JP3554370B2 - 施錠装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば自転車やオートバイ等の盗難を防止するために用いられる施錠装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自転車やオートバイ等の二輪車の盗難を防止するために、係止ロッドやワイヤー等の係止体を錠本体に接続してループ体を形成する施錠装置(シャックル錠やワイヤー錠等)が用いられている。これらの施錠装置は、錠本体に設けられた挿入孔に、係止体の係止部を挿入・係止して施錠を行うものであり、例えば、本願出願人が出願した特開平5−12567号公報のシャックル錠においては、図26(a)および(b)に示すように、シリンダ錠本体P3に設けられる挿入孔P5に、U字状の係止ロッドの端部P7に設けられた係止部P9を挿入し、係止部P9の係止孔P11に棒材P13を嵌め入れた後に、図示しない鍵の操作によって棒材P13を90゜回転させ、棒材P13を係止部P9に係止させて施錠を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の施錠装置においては、施錠の際に鍵の操作が必要であり、ワンタッチで迅速簡便に施錠を行うことができないという問題があった。つまり、例えば図26にて説明したシャックル錠の場合は、施錠を行う際に、鍵をシリンダ錠本体P3に差し込んで回し、棒材P13を回転させる必要があるので、施錠操作が煩雑になるという問題があった。また、シリンダ錠本体P3と鍵を別々に持ち運んでいる場合には、施錠の際に鍵をわざわざ取り出さなければならず、しかも、鍵を持っていなければ施錠ができないという問題があった。
【0004】
本発明は、前記課題を解決するためになされ、施錠の際に鍵が不要であり、ワンタッチで迅速簡便に施錠を行うことのできる施錠装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための請求項1の発明は、
係止体と、該係止体の係止部を挿入・係止させて施錠を行う錠本体とを備えた施錠装置において、
上記錠本体には、
係止突部を有し、上記錠本体内部に軸支され、回動角度が規制された軸部材と、
上記係止突部が上記係止部の挿入方向に対してほぼ直交する方向に突出する係止角度位置に向けて、上記軸部材を軸回りに付勢する付勢部材と、
鍵による開錠操作に応じて、上記係止突部がほぼ上記挿入方向に突出する解錠角度位置に向けて、上記軸部材を上記付勢部材の付勢力に抗して軸回りに回転させる開錠機構と、
を設けるとともに、
上記係止部には、上記解錠角度位置にある上記軸部材を挿入可能な入口溝と、該入口溝に連通し、内部で上記軸部材が回転可能な係止孔と、
を設けることにより、
施錠時には、上記錠本体に上記係止部を挿入し、上記入口溝の縁部にて上記軸部材の係止突部を押圧することにより、該軸部材を上記解錠角度位置に回転させて上記入口溝に挿入し、更に、上記付勢部材の付勢力によって、上記係止孔内に達した上記軸部材を上記係止角度位置に回転復帰させ、上記係止孔の内面に上記係止突部を当接・係止させて施錠を可能としたことを特徴とする。
【0006】
また、請求項2の発明は、
係止体と、該係止体の係止部を挿入・係止させて施錠を行う錠本体とを備えた施錠装置において、
上記錠本体には、
係止突部を有し、上記錠本体内部に軸支され、回動角度が規制された軸部材と、
上記係止突部が上記係止部の挿入方向に対してほぼ直交する方向に突出する係止角度位置に向けて、上記軸部材を軸回りに付勢する付勢部材と、
鍵による開錠操作に応じて、上記係止突部がほぼ上記挿入方向または該挿入方向とは逆方向に突出する解錠角度位置に向けて、上記軸部材を上記付勢部材の付勢力に抗して軸回りに回転させる開錠機構と、
上記係止部の挿入方向に沿って移動可能に設けられ、上記係止部によって押圧される押圧部および上記軸部材に係止して該軸部材を解錠角度位置に保持する係止保持部を備えた移動係止部材と、
上記移動係止部材を上記係止部の挿入方向とは逆方向に付勢して、該移動係止部材の係止保持部を上記軸部材に係止させる第2の付勢部材と、
を設けるとともに、
上記係止部には、上記解錠角度位置にある上記軸部材を挿入可能な入口溝と、該入口溝に連通し、内部で上記軸部材が回転可能な係止孔と、
を設けることにより、
施錠時には、上記錠本体に上記係止部を挿入して、上記移動係止部材によって上記解錠角度位置に保持されている上記軸部材を上記入口溝に挿入し、更に、上記係止部によって上記移動係止部材の押圧部を押圧移動させて、上記係止保持部と上記軸部材との係止を解除し、上記付勢部材の付勢力によって上記軸部材を上記係止角度位置に回転させて、上記係止孔の内面に上記係止突部を当接・係止させて施錠を可能としたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項3の発明は、請求項1または2に記載の施錠装置において、上記係止体が略U字状の係止ロッドであり、該係止ロッドの両端に上記係止部を設けたことを特徴とする。
更に、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の施錠装置において、上記係止体の係止部の近傍には、該係止部を上記錠本体に係止した場合に、上記錠本体に当接し、上記係止部を上記挿入方向とは逆方向に付勢する付勢部材を設けたことを特徴とする。
【0008】
【作用】
上記構成を有する請求項1の施錠装置においては、施錠時には、錠本体の挿入孔に係止体の係止部を挿入することによって施錠を行う。つまり、係止体の挿入動作にともない、係止角度位置(即ち係止突部が係止部の挿入方向に対してほぼ直交する方向に突出する位置)にある軸部材の係止突部を、入口溝の縁部によって押圧する。これにより、軸部材を、解錠角度位置(即ち係止突部がほぼ係止突部の挿入方向に突出する角度位置)に向けて軸回りに回転させて、軸部材を係止部の入口溝に挿入する。そして、更に、係止部の係止孔内に達した軸部材を、付勢部材の付勢力によって係止角度位置に回転復帰させ、係止孔の内面に係止突部を当接・係止させて施錠を行う。よって、係止体の係止部を錠本体の挿入孔に挿入するだけで施錠を行うことができ、鍵を用いることなくワンタッチで施錠を行うことができる。
【0009】
また、上記構成を有する請求項2の施錠装置においても、上記請求項1の場合と同様に、錠本体の挿入孔に係止体の係止部を挿入することによって施錠を行う。つまり、係止体の挿入動作にともない、移動係止部材によって解錠角度位置(係止突部がほぼ係止部の挿入方向またはこの挿入方向とは逆方向に突出する位置)に保持されている軸部材を、係止部の入口溝に挿入する。そして、更に係止部を挿入することにより、係止部によって移動係止部材の押圧部を押圧移動させて、係止保持部と軸部材との係止を解除する。すると、係止部の係止孔内に達した軸部材が、付勢部材の付勢力によって係止角度位置(即ち係止突部が係止部の挿入方向に対してほぼ直交する方向に突出する位置)に回転させられることとなるので、係止孔の内面に係止突部を当接・係止させて施錠を行うことができる。よって、請求項2の発明においても、係止体の係止部を錠本体の挿入孔に挿入するだけで施錠を行うことができ、鍵を用いることなくワンタッチで施錠を行うことができる。
【0010】
また、特に請求項2の発明においては、移動係止部材および第2の付勢部材を設けているので、軸部材が係止部に係止されている施錠状態において、係止部が移動係止部材および第2の付勢部材によって、錠本体から外れる方向に付勢されることとなる。よって、軸部材を係止解除位置に回転移動させて解錠を行った場合、係止部ひいては係止ロッドが錠本体から外れる方向に付勢されて飛び出すので、解錠操作を容易に行うことができる。
【0011】
更に、請求項2の発明では、施錠状態において、移動係止部材および第2の付勢部材によって係止部が付勢されるので、係止部が軸部材に対して押し付けられることとなる。従って、錠本体に挿入されている係止ロッドががたつくことがない。
【0012】
また、請求項3の発明においては、係止体が略U字状の係止ロッドであり、この係止ロッドの両端に係止部を設けている。よって、この2つの係止部を錠本体に係止させてループ体を形成することにより、施錠を行うことが可能となる。つまり、例えば二輪車の施錠を行う場合は、略U字状の係止ロッドを二輪車のスポークの間に挿通し、係止部を錠本体に挿入すれば、二輪車の車輪を施錠することができる。
【0013】
また、請求項4の発明においては、係止体の係止部を上記錠本体に係止した場合に、係止体の係止部の近傍に設けられた付勢部材が錠本体に当接して、係止部を、錠本体への挿入方向とは逆方向に付勢する。よって、軸部材を係止解除位置に回転移動させて解錠を行った場合、係止体が錠本体から外れる方向に付勢されて飛び出すので、解錠を容易に行うことができる。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
まず、本発明の第1実施例について説明する。ここで、図1は第1実施例のシャックル錠Sを示す斜視図である。また、図2は係止ロッド1を表し、(a)はその正面図、(b)はその右側面図、(c)はその平面図である。図3は施錠状態におけるシャックル錠Sの縦断面図(図1におけるA−A断面図)であり、図4は、解錠状態におけるシャックル錠Sの縦断面図である。また、図5は、図3におけるB−B断面図である。
【0015】
図1に示すように、シャックル錠1は、U字形の係止ロッド(係止体)1と、係止ロッド1の両端の係止部1c,1c(図2参照)を挿入・係止させて施錠を行う円柱状の錠本体3とを備えている。
錠本体3は、図3および図4に示すように、金属製の円筒部11の周囲が硬質合成樹脂製のケース13にて覆われており、この円筒部11およびケース13の上部には、係止ロッド1の係止部1c,1cが挿入される円形の挿入孔15,15が設けられ、ケース13の右側端部には、鍵17(図1参照)を受け入れるための円形の開口部18が設けられている。
【0016】
そして、円筒部11の内部には、係止突部19a(図4参照)を有する金属製の軸部材19と、円筒部11の一方の端部(右端部)11aに設けられて解錠操作を司るシリンダ部21と、このシリンダ部21によって回転される回転部材23と、係止ロッド1の一方の係止部1cが挿入される被挿入部材25と、軸部材19を軸回りに付勢するうず巻ばね27(1点鎖線で示す)と、円筒部11の他方の端部(左端部)11bに設けられ、係止ロッド1の他方の係止部1cが挿入される被挿入部材29とが設けられている。
【0017】
ここで、軸部材19は、図6の斜視図および図7のC−C断面図に示すように、細長い円柱体19´の側面に、その両端部19b,19cの部分を除いて、四角柱状の係止突部19aを突設したものである。即ち、両端部19b,19cは円柱状であり、図3に示すように、この両端部19b,19cが、各々後述する回転部材23および被挿入部材29に対して回動可能に嵌合される。これにより、軸部材19は、錠本体3の内部に軸支され、図6および図7に示す仮想の中心軸P(円柱状の両端部19b,19cの中心を通る仮想軸)を中心として回動可能となっている。
【0018】
次に、解錠操作を司るシリンダ部21について説明する。ここで、図8は、錠本体3のシリンダ部21等を示す拡大縦断面図であり、図9は錠本体3の右側面図である。
シリンダ部21は、特開平5−12567号公報等に開示されるものであり、円筒形のロータケース31(円筒部11に図示しないピン等で固定されている)の内部に第1ロータ33が固定され、その内側に第2ロータ35が回転可能に嵌め入れられたものである。第2ロータ35の回転部材23側の端部には、回転部材23の溝23aに係止する断面長方形の突起35aが形成されるとともに、その反対側(鍵17が挿入される側)の端部には、鍵17の円筒部17aの内側突起17bに嵌合する溝部35bが設けられている。また、ロータケース31の鍵17が挿入される側の端部には、鍵17の円筒部17aの外側突起17cが通過可能な形状の切欠31aが形成されている。
【0019】
そして、第2ロータ35には穴35dが穿設されており、この穴35dには第2ピン41が移動可能に挿通されている。この第2ピン41は、図9に示すように、円状に合計7個設けられている。また、図8に示すように、第1ロータ33には、第2ピン41に対向する位置に穴33aが設けられ、その中に第1ピン43が挿通されている。この第1ピン43は、ばね45によって第2ロータ35に向けて付勢されており、図8(a)の状態においては、計7本の第1ピン43が対応する第2ロータ35の穴35dに嵌入するので、第2ロータ35は回転不能となる。一方、解錠する場合は、図8(b)に示すように、鍵17の円筒部17aを鍵穴46に挿入すると、第2ピン41が円筒部17aの先端によって押し出され、第1ピン43と第2ピン41との当り面が、第1ロータ33と第2ロータ35の当り面に一致する。よって、第2ロータ35は回転可能な状態となるので、鍵17を回せば、第2ロータ35の溝部35bと鍵17の円筒部17aの内側突起17bとが係止しているので、鍵17とともに第2ロータ35が回転する。
【0020】
次に、回転部材23は、図8に示すように、上述のシリンダ部21に隣接して設けられ、シリンダ部21の第2ロータ35と一体となって回転される部材である。この回転部材23は、図10(図10(a)は回転部材23を示す斜視図であり、(b)は同左側面図であり、(c)は同F−F断面図である)に示すように、略円柱(短柱)状の部材であり、その右側の端面(シリンダ部21に対向する端面)には、シリンダ部21の第2ロータ35の突起35aに嵌合する断面コの字状の溝23aが設けられている。これにより、回転部材23は、第2ロータ35と一体となって回転することができる。
【0021】
また、回転部材23の左側の端面23bの中央には、軸部材19の係止突部19aの端部19d(図6参照)が嵌入される規制孔23eが形成され、この規制孔23eの奥には、軸部材19の端部19bが回動自在に嵌合される軸支孔23dが形成されている。ここで、規制孔23eは、略扇型に形成されており、軸部材19の回動角度(中心軸Pを中心とする回動の角度)を規制するものである。即ち、図11(図8におけるD−D断面図)に示すように、規制孔23eの内周面は、互いに直交する平坦な規制面F1,F2と、軸部材19が回動可能となるように円弧状に形成された曲面F3とからなる。よって、軸部材19の回動角度は、図11(a)示すような「係止角度位置」と、図11(b)に示すような「解錠角度位置」との間で約90゜回動可能となっている。ここで、図11(a)の「係止角度位置」とは、係止突部19aが、係止部1cを錠本体3に挿入する方向(矢印A方向)に対してほぼ直交する方向に突出する位置であり、軸部材19が後述する係止ロッド1に係止される位置である。また、図11(b)の「解錠角度位置」とは、係止突部19aがほぼ上記係止部1cの挿入方向(矢印A方向)に突出する位置である。
【0022】
なお、図8(a)に示すように第2ロータ35が回転不能な状態にある場合、回転部材23は、図11(a)に示す回転位置にある。つまり、一方の規制面F1が係止部1cの挿入方向(矢印A方向)に対して垂直であり、他方の規制面F2が上記挿入方向に対して水平となっている。一方、上述のように解錠操作を行い、第2ロータ35を図9において右回りに90゜回転させた場合、回転部材23が、図12に示すような回転位置(即ち、規制孔23eの規制面F1が、係止部1cの挿入方向に対して平行となる位置)に回転移動する。よって、軸部材19も、その係止突部19aが規制面F1によって押圧されることにより、軸部材19と一体となって90゜回転し、上述の「解錠角度位置」まで回転移動する。
【0023】
次に、被挿入部材25は、図3〜図5に示すように、係止ロッド1の係止部1cが挿入される円形の挿入孔25aが形成された部材であり、円筒部11の内部にピン等によって固定されている。この被挿入部材25の中央部には、軸部材19が挿通される規制孔25cが穿設されている。この規制孔25cの断面形状は、上述の回転部材23の規制孔23eと同じ形状(略扇形)であり、規制孔23eと同様に、軸部材19の回動角度を上述の「係止角度位置」と「解錠角度位置」との間で規制している。なお、被挿入部材25は、円筒部11の内部にて回転しないように固定されているので、常に一方の規制面F1が、係止部1cの挿入方向(矢印A方向)に対して垂直となっている。
【0024】
そして、被挿入部材25の右側の端面(回転部材23に対向する端面)には、軸部材19を軸回りに付勢するうず巻ばね27が設けられている。このうず巻ばね27は、図13(図8におけるE−E断面図)に示すように、細長い鋼帯を渦状に巻いたばねであり、被挿入部材25の端面に形成された凹部25eの中に取り付けられている。うず巻ばね27の内側の端部には、軸部材19の断面形状に適合する形状に折曲げられた軸部材嵌合部27bが折曲げ形成されており、この軸部材嵌合部27bに軸部材19が挿通・嵌合されている。これにより、軸部材19がうず巻ばね27に保持されることとなる。また、うず巻ばね27の外側の端部27cは、外側に向けてほぼ直角に折曲げられており、この端部27cが、被挿入部材25の上部に形成された溝25gに嵌め込まれている。端部27aは、被挿入部材25の溝25gの一方の縁部25hを図中右方向に押圧している。よって、軸部材19は、うず巻ばね27によって、回転軸Pを中心として常に矢印C方向に回転するように付勢される。即ち、軸部材19は、上述の「係止角度位置」(図11(a)の位置)に向けて、常に軸回りに付勢されており、係止突部19aが規制孔23eの規制面F1に押し付けられる。これにより、軸部材19は「係止角度位置」に保持される。
【0025】
次に、被挿入部材29は、図3〜図5に示すように、上述の被挿入部材25と同様、係止ロッド1の他方の係止部1cが挿入される円形の挿入孔29aが形成された略円柱状の部材であり、円筒部11の内部にピン等によって固定されている。この被挿入部材29には、軸部材19が挿通される規制孔29cが穿設されている。この規制孔29cの断面形状は、上述の被挿入部材25の規制孔25cと同じ略扇形である。また、被挿入部材29の挿入孔29aの内面には、上述の回転部材23と同様に、軸部材19の係止突部19aの端部19e(図6参照)が嵌入される規制孔29eが形成され、この規制孔29eの奥には、軸部材19の端部19cが回動自在に嵌合される軸支孔29fが形成されている。規制孔29eの断面形状は、回転部材23の規制孔23eと同様な略扇形であり、軸部材19の回動角度を上述の「係止角度位置」と「解錠角度位置」との間で規制している。
【0026】
次に、係止ロッド1は、図1に示すように、U字状の形態を有しており、金属製の軸心部1aの回りが合成樹脂製のカバー1bで覆われている。図2および図14(図3におけるF−F断面図)に示すように、両先端の係止部1cは、それぞれ先が側面に対して二股に分かれており、「解錠角度位置」にある軸部材19を挿入可能な入口溝1eと、この入口溝1eに連通し、内部で軸部材19が回転可能な円形の係止孔1fが設けられている。入口溝1eの横幅は、軸部材19の厚みD(図7参照)よりも大きくされており、従って、「解錠角度位置」にある軸部材19を入口溝1eに挿入することが可能となる。また、係止孔1fの内半径は、軸部材19の回転軸Pより係止突部19aの角部19fまでの距離とほぼ同じである。よって、図14のような状態において、係止孔1fの内部で、軸部材19が回転可能となる。
【0027】
また、図3に示すように、係止ロッド1の両係止部1c,1cの近傍には、筒状の封止キャップ7,7がそれぞれ外嵌・固定されている。この封止キャップ7は、軸心部1aに固定された小径部7aと、ケース13の挿入孔15の周囲に円環状に突設された突出部13bに外嵌される大径部7bとからなり、係止部1cを錠本体3に挿入・係止して施錠した場合、封止キャップ7の大径部7bが突出部13bに外嵌・密着するように構成されている。よって、施錠状態において、挿入孔15が封止キャップによって密封されるので、挿入孔15から雨水やほこりが侵入することがなく、錠本体3内部における錆や故障が防止される。
【0028】
そして、封止キャップ7の大径部7bと軸心部1aとの間の隙間8には、付勢部材としてのコイルばね9が挿入されている。このコイルばね9は、図3に示すように係止部1cを錠本体3に挿入・係止して施錠した場合、ケース13の突出部13bの上端部に当接し、係止部1cひいては係止ロッド1を、錠本体3への挿入方向(矢印A方向)とは逆の方向(矢印A´方向)に付勢するものである。
【0029】
続いて、上記構成を有するシャックル錠Sの開錠動作及び施錠動作を説明する。
まず、図3に示す施錠状態においては、係止ロッド1の係止部1c,1cが錠本体3の挿入孔15,15に挿入されており、軸部材19が、係止部1c,1cの係止孔1f,1fに係止している。即ち、図14に示すように、軸部材19の係止突部19aが「係止角度位置」にあり、軸部材19の係止突部19aが、係止孔1fの内面に当接・係止している。よって、錠本体3より係止ロッド1を矢印A´方向に引き抜くことができない。なお、この状態において、係止ロッド1は、上述のコイルばね9によって矢印A´方向に付勢されている。
【0030】
次に、上述のような施錠状態より係止ロッド1を引き抜いて開錠する場合は、図8(b)に示すように、鍵17の円筒部17aをシリンダ部21の鍵穴46に差込み、鍵17を図9において右回り(矢印D方向)に90゜回す。すると、上述のように、シリンダ部21の第2ロータ35と回転部材23とが一体となって90゜回転するので、回転部材23は、図11(a)に示す位置から、図12に示す位置まで90゜回転移動する。従って、軸部材19が、回転部材23の規制面F1によって、うず巻ばね27の付勢力に抗して押圧されるので、回転部材23と共に90゜回転して「解錠角度位置」まで移動する。よって、図15に示すように、軸部材19と係止孔1fとの係止が外れ、係止部1cを錠本体3から矢印A´方向に引き抜いて開錠することができる。この際、係止ロッド1はコイルばね9によって矢印A´方向に付勢されているので、係止部1cひいては係止ロッド1が錠本体3から外れる方向(矢印A´方向)に付勢されて飛び出すこととなる。
【0031】
なお、図8(b)の状態より鍵17を90゜回して解錠した場合、鍵17の円筒部17aの外側突起17cがロータケース31に引掛かるので、鍵17をシリンダ部21から抜くことができないが、鍵17を再び90゜逆回転させて元の位置に戻せば、鍵17をシリンダ部21から引き抜いて、シャックル錠Sと別に持ち運ぶことができる。そして、このように鍵17を引き抜いた場合、回転部材23が図11(a)に示すような回転位置に復帰するので、軸部材19も、うず巻ばね27の付勢力によって「解錠角度位置」から「係止角度位置」に回転復帰する。よって、図16に示すように、係止ロッド1を錠本体3から引き抜いた状態において、軸部材19を「係止角度位置」に復帰させることができる。
【0032】
そして、図16に示すような状態より再び施錠を行う場合は次のようにする。即ち、鍵17による操作を何ら行うことなく、係止ロッド1の係止部1cを、錠本体3の挿入孔15にそのまま差し込む。すると、図16に2点鎖線で示すように、「係止角度位置」にある軸部材19の係止突部19aが、係止部1cの入口溝1eの縁部1jによって押圧される。これにより、図17に示すように、軸部材19が「解錠角度位置」に回転し、軸部材19が入口溝1eに挿入される。そして、更に係止部1cを錠本体3内に挿入すると、軸部材19が係止孔1fに達し、図14に示すように、うず巻ばね27の付勢力によって、軸部材19が「係止角度位置」に回転復帰する。よって、再び係止孔1fの内面に係止突部19aを当接・係止させて、施錠を行うことができる。
【0033】
このように、本実施例のシャックル錠Sにおいては、施錠の際には、錠本体3の挿入孔15に係止部1cを差し込むだけで施錠を行うことが可能であり、鍵17を用いることなく、ワンタッチで迅速簡便に施錠を行うことができるという顕著な効果がある。
【0034】
しかも、本実施例においては、係止ロッド1の係止部1cと、錠本体3内部に回転可能に軸支された軸部材19とを係止させて施錠を行っている。よって、盗難などの目的で錠本体3に一方向から大きな衝撃を加えたとしても、軸部材19がうず巻ばね27の付勢力に抗して「解錠角度位置」に回転移動することがない。従って、係止を解除して係止ロッド1を錠本体3より引き抜くことができず、盗難防止に優れた効果を発揮する。
【0035】
また、本実施例においては、係止ロッド1の係止部1cの近傍に、コイルばね9が設けられており、このコイルばね9は、係止部1cを錠本体3に挿入・係止した場合に、錠本体3の突出部13bに当接し、係止部1cを錠本体3への挿入方向とは逆方向(矢印A´方向)に付勢している。よって、図4に示すように、軸部材19を係止解除位置に回転移動させて解錠を行った場合、係止部1cひいては係止ロッド1が錠本体3から外れる方向に付勢されて飛び出すので、解錠操作を容易に行うことができるという効果がある。
【0036】
次に、第2実施例のシャックル錠を、図18〜図25に基づいて説明する。ここで、図18は、施錠状態におけるシャックル錠S´の縦断面図であり、図19は、解錠状態におけるシャックル錠S´の縦断面図である。また、図20は、図19におけるG−G断面図である。
【0037】
なお、第2実施例のシャックル錠S´において、第1実施例のシャックル錠Sと同様な部分については、第1実施例に付した符号に「´」(ダッシュ)を加えた符号を付し、特に変わった部分以外は詳細な説明を省略する。
第2実施例のシャックル錠S´は、軸部材50の形状が第1実施例と異なっている点と、錠本体3´の被挿入部材25´,29´の挿入孔25a´,29a´の中に、移動係止部材51,51およびこれを付勢するコイルばね(第2の付勢部材)53,53が設けられている点に特徴がある。
【0038】
軸部材50は、図21の斜視図および図22(図18におけるH−H断面図)に示すように、断面略長方形の棒材であり、その端部50b,50cは、第1実施例と異なり、円柱状に形成されていない。端部50b,50cは、それぞれ回転部材23´および被挿入部材29´に設けられた軸支孔55,57に回動可能に嵌入されている。軸支孔55,57は、断面円形の孔であり、その内径は、軸部材19´の長方形の端面50dの対角線の長さL(図21参照)とほぼ等しくされている。これにより、軸部材19´は、錠本体3´の内部に軸支され、図21および図22に示す仮想の中心軸P´(軸部材50の中心を通る軸)を中心として回動可能となる。そして、図22に示すように、中心軸P´を挟んで対向する2つの短辺50e,50eの近傍の部分が、係止突部50f,50fとしての役割を果たす(即ち第1実施例の係止突部19aと同様な作用を果たす)こととなる。
【0039】
また、図22に示すように、軸支孔55の内側には、軸部材50の回動角度を規制する断面略直角三角形状の規制凸部61,63が突設されており、これにより、軸部材50の回動角度は、図22(a)に実線で示す位置(「係止角度位置」)と、2点鎖線で示す位置(「解錠角度位置」)との間で規制されている。
【0040】
ここで、「係止角度位置」とは、軸部材50の係止突部50f,50fが、錠本体3´に挿入する方向(矢印A方向)に対してほぼ直交する方向に突出する位置(短辺50eが係止部1c´の挿入方向に平行となる位置)であり、軸部材50が後述する係止ロッド1´に係止される位置である。また、「解錠角度位置」とは、係止突部50f,50fが、ほぼ係止部1c´の挿入方向(矢印A方向)またはこの挿入方向とは逆方向に突出する位置(短辺50eが係止部1c´の挿入方向に直交する位置)である。
【0041】
また、上記第1実施例と同様に解錠操作を行い、第2ロータ35´を図18の状態より90゜回転させた場合、回転部材23´は、図22(a)の状態より矢印D方向に90゜回転し、図22(b)に示すような位置に移動する。よって、軸部材50も、規制凸部61,63によって押圧されて、上述の「解錠角度位置」まで回転移動させられることとなる。
【0042】
なお、軸部材50の短辺50eの長さL´(図21参照)は、第1実施例と同様に、係止部1c´の入口溝1e´の横幅よりも小さくされており、従って、「解錠角度位置」にある軸部材50を入口溝1e´に挿入することが可能となる。また、係止孔1f´の内半径は、軸部材50の対角線の長さL(図21参照)よりも若干大きくされており、これにより、係止孔1f´の内部で軸部材50が回転可能となる。
【0043】
次に、移動係止部材51は、図23((a)はその正面図、(b)は左側面図、(c)は平面図である)に示すように、平面視略円形の押圧部51aと、上側に開放された略コの字状の係止保持部51b,51bとを備えるものである。なお、移動係止部材51は金属板を折曲加工して形成されている。
【0044】
押圧部51aは、図23(b)に示すように、係止部1c´の先端部の形状に応じて、上側に向けて凹となるように円弧状に湾曲している。また、図23(c)に示すように、押圧部51aの外径Mは、係止部1c´の先端部によって確実に押圧されるように、係止ロッド1´の係止部1c´の外径とほぼ等しい大きさとされている。
【0045】
両係止保持部51b,51bは、押圧部51aの中心点を挟んで対称な位置に設けられており、挿入孔25a´,29a´の内側に設けられた溝65(図18,19参照)に対して、図中上下に移動可能となるように嵌め込まれている。これにより、移動係止部材51は、係止部1c´の挿入方向に沿った方向(すなわち図18における矢印AまたはA´方向)に移動可能となっている。また、係止保持部51bの垂直方向に延びる1対の壁部51d,51dの間の間隔dは、軸部材50の短辺50eの長さL´(図21参照)とほぼ同じとされており、これによって、係止保持部51bの内側に軸部材50を短辺50e側から挿入し、両壁部51d,51dの間に軸部材50を挟んで係止させることができる。
【0046】
次に、コイルばね53は、図18等に示すように、移動係止部材51の押圧部51aの底面と円筒部11´との間に設けられており、移動係止部材51を常に係止部1c´の挿入方向とは逆方向(矢印A´方向)に付勢している。
続いて、上記構成を有するシャックル錠S´の開錠動作及び施錠動作を説明する。
【0047】
まず、図18に示す施錠状態においては、係止ロッド1´の係止部1c´,1c´が錠本体3´の挿入孔15´,15´に挿入されており、軸部材50が、係止部1c´,1c´の係止孔1f´,1f´に係止している。即ち、図24(図18におけるI−I断面図)に示すように、軸部材50(実線で示す)が「係止角度位置」にあり、この軸部材50の係止突部50fが、係止孔1f´の内面に当接・係止している。よって、錠本体3´より係止ロッド1´を矢印A´方向に引き抜くことができない。また、この状態において、移動係止部材51の押圧部51aは、係止ロッド1´の係止部1c´の先端部によって押圧されており、軸部材50に対して係止不能な位置に押し下げられている。
【0048】
次に、上述のような施錠状態より係止ロッド1´を引き抜いて開錠する場合は、第1実施例の場合と同様に、鍵17´の円筒部をシリンダ部21´の鍵穴46´に差込み、鍵17´を図24において右回り(矢印D方向)に90゜回す。すると、回転部材23´は、図22(a)に示す位置から、図22(b)に示す位置まで90゜回転移動するので、図24に2点鎖線で示すように、軸部材50が「解錠角度位置」に移動する。よって、軸部材50と係止孔1f´との係止が外れる。
【0049】
そして、図25に示すように、係止ロッド1´の係止部1c´を引き抜いて開錠すると、係止部1c´の先端部によって押圧されていた移動係止部材51が、コイルばね53によって付勢されて、係止部1c´の挿入方向とは逆方向(矢印A´方向)に移動する。これにより、係止保持部51bの内側に、軸部材50が短辺50e側から挿入されて、軸部材50が壁部51d,51dの間に挟まれる。即ち、移動係止部材51の係止保持部51bが、「解錠角度位置」にある軸部材50に係止することとなる。
【0050】
なお、上述の解錠操作の際に、係止ロッド1´の係止部1c´は、移動係止部材51によって矢印A´方向に付勢されているので、係止部1c´ひいては係止ロッド1´が錠本体3´から外れる方向(矢印A´方向)に付勢されて飛び出すこととなる。
【0051】
また、図18の状態より鍵17´を90゜回して解錠した場合、第1実施例と同様に、鍵17´の円筒部の外側突起がロータケース31´に引掛かるので、鍵17´をシリンダ部21´から抜くことができないが、鍵17´を再び90゜逆回転させて元の位置に戻せば、鍵17´をシリンダ部21´から引き抜いて、シャックル錠S´と別に持ち運ぶことができる。そして、このように鍵17´を引き抜いた場合、回転部材23´は図22(a)に示す回転位置に復帰するが、移動係止部材51の係止保持部51bが軸部材50に係止しているので、軸部材50は、図25に示すように「解錠角度位置」に保持されることとなる。
【0052】
そして、図25に示すような状態より再び施錠を行う場合は次のようにする。即ち、鍵17´による操作を何ら行うことなく、係止ロッド1´の係止部1c´を、錠本体3´の挿入孔15´にそのまま差し込み、移動係止部材51によって「解錠角度位置」に保持されている軸部材50を、係止部1c´の入口溝1e´に挿入する。すると、係止部1c´によって移動係止部材51の押圧部51aが押圧されて、挿入方向(矢印A方向)に移動させられるので、係止保持部51bと軸部材50との係止が解除される。そして、軸部材50が係止孔1f´の内部に達すると、渦巻ばね27´の付勢力によって軸部材50が「係止角度位置」に回転復帰するので、係止孔1f´の内面に軸部材50の係止突部50f,50fを当接・係止させて、施錠を行うことができる。
【0053】
このように、第2実施例のシャックル錠S´においても、施錠の際には、錠本体3´の挿入孔15´に係止部1c´を差し込むだけで施錠を行うことが可能であり、鍵17´を用いることなく、ワンタッチで迅速簡便に施錠を行うことができるという顕著な効果がある。
【0054】
また、第2実施例においては、移動係止部材51およびコイルばね53を設けることにより、係止ロッド1´を錠本体3から外れる方向(矢印A´方向)に付勢しているので、軸部材50を「係止解除位置」に回転移動させて解錠を行った場合、係止部1cひいては係止ロッド1が錠本体3から外れる方向に付勢されて飛び出す。よって、解錠操作を容易に行うことができるという効果がある。また、図24の施錠状態において、コイルばね53が、係止部1cをその挿入方向とは逆方向(矢印A´方向)に付勢しているので、係止部1cが軸部材50に押し付けられる。従って、錠本体3´に挿入されている係止ロッド1´ががたつくことがなく、施錠を確実に行うことができるという利点がある。
また、上記第2実施例においては、軸部材50として断面略長方形の棒材を用い、仮想の中心軸P´を挟んで位置する2つの係止突部50f,50fを、係止部1c´の係止孔1f´に当接・係止させているので、1つの係止突部19aを当接・係止させている第1実施例に比べて、より確実かつ強固に施錠を行うことができ、盗難防止の効果がより一層高くなる。
【0055】
なお、第2実施例のシャックル錠S´において、軸部材50の代わりに、第1実施例と同様な軸部材19(図6等参照)を用いることもできる。この場合も、係止突部19aを移動係止部材51の係止保持部51bに係止させることにより、軸部材19を「解錠角度位置」に保持することが可能である。よって、施錠時には、「解錠角度位置」にある軸部材19を係止部1c´の入口溝1e´に挿入し、移動係止部材51を押圧すれば、係止保持部51bと軸部材19との係止が解除され、軸部材19が「係止角度位置」に回転復帰するので、係止孔1f´の内面に軸部材19の係止突部19aを当接・係止させて施錠を行うことができる。なお、この場合、「解錠角度位置」にある軸部材19の係止突部19aが、係止部1c´の挿入方向に突出するように構成することもできるし、逆に、係止突部19aが係止部1c´の挿入方向とは逆方向に突出するように構成することもできる。
【0056】
また、移動係止部材51の係止保持部51b,51bの形状は、軸部材50に係止して軸部材50を解錠角度位置に保持可能なものであれば、上記第2実施例のような上側に開放された略コの字状ものに限らず、様々な形状のものを採用することができる。
【0057】
以上実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様で実施し得る。
例えば、本発明にて用いられる係止体としては、U字状の係止ロッドに限らず、例えば屈曲可能なワイヤー等を用いてもよい。
【0058】
また、上記第1および第2実施例においては、係止突部を軸部材のほぼ全長にわたって設けているが、この係止突部を、係止部が係止される部分のみに設けることとしてもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の発明の施錠装置においては、施錠時には、係止体の係止部の挿入動作によって、軸部材を解錠角度位置に回転させて係止部の入口溝に挿入し、更に、付勢部材の付勢力によって、係止孔内に達した軸部材を係止角度位置に回転復帰させ、係止孔の内面に軸部材の係止突部を当接・係止させて施錠を行う。よって、錠本体の挿入孔に係止部を差し込むだけで施錠を行うことが可能であり、鍵を用いることなく、ワンタッチで迅速簡便に施錠を行うことができるという顕著な効果を奏する。
【0060】
また、請求項2の施錠装置においては、施錠時には、係止体の係止部の挿入動作によって、解錠角度位置に保持されている軸部材を係止部の入口溝に挿入し、係止部によって移動係止部材の押圧部を押圧移動させて、係止保持部と軸部材との係止を解除する。そして、付勢部材の付勢力によって、係止孔内に達した軸部材を係止角度位置に回転復帰させ、係止孔の内面に係止突部を当接・係止させて施錠を行う。よって、請求項1の発明と同様に、係止体の係止部を錠本体の挿入孔に挿入するだけで施錠を行うことができ、鍵を用いることなくワンタッチで施錠を行うことができるという顕著な効果を奏する。また、特に請求項2の発明では、施錠状態において、移動係止部材および第2の付勢部材によって、係止部が錠本体から外れる方向に付勢される。従って、解錠操作を行った場合、係止部ひいては係止ロッドが錠本体から外れる方向に付勢されて飛び出すので、解錠操作を容易に行うことができるという効果がある。また、施錠状態においては、移動係止部材および第2の付勢部材によって、係止部が軸部材に対して押し付けられることとなるので、錠本体に挿入されている係止ロッドががたつくことがなく、施錠を確実に行うことができるという効果がある。
【0061】
また、請求項3の発明においては、略U字状の係止ロッドの両端に設けられた2つの係止部を錠本体に係止させてループ体を形成することにより、施錠を行うことが可能となる。
更に、請求項4の発明においては、係止体の係止部の近傍に、係止部を錠本体への挿入方向とは逆方向に付勢する付勢部材が設けられている。よって、軸部材を係止解除位置に回転移動させて解錠を行った場合、係止体が錠本体から外れる方向に付勢されて飛び出すので、解錠操作を容易に行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例のシャックル錠を示す斜視図である。
【図2】第1実施例の係止ロッドの構成を示す説明図であり、(a)はその正面図、(b)はその右側面図、(c)はその平面図である。
【図3】施錠状態における第1実施例のシャックル錠の縦断面図である。
【図4】解錠状態における第1実施例のシャックル錠の縦断面図である。
【図5】図3におけるB−B断面図である。
【図6】第1実施例の軸部材を示す斜視図である。
【図7】第1実施例の軸部材のC−C断面図である。
【図8】第1実施例の錠本体のシリンダ部を示す拡大縦断面図であり、(a)はシリンダ部より鍵を抜いた状態を示す断面図であり、(b)はシリンダ部に鍵を挿入した状態を示す断面図である。
【図9】第1実施例の錠本体の右側面図である。
【図10】第1実施例の回転部材の構成を示す説明図であり、(a)はその斜視図であり、(b)は左側面図であり、(c)はF−F断面図である
【図11】図8におけるD−D断面図であり、(a)は軸部材が係止角度位置にある状態を示し、(b)は軸部材が解錠角度位置にある状態を示す。
【図12】第1実施例の回転部材の動作を示す断面図である。
【図13】図8におけるE−E断面図である。
【図14】第1実施例のシャックル錠の動作を示す断面図である。
【図15】第1実施例のシャックル錠の動作を示す断面図である。
【図16】第1実施例のシャックル錠の動作を示す断面図である。
【図17】第1実施例のシャックル錠の動作を示す断面図である。
【図18】施錠状態における第2実施例のシャックル錠の縦断面図である。
【図19】解錠状態における第2実施例のシャックル錠の縦断面図である。
【図20】図19におけるG−G断面図である。
【図21】第2実施例の軸部材を示す斜視図である。
【図22】第2実施例の回転部材および軸部材の構成および動作を示す断面図である。
【図23】第2実施例の移動係止部材の構成を示す説明図であり、(a)はその正面図であり、(b)は左側面図であり、(c)は平面図である
【図24】第2実施例のシャックル錠の動作を示す断面図である。
【図25】第2実施例のシャックル錠の動作を示す断面図である。
【図26】従来技術の施錠装置を示す説明図である。
【符号の説明】
S,S´・・・シャックル錠 1,1´・・・係止ロッド
3,3´・・・錠本体 3c,3c´・・・係止部
1e,1e´・・・入口溝 1f,1f´・・・係止孔
9,9´・・・コイルばね 17,17´・・・鍵
19,50・・・軸部材 19a,50f・・・係止突部
21,21´・・・シリンダ部 23,23´・・・回転部材
27,27´・・・うず巻ばね 51・・・移動係止部材
51a・・・押圧部 51b・・係止保持部
53・・・コイルばね(第2の付勢部材)
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば自転車やオートバイ等の盗難を防止するために用いられる施錠装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自転車やオートバイ等の二輪車の盗難を防止するために、係止ロッドやワイヤー等の係止体を錠本体に接続してループ体を形成する施錠装置(シャックル錠やワイヤー錠等)が用いられている。これらの施錠装置は、錠本体に設けられた挿入孔に、係止体の係止部を挿入・係止して施錠を行うものであり、例えば、本願出願人が出願した特開平5−12567号公報のシャックル錠においては、図26(a)および(b)に示すように、シリンダ錠本体P3に設けられる挿入孔P5に、U字状の係止ロッドの端部P7に設けられた係止部P9を挿入し、係止部P9の係止孔P11に棒材P13を嵌め入れた後に、図示しない鍵の操作によって棒材P13を90゜回転させ、棒材P13を係止部P9に係止させて施錠を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の施錠装置においては、施錠の際に鍵の操作が必要であり、ワンタッチで迅速簡便に施錠を行うことができないという問題があった。つまり、例えば図26にて説明したシャックル錠の場合は、施錠を行う際に、鍵をシリンダ錠本体P3に差し込んで回し、棒材P13を回転させる必要があるので、施錠操作が煩雑になるという問題があった。また、シリンダ錠本体P3と鍵を別々に持ち運んでいる場合には、施錠の際に鍵をわざわざ取り出さなければならず、しかも、鍵を持っていなければ施錠ができないという問題があった。
【0004】
本発明は、前記課題を解決するためになされ、施錠の際に鍵が不要であり、ワンタッチで迅速簡便に施錠を行うことのできる施錠装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための請求項1の発明は、
係止体と、該係止体の係止部を挿入・係止させて施錠を行う錠本体とを備えた施錠装置において、
上記錠本体には、
係止突部を有し、上記錠本体内部に軸支され、回動角度が規制された軸部材と、
上記係止突部が上記係止部の挿入方向に対してほぼ直交する方向に突出する係止角度位置に向けて、上記軸部材を軸回りに付勢する付勢部材と、
鍵による開錠操作に応じて、上記係止突部がほぼ上記挿入方向に突出する解錠角度位置に向けて、上記軸部材を上記付勢部材の付勢力に抗して軸回りに回転させる開錠機構と、
を設けるとともに、
上記係止部には、上記解錠角度位置にある上記軸部材を挿入可能な入口溝と、該入口溝に連通し、内部で上記軸部材が回転可能な係止孔と、
を設けることにより、
施錠時には、上記錠本体に上記係止部を挿入し、上記入口溝の縁部にて上記軸部材の係止突部を押圧することにより、該軸部材を上記解錠角度位置に回転させて上記入口溝に挿入し、更に、上記付勢部材の付勢力によって、上記係止孔内に達した上記軸部材を上記係止角度位置に回転復帰させ、上記係止孔の内面に上記係止突部を当接・係止させて施錠を可能としたことを特徴とする。
【0006】
また、請求項2の発明は、
係止体と、該係止体の係止部を挿入・係止させて施錠を行う錠本体とを備えた施錠装置において、
上記錠本体には、
係止突部を有し、上記錠本体内部に軸支され、回動角度が規制された軸部材と、
上記係止突部が上記係止部の挿入方向に対してほぼ直交する方向に突出する係止角度位置に向けて、上記軸部材を軸回りに付勢する付勢部材と、
鍵による開錠操作に応じて、上記係止突部がほぼ上記挿入方向または該挿入方向とは逆方向に突出する解錠角度位置に向けて、上記軸部材を上記付勢部材の付勢力に抗して軸回りに回転させる開錠機構と、
上記係止部の挿入方向に沿って移動可能に設けられ、上記係止部によって押圧される押圧部および上記軸部材に係止して該軸部材を解錠角度位置に保持する係止保持部を備えた移動係止部材と、
上記移動係止部材を上記係止部の挿入方向とは逆方向に付勢して、該移動係止部材の係止保持部を上記軸部材に係止させる第2の付勢部材と、
を設けるとともに、
上記係止部には、上記解錠角度位置にある上記軸部材を挿入可能な入口溝と、該入口溝に連通し、内部で上記軸部材が回転可能な係止孔と、
を設けることにより、
施錠時には、上記錠本体に上記係止部を挿入して、上記移動係止部材によって上記解錠角度位置に保持されている上記軸部材を上記入口溝に挿入し、更に、上記係止部によって上記移動係止部材の押圧部を押圧移動させて、上記係止保持部と上記軸部材との係止を解除し、上記付勢部材の付勢力によって上記軸部材を上記係止角度位置に回転させて、上記係止孔の内面に上記係止突部を当接・係止させて施錠を可能としたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項3の発明は、請求項1または2に記載の施錠装置において、上記係止体が略U字状の係止ロッドであり、該係止ロッドの両端に上記係止部を設けたことを特徴とする。
更に、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の施錠装置において、上記係止体の係止部の近傍には、該係止部を上記錠本体に係止した場合に、上記錠本体に当接し、上記係止部を上記挿入方向とは逆方向に付勢する付勢部材を設けたことを特徴とする。
【0008】
【作用】
上記構成を有する請求項1の施錠装置においては、施錠時には、錠本体の挿入孔に係止体の係止部を挿入することによって施錠を行う。つまり、係止体の挿入動作にともない、係止角度位置(即ち係止突部が係止部の挿入方向に対してほぼ直交する方向に突出する位置)にある軸部材の係止突部を、入口溝の縁部によって押圧する。これにより、軸部材を、解錠角度位置(即ち係止突部がほぼ係止突部の挿入方向に突出する角度位置)に向けて軸回りに回転させて、軸部材を係止部の入口溝に挿入する。そして、更に、係止部の係止孔内に達した軸部材を、付勢部材の付勢力によって係止角度位置に回転復帰させ、係止孔の内面に係止突部を当接・係止させて施錠を行う。よって、係止体の係止部を錠本体の挿入孔に挿入するだけで施錠を行うことができ、鍵を用いることなくワンタッチで施錠を行うことができる。
【0009】
また、上記構成を有する請求項2の施錠装置においても、上記請求項1の場合と同様に、錠本体の挿入孔に係止体の係止部を挿入することによって施錠を行う。つまり、係止体の挿入動作にともない、移動係止部材によって解錠角度位置(係止突部がほぼ係止部の挿入方向またはこの挿入方向とは逆方向に突出する位置)に保持されている軸部材を、係止部の入口溝に挿入する。そして、更に係止部を挿入することにより、係止部によって移動係止部材の押圧部を押圧移動させて、係止保持部と軸部材との係止を解除する。すると、係止部の係止孔内に達した軸部材が、付勢部材の付勢力によって係止角度位置(即ち係止突部が係止部の挿入方向に対してほぼ直交する方向に突出する位置)に回転させられることとなるので、係止孔の内面に係止突部を当接・係止させて施錠を行うことができる。よって、請求項2の発明においても、係止体の係止部を錠本体の挿入孔に挿入するだけで施錠を行うことができ、鍵を用いることなくワンタッチで施錠を行うことができる。
【0010】
また、特に請求項2の発明においては、移動係止部材および第2の付勢部材を設けているので、軸部材が係止部に係止されている施錠状態において、係止部が移動係止部材および第2の付勢部材によって、錠本体から外れる方向に付勢されることとなる。よって、軸部材を係止解除位置に回転移動させて解錠を行った場合、係止部ひいては係止ロッドが錠本体から外れる方向に付勢されて飛び出すので、解錠操作を容易に行うことができる。
【0011】
更に、請求項2の発明では、施錠状態において、移動係止部材および第2の付勢部材によって係止部が付勢されるので、係止部が軸部材に対して押し付けられることとなる。従って、錠本体に挿入されている係止ロッドががたつくことがない。
【0012】
また、請求項3の発明においては、係止体が略U字状の係止ロッドであり、この係止ロッドの両端に係止部を設けている。よって、この2つの係止部を錠本体に係止させてループ体を形成することにより、施錠を行うことが可能となる。つまり、例えば二輪車の施錠を行う場合は、略U字状の係止ロッドを二輪車のスポークの間に挿通し、係止部を錠本体に挿入すれば、二輪車の車輪を施錠することができる。
【0013】
また、請求項4の発明においては、係止体の係止部を上記錠本体に係止した場合に、係止体の係止部の近傍に設けられた付勢部材が錠本体に当接して、係止部を、錠本体への挿入方向とは逆方向に付勢する。よって、軸部材を係止解除位置に回転移動させて解錠を行った場合、係止体が錠本体から外れる方向に付勢されて飛び出すので、解錠を容易に行うことができる。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
まず、本発明の第1実施例について説明する。ここで、図1は第1実施例のシャックル錠Sを示す斜視図である。また、図2は係止ロッド1を表し、(a)はその正面図、(b)はその右側面図、(c)はその平面図である。図3は施錠状態におけるシャックル錠Sの縦断面図(図1におけるA−A断面図)であり、図4は、解錠状態におけるシャックル錠Sの縦断面図である。また、図5は、図3におけるB−B断面図である。
【0015】
図1に示すように、シャックル錠1は、U字形の係止ロッド(係止体)1と、係止ロッド1の両端の係止部1c,1c(図2参照)を挿入・係止させて施錠を行う円柱状の錠本体3とを備えている。
錠本体3は、図3および図4に示すように、金属製の円筒部11の周囲が硬質合成樹脂製のケース13にて覆われており、この円筒部11およびケース13の上部には、係止ロッド1の係止部1c,1cが挿入される円形の挿入孔15,15が設けられ、ケース13の右側端部には、鍵17(図1参照)を受け入れるための円形の開口部18が設けられている。
【0016】
そして、円筒部11の内部には、係止突部19a(図4参照)を有する金属製の軸部材19と、円筒部11の一方の端部(右端部)11aに設けられて解錠操作を司るシリンダ部21と、このシリンダ部21によって回転される回転部材23と、係止ロッド1の一方の係止部1cが挿入される被挿入部材25と、軸部材19を軸回りに付勢するうず巻ばね27(1点鎖線で示す)と、円筒部11の他方の端部(左端部)11bに設けられ、係止ロッド1の他方の係止部1cが挿入される被挿入部材29とが設けられている。
【0017】
ここで、軸部材19は、図6の斜視図および図7のC−C断面図に示すように、細長い円柱体19´の側面に、その両端部19b,19cの部分を除いて、四角柱状の係止突部19aを突設したものである。即ち、両端部19b,19cは円柱状であり、図3に示すように、この両端部19b,19cが、各々後述する回転部材23および被挿入部材29に対して回動可能に嵌合される。これにより、軸部材19は、錠本体3の内部に軸支され、図6および図7に示す仮想の中心軸P(円柱状の両端部19b,19cの中心を通る仮想軸)を中心として回動可能となっている。
【0018】
次に、解錠操作を司るシリンダ部21について説明する。ここで、図8は、錠本体3のシリンダ部21等を示す拡大縦断面図であり、図9は錠本体3の右側面図である。
シリンダ部21は、特開平5−12567号公報等に開示されるものであり、円筒形のロータケース31(円筒部11に図示しないピン等で固定されている)の内部に第1ロータ33が固定され、その内側に第2ロータ35が回転可能に嵌め入れられたものである。第2ロータ35の回転部材23側の端部には、回転部材23の溝23aに係止する断面長方形の突起35aが形成されるとともに、その反対側(鍵17が挿入される側)の端部には、鍵17の円筒部17aの内側突起17bに嵌合する溝部35bが設けられている。また、ロータケース31の鍵17が挿入される側の端部には、鍵17の円筒部17aの外側突起17cが通過可能な形状の切欠31aが形成されている。
【0019】
そして、第2ロータ35には穴35dが穿設されており、この穴35dには第2ピン41が移動可能に挿通されている。この第2ピン41は、図9に示すように、円状に合計7個設けられている。また、図8に示すように、第1ロータ33には、第2ピン41に対向する位置に穴33aが設けられ、その中に第1ピン43が挿通されている。この第1ピン43は、ばね45によって第2ロータ35に向けて付勢されており、図8(a)の状態においては、計7本の第1ピン43が対応する第2ロータ35の穴35dに嵌入するので、第2ロータ35は回転不能となる。一方、解錠する場合は、図8(b)に示すように、鍵17の円筒部17aを鍵穴46に挿入すると、第2ピン41が円筒部17aの先端によって押し出され、第1ピン43と第2ピン41との当り面が、第1ロータ33と第2ロータ35の当り面に一致する。よって、第2ロータ35は回転可能な状態となるので、鍵17を回せば、第2ロータ35の溝部35bと鍵17の円筒部17aの内側突起17bとが係止しているので、鍵17とともに第2ロータ35が回転する。
【0020】
次に、回転部材23は、図8に示すように、上述のシリンダ部21に隣接して設けられ、シリンダ部21の第2ロータ35と一体となって回転される部材である。この回転部材23は、図10(図10(a)は回転部材23を示す斜視図であり、(b)は同左側面図であり、(c)は同F−F断面図である)に示すように、略円柱(短柱)状の部材であり、その右側の端面(シリンダ部21に対向する端面)には、シリンダ部21の第2ロータ35の突起35aに嵌合する断面コの字状の溝23aが設けられている。これにより、回転部材23は、第2ロータ35と一体となって回転することができる。
【0021】
また、回転部材23の左側の端面23bの中央には、軸部材19の係止突部19aの端部19d(図6参照)が嵌入される規制孔23eが形成され、この規制孔23eの奥には、軸部材19の端部19bが回動自在に嵌合される軸支孔23dが形成されている。ここで、規制孔23eは、略扇型に形成されており、軸部材19の回動角度(中心軸Pを中心とする回動の角度)を規制するものである。即ち、図11(図8におけるD−D断面図)に示すように、規制孔23eの内周面は、互いに直交する平坦な規制面F1,F2と、軸部材19が回動可能となるように円弧状に形成された曲面F3とからなる。よって、軸部材19の回動角度は、図11(a)示すような「係止角度位置」と、図11(b)に示すような「解錠角度位置」との間で約90゜回動可能となっている。ここで、図11(a)の「係止角度位置」とは、係止突部19aが、係止部1cを錠本体3に挿入する方向(矢印A方向)に対してほぼ直交する方向に突出する位置であり、軸部材19が後述する係止ロッド1に係止される位置である。また、図11(b)の「解錠角度位置」とは、係止突部19aがほぼ上記係止部1cの挿入方向(矢印A方向)に突出する位置である。
【0022】
なお、図8(a)に示すように第2ロータ35が回転不能な状態にある場合、回転部材23は、図11(a)に示す回転位置にある。つまり、一方の規制面F1が係止部1cの挿入方向(矢印A方向)に対して垂直であり、他方の規制面F2が上記挿入方向に対して水平となっている。一方、上述のように解錠操作を行い、第2ロータ35を図9において右回りに90゜回転させた場合、回転部材23が、図12に示すような回転位置(即ち、規制孔23eの規制面F1が、係止部1cの挿入方向に対して平行となる位置)に回転移動する。よって、軸部材19も、その係止突部19aが規制面F1によって押圧されることにより、軸部材19と一体となって90゜回転し、上述の「解錠角度位置」まで回転移動する。
【0023】
次に、被挿入部材25は、図3〜図5に示すように、係止ロッド1の係止部1cが挿入される円形の挿入孔25aが形成された部材であり、円筒部11の内部にピン等によって固定されている。この被挿入部材25の中央部には、軸部材19が挿通される規制孔25cが穿設されている。この規制孔25cの断面形状は、上述の回転部材23の規制孔23eと同じ形状(略扇形)であり、規制孔23eと同様に、軸部材19の回動角度を上述の「係止角度位置」と「解錠角度位置」との間で規制している。なお、被挿入部材25は、円筒部11の内部にて回転しないように固定されているので、常に一方の規制面F1が、係止部1cの挿入方向(矢印A方向)に対して垂直となっている。
【0024】
そして、被挿入部材25の右側の端面(回転部材23に対向する端面)には、軸部材19を軸回りに付勢するうず巻ばね27が設けられている。このうず巻ばね27は、図13(図8におけるE−E断面図)に示すように、細長い鋼帯を渦状に巻いたばねであり、被挿入部材25の端面に形成された凹部25eの中に取り付けられている。うず巻ばね27の内側の端部には、軸部材19の断面形状に適合する形状に折曲げられた軸部材嵌合部27bが折曲げ形成されており、この軸部材嵌合部27bに軸部材19が挿通・嵌合されている。これにより、軸部材19がうず巻ばね27に保持されることとなる。また、うず巻ばね27の外側の端部27cは、外側に向けてほぼ直角に折曲げられており、この端部27cが、被挿入部材25の上部に形成された溝25gに嵌め込まれている。端部27aは、被挿入部材25の溝25gの一方の縁部25hを図中右方向に押圧している。よって、軸部材19は、うず巻ばね27によって、回転軸Pを中心として常に矢印C方向に回転するように付勢される。即ち、軸部材19は、上述の「係止角度位置」(図11(a)の位置)に向けて、常に軸回りに付勢されており、係止突部19aが規制孔23eの規制面F1に押し付けられる。これにより、軸部材19は「係止角度位置」に保持される。
【0025】
次に、被挿入部材29は、図3〜図5に示すように、上述の被挿入部材25と同様、係止ロッド1の他方の係止部1cが挿入される円形の挿入孔29aが形成された略円柱状の部材であり、円筒部11の内部にピン等によって固定されている。この被挿入部材29には、軸部材19が挿通される規制孔29cが穿設されている。この規制孔29cの断面形状は、上述の被挿入部材25の規制孔25cと同じ略扇形である。また、被挿入部材29の挿入孔29aの内面には、上述の回転部材23と同様に、軸部材19の係止突部19aの端部19e(図6参照)が嵌入される規制孔29eが形成され、この規制孔29eの奥には、軸部材19の端部19cが回動自在に嵌合される軸支孔29fが形成されている。規制孔29eの断面形状は、回転部材23の規制孔23eと同様な略扇形であり、軸部材19の回動角度を上述の「係止角度位置」と「解錠角度位置」との間で規制している。
【0026】
次に、係止ロッド1は、図1に示すように、U字状の形態を有しており、金属製の軸心部1aの回りが合成樹脂製のカバー1bで覆われている。図2および図14(図3におけるF−F断面図)に示すように、両先端の係止部1cは、それぞれ先が側面に対して二股に分かれており、「解錠角度位置」にある軸部材19を挿入可能な入口溝1eと、この入口溝1eに連通し、内部で軸部材19が回転可能な円形の係止孔1fが設けられている。入口溝1eの横幅は、軸部材19の厚みD(図7参照)よりも大きくされており、従って、「解錠角度位置」にある軸部材19を入口溝1eに挿入することが可能となる。また、係止孔1fの内半径は、軸部材19の回転軸Pより係止突部19aの角部19fまでの距離とほぼ同じである。よって、図14のような状態において、係止孔1fの内部で、軸部材19が回転可能となる。
【0027】
また、図3に示すように、係止ロッド1の両係止部1c,1cの近傍には、筒状の封止キャップ7,7がそれぞれ外嵌・固定されている。この封止キャップ7は、軸心部1aに固定された小径部7aと、ケース13の挿入孔15の周囲に円環状に突設された突出部13bに外嵌される大径部7bとからなり、係止部1cを錠本体3に挿入・係止して施錠した場合、封止キャップ7の大径部7bが突出部13bに外嵌・密着するように構成されている。よって、施錠状態において、挿入孔15が封止キャップによって密封されるので、挿入孔15から雨水やほこりが侵入することがなく、錠本体3内部における錆や故障が防止される。
【0028】
そして、封止キャップ7の大径部7bと軸心部1aとの間の隙間8には、付勢部材としてのコイルばね9が挿入されている。このコイルばね9は、図3に示すように係止部1cを錠本体3に挿入・係止して施錠した場合、ケース13の突出部13bの上端部に当接し、係止部1cひいては係止ロッド1を、錠本体3への挿入方向(矢印A方向)とは逆の方向(矢印A´方向)に付勢するものである。
【0029】
続いて、上記構成を有するシャックル錠Sの開錠動作及び施錠動作を説明する。
まず、図3に示す施錠状態においては、係止ロッド1の係止部1c,1cが錠本体3の挿入孔15,15に挿入されており、軸部材19が、係止部1c,1cの係止孔1f,1fに係止している。即ち、図14に示すように、軸部材19の係止突部19aが「係止角度位置」にあり、軸部材19の係止突部19aが、係止孔1fの内面に当接・係止している。よって、錠本体3より係止ロッド1を矢印A´方向に引き抜くことができない。なお、この状態において、係止ロッド1は、上述のコイルばね9によって矢印A´方向に付勢されている。
【0030】
次に、上述のような施錠状態より係止ロッド1を引き抜いて開錠する場合は、図8(b)に示すように、鍵17の円筒部17aをシリンダ部21の鍵穴46に差込み、鍵17を図9において右回り(矢印D方向)に90゜回す。すると、上述のように、シリンダ部21の第2ロータ35と回転部材23とが一体となって90゜回転するので、回転部材23は、図11(a)に示す位置から、図12に示す位置まで90゜回転移動する。従って、軸部材19が、回転部材23の規制面F1によって、うず巻ばね27の付勢力に抗して押圧されるので、回転部材23と共に90゜回転して「解錠角度位置」まで移動する。よって、図15に示すように、軸部材19と係止孔1fとの係止が外れ、係止部1cを錠本体3から矢印A´方向に引き抜いて開錠することができる。この際、係止ロッド1はコイルばね9によって矢印A´方向に付勢されているので、係止部1cひいては係止ロッド1が錠本体3から外れる方向(矢印A´方向)に付勢されて飛び出すこととなる。
【0031】
なお、図8(b)の状態より鍵17を90゜回して解錠した場合、鍵17の円筒部17aの外側突起17cがロータケース31に引掛かるので、鍵17をシリンダ部21から抜くことができないが、鍵17を再び90゜逆回転させて元の位置に戻せば、鍵17をシリンダ部21から引き抜いて、シャックル錠Sと別に持ち運ぶことができる。そして、このように鍵17を引き抜いた場合、回転部材23が図11(a)に示すような回転位置に復帰するので、軸部材19も、うず巻ばね27の付勢力によって「解錠角度位置」から「係止角度位置」に回転復帰する。よって、図16に示すように、係止ロッド1を錠本体3から引き抜いた状態において、軸部材19を「係止角度位置」に復帰させることができる。
【0032】
そして、図16に示すような状態より再び施錠を行う場合は次のようにする。即ち、鍵17による操作を何ら行うことなく、係止ロッド1の係止部1cを、錠本体3の挿入孔15にそのまま差し込む。すると、図16に2点鎖線で示すように、「係止角度位置」にある軸部材19の係止突部19aが、係止部1cの入口溝1eの縁部1jによって押圧される。これにより、図17に示すように、軸部材19が「解錠角度位置」に回転し、軸部材19が入口溝1eに挿入される。そして、更に係止部1cを錠本体3内に挿入すると、軸部材19が係止孔1fに達し、図14に示すように、うず巻ばね27の付勢力によって、軸部材19が「係止角度位置」に回転復帰する。よって、再び係止孔1fの内面に係止突部19aを当接・係止させて、施錠を行うことができる。
【0033】
このように、本実施例のシャックル錠Sにおいては、施錠の際には、錠本体3の挿入孔15に係止部1cを差し込むだけで施錠を行うことが可能であり、鍵17を用いることなく、ワンタッチで迅速簡便に施錠を行うことができるという顕著な効果がある。
【0034】
しかも、本実施例においては、係止ロッド1の係止部1cと、錠本体3内部に回転可能に軸支された軸部材19とを係止させて施錠を行っている。よって、盗難などの目的で錠本体3に一方向から大きな衝撃を加えたとしても、軸部材19がうず巻ばね27の付勢力に抗して「解錠角度位置」に回転移動することがない。従って、係止を解除して係止ロッド1を錠本体3より引き抜くことができず、盗難防止に優れた効果を発揮する。
【0035】
また、本実施例においては、係止ロッド1の係止部1cの近傍に、コイルばね9が設けられており、このコイルばね9は、係止部1cを錠本体3に挿入・係止した場合に、錠本体3の突出部13bに当接し、係止部1cを錠本体3への挿入方向とは逆方向(矢印A´方向)に付勢している。よって、図4に示すように、軸部材19を係止解除位置に回転移動させて解錠を行った場合、係止部1cひいては係止ロッド1が錠本体3から外れる方向に付勢されて飛び出すので、解錠操作を容易に行うことができるという効果がある。
【0036】
次に、第2実施例のシャックル錠を、図18〜図25に基づいて説明する。ここで、図18は、施錠状態におけるシャックル錠S´の縦断面図であり、図19は、解錠状態におけるシャックル錠S´の縦断面図である。また、図20は、図19におけるG−G断面図である。
【0037】
なお、第2実施例のシャックル錠S´において、第1実施例のシャックル錠Sと同様な部分については、第1実施例に付した符号に「´」(ダッシュ)を加えた符号を付し、特に変わった部分以外は詳細な説明を省略する。
第2実施例のシャックル錠S´は、軸部材50の形状が第1実施例と異なっている点と、錠本体3´の被挿入部材25´,29´の挿入孔25a´,29a´の中に、移動係止部材51,51およびこれを付勢するコイルばね(第2の付勢部材)53,53が設けられている点に特徴がある。
【0038】
軸部材50は、図21の斜視図および図22(図18におけるH−H断面図)に示すように、断面略長方形の棒材であり、その端部50b,50cは、第1実施例と異なり、円柱状に形成されていない。端部50b,50cは、それぞれ回転部材23´および被挿入部材29´に設けられた軸支孔55,57に回動可能に嵌入されている。軸支孔55,57は、断面円形の孔であり、その内径は、軸部材19´の長方形の端面50dの対角線の長さL(図21参照)とほぼ等しくされている。これにより、軸部材19´は、錠本体3´の内部に軸支され、図21および図22に示す仮想の中心軸P´(軸部材50の中心を通る軸)を中心として回動可能となる。そして、図22に示すように、中心軸P´を挟んで対向する2つの短辺50e,50eの近傍の部分が、係止突部50f,50fとしての役割を果たす(即ち第1実施例の係止突部19aと同様な作用を果たす)こととなる。
【0039】
また、図22に示すように、軸支孔55の内側には、軸部材50の回動角度を規制する断面略直角三角形状の規制凸部61,63が突設されており、これにより、軸部材50の回動角度は、図22(a)に実線で示す位置(「係止角度位置」)と、2点鎖線で示す位置(「解錠角度位置」)との間で規制されている。
【0040】
ここで、「係止角度位置」とは、軸部材50の係止突部50f,50fが、錠本体3´に挿入する方向(矢印A方向)に対してほぼ直交する方向に突出する位置(短辺50eが係止部1c´の挿入方向に平行となる位置)であり、軸部材50が後述する係止ロッド1´に係止される位置である。また、「解錠角度位置」とは、係止突部50f,50fが、ほぼ係止部1c´の挿入方向(矢印A方向)またはこの挿入方向とは逆方向に突出する位置(短辺50eが係止部1c´の挿入方向に直交する位置)である。
【0041】
また、上記第1実施例と同様に解錠操作を行い、第2ロータ35´を図18の状態より90゜回転させた場合、回転部材23´は、図22(a)の状態より矢印D方向に90゜回転し、図22(b)に示すような位置に移動する。よって、軸部材50も、規制凸部61,63によって押圧されて、上述の「解錠角度位置」まで回転移動させられることとなる。
【0042】
なお、軸部材50の短辺50eの長さL´(図21参照)は、第1実施例と同様に、係止部1c´の入口溝1e´の横幅よりも小さくされており、従って、「解錠角度位置」にある軸部材50を入口溝1e´に挿入することが可能となる。また、係止孔1f´の内半径は、軸部材50の対角線の長さL(図21参照)よりも若干大きくされており、これにより、係止孔1f´の内部で軸部材50が回転可能となる。
【0043】
次に、移動係止部材51は、図23((a)はその正面図、(b)は左側面図、(c)は平面図である)に示すように、平面視略円形の押圧部51aと、上側に開放された略コの字状の係止保持部51b,51bとを備えるものである。なお、移動係止部材51は金属板を折曲加工して形成されている。
【0044】
押圧部51aは、図23(b)に示すように、係止部1c´の先端部の形状に応じて、上側に向けて凹となるように円弧状に湾曲している。また、図23(c)に示すように、押圧部51aの外径Mは、係止部1c´の先端部によって確実に押圧されるように、係止ロッド1´の係止部1c´の外径とほぼ等しい大きさとされている。
【0045】
両係止保持部51b,51bは、押圧部51aの中心点を挟んで対称な位置に設けられており、挿入孔25a´,29a´の内側に設けられた溝65(図18,19参照)に対して、図中上下に移動可能となるように嵌め込まれている。これにより、移動係止部材51は、係止部1c´の挿入方向に沿った方向(すなわち図18における矢印AまたはA´方向)に移動可能となっている。また、係止保持部51bの垂直方向に延びる1対の壁部51d,51dの間の間隔dは、軸部材50の短辺50eの長さL´(図21参照)とほぼ同じとされており、これによって、係止保持部51bの内側に軸部材50を短辺50e側から挿入し、両壁部51d,51dの間に軸部材50を挟んで係止させることができる。
【0046】
次に、コイルばね53は、図18等に示すように、移動係止部材51の押圧部51aの底面と円筒部11´との間に設けられており、移動係止部材51を常に係止部1c´の挿入方向とは逆方向(矢印A´方向)に付勢している。
続いて、上記構成を有するシャックル錠S´の開錠動作及び施錠動作を説明する。
【0047】
まず、図18に示す施錠状態においては、係止ロッド1´の係止部1c´,1c´が錠本体3´の挿入孔15´,15´に挿入されており、軸部材50が、係止部1c´,1c´の係止孔1f´,1f´に係止している。即ち、図24(図18におけるI−I断面図)に示すように、軸部材50(実線で示す)が「係止角度位置」にあり、この軸部材50の係止突部50fが、係止孔1f´の内面に当接・係止している。よって、錠本体3´より係止ロッド1´を矢印A´方向に引き抜くことができない。また、この状態において、移動係止部材51の押圧部51aは、係止ロッド1´の係止部1c´の先端部によって押圧されており、軸部材50に対して係止不能な位置に押し下げられている。
【0048】
次に、上述のような施錠状態より係止ロッド1´を引き抜いて開錠する場合は、第1実施例の場合と同様に、鍵17´の円筒部をシリンダ部21´の鍵穴46´に差込み、鍵17´を図24において右回り(矢印D方向)に90゜回す。すると、回転部材23´は、図22(a)に示す位置から、図22(b)に示す位置まで90゜回転移動するので、図24に2点鎖線で示すように、軸部材50が「解錠角度位置」に移動する。よって、軸部材50と係止孔1f´との係止が外れる。
【0049】
そして、図25に示すように、係止ロッド1´の係止部1c´を引き抜いて開錠すると、係止部1c´の先端部によって押圧されていた移動係止部材51が、コイルばね53によって付勢されて、係止部1c´の挿入方向とは逆方向(矢印A´方向)に移動する。これにより、係止保持部51bの内側に、軸部材50が短辺50e側から挿入されて、軸部材50が壁部51d,51dの間に挟まれる。即ち、移動係止部材51の係止保持部51bが、「解錠角度位置」にある軸部材50に係止することとなる。
【0050】
なお、上述の解錠操作の際に、係止ロッド1´の係止部1c´は、移動係止部材51によって矢印A´方向に付勢されているので、係止部1c´ひいては係止ロッド1´が錠本体3´から外れる方向(矢印A´方向)に付勢されて飛び出すこととなる。
【0051】
また、図18の状態より鍵17´を90゜回して解錠した場合、第1実施例と同様に、鍵17´の円筒部の外側突起がロータケース31´に引掛かるので、鍵17´をシリンダ部21´から抜くことができないが、鍵17´を再び90゜逆回転させて元の位置に戻せば、鍵17´をシリンダ部21´から引き抜いて、シャックル錠S´と別に持ち運ぶことができる。そして、このように鍵17´を引き抜いた場合、回転部材23´は図22(a)に示す回転位置に復帰するが、移動係止部材51の係止保持部51bが軸部材50に係止しているので、軸部材50は、図25に示すように「解錠角度位置」に保持されることとなる。
【0052】
そして、図25に示すような状態より再び施錠を行う場合は次のようにする。即ち、鍵17´による操作を何ら行うことなく、係止ロッド1´の係止部1c´を、錠本体3´の挿入孔15´にそのまま差し込み、移動係止部材51によって「解錠角度位置」に保持されている軸部材50を、係止部1c´の入口溝1e´に挿入する。すると、係止部1c´によって移動係止部材51の押圧部51aが押圧されて、挿入方向(矢印A方向)に移動させられるので、係止保持部51bと軸部材50との係止が解除される。そして、軸部材50が係止孔1f´の内部に達すると、渦巻ばね27´の付勢力によって軸部材50が「係止角度位置」に回転復帰するので、係止孔1f´の内面に軸部材50の係止突部50f,50fを当接・係止させて、施錠を行うことができる。
【0053】
このように、第2実施例のシャックル錠S´においても、施錠の際には、錠本体3´の挿入孔15´に係止部1c´を差し込むだけで施錠を行うことが可能であり、鍵17´を用いることなく、ワンタッチで迅速簡便に施錠を行うことができるという顕著な効果がある。
【0054】
また、第2実施例においては、移動係止部材51およびコイルばね53を設けることにより、係止ロッド1´を錠本体3から外れる方向(矢印A´方向)に付勢しているので、軸部材50を「係止解除位置」に回転移動させて解錠を行った場合、係止部1cひいては係止ロッド1が錠本体3から外れる方向に付勢されて飛び出す。よって、解錠操作を容易に行うことができるという効果がある。また、図24の施錠状態において、コイルばね53が、係止部1cをその挿入方向とは逆方向(矢印A´方向)に付勢しているので、係止部1cが軸部材50に押し付けられる。従って、錠本体3´に挿入されている係止ロッド1´ががたつくことがなく、施錠を確実に行うことができるという利点がある。
また、上記第2実施例においては、軸部材50として断面略長方形の棒材を用い、仮想の中心軸P´を挟んで位置する2つの係止突部50f,50fを、係止部1c´の係止孔1f´に当接・係止させているので、1つの係止突部19aを当接・係止させている第1実施例に比べて、より確実かつ強固に施錠を行うことができ、盗難防止の効果がより一層高くなる。
【0055】
なお、第2実施例のシャックル錠S´において、軸部材50の代わりに、第1実施例と同様な軸部材19(図6等参照)を用いることもできる。この場合も、係止突部19aを移動係止部材51の係止保持部51bに係止させることにより、軸部材19を「解錠角度位置」に保持することが可能である。よって、施錠時には、「解錠角度位置」にある軸部材19を係止部1c´の入口溝1e´に挿入し、移動係止部材51を押圧すれば、係止保持部51bと軸部材19との係止が解除され、軸部材19が「係止角度位置」に回転復帰するので、係止孔1f´の内面に軸部材19の係止突部19aを当接・係止させて施錠を行うことができる。なお、この場合、「解錠角度位置」にある軸部材19の係止突部19aが、係止部1c´の挿入方向に突出するように構成することもできるし、逆に、係止突部19aが係止部1c´の挿入方向とは逆方向に突出するように構成することもできる。
【0056】
また、移動係止部材51の係止保持部51b,51bの形状は、軸部材50に係止して軸部材50を解錠角度位置に保持可能なものであれば、上記第2実施例のような上側に開放された略コの字状ものに限らず、様々な形状のものを採用することができる。
【0057】
以上実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様で実施し得る。
例えば、本発明にて用いられる係止体としては、U字状の係止ロッドに限らず、例えば屈曲可能なワイヤー等を用いてもよい。
【0058】
また、上記第1および第2実施例においては、係止突部を軸部材のほぼ全長にわたって設けているが、この係止突部を、係止部が係止される部分のみに設けることとしてもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の発明の施錠装置においては、施錠時には、係止体の係止部の挿入動作によって、軸部材を解錠角度位置に回転させて係止部の入口溝に挿入し、更に、付勢部材の付勢力によって、係止孔内に達した軸部材を係止角度位置に回転復帰させ、係止孔の内面に軸部材の係止突部を当接・係止させて施錠を行う。よって、錠本体の挿入孔に係止部を差し込むだけで施錠を行うことが可能であり、鍵を用いることなく、ワンタッチで迅速簡便に施錠を行うことができるという顕著な効果を奏する。
【0060】
また、請求項2の施錠装置においては、施錠時には、係止体の係止部の挿入動作によって、解錠角度位置に保持されている軸部材を係止部の入口溝に挿入し、係止部によって移動係止部材の押圧部を押圧移動させて、係止保持部と軸部材との係止を解除する。そして、付勢部材の付勢力によって、係止孔内に達した軸部材を係止角度位置に回転復帰させ、係止孔の内面に係止突部を当接・係止させて施錠を行う。よって、請求項1の発明と同様に、係止体の係止部を錠本体の挿入孔に挿入するだけで施錠を行うことができ、鍵を用いることなくワンタッチで施錠を行うことができるという顕著な効果を奏する。また、特に請求項2の発明では、施錠状態において、移動係止部材および第2の付勢部材によって、係止部が錠本体から外れる方向に付勢される。従って、解錠操作を行った場合、係止部ひいては係止ロッドが錠本体から外れる方向に付勢されて飛び出すので、解錠操作を容易に行うことができるという効果がある。また、施錠状態においては、移動係止部材および第2の付勢部材によって、係止部が軸部材に対して押し付けられることとなるので、錠本体に挿入されている係止ロッドががたつくことがなく、施錠を確実に行うことができるという効果がある。
【0061】
また、請求項3の発明においては、略U字状の係止ロッドの両端に設けられた2つの係止部を錠本体に係止させてループ体を形成することにより、施錠を行うことが可能となる。
更に、請求項4の発明においては、係止体の係止部の近傍に、係止部を錠本体への挿入方向とは逆方向に付勢する付勢部材が設けられている。よって、軸部材を係止解除位置に回転移動させて解錠を行った場合、係止体が錠本体から外れる方向に付勢されて飛び出すので、解錠操作を容易に行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例のシャックル錠を示す斜視図である。
【図2】第1実施例の係止ロッドの構成を示す説明図であり、(a)はその正面図、(b)はその右側面図、(c)はその平面図である。
【図3】施錠状態における第1実施例のシャックル錠の縦断面図である。
【図4】解錠状態における第1実施例のシャックル錠の縦断面図である。
【図5】図3におけるB−B断面図である。
【図6】第1実施例の軸部材を示す斜視図である。
【図7】第1実施例の軸部材のC−C断面図である。
【図8】第1実施例の錠本体のシリンダ部を示す拡大縦断面図であり、(a)はシリンダ部より鍵を抜いた状態を示す断面図であり、(b)はシリンダ部に鍵を挿入した状態を示す断面図である。
【図9】第1実施例の錠本体の右側面図である。
【図10】第1実施例の回転部材の構成を示す説明図であり、(a)はその斜視図であり、(b)は左側面図であり、(c)はF−F断面図である
【図11】図8におけるD−D断面図であり、(a)は軸部材が係止角度位置にある状態を示し、(b)は軸部材が解錠角度位置にある状態を示す。
【図12】第1実施例の回転部材の動作を示す断面図である。
【図13】図8におけるE−E断面図である。
【図14】第1実施例のシャックル錠の動作を示す断面図である。
【図15】第1実施例のシャックル錠の動作を示す断面図である。
【図16】第1実施例のシャックル錠の動作を示す断面図である。
【図17】第1実施例のシャックル錠の動作を示す断面図である。
【図18】施錠状態における第2実施例のシャックル錠の縦断面図である。
【図19】解錠状態における第2実施例のシャックル錠の縦断面図である。
【図20】図19におけるG−G断面図である。
【図21】第2実施例の軸部材を示す斜視図である。
【図22】第2実施例の回転部材および軸部材の構成および動作を示す断面図である。
【図23】第2実施例の移動係止部材の構成を示す説明図であり、(a)はその正面図であり、(b)は左側面図であり、(c)は平面図である
【図24】第2実施例のシャックル錠の動作を示す断面図である。
【図25】第2実施例のシャックル錠の動作を示す断面図である。
【図26】従来技術の施錠装置を示す説明図である。
【符号の説明】
S,S´・・・シャックル錠 1,1´・・・係止ロッド
3,3´・・・錠本体 3c,3c´・・・係止部
1e,1e´・・・入口溝 1f,1f´・・・係止孔
9,9´・・・コイルばね 17,17´・・・鍵
19,50・・・軸部材 19a,50f・・・係止突部
21,21´・・・シリンダ部 23,23´・・・回転部材
27,27´・・・うず巻ばね 51・・・移動係止部材
51a・・・押圧部 51b・・係止保持部
53・・・コイルばね(第2の付勢部材)
Claims (4)
- 係止体と、該係止体の係止部を挿入・係止させて施錠を行う錠本体とを備えた施錠装置において、
上記錠本体には、
係止突部を有し、上記錠本体内部に軸支され、回動角度が規制された軸部材と、
上記係止突部が上記係止部の挿入方向に対してほぼ直交する方向に突出する係止角度位置に向けて、上記軸部材を軸回りに付勢する付勢部材と、
鍵による開錠操作に応じて、上記係止突部がほぼ上記挿入方向に突出する解錠角度位置に向けて、上記軸部材を上記付勢部材の付勢力に抗して軸回りに回転させる開錠機構と、
を設けるとともに、
上記係止部には、上記解錠角度位置にある上記軸部材を挿入可能な入口溝と、該入口溝に連通し、内部で上記軸部材が回転可能な係止孔と、
を設けることにより、
施錠時には、上記錠本体に上記係止部を挿入し、上記入口溝の縁部にて上記軸部材の係止突部を押圧することにより、該軸部材を上記解錠角度位置に回転させて上記入口溝に挿入し、更に、上記付勢部材の付勢力によって、上記係止孔内に達した上記軸部材を上記係止角度位置に回転復帰させ、上記係止孔の内面に上記係止突部を当接・係止させて施錠を可能としたことを特徴とする施錠装置。 - 係止体と、該係止体の係止部を挿入・係止させて施錠を行う錠本体とを備えた施錠装置において、
上記錠本体には、
係止突部を有し、上記錠本体内部に軸支され、回動角度が規制された軸部材と、
上記係止突部が上記係止部の挿入方向に対してほぼ直交する方向に突出する係止角度位置に向けて、上記軸部材を軸回りに付勢する付勢部材と、
鍵による開錠操作に応じて、上記係止突部がほぼ上記挿入方向または該挿入方向とは逆方向に突出する解錠角度位置に向けて、上記軸部材を上記付勢部材の付勢力に抗して軸回りに回転させる開錠機構と、
上記係止部の挿入方向に沿って移動可能に設けられ、上記係止部によって押圧される押圧部および上記軸部材に係止して該軸部材を解錠角度位置に保持する係止保持部を備えた移動係止部材と、
上記移動係止部材を上記係止部の挿入方向とは逆方向に付勢して、該移動係止部材の係止保持部を上記軸部材に係止させる第2の付勢部材と、
を設けるとともに、
上記係止部には、上記解錠角度位置にある上記軸部材を挿入可能な入口溝と、該入口溝に連通し、内部で上記軸部材が回転可能な係止孔と、
を設けることにより、
施錠時には、上記錠本体に上記係止部を挿入して、上記移動係止部材によって上記解錠角度位置に保持されている上記軸部材を上記入口溝に挿入し、更に、上記係止部によって上記移動係止部材の押圧部を押圧移動させて、上記係止保持部と上記軸部材との係止を解除し、上記付勢部材の付勢力によって上記軸部材を上記係止角度位置に回転させて、上記係止孔の内面に上記係止突部を当接・係止させて施錠を可能としたことを特徴とする施錠装置。 - 上記係止体が略U字状の係止ロッドであり、該係止ロッドの両端に上記係止部を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の施錠装置。
- 上記係止体の係止部の近傍には、該係止部を上記錠本体に係止した場合に、上記錠本体に当接し、上記係止部を上記挿入方向とは逆方向に付勢する付勢部材を設けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の施錠装置。
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