JP3553363B2 - デジタル画像読取装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,基準板を露光すると共に読み取り,例えばCCDなどの受光素子におけるシェーディング補正を行うデジタル画像読取装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にデジタル画像読取装置では,走査線方向に関してすべて均一な濃度の原稿からの反射光を受光素子で検知しても,受光素子における各画素感度のばらつき,レンズにおける透過光量のばらつき,原稿照明用の光源の長手方向に係る光量のばらつき(特に中央部分と両端部分とでは異なる),上記光源の劣化などを原因として,各画素に対応する受光素子からの出力が必ずしも均一な値になるとは限らない。
そこで,これらを補正するために,いわゆるシェーディング補正が行われる。このシェーディング補正を行う手順の一例としては,光源からの光にて例えば白色の基準板を露光することにより白色に関するデータを得,上記光源をオフした状態にて黒色に関するデータを得る。このようにして得られた各白・黒に関するデータを例えば白を255,黒を0と定めて白・黒に関するデータの間を256段階に区分けして,受光素子における各画素に関しての特性を得る。そして,得られた特性に基づくシエーディング補正値により,原稿の走査時に上記受光素子からの出力が補正される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで,上記のようなシェーディング補正のための上記基準板の露光・読み取り動作は,従来は,読み取り開始ボタン(例えば複写機であればコピー開始ボタン)が押された後,原稿の読み取り開始前に行われていた。
しかしながら,このように原稿の読み取り開始前に毎回上記基準板の露光・読み取り動作を行うと,最初の原稿読み取りまでに時間がかかるため,これが作業効率低下の原因となっていた。
また,上記基準板の露光・読み取り動作によって得られるシェーディング補正値は短時間で大きく変化することは稀であるため,特に高画質が求められる場合でなければ,少し前のシェーディング補正値を採用しても特に問題はないという事情もある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,シェーディング補正のための上記基準板の露光・読み取り動作を行うタイミングを変更可能に構成することにより,画質に影響を及ぼさない範囲で作業効率を向上させる事が可能なデジタル画像読取装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は,基準板を露光すると共に読み取り,シェーディング補正を行うデジタル画像読取装置において,画像読取動作について所定の速度優先モードと所定の画質優先モードとのそれぞれに任意に設定可能に構成され,一連の画像読取動作終了後に上記基準板の露光及び読み取り処理を行うと共に,次の画像読取動作が上記速度優先モードに設定されている場合は上記前回の読み取りデータを用いたシェーディング補正値を採用し,次の画像読取動作が上記画質優先モードに設定されている場合は該画像読取動作開始前にも再度上記基準板の露光及び読み取り処理を行うと共にそこで得た読み取りデータを用いたシェーディング補正値を採用することを特徴とするデジタル画像読取装置として構成されている。
【0005】
【作用】
本発明に係るデジタル画像読取装置によれば,一連の画像読取動作終了後には必ず上記基準板の露光及び読み取り処理が行われる。そして,次の画像読取動作が例えばモノクロモードなどの所定の速度優先モードであれば,読みとり動作直前に上記基準板の露光及び読み取り処理は行われず,上記前回の読み取りデータを用いたシェーディング補正値が採用される。従って非常に作業効率が良い。一方,次の画像読取動作が例えばカラーモードなどの所定の画質優先モードであれば,該画像読取動作開始前にも再度上記露光,読み取り処理を行うと共にそこで得られた読み取りデータを用いたシェーディング補正値が採用される。従って,コピー開始までに時間はかかるものの,原稿に忠実な高画質の画像が得られる。このように,読み取り画像の画質を低下させない範囲で作業効率を向上させる事が可能となる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照して,本発明の実施の形態及び実施例につき説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態及び実施例は本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係るデジタルカラー複写機A1のシェーディング補正を含む一連の複写処理の手順を示すフローチャート,図2は本発明の実施の形態に係るデジタルカラー複写機A1の画像読取装置1の概略構成を示す断面図である。
本実施の形態では,本発明に係るデジタル画像読取装置をデジタルカラー複写機A1の画像読取装置1として具現化した例を示す。
まず,本実施の形態に係るデジタルカラー複写機A1の画像読取装置1の概略装置構成について簡単に説明する。図2に示すように,画像読取装置1の上部には,原稿をセットするコンタクトガラス2が取り付けられており,その下方には,光源4aやミラー4b等を一体的に構成した露光ユニット4,ミラー5a,5b等を一体的に構成したミラーユニット5,レンズ6,受光素子7などで構成される光学系が配備されている。上記光源4aから照射され,上記コンタクトガラス2上にセットされた原稿面で反射された光は,上記ミラー4a,5a,5bに案内され,上記レンズ6を介して受光素子7で受光される。上記露光ユニット4及び上記ミラーユニット5は,ベルト8,駆動軸9,ワイヤ10などを介してモータ11の駆動により図2の左右方向に移動され,これにより上記コンタクトガラス2上にセットされた原稿全面の露光,読み取りが行われる。
また,上記コンタクトガラス2に隣接する位置には,図2の面外方向に帯状の基準板3が取り付けられている。シェーディング補正を行う際には,上記露光ユニット4及び上記ミラーユニット5が上記基準板3の下方まで移動され,上記基準板3の露光,読み取りが行われる。なお,上記露光ユニット4及び上記ミラーユニット5の移動制御など,本画像読取装置1の動作制御は図示しない制御部によって行われる。
【0007】
続いて,以上のような画像読取装置1を具備するデジタルカラー複写機A1によるシェーディング補正の手順について,図1に示すフローチャートに従って説明する。
原稿がコンタクトガラス2上にセットされ,各種設定(例えば用紙サイズ,濃度,コピー枚数,カラー/モノクロ切り換え等の設定)が行われた後,コピー開始ボタン(不図示)が押されると(ステップS1),制御部(不図示)において,カラー/モノクロのいずれのモードに設定されているかが判断される(ステップS2)。
ここでカラーモード(画質優先モードの一例)であると判断されると,上記制御部は上記基準板3の露光・読み取り処理を開始させ(ステップS3),その結果に基づいてシェーディング補正値が更新され(ステップS4),そのシェーディング補正値により上記受光素子からの出力を補正しつつコピー処理(ステップS5)が行われる。このように,カラーモードでコピーを行う場合には,コピー開始直前に得られたシェーディング補正値に基づいて画像の読み取りが行われるため,コピー開始までに時間はかかるものの,原稿に忠実な高画質の画像が得られる。
一方,上記ステップS2においてモノクロモード(速度優先モードの一例)であると判断された場合には,上記ステップS3,S4の処理,即ち上記基準板3の露光・読み取り処理とシェーディング補正値の更新は行われず,速やかにコピー処理(ステップS5)が開始される。このコピー処理では,前回のコピー処理の直後(後述するステップS6,S7)で求められたシェーディング補正値がそのまま用いられる。このように,モノクロモードでコピーを行う場合には,コピー開始直前に上記基準板の露光・読み取り処理が行われず,速やかに第1枚目のコピーが開始されるため,非常に作業効率が良い。また,上記基準板の露光・読み取り処理によって得られるシェーディング補正値が短時間で大きく変化することは稀であるため,特に画質に敏感でないモノクロモードであれば,このように前回のコピー処理の直後に求められたシェーディング補正値を用いても実用上全く問題のない画像が得られる。
尚,製造後の最初のコピー処理がモノクロモードである場合には,例えば工場出荷時に初期値として設定されているシェーディング補正値が用いられるか,或いはこの場合に限ってコピー処理開始前に上記ステップS3,S4の処理が行われる。電源投入時のウォームアップ時に上記ステップS3,S4の処理を行ってもよい。
上記ステップS5のコピー処理が一通り終了すると,上記基準板の露光・読み取り処理が行われ(ステップS6),その結果に基づいてシェーディング補正値が更新される(ステップS7)。ここでの基準板の露光・読み取り処理は,一連のコピー処理の終了後に行われるため,コピー作業の効率に影響を与えることはない。ここで更新されたシェーディング補正値は,上述したように次のコピーがモノクロモードの場合に用いられる。
【0008】
以上説明したように,本実施の形態に係るデジタルカラー複写機A1においては,一連のコピー処理終了後に上記基準板の露光・読み取り処理を行うと共に,次のコピーがモノクロモード(速度優先モードの一例)であれば上記前回の読み取りデータを用いたシェーディング補正値を採用し,次のコピーがカラーモード(画質優先モードの一例)であればコピー開始前に再度上記露光・読み取り処理を行うと共にそこで得た読み取りデータを用いたシェーディング補正値を採用するため,画質を優先する場合には従来どおりコピー直前の正確なシェーディング補正値を用いた高画質の画像が得られ,速度(作業効率)を優先する場合にはコピー直前の基準板の露光・読み取り処理を省略して前回のシェーディング補正値を用いて速やかにコピーを開始するため,作業効率が向上する。従って,読み取り画像の画質を低下させない範囲で作業効率を向上させる事が可能となる。
【0009】
【実施例】
上記実施の形態では,速度優先モードをモノクロモード,画質優先モードをカラーモードとした例を示したが,これに限られるものではない。例えばモノクロ複写機などにおいては,速度優先モードを文字モード,画質優先モードを写真モードとすることも考えられる。また,カラーモードについても,3色カラーを速度優先モード,4色カラーを画質優先モードとすることもできる。更に,速度優先モードと画質優先モードとを任意に選択可能としてもよい。
尚,本発明に係る画像読取装置は,カラーデジタル複写機だけでなく,モノクロ複写機,ファクシミリなどに広く適用可能であることは言うまでもない。
【0010】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明は,基準板を露光すると共に読み取り,シェーディング補正を行うデジタル画像読取装置において,画像読取動作について所定の速度優先モードと所定の画質優先モードとのそれぞれに任意に設定可能に構成され,一連の画像読取動作終了後に上記基準板の露光及び読み取り処理を行うと共に,次の画像読取動作が上記速度優先モードに設定されている場合は上記前回の読み取りデータを用いたシェーディング補正値を採用し,次の画像読取動作が上記画質優先モードに設定されている場合は該画像読取動作開始前にも再度上記基準板の露光及び読み取り処理を行うと共にそこで得た読み取りデータを用いたシェーディング補正値を採用することを特徴とするデジタル画像読取装置として構成されているため,画質を優先する場合には従来どおりコピー直前の正確なシェーディング補正値を用いた高画質の画像が得られ,速度(作業効率)を優先する場合にはコピー直前の基準板の露光・読み取り処理を省略して前回のシェーディング補正値を用いて速やかにコピーを開始することにより作業効率が向上する。従って,読み取り画像の画質を低下させない範囲で作業効率を向上させる事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るデジタルカラー複写機A1のシェーディング補正を含む一連の複写処理の手順を示すフローチャート。
【図2】本発明の実施の形態に係るデジタルカラー複写機A1の画像読取装置1の概略構成を示す断面図。
【符号の説明】
1…画像読取装置
3…基準板
Claims (1)
- 基準板を露光すると共に読み取り,シェーディング補正を行うデジタル画像読取装置において,
画像読取動作について所定の速度優先モードと所定の画質優先モードとのそれぞれに任意に設定可能に構成され,
一連の画像読取動作終了後に上記基準板の露光及び読み取り処理を行うと共に,
次の画像読取動作が上記速度優先モードに設定されている場合は上記前回の読み取りデータを用いたシェーディング補正値を採用し,
次の画像読取動作が上記画質優先モードに設定されている場合は該画像読取動作開始前にも再度上記基準板の露光及び読み取り処理を行うと共にそこで得た読み取りデータを用いたシェーディング補正値を採用することを特徴とするデジタル画像読取装置。
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