JP3553125B2 - 粒状ノニオン洗剤組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、撹拌造粒法によりノニオン界面活性剤を主成分とする粒状洗剤組成物を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ノニオン界面活性剤は、一般に低泡性であり、洗浄力が水の硬度の影響を受けにくく、特に泥汚れや低温での汚れ分散性にも優れている。さらに生分解性が良好で環境負荷が低く、低毒性で安全性にも問題がない優れた界面活性剤である。このノニオン界面活性剤を主成分とした粒状洗剤の製造方法としては、例えば特開昭52−101211号公報、特開昭62−263299号公報、特開昭57−159898号公報などに種々の方法が提案されている。
【0003】
しかしながら、撹拌造粒によりノニオン洗剤を製造する場合のように小粒子を出発原料として平均粒径400〜600μmの製品を得る造粒では、従来、粗大粒子の発生は避けられなかった。粗大粒子の発生は、製品外観を損うばかりでなく溶解性の悪化、さらには製品収率の低下をきたし、品質上・生産上問題となる。従来、この問題について十分な検討は為されていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、粗大粒子の発生を防止して、撹拌造粒法により粒状ノニオン洗剤組成物を製造することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
我々は、この問題について鋭意検討した結果、ノニオン界面活性剤、アルミノ珪酸塩、多孔質酸化物粉体および炭酸ナトリウムを用いて撹拌造粒する際に、平均粒径500〜3000μmとなるまで造粒を継続して、得られた造粒粒子をさらに粉砕処理して平均粒径400〜600μmの粒子とすることにより、粗大粒子の発生を防止し、しかも、原料粒度、原料組成、造粒時間制御等の製造上の制約が小さくなることを見い出し本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明の粒状ノニオン洗剤組成物の製造方法は、以下の(a)、(b)、(c)および(d)成分をそれぞれ下記の量で用いて、平均粒径500〜3000μmとなるまで造粒を継続して、撹拌造粒し、
(a)ノニオン界面活性剤:10〜70重量%
(b)結晶性アルミノ珪酸塩:5〜50重量%
(c)多孔質無機酸化物粉体:0.2重量%以上5重量%未満
(d)炭酸ナトリウム:75重量%以下
得られた攪拌造粒物を、無機微粉体の存在下に粉砕処理して平均粒径400〜600μmの洗剤粒子とすることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施態様】
本発明で使用される(a)成分のノニオン界面活性剤としては、以下のものを挙げることができる。
(1)炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキシドを平均3〜30モル、好ましくは7〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキル(またはアルケニル)エーテル。この中でも、ポリオキシエチレンアルキル(またはアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(またはアルケニル)エーテルが好適である。
【0008】
(2)ポリオキシエチレンアルキル(またはアルケニル)フェニルエーテル
(3)長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間にアルキレンオキシドが付加した下記化1の一般式(I)で示される脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート
【0009】
【化1】
R1 CO(OA)nOR2 …(I)
(R1 CO:炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪酸残基
OA:OCH2CH2等の炭素数2〜4、好ましくは2〜3のアルキレンオキシドの付加単位
n:アルキレンオキシドの平均付加モル数を示し、3〜30、好ましくは7〜20の数
R2 :炭素数1〜3の低級アルキル基)
【0010】
(4)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
(5)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル
(6)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル
(7)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
(8)グリセリン脂肪酸エステル
【0011】
上記のノニオン界面活性剤の中でもポリオキシエチレンアルキル(またはアルケニル)エーテル、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキシドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシレートが特に好適に用いられる。
【0012】
(a)成分のノニオン界面活性剤は、10〜70重量%、好ましくは10〜60重量%の量で配合されて撹拌造粒される。この配合量が10重量%未満では、ノニオン界面活性剤の優れた洗浄特性を生かすことができず、一方、70重量%を超えると撹拌造粒機への付着が著しく増大し、造粒が困難となる。
【0013】
(b)成分の結晶性アルミノ珪酸塩としては、平均粒径0.1〜10μmの合成ゼオライトなどが好適に使用される。
(b)成分の結晶性アルミノ珪酸塩は、5〜50重量%、好ましくは20〜40重量の量で配合されて撹拌造粒される。この配合量が5重量%未満では粒状物がダマ化もしくはペースト状となって造粒不能となり、一方、50重量%を超えると造粒時間が延びて製造能力が低下する。
【0014】
(c)成分の多孔質無機酸化物粉体としては、SiO2 分を50重量%以上含むものが好ましく、非晶質シリカ(商品名:トクシール(徳山曹達)、アエロジル(日本アエロジル))、結晶性珪酸カルシウム(商品名:フローライト(徳山曹達))、結晶性珪酸マグネシウム(商品名:ウオラストナイト(林化成))などが挙げられる。
【0015】
(c)成分の多孔質無機酸化物粉体は、0.2重量%以上5重量%未満、好ましくは1〜4重量%の量で配合されて撹拌造粒される。この配合量が0.2重量%未満では造粒物がダマ化もしくはペースト状となって造粒不能となり、一方、5重量%以上では製品の発塵性が悪化し使用時に「ムセ」などの問題が発生する。
【0016】
(d)成分の炭酸ナトリウムとしては、嵩密度の低い軽質炭酸ナトリウム(商品名:軽灰(旭化成)など)、嵩密度の高い重質炭酸ナトリウム(商品名:粒灰(旭化成)など)等が用いられる。(d)成分の炭酸ナトリウムは、75重量%以下の量で配合されて撹拌造粒される。この配合量が75重量%を超えると、造粒時間が長くなり製造能力が低下する。また、(d)成分の炭酸ナトリウムは、10重量%以上配合することが好適であり、これにより造粒物の流動性が向上する。(d)成分の炭酸ナトリウムは、好ましくは10〜60重量%の量で配合される。
【0017】
本発明の粒状ノニオン洗剤組成物中には、通常洗剤原料に配合されている以下のような成分を配合することができ、これらは撹拌造粒時に配合してもよく、造粒により得られた洗剤粒子に粉体混合してもよい。
【0018】
(1)無機質アルカリビルダー:炭酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、珪酸ナトリウムなど
(2)螢光剤:ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンジスルホン酸誘導体、ビス(スルホスチリル)ビフェニル塩[チノパールCBS]など
(3)酵素:リパーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼなど
(4)漂白剤:過炭酸ナトリウムなどの過炭酸塩、過硼酸塩など
(5)帯電防止剤:ジアルキル型4級アンモニウム塩、第3級アミンなど
(6)表面改質剤:ベントナイト、カオリナイトなど
【0019】
本発明においては、上記(a)、(b)、(c)および(d)成分を撹拌造粒する。具体的には、(b)結晶性アルミノ珪酸塩、(c)多孔質無機酸化物粉体および(d)炭酸ナトリウムあるいは更に他の任意粉体原料を撹拌造粒機に投入して撹拌し、(a)ノニオン界面活性剤を噴霧等により添加して撹拌造粒する。撹拌造粒を継続するにしたがって粒子が成長し、粒径が大きくなる。本発明では、平均粒径500〜3000μmとなるまで造粒を継続して撹拌造粒を終了することが望ましい。これにより、微粉粒子量を減少せしめて、粉体特性を改善することができる。
【0020】
ついで、得られた造粒粒子を無機微粉体とともに、粉砕機に供給し、無機微粉体の存在下に造粒粒子を粉砕して平均粒径400〜600μmの洗剤粒子とする。得られた洗剤粒子から構成される粒状ノニオン洗剤組成物は、粗大粒子を含まず、また、微粉量も少なく揃った粒径を有している。
【0021】
また、得られた洗剤粒子をふるいやサイクロンなどにより粗大粒子のみを分級し、これを上記と同様に粉砕してから残りの粒子と混合して洗剤粒子とすることもできる。
必要に応じてさらに他の任意成分を洗剤粒子に粉体混合などにより外添して最終的な製品とすることもできる。
【0022】
粉砕時に使用される無機微粉体としては、JIS200メッシュふるい通過分が50%以上である無機質粉体が好適であり、素材的には例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩、非晶質シリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等のケイ酸塩、ゼオライト等のアルミノ珪酸塩などが用いられる。
無機微粉体は、本発明の洗剤粒子に対して0.5〜15重量%配合される量で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10重量%である。
【0023】
この使用量が0.5重量%未満では粉砕処理が円滑に進まず、粉砕機がオーバーロードストップする場合がある。一方、15重量%を超えると、製品の発塵性が悪化し、使用時に「ムセ」などの問題が生じる。
また、本発明においては通常の粉砕機を全て使用できるが、特にスクリーン分級機能を有したカッターミル型の破砕機が好ましい。この破砕機の具体例としては、ホソカワミクロン(株)製のフィッツミル、パルベライザーなどが挙げられる。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、ノニオン界面活性剤、結晶性アルミノ珪酸塩、多孔質無機酸化物粉体および炭酸ナトリウムを平均粒径500〜3000μmとなるまで造粒を継続して撹拌造粒し、得られた造粒粒子を粉砕して平均粒径400〜600μmの洗剤粒子とすることにより、粗大粒子を含まず整粒された粒状ノニオン洗剤組成物を容易に製造することができる。
【0025】
【実施例】
実施例1〜4
表1に示した組成の粉体原料(全量8リットル)、すなわち微粒ゼオライト993g、非晶質シリカ45gおよび炭酸ナトリウム984gをレーディゲミキサー(松坂技研(株)製、M20型)に投入し、主軸(200rpm)とチョッパー(6000rpm)の撹拌を開始した。撹拌開始30秒後に表1に示す組成となるようにノニオン界面活性剤750gの全量を1分間で添加して、その後2分間撹拌造粒を継続し、造粒粒子を得た。造粒粒子の平均粒径は1000μm、12メッシュ篩の篩上量は30重量%であった。
【0026】
【表1】
【0027】
得られた造粒粒子を、下記の処理法および後記の表2に示した粉砕条件にしたがって、粉砕機(ホソカワミクロン(株)、フィッツミルDKSO6型)を用いて粉砕処理して粒状洗剤(製品)を製造し、その性状を評価して結果を表2に示した。
【0028】
実施例1:撹拌造粒粒子全量を、無機微粉体と一緒にそのまま粉砕機に投入した。
実施例2:予じめ12メッシュの篩で篩分けし、12メッシュの篩上分を無機微粉体と一緒に粉砕機に投入し、粉砕後に12メッシュ篩下分と合わせて製品とした。
【0029】
比較例1:実施例1と同じ条件で、無機微粉体を用いることなく粉砕した。
比較例2:粉砕することなく、ゼオライト228gを用いて撹拌造粒粒子をコーティング処理した。
なお、使用した無機微粉体228gは、撹拌造粒粒子に対して8.2重量%に相当する。
【0030】
【表2】
【0031】
製品性状としては、流動性の観点から平均粒径400〜600μm、製品外観の点から粗粉量(12メッシュ篩上量)は5重量%以下が好ましい。本発明により得られる製品は、これらを十分満足するものであることが表2から判る。
また、実施例1および2で得られた組成の粒状ノニオン洗剤組成物に、さらに酵素を粉体混合し香料を噴霧し実際の洗濯を行なったところ、特に問題はなく、品質・性能ともに良好であることが確認できた。
Claims (3)
- 以下の(a)、(b)、(c)および(d)成分をそれぞれ下記の量で用いて平均粒径500〜3000μmとなるまで造粒を継続して攪拌造粒し、
(a)ノニオン界面活性剤:10〜70重量%
(b)結晶性アルミノ珪酸塩:5〜50重量%
(c)多孔質無機酸化物粉体:0.2重量%以上5重量%未満
(d)炭酸ナトリウム:75重量%以下
得られた攪拌造粒物を、無機微粉体の存在下に粉砕処理して平均粒径400〜600μmの洗剤粒子とすることを特徴とする粒状ノニオン洗剤組成物の製造方法。 - : 0.5〜15重量%の無機微粉体の存在下に粉砕処理して平均粒径400〜600μmの洗剤粒子とすることを特徴とする請求項1記載の粒状ノニオン洗剤組成物の製造方法。
- : JIS200メッシュふるい通過分が50%以上である無機微粉体の存在下に粉砕処理して平均粒径400〜600μmの洗剤粒子とすることを特徴とする請求項1または2記載の粒状ノニオン洗剤組成物の製造方法。
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