JP3553359B2 - 電子線源 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子顕微鏡などに用いる電子線源に関し、特に電子線源の電子光学的輝度や陰極の寿命等を直接指定できるようにした電子線源に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子顕微鏡等の電子線源には様々なタイプのものがあるが、安定した電子線電流を得るため、金属の熱電子放出を利用した陰極が広く用いられている。ところで、金属の熱電子放出を利用する従来の電子線源においては、線源の電子光学的な輝度βや陰極(カソード)の寿命τなどを、操作表示部に数値的にあるいは視覚的に直接指定する機能を備えていない。したがって、例えば、線源の輝度βを変更する場合には、陰極先端とウエーネルト(グリッド)との距離を手動で変えるか、又は陰極とウエーネルト間の電圧(バイアス電圧)の設定を手動で変えることによって、試行錯誤的にエミッション電流を変え、このエミッション電流の大きさから線源の輝度βの大小を経験的に決めている。また、陰極の寿命に関しては、陰極の加熱量を示す加熱量設定つまみの位置やコード番号の値、あるいは陰極電流の大小関係を読み取ることによって、陰極寿命の長短を経験的に決めている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の電子線源においては、上記のように電子線源の輝度βや、陰極の寿命τ等を、操作表示部において数値的あるいは視覚的に直接指定することができないため、電子線源の他のファクタの数値や条件に基づいて、これらの輝度βや寿命τを経験的に類推するしかなく、これらの輝度βや寿命τを他のファクタの数値や条件に基づいて類推する場合でも、定量的な情報が直接的に操作表示部に示されないため、これらの輝度βや寿命τの大小関係を直接的に確認することができないという問題があった。このように、オペレータにとって重要な数値が間接的にしか類推できないということは、オペレータにとって電子線源の操作運用を困難ならしめている。
【0004】
本発明は、従来の電子線源における上記問題点を解消するためになされたもので、電子線源の輝度あるいは陰極の寿命を直接指定することができ、操作性を向上させた電子線源を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、本発明は、陰極と、陰極加熱装置と、前記陰極からの熱電子放出を制御するバイアス電圧を印加する電極と、陽極とを備えた電子線源において、予め設定された加速電圧のもとで、陰極の寿命を指定する手段又は電子線源の電子光学的輝度を指定する手段と、前記陰極寿命指定手段又は電子光学的輝度指定手段の指定値に基づいて前記陰極加熱装置の加熱量を設定制御する手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0006】
このように、陰極の寿命を指定する手段又は電子線源の電子光学的輝度を指定する手段と、陰極寿命指定手段又は輝度指定手段の指定値に基づいて陰極加熱装置の加熱量を設定制御する手段とを備えているので、陰極の寿命を直接指定するか又は電子線源の輝度を直接設定して陰極加熱を制御することができ、操作性を向上させた電子線源を実現することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、実施の形態について説明する。図1は、本発明に係る電子線源の実施の形態を示す概略構成図である。図1において、1は陰極で、該陰極1は陰極加熱電源2によって加熱されるようになっており、この陰極加熱電源2には陰極加熱電流をモニタする装置が含まれている。また、陰極1に電位(−Va )を供給するため、陰極加熱電源2はバイアス切換装置3を介して高圧電源4に接続されている。そして、高圧電源4と陰極加熱電源2との間には帰還抵抗5が接続されており、エミッション電流Ie が変化しても陰極1の電位(加速電圧Va に対応)が一定に保たれるようになっている。6はウエーネルトで、陰極1からの熱電子放出を制御するバイアス電圧(−Vg )が印加されている。7は陽極で接地されており、陽極7と陰極1との間の電位差が加速電圧Va になる。また、高圧電源4には陰極1から放出されるエミッション電流Ie を検出するためのエミッション電流検出器8が接続されている。なお、図1において、Iはバイアス切換装置3を流れる電流、Iは帰還抵抗5を流れる電流である。
【0008】
9は操作表示部・制御部で、コンピュータ制御装置又はこれに相当する機能を含むもので、該操作表示部・制御部9は信号線10を介して陰極加熱電源2,バイアス切換装置3,高圧電源4に接続されており、電子線の加速電圧Va の指定部や、電子線源の輝度β及び陰極の寿命τの指定部、並びにこれらの表示部、更にはこれらの指定に基づく陰極加熱電流の設定制御、バイアス切換装置の切り換え制御、陰極加熱電流のモニタ信号の読み込み、エミッション電流の読み込み等の動作を行うようになっている。
【0009】
次に、このように構成されている電子線源における電子線源の輝度β及び陰極の寿命τの指定の原理について説明する。一般に、金属の熱電子放出を利用した陰極において、陰極の温度をT〔K〕,陰極の材質によって決まる仕事関数をφ[eV] とすると、熱電子放出による陰極の電流密度Js[Acm−2] は、次式(1)で示すRichardson−Dushman の公式で与えられる。
Js =ATexp (−φ/kT) ・・・・・・・・・(1)
ここで、Aは常数で、理論値はA=120.4 Acm−2−2であるが、陰極の表面状態によって変化することが知られている。なお、kは Boltzmann定数(= 8.617×10−5 eVK−1)である。
【0010】
ところで、電子線源の電子光学的な輝度β〔Acm−2sr−1〕は、単位面積・単位立体角内に得られるビーム電流Ip[A] として定義されている。電子線源の実質的な光源としての有効半径をr[cm],ビームの開き各(半頂角)をα[rad] とすると、光源の電流密度は、J=Ip /(πr)に相当するため、αが小さい場合には、次式(2)が与えられる。
β=J/(πα) ・・・・・・・・・・・・・・・(2)
【0011】
一方、電子に対する加速電圧をVa ,電子の電荷の絶対値をe〔C〕とすると、電子線をレンズ系を用いて集束しても、得られる最大電流密度Jm[Acm−2] は、Langmuirの熱的制限による式で制限されるため、αが小さい場合には、次式(3)で表される。
Jm =Js(1+eVa/kT)sinα≒Js(eVa/kT) α ・・・・・・(3)
したがって、電子光学的な理論的最大輝度は、次式(4)で表される。
β=Jm /πα≒(Js /π)・(eVa/kT) ・・・・・(4)
【0012】
したがって、加速電圧Va において、輝度βの値を指定すれば、(1),(4)式から陰極の温度Tが定まる。すなわち、(1)式を(4)式に代入し、数値計算により温度Tが求められる。例えば、陰極として線径が約 0.1mmのタングステンのヘアピン型のフィラメントを用いた場合、φ=4.4eV,A= 120Acm−2−2,Va=25kVと仮定すると、輝度β=0.86×10及び 3.7×10〔Acm−2sr−1〕に対する陰極の温度Tは、それぞれ2600及び2800〔K〕となる。この温度Tは、陰極加熱電源2に設定された加熱量を示す値Fc(例えば加熱電流If や加熱電圧Vf に相当)によって設定できる。より正確な加熱を行うには、実際に流れた加熱電流If をモニタして所定の加熱量とすればよい。
【0013】
陰極から放出される電子の量(エミッション電流Ie ,すなわち陰極の電流密度Jに陰極微小表面積dsを乗じた積分値∫Jds)を決めるファクタには、陰極の温度Tの他に、陰極1の電位(−Va )とウエーネルト6の電位(−Vg )がある。すなわち、図2に示すように、Va を大又はVg を小とするとエミッション電流Ie が大きくなり、Va を小又はVg を大とするとエミッション電流Ie は小さくなる。また通常は、安定なエミッション電流Ie を得るために、図2に示すように、温度Tの変化でエミッション電流Ie が大幅に変化する温度制限領域ではなく、温度Tが多少変化してもエミッション電流Ie があまり変化しない空間電荷制限領域で使用される。
【0014】
前記陰極加熱電源2に設定された加熱量を示す値Fc 付近に対応する温度Tが、陰極の電子放出が温度制限領域から空間電荷制限領域に移る部分(飽和点、図2において点線で示す部分)であれば、指定された電子線源の輝度βが陰極の加熱し過ぎなしに得られる。この表面の各温度Tにおける電流密度Js から、陰極の形状(特に表面積)に応じた、すなわち各電流密度Js に表面積dsを乗じた積分値∫Js dsより、エミッション電流Ie が得られる。
【0015】
例えば、線径が約 0.1mmのヘアピン型のタングステンフィラメントの場合、T=2600及び2800〔K〕に対して、それぞれ電流密度Js =2及び10〔Acm−2〕が得られ、これら電流密度に対応して、装置に固有な値ではあるが、それぞれエミッション電流Ie =20及び 100〔μA〕が近似的に求められる。したがって、加速電圧Va と電子線源の輝度βを指定することにより、これらの指定値を満たすエミッション電流Ie が定められることになる。
【0016】
また、陰極の温度Tと陰極の蒸発率Rt の関係や、陰極の蒸発率Rt と陰極の寿命τについては、様々な文献で紹介がなされている。例えば、線径が 0.1mmのヘアピン型のタングステンフィラメントの場合は、温度T=2600及び2800〔K〕に対して、それぞれ陰極の寿命τ= 600及び50〔hour〕が近似的に得られる。逆に、寿命τの値を指定することにより、陰極の蒸発率Rt と温度Tが定まり、この温度Tと加速電圧Va から、陰極の輝度βと電流密度Js が求められ、設定すべきエミッション電流Ie が定められる。
【0017】
以上、電子線源における輝度β及び陰極の寿命τの指定の原理について説明したが、次に、図1に示した実施の形態における電子線源の輝度β及び陰極の寿命τの具体的な指定動作について説明する。まず、電子線源の輝度βを指定する場合について説明する。与えられた加速電圧Va =Vaに対し、操作表示部・制御部9の指定部において電子線源の輝度β=β を数値で(又は輝度が高、中、低などと感覚的に)指定し表示する。この輝度β の指定により、操作表示部・制御部9においては、加速電圧Va,輝度β という条件下で、陰極加熱電源2による陰極加熱が飽和点から著しく離れた加熱にならないように、陰極加熱電流If=If(Va,β )を、加速電圧Va と輝度βのテーブルTAから選び出し、陰極加熱電源2に設定を指令する。
【0018】
次に、操作表示部・制御部9において、指定輝度β が得られるエミッション電流Ie=Ie(Va,β )を、加速電圧Va と輝度βのテーブルTBから選び出す。そして、この選び出されたエミッション電流Ieに最も近いエミッション電流が流れるように、バイアス切換装置3に対してバイアスの切り換えを指令する。図1に示す最も簡単な実施の形態においては、複数個のバイアス抵抗の中から適切な抵抗値のものを選ぶことにより、所定のバイアスの設定を行う。
【0019】
実際のエミッション電流Iesは、エミッション電流検出器8で検出され、操作表示部・制御部9は、検出したエミッション電流Iesの値が、前記テーブルTBから選び出されたエミッション電流Ieより大きければ、バイアス切換装置3のバイアス抵抗値を大きい方に切り換えて、エミッション電流を小さくし、検出エミッション電流Iesが選出エミッション電流Ieより小さければ、バイアス切換装置3のバイアス抵抗値を小さい方に切り換えて、エミッション電流を大きくするように、バイアス切換装置3へ指令を行う。そして、操作表示部・制御部9は、サンプリングした検出エミッション電流Iesのうち、|(Ies−Ie)/Ie|の値が最も小さくなるようなバイアス抵抗値を選び、バイアス切換装置3にこの抵抗値の設定の指令をする。
【0020】
この後、陰極1の加熱し過ぎを避けて陰極1の寿命を伸ばすため、必要に応じて電子線源の飽和点判定を実施することができる。本実施の形態においては詳細な説明は省略するが、この飽和点の判定は、陰極温度Tの変化に対するエミッション電流Ie や電子ビーム電流の変化分を測定して行うものであり、この飽和点の設定は自動的に行うこともできる。この飽和領域では陰極加熱を変更してもエミッション電流の変化は少ないので、最初に指定した輝度がこの段階でずれることは実質的にない。以上のようにして、電子線源の輝度を、陰極の寿命を必要以上に縮めることなく指定することができる。
【0021】
次に、陰極の寿命の指定について説明する。操作表示部・制御部9において陰極1の寿命τ=τ を指定すると、寿命までの陰極1の蒸発率Rt が指定されたことになる。この蒸発率Rt を与える陰極温度Tは、陰極1の材質によって決まる。次に、これにより決まる陰極温度Tと、与えられた加速電圧Va =Vaに対し、陰極の各材質に関して使用可能な電子線源の輝度β が、β =β(Va,τ )として、加速電圧Va と寿命τのテーブルTCから求められる。使用可能な輝度β が求められると、先に述べた手順に従って目的とする陰極加熱を行うことができる。
【0022】
上記実施の形態の説明においては、電子線源の電子光学的な輝度βや陰極の寿命τを指定して陰極の加熱条件を設定するようにした構成のものを示しているが、前記の説明から明らかなように、輝度βや寿命τを指定する代わりに、予め設定された加速電圧Va のもとで、エミッション電流Ie を指定して、このエミッション電流Ie で飽和点付近になるように陰極を加熱することもできる。すなわち、指定されたエミッション電流Ieに最も近いエミッション電流が流れるようにバイアス切換装置3に対してバイアスの切り換えを指令して、陰極の加熱を行うことができる。
【0023】
また、上記実施の形態においては、例えばタングステンなど単一の材質で構成した一種類の陰極を用いている場合について説明を行ったが、陰極の材質を操作表示部・制御部9で指定し表示できるようにし、そして指定した材質の陰極に適するように、飽和点からあまり離れていない陰極加熱電流If=If(Va,β )を求めるテーブルTA,エミッション電流Ie=Ie(Va,β )を求めるテーブルTB,輝度β =β(Va,τ )を求めるテーブルTCを、それぞれ切り換えて用いるように構成することもできる。
【0024】
また、上記実施の形態においては、加速電圧Va と共に電子線源の輝度β,又は陰極の寿命τを指定して表示するようにしたものを示したが、図3に示すように加速電圧Va と共に電子線源の輝度βを指定した場合、陰極の温度Tが定まり、陰極温度Tが定まると陰極の材質により蒸発率Rt が定まり、したがって、陰極の寿命τが定まることになるので、指定した電子線源の輝度βと共に寿命τを表示するように構成することができる。また同様に、加速電圧Va と共に陰極の寿命τを指定し表示した場合には、これらの条件下で得られる輝度βを同時に表示することができる。
【0025】
また、陰極加熱電源2又は操作表示部・制御部9の内部に、陰極1を加熱した時間を測定するタイマー(又はタイマーの働きをするソフトウエア)を設けて、図3に示すように陰極使用時間tu を操作表示部・制御部9に表示できるようにすると共に、指定した寿命τに対して残りの寿命τr =τ−tu を操作表示部・制御部9に表示するように構成することもできる。
【0026】
また、陰極1の寿命に至るまでの間に、輝度β(n)を変えたり、寿命τ(n)を変更して用いる場合には(但しnは変更した順番を表し、n=1,2,3,・・・・・mとする)、各陰極温度T(n)に対する陰極の蒸発率Rt(n)と使用時間tu(n),並びに陰極の蒸発量の限界値Ec から、m回目の指定以降に許容される残りの蒸発量Er(m)は、次式(5)で求められる。
Er(m)=Ec −ΣRt(n)・tu(n) ・・・・・・(5)
残りの寿命τr(m)は、次式(6)で表される。
τr(m)=Er(m)/Rt(m) ・・・・・・・・・・(6)
これらの演算を操作表示部・制御部9で行い、全体の使用時間Σtu(n)等と共に操作表示部・制御部9に表示することもできる。なお、上記総和記号Σにおける総和範囲は、n=1からn=m−1までである。
【0027】
また、加速電圧Va を変更すると、前記(4)式からわかるように、得られる最大輝度βは変化する。予め指定された寿命τ,したがって指定された陰極温度Tに対し、空間電荷制限領域において最大の輝度βが得られるように、バイアス切換装置を調整することができる。すなわち、陰極温度Tに対して使用可能な電子線源の輝度βが加速電圧と寿命のテーブルTCから求められ、この輝度βが得られるエミッション電流が加速電圧と輝度のテーブルTBから選び出され、このエミッション電流が流れるようにバイアス切換装置が調整される。これにより陰極の寿命期間中効率よく電子線源を動作させることができる。
【0028】
また、予め指定された輝度βに対し、もし変更された加速電圧Va で前記指定輝度βが実現できる場合には、前記(4)式からわかるように、輝度βを一定に保つように陰極の温度Tを変更することもできる。
【0029】
【発明の効果】
以上実施の形態に基づいて説明したように、本発明によれば、電子線源の輝度又は陰極の寿命を指定し、それに基づいて陰極加熱を制御して電子線源を動作させることができ、輝度や陰極を従来のように経験や感に頼って設定する必要がなく、操作性を向上させた電子線源を実現することができる。また、陰極の寿命と電子線源の輝度とを対にして表示することが可能となるので、電子線源の所望動作態様の選定を容易に行うことができる。また、指定あるいは設定された電子線源の輝度や陰極の使用時間の表示に加えて、陰極の残りの使用可能な時間を表示することが可能なので、電子線源の陰極の交換時期等を容易に把握することができる。また、バイアス電圧切換装置の切換制御手段に、指定された寿命と加速電圧に対し、電子線源の輝度が常に最大になるようにバイアス電圧を制御する制御モードを備えることにより、陰極の寿命期間中効率よく電子線源を動作させることが可能となる。また、陰極加熱装置の制御手段及びバイアス電圧切換装置の切換制御手段に、予め指定された輝度が理論的に実現できる範囲内で、指定された加速電圧が変更されても常に一定になるように陰極加熱及びバイアス電圧を制御する制御モードを設けることにより、電子線源からのビームを集束する場合、加速電圧を変えてもビームの集束状態の変化を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子線源の実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】飽和点におけるエミッション電流を説明するための陰極温度とエミッション電流の関係を示す図である。
【図3】図1に示した実施の形態における操作表示部・制御部における輝度の指定と寿命等の表示態様を示す図である。
【符号の説明】
1 陰極
2 陰極加熱電源
3 バイアス切換装置
4 高圧電源
5 帰還抵抗
6 ウエーネルト
7 陽極
8 エミッション電流検出器
9 操作表示部・制御部
10 信号線

Claims (5)

  1. 陰極と、陰極加熱装置と、前記陰極からの熱電子放出を制御するバイアス電圧を印加する電極と、陽極とを備えた電子線源において、予め設定された加速電圧のもとで、陰極の寿命を指定する手段又は電子線源の電子光学的輝度を指定する手段と、前記陰極寿命指定手段又は電子光学的輝度指定手段の指定値に基づいて前記陰極加熱装置の加熱量を設定制御する手段とを備えていることを特徴とする電子線源。
  2. 電子線源のエミッション電流を切り換えるためのバイアス電圧切換装置と、該バイアス電圧切換装置を切り換え制御する手段とを備え、前記予め設定された加速電圧のもとで、陰極の寿命又は電子光学的輝度を指定した場合、エミッション電流が、前記加速電圧と陰極の寿命の組み合わせ又は前記加速電圧と電子光学的輝度の組み合わせで決定されるエミッション電流に最も近い値になるように、前記バイアス電圧切換装置を制御するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の電子線源。
  3. 前記陰極加熱装置において設定された加熱量Fc(n)〔nは異なる設定をした順番を示す整数〕と、該加熱量で陰極を加熱する設定時間tu(n)とをモニタする表示手段を備え、該表示手段には前記指定された電子線源の寿命に対する前記加熱量及び加熱時間に基づく残りの陰極使用可能時間を表示するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子線源。
  4. 前記バイアス電圧切換装置切換制御手段は、指定された寿命と加速電圧に対し、電子線源の電子光学的輝度が常に最大になるようにバイアス電圧を制御する制御モードを備えていることを特徴とする請求項2記載の電子線源。
  5. 前記陰極加熱装置制御手段及びバイアス電圧切換装置切換制御手段は、指定された電子線源の電子光学的輝度が、加速電圧を変えても理論的に実現できる範囲内で常に一定になるように、陰極の加熱量及びバイアス電圧をそれぞれ制御する制御モードを備えていることを特徴とする請求項2記載の電子線源。
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