JP3553645B2 - 自動車用カーペット - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は自動車用カーペットに関し、さらに詳しくは耐熱性、形状保持性および難燃性に優れた裏打ち材で裏打ちされてなる自動車用カーペットに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用カーペットは、車内の装飾、保温、吸温効果と遮音効果を具備するための内装材である。そのため自動車用カーペットの裏打ち材には、カーペットの補強、成形保持性、パイル抜け防止、収縮防止などの機能が基本的に要求されている。また自動車のエンジン音など室外からの騒音を下げて、室内の居住性を向上させる要求も高まってきており、この目的には遮音性能を付与した裏打ち材が必要である。遮音効果は裏打ち材の単位面積あたりの質量に比例するため、裏打ち材は高密度で、ある程度の厚さが必要である。このようにカーペット本来の機能を付与し、同時に遮音性を付与した裏打ち材であることが必要であるが高価な材料を使用することなしに得られることが好ましい。
【0003】
ここで、自動車用カーペットの場合、裏打ちされたカーペットを自動車床面の凹凸に合わせてあらかじめ成形し、この賦形されたカーペットを自動車の組立工程に供することにより使用される。
この自動車床面の凹凸に合わせるための成形加工は、凹凸形状に合わせた適宜の金型を用いる加熱成形により成形される。
【0004】
上記のような要求に対応するカーペットの裏打ち材として、特公昭63−67585号公報には、オレフィン−極性モノマー共重合体、有機酸エステルおよび重質炭酸カルシウムからなる裏打ち材が開示されている。この裏打ち材は、経時変化が少なく、かつ引張特性、柔軟性、低温特性に優れ、さらに配合時・裏打ち時の加工性が改良されたものである。
【0005】
上記公報記載のカーペット裏打ち材は自動車用カーペットの裏打ち材としてかなり優れたものだが、必ずしも耐熱性が十分ではなく、加熱成形の際に、金型への裏打ち材の付着などの現象が生じることがある。より具体的に言うと、裏打ちされたカーペットは金型により凹凸形状に成形され、その後脱型され、冷却されるが、上記公報記載のカーペット裏打ち材を用いた場合、裏打ち材は加熱された金型へ付着し易く、脱型作業などの作業性が悪いほか、極端な場合には裏打ち材の剥離すら生じることがある。
【0006】
また上記の裏打ち材にて裏打ちされたカーペットは形状保持性が劣る。形状保性は、成形加工を施す前後において問題となる。通常、成形は2m×2mの大きさの裏打ちカーペットを用いて行われる。成形する前、作業場の広さによっては裏打ちカーペットを小さく、例えば四つ折りにした状態で成形作業場に積み重ねられて置かれ、順次該裏打ちカーペットを元の平面状態に戻した上で自動車の凹凸形状に成形加工を施す。この成形されるまでの短い間に、該裏打ちカーペットは四つ折り状態で置かれることにより折り癖が付き、平面性を失い、その後の成形加工を困難にすることがある。また、成形した後でも、長時間放置するとそれ自身の重みにより変形しその形状を保持し難い、といった問題が生じる。
【0007】
さらに近年、自動車ドライバーの安全性が求められて、自動車火災からドライバーを守るために自動車カーペットの裏打ち材に難燃性を付与する要望が高まっている。
それ故、金型への付着性の少なく、形状保持性および難燃性に優れた裏打ち材の開発が望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決するものであり、耐熱性に優れた裏打ち材を裏打ちしてなる自動車用カーペットを提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、(a)共重合体中の有機酸ビニルエステル含有量が5〜40%であるエチレン−有機酸ビニルエステル共重合体100重量部当たり、(b)常温液状の有機酸エステル1〜100重量部、(c)水酸化マグネシウム0〜50%を含む重質炭酸カルシウム40〜800重量部、(d)高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンからなる群から選ばれる1種または複数2〜300重量部、および(e)炭素数10〜24である脂肪酸、その金属塩およびそのアミドから選ばれる1種または複数0.1〜10重量部からなる裏打ち材で裏打ちされてなることを特徴とする自動車用カーペットに関する。
【0010】
本発明において、前記(d)成分の直鎖状低密度ポリエチレンとしては、密度0.91〜0.940g/cm3であるエチレンと、プロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1およびドデセン−1から選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンとの共重合体が特に好ましい。
また本発明において、前記(e)成分はステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウムおよびステアリン酸アミドの群から選ばれる1種または複数が特に好ましい。
【0011】
本発明の(a)成分における有機酸ビニルエステルとして特に好ましいのは酢酸ビニルであり、(a)成分の共重合体としてはエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)かれ好ましく用いられる。
該共重合体は有機酸ビニルエステル含有量がモノマー換算で5〜40重量%、特に10〜40重量%であることが望ましい。有機酸ビニルエステルの含有量がこの範囲を越える場合、得られる裏打ち材の硬さの低下、耐熱性の低下などが生じる。また上記範囲より少ない場合、得られる裏打ち材の硬さが増大し、柔軟性などがなくなる。また、(b)成分の常温液状の有機酸エステルとの相溶性が低下し分離する傾向がでてくる。
【0012】
該共重合体のMFRは、通常0.1〜400であり、好ましくは0.1〜150、特に好ましくは0.2〜50である。MFRがこの範囲をはずれる場合、耐熱性、引張強度などの物性の低下、また、配合性、加工性が低下するため好ましくない。
【0013】
本発明の(b)成分の常温液状の有機酸エステルとしては、炭素数1〜20の一塩基酸、二塩基酸、もしくは三塩基酸、またはこれらの無水物からなる有機酸成分と、炭素数が1〜20の一価のアルコールのエステル化反応によって得られるものが通常用いられる。好ましい有機酸としてはフタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、クエン酸、イタコン酸、オレイン酸、リシノール酸およびステアリン酸などがある。好ましい一価のアルコールに対応するアルコール残基としては炭素数が2〜18の直鎖状もしくは分枝状の脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素で、具体的にはエチル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルなどのノルマル、イソの脂肪族炭化水素およびフェニル、ベンジルなどの芳香族炭化水素がある。具体的には、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート(DOP)、ジ−n−オクチルフタレート、ジノニルフタレート、ジデシルフタレートおよびジウンデシルフタレートが挙げられる。
【0014】
本発明における有機酸エステルの配合量は、(a)成分のエチレン−有機酸ビニルエステル共重合体100重量部当たり、有機酸エステル1〜100重量部である。配合量がこの範囲を越える場合には組成物を軟化させ耐熱性、引張強度が低下する。また有機酸エステルが組成物から分離するようになるので好ましくない。配合量がこの範囲より少ない場合には配合効果が現れないので好ましくない。
【0015】
本発明の(c)成分の重質炭酸カルシウムは、石灰岩などを機械的に粉砕して製造されるもので、それに必要に応じて0〜50%の水酸化マグネシウムを混入することができる。その配合量は(a)成分のエチレン−有機酸ビニルエステル共重合体100重量部当たり、水酸化マグネシウム0〜50%を含む重質炭酸カルシウムは40〜800重量部である。この範囲を越えると硬さが非常に大きくなり、その結果、脆くなって実用に供し得ない。この範囲より少ない場合は、配合効果が見られないので好ましくない。
【0016】
水酸化マグネシウムは、水酸化マグネシウムと重質炭酸カルシウムの合計に対して0〜50重量%、好ましくは1〜45重量%を配合することができる。
水酸化マグネシウムが50%を越えた場合には配合性が低下し、またコストもかかるので好ましくない。尚水酸化マグネシウムと重質炭酸カルシウムは予め混合しておいて他の成分と配合してもそれぞれを別途に他の成分に配合してもよい。
【0017】
本発明においては(d)成分として高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンからなる群から選ばれる1種または複数のポリエチレンを加える。
高圧法低密度ポリエチレンは、酸素、過酸化物、アゾ化合物などを反応開始剤とする高圧ラジカル重合反応によって得られる低密度ポリエチレンである。
【0018】
反応開始剤としては、酸素;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、tert−ブチルネオデカネート、tert−ブチルパーピバレート、ジラウリルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキセノエート、tert−ブチルパーイソブチレート、tert−ブチルパーアセテート、tert−ブチルパーベンゾエート、tert−ブチルハイドロパーキサイドなどの有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,2−ジフェニルアセトニトリルなどのアゾ化合物などの1種または2種以上の混合物が使用できる。開始剤の全濃度は、使用する開始剤の種類、使用量および反応温度により異なる。
【0019】
また重合時には変性剤としてエタン、プロパン、ブタン、ヘキサンのようなパラフィン系炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの環状パラフィン系炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;トルエン、ジエチルベンゼン、キシレンなどの芳香族化合物;硫黄化合物;ハロゲン化物;アルデヒド類;アルキルカルボン酸類;水素などを適宜添加することができる。
【0020】
高圧法低密度ポリエチレンは、例えば管状反応器、攪拌オートクレーブ反応器、あるいはこれら両方を組み合わせた反応器などを用い、上記の反応開始剤、変性剤の存在下、反応圧力1,000〜4,000kg/cm2、反応温度100〜400℃で重合することにより得ることができる。
【0021】
また、(d)成分の直鎖状低密度ポリエチレンは密度0.91〜0.940g/cm3で、エチレンと炭素数3〜12の少なくとも1種のα−オレフィンとの共重合体である。具体的なα−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1およびドデセン−1などを挙げることができる。これらのうち特に好ましいのは、ブテン−1である。
また、高密度ポリエチレンは密度0.941〜0.97g/cm3であるポリエチレンである。
【0022】
前記、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンは遷移金属触媒により製造され、その触媒としては、シリカ、アルミナを担体とした酸化クロム触媒などの遷移金属酸化物系触媒、ハロゲン化チタンなどのような第IV〜VIII族の遷移金属ハロゲン化物を塩化マグネシウムなどに担持させた触媒成分とアルキルアルミニウムあるいはアルキルアルミニウムクロリドなどのような有機アルミニウムなどの第I〜第III族の有機金属化合物との組合せからなる配位触媒などが使用され、懸濁重合、溶液重合、気相重合などの各種のプロセスによって製造される。
高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンのうち、安価でありしかもカーペットの耐熱性を向上させやすい点から高圧法低密度ポリエチレンを用いるのが好ましい。
【0023】
上記、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンは混合して配合することができ、その配合量は、(a)成分のエチレン−有機酸ビニルエステル共重合体100重量部当たり、2〜300重量部、好ましくは20〜200重量部である。配合量が300重量部を越えると、裏打ち材が硬くなりカーペットに裏打ちした際に割れやすくなるので好ましくない。2重量部より少ないと耐熱性の向上が見られず、また形状保持性を付与する硬さをカーペットに与えることができないので好ましくない。
高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンからなる群から選ばれる1種または複数のポリエチレンのMFRは、通常、0.1〜150であり、好ましくは1〜100である。MFRがこの範囲をはずれる場合には耐熱性および主要物性の低下、さらには配合性および加工性が低下するため好ましくない。
【0024】
本発明においてはさらに(e)成分の炭素数10〜24である脂肪酸、その金属塩およびそのアミドを1種もしくは複数添加する。脂肪酸は飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよいが、通常飽和脂肪酸が好ましく用いられる。(e)成分の具体例としては、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウムおよびステアリン酸アミドが挙げられる。
【0025】
本発明の(e)成分は、(a)エチレン−有機酸ビニルエステル、(b)常温液状の有機酸エステル、(c)水酸化マグネシウム0〜50%を含む重質炭酸カルシウムおよび(d)高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンからなる群から選ばれる1種または複数からなるカーペットの裏打ち材の脆さを改善し、折り曲げたときの割れの解消、および、該裏打ち材にて裏打ちしたカーペットを加熱成形する際に金型の鉄板表面から剥離する促進効果を付与する、という効果を有する。
【0026】
前記(e)成分の配合量は、(a)成分のエチレン−有機酸ビニルエステル共重合体100重量部当たり、0.1〜10重量部である。配合量が10重量部を越えると軟らかくなりすぎて耐熱性および引張強度が低下するので好ましくない。また配合量が0.1重量部より少ないと上記の配合効果が現れない。
このほか必要により、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤などを(a)成分のエチレン−有機酸ビニルエステル共重合体100重量部当たり通常0.01〜0.5重量部程度配合することができる。
【0027】
本発明の裏打ち材はニーダー、ブラベンダー、バンバリーロールなどのミキサーによって配合することができる。これらのミキサーによる配合方法は例えば(a)エチレン−有機酸ビニルエステル共重合体、(b)常温液状の有機酸エステル、(c)水酸化マグネシウム0〜50%を含む重質炭酸カルシウム、(d)高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンからなる群から選ばれる1種または複数、および(e)炭素数10〜24である脂肪酸、その金属塩およびそのアミドから選ばれる1種または複数、それぞれの必要量をミキサーに添加するが、これらの添加順序は特に制約されない。配合する際の加熱温度は通常100〜230℃、好ましくは110〜200℃、配合時間は通常5〜40min、好ましくは8〜30minであり、十分均一に混合することが好ましい。配合物はそのあと押出機などにより通常100〜220℃で押し出し、パウダー、ペレット、フィルムおよびシートなどに成形することができる。また配合後直ちにフィルム状またはシート状に押し出して、自動車用カーペット原反に直接裏打ち加工することができる。あらかじめパウダー状に成形した配合物は、自動車用カーペット原反の裏面に均一に散布した後、加熱融着することによって裏打ちすることができる。ペレット状に成形した配合物は、押出機などによってフィルム状またはシート状に押し出して自動車用カーペット原反に裏打ち加工することができる。またフィルム、シートおよびカーペット原反を加熱もしくは接着剤を用いて張り合わせることによって裏打ち加工することができる。さらに、(a)エチレン−有機酸ビニルエステル共重合体、(b)常温液状の有機酸エステル、(c)水酸化マグネシウム0〜50%を含む重質炭酸カルシウム、(d)高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンからなる群から選ばれる1種または複数、および(e)炭素数10〜24である脂肪酸、その金属塩およびそのアミドから選ばれる1種または複数を連続供給装置により二軸混練押出機に供給しながら、シート状に連続に押し出し自動車用カーペット原反に直接裏打ち加工することもできる。このように自動車用カーペット原反に裏打ちされた上に、必要あらばさらに織布、不織布、プラスチックフィルム、紙、フェルトなどを積層することができる。
【0028】
本発明の自動車用カーペットに用いるカーペット原反は、適宜のものを使用することができる。例えば織カーペット、編カーペット、タフテッドカーペット、ニードルパンチカーペット、人工芝などの原反を使用することができる。これらのカーペット原反にラテックス系のプレコート処理、低密度ポリエチレンのフィルムプレコート処理などをされものも使用できる。
尚、通常本発明の裏打ち材は上記カーペット原反に0.2〜5kg/m2の割合で塗布することにより裏打ちされる。
裏打ちされたカーペットは、裏打ち材の軟化点以下の温度、例えば150〜200℃に加熱された金型により自動車床面形状に応じた形状に賦形され、脱型後、室温に冷却される。あるいは、裏打ちされたカーペットを裏打ち材の軟化点温度、例えば150〜200℃に加熱し、これを直ちに圧縮冷却成形機により所定形状に圧縮成形する。かくすることにより自動車床面形状に応じた形状に賦形されたカーペットは、自動車組立工程に供される。
【0029】
【実施例】
以下、実施例および比較例によって本発明の実施態様および効果をさらに詳細に説明する。
(実施例)
目付量180g/cm2のポリエステル不織布を基布とし、糸素材がナイロン糸からなるタフテッドカーペット原反に、表1に示した配合処方により自動車用カーペット裏打ち材用配合材料を、二軸混練押出機中で加熱温度200℃で混練した後、1kg/m2の目付量になるよう押出し、熱溶融時に、ロールで圧着・裏打ちし、カーペットを作成した。
このようにして得たカーペットを所定の大きさに切断したものを用いて下記に示す方法によって物性試験を行った。
【0030】
1.耐熱性試験:得られた裏打ちカーペットを10×10cmの大きさに切断し、鉄板の上に裏打ち材を下にして置いて鉄板と裏打ち材を接触させ、カーペットの上から荷重5kg(5cmφ)をかけ、その状態でオーブン中85℃で1時間経過した後、裏打ち材が鉄板へ付着するかどうかを目視により確認した。
○:全く付着しなかった。
×:付着した。
2. 引張強度試験:JIS L−1021−1979
3. パイル糸引抜強度試験:JIS L−1021−1979
4. 燃焼性試験:JIS D−1201−1977
5. 耐屈曲性試験:得られた裏打ちカーペットを30×30cmの大きさに切断し、常温で裏打ち材が外側になるように4つ折りにし、その状態で1時間経過した後、裏打ち材に亀裂が入るかどうかを目視により確認した。
○:異常なし。
×:亀裂が生じた。
6. 成形保持性試験:得られた裏打ちカーペットを40×40cmの大きさに切断し、180℃熱風恒温槽に入れ10分間加熱後、直ちに圧縮冷却成形機で成形する。脱型後、24時間経過した後該裏打ちカーペットが変形するかどうかを目視により確認した。
○:変形しなかった。
×:変形した。
上記物性試験のうち、引張強度試験では40kgf/5cm以上、パイル引抜強度試験では1.0kgf/本以上、燃焼性試験では65mm/min以下のものが自動車用カーペットとして望ましい。
【0031】
【0032】
【発明の効果】
ポリプロピレンのような融点の高い樹脂を単に裏打ち材に配合するとカーペットの耐熱特性は向上するが、カーペットが硬くなりすぎて耐屈曲性が悪くなる。しかし、本発明のように高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンのいずれか1種または複数、好ましくは高圧法低密度ポリエチレンを配合することによって優れた耐熱性、耐屈曲性、形状保持性および難燃性を付与したカーペットを得ることができる。
さらに本発明では高圧法低密度ポリエチレンやジ−(2−エチルヘキシル)フタレート(DOP)のような安価な材料を使用しているにもかかわらず優れた物性のカーペットが得られる。
以上のように本発明の自動車用カーペットは、遮音性が優れているのはもちろんのこと、高温下においてベタ付き、熱変形といった問題が生じることが少ないという格別の効果を奏する。したがって、カーペットに裏打ち材を裏打ちした後に、熱をかけて成形加工が施される自動車用カーペットとして、本発明の自動車用カーペットは大変望ましいものである。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
Claims (3)
- (a)共重合体中の有機酸ビニルエステル含有量が5〜40%であるエチレン−有機酸ビニルエステル共重合体100重量部当たり、(b)常温液状の有機酸エステル1〜100重量部、(c)水酸化マグネシウム0〜50%を含む重質炭酸カルシウム40〜800重量部、(d)高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンからなる群から選ばれる1種または複数2〜300重量部、および(e)炭素数10〜24である脂肪酸、その金属塩およびそのアミドから選ばれる1種または複数0.1〜10重量部からなる裏打ち材で裏打ちされてなることを特徴とする自動車用カーペット。
- 前記(d)成分の直鎖状低密度ポリエチレンが、密度0.91〜0.940g/cm3であるエチレンと、プロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1およびドデセン−1から選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンとの共重合体である請求項1に記載の自動車用カーペット。
- 前記(e)成分が、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウムおよびステアリン酸アミドの群から選ばれる1種または複数である請求項1に記載の自動車用カーペット。
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