:NとSで1対)の数が異なっていることが必要であり、かつ並列接続するためにはステータコイルの電気的極数(極対数×相数)が同じである必要がある。例えば一方のモータが3相4極対で他方のモータが4相3極対である。このような構成のモータは、例えば1個を車両の前輪駆動用、他の1個を後輪駆動用として用いることが出来る。
【0034】
上記のように、図12(a)に示した複合モータは、二つのロータとそれぞれに対峙するステータとが2軸のモータとして一つの構造に組み合わされているものであり、また、図12(b)に示した複合モータは、二つのロータとそれぞれに対峙するステータが、それぞれ一つのロータとステータからなる2個のモータとして独立の構造となっている。
【0035】
図13は、全体の結線を示すブロック図であり、前記図9に対応する。図13において、30と31は前記図12(b)に示したような2台のモータであり、30は3相4極対、31は4相3極対である。また、34と35はそれぞれのモータのロータの位相を検出する回転角センサであり、それぞれの位相信号S3、S4は制御回路33へ送られる。制御回路33は上記の位相信号S3、S4および外部から与えられるトルク指令信号S1、S2を入力し、それらに対応した複合電流を流すための12相のPWM信号(一般的には1相について正相信号と逆相信号の2信号からなる)を演算し、それをインバータ回路32へ送る。インバータ回路32は12相のインバータ回路を有し、それぞれの出力を各モータ30、31のステータコイルへ送る。両モータの各ステータコイルは並列に接続されているが、中立点は次の図11で説明するように従来の接続とは異なっている。
【0036】
図11は、ステータコイルの接続と流れる電流の位相を示す図であり、(a)は3相4極対のモータ、(b)は4相3極対のモータを示す。図11において、Lはステータコイルであり、番号1〜12は12相の各ステータコイルの入力端子を示す。これらの入力端子は、(a)の番号1と(b)の番号1とが共通にインバータ回路の出力端子1へ接続され、図13に示したように並列接続になっている。また、図11(a)のa、b、c、dおよび図11(b)のA、B、Cは中立点を示す。また、0°、120°、−120°、90°、180°、−90°等の度数は自己のコイルに流れる電流の位相を示し、(0°)のように括弧付きの度数は相手方のモータの対応する端子に流れる電流の位相を示す。
【0037】
図11(a)に示すように、3相4極対のモータでは、1相、5相、9相が中立点aに接続され、2相、6相、10相が中立点bに接続され、3相、7相、11相が中立点cに接続され、4相、8相、12相が中立点dに接続されている。つまり3個おきに3個のコイルを接続して一つの中立点とすることによって合計4個の中立点を設けている。
【0038】
一方、図11(b)に示すように、4相3極対のモータでは、1相、4相、7相、10相が中立点Aに接続され、2相、5相、8相、11相が中立点Bに接続され、3相、6相、9相、12相が中立点Cに接続されている。つまり、2個おきに4個のコイルを接続して一つの中立点とすることよって合計3個の中立点を設けている。
【0039】
上記のように接続すると、3相4極対のモータでは、中立点が共通に接続された各コイルには0°、120°、−120°の電流が流れて回転磁界が発生するが、それぞれの端子に対応する4相3極対のモータでは、全て同位相となるので電流が流れない。例えば、3相4極対のモータの端子1、5、9では0°、120°、−120°となるが、4相3極対のモータの同じ端子1、5、9では全て0°になる。逆に4相3極対のモータの端子1、4、7、10では0°、−90°、180°、90°となるが、3相4極対のモータの同じ端子1、4、7、10では全て0°となる。このように同じ位相となるコイルを一つの中立点に纏めると電流は流れない。したがって、図11に示すように結線すると、二つのモータにはそれぞれ自己と相関のある電流、すなわち自己のロータを駆動する回転磁界を発生するための電流成分のみが流れ、相手と相関のある電流成分は流れないことになる。すなわち、無効電流が流れないことになり、それによって銅損や発熱の増大を防止することが出来る。
【0040】
上記の説明は、3相4極対のモータと4相3極対のモータとの場合を例として説明したが、これに限られるものではなく、両モータが極対数が異なっており、かつステータコイルの電気的極数(極対数×相数)が同じであれば可能である。例えば、上記と同じ電気的極数が12相の場合でも3相4極対のモータと6相2極対のモータでもよい。さらに、3相5極対のモータと5相3極対のモータ(電気的極数は15相)、3相6極対のモータと6相3極対のモータ(電気的極数は18相)、4相6極対のモータと6相4極対のモータ(電気的極数は24相)のような組合せも可能である。要するに、中立点を複数に分割し、自己のロータと相関のある位相の電流は流れ、相手方は同相で電流が流れない相を一つの中立点にまとめればよい。このようにすれば、自己のロータに同期した回転交流には中立点として動作し、同期しない回転交流(相手方)には同相となって電流が流れない。したがって並列接続ではあるが、それぞれのモータに同調する電流しか流れなくなり、一つのインバータ回路から二つのモータに電流を供給しても全く別個のインバータ回路とモータとの組合せと同様の効率が実現出来る。そしてインバータ回路が1個で済むので、インバータ回路の熱容量を大幅に減少させることが出来る。
【0041】
本発明は、上記のごとき特別な並列接続を行った複合モータにおける駆動回路に関するものである。以下、説明する。
図1および図2は本発明の駆動回路の第1の実施例を示す回路図であり、前記図11に示した接続を行った複合モータの駆動回路に適用した場合を示す。
図1は複合モータの結線部分を示す回路図、図2は駆動回路部分を示す回路図であり、図1と図2の回路はAとBの個所で接続されている。
【0042】
まず、図1において、40は前記図11(a)に示した3相4極対のモータの各ステータコイル、41は前記図11(b)に示した4相3極対のモータの各ステータコイルである。各ステータコイルの中立点は、前記図11で説明したごとく、自己のロータと相関のある位相の電流は流れ、相手方は同相で電流が流れない相を一つの中立点としてまとめるように接続されている。また、42は仮想中立点電位検出回路であり、40や41と同じ電気的極数(12相)のインピーダンスZを星型接続し、中点をAとしている。各相のインピーダンスの他端は並列に接続された二つのモータのステータコイルの一端に接続されている。なお、図1においてはインピーダンスZの1、2、3のみに接続した状態を記載し、他の相は省略している。また、並列に接続された二つのモータのステータコイルの一端は、それぞれインバータ回路の対応する相の出力端子に接続されているが、図1では記載を省略している。
【0043】
本発明を適用する複合モータは、中立点が複数存在するため、通常の方法では中立点電位を検出することが出来ないが、上記のような仮想中立点電位検出回路42を設けることにより、中立点電位に相当する値を検出することが可能となった。
【0044】
次に、図2において、51は直流電源(例えば自動車駆動用のバッテリ)、52はインバータ回路(図9の12に相当する部分)、53はインバータ回路の中立点電位検出回路、54は差動増幅器、55はローパスフィルタ、56はPWM信号発生回路(図9の15に相当する部分)である。また、図1の仮想中立点電位検出回路42の中点Aは負荷抵抗Rmを介して接地されている。インバータ回路52は実際には前記図7に示したように12相分設けられているが、本図では1相分のみを示している。また、インバータ回路の中立点電位検出回路53は相数と同数個のインピーダンス素子Z1、Z2、Z3、…、と抵抗Riからなり、各インピーダンス素子Z1、Z2、Z3、…、の一端は、各相の目標電圧入力端子に接続され、他の一端は一つに纏められて(星型結線)負荷抵抗Riに接続されている。このように各相の目標電圧からインバータ回路の中立点電位を検出することが出来る。
【0045】
モータの仮想中立点電位検出回路の中点Aの電圧とインバータ回路の中立点Niの電圧は差動増幅器54に送られてその差が求められる。そしてローパスフィルタ55で高周波成分(主としてインバータ回路のスイッチングノイズ成分)を除いた後、PWM信号発生回路56へ送られ、外部から与えられる目標値(必要トルクに対応する指令信号、具体的には電圧値または電流値)に応じたPWM信号演算に加味される。PWM信号発生回路56から送出される(+)PWM信号と(−)PWM信号は相互に逆位相の信号であり、インバータ回路52へ送られて、各相のトランジスタT1とT2を逆位相で開閉する。なお、PWM信号発生回路56に与えられる目標値は各相毎に与えられ、それぞれのPWM信号が対応する相のインバータ回路に送られる。
【0046】
PWM信号発生回路56において、57はキャリアを発生する発振器、58は発振器57の信号から三角波を発生する三角波発生器である。ローパスフィルタ55を介して与えられる中立点の差分電圧と前記目標電圧とを加算器59で加算し、その結果を比較器60で前記三角波と比較することにより、PWM信号を発生する。そしてそのPWM信号をそのまま(+)PWM信号として出力し、また、反転器61で反転した信号を(−)PWM信号として出力する。なお、中立点の差分電圧と三角波とを加算器59で加算し、その結果と前記目標電圧とを比較器60で比較することによってPWM信号を発生してもよい。
【0047】
なお、図2の回路においては、電圧フィードバック回路としているので、次の構成が追加されている。すなわち、図1のB点(ステータコイル1と仮想中立点電位検出回路42のインピーダンスZとの接続点、すなわちインバータ回路の出力端)の電圧は、バッファ回路62を介して差動増幅器63に与えられ、加算器59の出力との差電圧を求め、それを比較器60に与えて三角波と比較することにより、PWM信号を作る。この回路は、インバータ回路52の出力電圧をPWM信号に加味したものであり、電圧フィードバックを構成している。このようにインバータ回路の実際の出力電圧を検出してそれをフィードバックすることにより、さらに正確な制御を行うことが出来る。なお、電圧フィードバックを行わない場合は、バッファ回路62、差動増幅器63の部分を削除し、加算器59の出力を直接に比較器60へ与えればよい。
【0048】
また、図2ではステータコイル1の相のフィードバック回路のみを示しているが、他の相についてもそれぞれ同様の回路を設ける。同様に、PWM信号発生回路56とインバータ回路52も1相分のみを示しているが、実際には各相についてPWM信号発生回路とインバータ回路が存在し、それぞれのPWM信号に応じて動作する。ただし、中立点電位検出回路53、差動増幅器54、ローパスフィルタ55は共通であり、また、PWM信号発生回路56内の発振器57と三角波発生器58も共通に使用することが出来る。
【0049】
以下、作用を説明する。
一例として、複合モータの多相巻線のうちの1相が断線した場合を考える。この場合、インバータ回路の中立点電位検出回路53の各インピーダンス素子の星型結線の方には、インバータ回路による多相電圧が発生する。この星型結線の中立点Niはインバータ回路発生電圧の中立点になるから、巻線が断線した相にも電圧が発生している。そして断線のため電流が流れないので、電圧変化は顕著になる。
【0050】
一方、モータの仮想中立点電位検出回路42の中点Aは、1相分の電流が流れないので、断線相が(+)電圧であれば中立点電位は(−)電圧となり、断線相が(−)電圧であれば中立点電位は(+)電圧となる。すなわち、多相交流の相電流の和は常にゼロであるから、中立点電位の変化は断線した1相分の変化と符号は反対でスカラー量は等しくなる。
【0051】
上記のインバータ回路の中立点Niの電圧とモータの仮想中立点電位検出回路42の中点Aの電圧との差を差動増幅器54で求め、その差分だけPWM信号発生回路56にオフセットを与える。具体的には、例えばPWM信号演算の三角波に上記差分に対応したオフセットを与える。例えばモータの中点Aの電位がインバータ回路の中立点Niの電位よりも低い場合には、三角波のオフセット方向を(+)PWM信号のデューティ比を増加させ、(−)PWM信号のデューティ比を減少させる方向に上記差分に対応して移動させる。すなわち、二つの中立点電位の差に応じて、その差を小さくする方向にPWM信号のデューティ比を変化させる。なお、上記の(+)PWM信号と(−)PWM信号とは相互に逆位相の信号である。
【0052】
上記のように構成した回路は、負帰還(ネガティブフィードバック)制御系となり、断線した相のトルクを補償するように他の相のトルクベクトルが変化するので相アンバランスを抑制するように動作する。そのためモータ巻線や接続線が断線した場合に、トルク変動、ノイズ、振動等の発生を抑制することが出来る。
【0053】
なお、図2の回路において、インバータ回路の中立点電位検出回路53を構成する各インピーダンス素子Z1、Z2、Z3、…、としては、例えば抵抗またはコンデンサを用いることが出来る。上記のインピーダンス素子としてコンデンサを用いた場合は、直流分をカットするので、電圧の変化分のみが現われる。位相ずれが生じても多相交流の和(ゼロ)は変化しないから中立点は常時ゼロになる。この場合、上記インピーダンス素子として用いたコンデンサはノイズカット用のコンデンサC1を兼ねることが出来る。そしてこの場合には負荷抵抗Riは比較的小さな値とし、両者で時定数RCのハイパスフィルタが構成される。このハイパスフィルタと前記のローパスフィルタ55とでバンドパスフィルタを構成することになり、両フィルタのカットオフ周波数で定まる通過帯域成分をフィードバックすることになる。
【0054】
また、図2の回路は、インバータ回路の中立点電位検出回路53として、外部から与えられる目標電圧からブリッジ回路を用いてインバータ回路の中立点電位を検出するように構成している。すなわち、中立点電位検出回路53の各インピーダンス素子Z1、Z2、Z3、…、の一端は、各相の目標電圧入力端子に接続され、他の一端は一つに纏められて負荷抵抗Riに接続されている。このように構成すると、インバータ回路の回路素子(例えばトランジスタ)が故障してその相の出力が異常になった場合には、モータの仮想中立点電位検出回路42の中点Aの電位には変動が現われるが、インバータ回路の中立点電位は正常値に保たれるので、両者の差電圧を確実に検出することが出来る。したがって、この構成ではインバータ回路の回路素子等が故障した場合にもトルク変動等を抑制することが出来る。
【0055】
また、上記のようにアナログ回路を用いる方法の他に、各相の目標電圧から算術計算を用いてインバータ回路の中立点電位を検出することも出来る。例えば、コンピュータ等の演算装置で各相の目標電圧を単純に加算してその時点における瞬時電圧を求め、それをアナログ電圧に変換してそれをインバータ回路中立点電位とすればよい。
【0056】
次に、図3は図2の回路の変形である。この回路は、図2の回路において、二つの中立点電位の差と目標電圧とを加算する加算器59の出力を制限するリミッタ回路65を設けたものである。なお、リミッタ回路65は加算器59の出力を所定の上限値以下に制限するか、或いは出力の変化速度(時定数)を所定値以下に制限する。この構成によれば、加算器59から出力される制御の指令値が急激に大きくなるのを制限するので、動作の安定性を向上させることができる。このようにリミッタ回路65による制限を設けた場合でも、制限した分は他相が補うので、性能の低下は生じない。なお、この回路において上記リミッタ回路65以外の部分は前記図2と同じであり、回路の変形例(電圧フィードバックの有無、PWM信号の作成方法等)も図2と同じである。
【0057】
次に、図4および図5は本発明の駆動回路の第2の実施例を示す回路図であり、前記図11に示した接続を行った複合モータの駆動回路に適用した場合を示す。図4は複合モータの結線部分を示す回路図、図5は駆動回路部分を示す回路図であり、図4と図5の回路はA、B、Cの個所で接続されている。
【0058】
図4において、仮想中立点電位検出回路42の各相のインピーダンスの一端は、抵抗Rを介して並列に接続された二つのモータのステータコイルの一端に接続されている。そしてステータコイルと抵抗Rの接続点(インバータ回路に接続される点)をCとする。
【0059】
また、図5の回路は、インバータ回路52の各相の出力端子とモータの各ステータコイル間に挿入した電流検出用の抵抗Rの両端の電圧を差動増幅器64で検出し、それを差動増幅器63に与えるように構成したものである。なお、前記図2で説明した回路の変形例(PWM信号の作成方法や電流フィードバックの有無)は同様に適用出来る。
この回路は、インバータ回路52の出力電流をPWM信号に加味したものであり、電流フィードバックを構成している。このように実際の電流を検出してフィードバックしても図2と同様の効果が得られる。なお、図5では1相についてのフィードバック回路のみを示しているが、他の相についてもそれぞれ同様の回路を設ける。
【0060】
次に、図6は図5の回路の変形である。この回路は、図5の回路において、二つの中立点電位の差と目標電圧とを加算する加算器59の出力を制限するリミッタ回路65を設けたものである。この回路においては、前記図3と同様の効果が得られる。なお、この回路において上記リミッタ回路65以外の部分は前記図5と同じであり、回路の変形例(電流フィードバックの有無、PWM信号の作成方法等)も図5と同じである。
【0061】
次に、図14は本発明を適用する複合モータの他の結線図である。
図14の構成も3相4極対のモータと4相3極対のモータの組合せを示し、(a)は3相4極対のモータ、(b)は4相3極対のモータとの結線を示す。
図14において、(a)の3相4極対のモータの結線は図11と同じであるが、(b)の4相3極対のモータにおいては、対角線上のコイル同士を接続しており、中立点はA、B、C、D、E、Fの6個所となる。このように接続した場合には、対角線同士でも位相が180°異なるので、電流は流れる。そして相手方の電流成分は同位相であるから電流が流れない。したがって図11の場合と同様の効果が得られる。
【0062】
次に、図15は、本発明を適用する複合モータのさらに他の結線図である。 図15においては、図11のように、相手の電流が全く流れない結線ではないが、実用的構造として結線が容易な例を示す。図15(a)は3相4極対のモータ、(b)は4相3極対のモータを示す。図のように、隣合った3個または4個のコイルを接続する方が実際のモータを組み立てる場合に、コイル間の結線長が短くなるので銅損を減少させることが出来、かつ結線が容易になるので実用的に有利である。この場合には、図11等に記載したステータコイルの中立点の接続を近似的に満足するように、隣合った複数のコイルを接続している。
【0063】
図16は、図15の回路における無効電流の大きさを示すベクトル図である。図16において、a〜d、A〜Cは図15の同符号を付した個所のベクトルを示し、矢印は2相分の電流値を示す。また、×印は逆方向のベクトルで相互に打ち消す成分を示している。
図16のa〜dに示すように、3相4極対のモータでは、12相のベクトル成分のうち8相分が相互に打ち消すので、4/12だけの無効電流が流れる。また、4相3極対のモータでは、A〜Cに示すように、12相のベクトル成分のうち、9相分が相互に打ち消すので、3/12だけの無効電流が流れることになる。
【0064】
次に、図17は本発明を適用する複合モータのさらに他の結線図である。
これまでの説明では、Y結線に付いて説明したが、この実施の形態は、Δ結線に適用したものである。図17は前記図11に示したY結線をΔ結線に変換したものであり、(a)は3相4極対のモータ、(b)は4相3極対のモータを示す。作用効果は図11と同様である。また、図18は図15に示した構成をΔ結線に変換したものであり、(a)は3相4極対のモータ、(b)は4相3極対のモータを示す。作用効果は図15と同様である。すなわち、図17、図18に示した構造は、図11や図15に示したY結線と等価なΔ結線である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における複合モータの結線部分を示す回路図。
【図2】本発明の第1の実施例における駆動回路部分を示す回路図。
【図3】本発明の第1の実施例における他の駆動回路部分を示す回路図。
【図4】本発明の第2の実施例における複合モータの結線部分を示す回路図。
【図5】本発明の第2の実施例における駆動回路部分を示す回路図。
【図6】本発明の第2の実施例における他の駆動回路部分を示す回路図。
【図7】複合モータの一例の構造を示す図であり、(a)は複合モータ全体の概略断面図、(b)はロータとステータ部分の断面図。
【図8】駆動システムの一例のブロック図。
【図9】複合モータを制御するための回路のブロック図。
【図10】インバータ回路の一例の回路図。
【図11】ステータコイルの結線図。
【図12】複合モータの概略断面図。
【図13】駆動回路の全体の構成を示すブロック図。
【図14】ステータコイルの他の結線図。
【図15】ステータコイルのさらに他の結線図。
【図16】図15の回路における無効電流の大きさを示すベクトル図。
【図17】図11の結線に相当するΔ結線の結線図。
【図18】図15の結線に相当するΔ結線の結線図。
【符号の説明】
1…複合モータ 2…ステータ
3…外側ロータ 4…内側ロータ
5…外枠 9…内側ロータ軸
10…外側ロータ軸 11…電源
12インバータ回路 13、14…回転角センサ
15…制御回路
21…左ロータ 22…左ステータコイル
23…左モータ軸 24…右ロータ
25…右ステータコイル 26…右モータ軸
27…ロータ 28…ステータコイル
29…モータ軸 30…3相4極対モータ
31…4相3極対モータ 32…インバータ回路
33…制御回路 34、35…回転角センサ
S1、S2…トルク指令信号 S3、S4…位相信号
L…ステータコイル Z…インピーダンス
a、b、c、d…中立点 A、B、C、D、E、F…中立点
51…電源 52…インバータ回路
53…インバータ回路中立点電位検出回路 54…差動増幅器
55…ローパスフィルタ 56…PWM信号発生回路
57…発振器 58…三角波発生器
59…加算器 60…比較器
61…反転器 62…バッファ
63、64…差動増幅器 65…リミッタ回路
Z1〜Z3…インピーダンス Ni…インバータ回路中立点
Rm、Ri…負荷抵抗 T1、T2…トランジスタ
D1、D2…ダイオード C1…コンデンサ
R1…抵抗

Claims (4)

  1. 極対数が異なる二つのロータと、それぞれのロータに対峙するステータとを有し、それぞれのステータに設けるコイルの電気的極数を同一とし、自己のロータと相関のある位相の電流は流れ、相手方は同相で電流が流れない相を一つの中立点としてまとめるように、各ステータのコイルにおける中立点を複数に分割して接続し、両方のステータのコイルの各相をそれぞれ並列に接続して電源供給用のインバータ回路の対応する相に接続し、前記インバータ回路から両方のステータのコイルに複合電流を供給して両方のロータを独立に制御する複合モータの駆動回路であって、
    前記ステータコイルの各相からそれぞれインピーダンス素子を介して星型結線した点の電位を、前記各ステータコイルの仮想中立点電位として検出する仮想中立点電位検出手段と
    前記複合モータの駆動電力を送出するインバータ回路の中立点電位を検出する手段と、
    前記の検出した二つの中立点電位の差に応じて、前記差を小さくする方向に前記インバータ回路を駆動する信号を変化させる手段と、
    を備えたことを特徴とする複合モータの駆動回路。
  2. 前記インバータ回路の中立点電位を検出する手段は、各相の目標値から、ブリッジ回路を用いて或いは算術計算によって中立点電位を求めるものである、ことを特徴とする請求項1に記載の複合モータの駆動回路。
  3. 前記複合モータは、一方のロータが4極対で他方のロータが3極対であり、ステータコイルの電気的極数が12相であり、前者を3相4極対で駆動し、後者を4相3極対で駆動する場合に、前者は3個おきに3個のコイルを接続して一つの中立点とすることによって合計4個の中立点を有し、後者は2個おきに4個のコイルを接続して一つの中立点とすることよって合計3個の中立点を有することを特徴とする請求項1に記載の複合モータの駆動回路。
  4. 前記複合モータは、一方のロータが4極対で他方のロータが3極対であり、ステータコイルの電気的極数が12相であり、前者を3相4極対で駆動し、後者を4相3極対で駆動する場合に、前者は3個おきに3個のコイルを接続して一つの中立点とすることによって合計4個の中立点を有し、後者は5個おきに2個ずつのコイルを接続して一つの中立点とすることよって合計6個の中立点を有することを特徴とする請求項1に記載の複合モータの駆動回路。
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