JP3553370B2 - 鉄塔構築用作業ステージ装置および鉄塔構築方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、電波塔として用いられる鉄塔の構築技術に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
鉄塔、特に、高さが100m以上にもなる大型鉄塔の構築に際しては、仮設材を用いて組み上げられる通常の作業足場を利用できない。このため、鉄塔の既に構築された部分に対して直接取り付けられる仮設作業ステージが使用されることになる。
【0003】
ここで、図25に、この仮設作業ステージの設置状況を示す。
同図中、41が仮設作業ステージであり、同じものが上下2段に設けられている。そして、仮設作業ステージ41の両端縁には、鉄塔を構成する鉄骨柱42と平行に垂直仮設材43を立設しており、更に、この垂直仮設材43に垂直養生ネット44を張設している。
【0004】
仮設作業ステージ41は、図26から判るように、A,B,Cの3種類のユニットから構成されている。これらユニットA,B,Cは、互いに連結・分離が可能な構造となっており、連結時には四角形の開口41aが複数形成される。鉄塔を構成する鉄骨柱42は、全て、この開口41aを挿通することになる。
ところで、このようにして、構築中の鉄塔に設置される仮設作業ステージ41は、不要になり次第、つまり、それが設置された部分の構築作業が完了したならば、直ちに取り外され、上方部分構築のために盛り替えられるのであるが、この盛り替え作業には多大な労力を必要とする。特に、仮設作業ステージ41を、いったんA,B,Cの3種類のユニットに分解し、それを再度連結する作業は、非常に手間の掛かるものであり、これが工事の進捗状況にも影響を与えることがある。その上、こうした仮設作業ステージ41の盛り替え作業は、高所にて行われるため、極めて危険性が高く、安全確保が困難である。
【0005】
また、通常、鉄塔には、アンテナ類を配置するため外周リング(外周構造部)が設けられる。しかし、この外周リングは鉄塔本体から大きく跳ね出しているので、それが完成した後に行われる仮設作業ステージ盛り替え作業の障害となる。言い換えれば、仮設作業ステージを用いて組立てられ、鉄塔本体に取付けられた外周リングが、仮設作業ステージ盛り替え作業を一層困難にしている。
【0006】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、作業ステージの盛り替えが効率よく、しかも安全に行える鉄塔構築技術を提供することである。また、外周構造部を有する鉄塔の構築作業を効率よく行える鉄塔構築技術を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、
鉄塔の構築に用いられる作業ステージ装置であって、
構築される鉄塔が挿通可能な開口が形成された作業ステージ本体と、
この作業ステージ本体の開口を覆うことができるよう、前記作業ステージ本体に対して変位可能に設けられた可動床板と、
前記作業ステージ本体を前記可動床板と共に昇降させる昇降手段と
を具備してなることを特徴とする鉄塔構築用作業ステージ装置によって解決される。
【0008】
特に、上記の課題は、
鉄塔の構築に用いられる作業ステージ装置であって、
構築される鉄塔が挿通可能な開口が形成された作業ステージ本体と、
この作業ステージ本体の開口を覆うことができるよう、前記作業ステージ本体に対して変位可能に設けられた可動床板と、
前記作業ステージ本体を前記可動床板と共に昇降させる昇降手段と
を具備し、
前記作業ステージ本体および可動床板を備えてなる作業ステージ部が、構築される鉄塔の高さ方向に複数設けられてなり、かつ、これら複数の作業ステージ部が、前記昇降手段の作用により同時に昇降するよう相互に連結されてなることを特徴とする鉄塔構築用作業ステージ装置によって解決される。
【0009】
また、本発明の課題は、
上記鉄塔構築用作業ステージ装置を用いた鉄塔構築方法であって、
作業ステージ本体の開口内に構築される鉄塔が位置するよう、前記鉄塔構築用作業ステージ装置を設置するA工程と、
前記作業ステージ本体の開口が覆われるよう可動床板を変位させるB工程と、
前記作業ステージ本体および/又は可動床板上にて実施される作業が終了した後、前記可動床板を前記B工程とは逆方向に変位させ、前記作業ステージ本体の開口上から前記可動床板を退避させるC工程と、
昇降手段を作動させ、前記作業ステージ本体を前記可動床板と共に所定量だけ上昇させるD工程と
を具備し、
必要に応じて、前記B工程、C工程、D工程を順に繰り返し実施することを特徴とする鉄塔構築方法によって解決される。
【0010】
特に、本発明の課題は、
上記鉄塔構築用作業ステージ装置を用いた鉄塔構築方法であって、
作業ステージ本体の開口内に構築される鉄塔が位置するよう、前記鉄塔構築用作業ステージ装置を設置するA工程と、
前記作業ステージ本体の開口が覆われるよう可動床板を変位させるB工程と、
前記作業ステージ本体および/又は可動床板上にて実施される作業が終了した後、前記可動床板を前記B工程とは逆方向に変位させ、前記作業ステージ本体の開口上から前記可動床板を退避させるC工程と、
昇降手段を作動させ、前記作業ステージ本体を前記可動床板と共に所定量だけ上昇させるD工程と、
前記昇降手段を作動させ、前記作業ステージ本体を所定量だけ降下させるE工程と、
このE工程で降下させた前記作業ステージ本体を用いて、鉄塔外周構造部の組立て・取付けを行うF工程と
を具備し、
必要に応じて、前記B工程、C工程、D工程を順に繰り返し実施すると共に、鉄塔の本体最上部の構築が完了した後、必要に応じて、前記E工程、F工程を順に繰り返し実施することを特徴とする鉄塔構築方法によって解決される。
【0011】
なお、上記鉄塔構築用作業ステージ装置においては、昇降手段として、鉄塔の既に構築された部分に固定された反力ロッドと、作業ステージ本体に連結され、かつ、前記反力ロッドに支持されるジャッキとを具備し、前記ジャッキ自身の上下動により、前記作業ステージ本体を昇降させるよう構成されたものを用いることができる。あるいは、昇降手段として、鉄塔の既に構築された部分の上端側に固定されたジャッキと、このジャッキから延び、かつ、下端側が作業ステージ本体に連結された吊り材とを具備し、前記ジャッキの吊り材引き込み動作又は吊り材繰り出し動作により、前記作業ステージ本体を昇降させるよう構成されたものを用いることができる。
【0012】
さて、上述したように、本発明の鉄塔構築用作業ステージ装置は、構築される鉄塔が挿通可能な開口が形成された作業ステージ本体と、この作業ステージ本体の開口を必要に応じて覆うことができる可動床板と、これら作業ステージ本体および可動床板を昇降させる昇降手段とを具備している。したがって、鉄塔構築作業については、作業ステージ本体およびその開口上に突出させた可動床板の上で安全に行うことができる。また、盛り替えの際には、作業ステージ本体の開口上に突出させていた可動床板を退避させればよく、これによって作業ステージ本体の開口上には、構築中の鉄塔の構造材(例えば鉄骨梁やブレース)と干渉し合うものがなくなる。ゆえに、昇降手段を作動させて作業ステージ本体をそのまま上昇させることで、安全に、効率よく盛り替えが行える。そして、鉄塔が外周構造部を有する場合、本発明の構築方法では、まず、鉄塔本体のみを完成させ、この後、作業ステージ装置を段階的に降下させながら、その上で外周構造部を組立て鉄塔本体に取付けるようにした。したがって、従来工法のごとく、完成した外周構造部が、作業ステージ装置の盛り替えに支障を来すことはない。よって、鉄塔が外周構造部を有する場合でも、その構築作業を安全に、効率よく行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図16を用い本発明の第1実施形態について詳しく説明する。なお、図1は本実施形態の鉄塔構築用作業ステージ装置の設置状態を示す外観図、図2および図3は同鉄塔構築用作業ステージ装置を設置状態にて示す側面図および平面図、図4は一部の可動床板を変位させた状態を示す平面図、図5は昇降手段が設けられた部分の拡大平面図、図6〜図16は、それぞれ本実施形態に係る鉄塔構築方法の工程図である。
【0014】
図1から判るように、この第1実施形態の鉄塔構築用作業ステージ装置(以下作業ステージ装置と略す)は、鉄塔、特に大型鉄塔の構築に用いられるものである。すなわち、図1中、1が作業ステージ装置であり、この作業ステージ装置1は、鉄塔Sの既に構築された部分に設置される。そして、それを用いて鉄塔Sの残りの部分の構築作業が行われることになる。なお、この際、構築される鉄塔Sに隣接して、タワークレーンTが設置される。後に詳述するが、タワークレーン倒壊防止用の水平控え材は、タワークレーンTのマストと鉄塔Sとの間だけでなく、タワークレーンTのマストと作業ステージ装置1との間にも配置される。
【0015】
本実施形態の作業ステージ装置1は、図2や図3に示すごとく、概して、作業ステージ本体2および可動床板3から構成された第1の作業ステージ部4と、この第1の作業ステージ部4の下方に位置すると共に、作業ステージ本体5および可動床板6から構成された第2の作業ステージ部7と、これら第1の作業ステージ部4および第2の作業ステージ部7を昇降させる昇降手段8とからなる。
【0016】
このうち第1の作業ステージ部4を構成する作業ステージ本体2は、中央に、構築される鉄塔Sが挿通可能な四角形の開口2aが形成されている。また、この作業ステージ本体2の上には、開口2aを取り囲むよう作業足場9が設けられている。
一方、可動床板3についてであるが、この可動床板3は、作業ステージ本体2の開口2aを覆うことができるよう、作業ステージ本体2に対して変位可能に設けられている。特に、本実施形態では、可動床板3を一対のガイドレール10を介して、作業ステージ本体2に配置している。一部の可動床板3を変位させ、作業ステージ本体2の開口2aを半分程度覆った状態は、図4に示すとおりである(但し、図4の状態では、全てのガイドレール10は完全に突出している)。同図から判るように、片側(図中右側)のガイドレール10および可動床板3は2段式となっている。なお、図では詳しく示していないが、作業ステージ本体2の開口2a上に突出したガイドレール10は、鉄骨柱11と共に鉄塔Sを構成する鉄骨梁12によって支持される。
【0017】
上記可動床板3で作業ステージ本体2の開口2aを覆う場合には、まずガイドレール10を開口2aの上に突出させ、次いで、この突出させたガイドレール10に沿って可動床板3を変位させればよい。一方、作業ステージ装置1の盛り替えに際して、作業ステージ本体2の開口2aを開放する場合は、これと逆の手順になる。すなわち、まず可動床板3をガイドレール10に沿って、作業ステージ本体2の上まで移動させる。そして、これが済んだならば、ガイドレール10を元の位置まで退避させ、盛り替え準備完了となる。
【0018】
第1の作業ステージ部4および第2の作業ステージ部7を昇降させる昇降手段8は、鉄塔Sの既に構築された部分に固定された反力ロッド13と、作業ステージ本体2に連結され、かつ、反力ロッド13によって支持されたジャッキ(センターホールジャッキ)14とからなる。また、この昇降手段8は、作業ステージ本体2の開口2aの四隅に一つずつ、計四つ存在する。なお、ジャッキ14は、作業ステージ本体2に直接接合されているわけではなく、図5に示すごとく、反力ロッド13に対応した位置に貫通孔が形成された支持板15を介して、作業ステージ本体2に取り付けられている。一方、反力ロッド13については、それと鉄骨柱11との間に所定間隔で配された座屈止め16によって支持されている。したがって、昇降手段8は、ジャッキ14の上下動により、作業ステージ本体2を、したがって第1の作業ステージ部4を昇降させる役割を果たす。
【0019】
構築される鉄塔Sの高さ方向に沿って、第1の作業ステージ部4と重なり合うよう設けられた第2の作業ステージ部7についても、その構造は、昇降手段8のジャッキ14が連結される部分を持たないことを除き、上記第1の作業ステージ部4と同じである。よって説明は省略する。
第1の作業ステージ部4と第2の作業ステージ部7とは、垂直材17を用いて相互連結されている。このため、昇降手段8の作用によって第1の作業ステージ部4が上昇すると、それに伴い第2の作業ステージ部7も同量だけ上昇する。また、垂直材17には、上述した、作業ステージ装置1とタワークレーンTのマストとの間に配される水平控え材18の一端が連結されている。但し、この水平控え材18の他端については、タワークレーンTのマストに沿って、上下動可能に構成してある。一方、他の水平控え材19については、鉄塔Sを構成する鉄骨柱11に連結されており、その端部はいずれも完全固定状態となっている。
【0020】
なお、上記のごとく作業ステージ装置1を2段式としたのは、個々の作業ステージ部を用いて、異なる作業、例えば鉄骨柱や鉄骨梁の建方、溶接、溶射などの作業を並行実施し、工期短縮を図るためである。したがって、場合によっては作業ステージ装置を1段構成としてもよい。
続いて、図6〜図16を用い、上記作業ステージ装置を使用した鉄塔構築方法(以下、本構築方法と言う)について説明する。
【0021】
本構築方法の実施に際しては、まず、作業ステージ装置1を、作業ステージ本体2(作業ステージ本体5についても同じ)の開口2a内に構築される鉄塔Sが位置するよう設置する(A工程:図6参照)。但し、設置時の細部の状況については、先に作業ステージ装置1の構造を説明した際に触れたので、ここでは説明しない。なお、実際には、鉄塔Sの上端部分は、この時点で、作業ステージ装置1を完全に挿通した状態となっている。また、鉄塔Sにおいて、作業ステージ装置1が設置された部分については、従来工法を用いて構築した。
【0022】
作業ステージ装置1の設置が完了したならば、次いで、作業ステージ本体2,5それぞれの開口が覆われるよう可動床板3,6を変位させる(B工程:図7参照)。
可動床板3,6によって作業ステージ本体2,5それぞれの開口を閉塞したならば、それらを利用して鉄塔Sの本構築作業を実施する(図8及び図9参照)。更に詳しく言えば、第1の作業ステージ部4および作業足場9を利用して、鉄骨柱11や鉄骨梁12、ブレース(図示せず)の建方や反力ロッド13の継ぎ足しなどを、また、第2の作業ステージ部7およびその上に設けた作業足場20を利用して、既に建方された部材の溶接や溶射処理(亜鉛被着による錆止め処理)、座屈止め16の取付け作業を実施する。
【0023】
こうして鉄塔Sの本構築作業が1段分完了したならば、続いて、可動床板3,6を上記B工程とは逆方向に変位させる。すなわち、可動床板3,6を作業ステージ本体2,5それぞれの開口上から退避させる(C工程:図10参照)。
作業ステージ装置1が図6に示した初期の状態に戻ったならば、昇降手段8を作動させ、第1の作業ステージ部4および第2の作業ステージ部7を所定量だけ上昇させる。つまり、作業ステージ装置1自体を1段分持ち上げ、次段の鉄塔構築が可能な状態とする(D工程:図11参照)。
【0024】
これ以降は、鉄塔Sの本体最上部の構築が完了するまで、上記B工程、鉄塔Sの本構築工程、C工程、D工程を順に繰り返し実施すればよく、これによって鉄塔Sの構築が完了した状態は、図12に示すとおりである。
こうして鉄塔Sの本体部分が完成した後、それを取り巻くよう設けられる外周リング(外周構造部)の構築作業に移る。
【0025】
外周リングの構築に際しては、まず作業ステージ装置1の昇降手段8を作動させ、第1の作業ステージ部4および第2の作業ステージ部7を所定量だけ、つまり外周リングが設けられる位置までそれを降下させる(E工程:図13参照)。正確に言えば、実際に外周リングの構築に使用されるのは第1の作業ステージ部4であるから、この第1の作業ステージ部4の面が、構築される外周リングの底面に対応した高さとなるまで、第1の作業ステージ部4および第2の作業ステージ部7を降下させる。なお、不要となった作業足場9については、これに先行して撤去しておく。また、同じく不要となった水平控え材19や反力ロッド13の一部については、第1の作業ステージ部4および第2の作業ステージ部7の降下に前後して撤去する。
【0026】
さて、第1の作業ステージ部4を第2の作業ステージ部7と共に、外周リングが設けられる位置まで降下させたならば、それを用いて外周リングの組立て・取付けを行う(F工程)。外周リングの組立てが完了した状態は、図14に示すとおりである(同図中、外周リングは21で示す)。なお、ここでは、可動床板3を格納した状態のまま作業を行ったが、必要とあれば、中央の開口を覆うよう可動床板3を変位させてもよい。
【0027】
これ以降は、上記E工程、F工程を順に繰り返し実施し、外周リングの組立て・取付けを行っていく。ちなみに、上から3番目の外周リングを組立てている途中の状態は、図15に示すとおりである。
外周リング21が全て完成したならば、図16に示すごとく、不要になった第1の作業ステージ部4および第2の作業ステージ部7を降下させていく。そして、それを最終位置まで降下させた後、解体・撤去する。更に、タワークレーンTの解体・撤去を行い、鉄塔構築作業が完了する。
【0028】
上述したように、本実施形態では、鉄塔構築用作業ステージ装置1を、主として、構築される鉄塔Sが挿通可能な開口が形成された作業ステージ本体2,5と、その開口をそれぞれ必要に応じて覆うことができる可動床板3,6と、作業ステージ本体2,5および可動床板3,6を、つまり第1の作業ステージ部4と第2の作業ステージ部7とを共に昇降させる昇降手段8とから構成している。したがって、鉄塔構築作業については、作業ステージ本体2,5およびその開口上に突出させた可動床板3,6の上で安全に行うことができる。また、盛り替えの際には、作業ステージ本体2,5の開口上に突出させていた可動床板3,6を退避させればよく、これによって作業ステージ本体2,5の開口上には、構築中の鉄塔Sの構造材である鉄骨梁やブレースと干渉し合うものがなくなる。ゆえに、昇降手段8を作動させて作業ステージ本体2,5をそのまま上昇させることで、安全に、しかも効率よく盛り替えが行える。更に、本実施形態の構築方法では、まず、鉄塔本体のみを完成させ、この後、作業ステージ装置1(特に第1の作業ステージ部4および第2の作業ステージ部7)を段階的に降下させながら、その上で外周リング21を組立て、鉄塔本体に取付けるようにした。したがって、従来工法のごとく、完成した外周リングが、作業ステージ装置1の盛り替えに支障を来すことはない。よって、ここに実施形態として挙げたように、鉄塔Sが外周リング21を有していても、その構築作業を安全に、しかも効率よく行うことができる。
【0029】
続いて本発明の第2実施形態について、図17〜図24を用いて説明する。なお、図17および図18は本実施形態の鉄塔構築用作業ステージ装置を設置状態にて示す側面図および平面図、図19は昇降手段が設けられた部分の拡大側面図、図20〜図24は、それぞれ本実施形態に係る鉄塔構築方法の工程図である。但し、この第2実施形態に関しても、その基本的な技術思想は上記第1実施形態と同じである。よって、以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0030】
図17および図18に示すごとく、本実施形態の作業ステージ装置も、概して、作業ステージ本体22および可動床板23から構成された第1の作業ステージ部24と、この第1の作業ステージ部24の下方に位置すると共に、作業ステージ本体25および可動床板26から構成された第2の作業ステージ部27と、これら第1の作業ステージ部24および第2の作業ステージ部27を昇降させる昇降手段28とからなる。こうした基本構造については、上記第1実施形態と同じであるが、本実施形態の作業ステージ装置は、昇降手段28として、反力ロッドおよびセンターホールジャッキの組み合わせではなく、ワイヤ(吊り材)29と、それを引き込む機能を有するジャッキ30との組み合わせを使用したことを特徴とする。
【0031】
更に詳しく言えば、昇降手段28は、鉄塔の既に構築された部分の上端側に固定された油圧式のジャッキ30と、このジャッキ30から延び、かつ、下端側が作業ステージ本体22に直接連結されたワイヤ29とからなり、ジャッキ30のワイヤ引き込み動作又はワイヤ繰り出し動作により、作業ステージ本体22を、したがって第1の作業ステージ部24および第2の作業ステージ部27を同時に昇降させるよう構成されている。
【0032】
なお、ジャッキ30の設置状態は、図19に示すとおりである。すなわち、ジャッキ30は、水平材31aおよび斜材31bからなり、かつ、鉄塔を構成する鉄骨柱の最上部に固定された支持材31を用いて設置されている。
また、本実施形態の作業ステージ装置は、カンヌキ材32を備える。これは、反力ロッドを用いた先の実施形態に比べ、第1の作業ステージ部24および第2の作業ステージ部27の支持状態が多少不安定になるからである。カンヌキ材32は、鉄塔構築作業中、第1の作業ステージ部24を構成する作業ステージ本体22と鉄骨梁33との間に掛け渡されており、第1の作業ステージ部24および第2の作業ステージ部27を安定支持する役割を果たす。ちなみに、図18において上側に位置するカンヌキ材32は、作業ステージ本体22と鉄骨梁33との間に掛け渡された状態であり、一方、同図において下側に位置するカンヌキ材32は、作業ステージ本体22と鉄骨梁33との間に掛け渡されていない状態、つまり完全に退避した状態である。上記昇降手段28の作用で、第1の作業ステージ部24および第2の作業ステージ部27を上昇させる際には、その移動の妨げとならないよう、全てのカンヌキ材32は完全に退避した状態となる。
【0033】
続いて、図20〜図24を用い、上記作業ステージ装置を使用した鉄塔構築方法(以下、本構築方法と言う)について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
本構築方法の実施に際しても、まず、作業ステージ装置を、作業ステージ本体22(作業ステージ本体25についても同じ)の開口内に構築される鉄塔S’が位置するよう設置する(A工程:図20参照)。なお、この際、カンヌキ材32は、作業ステージ本体22と鉄骨梁33との間に掛け渡しておく。また、この状態では、作業ステージ本体22とジャッキ30とを最大限に近接させておく。
【0034】
作業ステージ装置の設置が完了したならば、次に、作業ステージ本体22,25それぞれの開口が覆われるよう可動床板23,26を変位させる(B工程)。なお、図20では、可動床板26のみを変位させた状態を示している。
可動床板23,26によって作業ステージ本体22,25それぞれの開口を閉塞したならば、それらを利用して鉄塔S’の本構築作業を実施する(図21および図22参照)。すなわち、第1の作業ステージ部24および作業足場34を利用して、鉄骨柱35や鉄骨梁36、ブレース(図示せず)の建方を、また、第2の作業ステージ部27およびその上に設けた作業足場37を利用して、既に建方された部材の溶接や溶射処理を実施する。
【0035】
こうして鉄塔S’の本構築作業が1段分完了したならば、続いて、可動床板23,26を上記B工程とは逆方向に変位させ、作業ステージ本体22,25それぞれの開口上から退避させる(C工程)。なお、これに先行して、図23に示すごとく、ジャッキ30の盛り替えを実施する。つまり、いったんジャッキ30を取り外し、新たに建方された鉄骨柱35の上端側にそれを設置する。
【0036】
盛り替えられたジャッキ30から延びるワイヤ29によって作業ステージ装置が再度吊られた状態となった後、カンヌキ材32を退避させ、それによる支持状態を解除する。そして、昇降手段28を作動させ、第1の作業ステージ部24および第2の作業ステージ部27を所定量だけ上昇させる。すなわち、作業ステージ装置自体を1段分上昇させ、次段の鉄塔構築が可能な状態とする(D工程:図24参照)。
【0037】
これ以降は、鉄塔S’の本体最上部の構築が完了するまで、上記B工程、鉄塔S’の本構築工程、C工程、D工程を順に繰り返し実施すればよい。そして、鉄塔S’の本体部分が完成した後、上記第1実施形態の構築方法に準じて、つまり第1の作業ステージ部24および第2の作業ステージ部27を段階的に降下させながら、第1の作業ステージ部24を利用して外周リングの組立て、取付けを行い、鉄塔S’が完成する。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、作業ステージの盛り替えが効率よく、しかも安全に行える。また、構築される鉄塔が外周構造部を有する場合でも、その構築作業を効率よく行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の鉄塔構築用作業ステージ装置の設置状態を示す外観図
【図2】第1実施形態の鉄塔構築用作業ステージ装置を設置状態にて示す側面図
【図3】第1実施形態の鉄塔構築用作業ステージ装置を設置状態にて示す平面図
【図4】第1実施形態の鉄塔構築用作業ステージ装置における、一部の可動床板を変位させた状態を示す平面図
【図5】第1実施形態の鉄塔構築用作業ステージ装置における、昇降手段が設けられた部分の拡大平面図
【図6】第1実施形態に係る鉄塔構築方法の工程図
【図7】第1実施形態に係る鉄塔構築方法の工程図
【図8】第1実施形態に係る鉄塔構築方法の工程図
【図9】第1実施形態に係る鉄塔構築方法の工程図
【図10】第1実施形態に係る鉄塔構築方法の工程図
【図11】第1実施形態に係る鉄塔構築方法の工程図
【図12】第1実施形態に係る鉄塔構築方法の工程図
【図13】第1実施形態に係る鉄塔構築方法の工程図
【図14】第1実施形態に係る鉄塔構築方法の工程図
【図15】第1実施形態に係る鉄塔構築方法の工程図
【図16】第1実施形態に係る鉄塔構築方法の工程図
【図17】第2実施形態の鉄塔構築用作業ステージ装置を設置状態にて示す側面図
【図18】第2実施形態の鉄塔構築用作業ステージ装置を設置状態にて示す平面図
【図19】第2実施形態の鉄塔構築用作業ステージ装置における、昇降手段が設けられた部分の拡大側面図
【図20】第2実施形態に係る鉄塔構築方法の工程図
【図21】第2実施形態に係る鉄塔構築方法の工程図
【図22】第2実施形態に係る鉄塔構築方法の工程図
【図23】第2実施形態に係る鉄塔構築方法の工程図
【図24】第2実施形態に係る鉄塔構築方法の工程図
【図25】従来型仮設作業ステージの設置状況を示す側面図
【図26】従来型仮設作業ステージの平面図
【符号の説明】
S 鉄塔
T タワークレーン
1 鉄塔構築用作業ステージ装置
2,5 作業ステージ本体
3,6 可動床板
4 第1の作業ステージ部
7 第2の作業ステージ部
8 昇降手段
9,20 作業足場
10 ガイドレール
11 鉄骨柱
12 鉄骨梁
13 反力ロッド
14 ジャッキ
15 支持板
16 座屈止め
17 垂直材
18,19 水平控え材
21 外周リング(外周構造部)
Claims (6)
- 鉄塔の構築に用いられる作業ステージ装置であって、
構築される鉄塔が挿通可能な開口が形成された作業ステージ本体と、
この作業ステージ本体の開口を覆うことができるよう、前記作業ステージ本体に対して変位可能に設けられた可動床板と、
前記作業ステージ本体を前記可動床板と共に昇降させる昇降手段と
を具備してなることを特徴とする鉄塔構築用作業ステージ装置。 - 作業ステージ本体および可動床板を備えてなる作業ステージ部が、構築される鉄塔の高さ方向に複数設けられてなり、かつ、これら複数の作業ステージ部が、昇降手段の作用により同時に昇降するよう相互に連結されてなることを特徴とする請求項1に記載の鉄塔構築用作業ステージ装置。
- 昇降手段は、
鉄塔の既に構築された部分に固定された反力ロッドと、
作業ステージ本体に連結され、かつ、前記反力ロッドに支持されるジャッキとを具備し、
前記ジャッキ自身の上下動により、前記作業ステージ本体を昇降させるよう構成されてなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鉄塔構築用作業ステージ装置。 - 昇降手段は、
鉄塔の既に構築された部分の上端側に固定されたジャッキと、
このジャッキから延び、かつ、下端側が作業ステージ本体に連結された吊り材と
を具備し、
前記ジャッキの吊り材引き込み動作又は吊り材繰り出し動作により、前記作業ステージ本体を昇降させるよう構成されてなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鉄塔構築用作業ステージ装置。 - 上記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の鉄塔構築用作業ステージ装置を用いた鉄塔構築方法であって、
作業ステージ本体の開口内に構築される鉄塔が位置するよう、前記鉄塔構築用作業ステージ装置を設置するA工程と、
前記作業ステージ本体の開口が覆われるよう可動床板を変位させるB工程と、
前記作業ステージ本体および/又は可動床板上にて実施される作業が終了した後、前記可動床板を前記B工程とは逆方向に変位させ、前記作業ステージ本体の開口上から前記可動床板を退避させるC工程と、
昇降手段を作動させ、前記作業ステージ本体を前記可動床板と共に所定量だけ上昇させるD工程と
を具備し、
必要に応じて、前記B工程、C工程、D工程を順に繰り返し実施することを特徴とする鉄塔構築方法。 - 昇降手段を作動させ、作業ステージ本体を所定量だけ降下させるE工程と、
このE工程で降下させた前記作業ステージ本体を用いて、鉄塔外周構造部の組立て・取付けを行うF工程と
を具備し、
必要に応じて、前記E工程、F工程を順に繰り返し実施することを特徴とする請求項5に記載の鉄塔構築方法。
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JP12933098A JP3553370B2 (ja) | 1998-05-12 | 1998-05-12 | 鉄塔構築用作業ステージ装置および鉄塔構築方法 |
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